JP2018111100A - 被処理液の濾過用フィルターおよび処理方法 - Google Patents

被処理液の濾過用フィルターおよび処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】深層濾過の機構およびケーク濾過の機構を利用して被処理液中のSS粒子を捕捉でき、さらにケーク濾過へ移行しても濾過流量を保持できる濾過用フィルターおよび処理方法を提供することである。
【解決手段】実施形態の濾過用フィルターは、フィルター基材と、複数の針状構造物と、を持つ。複数の針状構造物は、前記フィルター基材の表面に形成されたものである。前記フィルター基材の単位面積当たりの前記針状構造物の数は、1.2〜10.0個/μmである。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、被処理液の濾過用フィルターおよび処理方法に関する。
近時、工業の発達や人口の増加により、水資源の有効利用が求められるようになってきている。水資源の有効利用を図るためには、工業排水や生活排水などの各種の排水を浄化して、再利用することが重要である。排水を浄化するためには、水中に含まれる水不溶物や不純物を分離除去する必要がある。
水中に含まれる水不溶物や不純物の粒子を分離除去する方法として、例えば、膜分離法、遠心分離法、活性炭吸着法、オゾン処理法、凝集剤添加による浮遊物質の沈殿除去法が挙げられる。
膜分離法に代表される濾過法では、さまざまな形態の膜や濾過材を用いたフィルターに、除去対象物質である懸濁物質(以下、SS粒子と表記する場合がある。)を含む水を通過させて、水中からSS粒子を分離している。代表的な濾過機構としては、表面濾過、深層濾過(デプス濾過)、ケーク濾過と呼ばれる機構がある。
表面濾過は、フィルターの表面でフィルターを通過する水中に含まれるSS粒子を受け止める機構である。表面濾過では、主にフィルターの孔よりも大きいSS粒子が捕捉される。例えば、膜を用いる濾過では、主に表面濾過の機構が用いられている。
深層濾過は、フィルターの表面だけでなく孔の内面など、SS粒子を含む水と接するフィルター表面全面へのSS粒子の付着を利用する機構である。深層濾過では、主にフィルターの孔よりも小さい粒子が捕捉される。例えば、砂などの濾過材が充填された塔を用いる濾過においては、深層濾過の機構が用いられている。
ケーク濾過は、フィルターに捕捉されたSS粒子自身がケークを形成し、フィルターとして機能する機構である。ケーク濾過では、深層濾過よりもさらに小さいSS粒子が捕捉される。
従来、金網を用いたフィルターを用いて、水中からSS粒子を分離する濾過では、主に表面濾過の機構が用いられている。金網を用いたフィルターにおいて、深層濾過の機構を用いれば、フィルターの孔よりも小さい粒子を捕捉できるし、フィルターの閉塞が生じにくく、通水量の確保がしやすくなる。しかし、金網を用いたフィルターでは、フィルターとSS粒子を含む水との接触面積を確保しにくいため、深層濾過の機構を利用できない場合があった。
一般に、フィルターにSS粒子を含む水を通過させて、水中からSS粒子を除去する場合、SS粒子によるケークが形成されてケーク濾過へ移行する。この時の濾過性能は、形成されたケークに依存し(言い換えればSS粒子に依存し)、ケークの厚みが増すと共に濾過流量の低下が観察される。
特開2008−180206号公報
Tao Hang,Ming Li,Qin Fei and Dali Mao,Characterization of nickel nanocones routed by electrodeposition without any template,Nanotechnology,19(2008)035201(5pp)
本発明が解決しようとする課題は、深層濾過の機構およびケーク濾過の機構を利用して被処理液中のSS粒子を捕捉でき、さらにケーク濾過へ移行しても濾過流量を保持できる濾過用フィルターおよび処理方法を提供することである。
実施形態の濾過用フィルターは、フィルター基材と、複数の針状構造物と、を持つ。
複数の針状構造物は、前記フィルター基材の表面に形成されたものである。前記フィルター基材の単位面積当たりの前記針状構造物の数は、1.2〜10.0個/μmである。
第1の実施形態の濾過用フィルターを示す平面模式図。 図1に示す濾過用フィルター1の一部を拡大して示した断面模式図である。 実施例1の濾過用フィルターの断面の顕微鏡写真である。 実施例1の濾過用フィルターの表面の顕微鏡写真である。 被処理液を通水した後の実施例1の濾過用フィルターの断面の顕微鏡写真である。
以下、実施形態の濾過用フィルターおよび処理方法を、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態の濾過用フィルターを示す平面模式図である。図2は、図1に示す濾過用フィルター1の一部を拡大して示した断面模式図である。図1および図2に示す濾過用フィルター1は、SS粒子を含む被処理液を通過させて一定量のSS粒子を捕捉した後のものである。
図1に示す濾過用フィルター1は、図2に示すように、フィルター基材6と、フィルター基材6の表面に、電気めっき処理等によって形成されためっき層3とを有する。フィルター基材6は、線材2で形成された金網と、線材2の表面に形成された下地層4とで形成されている。めっき層3は、複数の針状構造物5で形成されている。
濾過用フィルター1では、図1に示すように、線材2が綾織されて網目状となっている。このことにより、濾過用フィルター1には、複数の貫通孔8が規則的に形成されている。図1および図2に示す濾過用フィルター1の貫通孔8の近傍には、貫通孔8をふさぐように、図2に示すケーク7が形成されている。ケーク7は、濾過用フィルター1に捕捉されたSS粒子によって形成されたものである。ケーク7は、被処理液中のSS粒子を捕捉し、被処理液中からSS粒子を分離するフィルターとして機能する。
貫通孔8の孔径は、0.5μm〜10μmの範囲であることが好ましい。貫通孔8の孔径が0.5μm以上であると、濾過用フィルター1の濾過流量が確保されやすくなる。貫通孔8の孔径が10μm以下であると、貫通孔8の近傍に、貫通孔8をふさぐようにケーク7が形成されやすくなる。
濾過用フィルター1の貫通孔8の孔径は、以下に示す方法により測定したものである。
まず、濾過用フィルター1の貫通孔8を真上から走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影する。この時、貫通孔8は、縦方向に略平行に延在していて表面にめっき層3が形成されている2本のフィルター基材6と、縦方向と略直交する横方向に略平行に延在していて表面にめっき層3が形成されている2本のフィルター基材6とに囲まれた、略矩形の内面形状となっている。この略矩形の貫通孔8の内面における縦方向の最短距離と横方向の最短距離とを測定し、距離の短い方の寸法を貫通孔8の孔径とした。この距離は、針状構造物5の先端の間とした。なお、縦方向の最短距離と横方向の最短距離とが同じである場合には、どちらか一方の寸法を貫通孔8の孔径とした。このようにして貫通孔8の孔径を4箇所以上測定し、その平均値を濾過用フィルター1の貫通孔8の孔径と定義した。
線材2の材料としては、濾過用フィルター1を用いて濾過される被処理液中で使用できるものが用いられる。線材2の材料は、めっき処理を用いて、めっき層3、またはめっき層3および下地層4を容易に形成できるように、金属であることが好ましい。線材2に用いる金属としては、例えば、鉄、ニッケル、銅、および、これらの合金などを用いることが好ましい。その中でも特に、線材2として、耐蝕性に優れ、低コストで、加工しやすい材料であるステンレス鋼線を用いることが好ましい。
下地層4は、めっき層3の線材2への接着性を高めるために、必要に応じて設けられるものである。下地層4に用いられる材料としては、例えば、線材2の表面にニッケル合金からなるめっき層3を形成する場合、ニッケルまたはニッケル合金を用いることが好ましい。ニッケル合金としては、ホウ素、リン、亜鉛から選ばれる一種以上の元素を含有するものが挙げられる。
下地層4の厚みは、めっき層3の線材2への接着性を向上させることができる厚み以上とされている。また、下地層4の厚みは、貫通孔8の孔径が、濾過用フィルター1にSS粒子を含む被処理液を通過させる際に適した大きさとなる範囲の厚みとされている。
本実施形態におけるめっき層3は、図2に示すように、複数の針状構造物5が下地層4の表面に集合してなる複合体である。各針状構造物5では、各針状構造物5の基端53aよりも線材2側の領域である基部5aが、隣接する他の針状構造物5の基部5aと一体化されている。このことにより、針状構造物5の基部5aは、下地層4の表面に連続して形成されている。各針状構造物5は、例えば、多角錐状または円錐状の形状を有する。このような錐状の形状を有する各針状構造物5は、図2に示すように、基端53aから先端52に向けて先細りの形状を有している。このため、隣接する針状構造物5間には、断面視で基端53aに近づくにつれて幅が狭くなる谷53が形成されている。谷53は、平面視で各針状構造物5を取り囲むように形成されている。各針状構造物5を取り囲む谷53は、隣接する別の針状構造物5を取り囲む谷53と平面視で繋がって形成されている。
図1および図2に示す濾過用フィルター1では、複数の針状構造物5の一部に、被処理液中から捕捉したSS粒子が付着している。
フィルター基材6の単位面積(1μm)当たりの針状構造物5の数は、1.2〜10.0個/μmである。単位面積(1μm)当たりの針状構造物5の数が上記範囲未満であると、濾過用フィルター1とSS粒子を含む被処理液との接触面積が不足して、深層濾過の機構によって被処理液中のSS粒子が捕捉されにくくなる。また、単位面積(1μm)当たりの針状構造物5の数が上記範囲未満であると、針状構造物5にSS粒子が捕捉されにくくなるため、ケーク7が形成されにくくなる。しかし、単位面積(1μm)当たりの針状構造物5の数が上記範囲を超えると、洗浄を行っても針状構造物5からSS粒子が除去されにくくなり、洗浄性が不十分となる。
単位面積当たりの針状構造物5の数が1.2個/μm以上であると、濾過用フィルター1の表面積が十分に広くなり、隣接する針状構造物5間にSS粒子が引っかかりやすくなる。このため、深層濾過の機構によってSS粒子が捕捉されやすく、捕捉されたSS粒子によってケーク7が形成されやすい濾過用フィルター1となる。よって、濾過用フィルター1は、深層濾過の機構およびケーク濾過の機構を用いてSS粒子を捕捉できる優れた除去機能を有するものとなる。単位面積当たりの針状構造物5の数は、よりSS粒子の除去機能の高い濾過用フィルター1とするために、3.0個/μm以上であることが好ましい。
単位面積当たりの針状構造物5の数が10.0個/μm以下であると、隣接する針状構造物5間の隙間が狭くなりすぎることが防止される。このため、図2に示すように、隣接する針状構造物5間に形成されている谷53と、めっき層3上に形成されているケーク7とに囲まれた十分な広さの空間31が形成される。空間31は、ケーク7が形成された時に、ケーク濾過された処理液が流れる流路として機能する。このため、針状構造物5を有さないフィルターと比較すると、ケーク7を通過した処理液の得られる面積が大きくなるため、濾過流量を大きくすることができる。したがって、濾過用フィルター1は、SS粒子が除去されやすく、濾過流量の大きいものとなる。単位面積当たりの針状構造物5の数は、より濾過流量の大きい優れた濾過用フィルター1とするために、7.0個/μm以下であることが好ましい。
フィルター基材6の単位面積(1μm)当たりの針状構造物5の数は、以下に示す方法により測定したものである。
濾過用フィルターを電子顕微鏡で観察し、縦2μm横2μm面積4μmの正方形内に存在する針状構造物の頂点の数を、4箇所測定する。そして、4箇所で測定した針状構造物の頂点の数を平均し、単位面積(1μm)当たりの針状構造物の数を算出する。
フィルター基材6の断面における単位長さ(1μm)当たりの針状構造物5の数は1.0〜4.0個/μmである。上記の単位長さ(1μm)当たりの針状構造物5の数が上記範囲未満であると、濾過用フィルター1とSS粒子を含む被処理液との接触面積が不足して、深層濾過の機構によって被処理液中のSS粒子が捕捉されにくくなる。しかし、上記の単位長さ(1μm)当たりの針状構造物5の数が上記範囲を超えると、隣接する針状構造物5間に形成されている谷53と、めっき層3上に形成されているケーク7とに囲まれた空間31が狭くなるため、濾過流量が少なくなる場合がある。
上記の単位長さ当たりの針状構造物5の数が1.0個/μm以上であると、単位面積当たりの針状構造物5の数が1.2個/μm以上である場合と同様に、深層濾過の機構およびケーク濾過の機構を用いてSS粒子を捕捉できる優れた除去機能を有するものとなる。上記の単位長さ当たりの針状構造物5の数は、よりSS粒子の除去機能の高い濾過用フィルター1とするために、1.5個/μm以上であることが好ましい。
上記の単位長さ当たりの針状構造物5の数が4.0個/μm以下であると、単位面積当たりの針状構造物5の数が10.0個/μm以下である場合と同様に、隣接する針状構造物5間の隙間が狭くなりすぎることが防止される。このため、隣接する針状構造物5間に形成されている谷53と、めっき層3上に形成されているケーク7とに囲まれた十分な広さの空間31が形成されるものとなり、濾過流量の大きな濾過用フィルター1となる。
上記の単位長さ当たりの針状構造物5の数は、より一層濾過流量の大きい濾過用フィルター1とするために、3.0個/μm以下であることが好ましい。
フィルター基材6の断面における単位長さ(1μm)当たりの針状構造物5の数は、以下に示す方法により測定したものである。
濾過用フィルター1を埋め込み樹脂で固定して切断し、その切断面をイオンミリングで平滑化して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影する。その後、撮影したフィルター基材の断面の拡大写真におけるフィルター基材の表面の略延在方向に沿って、10μm当たりの針状構造物の数を測定する。そして、測定した針状構造物の数から単位長さ(1μm)当たりの針状構造物の数を算出する。
本実施形態において、フィルター基材6の断面における針状構造物5の平均高さHおよび基端部の平均幅Dは、以下に示す部分の寸法を、以下に示す測定方法により測定したものである。
図2に示すように、フィルター基材6の断面において隣接する針状構造物5間には、谷53が形成されている。フィルター基材6の断面において、針状構造物5を挟んで対向する谷底である基端53a、53a間を、直線51でつなぎ、その長さを針状構造物5の基端部の幅D1、D2とする。また、針状構造物5の先端52と上記の直線51との最短距離を、針状構造物5の高さH1、H2とする。
フィルター基材6の断面において、2つの針状構造物57、58が一体化されている場合(図2における符号59で示す針状構造物)には、以下に示す部分の寸法を、針状構造物57、58の高さH3、H4および針状構造物57、58の基端部の幅D3、D4とした。
まず、針状構造物57、58が一体化された針状構造物59を挟んで対向する谷底である基端53a、53a間を、直線54でつなぐ。次いで、2つの針状構造物57、58間の谷55の谷底から直線54に向かって垂線56を引く。垂線56と直線54との交点から各基端53a、53aまでのそれぞれの距離を、針状構造物57、58の基端部の幅D3、D4とする。また、各針状構造物57、58の先端52a、52bと上記の直線54との最短距離を、各針状構造物57、58の高さH3、H4とする。なお、垂線56の長さが、針状構造物57、58の高さH3、H4の両方の高さの3/4未満である場合には、独立した2つの針状構造物とみなす。また、2つの針状構造物57、58が一体化されているとする基準は、前記独立した2つの針状構造物とみなされる場合以外とする。
針状構造物5の高さおよび針状構造物5の基端部の幅を測定するには、濾過用フィルター1を埋め込み樹脂で固定して切断し、その切断面をイオンミリングで研磨して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影する。その後、撮影したフィルター基材6の断面の拡大写真におけるフィルター基材の表面の略延在方向に沿う長さ10μmの範囲を1つの測定領域とし、4箇所の測定領域に存在する全ての上記の針状構造物5の高さおよび基端部の幅を測定する。そして、測定した4箇所の針状構造物5の高さの平均値を、針状構造物5の平均高さHとする。また、測定した4箇所の針状構造物5の基端部の幅の平均値を、針状構造物5の基端部の平均幅Dとする。
フィルター基材6の断面における針状構造物5の高さの変動係数は0.15〜0.50であることが好ましい。変動係数とは、上述したフィルター基材6の断面における針状構造物5の高さの分布の標準偏差を、前記針状構造物5の高さの算術平均値で除したものである。
上記の変動係数が0.15〜0.50の範囲であると、より一層SS粒子の除去機能および洗浄性の優れた濾過用フィルター1となる。上記の変動係数が0.15未満であると、濾過用フィルター1にSS粒子を含む被処理液を通過させる際に、濾過用フィルター1の表面でのSS粒子を含む被処理液の流れが単調になり、針状構造物5にSS粒子が捕捉されにくくなる。また、上記の変動係数が0.50を超えると、高さの低い針状構造物5によってめっき層3の表面に形成されたケーク7を支える機能が得られにくくなる。
上記の変動係数が0.15以上であると、針状構造物5の高さのばらつきが十分に大きいものとなる。このため、濾過用フィルター1にSS粒子を含む被処理液を通過させる際に、濾過用フィルター1の表面でのSS粒子を含む被処理液の流れが複雑になるとともに、高さの高い針状構造物5にSS粒子が引っかかりやすくなる。その結果、深層濾過の機構によってSS粒子が捕捉されやすくなるとともに、高さの高い針状構造物5に引っかかったSS粒子を起点として、めっき層3の表面にケーク7が形成されやすくなる。上記の変動係数は、よりSS粒子が捕捉されやすい濾過用フィルター1とするために、0.18以上であることが好ましい。
上記の変動係数が0.50以下であると、めっき層3の表面に形成されたケーク7を、高さの低い針状構造物5が支えることによって、隣接する針状構造物5間に形成されている谷53とケーク7とに囲まれた空間31の広さが確保されやすくなる。このため、濾過によってケーク7が形成された後、ケーク濾過された処理液が空間31内を流れやすくなり、濾過流量が増大する。したがって、濾過用フィルター1は、針状構造物のないフィルターと比較して濾過流量に優れたものとなる。上記の変動係数は、より一層、濾過流量の多い濾過用フィルター1とするために、0.36以下であることが好ましい。
フィルター基材6の断面における針状構造物5の基端部の平均幅Dと平均高さHとのアスペクト比H/Dは0.5〜4.0であることが好ましい。アスペクト比H/Dが0.5以上であると、隣接する針状構造物5間に形成されている谷53と、めっき層3上に形成されたケーク7とに囲まれた十分な高さの空間31が形成される。このため、濾過によってケーク7が形成された後に、ケーク濾過された処理液が空間31内を流れやすくなり、濾過流量に優れたものとなる。アスペクト比H/Dは、より一層濾過流量の大きな濾過用フィルター1とするために、1.0以上であることが好ましい。アスペクト比H/Dが4.0以下であると、強度に優れた針状構造物5となるため、耐久性に優れた濾過用フィルター1となる。アスペクト比H/Dは、より一層耐久性の優れた濾過用フィルター1とするために、3.0以下であることが好ましい。
フィルター基材6の断面における針状構造物5の平均高さHは、0.2〜2.5μmであることが好ましい。上記の針状構造物5の平均高さHが0.2μm以上であると、隣接する針状構造物5間に形成されている谷53と、めっき層3上に形成されるケーク7とに囲まれた十分な高さの空間31が形成される。このため、濾過の際にケークが形成された後に、ケーク濾過された処理液が空間31内を流れやすくなり、濾過流量に優れたものとなる。上記の針状構造物5の平均高さHは、より一層濾過流量の優れた濾過用フィルター1とするために、0.4μm以上であることが好ましい。上記の針状構造物5の平均高さHが2.5μm以下であると、隣接する針状構造物5間の隙間が狭くなりすぎることが防止される。このため、10.0個/μm以下である場合と同様に、空間31が十分に確保された濾過流量に優れた濾過用フィルター1となる。上記の針状構造物5の平均高さHは、より一層濾過流量の優れた濾過用フィルター1とするために、1.8μm以下であることが好ましい。
フィルター基材6の断面における針状構造物5の基端部の平均幅Dと、除去対象物質の平均粒子径(D50)b(SS粒子の平均粒子径)との関係は、b/D≧0.33を満足することが好ましい。上記b/Dが0.33以上であると、SS粒子が隣接する針状構造物5間に形成されている谷53の谷底の近傍に入り込みにくいものとなる。したがって、谷53と、めっき層3上に形成されたケーク7とに囲まれた広い空間31が形成されやすくなる。よって、濾過用フィルター1は、ケーク濾過された処理液が空間31内を流れやすく、濾過流量に優れたものとなる。上記b/Dは、より一層濾過流量の多い濾過用フィルター1とするために、0.50以上であることが好ましい。また、上記b/Dは3.00以下であることが好ましい。上記b/Dが3.00以下であると、SS粒子が隣接する針状構造物5間に、より一層引っかかりやすいものとなる。このため、より一層、深層濾過の機構によってSS粒子が捕捉されやすく、捕捉されたSS粒子によってケーク7が形成されやすい濾過用フィルター1となる。上記b/Dは、よりSS粒子が捕捉されやすい濾過用フィルター1とするために、2.00以下であることがより好ましい。
ここで、平均粒子径bは、レーザー回折法により測定されたものである。具体的には、株式会社島津製作所製のSALD−DS21型測定装置(商品名)などにより測定することができる。
複数の針状構造物5で形成されためっき層3に用いられる金属としては、電気めっき等の処理によって、フィルター基材6の表面に複数の針状構造物5を析出できるものを用いる。このような金属としては、鉄、ニッケル、銅、および、これらの合金などが挙げられる。めっき層3に用いられる金属としては、上記の金属の中でも特に、針状構造物5の形状の制御がしやすく耐食性に優れた金属であるため、ニッケルまたはニッケル合金を用いることが好ましい。ニッケル合金としては、ホウ素、リン、亜鉛から選ばれる一種以上の元素を含有するものが挙げられる。
次に、図1および図2に示す濾過用フィルター1の製造方法について説明する。
濾過用フィルター1を製造するには、まず、綾織されて網目状とされた線材2を用意する。
次いで、線材2の表面全面に、めっき処理を用いて、下地層4を形成する。下地層4を形成するためのめっき処理としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ニッケルまたはニッケル合金からなるめっき層3を形成する前に、ステンレスからなる線材2の表面に下地層4を形成する場合には、電解ニッケルめっき処理または無電解ニッケルめっき処理を用いて、ニッケルまたはニッケル合金からなる下地層4を形成することが好ましい。
次に、下地層4の設けられた線材2の表面全面に、電気めっき処理によって、複数の針状構造物5を析出させて、線材2をめっき層3で被覆する。めっき層3を形成するための電気めっき処理としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、下地層4およびめっき層3がニッケルまたはニッケル合金からなるものである場合、下地層4の形成後、めっき浴に添加剤を添加して、連続して電解ニッケルめっき処理または無電解ニッケルめっき処理を用いて、めっき層3を形成することが好ましい。
複数の針状構造物5を析出させる電気めっき処理では、めっき浴に添加する添加剤の種類、濃度、めっき時間を変化させることにより、針状構造物5の形状および大きさを変化させることができる(例えば、非特許文献1参照)。添加剤としては、エチレンジアミン二塩酸塩(ethylenediamine dihydrochloride)、エチレンジアミン(EDA)などが挙げられる。
めっき層3を形成するためのめっき処理を行った後、必要に応じて熱処理を行って、めっき層3の結晶化を促進してもよい。
また、めっき層3を形成するためのめっき処理を行った後、必要に応じて、濾過用フィルターの耐久性を向上させるために、めっき層3の表面に、他の金属や有機物などを用いて別の被覆層を形成してもよい。
次に、図1および図2に示す濾過用フィルター1を用いて、被処理液中のSS粒子を除去する処理方法について説明する。
濾過用フィルター1にSS粒子を含む被処理液を通過させると、まず、表面濾過および深層濾過の機構によって、SS粒子が捕捉される。濾過用フィルター1は、複数の針状構造物5を所定の密度で有するものであるため、濾過用フィルター1とSS粒子を含む被処理液との接触面積が多い。このため、本実施形態の処理方法では、表面濾過および深層濾過の機構によって針状構造物5の表面に付着したSS粒子を起点として、めっき層3の表面の複数の箇所で速やかにSS粒子の凝集物が形成される。
形成された凝集物は、濾過用フィルター1へのSS粒子を含む被処理液の通過を継続させることにより、成長して剥離し、SS粒子を含む被処理液とともに貫通孔8に向かって移動する。貫通孔8に移動した1つまたは複数の凝集物は、貫通孔8をふさぐケーク7となる。このように、本実施形態の処理方法では、表面濾過の機構だけでなく、深層濾過の機構およびケーク濾過の機構も利用して、被処理液中の小さなSS粒子を除去できる。よって、優れた濾過性能が得られる。
濾過用フィルター1は、図2に示すように、隣接する針状構造物5間に谷53を有している。谷53は、断面視で谷底である基端53aに近づくにつれて幅が狭くなっている。
このため、濾過用フィルター1に捕捉されたSS粒子は、谷53の基端53a近傍には入り込みにくい。したがって、めっき層3の表面にケーク7が形成されている濾過用フィルター1では、図2に示すように、谷53とケーク7とに囲まれた十分な広さの空間31が形成される。空間31が形成された後、さらに濾過用フィルター1へのSS粒子を含む被処理液の通過を継続させても、空間31の上部はケーク7で形成された蓋が被せられた状態となっているため、SS粒子は空間31内に入り込みにくい。したがって、濾過用フィルター1へのSS粒子を含む被処理液の通過を継続させると、ケーク7上にさらにSS粒子が堆積される。
また、本実施形態の処理方法では、濾過用フィルター1が一定量のSS粒子を捕捉した段階で洗浄を行う。洗浄を行うタイミングは、特に限定されるものではなく、濾過用フィルター1に通過させる被処理液に含まれるSS粒子の量などに応じて適宜決定できる。洗浄は、濾過用フィルター1に、SS粒子を含む被処理液を通過させた方向と反対向きに洗浄液を通過(逆洗)させたり、濾過用フィルター1の表面に洗浄液を流したりして行う。
本実施形態において、濾過用フィルター1の逆洗を行うと、空間31には、各針状構造物5を取り囲むように形成された谷53を介して、多方向から洗浄液が流入する。このことにより、谷53の上部の少なくとも一部を覆うように形成されていたケーク7が、洗浄液に押し上げられて、ケーク7の剥離が促進される。また、水濾過用フィルター1の針状構造物5は、基端53aから先端52に向けて先細りの形状を有している。このため、洗浄液に押し上げられたケーク7は、水濾過用フィルター1から容易に剥離される。また、針状構造物5が先細りの形状を有しているので、針状構造物5に付着しているSS粒子が逆洗時に谷53に挟まりにくく、針状構造物5から容易に剥離される。したがって、本実施形態の処理方法では、逆洗を行うことにより、水濾過用フィルター1に堆積したSS粒子が速やかに除去される。逆洗を行うことにより、水濾過用フィルター1が再生される。
実施形態の濾過用フィルター1は、フィルター基材6と、フィルター基材6の表面に形成された複数の針状構造物5とを持つ。そして、フィルター基材6の単位面積(1μm)当たりの針状構造物5の数が1.2〜10.0個/μmのものであり、かつフィルター基材6の断面における単位長さ(1μm)当たりの前記針状構造物の数が1.0〜4.0個/μmのものである。このため、実施形態の濾過用フィルター1は、深層濾過の機構およびケーク濾過の機構を用いてSS粒子を捕捉できる優れた除去機能を有する。しかも、実施形態の濾過用フィルター1では、SS粒子を含む被処理液を通過させることによってケーク7が形成され、その後に、針状構造物5間に形成されている谷53とケーク7とに囲まれた十分な大きさの空間31が形成されるため、濾過流量に優れる。
実施形態の濾過用フィルター1は、フィルター基材6の表面に形成された複数の針状構造物5を有するものであるので、フィルター基材6と針状構造物5との間には空間が存在しない。このため、例えば、フィルター基材6と針状構造物5との間に空間が存在している場合と比較して、針状構造物5が脱落しにくく、耐久性に優れた濾過用フィルター1となる。また、フィルター基材6と針状構造物5との間に空間が存在しないので、フィルター基材6と針状構造物5との間の空間に被処理液中のSS粒子が詰まることがない。したがって、濾過用フィルター1は、洗浄が容易である。
実施形態の濾過用フィルター1において、フィルター基材6として線材2で形成された金網を有するものを用いた場合、例えば、フィルター基材が、不織布である場合と比較して、洗浄によりSS粒子が除去されやすく、洗浄を短時間で行うことができる。
上記の実施形態では、フィルター基材6の単位面積当たりの針状構造物5の数が1.2〜10.0個/μmであり、かつフィルター基材6の断面における単位長さ当たりの前記針状構造物の数が1.0〜4.0個/μmである濾過用のフィルターを例に挙げて説明したが、フィルター基材6の単位面積当たりの針状構造物5の数と、フィルター基材6の断面における単位長さ当たりの針状構造物の数のうち、いずれか一方のみが上記の範囲内であればよい。
上記の実施形態では、線材2とめっき層3との間に、下地層4が設けられている濾過用のフィルターを例に挙げて説明したが、下地層は設けられていなくてもよい。
上記の実施形態では、線材2が綾織されて網目状となっている場合を例に挙げて説明したが、線材2の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、平織、畳織であってもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、フィルター基材と、フィルター基材の表面に形成された複数の針状構造物とを持ち、フィルター基材の単位面積当たりの針状構造物の数が、1.2〜10.0個/μmである。よって、深層濾過の機構およびケーク濾過の機構を利用して被処理液中のSS粒子を捕捉でき、しかも、濾過流量の多い濾過用フィルターとなる。
以下、実施例を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
ステンレス製の平織りの金網(目開き45μm,線径32μm)を用意した。これを、リンと亜鉛とニッケルとを含むめっき浴中に浸漬し、無電解ニッケルめっき処理を行った。このことにより、ステンレス鋼線で形成された金網をニッケル亜鉛合金からなる下地層で被覆した。
その後、下地層を形成しためっき浴中に、ホウ酸と添加剤としてのエチレンジアミン(EDA)とを添加して、無電解ニッケルめっき処理を行った。このことにより、下地層で被覆された線材を被覆するめっき層を形成し、実施例1の濾過用フィルターを得た。
実施例1の濾過用フィルターの表面を電子顕微鏡で観察し、表面に針状構造物が形成されているか否かを確認した。その結果、表面に複数の針状構造物が形成されていた。
次に、実施例1の濾過用フィルターについて、貫通孔の孔径、単位面積(1μm)当たりの針状構造物の数、断面における単位長さ(1μm)当たりの針状構造物の数、針状構造物の高さの変動係数、断面における針状構造物の基端部の平均幅Dと平均高さHとのアスペクト比H(nm)/D(nm)、断面における針状構造物の平均高さ、断面における針状構造物の基端部の平均幅Dと除去対象物質の平均粒子径bとの関係b/Dを、それぞれ上述した方法により調べた。その結果を表1に示す。
また、単位面積(1μm)当たりの針状構造物の数を算出するために測定した4μm当たりの針状構造物の数、断面における単位長さ(1μm)当たりの針状構造物の数を算出するために測定した10μm当たりの針状構造物の数、除去対象物質の平均粒子径(D50)bについても表1に示す。
図3は、実施例1の濾過用フィルターの断面の顕微鏡写真である。図3に示す写真は、実施例1の濾過用フィルターを埋め込み樹脂で固定して切断し、その切断面を研磨して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したものである。図3は、フィルター基材の断面における針状構造物の平均高さHおよび基端部の平均幅Dの算出に用いた測定結果の一部である。図3において点線で示した距離は、針状構造物11、12、13、14、15それぞれの高さを示す。また、図3において実線で示した距離は、針状構造物11、12、13、14、15それぞれの基端部の幅を示す。図3に示す針状構造物14と針状構造物15は、2つの針状構造物が一体化されたものである。
図4は、実施例1の濾過用フィルターの表面の顕微鏡写真である。図4に示す正方形の枠は、縦2μm横2μm面積4μmの範囲を示している。また、図4における正方形の枠内の点は、計測した針状構造物の頂点の位置を示している。図4には、針状構造物の頂点の数を測定した4箇所のうち、2箇所の正方形内に存在する針状構造物の頂点の数を測定した結果を示す。
次に、実施例1の濾過用フィルターの濾過性能を、以下に示す方法により評価した。
「濾過性能」
実施例1の濾過用フィルターを濾過用の膜として濾過器に固定し、SS粒子として平均粒子径0.1μmのアルミナ粒子(バイカロックスCR0.1)を100mg/L含む水で形成されているスラリー(濁度266NTU(Nephelometric Turbidity Unit))を被処理液として準備し、圧力0.1MPaで通水した。
そして、通水後に得られた処理水の濁度が5NTU以下である場合「○」、濾過用フィルターを通過したアルミナ粒子によって処理水の濁度が5NTUを超えている場合を「×」と評価した。その結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1の濾過用フィルターの濾過性能を評価した結果は「○」であった。
図5は、被処理液(濁度266NTU)を通水した後の実施例1の濾過用フィルターの断面の顕微鏡写真である。図5に示す写真は、被処理液を通水した後の実施例1の濾過用フィルターを埋め込み樹脂で固定して切断し、その切断面をイオンミリングで研磨して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したものである。図5に示す写真の中央は、濾過用フィルターの貫通孔である。
図5に示すように、被処理液を通水した後の実施例1の濾過用フィルターには、貫通孔をふさぐようにケークが形成されていた。また、図5に示すように、被処理液を通水した後の実施例1の濾過用フィルターには、隣接する針状構造物間に形成されている谷とケークとに囲まれた空間が形成されていた。
(実施例1−2〜1−4)
実施例1の濾過用フィルターに対する濾過性能の評価を、被処理液中のSS粒子として平均粒子径0.1μmのアルミナ粒子に代えて、平均粒子径0.3μm(実施例1−2)、1.0μm(実施例1−3)、3.0μm(実施例1−4)のアルミナ粒子を含むものを用いて行った。
その結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1−2〜1−4の濾過性能の評価は、「○」であった。
(実施例2)
下地層の厚さを調整したこと以外は実施例1と同様にして、表1に示す濾過用フィルターを得た。実施例2の濾過用フィルターの表面を電子顕微鏡で観察し、表面に針状構造物が形成されているか否かを確認した。その結果、表面に複数の針状構造物が形成されていた。
(実施例3〜7)
無電解ニッケルめっき処理におけるEDAの添加量とめっき時間とを変えたこと以外は実施例1と同様にして、表1に示す濾過用フィルターを得た。実施例3〜7の濾過用フィルターの表面を電子顕微鏡で観察し、表面に針状構造物が形成されているか否かを確認した。その結果、いずれも表面に複数の針状構造物が形成されていた。
(比較例1)
めっき浴中に、添加剤を添加せず、めっき層の被覆された線材の線径が実施例1と同等となるように、無電解ニッケルめっき処理を行った。このことにより、比較例1の濾過用フィルターを得た。比較例1の濾過用フィルターを電子顕微鏡で観察したところ、表面は平坦で針状構造物は形成されていなかった。
実施例2〜7、比較例1の濾過用フィルターについて、実施例1と同様にして、貫通孔の孔径を調べた。その結果を表1に示す。
実施例2〜7の濾過用フィルターについて、実施例1と同様にして、単位面積(1μm)当たりの針状構造物の数、断面における単位長さ(1μm)当たりの針状構造物の数、針状構造物の高さの変動係数、断面における針状構造物の基端部の平均幅Dと平均高さHとのアスペクト比H(nm)/D(nm)、断面における針状構造物の平均高さ、断面における針状構造物の基端部の平均幅Dと除去対象物質の平均粒子径bとの関係b/Dを、それぞれ調べた。その結果を表1に示す。
実施例2〜7、比較例1の濾過用フィルターを用いて、実施例1と同様にして、濾過性能の評価を行った。その結果を表1に示す。
被処理液を通水した後の実施例2〜7の濾過用フィルターの断面をそれぞれ、実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。その結果、実施例2〜7においても、実施例1と同様に、貫通孔をふさぐようにケークが形成され、隣接する針状構造物間に形成されている谷とケークとに囲まれた空間が形成されていることが確認できた。
表1に示すように、単位面積(1μm)当たりの針状構造物の数が1.2〜10.0個/μmであり、断面における単位長さ当たりの針状構造物の数が1.0〜4.0個/μmである実施例1〜7の水濾過用フィルターでは、濾過性能の評価結果が全て「○」であった。これに対し、表面に針状構造物の形成されていない比較例1の水濾過用フィルターでは、濾過性能の評価結果が「×」であった。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…濾過用フィルター、2…線材、3…めっき層、4…下地層、5、57、58、59…
針状構造物、5a…基部、6…フィルター基材、7…ケーク、8…貫通孔、31…空間、
51、54…直線、52…先端、53、55…谷、53a…基端、56…垂線

Claims (12)

  1. 線材で形成された金網と、該線材の表面に形成された下地層とで形成されたフィルター基材と、
    前記下地層の表面に形成された複数の針状構造物と、を備え、
    前記フィルター基材の単位面積当たりの前記針状構造物の数が、1.2〜10.0個/μmであり、前記線材が網目状となることにより孔径0.5〜10.0μmの貫通孔が形成された被処理液の濾過用フィルター。
  2. 線材で形成された金網と、該線材の表面に形成された下地層とで形成されたフィルター基材と、
    前記下地層の表面に形成された複数の針状構造物と、を備え、
    前記フィルター基材の断面における単位長さ当たりの前記針状構造物の数が、1.0〜4.0個/μmであり、前記線材が網目状となることにより孔径0.5〜10μmの貫通孔が形成された被処理液の濾過用フィルター。
  3. 前記フィルター基材の断面における前記針状構造物の高さの変動係数が0.15〜0.50である、請求項1または請求項2に記載の被処理液の濾過用フィルター。
  4. 前記針状構造物が、基端から先端に向けて先細りの形状である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の被処理液の濾過用フィルター。
  5. 前記フィルター基材の断面における前記針状構造物の基端部の平均幅Dと平均高さHとのアスペクト比H/Dが0.5〜4.0である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の被処理液の濾過用フィルター。
  6. 前記フィルター基材の断面における前記針状構造物の平均高さが0.2〜2.5μmである、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の被処理液の濾過用フィルター。
  7. 前記フィルター基材の断面における前記針状構造物の基端部の平均幅Dと、除去対象物質の平均粒子径bとの関係が、b/D≧0.33を満足し、前記除去対象物質の平均粒子径bが0.1〜3.0μmである、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の被処理液の濾過用フィルター。
  8. 前記針状構造物が、金属または合金で形成されている、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の被処理液の濾過用フィルター。
  9. 前記針状構造物が、ニッケルまたはニッケル合金で形成されている、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の被処理液の濾過用フィルター。
  10. 前記針状構造物が、電気めっき処理によって形成されたものである請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の被処理液の濾過用フィルター。
  11. 前記フィルター基材が、ステンレス鋼線で形成された金網を有する請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の被処理液の濾過用フィルター。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の被処理液の濾過用フィルターを用いる、処理方法。
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