JP6335958B2 - 車両用制動装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関エンジンを用いて駆動力及びエンジン制動力を発生させる車両用制動装置に関する。
内燃機関エンジンを用いて駆動力及び制動力を発生させる車両では、アクセルペダルの操作量に応じた駆動力(駆動トルク)を内燃機関エンジンに発生させるとともに、アクセルオフ時には燃料供給を遮断等することで内燃機関エンジン及び動力伝達機構(変速機を含む)の連係によるエンジン制動力(一般に「エンジンブレーキ」と呼ばれる。)を発生させて車速を低下させる。
特許文献1には、内燃機関エンジンを搭載した車両において、ひとつのペダルの操作量に応じて車両の駆動力及び制動力の両者を制御するワンペダルモード制御を実行する走行制御装置の発明が開示されている。特許文献1に係る走行制御装置は、摩擦制動力を発生させるブレーキパッドやディスクロータ等の摩擦制動部材の温度を計測する温度計測手段と、温度計測手段で計測した摩擦制動部材の温度に基づいて目標制動力を補正する目標制動力補正手段と、を備える。
特許文献1に係る走行制御装置によれば、摩擦制動部材の温度に基づいて摩擦制動力を適正に発生させることができるため、摩擦制動部材の温度によらずに安定した摩擦制動力を得ることができる。
特開2001−071794号公報
特許文献1に係る走行制御装置では、摩擦ブレーキ(摩擦制動力)を頻用すると、摩擦制動部材が過熱しフェード状態に陥る事態が懸念される。そのため、ワンペダルモード制御に基づく制動力として摩擦制動力の適用が想定される場合、摩擦制動部材がフェード状態に陥る事態を抑制する配慮が求められる。この点、特許文献1に係る走行制御装置には、摩擦制動部材がフェード状態に陥る事態を抑制する配慮についての言及はない。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、内燃機関エンジンを用いて駆動力及び制動力を発生させる車両において、加減速操作子の減速操作に基づく実制動力として摩擦制動力の適用が想定される場合に、摩擦制動部材がフェード状態に陥る事態を抑制可能な車両用制動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、(1)に係る発明は、車両の車輪に摩擦制動部材を作用させることで摩擦制動力を発生させる摩擦制動部と、前記車両を加減速する際に操作され、当該加減速に係る操作範囲に加速領域及び減速領域が設定された加減速操作子と、前記車両に搭載された内燃機関エンジン及び動力伝達機構を有し、当該車両に対して駆動力及びエンジン制動力を発生させる駆制動機構と、前記車両が走行中の道路に係る勾配情報を取得する勾配情報取得部と、前記加減速操作子が減速操作された際に、当該減速操作に基づく目標減速度を設定する目標減速度設定部と、前記加減速操作子が減速操作された際に、前記車両に作用する実制動力が、前記目標減速度設定部により設定された目標減速度に基づく大きさの目標制動力に追従するように、所定の規則に従い配分されて前記摩擦制動部に係る前記摩擦制動力及び前記駆制動機構に係るエンジン制動力の両者又は前記エンジン制動力からなる実制動力を用いて前記車両の制動制御を行う制動制御部と、を備え、前記制動制御部は、前記実制動力として、前記摩擦制動力に対して前記エンジン制動力を前記規則に従い優先して配分し、当該配分された大きさのエンジン制動力が前記目標制動力に満たない場合に、当該不足分の実制動力として前記摩擦制動力を配分する一方、前記車両が降坂路を走行中の場合に、前記車両が平坦路を走行中の場合と比べて、前記実制動力のうち前記エンジン制動力が占める割合を増加させることを最も主要な特徴とする。
一般に、車両が降坂路を走行中の場合には、摩擦制動部材がフェード状態に陥る事態が想定されるため、その対策を採ることが好ましい。
そこで、(1)に係る発明では、制動制御部は、実制動力として、摩擦制動力に対してエンジン制動力を所定の規則に従い優先して配分し、当該配分された大きさのエンジン制動力が目標制動力に満たない場合に、当該不足分の実制動力として摩擦制動力を配分する一方、車両が降坂路を走行中の場合に、車両が平坦路を走行中の場合と比べて、実制動力のうちエンジン制動力が占める割合を増加させる構成を採用することとした。目標減速度に基づく大きさの目標制動力は、目標減速度に車両の質量を乗算することで求めればよい。
(1)に係る発明によれば、制動制御部は、実制動力として、摩擦制動力に対してエンジン制動力を所定の規則に従い優先して配分し、当該配分された大きさのエンジン制動力が目標制動力に満たない場合に、当該不足分の実制動力として摩擦制動力を配分する一方、車両が降坂路を走行中の場合に、車両が平坦路を走行中の場合と比べて、実制動力のうち摩擦制動力が占める割合を相対的に減少させるため、加減速操作子の減速操作に基づく実制動力として摩擦制動力の適用が想定される場合に、摩擦制動部材がフェード状態に陥る事態を抑制することができる。
また、(2)に係る発明は、(1)に記載の車両用制動装置であって、前記制動制御部は、前記車両が降坂路を走行中の場合に、前記勾配情報に基づく勾配値が所定の勾配閾値を超える度合いが増すほど、前記実制動力のうち前記エンジン制動力が占める割合を増加させることを特徴とする。
(2)に係る発明によれば、制動制御部は、車両が降坂路を走行中の場合に、勾配情報に基づく勾配値が所定の勾配閾値を超える度合いが増すほど、つまり、降坂路が急勾配になるほど、実制動力のうちエンジン制動力が占める割合を増加させるため、(1)に係る発明と比べて、実制動力のうち摩擦制動力が占める割合を相対的にさらに減少させる結果として、摩擦制動部材がフェード状態に陥る事態を一層抑制することができる。
また、(3)に係る発明は、車両の車輪に摩擦制動部材を作用させることで摩擦制動力を発生させる摩擦制動部と、前記車両を加減速する際に操作され、当該加減速に係る操作範囲に加速領域及び減速領域が設定された加減速操作子と、前記車両に搭載された内燃機関エンジン及び動力伝達機構を有し、当該車両に対して駆動力及びエンジン制動力を発生させる駆制動機構と、前記摩擦制動部材の温度情報を取得する温度情報取得部と、前記加減速操作子が減速操作された際に、当該減速操作に基づく目標減速度を設定する目標減速度設定部と、前記加減速操作子が減速操作された際に、前記車両に作用する実制動力が、前記目標減速度設定部により設定された目標減速度に基づく大きさの目標制動力に追従するように、所定の規則に従い配分されて前記摩擦制動部に係る前記摩擦制動力及び前記駆制動機構に係るエンジン制動力の両者又は前記エンジン制動力からなる実制動力を用いて前記車両の制動制御を行う制動制御部と、を備え、前記制動制御部は、前記実制動力として、前記摩擦制動力に対して前記エンジン制動力を前記規則に従い優先して配分し、当該配分された大きさのエンジン制動力が前記目標制動力に満たない場合に、当該不足分の実制動力として前記摩擦制動力を配分する一方、前記温度情報に基づく前記摩擦制動部材の温度値が所定の温度閾値を超える場合に、前記摩擦制動部材の温度値が所定の温度閾値以下である場合と比べて、前記実制動力のうち前記エンジン制動力が占める割合を増加させることを特徴とする。
摩擦制動部材がフェード状態に陥る原因は、摩擦制動力の頻用による摩擦制動部材の過熱である。そのため、摩擦制動部材が過熱状態にある場合には、摩擦制動部材がフェード状態に陥る事態が想定されるため、その対策を採ることが好ましい。
そこで、(3)に係る発明では、制動制御部は、実制動力として、摩擦制動力に対してエンジン制動力を所定の規則に従い優先して配分し、当該配分された大きさのエンジン制動力が目標制動力に満たない場合に、当該不足分の実制動力として摩擦制動力を配分する一方、摩擦制動部材の温度値が所定の温度閾値を超える場合に、摩擦制動部材の温度値が温度閾値以下である場合と比べて、実制動力のうちエンジン制動力が占める割合を増加させる構成を採用することとした。所定の温度閾値としては、例えば、摩擦制動部材がフェード状態に陥る事態として警戒を要する温度値を適宜採用すればよい。
(3)に係る発明によれば、制動制御部は、実制動力として、摩擦制動力に対してエンジン制動力を所定の規則に従い優先して配分し、当該配分された大きさのエンジン制動力が目標制動力に満たない場合に、当該不足分の実制動力として摩擦制動力を配分する一方、摩擦制動部材の温度値が所定の温度閾値を超える場合には、実制動力のうち摩擦制動力が占める割合を相対的に減少させるため、加減速操作子の減速操作に基づく実制動力として摩擦制動力の適用が想定される場合に、摩擦制動部材がフェード状態に陥る事態を抑制することができる。
また、(4)に係る発明は、(3)に記載の車両用制動装置であって、前記制動制御部は、前記摩擦制動部材の温度値が前記温度閾値を超える度合いが増すほど、前記実制動力のうち前記エンジン制動力が占める割合を増加させることを特徴とする。
(4)に係る発明によれば、制動制御部は、摩擦制動部材の温度値が温度閾値を超える度合いが増すほど、実制動力のうちエンジン制動力が占める割合を増加させるため、(3)に係る発明と比べて、実制動力のうち摩擦制動力が占める割合を相対的にさらに減少させる結果として、摩擦制動部材がフェード状態に陥る事態を一層抑制することができる。
また、(5)に係る発明は、(1)〜(4)のいずれか一に記載の車両用制動装置であって、前記駆制動機構に係るエンジン制動力は、前記内燃機関エンジンの点火時期を遅らせる点火時期制御、前記内燃機関エンジンへの燃料供給を遮断する燃料遮断制御、及び、前記動力伝達機構が有する変速機をダウンシフトする変速制御のうち少なくともいずれかにより発生するものであり、前記制動制御部は、前記点火時期制御、前記燃料遮断制御、及び、前記変速制御のうち少なくともいずれか一又は複数の組み合わせに係る制御を実行させることにより、前記実制動力として配分された大きさのエンジン制動力を発生させることを特徴とする。
一般に、駆制動機構に係るエンジン制動力は、点火時期制御、燃料遮断制御、及び、変速制御により発生する。ここで、点火時期制御、燃料遮断制御、及び、変速制御のそれぞれでは、発生可能なエンジン制動力の大きさ及び調整範囲が異なる。
そこで、所要の大きさのエンジン制動力を得るために、(5)に係る発明では、制動制御部は、点火時期制御、燃料遮断制御、及び、変速制御のうち少なくともいずれか一又は複数の組み合わせに係る制御を実行させることにより、実制動力として配分された(所要の)大きさのエンジン制動力を発生させる構成を採用することとした。
(5)に係る発明によれば、制動制御部は、点火時期制御、燃料遮断制御、及び、変速制御のうち少なくともいずれか一又は複数の組み合わせに係る制御を実行させることにより、実制動力として配分された所要の大きさのエンジン制動力を発生させるため、エンジン制動力の発生に伴って運転者に違和感を抱かせることを抑制することができる。
また、(6)に係る発明は、(5)に記載の車両用制動装置であって、発生可能な前記エンジン制動力の大きさ及び調整範囲は、前記点火時期制御、前記燃料遮断制御、前記変速制御の順序で大であり、前記制動制御部は、前記実制動力として配分されたエンジン制動力の大きさが増すにつれて、前記点火時期制御、前記燃料遮断制御、前記変速制御の順序で、主として実行する制御を逐次移行させることを特徴とする。
また、(6)に係る発明によれば、制動制御部は、実制動力として配分されたエンジン制動力の(所要の)大きさが増すにつれて、点火時期制御、燃料遮断制御、変速制御の順序で、主として実行する制御を逐次移行させるため、例えば、車両が比較的高い車速で走行中に、所要の大きさのエンジン制動力を得るために、車室内の乗員に与える影響を考慮することなしに、急激なエンジン回転速度の上昇を伴う、ダウンシフト変速制御によるエンジン制動力の発生を唐突に行わせるケースと比べて、加減速操作子の減速操作に基づくエンジン制動力の発生に伴って運転者に違和感を抱かせる事態を抑制することができる。
本発明に係る車両用制動装置によれば、内燃機関エンジンを用いて駆動力及びエンジン制動力を発生させる車両において、加減速操作子の減速操作に基づく実制動力として摩擦制動力の適用が想定される場合に、摩擦制動部材がフェード状態に陥る事態を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る車両用制動装置の概要を表すブロック構成図である。 車両用制動装置の動作説明に供するフローチャート図である。 車両用制動装置11の動作説明に供するタイムチャート図であり、(a)はアクセルペダル操作に基づく目標減速度の時間推移を、(b)はエンジン出力の時間推移を、(c)はCVTギアレシオの時間推移を、(d)は制動力の時間推移を、それぞれ表す。
以下、本発明の実施形態に係る車両用制動装置について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に示す図において、共通の機能を有する部材間、または、相互に対応する機能を有する部材間には、原則として共通の参照符号を付するものとする。また、説明の便宜のため、部材のサイズおよび形状は、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置11〕
本発明の実施形態に係る車両用制動装置11について、内燃機関エンジン41を搭載した車両12を例示して、図1を参照して説明する。図1は、車両用制動装置11の概要を表すブロック構成図である。

車両用制動装置11は、図1に示すように、加減速ECU(Electronic Control Unit)13、ABS−ECU15、及びVSA−ECU17の間を、CAN(Control Area Network)等の通信媒体19を介して、相互にデータ交換可能に接続して構成されている。
加減速ECU13、ABS−ECU15、及びVSA−ECU17の各々は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータにより構成される。このマイクロコンピュータは、ROMに記憶されているプログラムやデータを読み出して実行し、加減速ECU13、ABS−ECU15、及びVSA−ECU17の各々が有する各種機能の実行制御を行うように動作する。
加減速ECU(Electronic Control Unit)13は、車両12の加減速制御を行う機能を有する。加減速ECU13の内部構成について、詳しくは後記する。ABS−ECU15は、車両12の制動操作時における車輪(不図示)のロックを防ぐ機能を有する。VSA(「VSA」は登録商標)−ECU17は、車両12に係る挙動安定化を支援する機能を有する。
通信媒体19には、図1に示すように、アクセルペダル21の初期位置(運転者による操作が解除された状態)からの踏込み操作量を検出するアクセルペダルセンサ23、ブレーキペダル25の踏込み操作量を検出するブレーキペダルセンサ27、車両12の速度(車速)を検出する車速センサ29、車両12に生じている前後方向の加減速度を検出する前後Gセンサ31、車両12が存する路面の勾配を検出する勾配センサ32、AP操作モード切替スイッチ33、制動モード切替スイッチ34、駆制動機構35、及び、摩擦制動機構37が接続されている。
アクセルペダルセンサ23、ブレーキペダルセンサ27、車速センサ29、前後Gセンサ31、勾配センサ32により検出された各種データ、AP操作モード切替スイッチ33、制動モード切替スイッチ34に係るモード切替データは、通信媒体19を介して、加減速ECU13、ABS−ECU15、VSA−ECU17に送られる。
なお、車両12を加減速する際に操作されるアクセルペダル21は、本発明の「加減速操作子」に相当する。
AP操作モード切替スイッチ33は、アクセルペダル21の操作モード(以下「AP操作モード」という。)を切り替える際に操作されるスイッチである。AP操作モード切替スイッチ33は、車室内のインストルメントパネル(不図示)等に設けられる。AP操作モードとしては、アクセルペダル21の踏込み操作量に応じた加速制御のみを行う通常モードと、アクセルペダル21の踏込み/踏戻し操作量に応じた加減速制御を行うワンペダルモードとが設定されている。ワンペダルモードについて、詳しくは後記する。
なお、AP操作モード切替スイッチ33は、デフォルトでワンペダルモードに設定することで、運転者の操作を省略する構成を採用してもよい。
制動モード切替スイッチ34は、AP操作モードがワンペダルモードに設定されている際において、アクセルペダル21の踏戻し操作量に基づく減速制御量(目標減速度)を、例えば3段階に可変設定する際に操作されるスイッチである。制動モード切替スイッチ34は、車室内のインストルメントパネル等に設けられる。
駆制動機構35は、図1に示すように、車両12の駆動源である内燃機関エンジン41と、無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)43とを備えて構成される。ただし、無段変速機43は、ふつう(有段)の変速機であってもよい。駆制動機構35は、加減速ECU13の制御指令に基づいて、車両12を駆動するとともに、必要に応じてエンジン制動力を発生させる機能を有する。
摩擦制動機構37は、ブレーキパッド及びディスクロータを含む摩擦制動部材45、油圧系統47等の摩擦制動に係る構成要素を備えて構成される。摩擦制動機構37は、加減速ECU13の制御指令に基づいて、車両12の車輪に摩擦制動力を発生させる機能を有する。摩擦制動部材45には、ディスクロータの温度を検出するロータ温度センサ49が設けられている。ロータ温度センサ49で検出されたロータ温度データは、通信媒体19を介して、加減速ECU13宛に送られる。摩擦制動機構37は、本発明の「摩擦制動部」に相当する。
〔加減速ECU13の内部構成〕
次に、加減速ECU13の内部構成について、図1を参照して説明する。
加減速ECU13は、図1に示すように、入出力部61と、演算部63と、記憶部65と、を備えて構成されている。
入出力部61は、入力データとして、アクセルペダルセンサ23に係る加減速操作量データ(AP加減速操作量データ)、ブレーキペダルセンサ27に係る制動操作量データ(BP制動操作量データ)、車速センサ29に係る車速データ、前後Gセンサ31に係る前後Gデータ、勾配センサ32に係る勾配データ、ロータ温度センサ49に係るロータ温度データ、AP操作モード切替スイッチ33や制動モード切替スイッチ34に係るモード切替データ等を入力する一方、出力データとして、内燃機関エンジン41に係る駆制動制御データ、摩擦制動部材45に係る摩擦制動制御データ等を出力する機能を有する。入出力部61は、本発明の「勾配情報取得部」、「温度情報取得部」に相当する。
演算部63は、AP加減速操作量データ、BP制動操作量データ、車速データ、前後Gデータ、勾配データ、ロータ温度データ、モード切替データ、充電度データ等に基づいて、内燃機関エンジン41に係る駆制動制御データ、摩擦制動部材45に係る摩擦制動制御データ等を演算する機能を有する。詳しく述べると、演算部63は、目標加減速度設定部71と、加減速制御部73と、を有する。
目標加減速度設定部71は、AP加減速操作量データ、BP制動操作量データ等の入力データに基づいて、車両12の加減速度に係る目標値(「目標加減速度」と呼ぶ場合がある。)を設定する機能を有する。
具体的には、通常モードでは、目標加減速度設定部71は、BP制動操作量データに基づいて目標減速度を設定する一方、AP加減速操作量データに基づいて目標加速度を設定する。すなわち、通常モードでは、AP加減速操作量データに応じて車両12の加速のみが制御される。その結果、アクセルペダル21の踏込み/踏戻し操作範囲(AP加減速操作量データが取り得る範囲)の全てが、原則として、車両12の加速に用いられる。ただし、通常モードにおいて、アクセルペダル21を初期位置付近まで踏戻した際に生じるエンジン制動力は、通常通り作用する。
これに対し、ワンペダルモードでは、目標加減速度設定部71は、BP制動操作量データに基づいて目標減速度を設定する点は通常モードと同様であるが、AP加減速操作量データに基づいて、目標となる加速度及び減速度の両方(目標加減速度)を設定する点が、通常モードでのケースと相違している。
単一のペダル(アクセルペダル21)操作によって加速度及び減速度の両方を設定するために、アクセルペダル21に係る踏込み操作量(AP加減速操作量データ)に対応する目標加減速度の関係は、運転者によるアクセルペダル21の操作が解除された状態の初期位置において最大となる目標減速度TGが対応付けられる一方、初期位置を起点とする減速領域では踏込み度合いが増すほど目標減速度TGが下がるように設定されている。その結果、ワンペダルモードでは、AP加減速操作量データに応じて、車両12の加速及び減速の両方が制御される。
アクセルペダル21の踏込み/踏戻しに係る操作範囲(AP加減速操作量データが取り得る範囲)に対応する目標減速度TGのうち、例えば図3に示すように、アクセルペダル23の初期位置に対応する初期値(目標減速度:ゼロ)P0を起点として境界閾値P1を終点とする減速のための領域を「減速領域」と呼ぶ。また、境界閾値P1を超えてアクセルペダル23が踏込み操作される加速のための領域を「加速領域」と呼ぶ。なお、減速領域及び加速領域のそれぞれの範囲の広狭(境界閾値P1の大小)は、車速の増減に応じて可変となる。
加減速制御部73は、車速データ、前後Gデータ等の入力データ、目標加減速度設定部71で設定された目標加減速度に基づいて車両12の加減速制御を行う機能を有する。こうした加減速制御を実現するために、加減速制御部73は、エンジン制御部75、及びブレーキ制御部77を備える。加減速制御部73は、本発明の「制動制御部」に相当する。
エンジン制御部75は、目標加減速度設定部71で設定された目標加減速度に基づいて、内燃機関エンジン41に係る駆動力及びエンジン制動力を発揮する駆制動機構35の制御を行う。ブレーキ制御部77は、目標加減速度設定部71で設定された目標加減速度に基づいて、摩擦制動力を発揮する摩擦制動機構37を制御する。
記憶部65は、不図示の不揮発性メモリ及び揮発性メモリからなる。不揮発性メモリは、例えばフラッシュメモリ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)であり、演算部63における各種処理を実行するためのプログラム等が記憶される。揮発性メモリは、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)であり、演算部63における各種処理を実行する際に、入出力データや演算結果が一時的に記憶される。
また、記憶部65には、アクセルペダル21の減速操作に基づき目標加減速度設定部71で設定される目標減速度TGに関し、TG第1閾値TGth1、TG第2閾値TGth2、及びTG第3閾値TGth3がそれぞれ記憶されている。TG第1閾値TGth1、TG第2閾値TGth2、及びTG第3閾値TGth3は、加減速ECU13において、アクセルペダル21の減速操作に基づく目標減速度TGを実現するための制動力(エンジン制動力/摩擦制動力)の種別及び配分比を設定する際に参照される。TG第1閾値TGth1、TG第2閾値TGth2、及びTG第3閾値TGth3について、詳しくは後記する。
さらに、記憶部65には、勾配センサ32で検出される勾配値SLに関し、勾配閾値SLthが記憶されている。勾配閾値SLthは、加減速ECU13において、車両12が降坂路を走行中か否かを判定する際に参照される。
また、記憶部65には、ロータ温度センサ49で検出されるロータ温度値RTに関し、温度閾値RTthが記憶されている。温度閾値RTthは、加減速ECU13において、摩擦制動部材45がフェード状態に陥る事態の警戒を要するか否かを判定する際に参照される。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の動作〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の動作について、図2を参照して説明する。図2は、車両用制動装置の動作説明に供するフローチャート図である。
ただし、前提として、AP操作モードはワンペダルモードに設定されているものとする。また、アクセルペダル21は減速操作されているものとする。
図2に示すステップS11において、加減速ECU13は、通信媒体19を介して、AP加減速操作量データ、勾配値データSL、ロータ温度値データRTを含む各種データを入力する。
ステップS12において、加減速ECU13の目標加減速度設定部71は、AP加減速操作量データに基づいて、アクセルペダル21の減速操作に基づく目標減速度TGを設定する。
ステップS13において、加減速ECU13の加減速制御部73は、ステップS12で設定された目標減速度TGが、TG第1閾値TGth1を超えるか否かを判定する。なお、TG第1閾値TGth1としては、運転者が要求する減速度としては、予め定められる減速度範囲のうち比較的小さい値を適宜採用すればよい。
ステップS13の判定の結果、目標減速度TGが、TG第1閾値TGth1を超える(ステップS13の「Yes」)旨の判定が下された場合、加減速ECU13は、処理の流れをステップS15へとジャンプさせる。一方、ステップS13の判定の結果、目標減速度TGが、TG第1閾値TGth1を超えない(ステップS13の「No」)旨の判定が下された場合、加減速ECU13は、処理の流れを次のステップS14へと進ませる。
ステップS14において、加減速ECU13の加減速制御部73は、目標減速度TGが前記減速度範囲のうち比較的小さい値である旨の判定結果に基づいて、目標減速度TGを実現するための制動力としてエンジン制動力を選択し、目標減速度TGに基づくエンジン制動力を得るために、無段変速機(CVT)43のシフト位置を保持した状態で、点火時期を遅らせる点火時期制御(リタード)を実行する。次いで、加減速ECU13は、処理の流れをステップS11に戻し、以降の処理を順次実行する。
ステップS15において、加減速ECU13の加減速制御部73は、ステップS12で設定された目標減速度TGが、TG第2閾値TGth2を超えるか否かを判定する。なお、TG第2閾値TGth2としては、運転者が要求する減速度としては、前記減速度範囲のうち中位程度の値を適宜採用すればよい。
ステップS15の判定の結果、目標減速度TGが、TG第2閾値TGth2を超える(ステップS15の「Yes」)旨の判定が下された場合、加減速ECU13は、処理の流れをステップS17へとジャンプさせる。一方、ステップS15の判定の結果、目標減速度TGが、TG第2閾値TGth2を超えない(ステップS15の「No」)旨の判定が下された場合、加減速ECU13は、処理の流れを次のステップS16へと進ませる。
ステップS16において、加減速ECU13の加減速制御部73は、目標減速度TGが前記減速度範囲のうち中の小程度の値(TGth1<TG<TGth2)である旨の判定結果に基づいて、目標減速度TGを実現するための制動力としてエンジン制動力を選択し、目標減速度TGに基づくエンジン制動力を得るために、無段変速機(CVT)43のシフト位置を保持した状態で、燃料供給を遮断する燃料遮断制御(フューエルカット)を実行する。次いで、加減速ECU13は、処理の流れをステップS11に戻し、以降の処理を順次実行する。
ステップS17において、加減速ECU13の加減速制御部73は、ステップS12で設定された目標減速度TGが、TG第3閾値TGth3を超えるか否かを判定する。なお、TG第3閾値TGth3としては、運転者が要求する減速度としては、前記減速度範囲のうち比較的大きい値を適宜採用すればよい。
ステップS17の判定の結果、目標減速度TGが、TG第3閾値TGth3を超える(ステップS17の「Yes」)旨の判定が下された場合、加減速ECU13は、処理の流れをステップS19へとジャンプさせる。一方、ステップS17の判定の結果、目標減速度TGが、TG第3閾値TGth3を超えない(ステップS17の「No」)旨の判定が下された場合、加減速ECU13は、処理の流れを次のステップS18へと進ませる。
ステップS18において、加減速ECU13の加減速制御部73は、目標減速度TGが前記減速度範囲のうち中の大程度の値(TGth2<TG<TGth3)である旨の判定結果に基づいて、目標減速度TGを実現するための制動力としてエンジン制動力を選択し、目標減速度TGに基づくエンジン制動力を得るために、燃料遮断制御、及び無断変速機CVT43をダウンシフトする変速制御を実行する。次いで、加減速ECU13は、処理の流れをステップS11に戻し、以降の処理を順次実行する。
ステップS19において、加減速ECU13の加減速制御部73は、目標減速度TGが前記減速度範囲のうち比較的大きい値(TG>TGth3)である旨の判定結果に基づいて、目標減速度TGを実現するための制動力としてエンジン制動力を選択し、目標減速度TGに基づくエンジン制動力を得るために、燃料遮断制御、変速制御、及び摩擦制動制御を実行する。次いで、加減速ECU13は、処理の流れをステップS11に戻し、以降の処理を順次実行する。
〔タイムチャートに基づく車両用制動装置11の動作説明〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の動作について、ワンペダルモードがオン設定されている状態で、定速走行を行っていた車両12がアクセルペダル21を踏戻し操作することで減速する例を例示して、図3を参照して説明する。図3は車両用制動装置11の動作説明に供するタイムチャート図であり、(a)はアクセルペダル操作に基づく目標減速度の時間推移を、(b)はエンジン出力の時間推移を、(c)はCVTギアレシオの時間推移を、(c)は制動力の時間推移を、それぞれ表す。
図3に示す時刻t0〜t1において、アクセルペダル21を徐々に踏戻す減速操作がなされている。この減速操作に伴って、目標減速度TGは漸減している(図3(a)参照)。図3に示す時刻t0〜t1は、本発明の「加速領域」に相当する。また、時刻t1時におけるAP加減速操作量は、本発明の「境界閾値」に相当する。
同時刻t0〜t1において、目標減速度TGの漸減に伴って、エンジン出力も漸減している(図3(b)参照)。CVTギアレシオは徐々にアップシフトされている(図3(c)参照)。車両12に対する制動力は作用していない(図3(d)参照)。
図3に示す時刻t1〜t3において、アクセルペダル21は、緩やかな減速操作がなされている。この減速操作に伴って、目標減速度TGは漸減している(図3(a)参照)。
同時刻t1〜t3において、目標減速度TGの漸減に伴って、エンジン出力は、点火時期を遅らせる点火時期制御によって漸減している(図3(b)参照)。CVTギアレシオは直前のシフト位置を保持している(図3(c)参照)。
同時刻t1〜t3において、実制動力として、点火時期制御に由来するエンジン制動力が単独で作用している(図3(d)参照)。本発明に係る実施形態では、摩擦制動力に対してエンジン制動力を優先して配分し、配分された大きさのエンジン制動力が目標減速度TGに満たない場合に、不足分の実制動力として摩擦制動力を配分するところ、同時刻t1〜t3では、点火時期制御に由来するエンジン制動力が目標減速度TGを充足しているためである。
なお、図3に示す時刻t2において、減少傾向を示す目標減速度TGが、TG第1閾値TGth1に到達している。これを受けて、図3に示す時刻t3以降において、エンジン制動力を発生させるための主たる制御が、点火時期制御から燃料遮断制御に移行している。ちなみに、時刻t2〜t3の時間間隔は、エンジン制動力を発生させるための主たる制御を点火時期制御から燃料遮断制御に移行させる際に生じるタイムラグである。
図3に示す時刻t3〜t4において、アクセルペダル21は、引き続き緩やかな減速操作がなされている。この減速操作に伴って、目標減速度TGは漸減している(図3(a)参照)。
時刻t3において、エンジン制動力を発生させるための主たる制御が、点火時期制御から燃料遮断制御に移行している(図3(b)参照)。同時刻t3〜t4において、エンジン出力は、燃料遮断制御によって一定の値を維持している(図3(b)参照)。CVTギアレシオは直前のシフト位置を保持している(図3(c)参照)。
同時刻t3〜t4において、実制動力として、燃料遮断制御に由来するエンジン制動力が単独で作用している(図3(d)参照)。本発明に係る実施形態では、摩擦制動力に対してエンジン制動力を優先して配分し、配分された大きさのエンジン制動力が目標減速度TGに満たない場合に、不足分の実制動力として摩擦制動力を配分するところ、同時刻t3〜t4では、燃料遮断制御に由来するエンジン制動力が目標減速度TGを充足しているためである。
なお、図3に示す時刻t4において、減少傾向を示す目標減速度TGが、TG第2閾値TGth2に到達している。これを受けて、図3に示す時刻t4以降において、エンジン制動力を発生させるための主たる制御が、燃料遮断制御からダウンシフトを伴う変速制御に移行している。
図3に示す時刻t4〜t5において、アクセルペダル21は、引き続き緩やかな減速操作がなされている。この減速操作に伴って、目標減速度TGは漸減している(図3(a)参照)。
時刻t4において、エンジン制動力を発生させるための主たる制御が、燃料遮断制御からダウンシフトを伴う変速制御に移行している(図3(b),(c)参照)。同時刻t4〜t5において、エンジン出力は、燃料遮断制御によって一定の値を維持している(図3(b)参照)。CVTギアレシオはダウンシフトされている(図3(c)参照)。
同時刻t4〜t5において、実制動力として、燃料遮断制御及びダウンシフトを伴う変速制御の相乗作用に由来するエンジン制動力が単独で作用している(図3(d)参照)。本発明に係る実施形態では、摩擦制動力に対してエンジン制動力を優先して配分し、配分された大きさのエンジン制動力が目標減速度TGに満たない場合に、不足分の実制動力として摩擦制動力を配分するところ、同時刻t4〜t5では、燃料遮断制御及びダウンシフトを伴う変速制御の相乗作用に由来するエンジン制動力が、目標減速度TGを充足しているためである。
なお、図3に示す時刻t5において、減少傾向を示す目標減速度TGが、TG第3閾値TGth3に到達している。これを受けて、図3に示す時刻t5以降において、実制動力として、燃料遮断制御及びダウンシフトを伴う変速制御の相乗作用に由来するエンジン制動力に加えて、摩擦制動力が作用している(図3(d)参照)。本発明に係る実施形態では、摩擦制動力に対してエンジン制動力を優先して配分し、配分された大きさのエンジン制動力が目標減速度TGに満たない場合に、不足分の実制動力として摩擦制動力を配分するところ、時刻t5以降では、燃料遮断制御及びダウンシフトを伴う変速制御の相乗作用に由来するエンジン制動力が目標減速度TGに満たないためである。
図3に示す時刻t5〜t6において、アクセルペダル21は、引き続き緩やかな減速操作がなされている。この減速操作に伴って、目標減速度TGは漸減している(図3(a)参照)。
時刻t5以降において、実制動力を発生させるための制御として、燃料遮断制御及びダウンシフトを伴う変速制御に加えて、摩擦制動制御が実行されている(図3(b),(c),(d)参照)。同時刻t5以降において、エンジン出力は、燃料遮断制御によって一定の値を維持している(図3(b)参照)。CVTギアレシオは直前のシフト位置を維持している(図3(c)参照)。ただし、同時刻t5以降において、必要に応じて、CVTギアレシオがダウンシフトされていてもよい。
時刻t5以降において、実制動力として、燃料遮断制御及びダウンシフトを伴う変速制御の相乗作用に由来するエンジン制動力に加えて、摩擦制動力が作用している(図3(d)参照)。本発明に係る実施形態では、摩擦制動力に対してエンジン制動力を優先して配分し、配分された大きさのエンジン制動力が目標減速度TGに満たない場合に、不足分の実制動力として摩擦制動力を配分するところ、時刻t5以降では、燃料遮断制御及びダウンシフトを伴う変速制御の相乗作用に由来するエンジン制動力が、目標減速度TGに満たないためである。
なお、図3に示す時刻t6において、減少傾向を示していた目標減速度TGが、最大となる減速度に対応する値に到達している。これを受けて、図3に示す時刻t6以降において、実制動力が、時刻t6直前の値を維持している。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の作用効果〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の作用効果について説明する。
第1の観点に基づく車両用制動装置11は、車両12の車輪に摩擦制動部材45を作用させることで摩擦制動力を発生させる摩擦制動部(摩擦制動機構)37と、車両12を加減速する際に操作され、当該加減速に係る操作範囲に加速領域及び減速領域が境界閾値P1を挟んで設定されたアクセルペダル(加減速操作子)21と、車両12に搭載された内燃機関エンジン41及び無断変速機(動力伝達機構)43を有し、車両12に対して駆動力及びエンジン制動力を発生させる駆制動機構35と、アクセルペダル21が減速操作された際に、当該減速操作に基づく目標減速度TGを設定する目標加減速度設定部(目標減速度設定部)71と、アクセルペダル21が減速操作された際に、車両に作用する実制動力が、目標加減速度設定部71により設定された目標減速度TGに基づく大きさの目標制動力に追従するように、所定の規則に従い配分されて摩擦制動機構37に係る摩擦制動力及び駆制動機構35に係るエンジン制動力の両者又はエンジン制動力からなる実制動力を用いて車両12の制動制御を行う加減速制御部(制動制御部)73と、を備え、加減速制御部73は、実制動力として、摩擦制動力に対してエンジン制動力を前記規則に従い優先して配分し、当該配分された大きさのエンジン制動力が目標制動力に満たない場合に、当該不足分の実制動力として摩擦制動力を配分する構成を採用することとした。目標減速度TGに基づく大きさの目標制動力は、目標減速度に車両の質量を乗算することで求めればよい。
第1の観点に基づく車両用制動装置11によれば、アクセルペダル21の減速操作に基づく実制動力として摩擦制動力の適用が想定される場合に、摩擦制動部材45がフェード状態に陥る事態を抑制することができる。
第2の観点に基づく車両用制動装置11は、第1の観点に基づく車両用制動装置11であって、車両12が走行中の道路に係る勾配情報を取得する入出力部(勾配情報取得部)61をさらに備え、加減速制御部73は、車両12が降坂路を走行中の場合に、車両12が平坦路を走行中の場合と比べて、実制動力のうちエンジン制動力が占める割合を増加させる構成を採用してもよい。
第2の観点に基づく車両用制動装置11によれば、車両12が降坂路を走行中の場合には、車両12が平坦路を走行中の場合と比べて、実制動力のうち摩擦制動力が占める割合を相対的に減少させるため、摩擦制動部材45がフェード状態に陥る事態を抑制することができる。
第3の観点に基づく車両用制動装置11は、第2の観点に基づく車両用制動装置11であって、加減速制御部73は、車両12が降坂路を走行中の場合に、勾配情報に基づく勾配値SLが所定の勾配閾値SLthを超える度合いが増すほど、実制動力のうちエンジン制動力が占める割合を増加させる構成を採用してもよい。
第3の観点に基づく車両用制動装置11によれば、加減速制御部73は、車両12が降坂路を走行中の場合に、勾配情報に基づく勾配値SLが勾配閾値SLthを超える度合いが増すほど、つまり、降坂路が急勾配になるほど、実制動力のうちエンジン制動力が占める割合を増加させるため、第2の観点に基づく車両用制動装置11と比べて、実制動力のうち摩擦制動力が占める割合を相対的にさらに減少させる結果として、摩擦制動部材がフェード状態に陥る事態を一層抑制することができる。
第4の観点に基づく車両用制動装置11は、第1〜第3のいずれかの観点に基づく車両用制動装置11であって、摩擦制動部材45の温度情報を取得する入出力部(温度情報取得部)61をさらに備え、加減速制御部73は、摩擦制動部材45の温度値RTが所定の温度閾値RTthを超える場合に、摩擦制動部材45の温度値RTが温度閾値RTth以下である場合と比べて、実制動力のうちエンジン制動力が占める割合を増加させる構成を採用してもよい。
第4の観点に基づく車両用制動装置11によれば、摩擦制動部材45の温度値RTが温度閾値RTthを超える場合には、実制動力のうち摩擦制動力が占める割合を相対的に減少させるため、摩擦制動部材45がフェード状態に陥る事態を抑制することができる。
第5の観点に基づく車両用制動装置11は、第4の観点に基づく車両用制動装置11であって、加減速制御部73は、摩擦制動部材45の温度値RTが温度閾値RTthを超える度合いが増すほど、実制動力のうちエンジン制動力が占める割合を増加させる構成を採用してもよい。
第5の観点に基づく車両用制動装置11によれば、摩擦制動部材45の温度値RTが温度閾値RTthを超える度合いが増すほど、実制動力のうちエンジン制動力が占める割合を増加させるため、第4の観点に基づく車両用制動装置11と比べて、実制動力のうち摩擦制動力が占める割合を相対的にさらに減少させる結果として、摩擦制動部材45がフェード状態に陥る事態を一層抑制することができる。
第6の観点に基づく車両用制動装置11は、第1〜第5の観点のいずれか一に基づく車両用制動装置11であって、駆制動機構35に係るエンジン制動力は、内燃機関エンジン41の点火時期を遅らせる点火時期制御、内燃機関エンジン41への燃料供給を遮断する燃料遮断制御、及び、無段変速機43をダウンシフトする変速制御のうち少なくともいずれかにより発生するものであり、加減速制御部73は、点火時期制御、燃料遮断制御、及び、ダウンシフト変速制御のうち少なくともいずれか一又は複数の組み合わせに係る制御を実行させることにより、実制動力として配分された大きさのエンジン制動力を発生させる構成を採用してもよい。
第6の観点に基づく車両用制動装置11によれば、加減速制御部73は、点火時期制御、燃料遮断制御、及び、変速制御のうち少なくともいずれか一又は複数の組み合わせに係る制御を実行させることにより、実制動力として配分された所要の大きさのエンジン制動力を発生させるため、エンジン制動力の発生に伴って運転者に違和感を抱かせることを抑制することができる。
第7の観点に基づく車両用制動装置11は、第6の観点に基づく車両用制動装置11であって、発生可能なエンジン制動力の大きさ及び調整範囲は、点火時期制御、燃料遮断制御、変速制御の順序で大であり、加減速制御部73は、実制動力として配分されたエンジン制動力の(所要の)大きさが増すにつれて、点火時期制御、燃料遮断制御、変速制御の順序で、主として実行する制御を逐次移行させる構成を採用してもよい。
第7の観点に基づく車両用制動装置11によれば、例えば、車両12が比較的高い車速で走行中に、所要の大きさのエンジン制動力を得るために、車室内の乗員に与える影響を考慮することなしに、急激なエンジン回転速度の上昇を伴う、ダウンシフト変速制御によるエンジン制動力の発生を唐突に行わせるケース(このケースでは、エンジン回転速度の急増に由来する騒音が発生)と比べて、アクセルペダル21の減速操作に基づくエンジン制動力の発生に伴って運転者に違和感を抱かせる事態を抑制することができる。
〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
11 車両用制動装置
12 車両
21 アクセルペダル(加減速操作子)
35 駆制動機構
37 摩擦制動機構(摩擦制動部)
41 内燃機関エンジン
43 無断変速機(動力伝達機構)
45 摩擦制動部材
61 入出力部(勾配情報取得部、温度情報取得部)
71 目標加減速度設定部(目標減速度設定部)
73 加減速制御部(制動制御部)
TG 目標減速度
TGth1 TG第1閾値
TGth2 TG第2閾値
TGth3 TG第3閾値
SLth 勾配閾値
RTth 温度閾値

Claims (6)

  1. 車両の車輪に摩擦制動部材を作用させることで摩擦制動力を発生させる摩擦制動部と、
    前記車両を加減速する際に操作され、当該加減速に係る操作範囲に加速領域及び減速領域が設定された加減速操作子と、
    前記車両に搭載された内燃機関エンジン及び動力伝達機構を有し、当該車両に対して駆動力及びエンジン制動力を発生させる駆制動機構と、
    前記車両が走行中の道路に係る勾配情報を取得する勾配情報取得部と、
    前記加減速操作子が減速操作された際に、当該減速操作に基づく目標減速度を設定する目標減速度設定部と、
    前記加減速操作子が減速操作された際に、前記車両に作用する実制動力が、前記目標減速度設定部により設定された目標減速度に基づく大きさの目標制動力に追従するように、所定の規則に従い配分されて前記摩擦制動部に係る前記摩擦制動力及び前記駆制動機構に係るエンジン制動力の両者又は前記エンジン制動力からなる実制動力を用いて前記車両の制動制御を行う制動制御部と、を備え、
    前記制動制御部は、前記実制動力として、前記摩擦制動力に対して前記エンジン制動力を前記規則に従い優先して配分し、当該配分された大きさのエンジン制動力が前記目標制動力に満たない場合に、当該不足分の実制動力として前記摩擦制動力を配分する一方、前記車両が降坂路を走行中の場合に、前記車両が平坦路を走行中の場合と比べて、前記実制動力のうち前記エンジン制動力が占める割合を増加させる
    ことを特徴とする車両用制動装置。
  2. 請求項1に記載の車両用制動装置であって、
    前記制動制御部は、前記車両が降坂路を走行中の場合に、前記勾配情報に基づく勾配値が所定の勾配閾値を超える度合いが増すほど、前記実制動力のうち前記エンジン制動力が占める割合を増加させる
    ことを特徴とする車両用制動装置。
  3. 車両の車輪に摩擦制動部材を作用させることで摩擦制動力を発生させる摩擦制動部と、
    前記車両を加減速する際に操作され、当該加減速に係る操作範囲に加速領域及び減速領域が設定された加減速操作子と、
    前記車両に搭載された内燃機関エンジン及び動力伝達機構を有し、当該車両に対して駆動力及びエンジン制動力を発生させる駆制動機構と、
    前記摩擦制動部材の温度情報を取得する温度情報取得部と、
    前記加減速操作子が減速操作された際に、当該減速操作に基づく目標減速度を設定する目標減速度設定部と、
    前記加減速操作子が減速操作された際に、前記車両に作用する実制動力が、前記目標減速度設定部により設定された目標減速度に基づく大きさの目標制動力に追従するように、所定の規則に従い配分されて前記摩擦制動部に係る前記摩擦制動力及び前記駆制動機構に係るエンジン制動力の両者又は前記エンジン制動力からなる実制動力を用いて前記車両の制動制御を行う制動制御部と、を備え、
    前記制動制御部は、前記実制動力として、前記摩擦制動力に対して前記エンジン制動力を前記規則に従い優先して配分し、当該配分された大きさのエンジン制動力が前記目標制動力に満たない場合に、当該不足分の実制動力として前記摩擦制動力を配分する一方、前記温度情報に基づく前記摩擦制動部材の温度値が所定の温度閾値を超える場合に、前記摩擦制動部材の温度値が所定の温度閾値以下である場合と比べて、前記実制動力のうち前記エンジン制動力が占める割合を増加させる
    ことを特徴とする車両用制動装置。
  4. 請求項3に記載の車両用制動装置であって、
    前記制動制御部は、前記摩擦制動部材の温度値が前記温度閾値を超える度合いが増すほど、前記実制動力のうち前記エンジン制動力が占める割合を増加させる
    ことを特徴とする車両用制動装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用制動装置であって、
    前記駆制動機構に係るエンジン制動力は、前記内燃機関エンジンの点火時期を遅らせる点火時期制御、前記内燃機関エンジンへの燃料供給を遮断する燃料遮断制御、及び、前記動力伝達機構が有する変速機をダウンシフトする変速制御のうち少なくともいずれかにより発生するものであり、
    前記制動制御部は、前記点火時期制御、前記燃料遮断制御、及び、前記変速制御のうち少なくともいずれか一又は複数の組み合わせに係る制御を実行させることにより、前記実制動力として配分された大きさのエンジン制動力を発生させる
    ことを特徴とする車両用制動装置。
  6. 請求項5に記載の車両用制動装置であって、
    発生可能な前記エンジン制動力の大きさ及び調整範囲は、前記点火時期制御、前記燃料遮断制御、前記変速制御の順序で大であり、
    前記制動制御部は、前記実制動力として配分されたエンジン制動力の大きさが増すにつれて、前記点火時期制御、前記燃料遮断制御、前記変速制御の順序で、主として実行する制御を逐次移行させる
    ことを特徴とする車両用制動装置。
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