JP6339715B2 - 水冷式空調システムおよび水冷式空調システムの運転制御方法 - Google Patents
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Description
また、二次側の冷水流量制御方式としては、二次ポンプ109から吐出される冷水の圧力を所定の設定値に制御する方法や、往水主管106aと還水主管106b間の往還温度差が一定となるように二次ポンプ109の流量を制御する方法が公知である(特許文献1、2)。
さらに、室内環境とずれた流量制御弁動作に伴って、さらに実態と乖離した余裕度演算がされ、演算結果に連係して稼働する二次ポンプの運転制御に齟齬が生じるという問題がある。
(1)一次側回路に配設した熱源機で製造した冷水を、往水ヘッダー及び還水ヘッダーを介して、二次側回路に配設した二次ポンプにより複数の空調機に循環供給し、
各空調機は、冷水導入量を制御可能とする流量制御弁と、導入した冷水と戻り空気との熱交換により冷房対象空間に冷風を供給する送風ファンと、を備え、
て成る水冷式空調システムにおいて、
(a1)各空調機の定格冷却能力に対するその時点における冷却余裕度(Ri)に基づいて、複数の空調機により構成される空調機群の群冷却余裕度(Rg)を演算するステップと、
(a2)群冷却余裕度(Rg)が所定の下限閾値(Rc)以下に至ったときは、非常時運転モードとして、二次ポンプ又は/及び熱源機の出力アップにより冷熱供給量を増加させ、かつ、アラーム発報するステップと、
(a3)但し、いずれかの空調機について、所定値以上の冷房出力設定変更があったときは、所定時間(τc)経過するまでは、(a1)に関らず当該空調機を除外して群冷却余裕度(Rg)を演算するステップと、を含むことを特徴とする。
(2)上記(1)の発明において、前記群冷却余裕度(Rg)が、各空調機の前記冷却余裕度(Ri)の平均値(ΣRi/n、n:空調機群に属する空調機台数)であることを特徴とする。
(3)上記各発明において、前記冷却余裕度(Ri)が、
前記流量制御弁の全開開度(θmax)と、当該時点における開度(θ(t))と、により求めた開度余裕率[(Ri=1−(θ(t)/θmax)]、
前記送風ファンの最大周波数(fmax)と、当該時点における周波数(f(t))と、により求めた周波数余裕率[(Ri=1−(f(t)/fmax)]、又は、
空調機の吹出温度計測値(Tb)と吹出温度設定値(Tbs)との乖離度(ΔTb=Tb−Tbs)について、所定の上限乖離度(ΔTb*)と、前記冷房出力設定変更のあった当該空調機の当該時点における乖離度(ΔTb(t))と、により求めた乖離度余裕率[(Ri=1−(ΔTb(t)/ΔTb*)]、
のいずれか、又は、これらの組み合わせであることを特徴とする。
(4) 上記各発明において、前記冷房出力設定変更が、室温設定(Trs)変更、又は、送風ファン風量設定(Qs)変更のいずれか一方、又は、両方であることを特徴とする。
(5) 上記各発明において、所定値以上の冷房出力設定変更があったときに、
前記流量制御弁の当該時点における開度比(Φi(t)=θ(t)/θmax)が、上限開度比(Φi*)以上、
前記乖離度(ΔTb)が上限乖離度(ΔTb*)以上、又は、
前記冷房対象空間温度(Tr)が上限空間温度(ΔTr*)以上、
のいずれかに該当する場合には、前記(a3)のステップを実行しないことを特徴とする。
(6) 上記各発明において、前記(a3)において、
「(a1)に関らず当該空調機を除外して群冷却余裕度(Rg)を演算する」に替えて、
「当該空調機については、設定変更率に対応する緩和係数(k)を乗じた冷却余裕度(Ri’=k*Ri)として、群冷却余裕度(Rg)を演算する」であることを特徴とする。
(7) 上記各発明において、前記アラーム発報の有無に応じて、発報回数累計を加算又は減算するステップと、
回数累計が所定の上限閾値(Na*)以上の場合には、室温設定(Trs)変更速度(ΔTrs/Δt)、又は、送風ファン風量設定(Qs)変更速度(ΔQs/Δt)を1段階遅延化させるステップと、
その後、群冷却余裕度(Rg)が所定の下限閾値(Rc)を下回ったときは、室温設定変更速度又は送風ファン風量変更速度を1段階迅速化させるステップと、をさらに含むことを特徴とする。
<第一の実施形態>
図1(a)、1(b)を参照して説明する。空調システム1は、往水ヘッダー2eと還水ヘッダー2fを介在させて、一次側の熱源機冷水系統2と、二次側の空調機系統3と、の2つの冷水系統により構成されている。熱源機冷水系統2は、冷水発生源である複数の熱源機2aと、各熱源機2aで作られた冷水を往水ヘッダー2eに供給する熱源機出口配管2cと、出口配管2c経路中に介装した一次ポンプ2bと、還水ヘッダー2fに集められた還水を熱源機2aに戻す熱源機入口配管2dと、両ヘッダー間を直接結ぶバイパス配管2gと、を備えて構成されている。
空調機(AHU)5は、熱交換器5a、送風ファン5bを主要構成として備えている。熱交換器5aにおいて、入側支管4a及び分岐入管6aを経由して供給される冷水と室内空気とを熱交換させて、送風ファン5bにより冷風を空調対象室7内に供給可能に構成されている。
水冷式空調システム1は以上のように構成されており、次に図2乃至4も参照して、制御部9の指令により熱源機2a、二次ポンプ8と空調機5間の間で行われる連係制御の内容について説明する。なお、以下のフローでは制御の安定化を考慮して、各ステップは所定の時間間隔で行われるものとする。
但し、Φi(t)は弁全開時の開度(θmax)と時刻tにおける弁開度(θ(t))との開度比として示される。
さらにRiの平均値(ΣRi/n)に基づいて、(3)式により空調機群の群冷却余裕度Rgを演算する。
次に、図2を参照して連系制御の具体的フローについて説明する。制御開始時において各空調機5は吹出温度Tb一定(例えば20℃)となるように、二方弁6により冷水流量制御が行われている。また、各二次ポンプ8は温度センサS1、S2による往還温度差ΔT=T2−T1が一定(例えば7℃)となるように周波数制御及び台数制御が行われている。さらに、各熱源機2aは出口温度一定(例えば7℃)となるように能力制御が行われている(S101)。
なお、本実施形態では各空調機5iの冷却余裕度Riを二方弁6の弁開度に基づいて演算する例を示したが、吹出温度の計測値(Tb)と吹出温度の設定値(Tbs)との乖離度(ΔTb=Tb−Tbs)に基づいて、次式を用いて演算する態様とすることもできる。なお、ΔTb*は所定の上限乖離度である。
さらに、送風ファンの最大周波数(fmax)に対する当該時点における周波数(f(t))との比に基づいて、次式を用いて演算する態様とすることもできる。
また、本実施形態では空調対象室7内に1台の空調機5を配置する例を示したが、複数台の空調機を配置する態様であってもよい。
<第二の実施形態>
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は上述の実施形態において、冷房出力設定変更のあった空調機5iを冷却余裕度の演算から除外することによる、空調信頼性の過度の低下を回避するための制御形態である。本実施形態の構成は第一の実施形態の空調システム1と同様であるので、重複説明を省略する。
(a)Φi(t−1)≧Φi*(S1081)
設定温度又は風量変更が行われた時(時刻t)より以前(t−1)から、二方弁開度比Φi(t−1)が閾値(Φi*)以上に至っている場合。
(b)Tb−Tbs≧ΔT*(S1082)
空調機5iの吹出温度について、計測温度(Tb)と設定温度(Tbs)との乖離が閾値(ΔT*)以上に至っている場合。
(c)Tr≧Tr*(S1083)
室温(Tr)が閾値(Tr*)以上に至っている場合。
<第三の実施形態>
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、群冷却余裕度Rgの演算に際して、冷房出力設定変更閾値超えの空調機による影響度を小さくすることにより、アラーム頻発を回避する形態に係る。
Ri’=k*(1−Φi(t)) ・・・・・(4)
として、その時点における群冷却余裕度Rgの演算が行われる(S112)。
当該空調機のRiに緩和係数kを乗じることにより、Ri’<Riとなるため、群冷却余裕度Rgへの寄与度が小さくなり、その分、非常時運転モード移行回避の可能性が高まる。
<第四の実施形態>
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、群冷却余裕度に関するアラーム頻度に対応して、冷房出力設定変更に際してその変化速度(ΔQs/Δt、ΔTrs/Δt)を調整する形態に関する。
以下、図5を参照して本実施形態の連係制御フローについて説明する。制御開始に伴い初期設定としてアラーム回数累計ΣNa=0とする(S401)。制御開始後、いずれかの空調機について風量又は室温の設定変更があった場合を想定する(S402)。設定変更により伴い上述の各実施形態のフローにしたがい群冷却余裕度Rg≧Rcとなり、アラーム対象か否かが判定される(S403)。
加算後のアラーム累計が閾値(Na*)以上に至っていない場合には(S405においてN)、設定変更速度は変化させない(S408)。
2・・・・熱源機冷水系統
2a・・・熱源機
2b・・・一次ポンプ
3・・・・空調機系統
5・・・・空調機(AHU)
5b・・・送風ファン
6・・・・二方弁(流量制御弁)
7・・・・空調対象室
8・・・・二次ポンプ
9・・・・制御部
Rc・・・群冷却余裕度臨界値
Rg・・・群冷却余裕度
Ri・・・空調機冷却余裕度
S1〜S4・・・・温度センサ
Claims (7)
- 一次側回路に配設され冷水を製造する熱源機と、
流量制御弁により導入量が制御された前記冷水と戻り空気との熱交換により冷房対象空間に冷風を供給する送風ファンと、を有する複数の空調機と、
二次側回路に配設され、往水ヘッダー及び還水ヘッダーを介して前記冷水を前記空調機に循環供給する二次ポンプと、
(a1)各空調機の定格冷却能力に対するその時点における冷却余裕度(Ri)に基づいて、前記複数の空調機により構成される空調機群の群冷却余裕度(Rg)を演算する処理と、
(a2)前記群冷却余裕度(Rg)が所定の下限閾値(Rc)以下に至ったときは、非常時運転モードとして、前記二次ポンプ又は/及び前記熱源機の出力アップにより冷熱供給量を増加させ、かつ、アラーム発報する処理と、
(a3)但し、いずれかの空調機について、所定値以上の冷房出力設定変更があったときは、所定時間(τc)経過するまでは、(a1)に関らず当該空調機を除外して前記群冷却余裕度(Rg)を演算する処理と、を行う制御部と、
が設けられていることを特徴とする水冷式空調システム。 - 前記制御部は、前記群冷却余裕度(Rg)を、前記各空調機の前記冷却余裕度(Ri)の平均値(ΣRi/n、n:空調機群に属する空調機台数)として求めることを特徴とする請求項1に記載の水冷式空調システム。
- 前記制御部は、
前記冷却余裕度(Ri)を、
前記流量制御弁の全開開度(θmax)と、当該時点における開度(θ(t))と、により求めた開度余裕率[(Ri=1−(θ(t)/θmax)]、
前記送風ファンの最大周波数(fmax)と、当該時点における周波数(f(t))と、により求めた周波数余裕率[(Ri=1−(f(t)/fmax)]、又は、
空調機における吹出温度の計測値(Tb)と吹出温度の設定値(Tbs)との乖離度(ΔTb=Tb−Tbs)について、所定の上限乖離度(ΔTb*)と、前記冷房出力設定変更のあった当該空調機の当該時点における乖離度(ΔTb(t))と、により求めた乖離度余裕率[(Ri=1−(ΔTb(t)/ΔTb*)]、
のいずれか、又は、これらの組み合わせとして求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の水冷式空調システム。 - 前記冷房出力設定変更が、室温設定(Trs)変更、又は、送風ファン設定風量(Qs)変更のいずれか一方、又は、両方であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水冷式空調システム。
- 前記制御部は、所定値以上の冷房出力設定変更があったときに、
前記流量制御弁の当該時点における開度比(Φi(t)=θ(t)/θmax)が、上限開度比(Φi*)以上、
前記乖離度(ΔTb)が上限乖離度(ΔTb*)以上、又は、
前記冷房対象空間温度(Tr)が上限空間温度(ΔTr*)以上、のいずれかに該当する場合には、前記(a3)のステップを実行しないことを特徴とする請求項3又は4に記載の水冷式空調システム。 - 前記制御部は、前記(a3)において、
「(a1)に関らず当該空調機を除外して前記群冷却余裕度(Rg)を演算する」処理に替えて、
「当該空調機については、設定変更率に対応する緩和係数(k)を乗じた冷却余裕度(Ri’=k*Ri)として、前記群冷却余裕度(Rg)を演算する」処理を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水冷式空調システム。 - 前記制御部は、前記アラーム発報の有無に応じて、発報回数累計を加算又は減算する処理と、
回数累計が所定の上限閾値(Na*)以上の場合には、室温設定(Trs)変更速度(ΔTrs/Δt)、又は、送風ファン設定風量(Qs)変更速度(ΔQs/Δt)を1段階遅延化させる処理と、
その後、前記群冷却余裕度(Rg)が所定の下限閾値(Rc)を下回ったときは、室温設定変更速度又は送風ファン風量変更速度を1段階迅速化させる処理と、をさらに行うことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の水冷式空調システム。
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