しかし特許文献1に記載のヒートポンプ式加熱装置では、2台の熱交換器を同時に使用することがある一方、1台だけの熱交換器を使用することもある。1台だけの熱交換器を使用する場合には、使用しない熱交換器にも冷媒が流れるため、使用する熱交換器に流れる冷媒を最適量に調整するのが困難になる場合があるという問題がある。
そこで、この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、使用する熱交換器に流れる冷媒を最適量に調整できるヒートポンプ式加熱装置を提供することを目的とする。
第1の発明に係るヒートポンプ式加熱装置は、圧縮機と、熱源側熱交換器と、電動弁と、互いに並列に接続された第1利用側熱交換器および第2利用側熱交換器とを有する冷媒回路を備えたヒートポンプ式加熱装置において、前記冷媒回路が、前記第1利用側熱交換器と、前記第1利用側熱交換器の下流に設けられた第1逆止弁とが配置された第1流路と、前記第2利用側熱交換器と、前記第2利用側熱交換器の下流に設けられた第2逆止弁とが配置された第2流路と、四路切換弁とを有し、前記四路切換弁は、前記圧縮機の吐出側に接続された主流路側パイプと、前記圧縮機の低圧側に接続された低圧流路側パイプと、前記第1流路に接続された第1流路側パイプと、前記第2流路に接続された第2流路側パイプとを有し、前記四路切換弁が、前記圧縮機から吐出された冷媒が前記第1利用側熱交換器に流れて前記第2利用側熱交換器に流れず、前記第2利用側熱交換器が前記冷媒回路の低圧側に接続された第1状態と、前記圧縮機から吐出された冷媒が前記第2利用側熱交換器に流れて前記第1利用側熱交換器に流れず、前記第1利用側熱交換器が前記冷媒回路の低圧側に接続された第2状態と、に切り換え可能であって、前記第1利用側熱交換器および前記第2利用側熱交換器のうち、冷媒が流れない利用側熱交換器が、前記圧縮機と前記熱源側熱交換器との間に接続される。
このヒートポンプ式加熱装置では、冷媒回路を第1状態と第2状態とに切り換え可能である。第1状態および第2状態のいずれであっても、冷媒が流れない利用側熱交換器が、冷媒回路の低圧側に接続されるので、この利用側熱交換器内の冷媒が圧縮機に吸引される。これにより、使用されない利用側熱交換器に冷媒が残存することを防止し、使用する利用側熱交換器に冷媒を確実に流すことができる。また使用する利用側熱交換器だけに冷媒が流れるので、両方の利用側熱交換器に冷媒が流れる場合と比べて、使用する利用側熱交換器の冷媒を最適量に調整し易くして熱交換器の効率を向上できる。
このヒートポンプ式加熱装置では、冷媒が流れない利用側熱交換器の一端を圧縮機と熱源側熱交換器との間に接続することで、圧縮機が熱源側熱交換器を介さず直接、使用しない利用側熱交換器から冷媒を確実に吸引することができる。これにより、使用しない利用側熱交換器に冷媒が貯留することを防止できる。
このヒートポンプ式加熱装置では、四路切換弁を用いることで、冷媒が流れる利用側熱交換器と冷媒が流れない利用側熱交換器とを容易に切り換えることができる。また、構成を簡単にして製造コストを削減できる。
このヒートポンプ式加熱装置では、第1逆止弁および第2逆止弁を配置することで、第1流路および第2流路に冷媒が逆流するのを防止できる。
第2の発明に係るヒートポンプ式加熱装置は、前記四路切換弁は、コイルと、前記第1状態と前記第2状態のいずれかに切り換える弁体とを有し、
前記コイルに通電することにより前記弁体を、前記第1状態と前記第2状態のうち使用頻度の低い利用側熱交換器に冷媒が流れる状態に保持する。
このヒートポンプ式加熱装置では、使用頻度の低い利用側熱交換器に冷媒が流れるときだけ四路切換弁に通電するので、消費電力を抑制できる。
第3の発明に係るヒートポンプ式加熱装置は、冷媒が流れる利用側熱交換器が、外部から供給された水を加熱し、
前記冷媒回路が、
その利用側熱交換器に流入する水の温度を検知する入水温度検知手段と、
その利用側熱交換器から流出する水の温度を検知する出湯温度検知手段と、
を有し、
前記出湯温度検知手段が検知する出湯温度が、前記入水温度検知手段が検知する入水温度よりも低いときに、前記四路切換弁の異常を検知する。
このヒートポンプ式加熱装置では、冷媒が流れる利用側熱交換器の出湯温度が入水温度よりも低い場合、利用側熱交換器により熱源側の冷媒と利用側の水との間で熱交換が行われていない。すなわち、冷媒が流れるように四路切換弁が切り換えられていない異常を検知して圧縮機を停止することで、ヒートポンプ式加熱装置の誤作動を防止できる。
第4の発明に係るヒートポンプ式加熱装置は、前記冷媒回路が、前記圧縮機の吐出側に配置された吐出温度検知手段を有し、
前記吐出温度検知手段が検知する冷媒温度が、前記入水温度検知手段が検知する入水温度よりも低いときに、前記四路切換弁の異常を検知しない。
このヒートポンプ式加熱装置では、吐出側の冷媒温度が、冷媒が流れる利用側熱交換器の入水温度よりも高い場合、利用側熱交換器により冷媒と水との間で熱交換が行われて正常に動作できる。反対に低い場合は、例えばドーム凝縮状態などであり正常に動作していない。このようなときに、冷媒が流れるように四路切換弁が切り換えられていない異常の検知を行わないことで誤検知を防止できる。
第5の発明に係るヒートポンプ式加熱装置は、前記冷媒回路が、冷媒が流れない利用側熱交換器と、その利用側熱交換器より下流側に位置する逆止弁との間に配置された温度検知手段を有し、
前記温度検知手段が検知する温度が所定温度以下であるときに、前記逆止弁の異常を検知する。
このヒートポンプ式加熱装置では、冷媒が流れない流路の温度は通常、10度から20度である。従って、温度検知手段が所定温度、例えばー3度以下であることを検知すると、逆止弁が破損して冷媒が流れない流路に低温の冷媒が逆流していると判断できる。このとき、圧縮機を停止することで、低温冷媒の逆流を抑制し、低温冷媒が利用側熱交換器内に流入することにより利用側熱交換器が膨張して破損するのを防止できる。
第6の発明に係るヒートポンプ式加熱装置は、前記温度検知手段が、前記冷媒が流れない利用側熱交換器と前記逆止弁との間において、前記逆止弁から前記利用側熱交換器側に10%離れた地点と、前記逆止弁から前記利用側熱交換器側に60%離れた地点との間に設けられた。
このヒートポンプ式加熱装置では、利用側熱交換器と逆止弁とに間において、温度検知手段を逆止弁から利用側熱交換器側に10%未満の地点に配置すると、逆止弁を逆流した冷媒が氷結しない微小量であったとしても、冷媒が逆流していると誤検知する恐れがある。一方、温度検知手段を逆止弁から利用側熱交換器側に60%よりも大きい割合の地点に配置すると、逆止弁を逆流する冷媒量が多い場合に検知が遅れ、利用側熱交換器が膨張した冷媒により破損する恐れがある。温度検知手段を利用側熱交換器と逆止弁との間において逆止弁から利用側熱交換器側に10%離れた地点と、逆止弁から利用側熱交換器側に60%離れた地点との間に配置することで、これらの不具合を防止して冷媒の逆流を適切に検知できる。
第7の発明に係るヒートポンプ式加熱装置は、前記冷媒回路が、
前記第1利用側熱交換器が配置された第1流路と、
前記第2利用側熱交換器が配置された第2流路と、
を有し、
前記第1流路および前記第2流路のいずれかの流路に、冷媒を貯留するレシーバを設けた。
このヒートポンプ式加熱装置では、いずれかの流路にレシーバを設けることで、余分な冷媒をレシーバに貯留できる。これにより、流路内の冷媒を最適量に調整できる。
第8の発明に係るヒートポンプ式加熱装置は、前記レシーバが、前記第1流路および前記第2流路のうち、冷媒容量の小さい流路に設けられた。
このヒートポンプ式加熱装置では、冷媒容量の小さい流路の利用側熱交換器が使用されているときに、この流路の余分な冷媒をレシーバに貯めることができる。従って、使用している流路の冷媒量を最適に調整できると共に、使用していない利用側熱交換器の流路に冷媒が溜まるのを防止できる。これにより、使用していない流路に冷媒が溜まり、この冷媒により影響を受けるのを防止できる。他方、冷媒容量の大きい流路の利用側熱交換器を使用しているときには、レシーバ内に貯留された冷媒が流出してこの流路に流入する。従って冷媒を最適量に調整し、この流路の利用側熱交換器の効率を向上できる。
第9の発明に係るヒートポンプ式加熱装置は、前記レシーバが、前記第1流路および前記第2流路のうち、前記冷媒容量の小さい流路の利用側熱交換器の下流側に設けられた。
このヒートポンプ式加熱装置では、利用側熱交換器と合流部との間にレシーバを設けることで、圧縮機から吐出された冷媒が、まず利用側熱交換器内に流入するので、利用側熱交換器に冷媒を確実に供給できる。この後、余分な冷媒がレシーバ内に流入して、流路内の冷媒を最適量に調整できる。
第10の発明に係るヒートポンプ式加熱装置は、前記レシーバが、前記第1流路および前記第2流路のうち、前記冷媒容量の小さい流路の利用側熱交換器と、この利用側熱交換器の下流側に位置する逆止弁との間に設けられた。
このヒートポンプ式加熱装置では、利用側熱交換器から逆止弁に向かう冷媒が途中でレシーバ内に流入することで、冷媒に混入した気体が分離される。これにより、逆止弁を通過する冷媒に気体が混入しないので、異音が発生するのを防止できる。
第11の発明に係るヒートポンプ式加熱装置は、前記レシーバの下方に、前記レシーバに冷媒が流入する流入管と、レシーバから冷媒が流出する流出管とを設けた。
このヒートポンプ式加熱装置では、冷媒がレシーバの下方から上方に向けて流入し、レシーバから下方に向けて流出する。これにより、レシーバの下側に冷媒が貯留する一方、上側に気体が貯留する。これにより、冷媒と、冷媒に混入した気体とを分離できる。
第12の発明に係るヒートポンプ式加熱装置は、前記冷媒回路が、前記電動弁の上流側に、前記冷媒回路と連通するサービスポートを有する。
このヒートポンプ式加熱装置では、冷媒回路が、電動弁の上流側にサービスポートを有する。従って、サービスポートから冷媒回路に注入された冷媒が、電動弁に向かって流動する。これにより、サービスポートが電動弁の下流側に配置される場合と比べ、電動弁の開閉を早く検知できる。
第1の発明では、冷媒回路を第1状態と第2状態とに切り換え可能である。第1状態および第2状態のいずれであっても、冷媒が流れない利用側熱交換器が、冷媒回路の低圧側に接続されるので、この利用側熱交換器内の冷媒が圧縮機に吸引される。これにより、使用されない利用側熱交換器に冷媒が残存することを防止し、使用する利用側熱交換器に冷媒を確実に流すことができる。また使用する利用側熱交換器だけに冷媒が流れるので、両方の利用側熱交換器に冷媒が流れる場合と比べて、使用する利用側熱交換器の冷媒を最適量に調整し易くして熱交換器の効率を向上できる。
第1の発明では、冷媒が流れない利用側熱交換器の一端を圧縮機と熱源側熱交換器との間に接続することで、圧縮機が熱源側熱交換器を介さず直接、使用しない利用側熱交換器から冷媒を確実に吸引することができる。これにより、使用しない利用側熱交換器に冷媒が貯留することを防止できる。
第1の発明では、四路切換弁を用いることで、冷媒が流れる利用側熱交換器と冷媒が流れない利用側熱交換器とを容易に切り換えることができる。また、構成を簡単にして製造コストを削減できる。
第1の発明では、第1逆止弁および第2逆止弁を配置することで、第1流路および第2流路に冷媒が逆流するのを防止できる。
第2の発明では、使用頻度の低い利用側熱交換器に冷媒が流れるときだけ四路切換弁に通電するので、消費電力を抑制できる。
第3の発明では、冷媒が流れる利用側熱交換器の出湯温度が入水温度よりも低い場合、利用側熱交換器により熱源側の冷媒と利用側の水との間で熱交換が行われていない。すなわち、冷媒が流れるように四路切換弁が切り換えられていない異常を検知して圧縮機を停止することで、ヒートポンプ式加熱装置の誤作動を防止できる。
第4の発明では、吐出側の冷媒温度が、冷媒が流れる利用側熱交換器の入水温度よりも高い場合、利用側熱交換器により冷媒と水との間で熱交換が行われて正常に動作できる。
反対に低い場合は、例えばドーム凝縮状態などであり正常に動作していない。このようなときに、冷媒が流れるように四路切換弁が切り換えられていない異常の検知を行わないことで誤検知を防止できる。
第5の発明では、冷媒が流れない流路の温度は通常、10度から20度である。従って、温度検知手段が所定温度、例えばー3度以下であることを検知すると、逆止弁が破損して冷媒が流れない流路に低温の冷媒が逆流していると判断できる。このとき、圧縮機を停止することで、低温冷媒の逆流を抑制し、低温冷媒が利用側熱交換器内に流入することにより利用側熱交換器が膨張して破損するのを防止できる。
第6発明では、利用側熱交換器と逆止弁とに間において、温度検知手段を逆止弁から利用側熱交換器側に10%未満の地点に配置すると、逆止弁を逆流した冷媒が氷結しない微小量であったとしても、冷媒が逆流していると誤検知する恐れがある。一方、温度検知手段を逆止弁から利用側熱交換器側に60%よりも大きい割合の地点に配置すると、逆止弁を逆流する冷媒量が多い場合に検知が遅れ、利用側熱交換器が膨張した冷媒により破損する恐れがある。温度検知手段を利用側熱交換器と逆止弁との間において逆止弁から利用側熱交換器側に10%離れた地点と、逆止弁から利用側熱交換器側に60%離れた地点との間に配置することで、これらの不具合を防止して冷媒の逆流を適切に検知できる。
第7の発明では、いずれかの流路にレシーバを設けることで、余分な冷媒をレシーバに貯留できる。これにより、流路内の冷媒を最適量に調整できる。
第8の発明では、冷媒容量の小さい流路の利用側熱交換器が使用されているときに、この流路の余分な冷媒をレシーバに貯めることができる。従って、使用している流路の冷媒量を最適に調整できると共に、使用していない利用側熱交換器の流路に冷媒が溜まるのを防止できる。これにより、使用していない流路に冷媒が溜まり、この冷媒により影響を受けるのを防止できる。他方、冷媒容量の大きい流路の利用側熱交換器を使用しているときには、レシーバ内に貯留された冷媒が流出してこの流路に流入する。従って冷媒を最適量に調整し、この流路の利用側熱交換器の効率を向上できる。
第9の発明では、利用側熱交換器と合流部との間にレシーバを設けることで、圧縮機から吐出された冷媒が、まず利用側熱交換器内に流入するので、利用側熱交換器に冷媒を確実に供給できる。この後、余分な冷媒がレシーバ内に流入して、流路内の冷媒を最適量に調整できる。
第10の発明では、利用側熱交換器から逆止弁に向かう冷媒が途中でレシーバ内に流入することで、冷媒に混入した気体が分離される。これにより、逆止弁を通過する冷媒に気体が混入しないので、異音が発生するのを防止できる。
第11の発明では、冷媒がレシーバの下方から上方に向けて流入し、レシーバから下方に向けて流出する。これにより、レシーバの下側に冷媒が貯留する一方、上側に気体が貯留する。これにより、冷媒と、冷媒に混入した気体とを分離できる。
第12の発明では、冷媒回路が、電動弁の上流側にサービスポートを有する。従って、サービスポートから冷媒回路に注入された冷媒が、電動弁に向かって流動する。これにより、サービスポートが電動弁の下流側に配置される場合と比べ、電動弁の開閉を早く検知できる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
室外機1(ヒートポンプ式加熱装置)は、図1および図4に示すように、ヒートポンプ部2と、ヒートポンプ部2の上方に配置された水ユニット部3とを有している。ヒートポンプ部2には、圧縮機10と、室外熱交換器(熱源側熱交換器)11と、電動弁12と、室外ファン13とが収容されている。水ユニット部3には、給湯用熱交換器(利用側第1熱交換器)16Aと、暖房用熱交換器(利用側第2熱交換器)16Bと、給水ポンプ17とが収容されている。
室外機1の内部において、冷媒が循環する冷媒回路(ヒートポンプ)が構成されている。この冷媒回路は、主流路23と第1流路24と第2流路25と低圧流路26とを有する。
主流路23には、圧縮機10、室外熱交換器11、および電動弁12が順に設けられている。室外熱交換器11の一端側に配置された圧縮機10の吐出側には、後述する四路切換弁18が接続されている。また圧縮機10と四路切換弁18との間(圧縮機10の吐出側)には、吐出温度検知部(吐出温度検知手段)40が配置されている。圧縮機10の吸入側には、室外熱交換器11の一端が接続され、室外熱交換器11の他端には、電動弁12の一端が接続されている。
第1流路24と第2流路25とは、四路切換弁18において分岐し、室外熱交換器11の他端側に配置された合流部19において合流する。主流路23の合流部19と電動弁12との間には、冷媒回路と連通するサービスポート41が配設されている。サービスポート41は、例えばメンテナンス時に外部から冷媒回路に冷媒を注入したり、冷媒回路から外部に冷媒を排出するために使用される。
第1流路24は加熱運転時、主流路23の圧縮機10の下流側に設けられた四路切換弁18と、電動弁12の上流側に設けられた合流部19とを接続する。また第1流路24には、給湯用熱交換器16Aと、第1温度検知部(第1温度検知部手段)43と、給湯用熱交換器16Aと合流部19との間に配置された第1逆止弁44とが設けられている。第1温度検知部43は、給湯用熱交換器16Aの下流側に位置し、第1流路24の温度を検知する。第1逆止弁44は、給湯用熱交換器16Aから合流部19への冷媒の流れを許容するが、合流部19から給湯用熱交換器16A(第1流路24)への冷媒の流れを遮断する。
第1温度検知部43は、第1流路24の給湯用熱交換器16Aと第1逆止弁44との間において、第1逆止弁44から給湯用熱交換器16A側に10%離れた地点と、第1逆止弁44から給湯用熱交換器16A側に60%離れた地点との間に設けられている。具体的に説明すると、給湯用熱交換器16Aの流出出口をP1(図2(a)参照)、第1逆止弁44の上流側端部をP2、P1とP2との間の距離をL1とする。図2(b)に示すように、距離L1の10%の距離L2だけP2からP1側に進んだ点をP3とする。そして図2(c)に示すように、距離L1の60%の距離L3だけP2からP1側に進んだ点をP4とする。このとき、図2(b)に示すように、第1温度検知部43はP3とP4との間に配設される。
第2流路25は、四路切換弁18と合流部19とを第1流路24と並列に接続する。また第2流路25には、暖房用熱交換器16Bと、レシーバ46と、第2温度検知部(第2温度検知手段)47と、第2逆止弁48とが設けられている。第2逆止弁48は、暖房用熱交換器16Bから合流部19への冷媒の流れを許容するが、合流部19から暖房用熱交換器16B(第2流路25)への冷媒の流れを遮断する。
レシーバ46は冷媒を貯留する容器であり、第1流路24および第2流路25のうち、冷媒容量の小さい第2流路25の暖房用熱交換器16Bと第2逆止弁48との間に設けられている。図6に示すように、レシーバ46の下方には、レシーバ46に冷媒が流入する流入管49と、レシーバ46から冷媒が流出する流出管50とが設けられている。
第2温度検知部47は、暖房用熱交換器16Bの下流側に位置し、第2流路25の温度を検知する。第2温度検知部47は、第2流路25の暖房用熱交換器16Bと第2逆止弁48との間において、第2逆止弁48から暖房用熱交換器16B側に10%離れた地点と、第2逆止弁48から暖房用熱交換器16B側に60%離れた地点との間に設けられている。第2温度検知部47の具体的な配設場所は、第1温度検知部43と同様である。
第2逆止弁48は、暖房用熱交換器16Bと合流部19との間(暖房用熱交換器16Bの下流側かつ合流部19の上流側)に配置されている。
低圧流路26は、四路切換弁18と、圧縮機10の吸入側とを接続している。圧縮機10の吸入側とは電動弁12と圧縮機10との間を指すが、低圧流路26は特に、圧縮機10と室外熱交換器11との間に接続されている。
給水ポンプ17は、給湯タンク5から流出した給湯用温水を給湯用熱交換器16Aに供給し、給湯タンク5に供給される給湯用温水を循環させる。
上述した冷媒回路では、圧縮機10から吐出された冷媒が第1流路24および第2流路25のいずれか一方の流路に流れて他方の流路には流れないように、四路切換弁18により後述する第1状態と第2状態とに切り換えられる。
図3(a)および図3(b)に示すように四路切換弁18は、ケーシング70とコイル71(図11参照)と弁体72とを備えている。ケーシング70は箱形状であり、主流路側パイプ73と第1流路側パイプ74と低圧流路側パイプ75と第2流路側パイプ76とを有する。ケーシング70の上方の壁部には、主流路側パイプ73が設けられている。主流路側パイプ73は主流路23に接続されている。ケーシング70の下方の壁部には、第1流路側パイプ74と低圧流路側パイプ75と第2流路側パイプ76とが順に設けられている。第1流路側パイプ74は第1流路24に接続され、低圧流路側パイプ75は低圧流路26に接続され、第2流路側パイプ76は第2流路25に接続されている。
弁体72はケーシング70の内部に配設されており、コイル71により図中、左右方向(各パイプの軸方向と直交する方向)に移動される。図3(a)は、後述する第1状態にある四路切換弁18を示す。このとき、弁体72は低圧流路側パイプ75の端部と第2流路側パイプ76の端部とを覆い、両パイプを導通している。従って、四路切換弁18は、主流路23と第1流路24とを接続し、かつ、低圧流路26と第2流路25とを接続している。
図3(b)は、後述する第2状態にある四路切換弁18を示す。このとき、弁体72は第1流路側パイプ74の端部と低圧流路側パイプ75の端部とを覆い、両パイプを導通している。従って、四路切換弁18は、主流路23と第2流路25とを接続し、かつ、低圧流路26と第1流路24とを接続している。
なお四路切換弁18のコイル71には、給湯用熱交換器16Aと暖房用熱交換器16Bとのうち、使用頻度の高い暖房用熱交換器16Bの第2流路25に冷媒が流れるときに通電されない。言い換えれば、コイル71には、使用頻度の低い給湯用熱交換器16Aの第1流路24に冷媒が流れるときだけに通電される。
第1状態では、圧縮機10から吐出された冷媒が第1流路24に流れて第2流路25に流れず、第2流路25が主流路23の低圧側に接続される。具体的には冷媒が流れる給湯用熱交換器16Aに関し、第1流路24の冷媒流入口には、四路切換弁18を介して圧縮機10の吐出側が接続され、第1流路24の冷媒流出口には、電動弁12が接続されている。冷媒が流れない第2流路25に関しては、一端部が四路切換弁18を介して低圧流路26に接続され、他方の端部が合流部19に接続されている。
第1状態では図1中、実線で示すように、圧縮機10から吐出された冷媒が、四路切換弁18を介して第1流路24に流入する。そして、給湯用熱交換器16Aで水と熱交換をした後、合流部19を介して電動弁12に到達する。一方、第2流路25内の冷媒は四路切換弁18を介して低圧流路26に流入し、圧縮機10に吸入される。しかし第2流路25内の冷媒が圧縮機10に吸入された後は、第2逆止弁48があるため、第2逆止弁48より合流部側19にある冷媒が圧縮機10に吸入されることはない。
第2状態では、圧縮機10から吐出された冷媒が第2流路25に流れて第1流路24に流れず、第1流路24が主流路23の低圧側に接続される。具体的には冷媒が流れる暖房用熱交換器16Bに関し、第2流路25の冷媒流入口には、四路切換弁18を介して圧縮機10の吐出側が接続され、第2流路25の冷媒流出口には、電動弁12が接続されている。冷媒が流れない第1流路24に関しては、一端部が四路切換弁18を介して低圧流路26に接続され、他方の端部が合流部19に接続されている。
第2状態では図1中、点線で示すように、圧縮機10から吐出された冷媒が、四路切換弁18を介して第2流路25に流入する。そして、暖房用熱交換器16Bで水と熱交換をした後、合流部19を介して電動弁12に到達する。一方、第1流路24内の冷媒は四路切換弁18を介して低圧流路26に流入し、圧縮機10に吸入される。しかし第1流路24内の冷媒が圧縮機10に吸入された後は、第1逆止弁44があるため、第1逆止弁44より合流部側19にある冷媒が圧縮機10に吸入されることはない。
水ユニット部3は、給湯用水配管接続部20と、暖房用水配管接続部21とを有している。給湯用水配管接続部20は、往き接続部20aと、戻り接続部20bとを有しており、暖房用水配管接続部21は、往き接続部21aと、戻り接続部21bとを有している。
水ユニット部3の内部において、給湯用水配管接続部20の往き接続部20aは第1状態で、給湯用熱交換器16Aの水流出口に接続され、給湯用水配管接続部20の戻り接続部20bは、給湯用熱交換器16Aの水流入口に接続されている。戻り接続部20bと給湯用熱交換器16Aとの間には、給湯用熱交換器16Aに流入する水の温度を検知する第1入水温度検知部(第1入水温度検知手段)51が設けられている。給湯用熱交換器16Aと往き接続部20aとの間には、給湯用熱交換器16Aから流出する水の温度を検知する第1出湯温度検知部(第1出湯温度検知手段)52が設けられている。
給湯用熱交換器16Aでは、第1状態において圧縮機10の吐出側の四路切換弁18から流入した冷媒と、給湯用水配管接続部20の戻り接続部20bから流入した給湯用温水との間で熱交換されることによって、給湯用温水が加熱されて、その加熱された給湯用温水が、給湯用水配管接続部20の往き接続部20aに向かって流出する。
水ユニット部3の内部において、暖房用水配管接続部21の往き接続部21aは第2状態で、暖房用熱交換器16Bの水流出口に接続され、暖房用水配管接続部21の戻り接続部21bは、暖房用熱交換器16Bの水流入口に接続されている。戻り接続部21bと暖房用熱交換器16Bとの間には、暖房用熱交換器16Bに流入する水の温度を検知する第2入水温度検知部(第2入水温度検知手段)53が設けられている。暖房用熱交換器16Bと往き接続部21aとの間には、暖房用熱交換器16Bから流出する水の温度を検知する第2出湯温度検知部(第2出湯温度検知部手段)54が設けられている。
暖房用熱交換器16Bでは、第2状態において圧縮機10の吐出側の四路切換弁18から流入した冷媒と、暖房用水配管接続部21の戻り接続部21bから流入した暖房用温水との間で熱交換されることによって、暖房用温水が加熱されて、その加熱された暖房用温水が、暖房用水配管接続部21の往き接続部21aに向かって流出する。本実施形態のヒートポンプ式加熱装置では、室外機1は、給湯用温水および暖房用温水のいずれか一方を加熱可能である。
本実施形態のヒートポンプ式加熱装置では、利用側装置4は、給湯タンク5と、ガスボイラ6と、床暖房パネル7と、ポンプ8とを有している。ガスボイラ6は、加熱器6aを有しており、床暖房パネル7と給湯端末9に接続されている。したがって、ガスボイラ6は、給湯タンク5から供給された給湯用温水を給湯端末9に供給される前に加熱したり、室外機1から供給された暖房用温水を床暖房パネル7に供給される前に加熱できる。ポンプ8は、床暖房パネル7から流出した暖房用温水を暖房用熱交換器16Bに供給し、床暖房パネル7に供給される暖房用温水を循環させるものである。
図5(a)は、室外機1を正面から見たときのヒートポンプ部2および水ユニット部3の内部構成を説明する部分破断図であり、図5(b)は、室外機1を上方から見たときの水ユニット部3の内部構成を説明する部分破断図であり、図5(c)は、室外機1を右側面から見たときの給湯用水配管接続部20および暖房用水配管接続部21の配置を説明する部分破断図である。図5(a)に示すように、四路切換弁18はヒートポンプ部2に配置されている。
図6は、レシーバ46の下方に設けられた流入管49と流出管50とを示す部分拡大図である。
図7は、給湯用熱交換器16Aおよび暖房用熱交換器16Bが断熱材60によって覆われる状態の斜視図であり、図8(a)および図8(b)は、給湯用熱交換器16Aおよび暖房用熱交換器16Bの斜視図および側面図であって、図7において断熱材60の図示を省略した状態である。室外機1の水ユニット部3の内部において、給湯用熱交換器16Aおよび暖房用熱交換器16Bは、図7および図8に示すように、上下方向に積層された状態で断熱材60によって周囲を覆われている。
図9(a)は、暖房用熱交換器16Bの斜視図であり、図9(b)は、給湯用熱交換器16Aの斜視図である。暖房用熱交換器16Bは、図9(a)に示すように、上下方向に2段に積層されるように巻回される暖房用水配管32を有しており、給湯用熱交換器16Aは、図9(b)に示すように、上下方向に2段に積層されるように巻回される給湯用水配管31を有している。この給湯用水配管31および暖房用水配管32は、平面視において、それぞれの段において略渦巻き状に巻回されている。
給湯用熱交換器16Aの水流入口には、給水ポンプ17(給湯用水配管接続部20の戻り接続部20b)から延在する給湯用戻り連絡配管31aが接続され、給湯用熱交換器16Aの水流出口には、給湯用水配管接続部20の往き接続部20aから延在する給湯用往き連絡配管31bが接続されている。また、暖房用熱交換器16Bの水流入口には、暖房用水配管接続部21の戻り接続部21bから延在する暖房用戻り連絡配管32aが接続され、暖房用熱交換器16Bの水流出口には、暖房用水配管接続部21の往き接続部21aから延在する暖房用往き連絡配管32bが接続されている。
給湯用熱交換器16Aにおいて、給湯用水配管31の外周には、給湯用冷媒配管33が螺旋状に巻回され、暖房用熱交換器16Bにおいて、暖房用水配管32の外周には、暖房用冷媒配管34が螺旋状に巻回されている。この給湯用冷媒配管33および暖房用冷媒配管34の内径は、それぞれ、給湯用水配管31および暖房用水配管32の内径より小さい。給湯用熱交換器16Aの冷媒流入口には、圧縮機10の吐出側の分岐部18から延在する給湯用連絡配管33aが接続され、給湯用熱交換器16Aの冷媒流出口には、電動弁12から延在する給湯用連絡配管33bが接続されている。また、暖房用熱交換器16Bの冷媒流入口には、圧縮機10の吐出側の分岐部18から延在する暖房用連絡配管34aが接続され、暖房用熱交換器16Bの冷媒流出口には、電動弁12Bから延在する暖房用連絡配管34bが接続されている。
本実施形態において、給湯用熱交換器16Aは、給湯用水配管31の外周に給湯用冷媒配管33が螺旋状に巻回された部分とし、暖房用熱交換器16Bは、暖房用水配管32の外周に暖房用冷媒配管34が螺旋状に巻回された部分とする。
給湯用熱交換器16Aの給湯用水配管31は、図9(b)に示すように、上下方向に2段に積層されるように巻回されたものであって、給湯用戻り連絡配管31aから、下側に配置された段にある配管に給湯用温水が流入するとともに、上側に配置された段にある配管から、給湯用往き連絡配管31bに給湯用温水が流出するように構成されている。暖房用熱交換器16Bの暖房用水配管32は、図9(a)に示すように、上下方向に2段に積層されるように巻回されたものであって、暖房用戻り連絡配管32aから、下側に配置された段にある配管に暖房用温水が流入するとともに、上側に配置された段にある配管から、暖房用往き連絡配管32bに暖房用温水が流出するように構成されている。
このように構成された給湯用熱交換器16Aの給湯用水配管31と、暖房用熱交換器16Bの暖房用水配管32とは、水ユニット3の内部において積層されている。詳しくは、給湯用熱交換器16Aは、2段に積層されるように巻回され、最も上側に配置された段にある配管(外側配管)から給湯用温水が流出するように構成されており、暖房用熱交換器16Bは、給湯用熱交換器16Aの上方に積層されている(給湯用水配管31において最も上側に配置された段にある配管(外側配管)に近接するように、給湯用熱交換器16Aに積層されている。)
次に、給湯用熱交換器16Aおよび暖房用熱交換器16Bの周囲に配置された断熱材60の構成について、図10に基づいて説明する。
給湯用熱交換器16Aおよび暖房用熱交換器16Bは、上下方向に積層された状態で断熱材60によって周囲を覆われている。断熱材60は、図10(a)および図10(b)に示すように、給湯用熱交換器16A側に配置される下部材62と、暖房用熱交換器16B側に配置される上部材63とを有している。したがって、給湯用熱交換器16Aは、下部材62によって周囲を覆われており、暖房用熱交換器16Bは、上部材63によって周囲を覆われている。下部材62および上部材63の上下方向の厚さは、上部材63が下部材62より厚く構成される。
給湯用熱交換器16Aには、水連絡配管(給湯用戻り連絡配管31aおよび給湯用往き連絡配管31b)と、冷媒連絡配管(給湯用連絡配管33aおよび給湯用連絡配管33b)とが接続されており、暖房用熱交換器16Bには、水連絡配管(暖房用戻り連絡配管32aおよび暖房用往き連絡配管32b)と、冷媒連絡配管(暖房用連絡配管34aおよび暖房用連絡配管34b)とが接続されている。
図7に示すように、下部材62と上部材63の嵌合部には、水連絡配管および冷媒連絡配管が通過する開口65が形成される。この開口65は、正面視において上下方向に延びる矩形状に形成されている。
図10(b)は、給湯用熱交換器16Aおよび暖房用熱交換器16Bの周囲を覆った状態の断熱材60の断面図である。下部材62は、給湯用熱交換器16Aが配置される凹部62aを有しており、凹部62aの周囲(開口65の部分を除く)には、壁部62bが設けられている。この壁部62bの上端の内周側部分の一部には、突出部62cが配置されている。
上部材63は、給湯用熱交換器16Bが配置される凹部63aを有しており、凹部63aの周囲(開口65の部分を除く)には、壁部63bが設けられている。この壁部63bの下端の外周側部分の一部には、突出部63cが配置されている。この突出部63cの内周面と、下部材62の突出部62cの外周面とは、略同一の形状および大きさに構成されている。したがって、下部材62と上部材63とは、給湯用熱交換器16Aと暖房用熱交換器16Bとの周囲を覆う状態で嵌合する。
下部材62と上部材63とが嵌合するように構成されているので、給湯用熱交換器16Aおよび暖房用熱交換器16Bのいずれかだけを使用する場合において、下部材62と上部材63を、その熱交換器の周囲を覆う状態で嵌合させることができる。
以下、上記構成を備えたヒートポンプ式加熱装置の異常検知制御について説明する。
図11に示すように、制御部56は、第1逆止弁44および第2逆止弁48の異常を検知する第1異常検知部57と、四路切換弁18の異常を検知する第2異常検知部58とを内蔵している。制御部56は、入力側が第1温度検知部43、第2温度検知部47、第1入水温度検知部51、第1出湯温度検知部52、第2入水温度検知部53および第2出湯温度検知部54に接続されている。制御部56の出力側は、圧縮機10および四路切換弁18に接続されている。
第1逆止弁44および第2逆止弁48の異常を検知する制御では図12に示すように、ステップS1で制御部56が圧縮機10を駆動する。ステップS2では、制御部56が四路切換弁18を第1状態に切り換える。これにより、第1流路24に冷媒が流れて給湯用熱交換器16Aが使用され、第2流路25には冷媒が流れない状態となる。
ステップS3で第2温度検知部47が、暖房用熱交換器16Bの下流側で第2流路25の温度を検知する。そしてステップS4で第1異常検知部57が、第2温度検知部47に検知された温度が所定温度以下であるか否かを判定する。冷媒が流れない第2流路25の温度は通常、10度から20度である。従って、第1異常検知部57が所定温度、例えばー3度以下であることを検知すると、第2逆止弁48が破損して第2流路25に低温の冷媒が逆流していると判断できる。このときステップS5に進んで、制御部56が圧縮機10を停止する。第2流路25の温度が所定温度以上の場合にはステップS3に戻る。
四路切換弁18の異常を検知する制御では図13に示すように、ステップS1で制御部56が圧縮機1を駆動する。ステップS2では、制御部56が四路切換弁18を第1状態に切り換える。これにより、第1流路24に冷媒が流れて給湯用熱交換器16Aが使用され、第2流路25には冷媒が流れない状態となる。
ステップS3では、第1入水温度検知部51が給湯用熱交換器16Aに流入する水の温度を検知する。ステップS4で、第1出湯温度検知部52が給湯用熱交換器16Aから流出する水の温度を検知する。続くステップS5で、吐出温度検知部40が圧縮機10から吐出された冷媒の温度を検知する。
そしてステップS6では第2異常検知部58が、吐出温度検知部40に検知された冷媒温度が、第1入水温度検知部51に検知された入水温度よりも低いか否かを判定する。冷媒温度が入水温度よりも高い場合、給湯用熱交換器16Aにより冷媒と水との間で熱交換が行われて正常に動作できるため、ステップS7に進む。反対に冷媒温度が入水温度よりも低い場合は、例えばドーム凝縮状態などであり正常に動作していないため、ステップS3に戻る。
ステップS7では、第2異常検知部58が、第1出湯温度検知部52に検知された出湯温度が、第1入水温度検知部51に検知された入水温度よりも低いか否かを判定する。出湯温度が入水温度よりも低い場合は、給湯用熱交換器16Aにより冷媒と水との間で熱交換が行われていない。すなわち、冷媒が流れるように四路切換弁18が切り換えられていない異常を検知する。従って、ステップS8に進んで制御部56が圧縮機10を停止する。出湯温度が入水温度以上の場合は、給湯用熱交換器16Aにより冷媒と水との間で熱交換が行われているので、ステップS3に戻る。
上述した四路切換弁18の異常検知制御ではステップS2で、四路切換弁18が第1状態に切り換えられたが、第2状態に切り換えられた場合でも同様の制御を行うことができる。
[本実施形態のヒートポンプ式加熱装置の特徴]
本実施形態のヒートポンプ式加熱装置には以下の特徴がある。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、冷媒が流れない流路が、主流路23の低圧側に接続されるので、この流路内の冷媒が圧縮機10に吸引される。これにより、使用されない流路に冷媒が残存することを防止し、使用する流路に冷媒を確実に流すことができる。また使用する流路だけに冷媒が流れるので、両方の流路に冷媒が流れる場合と比べて、使用する流路の冷媒を最適量に調整し易くして熱交換器の効率を向上できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、四路切換弁18を用いることで、冷媒が流れる流路と冷媒が流れない流路とを容易に切り換えることができる。また、構成を簡単にして製造コストを削減できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、使用頻度の高い暖房用熱交換器16Bの第2流路25に冷媒が流れるときに、四路切換弁18に通電しない。言い換えれば、使用頻度の低い給湯用熱交換器16Aの第1流路24に冷媒が流れるときだけ四路切換弁18に通電するので、消費電力を抑制できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、第1逆止弁44および第2逆止弁48を配置することで、第1流路24および第2流路25に主流路23から冷媒が逆流するのを防止できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、冷媒が流れない流路を圧縮機10と室外熱交換器11との間に接続することで、圧縮機10が室外熱交換器11を介さず直接、使用しない流路から冷媒を確実に吸引することができる。これにより、使用しない流路および熱交換器に冷媒が貯留することを防止できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、第2流路25にレシーバ46を設けることで、余分な冷媒をレシーバ46に貯留できる。これにより、第2流路25内の冷媒を最適量に調整できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、冷媒容量の小さい第2流路25の暖房用熱交換器16Bが使用されているときに、この第2流路25の余分な冷媒をレシーバ46に貯めることができる。従って、使用している流路の冷媒量を最適に調整できると共に、使用していない熱交換器の流路に冷媒が溜まるのを防止できる。これにより、使用していない流路に冷媒が溜まり、この冷媒により影響を受けるのを防止できる。他方、冷媒容量の大きい第1流路24の給湯用熱交換器16Aを使用しているときには、レシーバ46内に貯留された冷媒が流出して第1流路24に流入する。従って冷媒を最適量に調整し、第1流路24の熱交換器の効率を向上できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、暖房用熱交換器16Bと合流部19との間にレシーバ46を設けることで、圧縮機10から吐出された冷媒が、まず暖房用熱交換器16B内に流入するので、暖房用熱交換器16Bに冷媒を確実に供給できる。この後、余分な冷媒がレシーバ46内に流入して、第2流路25内の冷媒を最適量に調整できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、暖房用熱交換器16Bから第2逆止弁48に向かう冷媒が途中でレシーバ46内に流入することで、冷媒に混入した気体が分離される。これにより、第2逆止弁48を通過する冷媒に気体が混入しないので、異音が発生するのを防止できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、冷媒がレシーバ46の下方から上方に向けて流入し、レシーバ46から下方に向けて流出する。これにより、レシーバ46の下側に冷媒が貯留する一方、上側に気体が貯留する。これにより、冷媒と、冷媒に混入した気体とを分離できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、冷媒回路が、合流部19と電動弁12との間にサービスポート41を有する。従って、サービスポート41から冷媒回路に注入された冷媒が、第1逆止弁44および第2逆止弁48を逆流して第1流路24および第2流路25内に流入することなく、電動弁12に向かって流動する。これにより、サービスポート41が電動弁12の下流側に配置される場合と比べ、電動弁12の開閉を早く検知できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、冷媒が流れない流路の温度は通常、10度から20度である。従って、温度検知部43,47が所定温度、例えばー3度以下であることを検知すると、逆止弁44,48が破損して冷媒が流れない流路に低温の冷媒が逆流していると判断できる。このとき、圧縮機10を停止することで、低温冷媒の逆流を抑制し、低温冷媒が熱交換器内に流入することにより熱交換器が膨張して破損するのを防止できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、熱交換器16A,16Bと逆止弁44,48とに間において、温度検知部43,47を逆止弁44,48から熱交換器16A,16B側に10%未満の地点に配置すると、逆止弁44,48を逆流した冷媒が氷結しない微小量であったとしても、冷媒が逆流していると誤検知する恐れがある。一方、温度検知手段43,47を逆止弁44,48から熱交換器16A,16B側に60%よりも大きい割合の地点に配置すると、逆止弁44,48を逆流する冷媒量が多い場合に検知が遅れ、熱交換器16A,16Bが膨張した冷媒により破損する恐れがある。温度検知手段43,47を熱交換器16A,16Bと逆止弁44,48との間において逆止弁44,48から熱交換器16A,16側に10%離れた地点と、逆止弁44,48から熱交換器16A,16側に60%離れた地点との間に配置することで、これらの不具合を防止して冷媒の逆流を適切に検知できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、冷媒が流れる流路の熱交換器の出湯温度が入水温度よりも低い場合、熱交換器により熱源側の冷媒と利用側の水との間で熱交換が行われていない。すなわち、冷媒が流れるように四路切換弁18が切り換えられていない異常を検知して圧縮機10を停止することで、ヒートポンプ式加熱装置の誤作動を防止できる。
本発明のヒートポンプ式加熱装置では、吐出側の冷媒温度が、冷媒が流れる流路の熱交換器の入水温度よりも高い場合、熱交換器により冷媒と水との間で熱交換が行われて正常に動作できる。反対に低い場合は、例えばドーム凝縮状態などであり正常に動作していない。このようなときに、冷媒が流れるように四路切換弁18が切り換えられていない異常の検知を行わないことで誤検知を防止できる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
前記実施形態では、四路切換弁18を有する冷媒回路を説明したが、四路切換弁18を有さずに第1状態と第2状態とを切り換える冷媒回路を採用してもよい。また四路切換弁18に代えて、その他の切換弁を用いても同様の効果を得ることができる。