JP6334426B2 - 濾過用フィルター - Google Patents
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Description
水中に含まれる水不溶物や不純物の粒子を分離除去する方法として、例えば、膜分離法、遠心分離法、活性炭吸着法、オゾン処理法、凝集剤添加による浮遊物質の沈殿除去法が挙げられる。
深層濾過は、フィルターの表面だけでなく孔の内面など、SS粒子を含む水と接するフィルター表面全面へのSS粒子の付着を利用する機構である。深層濾過では、主にフィルターの孔よりも小さい粒子が捕捉される。例えば、砂などの濾過材が充填された塔を用いる濾過においては、深層濾過の機構が用いられている。
ケーク濾過は、フィルターに捕捉されたSS粒子自身がケークを形成し、フィルターとして機能する機構である。ケーク濾過では、深層濾過よりもさらに小さいSS粒子が捕捉される。
前記微細構造物は、円錐台形、楕円錐形、多角錐形、楕円錐台形、多角錐台形のうち、少なくともいずれか1つの形状である。
前記微細構造物の形成密度は、1.2〜10.0個/μm 2 の範囲である。
図1は、実施形態の濾過用フィルターを適用した濾過処理装置の一例を示す概略構成図である。
濾過処理装置100は、被濾過液を貯留する被濾過液槽101と、実施形態の濾過用フィルター10と、処理液槽103と、濃縮汚泥槽104と、を有している。また、被濾過液槽101の被濾過液を濾過用フィルター10に圧送するポンプ106、処理液槽103の処理水(濾過済液)を排出させ、あるいは、濾過用フィルター10に返送するポンプ107、およびこれらを接続する複数の配管108などから構成されている。
濾過用フィルター10は、線材11を面状に配列させた濾過体12と、この濾過体12を支持する支持部材13と、を備えている。実施形態の濾過用フィルター10では、濾過体12は、長尺の線材11をコイル状に巻回させ、中空の筒状体に成形させたものからなる。このように成形した線材11によって、円筒面をもつ濾過体12が形成される。本実施形態の線材11は、延伸方向に対して直角な断面形状が三角形を成している。
濾過体12のうち、被濾過液が流入する内周面(一次面)12aは平坦面である。即ち、線材11のうち、内周面(一次面)12a側は、平坦面11fとなっている。例えば、本実施形態のように、断面形状が三角形の線材11の場合、この三角形の1辺が内周面(一次面)12aに沿うように、線材11が支持部材13に支持され、三角形の頂点で線材11が支持部材13に接合される。
微細構造物5は、例えば、円錐台形、楕円錐形、多角錐形、円錐台形、楕円錐台形、多角錐台形のうち、少なくともいずれか1つの形状である。実施形態の微細構造物5は、基端から先端に向けて先細りの針状構造物である。
微細構造物5は、線材11に例えば電気めっきによって形成しためっき層3から構成される。また、微細構造物5を構成するめっき層3と線材11との間には、めっき層3と線材11との密着性を高める下地層4が更に形成されていることが好ましい。
図6に、こうした微細構造物5を針状構造物とした場合のSEM写真(二次電子像(SEI)、15.0kV、20000倍)を示す。
線材11の単位面積(1μm2)当たりの微細構造物5の数は、1.2〜10.0個/μm2である。単位面積(1μm2)当たりの微細構造物5の数が上記範囲未満であると、濾過用フィルター1とSS粒子を含む被濾過液との接触面積が不足して、深層濾過の機構の効果が不十分となるために、被濾過液中のSS粒子が捕捉されにくくなる。
濾過用フィルターを電子顕微鏡で観察し、縦2μm横2μm面積4μm2の正方形内に存在する針状構造物の頂点の数を、4箇所測定する。そして、4箇所で測定した針状構造物の頂点の数を平均し、単位面積(1μm2)当たりの針状構造物の数を算出する。
濾過用フィルター10を埋め込み樹脂で固定して切断し、その切断面をイオンミリングで平滑化して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影する。その後、撮影したフィルター基材の断面の拡大写真におけるフィルター基材の表面の略延在方向に沿って、10μm当たりの針状の微細構造物の数を測定する。そして、測定した微細構造物の数から単位長さ(1μm)当たりの微細構造物の数を算出する。
ここで、平均粒子径φは、レーザー回折法により測定されたものである。具体的には、株式会社島津製作所製のSALD−DS21型測定装置(商品名)などにより測定することができる。
微細構造物5の形状を、円錐台形、楕円錐形、多角錐形、円錐台形、楕円錐台形、多角錐台形などの錐形や錐台形にした場合、濾過体12の内周面(一次面)12aの面積に対する隙間16の面積(内周面を平面視した時の隙間の平面積)の割合を示す開口率Gは、0.2%以上、20%以下にすることが好ましい。
G=[s/(s+w)]×100・・・(1)
図8、図9は、こうした微細構造物5を多面体構造物とした場合のSEM写真(二次電子像(SEI)、15.0kV、2000倍(図8)、5000倍(図9))を示す。
微細構造物5を多面体構造物とした場合、複数の多面体が相互に結合して体積の一部を共有している。多面体形状の微細構造物5は、それぞれ、3つ以上の平面が交わる頂点を複数有している。各微細構造物5は、図8および図9に示すように、それぞれ異なる形状および異なる大きさを有しており、線材11の平坦面11f、またはこの平坦面11fに形成された下地層4(図5参照)の表面に密集して形成されている。その結果、多面体形状の辺に相当する部分は、不規則な方向を向いている。
即ち、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて拡大した濾過用フィルター10の写真を撮影し、画像処理を行う。具体的には、多面体形状の微細構造物5の最も大きさの大きい部分の外形寸法を、一つの写真に対して代表的な10か所を選択して測定し、その平均値を平均最大外形寸法と定義する。
G=[s/(s+w)]×100・・・(1)
濾過処理装置100を用いて、例えばSS粒子を含む被濾過液を濾過して処理水を得る際には、まず、ポンプ106によって、被濾過液槽101に貯留されている被濾過液を濾過用フィルター10に向けて圧送する。
図10は、別な実施形態の濾過用フィルターを端面側から見た時の断面図である。また、図11は、別な実施形態の濾過用フィルターの内周面側を示す要部拡大断面図である。
本実施形態の濾過用フィルター60は、線材61を面状に配列させた濾過体62と、この濾過体62を支持する支持部材63と、を備えている。本実施形態の濾過用フィルター60では、濾過体62は、長尺の線材61をコイル状に巻回させ、中空の筒状体に成形させたものからなる。このように成形した線材61によって、円筒面をもつ濾過体62が形成される。実施形態の線材61は、延伸方向に対して直角な断面形状が矩形である。
図12は、別な実施形態の内圧式の濾過用フィルターの内周面側を示す要部拡大断面図である。
本実施形態の濾過用フィルター70は、延伸方向に対して直角な断面形状が台形である線材71をコイル状に巻回させ、中空の筒状体にした濾過体72を備えている。線材71は、互いに隣接する線材どうしの間、即ち、本実施形態では隣接する周回線材71どうしの間を所定幅の隙間76を保って離間させるように、外周面(二次面)72b側で支持部材73に支持されている。このような線材71,71どうしの隙間76によって、円筒形の濾過体72の内周面72aと外周面72bとの間で処理水が通過可能にされている。隙間76は、断面が台形である線材71によって、内周面(一次面)72a側から外周面(二次面)72b側に向けて幅が広がるように形成される。
本実施形態の濾過用フィルター80は、延伸方向に対して直角な断面形状が逆台形である線材81をコイル状に巻回させ、中空の筒状体にした濾過体82を備えている。線材81は、互いに隣接する線材どうしの間、即ち、本実施形態では隣接する周回線材81どうしの間を所定幅の隙間86を保って離間させるように、内周面(一次面)82a側で支持部材83に支持されている。このような線材81,81どうしの隙間86によって、円筒形の濾過体82の内周面82aと外周面82bとの間で処理水が通過可能にされている。隙間86は、断面が逆台形である線材81によって、外周面(一次面)82b側から内周面(二次面)82a側に向けて幅が広がるように形成される。
図14は、別な実施形態の濾過用フィルターを示す外観斜視図である。また、図15は、別な実施形態の濾過用フィルターを示す平面図である。
この実施形態の濾過用フィルター90は、複数の線材91を面状に配列させた濾過体92と、この濾過体92を支持する支持部材93と、を備えている。本実施形態の濾過用フィルター90では、濾過体92は、延伸方向に直角な断面形状が三角形である複数本の線材91を平面上に配列し、平板状に成形させたものからなる。
線材に針状の微細構造物を備えた、図2に示す濾過用フィルターを製造するには、まず、線材11を用意する。線材11は、めっき処理を用いて、めっき層3、またはめっき層3および下地層4を容易に形成できるように、金属であることが好ましい(図5参照)。線材11に用いる金属としては、例えば、鉄、ニッケル、銅、および、これらの合金などを用いることが好ましい。その中でも特に、線材11として、耐蝕性に優れ、低コストで、加工しやすい材料であるステンレス鋼線を用いることが好ましい。
また、めっき層3を形成するためのめっき処理を行った後、必要に応じて、濾過用フィルターの耐久性を向上させるために、めっき層3の表面に、他の金属や有機物などを用いて別の被覆層を形成してもよい。
図14に示すように、幅5000μmの線材11を支持部材13の上に並行になるよう固定し、線材間の幅を20μmとなるようにして濾過用フィルターのスクリーンを作製した。このスクリーンをニッケル−リンメッキをおこない下地層を形成した後、非特許文献1に示すようにethylenediamine dihydrochloride(EDA)存在下でのメッキによって、針状の微細構造物5を表面に形成して濾過用フィルター10を得た。この時の線材間の隙間の幅は10μmであり、メッキ後の線材の幅は5005μmであった。この時の開孔率は13%であった。
(非特許文献1)Tao Hang, Ming Li, Qin Fei and Dali Mao, Characterization of nickel nanocones routed by electrodeposition without any template, Nanotechnology, 19 (2008) 035201 (5pp)
またこのメッキ層を埋め込み樹脂で固定した後、切断して断面観察を行ったところ、10μmあたりの平均針状構造物数は20個、針状構造物平均高さは750nm、変動係数は0.28であった。また針状構造物の平均幅は550nmであり、アスペクト比(高さ/幅)は1.36であった。
実施例1と同様に、幅5000μmの線材11を支持部材13の上に並行になるよう固定し、線材間の幅を20μmとなるようにして濾過用フィルターのスクリーンを作製した。このスクリーンをニッケル−リンメッキをおこない下地層を形成した後、非特許文献2に示すように添加剤として2−ブチン−1,4−ジオールを添加して、無電解ニッケルめっき処理を行い多面体状の微細構造物5を表面に形成して濾過用フィルター10を得た。この時の線材間の隙間の幅は3μmであり、メッキ後の線材の幅は5005μmであった。この時の開孔率は13%であった。
(非特許文献2)S.Chakraborty,Role of organic additives in nickel plating,Transactions of the Metal Finishers' Association of india,Vol.12,No.3-4(2003)
次にこの濾過用フィルターの二次側から0.1MPaの圧力をかけて逆洗浄水を送り、ケーク層の逆洗浄を行ったところ、隙間の近傍のケークはきれいに剥離していて表面の凹凸が戻っていた。再度この濾過フィルターで濾過を行ったところ、一回目の濾過と同様の濾過性能を発揮している事が確認された。
Claims (17)
- 線材を面状に配列させた濾過体と、前記濾過体を支持する支持部材と、を有する濾過用フィルターであって、
互いに隣接する前記線材どうしの間には隙間が形成され、
前記濾過体のうち、被濾過液が流入する一次面側は平坦面であり、
少なくとも前記平坦面に複数の微細構造物が形成され、
前記微細構造物は、円錐台形、楕円錐形、多角錐形、楕円錐台形、多角錐台形のうち、少なくともいずれか1つの形状であって、
前記微細構造物の形成密度は、1.2〜10.0個/μm 2 の範囲である濾過用フィルター。 - 前記濾過体は、前記線材をコイル状に巻回させた筒状体からなる請求項1記載の濾過用フィルター。
- 前記濾過体は、複数の前記線材を一平面上に平行に並列させた平板体からなる請求項1記載の濾過用フィルター。
- 前記隙間は、前記一次面側から、被濾過液が流出する二次面側に向けて幅が広がっている請求項1ないし3いずれか一項記載の濾過用フィルター。
- 前記線材は、延伸方向に対して直角な断面形状が三角形、または台形を成す請求項1ないし4いずれか一項記載の濾過用フィルター。
- 前記微細構造物は、前記隙間の内表面にも形成されている請求項1ないし5いずれか一項記載の濾過用フィルター。
- 前記支持部材は、少なくとも被濾過液が流出する二次面側に形成される請求項1ないし6いずれか一項記載の濾過用フィルター。
- 前記微細構造物は、基端から先端に向けて先細りの形状を成す針状構造物である請求項1ないし7いずれか一項記載の濾過用フィルター。
- 互いに隣接する前記線材間の隙間の幅をs、前記線材の配列方向に沿った前記線材の幅をwと規定した時に、式1で表される前記一次面の面積に対する前記隙間の面積を示す開口率Gは、0.2%以上、20%以下であり、前記隙間の幅sは、10μm以上、5mm以下である請求項8記載の濾過用フィルター。
[数1]
G={s/(s+w)}×100・・・(1) - 前記微細構造物の単位長さあたりの形成数は、1〜4個/μmの範囲である請求項1記載の濾過用フィルター。
- 前記微細構造物の平均高さは、0.2〜2.5μmの範囲である請求項1記載の濾過用フィルター。
- 前記微細構造物の高さの変動係数は、0.15〜0.50の範囲である請求項1記載の濾過用フィルター。
- 線材を面状に配列させた濾過体と、前記濾過体を支持する支持部材と、を有する濾過用フィルターであって、
互いに隣接する前記線材どうしの間には隙間が形成され、
前記線材の平坦面が、前記濾過体のうち被濾過液が流入する一次面側とされ、
前記平坦面にはめっき層が形成され、
前記めっき層の表面は複数の微細構造物を成し、
前記微細構造物は、多面体形状であり、
前記微細構造物の平均最大外形寸法は、0.5〜10μmの範囲である濾過用フィルター。 - 互いに隣接する前記線材間の隙間の幅をs、前記線材の配列方向に沿った前記線材の幅をwと規定した時に、式1で表される前記一次面の面積に対する前記隙間の面積を示す開口率Gは、0.02%以上、20%以下であり、前記隙間の幅sは、1μm以上、5mm以下である請求項13記載の濾過用フィルター。
[数2]
G={s/(s+w)}×100・・・(1) - 前記微細構造物の平均最大外形寸法の変動係数は、0.15〜0.50の範囲である請求項13または14記載の濾過用フィルター。
- 前記微細構造物は、金属または合金で形成されている請求項1ないし15いずれか一項記載の濾過用フィルター。
- 前記微細構造物が、ニッケルまたはニッケル合金で形成されている請求項16記載の濾過用フィルター。
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