JP6336101B2 - 除湿装置 - Google Patents

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Description

本発明は、除湿装置に関するものである。
従来、冷媒の流れを切り換える機構を持った空調装置として、対象空間の冷房、暖房を実施する空調機などが挙げられる。空調機は室内機と室外機で構成され、外気低温時に暖房運転を行うと室外機の熱交換器に着霜する。着霜が進行すると風路が閉塞して熱交換ができなくなり、暖房能力が低下する。このため、これまでは着霜を遅延するために熱交換器のフィンに親水性または撥水性を向上させる表面加工を行い、水の排水性を高めることで着霜を遅延させたり、除霜手段を設けたりなど、様々な検討が成されてきた。
また、着霜を遅延させるという視点ではなく、着霜時の性能を向上させることを目的として、着霜時に小さな水滴のまま凝固させることが可能な表面加工をフィン表面に施すようにした技術もある(例えば、特許文献1参照)。
冷凍サイクルを利用した除湿装置として、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が順に接続された冷媒回路を有し、空気を外部から取り込んで蒸発器および凝縮器を経由して、再び外部に送り出す除湿装置がある。この除湿装置は、蒸発器における蒸発温度を室内空気の露点温度よりも低く設定し、空気を蒸発器に通すことで空気中の水分を凝縮させて除湿した後、温度が下がり過ぎた空気を凝縮器で温める再熱式除湿を行っている。
この種の再熱式の除湿装置において、冷媒の流れ方向を切り換える機構を持った除湿装置では、蒸発器に着霜した場合、圧縮機から吐出される冷媒の流れ方向を切り換え、圧縮機から吐出された冷媒を蒸発器に供給して除霜する逆サイクル方式で除霜している。
また、その他の再熱式の除湿装置として、「圧縮機、流路切換装置、第1熱交換器、減圧装置及び第2熱交換器を順次、冷媒配管で接続した冷媒回路と、前記第1熱交換器、水分の吸脱着が可能なデシカント材及び前記第2熱交換器を直列に配置した風路と、前記風路内に設けられ、除湿対象空間内の空気を前記風路内に流す送風装置とを備え、前記第1熱交換器が凝縮器又は放熱器として動作すると共に、前記第2熱交換器が蒸発器として動作し、前記デシカント材に保持されている水分を脱着する第1運転モードと、第1熱交換器が蒸発器として動作すると共に前記第2熱交換器が凝縮器又は放熱器として動作し、前記デシカント材が前記風路を通過する空気から水分を吸着する第2運転モードとを、前記流路切換装置の流路切換により交互に切り換える除湿運転」を行うものがある(例えば、特許文献2参照)。
特許5397522号公報(請求項1) 特許5452565号公報(請求項1)
上述したように、従来は、着霜を遅延するためにフィンに対して親水性または撥水性を向上させる表面加工を行ったり、着霜時の性能向上を目的とした表面加工を行ったりしている。この種の表面加工を逆サイクル方式で除霜を行う除湿装置や、特許文献2の除湿装置など、冷媒回路における冷媒の流れ方向を交互に切り換えつつ除湿を行う除湿装置に適用した場合、除湿装置の除湿量の低下に繋がるという問題があった。すなわち、除湿運転中にフィン表面で結露した結露水が、着霜遅延を目的とした表面処理の影響でフィン表面から離脱して落下せず、フィンの下端部において表面張力によってフィンとフィンとの間に滞留する。このように結露水がフィン表面に滞留した状態で冷媒の流れ方向が切り換えられると、結露水が凝縮熱により加熱されて再び蒸発し、結果として除湿量が低下するという問題があった。
このような熱交換器のフィンの下端部における結露水の滞留を低減するには、フィン間距離を、表面張力によって結露同士が結合する距離以上とすればよいが、熱交換器の大型化に繋がる問題がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、冷媒の流れ方向を切り換える切換装置を備えた除湿装置であって、フィン間距離を拡大することなくフィンの下端部における結露水の滞留を抑制して結露水の再蒸発量を低減し、装置サイズのコンパクト化と除湿量の増加が可能な除湿装置を提供することを目的とする。
本発明に係る除湿装置は、圧縮機、流路切換装置、第1の熱交換器、絞り手段および第2の熱交換器を備え、冷媒が循環する冷媒回路と、第1の熱交換器および第2の熱交換器の順に空気を通過させるファンとを備え、第1の熱交換器および第2の熱交換器の少なくとも一方は、複数のフィンと、複数のフィンに接触して設けられ、内部に冷媒が流れる伝熱管とを有しており、複数のフィンのそれぞれの下端部から、最下部に配置された伝熱管までの高さの表面は滑水処理が施され、最下部に配置された伝熱管よりも上部の表面には親水処理が施されているものである。
本発明によれば、フィン間距離を拡大することなくフィン表面における結露水の滞留を抑制することができ、装置サイズのコンパクト化と除湿量の増加を達成できる。
本発明の実施の形態1に係る除湿装置の構成図である。 本発明の実施の形態1に係る除湿装置の冷媒配管接続の変形例を示す図である。 従来の熱交換器の表面処理(親水処理)の説明図である。 従来の熱交換器の表面処理(撥水処理)の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る除湿装置の第1の熱交換器および第2の熱交換器のフィンの表面処理の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る除湿装置の計測制御システム構成図である。 本発明の実施の形態1に係る除湿装置の第1の運転モードでの冷媒循環経路を示した図である。 本発明の実施の形態1に係る除湿装置の第2の運転モードでの冷媒循環経路を示した図である。 本発明の実施の形態1に係る除湿装置の第1の運転モードでの温湿度推移を示した湿り空気線図である。 本発明の実施の形態1に係る除湿装置の第2の運転モードでの温湿度推移を示した湿り空気線図である。 本発明の実施の形態1に係る除湿装置のモード変更制御を示した図である。 本発明の実施の形態1に係る除湿装置の入口と出口との絶対湿度差と風量とから計算した除湿量の時間変動を示した図である。 従来の除湿装置の構成図である。 図12の従来の除湿装置における入口と出口との絶対湿度差と風量とから計算した除湿量の時間変動を示した図である。 本発明の実施の形態2に係る除湿装置の構成図である。 図14の水分吸着手段に用いられる吸着剤が空気の相対湿度に対して吸着できる水分量(平衡吸着量)を示したグラフである。 本発明の実施の形態2に係る除湿装置の第1の運転モードでの冷媒循環経路を示した図である。 本発明の実施の形態2に係る除湿装置の第2の運転モードでの冷媒循環経路を示した図である。 本発明の実施の形態2に係る除湿装置の第1の運転モードにおける除湿装置風路内の空気の温湿度変動を示す湿り空気線図である。 本発明の実施の形態2に係る除湿装置の第2の運転モードにおける除湿装置風路内の空気の温湿度変動を示す湿り空気線図である。 本発明の実施の形態2に係る除湿装置における、除湿装置の入口と出口との絶対湿度差と風量とから計算した除湿量の時間変動を示す図である。 本発明の実施の形態1、2に係る除湿装置のフィンに対する表面処理の変形例を示す図である。
実施の形態1.
[風路構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る除湿装置の構成図である。
除湿対象空気は第1の熱交換器11a、第2の熱交換器11b、第3の熱交換器11cを通過後、送風手段12によって除湿対象空間に放出される。ここで図1では送風手段12は風路の最下流に配置しているが、目標の風量が第1の熱交換器11a、第2の熱交換器11bおよび第3の熱交換器11cを通過すれば最上流に配置しても良く、配置位置を限定するものではない。なお、以下では、第1〜第3の熱交換器11a〜11cについて、特に第1〜第3を区別しない場合には、熱交換器11と総称することがある。
[風路内センサ配置]
風路内には、温湿度センサ1a〜1eが配置される。温湿度センサ1a〜1eは風路内の乾球温度、相対湿度、露点温度、絶対湿度、湿球温度のいずれかを検知する。温湿度センサ1aは除湿対象空気(入口空気)の温湿度を検知する。温湿度センサ1bは第1の熱交換器11aを通過後の温湿度を検知する。温湿度センサ1cは第2の熱交換器11bに流入する空気の温湿度を検知する。温湿度センサ1dは第2の熱交換器11bを通過後の温湿度を検知する。温湿度センサ1eは第3の熱交換器11cを通過後の温湿度を検知する。
また、風路内には風速センサ2が配置され、風路内の通過空気風量を検知する。風速センサ2の配置位置は風路通過風量が検知できればよく、配置を限定するものではない。
[冷媒回路構成]
次に図1を用いて、本発明の実施の形態1に関わる除湿装置の冷媒回路Aの構成と動作を説明する。冷媒回路Aは冷媒を圧縮する圧縮機13と、冷媒を凝縮させる凝縮器または冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する第1の熱交換器11aおよび第2の熱交換器11bと、凝縮器として機能する第3の熱交換器11cと、凝縮された冷媒を減圧する絞り手段14と、冷媒の流れ方向を切り換える流路切換装置である四方弁15とを備えている。
冷媒回路Aの運転モードは四方弁15の切り換えによって2種類ある。第1の運転モードは、後述の図6の実線に沿って冷媒が流れるモードである。すなわち、第1の運転モードでは、冷媒が圧縮機13、第3の熱交換器11c、四方弁15、第2の熱交換器11b、絞り手段14、第1の熱交換器11a、四方弁15の順に流れ、再び圧縮機13に流入する冷媒流路1001(図6参照)を形成する。
第2の運転モードは、後述の図7の実線に沿って冷媒が流れるモードである。すなわち、第2の運転モードでは、冷媒が圧縮機13、第3の熱交換器11c、四方弁15、第1の熱交換器11a、絞り手段14、第2の熱交換器11b、四方弁15の順に流れ、再び圧縮機13に流入する冷媒流路1002(図7参照)を形成する。
[機器構成]
(圧縮機13)
圧縮機13は、モータ(図示せず)によって駆動される容積式圧縮機である。なお、本発明は圧縮機13の台数を1台に限定するものではなく、2台以上の圧縮機が並列もしくは直列に接続されたものであってもよい。
(熱交換器11)
熱交換器11は、複数のフィンと内部に冷媒が流れる伝熱管とを備えたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成される。また、冷媒配管接続は、冷媒の流れを切り換えて加熱(凝縮器)、冷却(蒸発器)を切り換えることが可能で、加熱量を調整できれば、図1の接続構成に限られない。すなわち、図1に示したように第3の熱交換器11cを第1の熱交換器11aまたは第2の熱交換器11bに対して直列接続する構成に限られず、図1Aに示すように並列接続する構成としてもよい。図1Aの並列接続における冷媒の流れは、開閉弁14a、14bを適宜開閉して以下のようにすればよい。すなわち、後述の第1の運転モードにおいて、共に凝縮器として機能する第2の熱交換器11bおよび第3の熱交換器11cに圧縮機13からの冷媒が並列に流れるようにし、また、後述の第2の運転モードにおいて、共に凝縮器として機能する第1の熱交換器11aおよび第3の熱交換器11cに圧縮機13からの冷媒が並列に流れるようにすればよい。
(第1の熱交換器11aおよび第2の熱交換器11bのフィン)
ここで、第1の熱交換器11aおよび第2の熱交換器11bのそれぞれのフィンの表面処理とその作用とについて、従来の表面処理と比較しながら説明する。ここではまず、次の図2および図3を用いて従来の表面処理について説明し、続いて図4を用いて本実施の形態1の表面処理について説明する。なお、図2〜図4にはフィンのみを図示し、伝熱管の図示は省略している。
図2は、従来の熱交換器の表面処理(親水処理)の説明図である。図3は、従来の熱交換器の表面処理(撥水処理)の説明図である。
図2に示すように、従来の熱交換器にはフィン100の表面の液膜の厚みを低減することを目的としてフィン表面の親水性を高める処理が行われている。この結果、フィン表面における結露水による液膜の厚みは小さくなるが、フィン下端部には表面張力による結露水の滞留が発生し、フィン下端部から落下しない。よって、結露水をドレンとして回収できなかった。
また、図3に示すように、従来の熱交換器にはフィン100の表面の撥水性を高める表面処理が行われる場合もあった。このような撥水処理を行うと、フィン表面に球状の結露水が発生し、結露する条件下でも乾き面が発生する。しかし、球状の結露水はフィン下端部から滑落せずにフィン100上にとどまる。
以上に説明したように、フィン表面に結露水が滞留すると、風路圧損が増加するとともに、除霜時に再蒸発するため除湿量の低下を招いていた。
これに対し、本実施の形態1では第1の熱交換器11aおよび第2の熱交換器11bに以下の加工を施している。
図4は、本発明の実施の形態1に係る除湿装置の第1の熱交換器および第2の熱交換器のフィンの表面処理の説明図である。
第1の熱交換器11aおよび第2の熱交換器11bのそれぞれのフィン20の表面には、結露水の滑落性が向上する滑水処理を施してある。滑水処理は少なくともフィン下端部20aに施されており、その他のフィン表面には施されていても良いし、施されていなくてもよい。
滑水処理には複数の方法が存在する。例えば、フッ素樹脂による表面加工などを行うことで、フィン表面における結露水の転落角を低減して滑落性を向上させる方法がある。また、他に例えば、フィン表面に微細な溝を加工して排水性を向上させることで滑落性を向上させる方法もある。なお、滑水処理は、第1の熱交換器11aおよび第2の熱交換器11bの両方に行うことが望ましいが、少なくとも一方でもよい。
フィン下端部20aにはさらに、結露水がフィン下端部20aに滞留しにくくすることを目的として、小さな突起物(バリ)が残らない加工が施され、フィン下端部20aに突起物を有さない構成となっている(図示せず)。突起物が残らない加工としては、具体的には例えば、フィンを製作する時点で、フィン下端部20aに切削、切断加工のない成型方法を使用してフィンを製作するか、フィンを製作後にバリ等を除去する加工を施す方法がある。バリを除去する加工としては、やすりなどを使って機械的に除去する方法と、化学研磨、電解研磨などの方法とがある。本発明ではフィン下端部20aに結露水が滞留しない方法であれば、フィン20の加工方法、製作方法を限定するものではない。なお、フィン下端部20aにバリが残らないようにするのは、第1の熱交換器11aおよび第2の熱交換器11bの両方に行うことが望ましいが、少なくとも一方でもよい。
このように、フィン下端部20aに滑水処理を施すことで、フィン表面の結露が早期に滑落するため、フィン表面に残留する結露を少なくすることができる。
(送風手段12)
送風手段12は、除湿装置内の風路を通過する空気の流量を可変することが可能なファンであり、DCファンモータなどのモータによって駆動される遠心ファン、多翼ファン等である。
(絞り手段14)
絞り手段14は、冷媒を減圧させるものであり、冷媒回路A内を流れる冷媒の流量の調節等を行うことが可能なものである。絞り手段14は、ステッピングモータ(図示せず)により絞りの開度を調整することが可能な電子膨張弁または受圧部にダイアフラムを採用した機械式膨張弁またはキャピラリーチューブである。
(四方弁15)
四方弁15は、冷媒回路Aにおける冷媒の流れ方向を切り換えるものである。第1の運転モードで動作する際には、四方弁15は、冷媒が四方弁15に流入した後、第2の熱交換器11b、絞り手段14、第1の熱交換器11a、四方弁15の順に流れるように冷媒流路を切り換える。また、第2の運転モードで動作する際には、四方弁15は、冷媒が四方弁15に流入した後、第1の熱交換器11a、絞り手段14、第2の熱交換器11b、四方弁15の順に冷媒が流れるように冷媒流路を切り換える。四方弁15は冷媒回路Aにおける冷媒の流れ方向の切り換えが実施できればよく、他に例えば電磁弁と逆止弁の組み合わせで同様の効果が得られる構成としてもよく、構成を限定するものではない。
(冷媒)
除湿装置に用いられる冷媒は例えば、R410A、R407C、R404AなどのHFC冷媒、R22、R134aなどのHCFC冷媒、もしくは炭化水素、ヘリウムのような自然冷媒などがある。
[冷媒回路Aセンサ配置]
除湿装置の冷媒回路Aには、冷媒の温度を検知する複数の温度センサ3a〜3hが配置されている。温度センサ3aは圧縮機13の吐出側に配置され、圧縮機13から吐出された冷媒の温度を検知する。温度センサ3bは圧縮機13の吸入側に配置され、圧縮機13に吸入される冷媒の温度を検知する。温度センサ3cおよび温度センサ3dは第1の熱交換器11aに流入または流出する冷媒の温度を検知する。温度センサ3eおよび温度センサ3fは第2の熱交換器11bに流入または流出する冷媒の温度を検知する。温度センサ3gは第3の熱交換器11cに流入する冷媒の温度を検知する。温度センサ3hは第3の熱交換器11cから流出する冷媒の温度を検知する。
[制御構成]
図5は、本発明の実施の形態1に係る除湿装置の計測制御システム構成図である。
除湿装置は、制御回路4を有している。制御回路4は、例えばマイクロコンピュータで構成され、CPUと、各種データを記憶するRAMと、運転制御を行うためのプログラム等を記憶するROM(いずれも図示せず)とを備えており、ROM内のプログラムに従って除湿装置全体を制御する。制御回路4には、温湿度センサ1a〜1e、風速センサ2および温度センサ3a〜3hが接続されており、これらのセンサで得た温湿度と風速の情報とを取得し、圧縮機13、絞り手段14、送風手段12、四方弁15の動作制御を行う。また、制御回路4は運転時間を検知するカウンタ(図示せず)を内部に備えている。
[第1の運転モードの冷媒の流れ]
図6は、本発明の実施の形態1に係る除湿装置の第1の運転モードでの冷媒循環経路を示した図である。
圧縮機13から圧縮されて吐出された冷媒は第3の熱交換器11cへと流れる。この時、第3の熱交換器11cは凝縮器として機能し、冷媒は空気と熱交換する際に一部が凝縮液化する。第3の熱交換器11cを通過後の冷媒は、四方弁15を通過して第2の熱交換器11bへと流れる。この時、第2の熱交換器11bは凝縮器として機能し、冷媒は空気と熱交換する際に凝縮液化し、絞り手段14へと流れる。冷媒は絞り手段14で減圧された後、第1の熱交換器11aに流れる。この時、第1の熱交換器11aは蒸発器として機能し、冷媒は空気と熱交換して蒸発した後、四方弁15を通過して再び圧縮機13に吸入される。
[第2の運転モードの冷媒の流れ]
図7は、本発明の実施の形態1に係る除湿装置の第2の運転モードでの冷媒循環経路を示した図である。
圧縮機13から圧縮されて吐出された冷媒は第3の熱交換器11cへと流れる。この時、第3の熱交換器11cは凝縮器として機能し、冷媒は空気と熱交換する際に一部が凝縮液化する。第3の熱交換器11cを通過後の冷媒は、四方弁15を通過して第1の熱交換器11aへと流れる。この時、第1の熱交換器11aは凝縮器として機能し、冷媒は空気と熱交換する際に凝縮液化し、絞り手段14へと流れる。冷媒は絞り手段14で減圧された後、第2の熱交換器11bに流れる。この時、第2の熱交換器11bは蒸発器として機能し、冷媒は空気と熱交換して蒸発した後、四方弁15を通過して再び圧縮機13に吸入される。
[除湿装置の除湿動作]
次に、図8、図9を用いて除湿装置の各運転モードでの空気動作を説明する。
(第1の運転モードでの空気動作)
図8は、本発明の実施の形態1に係る除湿装置の第1の運転モードでの温湿度推移を示した湿り空気線図である。図8において空気状態を示す(1−1)〜(1−4)は、第1の運転モードにおける第1の熱交換器11aを通過前(1−1)、第1の熱交換器11aを通過後(1−2)、第2の熱交換器11bを通過後(1−3)、第3の熱交換器11cを通過後(1−4)を示す。
第1の運転モードは、入口空気を蒸発器(第1の熱交換器11a)で除湿した後、温度が下がり過ぎた空気を凝縮器(第2の熱交換器11b、第3の熱交換器11c)で温める再熱除湿モードである。以下、第1の運転モードを空気の状態とともに説明する。
第1の運転モードでは、吸込み口(図示せず)から風路内に流入した空気(1−1)が第1の熱交換器11aに送り込まれる。ここで、風路内に流入した空気は蒸発器として機能する第1の熱交換器11aによって冷却される。この冷却より空気が露点温度以下に冷却された場合、空気は水分が除湿された除湿空気(1−2)となり、第2の熱交換器11bに流入する。第2の熱交換器11bは凝縮器として機能しているため、第2の熱交換器11bに流入した空気は加熱され、空気温度が上昇する(1−3)。第2の熱交換器11bを通過後の空気は第3の熱交換器11cに流入する。第3の熱交換器11cは凝縮器として機能しているため、第3の熱交換器11cに流入した空気はさらに空気温度が上昇し(1−4)、吹き出し口(図示せず)から放出される。
(第2の運転モードでの空気動作)
図9は、本発明の実施の形態1に係る除湿装置の第2の運転モードでの温湿度推移を示した湿り空気線図である。図9において空気状態を示す(2−1)〜(2−4)は、第2の運転モードにおける第1の熱交換器11aを通過前(2−1)、第1の熱交換器11aを通過後(2−2)、第2の熱交換器11bを通過後(2−3)、第3の熱交換器11cを通過後(2−4)を示す。
第2の運転モードは、第1の運転モードにおいて蒸発器として機能する第1の熱交換器11aで着霜が発生した場合に行われるモードである。すなわち、第1の運転モードにおいて入口空気が低温で蒸発温度が0°以下となると、第1の熱交換器11aで着霜が生じる。このように第1の運転モードにおいて第1の熱交換器11aに着霜が生じた場合、四方弁15を切り換えて第2の運転モードを実施することで、第1の熱交換器11aを凝縮器として機能させて除霜を行う。また、第2の運転モードでは、第1の熱交換器11aの除霜に加えてさらに、第2の熱交換器11bが蒸発器として機能することで除湿も行う。すなわち、第2の運転モードは除霜+除湿を行うモードである。以下、第2の運転モードを空気の状態とともに説明する。
第2の運転モードでは、吸込み口(図示せず)から風路内に流入した空気(2−1)が第1の熱交換器11aに送り込まれる。ここで風路内に流入した空気は凝縮器として機能する第1の熱交換器11aによって加熱され、空気温度が上昇し(2−2)、第2の熱交換器11bに流入する。第2の熱交換器11bは蒸発器として機能するため、第2の熱交換器11bに流入した空気は冷却される。この冷却により空気が露点温度以下に冷却された場合、空気は水分が除湿された除湿空気(2−3)となり、第3の熱交換器11cに流入する。第3の熱交換器11cは凝縮器として機能しているため、第3の熱交換器11cに流入した空気は空気温度が上昇し(2−4)、吹き出し口(図示せず)から放出される。
[運転モード変更制御]
図10は、本発明の実施の形態1に係る除湿装置のモード変更制御を示した図である。
本実施の形態1の運転制御では第1の運転モードと第2の運転モードとを切り換えることで通常の「再熱除湿」と「除霜+除湿」とを交互に繰り返し実施している。このような運転モードの切り換えは、着霜が発生する空気条件下で適用される。なお、着霜が生じない空気条件下では、第1の運転モードが継続して行われることになる。
運転モードは、風路が着霜によって閉塞しているか否かによって切り換えられるものであり、運転モードの切り換えタイミングは、以下のようにして判定すればよい。すなわち、例えば、運転時間、入口空気温湿度、蒸発器となった第1の熱交換器11aおよび第2の熱交換器11bのいずれかの配管温度(着霜により風路閉塞した場合は熱交換器温度が低下する)に基づいて判定する。さらに、他の判定方法として、圧力変動(着霜により風路閉塞した場合は飽和圧力低下する)、風路圧力損失変動(着霜によって風路閉塞し、圧力損失が増加する場合)等に基づいて判定するようにしてもよい。この判定に用いる検知手段は、上記に限定するものではなく、風路が着霜によって閉塞しているか否かが分かる手段であればよい。
図11は、本発明の実施の形態1に係る除湿装置の入口と出口との絶対湿度差と風量とから計算した除湿量の時間変動を示した図である。本実施の形態1の除湿装置の除湿効果を明確に説明するため、比較例として次の図12および図13に示す従来の除湿装置と比較する。図12は、従来の除湿装置の構成図である。図13は、図12の従来の除湿装置における入口と出口との絶対湿度差と風量とから計算した除湿量の時間変動を示した図である。図11および図13において、横軸は時間、縦軸は除湿量である。
図12に示した従来の除湿装置は、フィンの表面に親水処理または撥水処理が施され、また図1の構成から第3の熱交換器11cが削除された構成に相当する。また、従来の除湿装置は、本実施の形態1の除湿装置と同様、送風手段120により第1の熱交換器110aおよび第2の熱交換器110bを空気が通過する。そして、従来の除湿装置は、四方弁150の切り換えにより、第1の熱交換器110aを蒸発器として機能させるとともに第2の熱交換器110bを凝縮器として機能させる第1の運転モードと、第1の熱交換器110aを凝縮器として機能させるとともに第2の熱交換器110bを蒸発器として機能させる第2の運転モードとを交互に行って除湿運転を行う。
このように構成された従来の除湿装置では、第1の運転モードにおいて蒸発器として機能する第1の熱交換器110aのフィン表面に、上述したように結露水が滞留する。よって、四方弁150を切り換えて第2の運転モードを開始した初期では、図13に示すように、霜から相変化してフィン表面に滞留した結露水が再蒸発し、室内は加湿される。その後、第2の運転モードを継続することで加湿量は低減するものの、第2の運転モード終了時において、図13の点線円で示すように除湿量は僅かにゼロを上回っている程度であり、従来の第2の運転モードでは除湿はほとんど行えない状態となっている。
一方、本実施の形態1の除湿装置では、上述したように第1の熱交換器11aおよび第2の熱交換器11bのフィン表面に滑水処理が施されている。このため、第1の運転モードにおいて蒸発器として機能する第1の熱交換器11aのフィン表面に付着した霜は、第2の運転モードに切り換えられることで霜から相変化して結露水に変わるが、この際、フィン表面への滞留が抑制される。よって、第2の運転モードの開始初期において図11に示すように再蒸発が抑制され、除湿量が確保されている。その後、第2の運転モードを継続することで除湿量は上昇し、従来に比べて除湿量を増加することができる。
なお、本実施の形態1では第3の熱交換器11cを備えているが、従来と同様に第3の熱交換器11cを備えない構成としてもよい。但し、第3の熱交換器11cを備えた構成とすることで、以下の効果が得られる。
まず、比較のため第3の熱交換器11cを備えない従来の除湿装置について説明する。従来の除湿装置では、第2の運転モードにおいて凝縮器の空気下流に蒸発器が配置されるため、入口空気が凝縮器で加熱されて相対湿度が入口空気よりも下がった状態で蒸発器に流入することになる。このため、第3の熱交換器11cを備えない構成では、第2の運転モードにおける除湿が難しい。
これに対し、第3の熱交換器11cを備えた場合、空気流の最下流で凝縮能力を処理することが可能となる。よって、第2の運転モードにおける第1の熱交換器11aの凝縮能力を、第3の熱交換器11cを備えない場合の第1の熱交換器11aの凝縮能力に比べて低く抑えることができる。このため、第2の運転モードにおいて蒸発器として機能する第2の熱交換器11bに流入する空気の相対湿度を、第3の熱交換器11cを備えない場合に比べて高くすることができ、除湿量を増加することができる。
また、主として除霜を行うモードである第2の運転モードでは、蒸発器として機能する第2の熱交換器11bの入口空気が低湿域であると除湿が難しい。しかし、第3の熱交換器11cを備えた構成の場合、上述したように第2の運転モードにおいて蒸発器として機能する第2の熱交換器11bに流入する空気の相対湿度を、第3の熱交換器11cを備えない場合に比べて高くすることができる。このため、第2の運転モードで除湿可能な入口空気の低温湿度範囲を増加することが可能となる。
[発明の効果]
以上説明したように、本実施の形態1によれば、第1の熱交換器11aおよび第2の熱交換器11bのそれぞれのフィン表面に滑水処理を施したため、フィン表面の結露水の再蒸発量を低減して除湿量を増加させることが可能となる。また、結露が再蒸発して除湿対象空間を加湿する影響を抑制可能となるため、除湿対象空間の湿度急変の防止が可能である。よって、本除湿装置を用いることで、湿度変化に弱い保管物を保護することが可能となる。
また、従来の除湿装置では、入口空気が低温域であり除霜が必要となる空気条件での運転に際し、上述したように除霜中(つまり第2の運転モード中)に室内を加湿する現象が発生していた。このため、室内の除湿量を一定量確保するためには除湿装置を複数台設置し、一部の除湿装置が除霜中であっても、残りの除湿装置で除湿する必要があった。しかし、本実施の形態1の除湿装置では、結露水の再蒸発を抑制できるため、除湿装置の配置台数の低減または低容量化が可能となり、システムのコンパクト化、運転容量の低下による省エネが可能となる。
また、本実施の形態1の除湿装置では、結露水の再蒸発を抑制できるため、入口空気が低温域であり除霜が必要であっても、除霜中に除湿が可能となる温湿度範囲が拡大する。よって、図11に示すように除霜時間を含めたすべての時間帯において除湿量を確保でき、低温域での連続除湿が可能となる。
また、本実施の形態1では、第3の熱交換器11cを配置したことによって、第2の運転モードにおいて蒸発器として機能する第2の熱交換器11bに流入する空気の相対湿度を、第3の熱交換器11cを備えない場合に比べて高くすることができ、除湿量を増加することができる。また、第3の熱交換器11cを配置したことによって、主として除霜を行う第2の運転モードにおいて、除湿可能な入口空気の低温湿度範囲を増加することが可能となる。
実施の形態2.
[風路構成]
図14は、本発明の実施の形態2に係る除湿装置の構成図である。
実施の形態2の除湿装置は、図1に示した実施の形態1の除湿装置にさらに水分吸着手段16を備えた構成を有する。本実施の形態2で特に記述しない事項については実施の形態1と同様とし、同一の機能、構成については同一の符号を用いて述べることとする。以下、実施の形態2が実施の形態1と異なる事項を中心に説明する。
実施の形態2の除湿装置では、除湿対象空気が第1の熱交換器11a、水分吸着手段16、第2の熱交換器11b、第3の熱交換器11cの順に通過し、送風手段12によって除湿対象空間に放出される。
[機器構成]
(水分吸着手段16)
水分吸着手段16は、厚さ方向に空気が通過できるように複数の透孔を有する通風体であり、多孔質平板などで構成されている。水分吸着手段16は、除湿装置の風路断面積に対して通風断面積を多くとれるように、風路断面の形状に沿った多角形(ここでは四角形)状に構成されている。また、水分吸着手段16を構成する多孔質平板の表面には、ゼオライト、シリカゲル、活性炭等のような相対的に湿度の高い空気から吸湿し、相対的に湿度の低い空気に対して放湿する特性を有する吸着剤が塗布あるいは表面処理あるいは含浸されている。なお、本実施の形態2では水分吸着手段16を四角形としたが、同様の効果が得られるのであれば四角形に限定しないものとする。この種の水分吸着手段16は、従来、モータにより風路内で回転する所謂デシカントロータで構成されるものもあるが(例えば、特許4649967号公報)、本実施の形態1では風路内に固定され静止している。
図15は、図14の水分吸着手段に用いられる吸着剤が空気の相対湿度に対して吸着できる水分量(平衡吸着量)を示したグラフである。
平衡吸着量は一般に、空気の相対湿度が高くなると増加する。本実施の形態2で使用する吸着剤は相対湿度が80%以上の空気に対する平衡吸着量と相対湿度が40〜60%の空気に対する平衡吸着量との差が大きい吸着剤である。このような吸着剤を使用することによって水分吸着手段16の吸着、脱着能力を上昇させることが可能である。具体的には相対湿度100%の空気に対する平衡吸着量が、相対湿度50%の空気に対する平衡吸着量に対して2倍以上であり、且つ相対湿度の上昇に対して直線的に平衡吸着量が増加する吸着材を使用すればよい。
[第1の運転モードの冷媒の流れ]
図16は、本発明の実施の形態2に係る除湿装置の第1の運転モードでの冷媒循環経路を示した図である。
実施の形態2に係る除湿装置の第1の運転モードでの冷媒の流れは、実施の形態1と同様である。
[第2の運転モードの冷媒の流れ]
図17は、本発明の実施の形態2に係る除湿装置の第2の運転モードでの冷媒循環経路を示した図である。
実施の形態2に係る除湿装置の第2の運転モードでの冷媒の流れは、実施の形態1と同様である。
[除湿装置の除湿動作]
次に、図18、図19を用いて除湿装置の各運転モードでの空気動作を説明する。なお、図18は、水分吸着手段16の水分保持量が少なく、高湿の空気(例えば相対湿度70%以上)に対して吸着反応する場合を例として示している。また、図19は、水分吸着手段16の水分保持量が多く、低湿の空気(例えば相対湿度60%以下)に対して脱着反応する場合を例として示している。
(第1の運転モードでの空気動作)
図18は、本発明の実施の形態2に係る除湿装置の第1の運転モードにおける除湿装置風路内の空気の温湿度変動を示す湿り空気線図である。図18の空気状態を示す(1−1)〜(1−5)は第1の運転モードにおける第1の熱交換器11aの通過前(1−1)、第1の熱交換器11aを通過後(1−2)、水分吸着手段16を通過後(1−3)、第2の熱交換器11bを通過後(1−4)、第3の熱交換器11cを通過後(1−5)を示す。
第1の運転モードでは、吸込み口(図示せず)から風路内に流入した空気(1−1)が第1の熱交換器11aに送り込まれる。ここで風路内に流入した空気は蒸発器として機能する第1の熱交換器11aによって冷却される。この冷却より露点温度以下に冷却された空気は、水分が除湿された除湿空気(1−2)となり、水分吸着手段16に送り込まれる。水分吸着手段16に送り込まれた除湿空気は、除湿空気中の水分が水分吸着手段16の吸着剤に吸着されることで除湿され、高温低湿化して第2の熱交換器11bに流入する(1−3)。なお、水分吸着手段16に送り込まれる除湿空気(1−2)の相対湿度は70〜100%RH程度と高くなっているため、水分吸着手段16の吸着剤は水分を吸着しやすくなっている。
第2の熱交換器11bは凝縮器として機能するため、第2の熱交換器11bに流入した空気は加熱され、空気温度が上昇する(1−4)。第2の熱交換器11bを通過後の空気は第3の熱交換器11cに流入する。第3の熱交換器11cは凝縮器として機能しているため、第3の熱交換器11cに流入した空気はさらに空気温度が上昇し(1−5)、吹き出し口(図示せず)から放出される。
(第2の運転モードでの空気動作)
図19は、本発明の実施の形態2に係る除湿装置の第2の運転モードにおける除湿装置風路内の空気の温湿度変動を示す湿り空気線図である。図19の空気状態を示す(2−1)〜(2−5)は第2の運転モードにおける第1の熱交換器11aを通過前(2−1)、第1の熱交換器11aを通過後(2−2)、水分吸着手段16を通過後(2−3)、第2の熱交換器11bを通過後(2−4)、第3の熱交換器11cを通過後(2−5)を示す。
第2の運転モードでは、吸込み口(図示せず)から風路内に流入した空気(2−1)が第1の熱交換器11aに送り込まれる。ここで風路内に流入した空気は凝縮器として機能する第1の熱交換器11aによって加熱され、空気温度が上昇し(2−2)、水分吸着手段16に送り込まれる。水分吸着手段16に送り込まれた空気は、水分吸着手段16に保持されている水分を空気中に脱着(放出)させることで加湿され、低温高湿化して第2の熱交換器11bに流入する(2−3)。第2の熱交換器11bは蒸発器として機能するため、第2の熱交換器11bに流入した空気は冷却される。この冷却により露点温度以下に冷却された空気は、水分が除湿された除湿空気(2−4)となり、第3の熱交換器11cに流入する。第3の熱交換器11cは凝縮器として機能しているため、第3の熱交換器11cに流入した空気は空気温度が上昇し(2−5)、吹き出し口(図示せず)から放出される。
[運転モード変更制御]
本実施の形態2の運転制御では第1の運転モードと第2の運転モードとを切り換えることで通常の再熱除湿と蒸発器の除霜とを交互に繰り返すとともに、水分吸着手段16の吸着と脱着とを交互に繰り返し実施している。
運転モードは、水分吸着手段16の吸脱着反応が十分に発現しているか否か、または着霜によって蒸発器の風路が閉塞しているか否か、によって切り換えられるものであり、運転モードの切り換えタイミングは、以下のようにして判定すればよい。
すなわち、運転モードの切り換えタイミングは、例えば、運転時間、水分吸着手段16前後の温度差、絶対湿度差に基づいて判定する。また、他の判定方法として、相対湿度変動、風路圧力損失変動(吸着によって膨潤し、水分吸着手段16の通過空気の圧力損失が増加する場合)に基づいて判定する。さらに、他の判定方法として、入口空気温湿度、蒸発器となった第1の熱交換器11aおよび第2の熱交換器11bのいずれかの配管温度(着霜により風路閉塞した場合は熱交換器温度が低下する)、圧力変動(着霜により風路閉塞した場合は飽和圧力が低下する)、風路圧力損失変動(着霜によって風路閉塞し、圧力損失が増加する場合)等に基づいて判定するようにしてもよい。この判定に用いる検知手段は、上記に限定するものではなく、水分吸着手段16の吸脱着反応が十分に発現しているか否か、もしくは熱交換器が着霜によって風路閉塞しているか否か、が分かる手段であればよい。
図20は、本発明の実施の形態2に係る除湿装置における、除湿装置の入口と出口との絶対湿度差と風量とから計算した除湿量の時間変動を示す図である。図20において横軸は時間、縦軸は除湿量である。また、図20において、横方向の点線は、第1の運転モードにおける第1の熱交換器11aにおける冷却除湿量を示している。
図20に示すように、第1の運転モードおよび第2の運転モードのそれぞれの開始初期において、フィン20に施した滑水処理の効果により再蒸発による除湿量の低減が可能となっている。
また、実施の形態2の除湿装置は、水分吸着手段16を備えたことで、第1の運転モードにおける除湿量が、図20において点線で示した実施の形態1の第1の運転モードにおける冷却除湿での除湿量に比べて増加する。
また、第2の運転モードでは、第1の熱交換器11aが凝縮器として機能し、水分吸着手段16に流入する空気を加熱して相対湿度を低下させる。これにより、水分吸着手段16の脱着反応による放湿量を増加させることができ、蒸発器として機能する第2の熱交換器11bには、相対湿度が高く、且つエンタルピーが吸込み空気よりも高い状態の空気が供給される。よって、第2の運転モードにおける除湿量を、水分吸着手段16を設けない場合に比べて増加させることができる。
[発明の効果]
実施の形態2は、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、水分吸着手段16を備えたことで、さらに以下の効果が得られる。すなわち、水分吸着手段16を備えたことで、第1の運転モードでの除湿量が実施の形態1の第1の運転モードでの除湿量に比べて増加する。このため、除霜が不要な条件でも除湿量が増加可能となる。また、第2の運転モードにおける除湿量を実施の形態1に比べて増加させることができる。
また、冷却除湿による除湿量が少なくなる低温低湿時には水分吸着手段16の水分放出量が第2の熱交換器11bに滞留できる結露量に対して同等以上なければ、結露がドレンとして回収できないために、除湿が不可能であった。しかし、フィン表面に滑水処理を施すことによって、フィン20における滞留結露量が低減される。したがって、これまで、水分吸着手段16の水分放出量を増加する(水分吸着手段16を大きくする)ことでしか、除湿できなかった温湿度領域でも、除湿が可能である。加えて水分吸着手段16のコンパクト化が可能となる。従来、冷却除湿方式では十分な除湿量が確保不可能であった低湿域でも本発明の除湿装置は適用可能となる。
また、第2の運転モードでは、水分吸着手段16の脱着反応によって空気温度が下がり、さらに、蒸発器として機能する第2の熱交換器11bを通過して冷却された空気が、第2の熱交換器11bの下流側に配置されて凝縮器として機能する第3の熱交換器11cに流入する。これにより、第3の熱交換器11cの凝縮温度が低下して、冷凍サイクルが高効率化されて、除湿装置の除湿能力を増加させることができる。
また、水分吸着手段16は風路内に固定され静止しており、風路内で回転するものと比べて、以下の効果を有する。すなわち、デシカントロータなどのようなモータが水分吸着手段16に接続されていないため、製造コストが増加したり、消費電力が増加したり、機器構成が複雑になってしまうことがない。
また、本実施の形態2では第3の熱交換器11cを備えているが、実施の形態1と同様、第3の熱交換器11cを備えない構成としてもよい。但し、第3の熱交換器11cを備えた構成とすることで、実施の形態1で説明した種々の効果が得られるため、第3の熱交換器11cを備えた方が効果的である。
[表面処理の変形例]
図21は、本発明の実施の形態1、2に係る除湿装置のフィンに対する表面処理の変形例を示す図である。
第1の熱交換器11aおよび第2の熱交換器11bのそれぞれのフィン20に対する表面処理は、フィン下端部20aで結露が滞留しないようにできればよく、フィン20の上部では熱交換器性能を上昇させる処理を施してもよいものとする。例えば図21に示すようにフィン20の下部に滑水処理30を施し、他のフィン表面、すなわちフィン20の上部に親水処理31を施すことによってフィン表面に発生する液膜の厚みを減少させ、風路圧損を軽減することが可能となる。その結果、通過風量の低下を抑制するために除湿量増加が可能となる。
また、滑水処理の必要最低高さは、冷媒が流れる伝熱管21のうち最下部にある伝熱管21aの高さ位置以上とし、最低でも、フィン下端部20aから最下部の伝熱管21aの高さ位置までは滑水処理が施されるものとする。これは、フィン下端部20aから最下部の伝熱管21aの高さまでは、フィン間でブリッジして滞留するものと、フィン下端部20aで表面張力によって滞留したものとの合計値が滞留結露量となり、単位体積当たりの滞留結露量としては最大となるためである。さらに最下部の伝熱管21a以上ではフィン表面に残る水滴が通風抵抗となり除湿量を低下させるため、親水処理を施して液滴を水膜化することで、通風抵抗を減らし除湿量を増加させる。
本実施の形態1、2において第3の熱交換器11cは常に凝縮器として機能するため結露は発生しない。そのため放熱量を調整することを最優先して第3の熱交換器11cを設計すればよい。すなわち、水分吸着手段16の脱着もしくは除霜に際して多くの熱量を必要としない、高湿もしくは常温の空気条件で使用される除湿装置を構成する場合には、第3の熱交換器11cを以下のように構成する。
つまり、第3の熱交換器11cを、熱交換量増加を目的として伝熱面積の拡大(フィンピッチ狭小化、列数増加等)を図った構成としたり、熱交換効率の上昇(フィン表面に切り欠きを設けて前縁効果を増加)を図った構成としたりする。これにより、第2の運転モード時の除湿量を増加させることが可能となり、除湿量増加が可能となる。逆に低湿低温の空気条件で使用される除湿装置を構成する場合には、第3の熱交換器11cでの熱交換量が小さくなるように設定することで、除湿量が増加可能となる。
1a 温湿度センサ、1b 温湿度センサ、1c 温湿度センサ、1d 温湿度センサ、1e 温湿度センサ、2 風速センサ、3a 温度センサ、3c 温度センサ、3d 温度センサ、3e 温度センサ、3f 温度センサ、3g 温度センサ、3h 温度センサ、4 制御回路、11 熱交換器、11a 第1の熱交換器、11b 第2の熱交換器、11c 第3の熱交換器、12 送風手段、13 圧縮機、14 絞り手段、14a 開閉弁、14b 開閉弁、15 四方弁、16 水分吸着手段、20 フィン、20a フィン下端部、21 伝熱管、21a 伝熱管、30 滑水処理、31 親水処理、100 フィン、110a 第1の熱交換器、110b 第2の熱交換器、120 送風手段、150 四方弁、1001 冷媒流路、1002 冷媒流路、A 冷媒回路。

Claims (9)

  1. 圧縮機、流路切換装置、第1の熱交換器、絞り手段および第2の熱交換器を備え、冷媒が循環する冷媒回路と、
    前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器の順に空気を通過させるファンとを備え、
    前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器の少なくとも一方は、
    数のフィンと、前記複数のフィンに接触して設けられ、内部に前記冷媒が流れる伝熱管とを有しており、
    記複数のフィンのそれぞれの下端部から、最下部に配置された前記伝熱管までの高さの表面は滑水処理が施され、最下部に配置された前記伝熱管よりも上部の表面には親水処理が施されている
    除湿装置。
  2. 前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器との間の風路内に配置され、水分の吸着および脱着を行う水分吸着手段をさらに備えた
    請求項1記載の除湿装置。
  3. 前記流路切換装置の切り換えにより、前記第1の熱交換器が蒸発器、前記第2の熱交換器が凝縮器となる第1の運転モードと、前記第1の熱交換器が凝縮器、前記第2の熱交換器が蒸発器となる第2の運転モードとを備えている
    請求項1または請求項2記載の除湿装置。
  4. 前記冷媒回路において前記圧縮機と前記流路切換装置との間に配置され、前記第2の熱交換器の空気下流に配置された第3の熱交換器をさらに備えた
    請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の除湿装置。
  5. 前記水分吸着手段は、
    相対湿度が100%の空気に対する平衡吸着量が、相対湿度が50%の空気に対する平衡吸着量に対して2倍以上であり、且つ相対湿度の上昇に対して直線的に平衡吸着量が増加する
    請求項2、請求項2に従属する請求項3または請求項4のいずれか一項に記載の除湿装置。
  6. 前記水分吸着手段は、
    前記風路内に固定され静止している
    請求項2、請求項2に従属する請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載の除湿装置。
  7. 前記水分吸着手段は、
    多数の小透孔を有する通風体である
    請求項2、請求項2に従属する請求項3〜請求項6のいずれか一項に記載の除湿装置。
  8. 前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器の少なくとも一方において、
    前記フィンの下端部はバリを有していない
    請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の除湿装置。
  9. 前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器と前記第3の熱交換器とでは、伝熱面積および前記フィンの表面形状の少なくとも一方が異なる
    請求項4、請求項4に従属する請求項5〜請求項のいずれか一項に記載の除湿装置。
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