JP6339105B2 - 石油ニードルコークス及びその製造方法 - Google Patents

石油ニードルコークス及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、石油コークス及びその製造方法に関する。
ニードルコークスは、一般的には石油系重質油やコールタール等の重質油を原料として製造され、電気製鋼用黒鉛電極の骨材として使用される。黒鉛電極の製造工程では、まず、所定の粒度のニードルコークスを、所定の割合でバインダーピッチと混合した後、押し出し成型し、焼成し、黒鉛化を行う。
黒鉛化は、約3000℃で熱処理する工程であり、直接通電方式の炉(LWG炉)を用いる方法が一般的である。この方法は、昇温速度が速いため、コークス中の硫黄分や窒素分等の不純物に由来するガス発生速度が速くなり、パッフィング(Puffing)と呼ばれる不可逆膨張を起こす。パッフィングの発生は、電極密度の低下に繋がるばかりか、場合によっては電極に割れが生じる。
また、黒鉛電極は高温雰囲気等の過酷な条件で使用されるため、熱膨張係数(CTE)が低いことが望まれる。つまり、CTEが小さいものほど電気製鋼時の電極消耗は小さくなり、電気製鋼のコストを低減することができる。黒鉛電極のCTEを低下させるためには、ニードルコークスのCTEを低下させる必要がある。
これまでに、ニードルコークスの製造時にパッフィング及びCTEを低い値で制御する様々な方法が提案されている。特許文献1には、残油流動接触分解装置(RFCC)のボトム油と減圧残渣油を混合し、ディレードコーキングすることが記載されている。特許文献2には、重質油を全圧16MPa以上の条件で水素化脱硫して得られる第1の重質油と、残油流動接触分解装置(RFCC)由来の第2の重質油を混合し、ディレードコーキングすることが記載されている。特許文献3には、減圧蒸留残渣油として得られる第1の重質油と、残油流動接触分解装置(RFCC)由来の第2の重質油を混合し、ディレードコーキングすることが記載されている。
特開2012−12488号公報 特開2008−156376号公報 特開2008−150399号公報
ニードルコークスは、重質油を高温処理することによって熱分解及び重縮合反応が起きてメソフェーズと呼ばれる液晶球体が生成し、これらが合体してバルクメソフェーズと呼ばれる大きな液晶が中間生成物として生成する過程を経て製造される。一般的に、低いCTEを有し、かつ、低パッフィングのニードルコークスを製造するためには、流動接触分解装置のボトム油、低硫黄原油を減圧蒸留した残渣油、及び高硫黄分の重質油を高度な水添脱硫処理を行った重質油のうちのいずれか、或いはそれらの混合物が用いられている。
しかし、流動接触分解装置のボトム油(流動接触分解残油)のみを用いてニードルコ−クスを製造した場合、良好なバルクメソフェ−ズは生成するが、炭化、固化時に適度なガス発生が得られないため、低いCTEを得ることはできない。一方、低硫黄原油を減圧蒸留した残渣油、又は高硫黄分の重質油を高度な水添脱硫処理を行った重質油(以下、脱硫残渣油と記す。)を使用した場合、良好な炭化、固化時のガス発生は得られるが、良好なバルクメソフェ−ズを形成できないため、低いCTEの発現には至らない。
また、流動接触分解残油と脱硫残渣油を混合する場合においては、流動接触分解残油及び脱硫残渣油は、共に硫黄分及び窒素分が少ないものを使用しなければ、低いCTEを達成できても、低パッフィングを達成することはできない。一方、脱硫残渣油は、硫黄分が2質量%以上の重質油を水素化脱硫して得られるため、コーキング後の硫黄分は流動接触分解(FCC)のボトム油より高い。
近年、石油産業においては石化原料が多く要求され、ガソリンではなくプロピレンをはじめとする石油化学原料を可能な限り得ることが求められており、流動接触分解装置においては高分解運転が求められている。そのため、得られた流動接触分解残油は、高分解流動接触分解残油として硫黄分、窒素分が高くなる。この場合、低パッフィングのニードルコークスを得られない場合がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、熱膨張係数(CTE)が十分に小さく、かつ、パッフィングが十分に抑制された石油コークス、及びその石油コークスを安定的に製造することができる石油コークスの製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明においては、終留点が380℃以下である軽質油と、初留点が200℃以上であり、アロマ成分が50質量%以上であり、硫黄分が0.5質量%以下で窒素分が0.2質量%以下である重質油とを少なくとも含む原料油をコーキングする工程を含む石油コークスの製造方法を提供する。
また、本発明においては、上記石油コークスの製造方法によって得られる石油コークスを提供する。
本発明によれば、熱膨張係数が十分に小さく、かつ、パッフィングが十分に抑制された石油コークスを安定的に製造することができる。
本発明者らは、残渣油は硫黄分が高く、一方でコーキングした際のコークス収率が低く、コークス中に硫黄分が高濃度で濃縮されることから、パッフィングが上昇することに着目した。そこで、本発明者らは、鋭意検討を行い、コーキングしない軽質油を重質油のコーキング反応に介在させることによって、残渣油由来のガス発生を軽質油により発現させ、硫黄分を低減させることを見出した。重質油単独で良好なバルクメソフェーズの形成を行い、固化時における適度なガス発生の役割は、軽質油由来のガスが担っている。これにより、CTEが十分に小さく、かつ、パッフィングが十分に抑制された石油コークスを得ることができる。以下、本発明で用いられる重質油及び軽質油について説明する。
本発明で用いられる重質油の初留点は、200℃以上であり、好ましくは250℃以上である。好ましい上限値は、300℃である。初留点が200℃未満である場合には、コークスの収率が低下する場合がある。初留点は、JIS K 2254−6:1998に記載された方法に基づき測定される。
本発明で用いられる重質油のアロマ成分は、50質量%以上であり、好ましくは70質量%以上である。好ましい上限値は、90質量%である。このような範囲であれば、良好なバルクメソフェーズを形成し、コーキング反応の進行を促進させるからである。
本発明で用いられる重質油の硫黄分は、0.5質量%以下であり、好ましくは0.4質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以下である。好ましい下限値は、0.1質量%である。硫黄分が0.5質量%を超えると、石油コークスのパッフィングを十分に抑えることができないからである。硫黄分は、JIS M 8813−附属2:2006に記載された方法に基づき測定される。
本発明で用いられる重質油の窒素分は、0.2質量%以下であり、好ましくは0.15質量%以下であり、より好ましくは0.10質量%以下である。好ましい下限値は、0.01質量%である。窒素分が0.2質量%を超えると、石油コークスのパッフィングを十分に抑えることができないからである。窒素分は、JIS M 8813−附属4:2006に記載された方法に基づき測定される。
また、本発明において、重質油は2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられる重質油としては、例えば流動接触分解により得ることができ、初留点、アロマ成分、硫黄分及び窒素分が上記した条件を満たす重質油であれば特に限定されるものではなく、好ましくは15℃における密度が0.8g/cm以上である炭化水素油である。なお、密度は、JIS K 2249−1:2011に記載された方法に基づき測定された値である。このような重質油の原料油としては、常圧蒸留残油、減圧蒸留残油、シェールオイル、タールサンドビチューメン、オリノコタール、石炭液化油、及びこれらを水素化精製した重質油等が挙げられる。また、このような重質油の原料油は、上記以外に直留軽油、減圧軽油、脱硫軽油、脱硫減圧軽油等の比較的軽質な油を含有しても良く、好ましくは減圧軽油である。減圧軽油は、より好ましくは、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留し、得られた減圧軽油を直接脱硫して得られる脱硫減圧軽油(好ましくは、硫黄分500質量ppm以下、15℃における密度0.8/cm以上)である。
常圧蒸留残油は、原油を常圧蒸留装置にかけて、例えば、常圧下、加熱して、含まれる留分の沸点により、ガス・LPGやガソリン留分、灯油留分、軽質油留分、常圧残渣油に分けられる際に得られる留分の一つで、最も沸点の高い留分である。加熱温度は、原油の産地等により変動し、これらの留分に分留できるものであれば限定されないが、例えば原油を320℃に加熱する。
減圧蒸留残油(VR)は、原油を常圧蒸留装置にかけて、ガス・軽質油・常圧残渣油を得た後、この常圧残渣油を、例えば、10〜30Torrの減圧下、加熱炉出口温度320〜360℃の範囲で変化させて得られる減圧蒸留装置のボトム油である。
流動接触分解の条件は、初留点、アロマ成分、硫黄分及び窒素分が上記した条件を満たす重質油を得ることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、反応温度が480〜560℃であり、全圧が1〜3kg/cmGであり、触媒と油の比(触媒/油)が1〜20であり、接触時間が1〜10秒である。
流動接触分解に用いられる触媒としては、例えばゼオライト触媒、シリカアルミナ触媒、又はこれらの触媒に白金等の貴金属を担持したもの等が挙げられる。
本発明において使用される軽質油は、好ましくは芳香族分の高い軽油である。このような軽油としてはコーカー軽油等が代表的である。このような軽油は芳香族性が高いため、重質油との相溶性に優れるからである。相溶性が向上すると、軽質油が重質油に均一に分散することによって、均一にガス発生が起こり、コークスの針状性が発達しやすくなる。この結果、コークスのCTEは低下する。
また、かかる軽質油を得るために用いるプロセスは特に限定されるものではない。例えば、ディレードコーキングプロセス、ビスブレーキングプロセス、ユリカプロセス、HSCプロセス、流動接触分解プロセス等が挙げられる。
運転条件は特に限定されるものではないが、上記の重質油を原料としてコーカー熱分解装置を用い、好ましくは反応圧力を0.8MPa、分解温度を400〜600℃で処理する。
本発明で用いられる軽質油の終留点は、380℃以下であり、好ましくは350℃以下である。好ましい下限値は、310℃である。終留点が380℃を超えると、コークス化する留分が増加し、コークスのCTEは高くなる。終留点は、JIS K 2254−4:1998に記載された方法に基づき測定される。
本発明で用いられる軽質油のアスファルテン成分は、好ましくは1質量%未満であり、より好ましくは0質量%であり、また終留点が380℃以下であるため実質上コーキングする成分をほとんど含まない。コーキングする成分を多く含むと、コークスのCTE及びパッフィングに悪影響を与え、それらを十分に抑えることができない。
本発明で用いられる軽質油のアロマ成分は、重質油との相溶性の観点から、好ましくは40容量%以上であり、より好ましくは50容量%以上である。好ましい上限値は、70容量%である。なお、ここでいうアロマ成分とは、社団法人石油学会により発行されている石油学会法JPI−5S−49−97「炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に準拠され測定されるコーカー軽油全量基準の全芳香族含有量の容量百分率(容量%)をいう。
本発明で用いられる軽質油においては、2環以上の芳香族を有するアロマ成分が、好ましくは20容量%以上、さらに好ましくは45容量%以上存在する。2環を含む多環芳香族を有することによって、重質油との相溶性に優れるからである。
また、本発明において、軽質油は2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられる軽質油の原料油としては、上記のプロセスにより得られる終留点が上記した条件を満たす軽質油を得ることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、好ましくは15℃における密度が0.8g/cm以上である。
軽質油を得るための流動接触分解は、一般的に上記した重質油を得るための流動接触分解と同一の条件下で行われる。
また、軽質油を得るためのディレードコーキングプロセスにおける温度は、好ましくは400〜600℃であり、圧力は、好ましくは300〜800kPaである。このような温度であれば、コーキングが進行する温度(400℃以上)で、かつマイルドに反応を進行させることができる。圧力は高い方がコークス収率増加となるため好ましいが、プロセスにより異なる。
上記した重質油のアロマ成分については、TLC−FID法により測定したものである。TLC−FID法は、薄層クロマトグラフィー(TLC)により試料を飽和成分、アロマ成分、レジン成分及びアスファルテン成分に4分割し、その後、水素炎イオン化検出器(Flame Ionization Detector:FID)にて各成分を検出し、各成分量の全成分量に対する百分率をもって組成成分値としたものである。
まず、試料0.2g±0.01gをトルエン10mlに溶解して、試料溶液を調整する。予め空焼きしたシリカゲル棒状薄層(クロマロッド)の下端(ロッドホルダーの0.5cmの位置)にマイクロシリンジを用いて1μlスポットし、ドライヤー等により乾燥させる。次に、このマイクロロッド10本を1セットとして、展開溶媒にて試料の展開を行う。展開溶媒としては、第1展開槽にヘキサン、第2展開槽にヘキサン/トルエン(体積比20:80)、第3展開槽にジクロロメタン/メタノール(体積比95:5)を使用する。飽和成分については、ヘキサンを溶媒とする第1展開槽にて溶出して展開する。アロマ成分については、第1展開後に、ヘキサン/トルエンを溶媒とする第2展開槽にて溶出して展開する。展開後のクロマトロッドを測定器(例えば、ダイアヤトロン社(現三菱化学ヤトロン社)製の「イアトロスキャンMK−5」(商品名))にセットし、各成分量を測定する。各成分量を合計すると全成分量が得られる。
上記した軽質油のアロマ成分及びアスファルテン成分については、重質油のアロマ成分と同様の方法により測定したものである。
次に、本発明に係る石油コークスの製造方法について説明する。
少なくとも上記した軽質油と重質油を混合して原料油を作製し、原料油をコーキングする。これにより、CTEが十分に小さく、かつ、パッフィングが十分に抑制された石油コークスを安定的に製造することができる。
原料油中における重質油と軽質油の混合比は、原料油中の軽質油が好ましくは5〜30質量%となるように配合する。5質量%未満である場合には、コークスのCTE、Puffingを低下させる効果があまり得られない。また、30質量%を超える場合には、原料油のコークス収率が大きく低下し、コークスの生産量が低下する場合がある。コークスのCTEを低下させる観点から、より好ましくは、原料油中の軽質油は10〜30質量%である。
原料油をコーキングする方法としては、ディレードコーキング法であってもよい。具体的には、コーキング圧力が制御された条件の下、原料油をディレードコーカーによって熱分解、重縮合して生コークスを作製し、生コークスをロータリーキルン、シャフト炉等でか焼してニードルコークスを得る方法が好ましい。ディレードコーカーの好ましい運転条件としては、圧力が300〜800kPa、温度が400〜600℃である。
また、か焼温度は、好ましくは1000〜1500℃である。生コークスは、多量の水分と揮発分を含んでいるため、1000℃以上の高温でか焼することによってこれらの成分をほとんど含まないか焼コークスが得られる。また、1500℃を超えると、設備上の温度制約により実施が容易でない。
このようにして得られた石油コークスの硫黄分は、好ましくは0.3質量%以下であり、熱膨張係数は、好ましくは1.5×10−6/℃以下、より好ましくは1.3×10−6/℃以下である。好ましい硫黄分の下限値は、0.1質量%である。好ましい熱膨張係数の下限値は、1.0×10−6/℃である。
また、得られた石油コークスの硫黄分、窒素分の含有量が低いため、パッフィングが0.2%以下の石油コークスが得られる。この石油コークスを用いて良好な黒鉛電極製品を製造するためには、石油コークスの熱膨張係数は好ましくは1.5×10−6/℃以下、より好ましくは1.3×10−6/℃以下であり、かつ、パッフィングは好ましくは0.2%以下である。
本発明の石油コークスを用いて黒鉛電極製品を製造する方法としては、本発明の石油コークスにバインダーピッチを適当量添加して加熱捏合した後、押し出し成型して生電極を製造し、この生電極を焼成(炭化)し、黒鉛化した後、加工する方法が挙げられる。
炭化および黒鉛化処理の方法は、特に限定されないが、通常は、窒素、アルゴン又はヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で最高到達温度900〜1500℃、最高到達温度の保持時間0〜10時間で焼成(炭化)され、次いで同様な不活性ガス雰囲気下、最高到達温度2500〜3200℃、最高到達温度保持時間0〜100時間の黒鉛化処理する方法を挙げることができる。炭化の後、一旦冷却して再度黒鉛化のために上記熱処理を施してもよい。
以上のように、本発明によれば、ガソリン需要低減に対応した高分解流動接触分解残油を用いた場合でも、CTEが十分に小さく、かつ、パッフィングが十分に抑制された石油コークスを安定的に得ることができる。また、従来の流動接触分解残油を用いた場合は、CTEが十分に小さく、かつ、パッフィングが更に抑制された石油コークスを安定的に得ることができる。
以下、実施例等を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
脱硫減圧残油(硫黄分500質量ppm、15℃における密度0.88g/cm)を流動接触分解し、流動接触分解残油(以下、「流動接触分解残油(A)」と記す。)を得た。得られた流動接触分解残油(A)の初留点は200℃、硫黄分は0.2質量%、窒素分は0.1質量%、アロマ成分は65質量%であった。
次に、脱硫減圧残油(硫黄分500質量ppm、15℃における密度0.88g/cm)を流動接触分解し、ライトサイクル油(以下、「流動接触分解軽油(A)」と記す。)を得た。得られた流動接触分解軽油(A)の初留点は180℃、終留点は350℃、アスファルテン成分は0質量%、飽和分は47容量%、アロマ成分は53容量%であった。
また、硫黄分が3.5質量%の常圧蒸留残油を、Ni−Mo触媒の存在下、水素化分解率が30%以下となるように水素化脱硫し、水素化脱硫油(以下、「水素化脱硫油(A)」と記す。)を得た。脱硫減圧残油(硫黄分500質量ppm、15℃における密度0.88g/cm)と、水素化脱硫油(A)(硫黄分が0.3質量%、窒素分が0.1質量%、アスファルテン成分が2質量%、飽和分が70質量%、15℃における密度が0.92g/cm)とを質量比1:2で混合した原料油を流動接触分解し、流動接触分解残油(以下、「流動接触分解残油(B)」と記す。)を得た。得られた流動接触分解残油(B)の初留点は220℃、硫黄分は0.5質量%、窒素分は0.1質量%、アロマ成分は79質量%であった。
次に、流動接触分解残油(A)、流動接触分解残油(B)、流動接触分解軽油(A)それぞれを質量比5:2:3で混合した原料油を得た。この原料油を試験管に入れ、常圧、500℃で3時間熱処理を行い、コークス化した。次に、生成したコークスを1000℃で5時間焼成してか焼コークスを得た。
また、か焼コークスに石炭系のバインダーピッチを30質量%加え、押し出し成形器で円柱状のピースを作製した。このピースを、マッフル加熱炉を用いて1000℃で1時間焼成し、焼成後の熱膨張係数を測定した。更に、ピースを室温から2800℃まで熱処理し、この過程での膨張の度合いをパッフィング(Puffing)として測定した。
熱膨張係数については、JIS Z−8801にて規定される1.4mm以下に粉砕された複数種のサイズのか焼コークスを所定の割合で混合し、バインダーピッチを所定の割合で加えて捏合し、押し出し成型器にて成型した。1,000℃にて焼成後、測定用ピースを作製した。ピースの長さ方向への伸び(200℃から300℃まで)を測定し、熱膨張係数を測定した。
パッフィングについては、425μm以下に粉砕したか焼コークスとバインダーピッチを所定の割合で混合し、円柱に成型した。1,000℃で焼成後、測定用ピースを作製した。ピースの長さ方向への伸び(室温から2,800℃まで)を測定し、線膨張率を測定した。
(実施例2)
原料油として、ディレードコーキングプロセスで得られた分解軽油(硫黄分0.2質量%、15℃における密度0.92g/cm、飽和分36容量%、アロマ成分64容量%、アスファルテン成分0質量%、初留点220℃、終留点340℃(以下、「コーカー分解軽油(A)」と記す。))、流動接触分解残油(A)、及び流動接触分解残油(B)を質量比3:5:2で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例3)
原料油として、流動接触分解残油(A)、流動接触分解残油(B)、水素化脱硫油(A)、流動接触分解軽油(A)それぞれを質量比5:2:1.5:1.5で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例4)
原料油として、流動接触分解残油(A)、流動接触分解残油(B)、水素化脱硫油(A)、コーカー分解軽油(A)それぞれを質量比5:2:1.5:1.5で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例5)
原料油として、軽油脱硫装置により得られた脱硫軽油(15℃における密度0.90g/cm、アロマ成分25容量%、アスファルテン成分0質量%、初留点180℃、終留点350℃(以下、「脱硫軽油(A)」と記す。))、流動接触分解残油(A)、及び流動接触分解残油(B)を質量比3:5:2で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例6)
原料油として、流動接触分解残油(A)、流動接触分解残油(B)、及びコーカー分解軽油(A)を質量比7.5:2:0.5で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例1)
原料油として、流動接触分解残油(A)、流動接触分解残油(B)、水素化脱硫油(A)それぞれを質量比5.5:2:2.5で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例2)
原料油として、水素化脱硫油(A)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例3)
原料油として、流動接触分解残油(A)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例4)
原料油として、流動接触分解残油(B)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
実施例1〜6及び比較例1〜4で得られたか焼コークスの硫黄分、窒素分を表1に示す。また、実施例1〜6及び比較例1〜4で得られたピースの熱膨張係数及びパッフィングの測定結果を表1に示す。また、重質油である流動接触分解残油(A)及び流動接触分解残油(B)の性状を表2に、水素化脱硫油(A)、流動接触分解軽油(A)、コーカー分解軽油(A)及び脱硫軽油(A)の性状を表3にそれぞれ示す。
Figure 0006339105
Figure 0006339105
Figure 0006339105
表1より、実施例1〜6で得られたか焼コークスの硫黄分は0.3質量%以下であった。また、実施例1〜6で得られたピースは、熱膨張係数が1.5×10−6/℃以下であり、パッフィングが0.2%以下であった。よって、本発明に係る石油コークスの製造方法は、熱膨張係数を十分に小さくすることができ、かつ、パッフィングを十分に抑制することができることが示された。

Claims (5)

  1. 終留点が380℃以下であり、アスファルテン成分が0質量%である軽質油と、初留点が200℃以上であり、アロマ成分が50質量%以上であり、硫黄分が0.5質量%以下で窒素分が0.2質量%以下である重質油とを少なくとも含む原料油をコーキングする工程を含む石油ニードルコークスの製造方法であって、
    前記原料油をコーキングする工程は、前記原料油中における前記重質油と前記軽質油の混合比を、前記原料油中の前記軽質油が5〜30質量%となるように配合し、コーキング圧力が300〜800kPaかつコーキング温度が400〜600℃に制御された条件の下、前記原料油をディレードコーカーによって熱分解及び重縮合して生コークスを作製し、該生コークスをロータリーキルン又はシャフト炉により、1000〜1500℃の温度で、か焼してニードルコークスを得るものとし、
    コーキングしない前記軽質油を前記重質油のコーキング反応に介在させることによって、前記重質油由来のガス発生を軽質油により発現させることを特徴とする石油ニードルコークスの製造方法。
  2. 前記原料油中の前記軽質油が、10〜30質量%である請求項1に記載の石油ニードルコークスの製造方法。
  3. 前記軽質油が、流動接触分解又はディレードコーキング由来であり、前記重質油が、流動接触分解により得られる請求項1又は2に記載の石油ニードルコークスの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の石油コークスの製造方法によって得られる石油ニードルコークス。
  5. 硫黄分が0.3質量%以下であり、熱膨張係数が1.5×10−6/℃以下である請求項4に記載の石油ニードルコークス。
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