JP5620845B2 - 濾過装置及び濾過方法 - Google Patents
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Description
まず、本発明の濾過装置の一の実施形態について説明する。本実施形態の濾過装置は、「一方の端面から他方の端面に貫通する筒状の濾過材からなり、その内部に濾過対象液を流通させることにより、その外周面側から濾過対象液中の液体成分を分離して、濾過対象液を濾過濃縮するフィルタ」と、「このフィルタの内部に配設され、筒状のフィルタの内部を一方の端面から他方の端面に向けて螺旋状に区画して濾過対象液の流路を形成する整流部材」と、を備えた濾過装置である。そして、本実施形態の濾過装置に用いられるフィルタは、そのフィルタの内周面の表面粗さが、0.1〜1.9μmである。即ち、本実施形態の濾過装置においては、従来の濾過装置に用いられるフィルタに比して、その内周面の表面粗さが小さく、比較的滑らかな面を有するものとなっている。
図1〜図3に示すように、本実施形態の濾過装置100に用いられるフィルタ10は、一方の端面22から他方の端面23に貫通する筒状の濾過材からなるものである。即ち、フィルタ10は、一方の端面22から他方の端面23に向けて貫通孔15が形成された中空筒状の濾過材によって構成されたフィルタであり、その内部に濾過対象液30を流通させることにより、その外周面24側から濾過対象液30中の液体成分32を分離して、濾過対象液30を濾過濃縮することができる。なお、フィルタ10の内部(即ち、上記貫通孔15の内部)には、上記貫通孔15内を螺旋状に区画する整流部材12が配設されており、濾過対象液30は上記流路に沿って螺旋状に流通することとなる。
図1〜図3に示すように、整流部材12は、フィルタ10の内部に配設され、筒状のフィルタ10の内部を一方の端面22から他方の端面23に向けて螺旋状に区画して濾過対象液の流路を形成するためのものである。
本実施形態の濾過装置は、一つ以上のフィルタを内部に収納する筒状の濾過塔を更に備えたものであってもよい。即ち、図6に示す濾過装置101に示すように、濾過対象液を濾過濃縮するフィルタ10と、このフィルタ10の内部を一方の端面22から他方の端面23に向けて螺旋状に区画して濾過対象液の流路を形成する整流部材12(図2参照)と、筒状の濾過塔40と、を備えたものであってもよい。
次に、本発明の濾過方法の一の実施形態について説明する。本実施形態の濾過方法は、濾過対象液を、一方の端面から他方の端面に貫通する流路が形成された筒状のフィルタの一方の端面から流通させて、このフィルタの外周面側から濾過対象液中の液体成分を分離するとともに、上記フィルタの他方の端面から、濾過濃縮された濾過対象液を流出させる濾過工程を備え、上記フィルタの流路を屈曲させることにより、濾過対象液を、フィルタの内部を螺旋状に流通させるとともに、このフィルタとして、フィルタの内周面の表面粗さが0.1〜1.9μmのフィルタを用いる濾過方法である。
(フィルタの作製)
分級したアルミナ粒子に、バインダーと造孔材を加え、更に水を添加して成形原料とし、得られた成形原料を真空土練機により混練して、フィルタ作製用の坏土を調製した。
フィルタの平均細孔径を、水銀圧入法により測定した。
まず、フィルタの内周面の状態が確認できるように、フィルタを金槌によって割り、いくつかの部分に分割する。次に、フィルタの内周面(内面)に偏りのないようにして、観察点を15ヶ所選択する。次に、それぞれの観察点を、走査型電子顕微鏡(日立製作所製の「mini scope TM−1000(商品名)」)を用いて、一つの視野の大きさが15μm×20μmになるような三次元画像を得る。次に、得られたそれぞれの三次元画像において、最も窪んでいる点を基準(ゼロ点)として、高さ方向(内面に垂直な方向)に0.5μm刻みで16区間に高さを識別し、各高さの区間ごとの面積を算出する。上記15ヶ所の観察点(15×15μm×20μmの範囲)に占める各区間合算面積の割合(積分分布[%])を、積算でプロットして、積分分布[%]の50%値に対応する高さ[μm]を、フィルタの内周面の表面粗さ(h50[μm])とする。
濾過対象液としての酸化鉄スラリーは、鉄の焙焼後に得られる酸化鉄の粉末(JFEケミカル社作製)を、15質量%の割合で含むスラリーとした。酸化鉄の粉末を分散させる分散媒としては、精製水を用いた。また、濾過能力評価を行うに際し、上記酸化鉄スラリーに、pH調整剤として水酸化ナトリウム水溶液を加え、酸化鉄スラリーを中和した(pH7)。酸化鉄スラリーを中和した理由は、酸化鉄の水洗後に排出されるスラリーの状態を再現するためである。
分級してアルカリ成分を含む長石類及び石英を除去した可塑性粘土と、石灰及び苦土成分と、アルミナ成分とに、造孔材を加え、更に水を添加して成形原料とし、得られた成形原料を真空土練機により混練して、フィルタ作製用の坏土を調製した。
アルミナ研磨材を用いて筒状のフィルタを作製した。得られたフィルタは、外径が13mm、内径が9mm、長さ1000mmであった。また、得られたフィルタの内周面の表面粗さ(h50)は2.8μmであった。
アルミナ粒子を用いて筒状のフィルタを作製し、その表面にシリカコートを行って筒状のフィルタを作製した。得られたフィルタは、外径が13mm、内径が9mm、長さ1000mmであった。また、得られたフィルタの平均細孔径は1.5μmであり、フィルタの内周面の表面粗さ(h50)は2.8μmであった。
実施例1及び2の濾過装置は、図13に示すように、濾過時間が経過しても、濾過流束が低下し難く、高い濾過性能を維持することが確認された。一方、比較例1及び比較例2の濾過装置は、濾過開始から急速に濾過流束が低下してしまった。ここで、表1に、実施例1及び2、比較例1及び2に用いられたフィルタの表面粗さ(μm)と、濾過開始直後における濾過流束(q0(L・m−2・min−1))と、濾過開始60分後における濾過流束(q60(L・m−2・min−1))と、濾過流束q60に対する濾過流束q0の比の値(q0/q60)を示す。表1より、実施例の濾過装置は、q0/q60の値が1に近く、濾過流束の低下率が小さいことが分かる。
Claims (5)
- 一方の端面から他方の端面に貫通する筒状の濾過材からなり、その内部に濾過対象液を流通させることにより、外周面側から前記濾過対象液中の液体成分を分離して、前記濾過対象液を濾過濃縮するフィルタと、
前記フィルタの内部に配設され、筒状の前記フィルタの内部を前記一方の端面から前記他方の端面に向けて螺旋状に区画して前記濾過対象液の流路を形成する整流部材と、
一つ以上の前記フィルタを内部に収納する筒状の濾過塔と、を備え、
前記フィルタの内周面の表面粗さが、0.1〜1.9μmであり、且つ前記フィルタは、当該フィルタの細孔径の中央値に対する、当該フィルタの最大細孔径の比の値が、1.1以下のものであり、
前記整流部材は、芯棒と、前記芯棒の表面に螺旋条に配設された凸条部とを有し、
前記整流部材は、前記凸条部の頂部が前記フィルタの内周面に当接するように、前記フィルタの内部に配設されている濾過装置であって、
前記濾過塔には、前記濾過対象液を前記フィルタの前記一方の端面側から前記フィルタの前記流路に流入させる流入口、前記フィルタの外周面側から分離した液体成分を前記濾過塔の内周面と前記フィルタの外周面との間を通過させて外部に流出させる濾液流出口、及び前記フィルタの前記他方の端面側から濾過濃縮させた濾過対象液を流出させる濃縮液流出口が形成され、前記フィルタの外周面側から分離した前記液体成分を前記濾液流出口から排出し、且つ、前記濃縮液流出口から流出した前記濾過濃縮させた濾過対象液を循環させて前記フィルタによる前記濾過濃縮を繰り返すように構成された濾過装置。 - 前記フィルタの気孔率が、35〜60%である請求項1に記載の濾過装置。
- 前記フィルタの平均細孔径が、0.05〜3μmである請求項1又は2に記載の濾過装置。
- 前記濾過塔の内部に、少なくとも三つの前記フィルタが、それぞれの前記フィルタの貫通軸が平行となるように間隔を空けて並列に配置されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の濾過装置。
- 濾過対象液を、一方の端面から他方の端面に貫通する流路が形成された筒状のフィルタの前記一方の端面から流通させて、前記フィルタの外周面側から前記濾過対象液中の液体成分を分離するとともに、前記フィルタの他方の端面から、濾過濃縮された濾過対象液を流出させる濾過工程を備え、
前記フィルタの内部に整流部材を配設して前記フィルタの前記流路を屈曲させることにより、前記濾過対象液を前記フィルタの内部を螺旋状に流通させるとともに、前記フィルタとして、前記フィルタの内周面の表面粗さが0.1〜1.9μmで、且つ前記フィルタは、当該フィルタの細孔径の中央値に対する、当該フィルタの最大細孔径の比の値が、1.1以下のフィルタを用い、且つ、前記整流部材として、芯棒と、前記芯棒の表面に螺旋条に配設された凸条部とを有するものを用い、前記整流部材を、前記凸条部の頂部が前記フィルタの内周面に当接するように前記フィルタの内部に配設し、
一つ以上の前記フィルタは、筒状の濾過塔の内部に収納され、前記濾過塔には、前記濾過対象液を前記フィルタの前記一方の端面側から前記フィルタの前記流路に流入させる流入口、前記フィルタの外周面側から分離した液体成分を前記濾過塔の内周面と前記フィルタの外周面との間を通過させて外部に流出させる濾液流出口、及び前記フィルタの前記他方の端面側から濾過濃縮させた濾過対象液を流出させる濃縮液流出口が形成され、前記フィルタの外周面側から分離した前記液体成分を前記濾液流出口から排出し、前記濃縮液流出口から流出した前記濾過濃縮させた濾過対象液を循環させて前記濾過工程を繰り返すように構成された濾過方法。
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