JP6162657B2 - 車両用走行制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、1つの操作ペダルの操作量に応じて車両の加速及び減速を制御する車両用走行制御装置に関する。
特許文献1では、単一のペダルの操作ストローク内に減速領域と加速領域とを形成し、該ペダルの操作量に応じて制動力発生装置、駆動力発生装置及び無段階変速機を制御して車両の加減速度を制御する加減速度制御装置10が開示されている(要約)。
加減速度制御装置10では、アクセルペダルの操作量に基づいて、車両に発生させるべき目標加減速度を決定する([0016])。目標加減速度は、出力軸トルクに変換され、走行抵抗トルクと足し合わされた上で、最終的な目標出力軸トルクとされて制駆動分配部26に入力される([0022])。制駆動分配部26は、目標出力軸トルクを駆動出力軸トルクと制動出力軸トルクに分配し、当該目標出力軸トルクを実現する目標駆動出力軸トルクと目標制動出力軸トルクを決定する([0024])。
制駆動分配部26では、例えばエンジンブレーキ領域よりも大きい減速が必要とされる場合にのみ、その必要分だけ目標制動出力軸トルクに分配されてよい(すなわち、エンジンブレーキ領域で発生可能な減速度より大きな減速が要求された場合にのみ、ブレーキマネージャ50により制動力発生装置が動作されるようにしてもよい)とされている。或いは、燃料カット領域のエンジン回転数が保持されるような態様で、目標出力軸トルクが目標制動出力軸トルクに分配されてもよいとされている([0024])。
特開2006−177442号公報
上記のように、特許文献1では、目標減速度を満たすためには、基本的にはエンジンブレーキを用いることが開示されている([0024])。エンジンブレーキは、例えば、エンジンの回転抵抗により実現されるものである。このため、例えば、摩擦ブレーキと比較して、エンジンブレーキにより目標減速度を実現するまでの時間が長くなる傾向にある。換言すると、エンジンブレーキは、アクセルペダル(操作ペダル)の操作に対する応答性が遅い傾向にある。
そのため、路面の起伏等により、比較的微小な加減速操作が短い時間で繰り返された場合、エンジンブレーキによる応答が遅く、運転者によるペダル操作と減速タイミングとがずれ、車両がハンチング状態(車両のピッチングが過度に起こっている状態)になるおそれがある。
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、1つの操作ペダルで車両の加減速を制御する構成において、操作ペダルの減速操作に対する応答性を向上可能な車両用走行制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る車両用走行制御装置は、車輪との接触摩擦による摩擦ブレーキと、内燃機関又は変速機によるエンジンブレーキとを作動可能な車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定されるものであって、前記走行制御装置は、前記減速領域における前記操作量に基づいて前記車両の目標減速度を設定する目標減速度設定手段を備え、前記操作量が前記減速領域にあるとき、前記走行制御装置は、前記摩擦ブレーキ及び前記エンジンブレーキのうち少なくとも一方を用いて前記車両を制動し、前記目標減速度が所定の減速度閾値を下回り且つ前記摩擦ブレーキによる制動の連続時間又は累積時間である制動時間が所定の時間閾値を下回っていれば、前記エンジンブレーキを停止した状態で、前記摩擦ブレーキを用いて前記車両を制動し、前記目標減速度が前記減速度閾値を下回り且つ前記摩擦ブレーキによる前記制動時間が前記時間閾値を上回っていれば、前記摩擦ブレーキによる摩擦制動力を抑制させると共に、前記エンジンブレーキによるエンジン制動力を発生させることを特徴とする。
本発明によれば、車両の目標減速度が減速度閾値を下回り且つ摩擦ブレーキによる制動時間が時間閾値を下回っていれば、エンジンブレーキを停止した状態で、摩擦ブレーキを用いて車両を制動する。エンジンブレーキと比較した場合、摩擦ブレーキの方が応答性が高い傾向にある。本発明によれば、1つの操作ペダルにより比較的微小な加減速操作が短い時間で繰り返された場合、摩擦ブレーキで減速を行うこととなる。このため、応答性よく減速を行うことで、車両のハンチング状態(車両のピッチングが過度に起こっている状態)を防止することが可能となる。
また、目標減速度が減速度閾値を下回っていても、摩擦ブレーキによる制動時間が時間閾値を上回っていれば、摩擦ブレーキによる摩擦制動力を抑制させると共に、エンジンブレーキによるエンジン制動力を発生させる。また、摩擦ブレーキによる制動時間が時間閾値を上回ることで、例えば、フェード現象又はベーパーロック現象が発生するような状況の場合、摩擦ブレーキによる摩擦制動力を抑制し、代わりにエンジンブレーキにより車両を制動する。これにより、フェード現象等を回避することが可能となる。
前記目標減速度が前記減速度閾値を上回り且つ前記摩擦ブレーキによる前記制動時間が前記時間閾値を下回っている場合、前記走行制御装置は、前記エンジンブレーキのみにより前記目標減速度を実現するよう前記エンジンブレーキによる前記エンジン制動力を発生させ、前記目標減速度を示す目標減速度信号の高周波成分に応じて前記摩擦ブレーキに前記摩擦制動力を発生させることで、前記エンジンブレーキによる前記エンジン制動力の立ち上がりにおける前記車両の減速度の不足を補償してもよい。
上記構成により、エンジン制動力の立ち上がり時には、摩擦制動力で補償することにより目標減速度を実現する。このため、摩擦ブレーキによるフェード現象を回避しながらも運転者の意図した制動力を応答性よく発揮することが可能となる。また、摩擦ブレーキは、目標減速度信号の高周波成分に対応させるため、摩擦ブレーキの利用を必要最低限に抑えることが可能となる。
前記走行制御装置は、前記操作量の時間微分値である操作速度を算出する操作速度算出手段を備え、さらに、前記走行制御装置は、前記摩擦制動力及び前記エンジン制動力による前記車両の減速度が前記目標減速度に到達するように前記摩擦制動力及び前記エンジン制動力を制御し、前記操作速度算出手段が算出した前記操作速度の絶対値が大きくなるほど、前記摩擦制動力を増加させてもよい。
これにより、目標減速度と、摩擦制動力及びエンジン制動力による車両の減速度との誤差を少なくすることが可能となる。
前記走行制御装置は、前記車輪がスリップし易い状態であること又は前記車輪のスリップの発生を検出するスリップ状態検出手段を備え、前記目標減速度が前記減速度閾値を下回り且つ前記摩擦ブレーキによる前記制動時間が前記時間閾値を下回っているときでも、前記スリップ状態検出手段により前記車輪がスリップし易い状態であること又は前記車輪のスリップの発生が検出された場合、前記摩擦制動力を抑制させると共に、前記エンジン制動力を発生させてもよい。
これにより、車輪がスリップし易い状態又は実際にスリップが発生した状態では、操作ペダルで減速操作が行われても摩擦制動力を抑制する。従って、摩擦制動力を抑制しつつ、エンジン制動力を作用させることで、より好適に車両を減速させることが可能となる。
本発明に係る車両用走行制御装置は、駆動源又は発電機として用いられる電動機による回生ブレーキと、内燃機関又は変速機によるエンジンブレーキとを作動可能であり且つ前記回生ブレーキによる回生電力を蓄積する蓄電装置を有する車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定されるものであって、前記走行制御装置は、前記減速領域における前記操作量に基づいて前記車両の目標減速度を設定する目標減速度設定手段を備え、前記操作量が前記減速領域にあるとき、前記走行制御装置は、前記回生ブレーキ及び前記エンジンブレーキのうち少なくとも一方を用いて前記車両を制動し、前記目標減速度が所定の減速度閾値を下回り且つ前記蓄電装置が満充電状態でない場合又は前記蓄電装置の蓄電量が所定の蓄電量閾値を下回っている場合、前記エンジンブレーキを停止した状態で、前記回生ブレーキを用いて前記車両を制動し、前記目標減速度が前記減速度閾値を下回り且つ前記蓄電装置が満充電状態である場合又は前記蓄電装置の蓄電量が前記蓄電量閾値を上回っている場合、前記回生ブレーキによる回生制動力を抑制させると共に、前記エンジンブレーキによるエンジン制動力を発生させることを特徴とする。
本発明によれば、車両の目標減速度が減速度閾値を下回り且つ蓄電装置が満充電状態でない場合又は蓄電装置の蓄電量が蓄電量閾値を下回っている場合、エンジンブレーキを停止した状態で、回生ブレーキを用いて車両を制動する。エンジンブレーキと比較した場合、回生ブレーキの方が応答性が高い傾向にある。本発明によれば、1つの操作ペダルにより比較的微小な加減速操作が短い時間で繰り返された場合、回生ブレーキで減速を行うこととなる。このため、応答性よく減速を行うことで、車両のハンチング状態を防止することが可能となる。
また、目標減速度が減速度閾値を下回り且つ蓄電装置が満充電状態である場合又は蓄電装置の蓄電量が蓄電量閾値を上回っている場合、回生ブレーキによる回生制動力を抑制させると共に、エンジンブレーキによるエンジン制動力を発生させる。これにより、蓄電装置の保護を図りつつ、車両の減速度を目標減速度に近付けることが可能となる。
本発明に係る車両用走行制御装置は、車輪との接触摩擦による摩擦ブレーキと、内燃機関又は変速機によるエンジンブレーキとを作動可能な車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定されるものであって、前記操作量が前記減速領域にあるとき、前記走行制御装置は、前記摩擦ブレーキ及び前記エンジンブレーキのうち少なくとも一方を用いて前記車両を制動し、前記操作量が所定の操作量閾値を上回り且つ前記摩擦ブレーキによる制動の連続時間又は累積時間である制動時間が所定の時間閾値を下回っていれば、前記エンジンブレーキを停止した状態で、前記摩擦ブレーキを用いて前記車両を制動し、前記操作量が前記操作量閾値を上回り且つ前記摩擦ブレーキによる前記制動時間が前記時間閾値を上回っていれば、前記摩擦ブレーキによる摩擦制動力を抑制させると共に、前記エンジンブレーキによるエンジン制動力を発生させることを特徴とする。
本発明によれば、減速領域における操作ペダルの操作量が操作量閾値を上回り且つ摩擦ブレーキによる制動時間が時間閾値を下回っていれば、エンジンブレーキを停止した状態で、摩擦ブレーキを用いて車両を制動する。エンジンブレーキと比較した場合、摩擦ブレーキの方が、操作量の変化に対する応答性が高い傾向にある。本発明によれば、1つの操作ペダルにより比較的微小な加減速操作が短い時間で繰り返された場合、摩擦ブレーキで減速を行うこととなる。このため、応答性よく減速を行うことで、車両のハンチング状態を防止することが可能となる。
また、減速領域における操作ペダルの操作量が操作量閾値を上回り且つ摩擦ブレーキによる制動時間が時間閾値を上回っていれば、摩擦ブレーキによる摩擦制動力を抑制させると共に、エンジンブレーキによるエンジン制動力を発生させる。また、摩擦ブレーキによる制動時間が時間閾値を上回ることで、例えば、フェード現象又はベーパーロック現象が発生するような状況の場合、摩擦ブレーキによる摩擦制動力を抑制し、代わりにエンジンブレーキにより車両を制動する。これにより、フェード現象等を回避することが可能となる。
本発明によれば、1つの操作ペダルで車両の加減速を制御する構成において、操作ペダルの減速操作に対する応答性を向上可能となる。
本発明の第1実施形態に係る車両用走行制御装置としての電子制御装置を搭載した車両のブロック図である。 第1実施形態のワンペダルモードで用いる基本的な加減速特性の一例を示す図である。 第1実施形態におけるエンジンブレーキと摩擦ブレーキの関係を説明するための第1説明図である。 第1実施形態におけるエンジンブレーキと摩擦ブレーキの関係を説明するための第2説明図である。 第1実施形態のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。 第1実施形態におけるエンジン制動力及び摩擦制動力の設定方法を説明するブロック図である。 第1実施形態における摩擦ブレーキのみの作動時での摩擦ブレーキ制御のフローチャート(図5のS5の詳細)である。 第1実施形態におけるエンジンブレーキ作動時での摩擦ブレーキ制御のフローチャート(図5のS6の一部の詳細)である。 第1実施形態におけるエンジンブレーキと摩擦ブレーキの関係を説明するための第3説明図である。 本発明の第2実施形態に係る車両用走行制御装置としての電子制御装置を搭載した車両のブロック図である。 第2実施形態におけるエンジンブレーキと回生ブレーキの関係を説明するための第1説明図である。 第2実施形態におけるエンジンブレーキと回生ブレーキの関係を説明するための第2説明図である。 第2実施形態のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。 第2実施形態におけるエンジン制動力及び回生制動力の設定方法を説明するブロック図である。 第2実施形態における回生ブレーキのみの作動時での回生ブレーキ制御のフローチャート(図13のS34の詳細)である。 第2実施形態におけるエンジンブレーキ作動時での回生ブレーキ制御のフローチャート(図13のS35の一部の詳細)である。 第1変形例のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。 第2変形例のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。
A.第1実施形態
[A1.車両10の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用走行制御装置としての電子制御装置34(以下「ECU34」という。)を搭載した車両10のブロック図である。第1実施形態の車両10は、エンジン車両である。
車両10は、ECU34に加え、エンジン機構12と、ブレーキ機構14と、アクセルペダル16と、ブレーキペダル18と、アクセルペダルセンサ20(以下「APセンサ20」ともいう。)と、ブレーキペダルセンサ22(以下「BPセンサ22」ともいう。)と、車速センサ24と、前後Gセンサ26(以下「Gセンサ26」ともいう。)と、摩擦係数推定部28(以下「μ推定部28」ともいう。)と、スリップ検出部30と、モード切替スイッチ32とを備える。
これらに加え、図示しない反力生成用アクチュエータ(モータ等)を設け、例えば、特開2006−117020号公報(以下「JP 2006−117020 A」という。)と同様に、アクセルペダル16に反力を付与し、後述する減速領域及び加速領域の境界を運転者に通知してもよい(JP 2006−117020 Aの図3〜図7参照)。
エンジン機構12は、エンジン40と、変速機42を含む。エンジン40は、車両10の駆動源であり、ECU34により制御される。本実施形態の変速機42は、無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)であるが、その他の変速機であってもよい。以下では、変速機42をCVT42ともいう。エンジン40及びCVT42の少なくとも一方によりエンジンブレーキを作動可能である。
ブレーキ機構14は、図示しない油圧装置、ブレーキパッド44等の構成要素を備え、車輪46に対して摩擦制動力Ffrbを付与する。ブレーキ機構14により摩擦ブレーキを作動可能である。
APセンサ20は、アクセルペダル16の原位置からの踏込み量(以下「操作量θap」又は「AP操作量θap」という。)[deg]を検出し、ECU34に出力する。BPセンサ22は、ブレーキペダル18の原位置からの踏込み量(以下「操作量θbp」又は「BP操作量θbp」という。)[deg]を検出し、ECU34に出力する。車速センサ24は、車両10の車速V[km/h]を検出してECU34に出力する。
前後Gセンサ26は、車両10の前後方向の加速度(以下「前後加速度G」又は「加減速度G」ともいう。)[m/s/s]を検出してECU34に出力する。μ推定部28は、路面摩擦係数μを推定してECU34に出力する。路面摩擦係数μの推定は、例えば、車両10の走行中にブレーキ機構14から車輪46に摩擦制動力Ffrbを瞬間的に加えたときの車両10の移動量に基づいて行う。
スリップ検出部30は、車輪46におけるスリップの発生を検出してECU34に通知する。スリップの検出は、例えば、車両10の走行中にブレーキペダル18の操作又は自動ブレーキに応じてブレーキ機構14から車輪46に摩擦制動力Ffrbを加えたときの車両10の移動量に基づいて行う。或いは、各車輪46の車輪速を比較して他の車輪46よりも車輪速が所定の車輪速閾値以上高い車輪46にスリップが発生していると判定してもよい。
モード切替スイッチ32は、アクセルペダル16による操作モード(以下「AP操作モード」ともいう。)を切り替えるためのスイッチであり、例えば、図示しないステアリング又はその周辺に配置される。AP操作モードには、通常モードと、ワンペダルモードとが含まれる。
ワンペダルモードは、AP操作量θap(操作ペダルの操作量)に応じて車両10の加速及び減速を制御するモードである。AP操作量θapが取り得る範囲のうち、例えば、20〜40%が減速に用いられる。加速のためのAP操作量θapの領域(以下「加速領域」という。)及び減速のためのAP操作量θapの領域(以下「減速領域」という。)は、車速Vに応じて切り替えることができる。
通常モードは、AP操作量θapに応じて車両10の加速を制御するモードであり、アクセルペダル16の原位置及びその周辺部分を除く略全ての領域が、基本的に車両10の加速に用いられる。但し、通常モードにおいて、エンジンブレーキは機能する。
ECU34は、操作量θap、θbp等の入力情報に基づいてエンジン機構12及びブレーキ機構14を制御するものであり、入出力部50、演算部52及び記憶部54を有する。
演算部52は、目標加減速度設定部60(以下「Gtar設定部60」ともいう。)と、加速制御部62と、減速制御部64とを有する。Gtar設定部60は、操作量θap、θbp等の入力情報に基づいて車両10の加減速度Gの目標値(以下「目標加減速度Gtar」という。)を設定する。
第1実施形態では、目標加減速度Gtarが正の値であるとき、車両10の加速を示し、目標加減速度Gtarが負の値であるとき、車両10の減速を示す。理解の容易化のため、負の値であるときの加速度G及び目標加減速度Gtarをそれぞれ減速度D及び目標減速度Dtarともいう。
加速制御部62は、Gtar設定部60が設定した目標加減速度Gtarに基づいて車両10の加速を制御する。減速制御部64は、Gtar設定部60が設定した目標加減速度Gtar(目標減速度Dtar)に基づいて車両10の減速を制御する。減速制御部64は、エンジン制御モジュール70と、ブレーキ制御モジュール72とを備える。
エンジン制御モジュール70は、目標減速度Dtarに基づいてエンジン機構12(エンジン40及びCVT42)を制御する。ブレーキ制御モジュール72は、BP操作量θbp又は目標減速度Dtarに基づいてブレーキ機構14を制御する。
記憶部54は、図示しない不揮発性メモリ及び揮発性メモリを有する。不揮発性メモリは、例えば、フラッシュメモリ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)であり、演算部52における処理を実行するためのプログラム等が記憶されている。揮発性メモリは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)であり、演算部52が処理を実行する際に用いられる。
[A2.ワンペダルモードにおける目標加減速度Gtarの設定]
(A2−1.ワンペダルモードでの基本的な加減速特性)
図2は、第1実施形態のワンペダルモードで用いる基本的な加減速特性(基準特性Cref)の一例を示す図である。図2において、横軸はAP操作量θapであり、縦軸は目標加減速度Gtarである。基準特性Crefは、車速V毎に変化させる。
上記のように、ワンペダルモードは、AP操作量θap(操作ペダルの操作量)に応じて車両10の加速及び減速を制御するモードである。図2に示すように、AP操作量θapについて、減速領域及び加速領域が設けられる。減速領域は、相対的に小さいAP操作量θap(0≦θap<θref)に対応し、加速領域は、相対的に大きいAP操作量(θref<θap≦θmax)に対応する。以下では、減速領域と加速領域の閾値を境界閾値θref又は閾値θrefともいう。また、AP操作量θapが取り得る最大値を最大操作量θmaxという。
減速領域のうち閾値θ1よりも大きく閾値θref未満の範囲においては、ECU34は、AP操作量θapが減少するほど車両10の減速度D(加減速度G)の絶対値が大きくなるようにエンジン40、CVT42及びブレーキ機構14の少なくとも1つを制御する。減速領域のうち0以上θ1以下の範囲においては、ECU34は、車両10の目標加減速度Gtar(目標減速度Dtar)が最小目標加減速度Gtar_min(=最大減速度)で一定となるようにエンジン40を制御する。
加速領域のうち境界閾値θrefよりも大きく閾値θ2未満の範囲においては、ECU34は、AP操作量θapが増加するほど車両10の加速度(加減速度G)が大きくなるようにエンジン機構12を制御する。加速領域のうち閾値θ2以上且つ最大操作量θmax以下の範囲においては、ECU34は、車両10の目標加減速度Gtarが最大目標加減速度Gtar_maxで一定となるようにエンジン機構12を制御する。
(A2−2.車両10の減速時における処理)
(A2−2−1.基本的な考え方)
図3及び図4は、第1実施形態におけるエンジンブレーキと摩擦ブレーキの関係を説明するための第1・第2説明図である。図3では、目標減速度Dtar(目標加減速度Gtar)と、摩擦ブレーキ減速度Dfrbと、エンジンブレーキ減速度Dengbとが示されている。摩擦ブレーキ減速度Dfrbは、摩擦制動力Ffrbにより実現される車両10の減速度Dを意味する。エンジンブレーキ減速度Dengbは、エンジンブレーキによる制動力Fengb(以下「エンジン制動力Fengb」という。)により実現される車両10の減速度Dを意味する。
また、図4において、領域80は、エンジン制動力Fengbに相当する領域(以下「エンジンブレーキ領域80」ともいう。)である。領域82は、摩擦ブレーキによる制動力Ffrb(摩擦制動力Ffrb)に相当する領域(以下「摩擦ブレーキ領域82」ともいう。)である。
図3に示すように、第1実施形態では、目標加減速度Gtarが負の値であり且つ負の閾値THdtarを超えないとき、基本的には、摩擦ブレーキのみを用いる(図3の時点t1〜t2、t3〜t4)。一方、目標加減速度Gtarが負の値であり且つ負の閾値THdtarを超えるとき、基本的には、エンジンブレーキのみを用いる(図3の時点t5以降)。
また、エンジン制動力Fengbが変化する際には、摩擦ブレーキを補助的に利用する。図4に示すように、エンジン減速度Dengb(エンジン制動力Fengb)には、1次遅れが発生する。このため、エンジン制動力Fengbの立ち上がり(応答性)は、摩擦ブレーキよりも低い。
そこで、第1実施形態では、エンジン制動力Fengbが変化する際には、摩擦ブレーキを併せて作動させる(時点t4〜t5)。そして、エンジン制動力FengbがAP操作量θapに対応する値(目標減速度Dtar)となる時点t5までは、摩擦制動力Ffrbを併せて発生させて、目標減速度Dtarを迅速に実現させる。
(A2−2−2.具体的処理)
(A2−2−2−1.全体的な流れ)
図5は、第1実施形態のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。図5では、アクセルペダル16のみが操作され、ブレーキペダル18は操作されていないこと(すなわち、ブレーキペダル18の操作による減速は、別途、制御ロジックを設けること)に留意されたい。図5のステップS1は、Gtar設定部60が実行し、ステップS2〜S7は、減速制御部64が実行し、ステップS8は、加速制御部62が実行する。
ステップS1において、ECU34は、車両10が減速中であるか否かを判定する。具体的には、ECU34は、目標加減速度Gtarが負の値であるか否かを判定する。車両10が減速中である場合(S1:YES)、ステップS2に進む。
ステップS2において、ECU34は、車両10の車輪46が実際にスリップしているか否か及び車輪46にスリップが発生する可能性が高いか否かを判定する。具体的には、ECU34は、車輪46が実際にスリップしているか否かを、スリップ検出部30からの出力に基づいて判定する。また、ECU34は、車輪46にスリップが発生する可能性が高いか否かを、μ推定部28からの路面摩擦係数μに基づいて判定する。すなわち、係数μが所定の摩擦係数閾値THμ(以下「閾値THμ」ともいう。)よりも小さい場合、車輪46にスリップが発生する可能性が高いと判定する。係数μが閾値THμよりも小さくない場合、車輪46にスリップが発生する可能性が高くないと判定する。
車輪46が実際にスリップしておらず且つ車輪46にスリップが発生する可能性が高くない場合(S2:NO)、ステップS3に進む。
ステップS3において、ECU34は、摩擦ブレーキのブレーキパッド44にフェード現象が発生する可能性が低いか否かを判定する。具体的には、ECU34は、摩擦ブレーキの作動時間Tfrbが所定の時間閾値THtfrb(以下「閾値THtfrb」ともいう。)以下であるか否かを判定する。作動時間Tfrbは、摩擦ブレーキの作動が継続している時間を示す。作動時間Tfrbは、所定期間内の累積値としてもよい。
ブレーキパッド44にフェード現象が発生する可能性が低い場合(S3:YES)、ステップS4において、ECU34は、目標減速度Dtarの絶対値が比較的小さいか否かを判定する。具体的には、ECU34は、目標減速度Dtarの絶対値が所定の減速度閾値THdtarの絶対値以下であるか否かを判定する。
目標減速度Dtarの絶対値が比較的小さい場合(S4:YES)、ECU34は、ステップS5において、摩擦ブレーキを作動させる(図3の時点t1〜t2、t3〜t4)。この際の摩擦ブレーキの制御については、図7等を参照して後述する。
目標減速度Dtarの絶対値が比較的小さくない場合(S4:NO)、ECU34は、ステップS6において、エンジンブレーキを作動させると共に、摩擦ブレーキを補助的に作動させる。ステップS6の詳細は、図8等を参照して後述する。
図5のステップS2において、車両10の車輪46が実際にスリップしている場合若しくは車輪46にスリップが発生する可能性が高い場合(S2:YES)、又はステップS3において、ブレーキパッド44にフェード現象が発生する可能性が低くない場合(S3:NO)、ステップS7に進む。ステップS7において、ECU34は、摩擦ブレーキを作動させずに、エンジンブレーキを作動させる。なお、ブレーキパッド44のフェード現象を回避する観点からすれば、ステップS6では、摩擦制動力Ffrbをゼロとはせずにゼロ近傍値とすることも可能である。
ステップS1に戻り、車両10が減速中でない場合(S1:NO)、ステップS8において、ECU34は、車両10を加速させる加速制御を実行する。
(A2−2−2−2.エンジン制動力Fengb及び摩擦制動力Ffrbの制御)
図6は、第1実施形態におけるエンジン制動力Fengb及び摩擦制動力Ffrbの設定方法を説明するブロック図である。図7は、第1実施形態における摩擦ブレーキのみの作動時での摩擦ブレーキ制御のフローチャート(図5のS5の詳細)である。図8は、第1実施形態におけるエンジンブレーキ作動時での摩擦ブレーキ制御のフローチャート(図5のS6の一部の詳細)である。図5と同様、図6〜図8では、アクセルペダル16のみが操作され、ブレーキペダル18は操作されていないこと(すなわち、ブレーキペダル18の操作による減速は、別途、制御ロジックを設けること)に留意されたい。
(A2−2−2−2−1.Gtar設定部60)
図6の目標加減速度算出器90(以下「Gtar算出器90」ともいう。)において、ECU34は、AP操作量θap及び車速Vに基づいて目標加減速度Gtar(目標減速度Dtar)を算出する。なお、ここでは、Gtar算出器90は、AP操作量θap及び車速Vに基づいて目標加減速度Gtarを算出するように示しているが、その他の入力値(走行抵抗等)にも基づいて目標加減速度Gtarを算出してもよい。
目標減速度分配器92(以下「Dtar分配器92」ともいう。)において、ECU34は、エンジン制御モジュール70及びブレーキ制御モジュール72の両方に目標減速度Dtarを示す信号Sdtar(以下「目標減速度信号Sdtar」ともいう。)を出力する。
(A2−2−2−2−2.エンジン制御モジュール70)
図6に示すように、Dtar分配器92とエンジン制御モジュール70との間には、オンオフスイッチ94(以下「スイッチ94」ともいう。)が配置されている。スイッチ94は、ブレーキ制御モジュール72により制御される。
すなわち、目標加減速度Gtarが負の閾値THdtarを超えないとき(図5のS4:YES)、ブレーキ制御モジュール72は、スイッチ94をオフにする。このため、Dtar分配器92から目標減速度信号Sdtarは、エンジン制御モジュール70に到達しない。一方、目標加減速度Gtarが負の閾値THdtarを超えるとき(図5のS4:NO)、ブレーキ制御モジュール72は、スイッチ94をオンにする。これにより、Dtar分配器92から目標減速度信号Sdtarは、エンジン制御モジュール70に到達する。
Dtar分配器92から目標減速度信号Sdtarを受信したエンジン制御モジュール70は、目標減速度Dtarを実現するように、エンジン40及びCVT42を制御する。図6に示すように、エンジン制御モジュール70は、目標エンジン回転数算出器100(以下「Netar算出器100」ともいう。)と、目標減速比算出器102(以下「Rtar算出器102」ともいう。)を備える。
Netar算出器100は、単位時間当たりのエンジン40の回転数Ne[rpm]の目標値(以下「目標エンジン回転数Netar」という。)を目標減速度Dtarに基づいて算出する。そして、目標エンジン回転数Netarに基づいてエンジン40を制御する。Rtar算出器102は、CVT42の減速比Rの目標値(以下「目標減速比Rtar」という。)を算出する。そして、目標減速比Rtarに基づいてCVT42を制御する。
なお、図4等を用いて説明したように、エンジン制動力Fengbには、AP操作量θapの変化に対する応答遅れが存在し得る。
(A2−2−2−2−3.ブレーキ制御モジュール72)
目標減速度Dtar(目標加減速度Gtar)が負の閾値THdtarを超えないとき(図5のS4:YES)、ブレーキ制御モジュール72は、目標減速度Dtar自体に基づいてブレーキ機構14を制御する(図7)。この際、エンジンブレーキは作動しておらず、摩擦ブレーキ減速度Dfrbのみが発生する(図3のt1〜t2、t3〜t4)。
また、目標加減速度Gtarが負の閾値THdtarを超えるとき(図5のS4:NO)、ブレーキ制御モジュール72は、エンジン制動力Fengbの応答遅れを補償するように、摩擦制動力Ffrbを生成させる(図8、図3のt4〜t5)。
図6に示すように、ブレーキ制御モジュール72は、ハイパスフィルタ110と、目標液圧算出器112(以下「Pbtar算出器112」ともいう。)とを備える。
目標加減速度Gtarが負の閾値THdtarを超えないとき(図5のS4:YES)、ブレーキ制御モジュール72では、Pbtar算出器112により処理が行われる(図7)。すなわち、Pbtar算出器112は、スイッチ94をオフにすると共に、Dtar分配器92から目標減速度Dtarを取得する(図7のS11)。換言すると、Pbtar算出器112は、Dtar分配器92から目標減速度信号Sdtarを受信する。そして、Pbtar算出器112は、目標減速度Dtarに応じて目標液圧Pbtarを算出する(図7のS12)。さらに、Pbtar算出器112は、算出した目標液圧Pbtarに応じてブレーキ機構14を制御する(S13)。
目標加減速度Gtarが負の閾値THdtarを超えるとき(図5のS4:NO)、ブレーキ制御モジュール72では、ハイパスフィルタ110及びPbtar算出器112により処理が行われる(図8)。
すなわち、ハイパスフィルタ110は、Dtar分配器92から目標減速度Dtarを取得する(図8のS21)。換言すると、ハイパスフィルタ110は、Dtar分配器92から目標減速度信号Sdtarを受信する。そして、ハイパスフィルタ110は、目標減速度信号Sdtarから所定の高周波成分のみを抽出するハイパスフィルタ処理を実行する(図8のS22)。ハイパスフィルタ110では、通過可能な周波数(周波数閾値)を設定しておき、当該周波数閾値を超えるもののみを通過させる。ここでの周波数閾値は、例えば、エンジンブレーキの1次遅れに基づいて特定され得るものであり、例えば、実験値又はシミュレーション値により特定することが可能である。
ハイパスフィルタ110は、ハイパスフィルタ処理により抽出した高周波成分をPbtar算出器112に通知する。換言すると、ハイパスフィルタ110は、抽出した高周波成分に応じたハイパス信号ShpをPbtar算出器112に出力する。
Pbtar算出器112は、ハイパス信号Shpに含まれる高周波成分に応じて目標液圧Pbtarを算出する(図8のS23)。そして、Pbtar算出器112は、算出した目標液圧Pbtarに応じてブレーキ機構14を制御する(S24)。
(A2−2−2−3.その他のタイムチャート)
図9は、第1実施形態におけるエンジンブレーキと摩擦ブレーキの関係を説明するための第3説明図である。図9は、摩擦ブレーキの作動時間Tfrbが時間閾値THtfrbを超える場合(図5のS3:NO)を含んでいる。
図9の時点t14よりも前では、目標加減速度Gtarが負の値であり且つ負の閾値THdtarを超えないため(図5のS4:YES等)、摩擦ブレーキのみを用いる(S5)。
図9の時点t14では、未だ目標加減速度Gtarが負の値であり且つ負の閾値THdtarを超えていないが(図5のS4:YES)、摩擦ブレーキの作動時間Tfrbが時間閾値THtfrbを超える(S3:NO)。このため、摩擦ブレーキの作動を停止し、エンジンブレーキの作動を開始する(S7)。なお、摩擦ブレーキからエンジンブレーキへと切り替える時点t14〜t15では、エンジン制動力Fengbが立ち上がるまで、摩擦制動力Ffrbで補償する(図4参照)。
[A3.第1実施形態の効果]
以上のように、第1実施形態によれば、車両10の目標減速度Dtarが減速度閾値THdtarを下回り(図5のS4:YES)且つ摩擦ブレーキによる制動時間Tfrbが時間閾値THtfrbを下回っていれば(S3:YES)、エンジンブレーキを停止した状態で、摩擦ブレーキを用いて車両10を制動する(S5)。エンジンブレーキと比較した場合、摩擦ブレーキの方が応答性が高い傾向にある。第1実施形態によれば、アクセルペダル16(操作ペダル)により比較的微小な加減速操作が短い時間で繰り返された場合、摩擦ブレーキで減速を行うこととなる。このため、応答性よく減速を行うことで、車両10のハンチング状態を防止することが可能となる。
また、目標減速度Dtarが減速度閾値THdtarを下回っていても(図5のS4:YES)且つ摩擦ブレーキによる制動時間Tfrbが時間閾値THtrbrを上回っていれば(S3:NO)、摩擦ブレーキによる摩擦制動力Ffrbを停止させる(抑制させる)と共に、エンジンブレーキによるエンジン制動力Fengbを発生させる(S7)。また、摩擦ブレーキによる制動時間Tfrbが時間閾値THtfrbを上回ることで、例えば、フェード現象又はベーパーロック現象が発生するような状況の場合、摩擦ブレーキによる摩擦制動力Ffrbを抑制し、代わりにエンジンブレーキにより車両10を制動する(S7)。これにより、フェード現象等を回避することが可能となる。
第1実施形態において、目標減速度Dtarが減速度閾値THdtarを上回り(S4:NO)且つ摩擦ブレーキによる制動時間Tfrbが時間閾値THtfrbを下回っている場合(S3:YES)、ECU34(走行制御装置)は、エンジンブレーキのみにより目標減速度Dtarを実現するようエンジンブレーキによるエンジン制動力Fengbを発生させる(S6)。この際、目標減速度Dtarを示す信号(目標減速度信号Sdtar)の高周波成分に応じて摩擦ブレーキに摩擦制動力Ffrbを発生させる(図8のS23、S24)。これにより、エンジンブレーキによるエンジン制動力Fengbの立ち上がりにおける車両10の減速度Dの不足を補償する。
上記構成により、エンジン制動力Fengbの立ち上がり時には、摩擦制動力Ffrbで補償することにより目標減速度Dtarを実現する。このため、摩擦ブレーキによるフェード現象を回避しながらも運転者の意図した制動力を応答性よく発揮することが可能となる。また、摩擦ブレーキは、目標減速度信号Sdtarの高周波成分に対応させるため、摩擦ブレーキの利用を必要最低限に抑えることが可能となる。
また、第1実施形態では、ハイパスフィルタ110を用いる(図6)。このため、AP操作量θapが比較的緩やかに変化する場合、高周波成分が減少するため、摩擦ブレーキを用いずにエンジンブレーキのみで目標減速度Dtarに対応する減速度Dを発生させることが可能となる。
第1実施形態において、ECU34(走行制御装置)は、車輪46がスリップし易い状態であることを検出するμ推定部28と、車輪46のスリップの発生を検出するスリップ検出部30とをスリップ状態検出手段として備える(図1)。μ推定部28により車輪46がスリップし易い状態(低μ)であることが検出された場合、又はスリップ検出部30により車輪46のスリップの発生が検出された場合(図5のS2:YES)において、ECU34は、摩擦制動力Ffrbを抑制すると共に、エンジン制動力Fengbを発生させる(S7)。
これにより、車輪46がスリップし易い状態又は実際にスリップが発生した状態では、アクセルペダル16で減速操作が行われても摩擦制動力Ffrbを抑制する。従って、摩擦制動力Ffrbを抑制しつつ、エンジン制動力Fengbを作用させることで、より好適に車両10を減速させることが可能となる。
B.第2実施形態
[B1.車両10Aの構成(第1実施形態との相違)]
図10は、本発明の第2実施形態に係る車両用走行制御装置としての電子制御装置34a(以下「ECU34a」という。)を搭載した車両10Aのブロック図である。第1実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
第2実施形態の車両10Aは、いわゆるハイブリッド車両であり、駆動源として、エンジン40及び走行モータ150(以下「モータ150」ともいう。)を有する。また、車両10Aは、モータ150の出力を制御するインバータ152と、モータ150に電力を供給するバッテリ154と、バッテリ154の残容量(SOC)を検出するSOCセンサ156とを有する。
ECU34aの演算部52aは、Gtar設定部60、加速制御部62及び減速制御部64aを備える。減速制御部64aは、エンジン制御モジュール70及びブレーキ制御モジュール72に加え、モータ制御モジュール160を備える。
第1実施形態では、摩擦ブレーキ及びエンジンブレーキを利用可能であった。これに対し、第2実施形態では、摩擦ブレーキ及びエンジンブレーキに加え、モータ150を用いる回生ブレーキを利用可能である。
[B2.ワンペダルモードにおける目標加減速度Gtarの設定]
(B2−1.ワンペダルモードでの基本的な加減速特性)
第2実施形態におけるワンペダルモードでの基本的な加減速特性については、第1実施形態(図2)と同様である。
(B2−2.車両10Aの減速時における処理)
(B2−2−1.基本的な考え方)
図11及び図12は、第2実施形態におけるエンジンブレーキと回生ブレーキの関係を説明するための第1・第2説明図である。図11では、目標減速度Dtar(目標加減速度Gtar)と、回生ブレーキ減速度Dregbと、エンジンブレーキ減速度Dengbとが示されている。回生ブレーキ減速度Dregbは、回生制動力Fregbにより実現される車両10Aの減速度Dを意味する。
また、図12において、領域80は、エンジン制動力Fengbに相当する領域(エンジンブレーキ領域80)である。領域170は、回生ブレーキによる制動力Fregb(以下「回生制動力Fregb」という。)に相当する領域(以下「回生ブレーキ領域170」ともいう。)である。
図11及び図12は、摩擦ブレーキを回生ブレーキに置き換えた点を除き、第1実施形態(図3及び図4)と同様である。第2実施形態では、目標加減速度Gtarが負の値であり且つ負の閾値THdtarを超えないとき、基本的には、回生ブレーキのみを用いる(図11の時点t21〜t22、t23〜t24)。一方、目標加減速度Gtarが負の値であり且つ負の閾値THdtarを超えるとき、基本的には、エンジンブレーキのみを用いる(図11の時点t25以降)。
また、第2実施形態では、エンジンブレーキによる1次遅れを、摩擦ブレーキではなく、回生ブレーキで補償する。換言すると、第2実施形態では、エンジン制動力Fengbを変化させる際には、摩擦ブレーキを併せて作動させる(時点t24〜t25)。そして、エンジン制動力FengbがAP操作量θapに対応する値(目標減速度Dtar)となる時点t25までは、回生制動力Fregbを併せて発生させて、目標減速度Dtarを迅速に実現させる。
(B2−2−2.具体的処理)
(B2−2−2−1.全体的な流れ)
図13は、第2実施形態のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。図13では、アクセルペダル16のみが操作され、ブレーキペダル18は操作されていないことに留意されたい。図13のステップS31は、Gtar設定部60が実行し、ステップS32〜S36は、減速制御部64aが実行し、ステップS37は、加速制御部62が実行する。
ステップS31において、ECU34aは、車両10Aが減速中であるか否かを判定する。当該判定は、図5のS1と同様である。車両10Aが減速中である場合(S31:YES)、ステップS32に進む。
ステップS32において、ECU34aは、バッテリ154が充電可能であるか否かを判定する。具体的には、ECU34aは、SOCが所定のSOC閾値THsoc(以下「閾値THsoc」ともいう。)以下であるか否かを判定する。閾値THsocは、SOCの観点から、バッテリ154が充電可能であるか否かを判定する閾値であり、例えば、バッテリ154が満充電であるときの値又はその近傍値とすることができる。バッテリ154が充電可能である場合(S32:YES)、ステップS33において、ECU34aは、目標減速度Dtarの絶対値が比較的小さいか否かを判定する。当該判定は、図5のステップS4と同様に行う。
目標減速度Dtarの絶対値が比較的小さい場合(S33:YES)、ECU34aは、ステップS34において、回生ブレーキを作動させる(図11の時点t21〜t22、t23〜t24)。この際の回生ブレーキの制御については、図15を参照して後述する。
目標減速度Dtarの絶対値が比較的小さくない場合(S33:NO)、ECU34aは、ステップS35において、エンジンブレーキを作動させると共に、回生ブレーキを補助的に作動させる(図12参照)。ステップS35の詳細は、図14及び図16を参照して後述する。
バッテリ154が充電可能でない場合(S32:NO)、ステップS36において、ECU34aは、回生ブレーキを作動させずに、エンジンブレーキを作動させる。なお、SOCとの関係でバッテリ154を保護しつつ回生ブレーキを作動させる観点からすれば、ステップS36では、回生制動力Fregbをゼロとはせずにゼロ近傍値とすることも可能である。
ステップS31に戻り、車両10Aが減速中でない場合(S31:NO)、ステップS37において、ECU34aは、車両10Aを加速させる加速制御を実行する。
(B2−2−2−2.エンジン制動力Fengb及び回生制動力Fregbの制御)
図14は、第2実施形態におけるエンジン制動力Fengb及び回生制動力Fregbの設定方法を説明するブロック図である。図15は、第2実施形態における回生ブレーキのみの作動時での回生ブレーキ制御のフローチャート(図13のS34の詳細)である。図16は、第2実施形態におけるエンジンブレーキ作動時での回生ブレーキ制御のフローチャート(図13のS35の一部の詳細)である。図13と同様、図14〜図16では、アクセルペダル16のみが操作され、ブレーキペダル18は操作されていないこと(すなわち、ブレーキペダル18の操作による減速は、別途、制御ロジックを設けること)に留意されたい。
(B2−2−2−2−1.Gtar設定部60及びエンジン制御モジュール70)
図14において、Gtar設定部60及びエンジン制御モジュール70での処理は、第1実施形態と同様である。
(B2−2−2−2−2.モータ制御モジュール160)
目標加減速度Gtarが負の閾値THdtarを超えないとき(図13のS33:YES)、モータ制御モジュール160は、目標加減速度Gtar自体に基づいてインバータ152を介してモータ150の回生を制御する(図15)。この際、エンジンブレーキは作動しておらず、回生ブレーキ減速度Dregbのみが発生する(図11のt21〜t22、t23〜t24)。
また、目標加減速度Gtarが負の閾値THdtarを超えるとき(図13のS33:NO)、モータ制御モジュール160は、エンジン制動力Fengbの応答遅れを補償するように、回生制動力Fregbを生成させる(図16、図11のt24〜t25)。
図14に示すように、モータ制御モジュール160は、ハイパスフィルタ180と、目標回生トルク算出器182(以下「Tregtar算出器182」ともいう。)とを備える。
目標加減速度Gtarが負の閾値THdtarを超えないとき(図13のS33:YES)、モータ制御モジュール160では、Tregtar算出器182により処理が行われる(図15)。すなわち、Tregtar算出器182は、スイッチ94をオフにすると共に、Dtar分配器92から目標減速度Dtarを取得する(図15のS41)。換言すると、Tregtar算出器182は、Dtar分配器92から目標減速度信号Sdtarを受信する。そして、Tregtar算出器182は、目標減速度Dtarに応じて目標回生トルクTregtarを算出する(図15のS42)。さらに、Tregtar算出器182は、算出した目標回生トルクTregtarに応じてモータ150の回生を制御する(S43)。
目標加減速度Gtarが負の閾値THdtarを超えるとき(図13のS33:NO)、モータ制御モジュール160では、ハイパスフィルタ180及びTregtar算出器182により処理が行われる(図16)。
すなわち、ハイパスフィルタ180は、Dtar分配器92から目標減速度Dtarを取得する(図16のS51)。換言すると、ハイパスフィルタ180は、Dtar分配器92から目標減速度信号Sdtarを受信する。そして、ハイパスフィルタ180は、目標減速度信号Sdtarから所定の高周波成分のみを抽出するハイパスフィルタ処理を実行する(図16のS52)。ハイパスフィルタ180では、通過可能な周波数(周波数閾値)を設定しておき、当該周波数閾値を超えるもののみを通過させる。ここでの周波数閾値は、例えば、エンジンブレーキの1次遅れに基づいて特定され得るものであり、例えば、実験値又はシミュレーション値により特定することが可能である。
ハイパスフィルタ180は、ハイパスフィルタ処理により抽出した高周波成分をTregtar算出器182に通知する。換言すると、ハイパスフィルタ180は、抽出した高周波成分に応じたハイパス信号ShpをTregtar算出器182に出力する。
Tregtar算出器182は、ハイパス信号Shpに含まれる高周波成分に応じて目標回生トルクTregtarを算出する(図16のS53)。そして、Tregtar算出器182は、算出した目標回生トルクTregtarに応じてモータ150の回生を制御する(S54)。
[B3.第2実施形態の効果]
以上のように、第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏することが可能である。
第2実施形態によれば、車両10Aの目標減速度Dtarが減速度閾値THdtarを下回り(図13のS33:YES)且つバッテリ154(蓄電装置)のSOC(蓄電量)がSOC閾値THsoc(蓄電量閾値)を下回っている場合(S32:YES)、エンジンブレーキを停止した状態で、回生ブレーキを用いて車両10Aを制動する(S34)。エンジンブレーキと比較した場合、回生ブレーキの方が応答性が高い傾向にある。第2実施形態によれば、アクセルペダル16(操作ペダル)により比較的微小な加減速操作が短い時間で繰り返された場合、回生ブレーキで減速を行うこととなる。このため、応答性よく減速を行うことで、車両10Aのハンチング状態を防止することが可能となる。
また、目標減速度Dtarが減速度閾値THdtarを下回り(図13のS33:YES)且つバッテリ154のSOCがSOC閾値THsocを上回っている場合(S32:NO)、回生ブレーキによる回生制動力Fregbを停止させる(抑制させる)と共に、エンジンブレーキによるエンジン制動力Fengbを発生させる(S36)。これにより、バッテリ154の保護を図りつつ、車両10Aの減速度Dを目標減速度Dtarに近付けることが可能となる。
C.変形例
なお、本発明は、上記各実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
[C1.適用対象]
第1実施形態では、車両10をエンジン車両とし(図1)、第2実施形態では、車両10Aをハイブリッド車両とした(図10)。しかしながら、例えば、複数種類のブレーキの応答性に着目すれば、これに限らない。例えば、車両10、10Aは、ハイブリッド車以外の電動車両(燃料電池車を含む。)であってもよい。
[C2.各種ブレーキ]
第2実施形態の車両10Aは、摩擦ブレーキを作動させるブレーキ機構14を有していた(図10)。しかしながら、例えば、エンジンブレーキの応答遅れを回生ブレーキで補償する観点からすれば、車両10Aは、必ずしもブレーキ機構14を備えていなくてもよい。
第2実施形態のモータ150は、車両10Aを駆動する走行モータであった。しかしながら、回生ブレーキを作動させる観点からすれば、これに限らない。例えば、モータ150は、発電用モータ(ジェネレータ)としての用途のみで利用することも可能である。
[C3.AP操作モード]
上記各実施形態では、AP操作モードとして通常モードとワンペダルモードを用いた。しかしながら、例えば、ワンペダルモードに着目すれば、通常モードを省略することも可能である。
上記各実施形態のワンペダルモードでは、減速領域と加速領域を設定した(図2)。しかしながら、減速領域と加速領域に加え、JP 2006−117020 Aのような定常領域(目標加減速度Gtarがゼロになる領域又は目標加減速度Gtarがゼロを含む所定範囲内になる領域)を設けることも可能である。或いは、目標加減速度Gtarを設定せずに車両10、10Aの慣性走行を可能とするニュートラル領域を、減速領域と加速領域の間又は減速領域と定常領域の間に設けてもよい。
上記各実施形態のワンペダルモードでは、AP操作量θapと目標加減速度Gtarとを関連付けて用いた(図2)。しかしながら、例えば、減速領域と加速領域の機能に着目すれば、これに限らない。例えば、AP操作量θapと目標トルクTtarとを関連付けてもよい。
[C4.目標加減速度Gtarの設定]
上記各実施形態では、加減速特性(基準特性Cref、図2)を車速Vに応じて変化させたが、車速Vに応じて変化させないこと(例えば、車速Vにかかわらず固定された加減速特性とすること)も可能である。
上記各実施形態では、AP操作量θapがゼロからゼロよりも大きな値(閾値θ1)までであるとき、目標加減速度Gtarを最低値(目標減速度Dtarの絶対値を最大値)とした(図2)。しかしながら、AP操作量θapがゼロであるときのみに、目標加減速度Gtarを最低値(目標減速度Dtarの絶対値を最大値)とすることも可能である。
上記各実施形態では、目標加減速度Gtarの単位を「m/s/s」とした。しかしながら、例えば、複数種類のブレーキの特性に応じた制御との観点からすれば、これに限らない。例えば、目標加減速度Gtarを、「N・m/s」(車両10、10Aの目標トルクTtarの時間微分値)とすることも可能である。
[C5.各種のブレーキの作動条件]
第1実施形態では、図5に示すフローチャートでエンジンブレーキ及び摩擦ブレーキの作動を制御し、第2実施形態では、図13に示すフローチャートでエンジンブレーキ及び回生ブレーキの作動を制御した。しかしながら、例えば、複数種類のブレーキの特性の相違に着目すれば、これに限らない。
例えば、図5のステップS2では、車両10の車輪46が実際にスリップしているか否か及び車輪46にスリップが発生する可能性が高いか否かを判定した。しかしながら、いずれか一方のみを判定することも可能である。或いは、ステップS2を省略することも可能である。
また、図5のステップS3では、ブレーキパッド44にフェード現象が発生する可能性が低いか否かを判定した。しかしながら、摩擦ブレーキの作動に障害があるか否かを判定する観点からすれば、例えば、フェード現象の代わりにベーパーロック現象が発生する可能性が低いか否かを判定することも可能である。或いは、ステップS3を省略することも可能である。
図5のステップS4では、目標減速度Dtarに応じた選択を行った。しかしながら、例えば、AP操作量θapに応じて作動させるブレーキの種類を選択する観点からすれば、これに限らない。例えば、ステップS4において、AP操作量θapが所定の操作量閾値THθap以下である場合、摩擦ブレーキの作動(S5)を選択し、AP操作量θapが所定の操作量閾値THθap以下でない場合、エンジンブレーキの作動及び摩擦ブレーキの補助的な作動(S6)を選択することもできる。
同様に、図13のステップS33において、AP操作量θapが所定の操作量閾値THθap以下である場合、回生ブレーキの作動(S34)を選択し、AP操作量θapが所定の操作量閾値THθap以下でない場合、エンジンブレーキの作動及び回生ブレーキの補助的な作動(S35)を選択することも可能である。
或いは、以下で説明する第1変形例又は第2変形例のような処理を行うことも可能である。
(C5−1.第1変形例)
(C5−1−1.第1変形例における処理)
図17は、第1変形例のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。図17は、図5(エンジンブレーキ及び摩擦ブレーキ)と図13(エンジンブレーキ及び回生ブレーキ)を組み合わせたものである。第1変形例のハードウェアの構成は、図10と同様のものを用いることができる。すなわち、第1変形例の車両10Aは、ハイブリッド車両である。
図17のステップS61において、ECU34aは、車両10Aが減速中であるか否かを判定する。車両10Aが減速中である場合(S61:YES)、ステップS62において、ECU34aは、バッテリ154が充電可能であるか否かを判定する。バッテリ154が充電可能である場合(S62:YES)、ステップS63において、ECU34aは、図13のステップS33〜S35を選択的に実行する。
バッテリ154が充電可能でない場合(S62:NO)、ステップS64において、ECU34aは、図5のステップS2〜S7を選択的に実行する。
ステップS61に戻り、車両10Aが減速中でない場合(S61:NO)、ステップS65において、ECU34aは、車両10Aを加速させる加速制御を実行する。
(C5−1−2.第1変形例の効果)
以上のような第1変形例によれば、第1・第2実施形態の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏することが可能である。
第1変形例によれば、バッテリ154が充電可である場合(図17のS62:YES)、回生ブレーキ又はエンジンブレーキを選択的に用いる(S63)。摩擦ブレーキと比較して、回生ブレーキの方が出力の応答性が高いことが多い。このため、減速開始時の応答性を高めることが可能となる。加えて、回生ブレーキに伴い回生電力を発生させることで、省エネルギ化を図ることができる。
また、第1変形例によれば、バッテリ154に回生電力を充電できない場合(図17のS62:NO)、摩擦ブレーキ又はエンジンブレーキを選択的に用いる(S64)。これにより、回生ブレーキが利用できない場合でも、エンジンブレーキの応答遅れを補償することが可能となる。
(C5−2.第2変形例)
(C5−2−1.第2変形例における処理)
図18は、第2変形例のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。図18は、回生ブレーキを中心とした目標減速度Dtarの達成を図るものである。第2変形例のハードウェアの構成は、図10と同様のものを用いることができる。すなわち、第2変形例の車両10Aは、ハイブリッド車両である。
図18のステップS71において、ECU34aは、車両10Aが減速中であるか否かを判定する。車両10Aが減速中である場合(S71:YES)、ステップS72において、ECU34aは、バッテリ154が充電可能であるか否かを判定する。バッテリ154が充電可能である場合(S72:YES)、ステップS73において、ECU34aは、回生ブレーキを作動させる。
バッテリ154が充電可能でない場合(S72:NO)、ステップS74において、ECU34aは、図5のステップS2〜S7を選択的に実行する。これにより、回生ブレーキを作動させずに、摩擦ブレーキ及び/又はエンジンブレーキを作動させる。
ステップS71に戻り、車両10Aが減速中でない場合(S71:NO)、ステップS75において、ECU34aは、車両10Aを加速させる加速制御を実行する。
(C5−2−2.第2変形例の効果)
以上のような第2変形例によれば、第1・第2実施形態及び第1変形例の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏することが可能である。
第2変形例によれば、バッテリ154が充電可である場合(S72:YES)、回生ブレーキを作動させる(S73)。これにより、目標減速度Dtarを満たしつつ、回生電力を積極的に回収することができる。また、バッテリ154が充電可でない場合(S72:NO)、摩擦ブレーキ及びエンジンブレーキを適切に選択して用いることが可能となる。
なお、ステップS73において、回生ブレーキ減速度Dregbでは、目標減速度Dtarに足りない場合、摩擦ブレーキ又はエンジンブレーキを作動させてもよい。
[C6.摩擦ブレーキ減速度Dfrb又は回生ブレーキ減速度Dregb]
上記各実施形態では、ハイパスフィルタ110、180を用いて摩擦制動力Ffrb又は回生制動力Fregbを設定した(図6、図14参照)。しかしながら、例えば、アクセルペダル16の操作速度(AP操作量θapの時間微分値)に応じて摩擦制動力Ffrb又は回生制動力Fregbを発生させる観点からすれば、これに限らない。
例えば、ブレーキ制御モジュール72では、ハイパスフィルタ110の代わりに、操作速度を算出する操作速度算出器(操作速度算出手段)を設けることも可能である。そして、操作速度の絶対値が大きくなるほど、摩擦制動力Ffrbを増加させることも可能である。これにより、目標減速度Dtarと、摩擦制動力Ffrb及びエンジン制動力Fengbによる車両10の減速度Dとの誤差を少なくすることが可能となる。モータ制御モジュール160についても同様の変更を行うことができる。
[C7.合計減速度Dtotal]
図5のステップS6、図13のステップS35では、エンジンブレーキの作動を開始した際、合計減速度Dtotalが直ちに目標減速度Dtarと等しくなるように制御した(図4及び図12参照)。しかしながら、例えば、エンジンブレーキの応答遅れを補償する観点からすれば、これに限らない。例えば、合計減速度Dtotalを徐々に目標減速度Dtarに近付けていくように摩擦ブレーキ又は回生ブレーキによりエンジンブレーキの応答遅れを補償することも可能である。
上記各実施形態及び第1変形例では、摩擦ブレーキ又は回生ブレーキによりエンジンブレーキの応答遅れを補償した後は、エンジンブレーキ単独で目標減速度Dtarを実現することを想定していた(図3及び図9参照)。しかしながら、例えば、摩擦ブレーキ又は回生ブレーキによりエンジンブレーキの応答遅れを補償する観点からすれば、これに限らない。例えば、エンジンブレーキの応答遅れを補償した後の目標減速度Dtarを実現するために、摩擦ブレーキ又は回生ブレーキの少なくとも一方を、エンジンブレーキと共に作動させることも可能である。
10、10A…車両 14…ブレーキ機構
16…アクセルペダル(操作ペダル)
28…摩擦係数推定部(スリップ状態検出手段)
30…スリップ検出部(スリップ状態検出手段)
34、34a…ECU(走行制御装置) 40…エンジン(内燃機関)
42…変速機 46…車輪
60…目標加減速度設定部(目標減速度設定手段)
72…ブレーキ制御モジュール(操作速度算出手段)
150…走行モータ(電動機) 154…バッテリ(蓄電装置)
D…車両の減速度 Dtar…目標減速度
Fengb…エンジン制動力 Ffrb…摩擦制動力
Tfrb…摩擦ブレーキの作動時間(制動時間)
THdtar…減速度閾値
THsoc…SOC閾値(蓄電量閾値) THtfrb…時間閾値
Sdtar…目標減速度信号(目標減速度を示す信号)
θap…AP操作量

Claims (5)

  1. 車輪との接触摩擦による摩擦ブレーキと、内燃機関又は変速機によるエンジンブレーキとを作動可能な車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定される車両用走行制御装置であって、
    前記走行制御装置は
    記減速領域における前記操作量に基づいて前記車両の目標減速度を設定する目標減速度設定手段と、
    前記目標減速度を示す目標減速度信号のうち所定の周波数閾値を超えるもののみを通過させるハイパスフィルタと
    備え、
    前記操作量が前記減速領域にあるとき、前記走行制御装置は、
    前記摩擦ブレーキ及び前記エンジンブレーキのうち少なくとも一方を用いて前記車両を制動し、
    前記目標減速度が所定の減速度閾値を下回り且つ前記摩擦ブレーキによる制動の連続時間又は累積時間である制動時間が所定の時間閾値を下回っていれば、前記エンジンブレーキを停止した状態で、前記摩擦ブレーキを用いて前記車両を制動し、
    前記目標減速度が前記減速度閾値を下回り且つ前記摩擦ブレーキによる前記制動時間が前記時間閾値を上回っていれば、前記摩擦ブレーキによる摩擦制動力を抑制させると共に、前記エンジンブレーキによるエンジン制動力を発生させ
    前記目標減速度が前記減速度閾値を上回り且つ前記摩擦ブレーキによる前記制動時間が前記時間閾値を下回っている場合、前記走行制御装置は、
    前記エンジンブレーキのみにより前記目標減速度を実現するよう前記エンジンブレーキによる前記エンジン制動力を発生させ、
    前記目標減速度信号のうち前記ハイパスフィルタを通過した高周波成分に応じて前記摩擦ブレーキに前記摩擦制動力を発生させることで、前記エンジンブレーキによる前記エンジン制動力の立ち上がりにおける前記車両の減速度の不足を補償する
    ことを特徴とする走行制御装置。
  2. 請求項1記載の走行制御装置において、
    前記走行制御装置は、前記操作量の時間微分値である操作速度を算出する操作速度算出手段を備え、
    さらに、前記走行制御装置は、
    前記摩擦制動力及び前記エンジン制動力による前記車両の減速度が前記目標減速度に到達するように前記摩擦制動力及び前記エンジン制動力を制御し、
    前記操作速度算出手段が算出した前記操作速度の絶対値が大きくなるほど、前記摩擦制動力を増加させる
    ことを特徴とする走行制御装置。
  3. 請求項1又は2記載の走行制御装置において、
    前記走行制御装置は、
    前記車輪がスリップし易い状態であること又は前記車輪のスリップの発生を検出するスリップ状態検出手段を備え、
    前記目標減速度が前記減速度閾値を下回り且つ前記摩擦ブレーキによる前記制動時間が前記時間閾値を下回っているときでも、前記スリップ状態検出手段により前記車輪がスリップし易い状態であること又は前記車輪のスリップの発生が検出された場合、前記摩擦制動力を抑制させると共に、前記エンジン制動力を発生させる
    ことを特徴とする走行制御装置。
  4. 駆動源又は発電機として用いられる電動機による回生ブレーキと、内燃機関又は変速機によるエンジンブレーキとを作動可能であり且つ前記回生ブレーキによる回生電力を蓄積する蓄電装置を有する車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定される車両用走行制御装置であって、
    前記走行制御装置は
    記減速領域における前記操作量に基づいて前記車両の目標減速度を設定する目標減速度設定手段と、
    前記目標減速度を示す目標減速度信号のうち所定の周波数閾値を超えるもののみを通過させるハイパスフィルタと
    備え、
    前記操作量が前記減速領域にあるとき、前記走行制御装置は、
    前記回生ブレーキ及び前記エンジンブレーキのうち少なくとも一方を用いて前記車両を制動し、
    前記目標減速度が所定の減速度閾値を下回り且つ前記蓄電装置が満充電状態でない場合又は前記蓄電装置の蓄電量が所定の蓄電量閾値を下回っている場合、前記エンジンブレーキを停止した状態で、前記回生ブレーキを用いて前記車両を制動し、
    前記目標減速度が前記減速度閾値を下回り且つ前記蓄電装置が満充電状態である場合又は前記蓄電装置の蓄電量が前記蓄電量閾値を上回っている場合、前記回生ブレーキによる回生制動力を抑制させると共に、前記エンジンブレーキによるエンジン制動力を発生させ
    前記目標減速度が前記減速度閾値を上回り且つ前記蓄電装置が満充電状態でない場合又は前記蓄電装置の蓄電量が前記蓄電量閾値を下回っている場合、前記走行制御装置は、
    前記エンジンブレーキのみにより前記目標減速度を実現するよう前記エンジンブレーキによる前記エンジン制動力を発生させ、
    前記目標減速度信号のうち前記ハイパスフィルタを通過した高周波成分に応じて前記回生ブレーキに前記回生制動力を発生させることで、前記エンジンブレーキによる前記エンジン制動力の立ち上がりにおける前記車両の減速度の不足を補償する
    ことを特徴とする走行制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の走行制御装置において、
    前記周波数閾値は、前記エンジン制動力の1次遅れに基づいて特定されることを特徴とする走行制御装置。
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