JP6114143B2 - 水冷式空調システム - Google Patents
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Description
また、二次側の冷水流量制御方式としては、二次ポンプ109から吐出される冷水の圧力を所定の設定値に制御する方法や、往水主管106aと還水主管106b間の往還温度差が一定となるように二次ポンプ109の流量を制御する方法が公知である(特許文献1、2)。
さらに、いずれかの空調機の熱負荷が増加したときに。空調機の冷却不足による室温上昇を回避するためアラーム発報し、二次ポンプ109の流量を増やす制御が公知である(特許文献3)。
さらに、冷却余裕度が閾値以下のときにアラーム発報とした場合、アラーム頻発の問題がある。
さらに、室内環境とずれた流量制御弁動作に伴って、さらに実態と乖離した余裕度演算がされ、演算結果に連係して稼働する二次ポンプの運転制御に齟齬が生じるという問題ががある。
本発明は以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る水冷式空調システムの運転制御方法は、
各空調機は、冷水導入量を制御可能とする流量制御弁と、導入した冷水と戻り空気との熱交換により冷房対象空間に冷風を供給する送風ファンと、を備え、
て成る水冷式空調システムにおいて、
(a1)各空調機の定格冷却能力に対するその時点における冷却余裕度(Ri)に基づいて、複数の空調機により構成される空調機群の群冷却余裕度(Rg)を演算するステップと、
(a2)群冷却余裕度(Rg)が所定の下限閾値(Rc)以下に至ったときは、非常時運転モードとして、二次ポンプ又は/及び熱源機の出力アップにより冷熱供給量を増加させ、かつ、アラーム発報するステップと、
(a3)但し、いずれかの空調機について、所定値以上の冷房出力設定変更があったときは、所定時間(τc)経過するまでは、(a1)に関らず当該空調機を除外して群冷却余裕度(Rg)を演算するステップと、を含むことを特徴とする。
前記流量制御弁の全開開度(θmax)と、当該時点における開度(θ(t))と、により求めた開度余裕率[(Ri=1−(θ(t)/θmax)]、
前記送風ファンの最大周波数(fmax)と、当該時点における周波数(f(t))と、により求めた周波数余裕率[(Ri=1−(f(t)/fmax)]、又は、
空調機の吹出温度計測値(Tb)と吹出温度設定値(Tbs)との乖離度(ΔTb=Tb−Tbs)について、所定の上限乖離度(ΔTb*)と、前記冷房出力設定変更のあった当該空調機の当該時点における乖離度(ΔTb(t))と、により求めた乖離度余裕率[(Ri=1−(ΔTb(t)/ΔTb*)]、
のいずれか、又は、これらの組み合わせであることを特徴とする。
なお、上限を超えた検知(ΔTb(t)>ΔTb*)をした場合は、一律にRi=0とする。
「これらの組み合わせ」とは、例えば開度余裕率、周波数余裕率、乖離度余裕率の平均値を以て、当該空調機の冷却余裕度(Ri)とすることをいう。
前記流量制御弁の当該時点における開度比(Φi(t)=θ(t)/θmax)が、上限開度比(Φi*)以上、
前記乖離度(ΔTb)が上限乖離度(ΔTb*)以上、又は、
前記冷房対象空間温度(Tr)が上限空間温度(ΔTr*)以上、
のいずれかに該当する場合には、前記(a3)のステップを実行しないことを特徴とする。
各上限閾値については、サーバ許容温度から逆算して求める当該冷房対象空間の許容上限温度、運転実績により定められた所与の室内温度条件 等に基づき設定する。その際、同一冷却エリアの常用空調機台数、予備機台数の関係 等を考慮に入れることができる。
「(a1)に関らず当該空調機を除外して群冷却余裕度(Rg)を演算する」に替えて、
「当該空調機については、設定変更率に対応する緩和係数(k)を乗じた冷却余裕度(Ri’=k*Ri)として、群冷却余裕度(Rg)を演算する」
であることを特徴とする。
なお、緩和係数(k)については、同一冷却エリアの空調機台数や、室の総冷却負荷量、等を考慮して設定することができる。
回数累計が所定の上限閾値(Na*)以上の場合には、室温設定(Trs)変更速度(ΔTrs/Δt)、又は、送風ファン風量設定(Qs)変更速度(ΔQs/Δt)を1段階遅延化させるステップと、
その後、群冷却余裕度(Rg)が所定の下限閾値(Rc)を下回ったときは、室温設定変更速度又は送風ファン風量変更速度を1段階迅速化させるステップと、
をさらに含むことを特徴とする。
図1(a)、1(b)を参照して空調システム1は、往水ヘッダー2eと還水ヘッダー2fを介在させて、一次側の熱源機冷水系統2と、二次側の空調機系統3と、の2つの冷水系統により構成されている。熱源機冷水系統2は、冷水発生源である複数の熱源機2aと、各熱源機2aで作られた冷水を往水ヘッダー2eに供給する熱源機出口配管2cと、出口配管2c経路中に介装した一次ポンプ2bと、還水ヘッダー2fに集められた還水を熱源機2aに戻す熱源機入口配管2dと、両ヘッダー間を直接結ぶバイパス配管2gと、を備えて構成されている。
なお、本実施形態では主管系統が1系統(往水主管3a、還水主管3b)の例を示しているが、これに限らず複数の主管系統を備えたシステムであってもよい。
分岐入管6aには二方弁(請求項の流量制御弁に該当)6aが介装されている。また、空調機5には出口吹出温度(Tb)を計測する温度センサS3と、空調対象室7内に配設され室内温度を計測する温度センサS4と、が付設されている。
さらに、空調システム1は制御部9を備えており、各温度センサS1〜S4、二方弁6開度等の情報を入力して、冷却余裕度(Rg)の演算を行い、熱源機2a、二次ポンプ8に対して必要な稼働指令を行うように構成されている。なお、制御部9は、CPU、ROM、RAM、入出力IF等を備えたマイコンにより実装可能である。
Ri=1−Φi(t) ・・・・(1)
但し、Φi(t)は弁全開時の開度(θmax)と時刻tにおける弁開度(θ(t))との開度比として示される。
Φi(t)=θ(t)/θmax ・・・・(2)
さらにRiの平均値(ΣRi/n)に基づいて、(3)式により空調機群の群冷却余裕度Rgを演算する。
Rg=ΣRi/n ・・・・(3)
S107においてY、すなわち当該空調機5jについて設定温度変化率又は風量変化率が閾値以上の場合には、さらに当該変更から所定時間τx経過しているか否かが判定される(S108)。τxに達していない場合には(S108においてN)、当該空調機5jを除外してその時点における群冷却余裕度Rgの演算が行われる(S109)。
S102においてN(設定変更なし)、S107においてN(所定の閾値α%、β%未満)、及び、S108においてY(変更後τx経過)の場合には、当該空調機5jを含めて全空調機を対象としてその時点における群冷却余裕度Rgの演算が行われる(S103)。
さらに、非常時運転モードとして臨界値Rc以上に戻るまで全ての二次ポンプを最大能力で運転させる(S106、S110)。なお、非常時運転モードとしては、熱源機温度を1℃上昇させる態様とすることもできる。さらに、二次ポンプの最大能力運転及び熱源機温度の段階的上昇、又は、両者を同時に行う態様としてもよい。
その後、群冷却余裕度Rgが臨界値Rc以上に戻ったときは(S104においてN)、通常の運転モード(S101)に戻すことができる。
Ri=1−(ΔTb(t)/ΔTb*) ・・・・(1')
さらに、送風ファンの最大周波数(fmax)に対する当該時点における周波数(f(t))との比に基づいて、次式を用いて演算する態様とすることもできる。
Ri=1−f(t)/fmax ・・・・(1")
また、単一の温度センサS4の計測値を以て室内温度とする例を示したが、複数の温度センサを用いて計測し、その代表温度(例えば最高温度、平均温度)を以て室内温度とする態様とすることもできる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は上述の実施形態において、冷房出力設定変更のあった空調機5jを冷却余裕度の演算から除外することによる、空調信頼性の過度の低下を回避するための制御形態である。本実施形態の構成は第一の実施形態の空調システム1と同様であるので、重複説明を省略する。
設定温度又は風量変更が行われた時(時刻t)より以前(t−1)から、二方弁開度比Φi(t−1)が閾値(Φi*)以上に至っている場合。
(b)Tb−Tbs≧ΔT*(S1082)
空調機吹出温度について、計測温度(Tb)と設定温度(Tbs)との乖離が閾値(ΔT*)以上に至っている場合。
(c)Tr≧Tr*(S1083)
室温(Tr)が閾値(Tr*)以上に至っている場合。
なお、上記(a)乃至(c)以外であっても、許容温度逸脱に与える影響大の因子があれば、これについては同様の処理フローとすることが適当である。
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、群冷却余裕度Rgの演算に際して、冷房出力設定変更閾値超えの空調機による影響度を小さくすることにより、アラーム頻発を回避する形態に係る。
S107においてY、すなわちいずれかの空調機について設定温度変化率(ΔTb/Tb)が閾値α%以上の場合、当該空調機の余裕度Ri’については、(1)式に所定の緩和係数k(但し、k<1)を乗じて、
Ri’=k*(1−Φi(t)) ・・・・・(4)
として、その時点における群冷却余裕度Rgの演算が行われる(S112)。
その後のフローについては第一の実施形態と同様であるので重複説明を省略する。
当該空調機のRiに緩和係数kを乗じることにより、Ri’<Riとなるため、群冷却余裕度Rgへの寄与度が小さくなり、その分、非常時運転モード移行回避の可能性が高まる。
なお、緩和係数kの値については、同一冷却エリア内の空調機台数、室の総冷却負荷量 等を考慮して設定することができる。
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、群冷却余裕度に関するアラーム頻度に対応して、冷房出力設定変更に際してその変化速度(ΔQs/Δt、ΔTrs/Δt)を調整する形態に関する。
図6(a)は、変化速度遅延化なし条件で、時刻t1において風量設定をQ0→Q1に変更した場合の、風量及び二方弁開度の設定値までの到達時間を比較した図である。両者の間に大きな時間差が生じるため、室温制御に支障をきたすことが容易に予測できる。
また、図6(b)は変化速度を遅延化した場合の同上比較図である。このように、風量設定を段階的にすることにより、両者の設定値到達時間を同調させることができる。
加算後のアラーム累計が閾値(Na*)以上に至っっていない場合には(S405においてN)、設定変更速度は変化させない(S408)。
上限値(Th)に至っていない場合には(S406においてN)、設定変更速度を1段階遅延化させる(S127)。これにより、変更後の設定室温(又は設定風量)に到達するまでの時間が遅くなり、二方弁の開閉速度との差異を縮小化させることができる。
S406においてY、すなわち室温(Tr)が上限値(Th)に至っている場合には、非常時として風量を急速に上げる必要があるため、設定変更速度は変化させない(S408)。
2・・・・熱源機冷水系統
2a・・・熱源機
2b・・・一次ポンプ
3・・・・空調機系統
3d・・・流量制御弁
5・・・・空調機(AHU)
5b・・・送風ファン
6・・・・二方弁
7・・・・空調対象室
8・・・・二次ポンプ
9・・・・制御部
Rc・・・群冷却余裕度臨界値
Rg・・・群冷却余裕度
Ri・・・空調機冷却余裕度
S1〜S4・・・・温度センサ
Claims (7)
- 一次側回路に配設した熱源機で製造した冷水を、往水ヘッダー及び還水ヘッダーを介して、二次側回路に配設した二次ポンプにより複数の空調機に循環供給し、
各空調機は、冷水導入量を制御可能とする流量制御弁と、導入した冷水と戻り空気との熱交換により冷房対象空間に冷風を供給する送風ファンと、を備え、て成る水冷式空調システムにおいて、
(a1)各空調機の定格冷却能力に対するその時点における冷却余裕度(Ri)に基づいて、複数の空調機により構成される空調機群の群冷却余裕度(Rg)を演算するステップと、
(a2)群冷却余裕度(Rg)が所定の下限閾値(Rc)以下に至ったときは、非常時運転モードとして、二次ポンプ又は/及び熱源機の出力アップにより冷熱供給量を増加させ、かつ、アラーム発報するステップと、
(a3)但し、いずれかの空調機について、所定値以上の冷房出力設定変更があったときは、所定時間(τc)経過するまでは、(a1)に関らず当該空調機を除外して群冷却余裕度(Rg)を演算するステップと、
を含むことを特徴とする水冷式空調システムの運転制御方法。 - 前記群冷却余裕度(Rg)が、各空調機の前記冷却余裕度(Ri)の平均値
(ΣRi/n、n:空調機群に属する空調機台数)であることを特徴とする請求項1に記載の水冷式空調システムの運転制御方法。 - 前記冷却余裕度(Ri)が、
前記流量制御弁の全開開度(θmax)と、当該時点における開度(θ(t))と、により求めた開度余裕率[(Ri=1−(θ(t)/θmax)]、
前記送風ファンの最大周波数(fmax)と、当該時点における周波数(f(t))と、により求めた周波数余裕率[(Ri=1−(f(t)/fmax)]、又は、
空調機の吹出温度計測値(Tb)と吹出温度設定値(Tbs)との乖離度(ΔTb=Tb−Tbs)について、所定の上限乖離度(ΔTb*)と、前記冷房出力設定変更のあった当該空調機の当該時点における乖離度(ΔTb(t))と、により求めた乖離度余裕率[(Ri=1−(ΔTb(t)/ΔTb*)]、
のいずれか、又は、これらの組み合わせであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水冷式空調システムの運転制御方法。 - 前記冷房出力設定変更が、室温設定(Trs)変更、又は、送風ファン設定風量(Qs)変更のいずれか一方、又は、両方であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水冷式空調システムの運転制御方法。
- 請求項3又は4において、所定値以上の冷房出力設定変更があったときに、
前記流量制御弁の当該時点における開度比(Φi(t)=θ(t)/θmax)が、上限開度比(Φi*)以上、
前記乖離度(ΔTb)が上限乖離度(ΔTb*)以上、又は、
前記冷房対象空間温度(Tr)が上限空間温度(ΔTr*)以上、
のいずれかに該当する場合には、前記(a3)のステップを実行しないことを特徴とする水冷式空調システムの運転制御方法。 - 前記(a3)において、
「(a1)に関らず当該空調機を除外して群冷却余裕度(Rg)を演算する」に替えて、
「当該空調機については、設定変更率に対応する緩和係数(k)を乗じた冷却余裕度(Ri’=k*Ri)として、群冷却余裕度(Rg)を演算する」
であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水冷式空調システムの運転制御方法。 - 前記アラーム発報の有無に応じて、発報回数累計を加算又は減算するステップと、
回数累計が所定の上限閾値(Na*)以上の場合には、室温設定(Trs)変更速度(ΔTrs/Δt)、又は、送風ファン設定風量(Qs)変更速度(ΔQs/Δt)を1段階遅延化させるステップと、
その後、群冷却余裕度(Rg)が所定の下限閾値(Rc)を下回ったときは、室温設定変更速度又は送風ファン風量変更速度を1段階迅速化させるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の水冷式空調システムの運転制御方法。
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