JP6331080B2 - 軌道面姿勢計測方法、軌道面姿勢計測装置および転動体挙動計測方法 - Google Patents
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Description
このような転動体(ころ)の挙動の計測方法において、転動体の挙動の検出精度を高めるには、一対の軌道盤の軌道面同士が互いに平行になるように調整されている必要がある。
そこで、この発明の目的の一つは、互いに対向する一対の軌道面の相対姿勢を精度良く計測できる軌道面姿勢計測方法および軌道面姿勢計測装置を提供することである。
請求項2に記載の発明は、前記接触状態において、前記第2の軌道盤を、前記第2の軌道面と反対側から前記カメラによって撮像する第2の撮像ステップ(S12)をさらに含み、前記姿勢算出ステップは、前記第1および第2の撮像ステップの撮像結果に基づいて前記スラスト軸受の姿勢を算出する、請求項1に記載の軌道面姿勢計測方法である。
請求項4によれば、第1および第2の軌道面の相対姿勢の計測結果に基づいて、第1および第2の軌道面が互いに平行な姿勢をなすようにスラスト軸受の姿勢が調整されるので、第1および第2の軌道面が互いに平行な姿勢である状態で転動体の挙動が計測される。これにより、転動体の挙動を精度良く計測できる転動体挙動計測方法を提供できる。
請求項5によれば、第1および第2の軌道盤の回転姿勢を変更させながら、第1および第2の軌道面の姿勢の計測および調整を複数回行う。そのため、第1および第2の軌道盤の互いに異なる複数の相対回転姿勢において、第1および第2の軌道面が平行状態に保たれる。第1および第2の軌道盤を相対回転させながら転動体の挙動を計測するので、各相対回転姿勢において、第1および第2の軌道面が平行状態であることが望ましく、これにより、転動体の挙動を、より一層精度良く精度良く計測できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る軌道面姿勢計測装置が適用された転動体挙動計測装置1の概略構成を示す斜視図である。
転動体挙動計測装置1は、スラスト軸受10を計測対象とし、公転中の転動体13の挙動を計測する。この実施形態では、スラスト軸受10として、転動体13にころを用いたスラストころ軸受が用いられている。スラスト軸受10は、後述するように、第1の軌道盤11と第2の軌道盤9とを有しているが、転動体13の挙動を観察するために、第2の軌道盤9は透明部材により設けられており、この第2の軌道盤9は、転動体挙動計測装置1に設けられており、一方、第2の軌道盤9を除いたスラスト軸受10が、転動体挙動計測装置1に搬入され、保持機構(保持回転機構)2に保持された状態で、第2の軌道盤9を除いたスラスト軸受10に第2の軌道盤9が組み付けられ、この組付け状態で転動体13の挙動の計測が行われる。
第2の軌道盤9には、第2の軌道盤9を保持回転機構2に対して接離する方向に移動させる移動機構(移動手段)6と、第2の軌道盤9の第2の軌道面9Aの姿勢を調整可能な姿勢調整機構7とが結合されている。移動機構6は、たとえばモータや、シリンダ、ボールねじを含む構成である。姿勢調整機構7は、たとえばモータや、ボールねじを含む構成である。
リングライト3は、円環状をなし、保持回転機構2側(すなわち図1で示す右奥側)の端面に円形の照射面3Aを有している。リングライト3は、鉛直姿勢をなし、その中心が回転軸線O上に位置するように配置されている。照射面3Aからは、保持回転機構2に保持されている、第2の軌道盤9を除いたスラスト軸受10に対して均一に光が照射される。リングライト3は、保持回転機構2により保持されるスラスト軸受10よりも大径であり、そのため、保持回転機構2に保持されている、第2の軌道盤9を介してスラスト軸受10の全体に、外側から内側に向かう光を照射することができるようになっている。リングライト3として、1つのリングライトだけでなく、径の異なる複数のリングライトを同心状に配置した構成を採用することもできる。
画像処理装置5には、カメラ18による撮像画像が入力される。画像処理装置5は、CPU(図示しない)、メモリおよび各種のインターフェイス等を含む構成のコンピュータにより構成されている。画像処理装置5は、入力された各撮像画像に対して、所定の画像処理を施す。
図2は、第2の軌道盤9を除いたスラスト軸受10の構成を示す図である。転動体挙動計測装置1を用いて、スラスト軸受10における転動体13の挙動を計測する。
スラスト軸受10は、円板状の第1の軌道盤11と、第2の軌道盤9(図1参照)と、たとえば円筒状(ころ状)の複数の転動体13と、複数の転動体13が放射状に組込まれて、第1の軌道盤11と相対回転する円環板状の保持器12とを含む。第1の軌道盤11は、平坦な平面からなる第1の軌道盤11A(図10等参照)を有している。転動体13はころである。保持器12には、その厚み方向に貫通する貫通孔より構成される複数の矩形ポケット15が放射状に設けられており、各矩形ポケット15に転動体13が1つずつ収容配置されている。
図3は、スラスト軸受10の転動体13および保持器12の構成を示す斜視図である。
保持器12の径方向の途中部には、保持器12の径方向に波打つ形状の波打ち屈曲部14が絞り加工により設けられている。波打ち屈曲部14は、径方向の外周側位置および径方向の内周側位置のそれぞれで、保持器12の厚み方向の一方に向けてそれぞれ張り出す外側張出し部14aおよび内側張出し部14bと、前記の外側位置と内側位置との間に設けられて、保持器12の厚み方向の他方に向けて張り出す中間部張出し部14cとを備えている。
リングライト3のたとえばA点から照射された光は、第2の軌道盤9を透過して、転動体13の周面における所定の反射位置A1に入射するとともに、当該反射位置A1で反射して、第2の軌道盤9を透過してレンズ19に入射する。同様に、リングライト3のたとえばB点から照射された光は、第2の軌道盤9を透過して、転動体13の周面における所定の反射位置B1に入射するとともに、当該反射位置B1で反射して、第2の軌道盤9を透過してレンズ19に入射する。すなわち、リングライト3の各点から照射された光は、それぞれ対応する転動体13の周面上の所定の点で反射してレンズ19に入射する。これにより、転動体13の周面に、1本のたとえば直線からなる反射光模様が表れる。
以下では、スラスト軸受10に含まれる転動体13のうち、所定の一つの転動体13の挙動を計測する場合を例に挙げて説明するが、全ての転動体13の位置を計測対象としてもよい。
保持回転機構2にスラスト軸受10が保持されると次いで、第1および第2の軌道面11A,9Aの相対姿勢が計測される(S1:軌道面姿勢計測)。
制御装置4は、移動機構6を制御して、第2の軌道盤9を保持回転機構2に接近する方向(図1の右奥方向)に移動させ、保持回転機構2に保持されている、第2の軌道盤9を除いたスラスト軸受10に第2の軌道盤9を押し当てる(ステップS11)。この押当て状態(接触状態)では、第2の軌道面9Aが本来の姿勢から若干ずれている。押当て状態では、全ての転動体13の周面が第2の軌道面9Aに接触しており、この状態において、カメラ8により、第2の軌道面9Aと反対側から、第2の軌道盤9を撮像する(第2の撮像ステップ。ステップS12)。押当て状態における撮像画像を、以降において、「押当て時撮像画像41」と言う。押当て時撮像画像41の一例を図7に示す。第2の軌道盤9が透明に設けられているので、押当て時撮像画像41は、第1の軌道盤11、保持器12および転動体13の各画像と、第2の軌道面9Aへの転動体13の接触により第2の軌道面9Aに形成された油膜の画像とを含む。
画像処理装置5は、微小離反時撮像画像42から押当て時撮像画像41を差分した差分画像43を取得する(姿勢検出ステップ。ステップS15)。差分画像43の一例を図9に示す。
ステップS1およびステップS2の各処理が予め定める回数実行された後(ステップS3でYES)は、転動体13の挙動が計測される。
また、制御装置4は、保持回転機構2の回転駆動源(図示しない)を制御して、第1の軌道盤11の回転を開始させる(回転ステップ。ステップS5)。所定大きさのアキシャル荷重が、スラスト軸受10(第2の軌道盤9を含むスラスト軸受10)に与えられた状態で、保持回転機構2に保持されたスラスト軸受10の第1の軌道盤11が回転させられる。第1の軌道盤11の回転に伴って、転動体13および保持器12も、第1の軌道面11Aと第2の軌道面9Aとの間を、円周方向に公転(回転)する。このとき、第2の軌道盤9は回転せずに静止している。
制御装置4は、カメラ18によって、光が照射されているスラスト軸受10を撮像する(撮像ステップ。ステップS7)。より具体的には、透明の第2の軌道盤9を透過して、転動体13の表面が撮像される。
次いで、画像処理装置5が画像計測処理を実行し(挙動算出ステップ。ステップS9)、転動体13の挙動を計測する。この画像計測処理として、たとえば特開2013−156201号にて開示されている画像処理を挙げることができる。
微小離反状態では、転動体13に対する第2の軌道盤9の押当て状態が解除されており、第2の軌道盤9の第2の軌道面9Aは本来の姿勢をなしている。この微小離反状態においては、第1および第2の軌道面11A,9Aの相対姿勢に応じて、第2の軌道面9Aに対する複数の転動体13の接触状況が異なる。第2の軌道盤9の微小離反状態において、透明の第2の軌道盤9を、第2の軌道面9Aと反対側から撮像することにより、微小離反時撮像画像42が得られる。
たとえば、押当て状態および微小離反状態でのカメラ18による撮像画像は、静止画像でなく、動画像であってもよい。この場合、押当て状態から微小離反状態への状態推移を動画で撮像し、変化が鮮明なフレームを抜き出して、ステップS15およびステップS16の各処理(図6参照)を実行するようにしてもよい。
また、ステップS2の処理(図5参照)では、第2の軌道盤9の姿勢を変更することにより、第1および第2の軌道面11A,9Aの相対位置を調整する例について説明したが、第1の軌道盤11の姿勢を変更したり、第1および第2の軌道部材11,9の双方の姿勢を変更したりすることにより、第1および第2の軌道面11A,9Aの相対位置を調整してもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (5)
- 第1の軌道面を有し保持機構に保持される第1の軌道盤、第2の軌道面を有する透明の第2の軌道盤、ならびに前記第1および第2の軌道面の間を転動する複数の転動体を有するスラスト軸受の、前記第1および第2の軌道面の相対姿勢を計測するための軌道面姿勢計測方法であって、
前記第2の軌道盤を、前記第2の軌道面が前記第1の軌道面に対向し、かつ前記第2の軌道面が各転動体に接触する接触状態から、前記第1の軌道面に対して微小距離だけ離反する微小離反状態に配置する微小離反状態配置ステップと、
前記微小離反状態に配置された前記第2の軌道盤を、前記第2の軌道面と反対側から前記カメラによって撮像する第1の撮像ステップと、
前記第1の撮像ステップの撮像結果に基づいて、前記第1および第2の軌道面の相対姿勢を検出する姿勢検出ステップとを含む、軌道面姿勢計測方法。 - 前記接触状態において、前記第2の軌道盤を、前記第2の軌道面と反対側から前記カメラによって撮像する第2の撮像ステップをさらに含み、
前記姿勢算出ステップは、前記第1および第2の撮像ステップの撮像結果に基づいて前記スラスト軸受の姿勢を算出する、請求項1に記載の軌道面姿勢計測方法。 - 第1の軌道面を有する第1の軌道盤、第2の軌道面を有する透明の第2の軌道盤、ならびに前記第1および第2の軌道面の間を転動する複数の転動体を有するスラスト軸受の、前記第1および第2の軌道面の相対姿勢を計測するための軌道面姿勢計測装置であって、
前記第1の軌道盤を保持する保持機構と、
前記第2の軌道盤を、前記保持機構に対し、接離する方向に移動させる移動手段と、
前記第2の軌道盤を撮像するためのカメラと、
前記第2の軌道盤を、前記第2の軌道面が前記第1の軌道面に対向し、かつ前記第2の軌道面が各転動体に接触する接触状態から、前記第1の軌道面に対して微小距離だけ離反する微小離反状態に配置し、当該微小離反状態に配置された前記第2の軌道盤を、前記第2の軌道面と反対側から前記カメラによって撮像させる制御手段と、
前記カメラによる撮像結果に基づいて、前記第1および第2の軌道面の相対姿勢を検出する姿勢検出手段とを含む、軌道面姿勢計測装置。 - 第1の軌道面を有し保持機構に保持される第1の軌道盤、第2の軌道面を有する透明の第2の軌道盤、ならびに前記第1および第2の軌道面の間を転動する複数の転動体を有するスラスト軸受の前記転動体の挙動を計測するための転動体挙動計測方法であって、
請求項1または2に記載の軌道面姿勢計測方法と、
前記軌道面姿勢計測方法の計測結果に基づいて、前記第1および第2の軌道面が互いに平行な姿勢をなすように、前記第1および/または第2の軌道面の姿勢を調整する軌道面姿勢調整ステップと、
前記転動体を公転させるべく前記第1および第2の軌道盤を相対回転させる回転ステップと、前記第2の軌道盤を介して、公転している前記転動体に光を照射する光照射ステップと、
前記カメラにより、前記第2の軌道盤を介して、公転している前記転動体を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップの撮像結果に基づいて、前記転動体の挙動を算出する挙動算出ステップとを含む、転動体挙動計測方法。 - 前記軌道面姿勢計測方法および前記軌道面姿勢調整ステップを、前記第1および第2の軌道盤の相対回転姿勢を変更させながらそれぞれ複数回実行する、請求項4に記載の転動体挙動計測方法。
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