JP6333562B2 - ロールベーラー - Google Patents

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Description

本発明は、圃場の牧草や稲藁などの作物をピックアップして円筒状のロールベールを成形するロールベーラーに関するものであり、より詳しくは、ロール成形部における騒音を防止するとともに、確実にロールベールを成形できるようにしたロールベーラーに関するものである。
従来の一般的なロールベーラーの構造について、図6を用いて説明する。
図6において、符号101は圃場の作物をピックアップするピックアップ部であり、地面に近い位置に設けられた円筒状の回転部材を回転させ、その外周に設けられたタインによって作物をピックアップするようにしたものである。また、符号102は、そのピックアップ部101でピックアップされた作物をロール成形部103まで搬送する搬送部であり、ベルトなどの無端搬送部などで構成されるものである。また、符号103は、搬送部によって搬送された作物を回転させながら円筒状のロールベールを成形するロール成形部である。そして、このようなロールベーラーを用いてロールベールを成形する場合、ピックアップ部101で作物をピックアップし、無端搬送部102で作物をロール成形部103まで搬送させてロールベールを成形し、その後、ネットや紐などを巻き付けるようにしている。
ところで、このようなロールベーラーのロール成形部の構成として、タイトバーを円弧状に周回させながらロールベールを成形するタイトバー式のものと(特許文献1など)、図6に示すように、複数のローラー104を円弧状に配置し、それぞれを回転させてロールベールを成形するローラー式のものがある(特許文献2など)。
特開2008−142049号公報 特開2001−008525号公報
このうち、上述のタイトバー式のものは、作物をタイトバー上に載せて強制的に搬送させることができるため、ロール成形部の後方の迫り上がり部分まで作物を搬送させて作物を自転させて初期状態のロールを成形し、そこから徐々にロールを大きくしてロールベールを成形することができるというメリットがある。しかしながら、このタイトバー式のものは、タイトバーを取り付けたタイトチェーンが円弧状のガイドに沿って摺動するため、大きな騒音を発生させてしまうというデメリットがある。
一方、ローラー式のものは、ローラーが自転するために、このような騒音がなくなるというメリットがある。しかしながら、ローラー式のものは、作物とローラーとの接点が少ない上に、ローラー自体もタイトバーのように移動しないため、例えば、作物が多くの水分を含んでいるような場合は、ロール成形部の入口部分のローラー上で作物が滑ってしまい、そこで作物が塊となって作物が先に進まず、渦巻状のロールベールを成形できなくなってしまう場合がある。
そこで、本発明は、ロール成形部における騒音の発生を低減するとともに、ピックアップ部でピックアップされた作物をロール成形部まで確実に搬送してロールベールを成形できるにしたロールベーラーを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、圃場の作物をピックアップするピックアップ部と、当該ピックアップされた作物からロールベールを成形するロール成形部と、を備えてなるロールベーラーにおいて、ロール成形部を無端搬送部とローラーとによって構成し、当該無端搬送部を、前記ピックアップ部の後方を前端とし、前記ロール成形部における回転中心の下端部を超える位置を後端として設けるとともに、当該無端搬送部の後方から円弧状に複数のローラーを設け、当該無端搬送部に隣接するローラーの回転軸の中心を、前記無端搬送部の搬送方向よりも上側に設け、前記無端搬送部と前記ローラーとを開閉扉の内側に一体的に開閉するように設け、当該無端搬送部とローラーとを同一の駆動源を介して駆動させるようにしたものである。
また、このような発明において、前記同一の駆動源を介してピックアップ部を駆動させるようにする。
本発明によれば、無端搬送部の後方で迫り上がるローラーによって初期状態の小さなロールを確実に成形することができ、そこから徐々にロールを大きくしてロールベールを成形することができるようになる。しかも、ロール成形部の内側をローラーで構成しているため、騒音を著しく低減させることができるようになる。
本発明の一実施の形態を示すロールベールの概略図 同形態におけるロール成形部の下端部近傍の無端搬送部とローラーとの境界部分を示す図 同形態における無端搬送部とローラーの動力機構とロールベールの成形状態を示す図 同形態における無端搬送部とローラーの動力機構を示す図 同形態におけるロールベールの開閉扉を開けた状態を示す図 従来例におけるロールベーラーを示す図
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
この実施の形態におけるロールベーラー1は、圃場の牧草や稲藁などの作物をピックアップして円筒状のロールベール7を形成できるようにしたものであって、図1に示すように、圃場の作物をピックアップするピックアップ部2と、このピックアップ部2でピックアップされた作物をロール成形部5まで搬送する無端搬送部3とを備え、そのロール成形部5でロールベール7を成形して、結束機構9で紐やネット(以下、「梱包部材91」と称する)を巻き付けて圃場に放出できるようにしたものである。そして、特徴的に、そのロール成形部5を無端搬送部3とローラー4とによって構成して騒音を低減するとともに、その無端搬送部3をロール成形部5の回転中心Cの下端部Bを超える後方位置まで設け、また、その無端搬送部3の後方の迫り上がった位置から円弧状に複数のローラー4を設けてロールベール7を確実に成形できるようにしたものである。以下、本実施の形態におけるロールベーラー1について説明する。
まず、ロールベーラー1のピックアップ部2は、圃場の作物をピックアップするようにしたものであって、回転体20の表面に複数のタイン21を立設させ、このタイン21を回転させることによって圃場の作物をピックアップさせるようにしたものである。このピックアップ部2で作物をピックアップする場合は、タイン21を走行方向に向けて地表を引っ掻くように回転させて作物をピックアップし、回転体20の上面側に設けられたプレスバー22によって作物を押さえながら無端搬送部3に移し替えられるようにする。このピックアップ部2は、図3や図4に示すように、前方のトラクターのPTO8からの回転力によって駆動するようになっており、PTO8からの回転力をベベルギアを介して左右方向の回転力に変換し、その左右方向の回転軸に設けられた駆動スプロケット81およびその駆動スプロケット81に順次掛け渡されたチェーン85を用いてピックアップ部2のスプロケット82を回転させられるようにしている。
一方、この無端搬送部3は、ピックアップ部2でピックアップされた作物をロール成形部5の内側まで搬送させる機能と、そのロール成形部5でロールを成形する機能とを備えるもので、ここではタイトバー31を周回させる構造を用いている。このタイトバー31の左右両端にはタイトチェーンが設けられており、そのタイトチェーンを前後のスプロケット84(図3)に掛け渡すことによってタイトバー31を無端状に周回させて騒音を低減させるようにしている。なお、ここでは無端搬送部3としてタイトバー式の無端搬送部を例に挙げて説明するが、ベルト式の無端搬送部を用いるようにしてもよい。このようなベルト式は、タイトバー式のようにタイトバー31とタイトバー31との間の隙間がないため、搬送途中でその隙間から作物を落下させることがないというメリットがある反面、製造コストが高くなるとともに、組立性やメンテナンス性、耐久性に劣るという欠点がある。一方、タイトバー式のものは、ベルト式に比べて安価であり、組立性、メンテナンス性、耐久性に優れるというメリットがある。このため、ここではタイトバー式の無端搬送部3を採用することとしている。
ロール成形部5は、搬送されてきた作物から円筒状のロールベール7を成形するようにしたものであって、前述の無端搬送部3と複数のローラー4によって構成されている。
ここで、ロールベール7を成形する際の原理について、図2などを用いて説明する。
ピックアップされた作物からロールベール7を成形する際には、まず、その作物をロール成形部5の後方の迫り上がった位置のローラー4の位置まで搬送させ、そこで作物を自転させる必要がある。仮に、無端搬送部3から搬送されてきた作物を、その無端搬送部3と同一面状のローラーの上面に移し替えるとした場合、その移し替え部分のローラー上で作物が滑る可能性があり、そこで作物が塊状となって作物を自転させることができなくなる。そこで、この実施の形態では、このような塊の発生を防止すべく、円形状の空間を形成するロール成形部5の回転中心C(完成されたロールベール7の回転中心C)の下端部Bの後方部分まで無端搬送部3を設け、その後方の迫り上がった部分から円弧状にローラー4を配置してロールベール7を成形できるようにしている。このとき、無端搬送部3は、図2に示すように、後方に向けて斜め上を向くように傾斜させておき、また、ローラー4については、無端搬送部3から搬送されてきた作物がローラー4の側面に当たるように配置しておく。そして、このように配置することによって、無端搬送部3から搬送されてきた作物に斜め上方への慣性力を付与してローラー4の側面に押し当て、そのローラー4による上側への持ち上げ力と自重による落下によって作物を自転させる。そして、この自転によって初期状態の小さなロール71を成形し(図2の状態)、そこから順次搬送されてくる作物によって大きな渦巻状のロールベール7を成形する。
このようなローラー4や無端搬送部3の駆動は、ピックアップ部2と一体的に駆動するように構成されている。すなわち、ピックアップ部2を駆動させる場合は、これと同時にローラー4や無端搬送部3も駆動できるようになっており、逆に、ピックアップ部2の駆動を停止させる場合は、これと同時にローラー4や無端搬送部3の駆動も停止させるようになっている。具体的には、図3や図4に示すように、トラクターのPTO8によって駆動する駆動スプロケット81とローラー4のスプロケット83にチェーン85を掛け渡し、順次ローラー4のスプロケット83にチェーン85の掛け渡していく。また、最後のローラー4のスプロケット83とタイトチェーン駆動用のスプロケット84との間にもチェーン85を掛け渡し、これによって、ローラー4と無端搬送部3とピックアップ部2とを一体的に駆動させる。
これらの無端搬送部3や複数のローラー4は、後方側に向けて開閉する開閉扉6の内側に取り付けられており、開閉扉6を開けた際には、その開閉扉6と一体的に後方に回動するようになっている。この開閉扉6を開閉させる場合、上側に設けられた図示しない油圧シリンダによって支軸を中心として回転させることよって開閉させる。そして、このように無端搬送部3やローラー4などを、この開閉扉6の内面側に取り付けることによって、開閉扉6を開けた際には、内側からローラー4や無端搬送部3を視認できるようにし、これによって、内側からメンテナンスなどを行えるようにする。
また、結束機構9は、ロール成形部5によって成形されたロールベール7に対して、その外周に梱包部材91(図1参照)を巻き付けられるようにしたものであって、ロールベール7が所定の大きさになった場合、梱包部材91を繰り出し、ロールベール7を回転させながら全体的に巻き付けられるようにしている。このような結束機構9としては、特開平6−105615号などに記載されるように、ロールベール7が所定の大きさに達した場合に図示しないトワインモーターを回転させ、トワインをトワインスタータローラーとトワインテンションローラーとの接触による摩擦力によってロール成形部5に向けて繰り出すようにすることができる。そして、ロールベール7への巻き付けが完了した後、そのトワインなどの梱包部材91を切断し、ロール成形部5の後方の開閉扉6を開けて、ロールベール7を圃場の放出できるようにする。
次に、このように構成されたロールベーラー1の作用について説明する。
まず、圃場の牧草や稲藁などの作物からロールベール7を成形する場合、トラクターを駆動させ、PTO8の回転によってピックアップ部2や無端搬送部3、ローラー4を回転させる。
そして、その状態でトラクターを走行させることによって、ピックアップ部2のタイン21によって圃場の作物をピックアップし、プレスバー22によって作物を押さえつけながら無端搬送部3上に載せていく。
この無端搬送部3に載置された作物は、タイトバー31の上に載置された状態で後方へと順次搬送されていき、ロール成形部5の回転中心Cの下端部Bの後方の迫り上がった部分へと搬送されていく。
このとき、その無端搬送部3の後端側まで搬送された作物は、図2に示すように、無端搬送部3によってローラー4の側面に押しつけられるとともに、そのローラー4の回転によって上側に押し上げられ、そこで自重によって自転するようになり、初期状態の小さなロール71を成形することができる。
そして、以下、順次搬送されてきた作物をそのロール71の外周に渦巻状に巻き付けながら徐々にロール71を大きくしていき(図2や図3参照)、大きなロールベール7を成形していく。そして、一定の大きさに達した場合に、結束機構9を用いてそのロールベール7の外周に梱包部材91を巻き付けていく。
そして、後方の開閉扉6を開けて、結束されたロールベール7を圃場に放出する。
このように上記実施の形態によれば、圃場の作物をピックアップするピックアップ部2と、当該ピックアップされた作物からロールベール7を成形するロール成形部5とを備えてなるロールベーラー1において、ロール成形部5を無端搬送部3とローラー4とによって構成し、当該無端搬送部3を、、前記ピックアップ部の後方を前端とし、前記ロール成形部5における回転中心Cの下端部Bを超える位置を後端として設けるとともに、当該無端搬送部3の後方から円弧状に複数のローラー4を設け、当該無端搬送部3に隣接するローラー4の回転軸の中心を、前記無端搬送部3の搬送方向よりも上側に設け、前記無端搬送部3と前記ローラー4とを開閉扉6の内側に一体的に開閉するように設け、当該無端搬送部3とローラー4とを同一の駆動源を介して駆動させるようにしたので、無端搬送部3の後方で迫り上がるローラー4によって初期状態の小さなロール71を確実に成形することができ、そこから徐々にロール71を大きくしてロールベール7を成形することができるようになる。しかも、ロール成形部5の内側がローラー4で構成されているため、騒音を著しく低減させることができるようになる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
例えば、上記実施の形態では、トラクターに牽引される構成について説明したが、自走式のロールベーラー1に上述の構成を採用するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、ピックアップ部2として複数のタイン21を立設させて回転させるものを例に挙げて説明したが、圃場の作物をピックアップできるような構成であれば、どのような構成のものであってもよい。
また、上記実施の形態では、結束機構9を設けるようにしたが、この結束機構9を設けない構造も用いることができ、もしくは、他の結束機構を用いるようにしてもよい。
1・・・ロールベーラー
2・・・ピックアップ部
20・・・回転体
21・・・タイン
22・・・プレスバー
3・・・無端搬送部
31・・・タイトバー
4・・・ローラー
5・・・ロール成形部
6・・・開閉扉
7・・・ロールベール
71・・・ロール
8・・・PTO
81・・・駆動スプロケット
82・・・ピックアップ部のスプロケット
83・・・ローラーのスプロケット
84・・・無端搬送部駆動用のスプロケット
85・・・チェーン
9・・・結束機構
91・・・梱包部材

Claims (2)

  1. 圃場の作物をピックアップするピックアップ部と、
    当該ピックアップされた作物からロールベールを成形するロール成形部と、
    を備えてなるロールベーラーにおいて、
    ロール成形部を無端搬送部とローラーとによって構成し、
    当該無端搬送部を、前記ピックアップ部の後方を前端とし、前記ロール成形部における回転中心の下端部を超える位置を後端として設けるとともに、
    当該無端搬送部の後方から円弧状に複数のローラーを設け、
    当該無端搬送部に隣接するローラーの回転軸の中心を、前記無端搬送部の搬送方向よりも上側に設け、
    前記無端搬送部と前記ローラーとを開閉扉の内側に一体的に開閉するように設け、
    当該無端搬送部とローラーとを同一の駆動源を介して駆動させるようにしたことを特徴とするロールベーラー。
  2. 前記同一の駆動源を介してピックアップ部を駆動させるようにした請求項に記載のロールベーラー。
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