JP6162657B2 - 車両用走行制御装置 - Google Patents
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Description
[A1.車両10の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用走行制御装置としての電子制御装置34(以下「ECU34」という。)を搭載した車両10のブロック図である。第1実施形態の車両10は、エンジン車両である。
(A2−1.ワンペダルモードでの基本的な加減速特性)
図2は、第1実施形態のワンペダルモードで用いる基本的な加減速特性(基準特性Cref)の一例を示す図である。図2において、横軸はAP操作量θapであり、縦軸は目標加減速度Gtarである。基準特性Crefは、車速V毎に変化させる。
(A2−2−1.基本的な考え方)
図3及び図4は、第1実施形態におけるエンジンブレーキと摩擦ブレーキの関係を説明するための第1・第2説明図である。図3では、目標減速度Dtar(目標加減速度Gtar)と、摩擦ブレーキ減速度Dfrbと、エンジンブレーキ減速度Dengbとが示されている。摩擦ブレーキ減速度Dfrbは、摩擦制動力Ffrbにより実現される車両10の減速度Dを意味する。エンジンブレーキ減速度Dengbは、エンジンブレーキによる制動力Fengb(以下「エンジン制動力Fengb」という。)により実現される車両10の減速度Dを意味する。
(A2−2−2−1.全体的な流れ)
図5は、第1実施形態のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。図5では、アクセルペダル16のみが操作され、ブレーキペダル18は操作されていないこと(すなわち、ブレーキペダル18の操作による減速は、別途、制御ロジックを設けること)に留意されたい。図5のステップS1は、Gtar設定部60が実行し、ステップS2〜S7は、減速制御部64が実行し、ステップS8は、加速制御部62が実行する。
図6は、第1実施形態におけるエンジン制動力Fengb及び摩擦制動力Ffrbの設定方法を説明するブロック図である。図7は、第1実施形態における摩擦ブレーキのみの作動時での摩擦ブレーキ制御のフローチャート(図5のS5の詳細)である。図8は、第1実施形態におけるエンジンブレーキ作動時での摩擦ブレーキ制御のフローチャート(図5のS6の一部の詳細)である。図5と同様、図6〜図8では、アクセルペダル16のみが操作され、ブレーキペダル18は操作されていないこと(すなわち、ブレーキペダル18の操作による減速は、別途、制御ロジックを設けること)に留意されたい。
図6の目標加減速度算出器90(以下「Gtar算出器90」ともいう。)において、ECU34は、AP操作量θap及び車速Vに基づいて目標加減速度Gtar(目標減速度Dtar)を算出する。なお、ここでは、Gtar算出器90は、AP操作量θap及び車速Vに基づいて目標加減速度Gtarを算出するように示しているが、その他の入力値(走行抵抗等)にも基づいて目標加減速度Gtarを算出してもよい。
図6に示すように、Dtar分配器92とエンジン制御モジュール70との間には、オンオフスイッチ94(以下「スイッチ94」ともいう。)が配置されている。スイッチ94は、ブレーキ制御モジュール72により制御される。
目標減速度Dtar(目標加減速度Gtar)が負の閾値THdtarを超えないとき(図5のS4:YES)、ブレーキ制御モジュール72は、目標減速度Dtar自体に基づいてブレーキ機構14を制御する(図7)。この際、エンジンブレーキは作動しておらず、摩擦ブレーキ減速度Dfrbのみが発生する(図3のt1〜t2、t3〜t4)。
図9は、第1実施形態におけるエンジンブレーキと摩擦ブレーキの関係を説明するための第3説明図である。図9は、摩擦ブレーキの作動時間Tfrbが時間閾値THtfrbを超える場合(図5のS3:NO)を含んでいる。
以上のように、第1実施形態によれば、車両10の目標減速度Dtarが減速度閾値THdtarを下回り(図5のS4:YES)且つ摩擦ブレーキによる制動時間Tfrbが時間閾値THtfrbを下回っていれば(S3:YES)、エンジンブレーキを停止した状態で、摩擦ブレーキを用いて車両10を制動する(S5)。エンジンブレーキと比較した場合、摩擦ブレーキの方が応答性が高い傾向にある。第1実施形態によれば、アクセルペダル16(操作ペダル)により比較的微小な加減速操作が短い時間で繰り返された場合、摩擦ブレーキで減速を行うこととなる。このため、応答性よく減速を行うことで、車両10のハンチング状態を防止することが可能となる。
[B1.車両10Aの構成(第1実施形態との相違)]
図10は、本発明の第2実施形態に係る車両用走行制御装置としての電子制御装置34a(以下「ECU34a」という。)を搭載した車両10Aのブロック図である。第1実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
(B2−1.ワンペダルモードでの基本的な加減速特性)
第2実施形態におけるワンペダルモードでの基本的な加減速特性については、第1実施形態(図2)と同様である。
(B2−2−1.基本的な考え方)
図11及び図12は、第2実施形態におけるエンジンブレーキと回生ブレーキの関係を説明するための第1・第2説明図である。図11では、目標減速度Dtar(目標加減速度Gtar)と、回生ブレーキ減速度Dregbと、エンジンブレーキ減速度Dengbとが示されている。回生ブレーキ減速度Dregbは、回生制動力Fregbにより実現される車両10Aの減速度Dを意味する。
(B2−2−2−1.全体的な流れ)
図13は、第2実施形態のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。図13では、アクセルペダル16のみが操作され、ブレーキペダル18は操作されていないことに留意されたい。図13のステップS31は、Gtar設定部60が実行し、ステップS32〜S36は、減速制御部64aが実行し、ステップS37は、加速制御部62が実行する。
図14は、第2実施形態におけるエンジン制動力Fengb及び回生制動力Fregbの設定方法を説明するブロック図である。図15は、第2実施形態における回生ブレーキのみの作動時での回生ブレーキ制御のフローチャート(図13のS34の詳細)である。図16は、第2実施形態におけるエンジンブレーキ作動時での回生ブレーキ制御のフローチャート(図13のS35の一部の詳細)である。図13と同様、図14〜図16では、アクセルペダル16のみが操作され、ブレーキペダル18は操作されていないこと(すなわち、ブレーキペダル18の操作による減速は、別途、制御ロジックを設けること)に留意されたい。
図14において、Gtar設定部60及びエンジン制御モジュール70での処理は、第1実施形態と同様である。
目標加減速度Gtarが負の閾値THdtarを超えないとき(図13のS33:YES)、モータ制御モジュール160は、目標加減速度Gtar自体に基づいてインバータ152を介してモータ150の回生を制御する(図15)。この際、エンジンブレーキは作動しておらず、回生ブレーキ減速度Dregbのみが発生する(図11のt21〜t22、t23〜t24)。
以上のように、第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏することが可能である。
なお、本発明は、上記各実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
第1実施形態では、車両10をエンジン車両とし(図1)、第2実施形態では、車両10Aをハイブリッド車両とした(図10)。しかしながら、例えば、複数種類のブレーキの応答性に着目すれば、これに限らない。例えば、車両10、10Aは、ハイブリッド車以外の電動車両(燃料電池車を含む。)であってもよい。
第2実施形態の車両10Aは、摩擦ブレーキを作動させるブレーキ機構14を有していた(図10)。しかしながら、例えば、エンジンブレーキの応答遅れを回生ブレーキで補償する観点からすれば、車両10Aは、必ずしもブレーキ機構14を備えていなくてもよい。
上記各実施形態では、AP操作モードとして通常モードとワンペダルモードを用いた。しかしながら、例えば、ワンペダルモードに着目すれば、通常モードを省略することも可能である。
上記各実施形態では、加減速特性(基準特性Cref、図2)を車速Vに応じて変化させたが、車速Vに応じて変化させないこと(例えば、車速Vにかかわらず固定された加減速特性とすること)も可能である。
第1実施形態では、図5に示すフローチャートでエンジンブレーキ及び摩擦ブレーキの作動を制御し、第2実施形態では、図13に示すフローチャートでエンジンブレーキ及び回生ブレーキの作動を制御した。しかしながら、例えば、複数種類のブレーキの特性の相違に着目すれば、これに限らない。
(C5−1−1.第1変形例における処理)
図17は、第1変形例のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。図17は、図5(エンジンブレーキ及び摩擦ブレーキ)と図13(エンジンブレーキ及び回生ブレーキ)を組み合わせたものである。第1変形例のハードウェアの構成は、図10と同様のものを用いることができる。すなわち、第1変形例の車両10Aは、ハイブリッド車両である。
以上のような第1変形例によれば、第1・第2実施形態の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏することが可能である。
(C5−2−1.第2変形例における処理)
図18は、第2変形例のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。図18は、回生ブレーキを中心とした目標減速度Dtarの達成を図るものである。第2変形例のハードウェアの構成は、図10と同様のものを用いることができる。すなわち、第2変形例の車両10Aは、ハイブリッド車両である。
以上のような第2変形例によれば、第1・第2実施形態及び第1変形例の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏することが可能である。
上記各実施形態では、ハイパスフィルタ110、180を用いて摩擦制動力Ffrb又は回生制動力Fregbを設定した(図6、図14参照)。しかしながら、例えば、アクセルペダル16の操作速度(AP操作量θapの時間微分値)に応じて摩擦制動力Ffrb又は回生制動力Fregbを発生させる観点からすれば、これに限らない。
図5のステップS6、図13のステップS35では、エンジンブレーキの作動を開始した際、合計減速度Dtotalが直ちに目標減速度Dtarと等しくなるように制御した(図4及び図12参照)。しかしながら、例えば、エンジンブレーキの応答遅れを補償する観点からすれば、これに限らない。例えば、合計減速度Dtotalを徐々に目標減速度Dtarに近付けていくように摩擦ブレーキ又は回生ブレーキによりエンジンブレーキの応答遅れを補償することも可能である。
16…アクセルペダル(操作ペダル)
28…摩擦係数推定部(スリップ状態検出手段)
30…スリップ検出部(スリップ状態検出手段)
34、34a…ECU(走行制御装置) 40…エンジン(内燃機関)
42…変速機 46…車輪
60…目標加減速度設定部(目標減速度設定手段)
72…ブレーキ制御モジュール(操作速度算出手段)
150…走行モータ(電動機) 154…バッテリ(蓄電装置)
D…車両の減速度 Dtar…目標減速度
Fengb…エンジン制動力 Ffrb…摩擦制動力
Tfrb…摩擦ブレーキの作動時間(制動時間)
THdtar…減速度閾値
THsoc…SOC閾値(蓄電量閾値) THtfrb…時間閾値
Sdtar…目標減速度信号(目標減速度を示す信号)
θap…AP操作量
Claims (5)
- 車輪との接触摩擦による摩擦ブレーキと、内燃機関又は変速機によるエンジンブレーキとを作動可能な車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定される車両用走行制御装置であって、
前記走行制御装置は、
前記減速領域における前記操作量に基づいて前記車両の目標減速度を設定する目標減速度設定手段と、
前記目標減速度を示す目標減速度信号のうち所定の周波数閾値を超えるもののみを通過させるハイパスフィルタと
を備え、
前記操作量が前記減速領域にあるとき、前記走行制御装置は、
前記摩擦ブレーキ及び前記エンジンブレーキのうち少なくとも一方を用いて前記車両を制動し、
前記目標減速度が所定の減速度閾値を下回り且つ前記摩擦ブレーキによる制動の連続時間又は累積時間である制動時間が所定の時間閾値を下回っていれば、前記エンジンブレーキを停止した状態で、前記摩擦ブレーキを用いて前記車両を制動し、
前記目標減速度が前記減速度閾値を下回り且つ前記摩擦ブレーキによる前記制動時間が前記時間閾値を上回っていれば、前記摩擦ブレーキによる摩擦制動力を抑制させると共に、前記エンジンブレーキによるエンジン制動力を発生させ、
前記目標減速度が前記減速度閾値を上回り且つ前記摩擦ブレーキによる前記制動時間が前記時間閾値を下回っている場合、前記走行制御装置は、
前記エンジンブレーキのみにより前記目標減速度を実現するよう前記エンジンブレーキによる前記エンジン制動力を発生させ、
前記目標減速度信号のうち前記ハイパスフィルタを通過した高周波成分に応じて前記摩擦ブレーキに前記摩擦制動力を発生させることで、前記エンジンブレーキによる前記エンジン制動力の立ち上がりにおける前記車両の減速度の不足を補償する
ことを特徴とする走行制御装置。 - 請求項1記載の走行制御装置において、
前記走行制御装置は、前記操作量の時間微分値である操作速度を算出する操作速度算出手段を備え、
さらに、前記走行制御装置は、
前記摩擦制動力及び前記エンジン制動力による前記車両の減速度が前記目標減速度に到達するように前記摩擦制動力及び前記エンジン制動力を制御し、
前記操作速度算出手段が算出した前記操作速度の絶対値が大きくなるほど、前記摩擦制動力を増加させる
ことを特徴とする走行制御装置。 - 請求項1又は2記載の走行制御装置において、
前記走行制御装置は、
前記車輪がスリップし易い状態であること又は前記車輪のスリップの発生を検出するスリップ状態検出手段を備え、
前記目標減速度が前記減速度閾値を下回り且つ前記摩擦ブレーキによる前記制動時間が前記時間閾値を下回っているときでも、前記スリップ状態検出手段により前記車輪がスリップし易い状態であること又は前記車輪のスリップの発生が検出された場合、前記摩擦制動力を抑制させると共に、前記エンジン制動力を発生させる
ことを特徴とする走行制御装置。 - 駆動源又は発電機として用いられる電動機による回生ブレーキと、内燃機関又は変速機によるエンジンブレーキとを作動可能であり且つ前記回生ブレーキによる回生電力を蓄積する蓄電装置を有する車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定される車両用走行制御装置であって、
前記走行制御装置は、
前記減速領域における前記操作量に基づいて前記車両の目標減速度を設定する目標減速度設定手段と、
前記目標減速度を示す目標減速度信号のうち所定の周波数閾値を超えるもののみを通過させるハイパスフィルタと
を備え、
前記操作量が前記減速領域にあるとき、前記走行制御装置は、
前記回生ブレーキ及び前記エンジンブレーキのうち少なくとも一方を用いて前記車両を制動し、
前記目標減速度が所定の減速度閾値を下回り且つ前記蓄電装置が満充電状態でない場合又は前記蓄電装置の蓄電量が所定の蓄電量閾値を下回っている場合、前記エンジンブレーキを停止した状態で、前記回生ブレーキを用いて前記車両を制動し、
前記目標減速度が前記減速度閾値を下回り且つ前記蓄電装置が満充電状態である場合又は前記蓄電装置の蓄電量が前記蓄電量閾値を上回っている場合、前記回生ブレーキによる回生制動力を抑制させると共に、前記エンジンブレーキによるエンジン制動力を発生させ、
前記目標減速度が前記減速度閾値を上回り且つ前記蓄電装置が満充電状態でない場合又は前記蓄電装置の蓄電量が前記蓄電量閾値を下回っている場合、前記走行制御装置は、
前記エンジンブレーキのみにより前記目標減速度を実現するよう前記エンジンブレーキによる前記エンジン制動力を発生させ、
前記目標減速度信号のうち前記ハイパスフィルタを通過した高周波成分に応じて前記回生ブレーキに前記回生制動力を発生させることで、前記エンジンブレーキによる前記エンジン制動力の立ち上がりにおける前記車両の減速度の不足を補償する
ことを特徴とする走行制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の走行制御装置において、
前記周波数閾値は、前記エンジン制動力の1次遅れに基づいて特定されることを特徴とする走行制御装置。
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