JP6326856B2 - 電気泳動粒子、電気泳動分散液、表示シート、表示装置および電子機器 - Google Patents

電気泳動粒子、電気泳動分散液、表示シート、表示装置および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、電気泳動粒子、電気泳動分散液、表示シート、表示装置および電子機器に関するものである。
一般に、液体中に微粒子を分散させた分散系に電界を作用させると、微粒子は、クーロン力により液体中で移動(泳動)することが知られている。この現象を電気泳動といい、近年、この電気泳動を利用して、所望の情報(画像)を表示させるようにした電気泳動表示装置が新たな表示装置として注目を集めている。
この電気泳動表示装置は、電圧の印加を停止した状態での表示メモリー性や広視野角性を有することや、低消費電力で高コントラストの表示が可能であること等の特徴を備えている。
また、電気泳動表示装置は、非発光型表示デバイスであることから、ブラウン管のような発光型の表示デバイスに比べて、目に優しいという特徴も有している。
このような電気泳動表示装置では、電極を有する1対の基板間に、正または負に帯電した電気泳動粒子を分散媒中に分散させた分散系(電気泳動分散液)が封入され、1対の電極間に電圧を印加することで、電気泳動粒子を一方の基板側へ泳動させ、所望の画像を表示させる(例えば、特許文献1参照)。
従来、分散媒中における電気泳動粒子の分散性を確保する目的で、分散剤のような添加剤を分散媒に添加することが行われている。しかし、添加剤を用いると、分散媒の電気抵抗が低下するため、分散媒中におけるリーク電流が大きくなり、消費電力を下げることが難しい。
そこで、従来、電気泳動粒子として、特許文献1に開示されているように、母粒子表面にエポキシ変性カップリング剤による処理を施した後にアミノ変性ポリマーを導入したものが知られている。
特開平5−173193号公報
特許文献1に係る電気泳動粒子は、母粒子表面の全域が隙間なくカップリング剤で覆われてしまうため、母粒子表面自体が帯電性を有していても、その帯電性が損なわれ、帯電性が不十分になるという問題があった。すなわち、特許文献1に係る電気泳動粒子は、分散媒中における必要な分散性を確保することと、所望の帯電特性を発揮することとの双方を両立させることができないという問題があった。
また、特許文献1に係る電気泳動粒子では、仮に母粒子自体の帯電性を生かすことができたとしても、電気泳動粒子の帯電性が母粒子の表面自体の帯電性に大きく依存するため、所望の分散性を発揮させながら、帯電状態を制御することが難しい。そのため、母粒子の種類の異なる複数種の電気泳動粒子が混在している場合には、電気泳動粒子間の相互作用等を微調整することができず、その結果、電界印加時における電気泳動粒子の凝集を完全に解消することができなかった。また、母粒子の表面とカップリング剤との反応性を考慮すると、母粒子の表面が水酸基を有するものが多く、制御性よく正帯電の粒子を得ることが困難であった。
本発明の目的は、分散媒中において優れた分散性を発揮するとともに、任意に帯電特性を制御することができる電気泳動粒子、かかる電気泳動粒子を含む電気泳動分散液、かかる電気泳動分散液を用いた表示シート、表示装置および電子機器を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電気泳動粒子は、母粒子と、
前記母粒子の表面に結合し、複数のシロキサン結合が直列に連結されている連結構造を含むシロキサン系化合物と、
前記母粒子の表面に結合した有機基と、を有し、
前記有機基は、主骨格と該主骨格に結合した置換基とを有し、前記主骨格の前記母粒子側またはその反対側に電子が偏在しており、
前記有機基の分子量は、前記シロキサン系化合物の分子量よりも小さいことを特徴とする。
このような電気泳動粒子によれば、シロキサン系化合物により分散媒中における分散性が高められるとともに、有機基(分極基)により帯電性を付与することができる。しかも、有機基(分極基)の種類や導入量等を調整することにより、電気泳動粒子の帯電性を制御することができる。そのため、母粒子の種類によらずに、所望の極性や帯電量の帯電特性を発揮することができる。
ここで、前記分極基の分子量は、前記シロキサン系化合物の分子量よりも小さい。これにより、分極基がシロキサン系化合物に起因する分散性を阻害するのを防止または抑制することができる。また、母粒子の表面におけるシロキサン系化合物が結合している領域の占有率を小さくすることができることから、母粒子の表面に分極基を導入し得る領域を十分に確保することができる。そのため、帯電性の制御の幅を広くすることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記母粒子の表面における前記シロキサン系化合物が結合している領域の占有率は、0.05%以上20%以下であることが好ましい。
これにより、主にシロキサン系化合物に起因する分散性と、主に有機基(分極基)に起因する帯電特性と、の両立をより強化することができる。すなわち、例えば電気泳動分散液が置かれる温度が大きく変化するような環境下、あるいは、電界の強さが小さい環境下においても、分散性と帯電特性との両立を図ることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記シロキサン系化合物および前記有機基の合計含有量は、前記母粒子100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
これにより、電気泳動粒子の分散媒中における分散性を優れたものとすることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記母粒子の表面における前記有機基が結合している領域の占有率は、前記母粒子の表面における前記シロキサン系化合物が結合している領域の占有率よりも小さいことが好ましい。
これにより、有機基(分極基)がシロキサン系化合物に起因する分散性を阻害するのを防止または抑制することができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記シロキサン系化合物は、前記連結構造を含む主鎖と前記主鎖に結合している側鎖とで構成されている直鎖状の分子構造を有することが好ましい。
これにより、シロキサン系化合物の長鎖の分子構造が比較的安定に維持されることとなり、シロキサン系化合物を隔てて粒子同士の離間距離を十分にとることができる。そのため、電気泳動粒子に分散性を付与するというシロキサン系化合物の機能がより一層促進されることとなる。また、分散媒には、比較的極性が低いものが多く用いられる。一方、シロキサン結合を含む化合物も、側鎖の構造にもよるが、比較的極性が低いものが多い。したがって、このようなシロキサン系化合物を含む電気泳動粒子は、分散媒に対して特に良好な分散性を示す。
本発明の電気泳動粒子では、前記シロキサン系化合物は、前記母粒子の表面に結合したカップリング剤由来の構造を有し、
前記連結構造は、前記カップリング剤由来の構造を介して前記母粒子の表面に連結されていることが好ましい。
これにより、長鎖で直鎖状の分子構造を含んでいるにも関わらず、母粒子に対する結合量の制御が容易であり、その結果、目的とする量に厳密に制御されたシロキサン系化合物を含む電気泳動粒子を実現することができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記シロキサン系化合物は、前記母粒子の表面に結合した炭化水素構造を有し、
前記連結構造は、前記炭化水素構造を介して前記母粒子の表面に連結されていることが好ましい。
これにより、シロキサン系化合物の大部分がシロキサン結合で占められることになるため、例えば分散媒としてシリコーンオイルまたはその変性物が用いられたときに、電気泳動粒子の分散性が特に高くなる。
本発明の電気泳動粒子では、前記シロキサン系化合物の重量平均分子量は、1000以上10万以下であることが好ましい。
これにより、シロキサン系化合物の分子構造の長さが最適化され、母粒子の表面に有機基(分極基)を導入し得る領域を十分に確保しつつ、長鎖で直鎖状の構造に由来する分散性が十分に付与された電気泳動粒子が得られる。
本発明の電気泳動粒子では、前記有機基が有する前記主骨格は、π電子が非局在化した部分を有することが好ましい。
これにより、主骨格において電子の移動が容易に生じるようになり、主骨格において電子をより確実に偏在させることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記π電子が非局在化した部分は、その少なくとも一部に環状をなす環状構造を有することが好ましい。
これにより、主骨格において、電子の移動がより容易かつ円滑に生じるようになる。
本発明の電気泳動粒子では、前記環状構造は、前記主骨格の前記母粒子と反対側の端部に位置し、
前記置換基は、前記環状構造に結合していることが好ましい。
これにより、環状構造における電子密度の偏り(分極)が生じ易くなり、その結果、主骨格における電子密度の偏りをより顕著なものとすることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記置換基は、電気吸引性基または電子供与性基であることが好ましい。
これにより、母粒子をより確実に正または負に帯電させることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記主骨格は、前記母粒子と前記環状構造との間に位置するスペーサーとして機能する部分を有することが好ましい。
有機基(分極基)は、その特性(性質)を示す部分(帯電状態の制御に関与する部分)が母粒子から適度に離れて位置するようになるので、各有機基(分極基)の特性がより顕著に発揮されるようになる。
本発明の電気泳動粒子では、前記有機基は、前記母粒子の表面に結合したカップリング剤由来の構造を有し、
前記環状構造は、前記カップリング剤由来の構造を介して前記母粒子の表面に連結されていることが好ましい。
これにより、容易かつ確実に母粒子の表面に有機基(分極基)を共有結合により導入することができる。
本発明の電気泳動分散液は、本発明の電気泳動粒子と、
前記電気泳動粒子を分散させる分散媒と、を有することを特徴とする。
これにより、分散媒中における電気泳動粒子の分散性および帯電性に優れる電気泳動分散液を提供することができる。
本発明の電気泳動分散液では、前記分散媒の比誘電率は、1.5以上3以下であることが好ましい。
これにより、絶縁性が高く、電気泳動表示装置に供されたときにリーク電流を抑え、消費電力の低減に寄与する電気泳動分散液を提供することができる。
本発明の表示シートは、第1電極が設けられた第1基板と、
前記第1基板に対向配置され、第2電極が設けられた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、本発明の電気泳動分散液を含む表示層と、を有することを特徴とする。
これにより、コントラストの高い表示が可能な表示シートを提供することができる。
本発明の表示装置は、本発明の表示シートを備えることを特徴とする。
これにより、コントラストの高い表示が可能な表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の表示装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
本発明の表示装置の第1実施形態を示す断面図である。 図1に示す表示装置の平面図(上面図)である。 図1に示す表示装置の駆動を説明する断面図である。 図1に示す表示装置に用いられる電気泳動粒子を模式的に示す断面図である。 図4に示す電気泳動粒子の母粒子の表面に結合したシロキサン系化合物を説明するための図である。 図5に示す構造Zを有するシロキサン系化合物を得るのに用いるカップリング剤および変性シリコーンオイルについて、カップリング剤に含まれる反応性官能基X、および、変性シリコーンオイルに含まれる反応性官能基Yの具体例を示す図である。 図4に示す電気泳動粒子の表面に結合した分極基を説明するための図である。 本発明の表示装置の第2実施形態を示す断面図である。 本発明の表示装置の第3実施形態を示す断面図である。 本発明の電気泳動粒子の製造方法の例を説明するための図である。 本発明の電気泳動粒子の製造方法の例を説明するための図である。 本発明の電気泳動粒子のシリコーン系化合物の製造方法の例を説明するための図である。 本発明の電気泳動粒子の分極基の製造方法の例を説明するための図である。 本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。 本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。
以下、本発明の電気泳動粒子、電気泳動分散液、表示シート、表示装置および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
≪表示装置≫
<第1実施形態>
まず、本発明の表示装置の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の表示装置の第1実施形態を示す断面図、図2は、図1に示す表示装置の平面図(上面図)、図3は、図1に示す表示装置の駆動を説明する断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1、3中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。また、図1に示すように、表示装置の平面視にて互いに直交する2方向を「X方向」および「Y方向」とする。
図1に示す表示装置(本発明の表示装置)20は、粒子の泳動を利用して所望の画像を表示する電気泳動表示装置である。この表示装置20は、表示シート(フロントプレーン)21と、回路基板(バックプレーン)22とを有している。なお、表示シート21および回路基板22が表示シートを構成しているともいえる。
図1に示すように、表示シート21は、平板状の基部1と基部1の下面に設けられた第1の電極3とを備える基板(電極基板)11と、基板11の下方に設けられ、電気泳動粒子70を含む分散液100が充填された表示層400とを有している。このような表示シート21では、基板11の上面が表示面111を構成している。
一方、回路基板22は、平板状の基部2と基部2の上面に設けられた複数の第2の電極4とを備える基板12と、この基板12に設けられた図示しない電気回路とを有している。
この電気回路は、例えば、マトリックス状に配列されたTFT(スイッチング素子)と、TFTに対応して形成されたゲート線およびデータ線と、ゲート線に所望の電圧を印加するゲートドライバーと、データ線に所望の電圧を印加するデータドライバーと、ゲートドライバーとデータドライバーの駆動を制御する制御部と、を有している。
以下、各部の構成について順次説明する。
(基板)
基部1および基部2は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配置される各部材を支持および保護する機能を有する。各基部1、2は、それぞれ可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する基部1、2を用いることにより、可撓性を有する表示装置20、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な表示装置20を得ることができる。
基部1、2が可撓性を有するものである場合、その構成材料としては、透明性の高いガラスまたは樹脂が挙げられる。前記樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のポリエステル、ポリエチレン等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、環状オレフィン(COP)、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
基部1、2の平均厚さは、それぞれ構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、可撓性を有するものとする場合、20μm以上500μm以下程度であるのが好ましく、25μm以上250μm以下程度であるのがより好ましく、50μm以上200μm以下程度であるのがさらに好ましい。これにより、表示装置20の柔軟性と強度との調和を図りつつ、表示装置20の小型化(特に薄型化)を図ることができる。
これらの基部1、2の表示層400側の面、すなわち、基部1の下面および基部2の上面に、それぞれ膜状をなす第1の電極3および第2の電極4が設けられている。本実施形態では、第1の電極3が共通電極とされ、第2の電極4が、X方向およびY方向に千鳥状に分割された個別電極(TFTに接続された画素電極)とされている。表示装置20では、1つの第2の電極4と第1の電極3とが重なり合う領域が1つの画素を構成している。
電極3、4の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、金、銀、銅、アルミニウムまたはこれらを含む合金等の金属材料、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素系材料、ポリアセチレン、ポリフルオレン、ポリチオフェンまたはこれらの誘導体等の導電性高分子材料、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート等のマトリックス樹脂中に、NaCl、Cu(CFSO等のイオン性物質を分散させたイオン導電性高分子材料、インジウム酸化物(IO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)等の導電性酸化物材料のような各種導電性材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、電極3、4の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.01μm以上10μm以下程度であるのが好ましく、0.02μm以上5μm以下程度であるのがより好ましい。
ここで、各基部1、2および各電極3、4のうち、表示面111側に配置される基部および電極は、それぞれ光透過性を有するもの、すなわち、実質的に透明(無色透明、有色透明または半透明)とされる。本実施形態では、基板11の上面が表示面111を構成するため、少なくとも基部1および第1の電極3は、実質的に透明とされる。これにより、表示装置20に表示された画像を表示面111側から目視により容易に認識することができる。
(封止部)
基板11と基板12との間には、それらの縁部に沿って封止部(シール部)5が設けられている。この封止部5により、表示層400が気密的に封止されている。その結果、表示装置20内への水分の浸入を防止して、表示装置20の表示性能の劣化をより確実に防止することができる。
封止部5の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、封止部5の高さは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下程度であるのが好ましい。
(壁部)
図1に示すように、表示層400は、その外縁を囲うように設けられた壁部(隔壁)91と、基板11、基板12および壁部91で画成された空間(分散液封入空間)101と、空間101内に充填された分散液100と、を有している。
壁部91の表面には、必要に応じて、炭化フッ素プラズマ処理等の各種撥水処理が施されていてもよい。これにより、後述するように、表示装置20の製造がより簡単となり、より優れた表示特性および信頼性を発揮することができる表示装置20を得ることができる。
壁部91の構成材料としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)、ポリイミド、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の各種熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
壁部91の高さは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下程度であるのが好ましい。壁部91の高さを前記範囲内にすることにより、電界に応じて電気泳動粒子70が短時間で移動可能になるとともに、非表示状態において電気泳動粒子70が透けて見えるのを防止することができる。
また、壁部91の平均幅は、壁部91に要求される機械的強度等を考慮して適宜設定されるが、1μm以上10μm以下程度であるのが好ましい。そして、壁部91のアスペクト比(平均高さ/平均幅)は、1〜50程度であるのが好ましい。
なお、本実施形態では、壁部91の横断面形状が、幅が基板12から基板11側へ向けて漸減する逆テーパー状をなしているが、かかる形状に限定されず、例えば矩形(長方形)であってもよい。
また、壁部91の横断面形状は、全体にわたって一定でなくてもよく、一部異なる形状であってもよい。この場合、この箇所では空間101の気密性が低下するため、仮に空間101に気泡が混入したとしても、その気泡を外部に排出することができる。
(分散液)
分散液100(電気泳動分散液)は、分散媒7と、分散媒7中に分散された電気泳動粒子70と、を含んでいる。
電気泳動粒子70は、正または負に帯電し、分散媒7が呈する色と異なる色を呈している。
電気泳動粒子70が呈する色は、分散媒7が呈する色と異なる色であれば特に限定されないが、例えば分散媒7が呈する色が淡色または白色である場合には、濃色または黒色であるのが好ましく、反対に、分散媒7が呈する色が濃色または黒色である場合には、淡色または白色であるのが好ましい。これにより、電気泳動粒子70と分散媒7とで明度差が大きくなるため、例えば電気泳動粒子70が局所的に集合した場合、その領域とそれに隣接する領域(分散媒7で占められている領域)との明度差も大きくなるため、電気泳動粒子70の集合領域を制御することによってコントラストの高い表示が可能になる。なお、電気泳動粒子70については、後に詳述する。
分散媒7としては、沸点が100℃以上に高く比較的高い絶縁性を有するものが好ましく用いられる。かかる分散媒7としては、例えば、各種水(例えば、蒸留水、純水等)、ブタノールやグリセリン等のアルコール類、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸ブチル等のエステル類、ジブチルケトン等のケトン類、ペンタン等の脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン等の芳香族複素環類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、カルボン酸塩、シリコーンオイルまたはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
中でも、分散媒7としては、脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)またはシリコーンオイルを主成分とするものが好ましい。流動パラフィンまたはシリコーンオイルを主成分とする分散媒7は、電気泳動粒子70の凝集抑制効果が高いことから、表示装置20の表示性能が経時的に劣化するのを抑制することができる。また、流動パラフィンまたはシリコーンオイルは、不飽和結合を有しないため耐候性に優れ、さらに安全性も高いという利点を有している。
また、分散媒7としては、比誘電率が1.5以上3以下であるものが好ましく用いられ、1.7以上2.8以下であるものがより好ましく用いられる。このような分散媒7は、後述するシロキサン系化合物72を含む電気泳動粒子70の分散性に優れるとともに、電気絶縁性も良好である。このため、消費電力が小さく、コントラストの高い表示が可能な表示装置20の実現に寄与する。なお、この誘電率の値は、50Hzにおいて測定された値であり、かつ、含有する水分量が50ppm以下、温度25℃である分散媒7について測定された値である。
以上、表示装置20の構成について説明したが、このような表示装置20は、例えば次のようにして駆動する。なお、以下の説明では、図1に示す複数の第2の電極4のうち、1つに対して電圧を印加した場合について説明する。また、以下の説明においては、電気泳動粒子70が正に帯電しているものとする。
第1の電極3と第2の電極4との間に、第2の電極4が負電位となる電圧を印加すると、当該電圧印加により発生した電界が表示層400中の電気泳動粒子70に作用する。すると、電気泳動粒子70が第2の電極4側に泳動して集まる。これにより、図3(a)に示すように、表示面111には主に分散媒7が呈する色が表示される。
一方、第2の電極4が正電位となる電圧を印加すると、当該電圧印加により発生した電界が表示層400中の電気泳動粒子70に作用する。すると、電気泳動粒子70が第1の電極3側に泳動して集まる。これにより、図3(b)に示すように、表示面111には主に電気泳動粒子70が呈する色が表示される。
以上のような電気泳動粒子70の駆動を画素ごと(第2の電極4ごと)に行うことにより、表示面111には所望の画像を表示することができる。
このように、表示装置20では、電界の向きに応じて電気泳動粒子70を泳動させ、それによって生じる色度や明度の差により画像表示を行う。この際、良好な画像表示を行うためには、複数の電気泳動粒子70が分散媒7中において互いに凝集することなく安定的に存在するとともに、電界が発生したときには速やかに泳動することが必要となる。すなわち、電気泳動粒子70には、分散媒7中における分散性(以下、単に「分散性」ともいう)と帯電特性との両立が求められている。
((電気泳動粒子))
以下、分散液100に含まれる電気泳動粒子70について詳述する。
図4は、図1に示す表示装置に用いられる電気泳動粒子を模式的に示す断面図である。また、図5は、図4に示す電気泳動粒子の母粒子の表面に結合したシロキサン系化合物を説明するための図、図6は、図5に示す構造Zを有するシロキサン系化合物を得るのに用いるカップリング剤および変性シリコーンオイルについて、カップリング剤に含まれる反応性官能基X、および、変性シリコーンオイルに含まれる反応性官能基Yの具体例を示す図である。また、図7は、図4に示す電気泳動粒子の表面に結合した分極基を説明するための図である。
図4に示すように、電気泳動粒子70は、コア粒子71(母粒子)と、コア粒子71の表面に結合されたシロキサン系化合物72および分極基73と、を有する。
このような電気泳動粒子70は、シロキサン系化合物72により、別の電気泳動粒子70との著しい接近が阻害されるため、分散媒7中における適度な分散性が付与される。また、シロキサン系化合物72は、非極性または低極性の分散媒7に対する親和性が高いことから、分散媒7中における電気泳動粒子70の分散性を高めることができる。また、シロキサン系化合物72が分散媒7中における電気泳動粒子70の分散性を高める効果が高いため、コア粒子71の表面がシロキサン系化合物72によって被覆される面積を小さくすることができる。そのため、コア粒子71の表面に、分極基73が結合し得る領域を十分に確保することができる。
一方、分極基73によりコア粒子71に帯電性が付与される。また、分極基73の種類や量等を調整することにより、電気泳動粒子70の帯電量や極性等の帯電状態を制御することができる。特に、前述したように、コア粒子71の表面に、分極基73が結合し得る領域が十分に確保されているので、その制御の幅を大きくすることができる。したがって、コア粒子71の種類によらず、電気泳動粒子70の極性や帯電量等の帯電特性を所望のものとすることができる。
このようなことから、電気泳動粒子70は、分散媒7中において優れた分散性および帯電性を発揮することができる。したがって、シロキサン系化合物72によって生じる一定の斥力によって電気泳動粒子70同士の凝集が抑えられ、それによって電気泳動粒子70の泳動抵抗が減少するとともに、分極基73によって電気泳動粒子70には一定のクーロン力が発生するため、結果的に、より弱い電界下でも十分な電気泳動が可能になる。その結果、少ない消費電力で応答性の高い画像表示を得ることができる。
また、前述したようにシロキサン系化合物72により電気泳動粒子70の分散性が高められるため、分散媒7に分散剤を全く添加しなくても済む。このため、分散剤を多量に添加した場合に生じる、第1の電極3と第2の電極4との間の絶縁性の低下を防止することができる。これにより、電圧印加時のリーク電流の発生が抑制され、表示装置20の消費電力の低減を図ることができる。
なお、分散媒7中には、分散剤が添加されていてもよく、その場合、分散媒7中に添加される分散剤の添加量を少なくすることができ、第1の電極3と第2の電極4との間の絶縁性の抑制することができる。かかる分散剤としては、例えば、ポリアミドアミンとその塩、塩基性官能基変性ポリウレタン、塩基性官能基変性ポリエステル、塩基性官能基変性ポリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリアクリルアミド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
分散剤の添加量は、分散媒7の0.3質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以下であるのがより好ましい。分散剤の添加量を前記範囲内に抑えることで、分散剤を添加したとしても、第1の電極3と第2の電極4との間の絶縁性の低下を最小限に抑えることができる。
以下、電気泳動粒子70を構成する各部を順次詳細に説明する。
まず、コア粒子71について説明する。
コア粒子71としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、酸化ジルコニウム等の酸化物系粒子や、窒化ケイ素、窒化チタン等の窒化物系粒子、硫化亜鉛等の硫化物系粒子、硼化チタン等の硼化物系粒子、クロム酸ストロンチウム、アルミン酸コバルト、亜クロム銅、ウルトラマリン等の無機顔料粒子、アゾ系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ペリレン系等の有機顔料粒子等を用いることができる。また、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等で構成された樹脂粒子の表面に顔料を塗布した複合粒子を用いることもできる。
また、コア粒子71としては、後述するようにカップリング剤を用いる場合において、カップリング剤との反応性を考慮すると、表面に水酸基が存在するものが好ましく、この点から、無機材料を用いることが好ましい。
また、コア粒子71の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは10nm以上800nm以下、より好ましくは20nm以上400nm以下である。コア粒子71の平均粒子径を前記範囲内に設定することにより、電気泳動粒子70による十分な色度の表示と電気泳動粒子70の速やかな電気泳動とを両立することができる。その結果、高コントラストの表示と高い応答速度とを両立することができる。
また、コア粒子71の平均粒子径を前記範囲内に設定することにより、電気泳動粒子70の沈降や泳動速度のバラツキを抑え、表示ムラや表示不良の発生を抑制することができる。
なお、コア粒子71の平均粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば、製品名:LB−500、(株)堀場製作所製)で測定した体積平均粒子径を意味する。
また、本実施形態では、分散液100中にコア粒子71が1種類含まれている場合について説明したが、複数種のコア粒子71が含まれていてもよい。この場合、例えば、白色と黒色、あるいは、淡色と濃色、といった明度や色度が大きく異なる組み合わせで複数種のコア粒子71を選択することで、よりコントラストに優れた表示が可能になる。また、異なる複数種のコア粒子71を用いる場合、異なる複数種のコア粒子71間で、シロキサン系化合物72および分極基73のそれぞれの種類や導入量等が同じであってもよいし異なっていてもよい。
次に、シロキサン系化合物72について説明する。
シロキサン系化合物72は、複数のシロキサン結合が直列に連結されている連結構造(以下、「シリコーン主鎖」ともいう)を含む化合物であればいかなる化合物であってもよいが、好ましくは前記連結構造を含む主鎖と、この主鎖に結合している側鎖とで構成されている直鎖状の分子構造を有する化合物とされる。このような化合物であれば、シロキサン系化合物72の長鎖の分子構造が比較的安定に維持されることとなり、シロキサン系化合物72を隔ててコア粒子71同士の離間距離を十分にとることができるので、電気泳動粒子70に分散性を付与するというシロキサン系化合物72の機能がより一層促進されることとなる。
また、分散媒7には、比較的極性が低いもの(非極性または低極性)が多く用いられる。一方、シロキサン結合を含む化合物も、側鎖の構造にもよるが、比較的極性が低いものが多い。したがって、このようなシロキサン系化合物72を含む電気泳動粒子70は、分散媒7に対して特に良好な分散性を示す。
また、シロキサン系化合物72は、シリコーン主鎖を有するシリコーンオイルまたはその変性物に由来する構造(以下、単に「シリコーンオイル由来の構造」ともいう)を含んでいるのが好ましい。シリコーンオイルまたはその変性物は、分散媒7としても用いられることが多いので、これに由来する構造をシロキサン系化合物72が含んでいることにより、電気泳動粒子70の分散性が特に高くなる。
このようなシリコーンオイル由来の構造は、図5(a)に示すように、コア粒子71の表面に直接連結していてもよいし、図5(b)に示すように、コア粒子71の表面にカップリング剤由来の構造を介して連結していてもよい。
より具体的に説明すると、図5(a)に示す例のシロキサン系化合物72は、シリコーンオイル由来の官能基とコア粒子71の表面の水酸基とを反応させて得られる。この例のシロキサン系化合物72は、シリコーンオイル由来の構造のみで構成され、シロキサン結合で構成されている主鎖(シリコーン主鎖)の末端に結合している炭化水素構造がコア粒子71に連結されている。したがって、シロキサン系化合物72の大部分がシロキサン結合で占められることになるため、例えば分散媒7としてシリコーンオイルまたはその変性物が用いられたときに、電気泳動粒子70の分散性が特に高くなる。
一方、図5(b)に示す例のシロキサン系化合物72は、変性シリコーンオイルとカップリング剤とを反応させ、得られた反応物のうち、カップリング剤由来の加水分解性基とコア粒子71の表面の水酸基との間で脱水縮合反応させて得られる。この例のシロキサン系化合物72は、シリコーンオイル由来の構造とカップリング剤由来の構造とで構成され、カップリング剤由来の構造721を介して、シリコーンオイル由来の構造722がコア粒子71に連結されている。このような構造のシロキサン系化合物72は、長鎖で直鎖状の分子構造を含んでいるにも関わらず、コア粒子71に対する結合量の制御が容易であり、その結果、目的とする量に厳密に制御されたシロキサン系化合物72を含む電気泳動粒子70を実現することができる点で有用である。換言すれば、長鎖で直鎖状の分子構造を含むシロキサン系化合物72は、目的とする量をコア粒子71に対して正確に導入することは多くの困難を伴うのに対し、シリコーンオイル由来の構造722とコア粒子71との間をカップリング剤由来の構造721で仲立ちさせることにより、あらかじめ変性シリコーンオイルとカップリング剤との反応機会を十分に確保するというプロセスを経ることができる。このため、コア粒子71に対するカップリング剤の反応性の高さを効果的に活かすことができ、結果的にシロキサン系化合物72の導入量を正確に制御することができる。
シロキサン系化合物72の重量平均分子量は、1000以上10万以下程度であるのが好ましく、10000以上60000以下程度であるのがより好ましい。かかる重量平均分子量を前記範囲内に設定することで、シロキサン系化合物72の分子構造の長さが最適化され、コア粒子71の表面に分極基73を導入し得る領域を十分に確保しつつ、長鎖で直鎖状の構造に由来する分散性が十分に付与された電気泳動粒子70が得られる。
なお、シロキサン系化合物72の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定された、ポリスチレン換算重量平均分子量のことである。
また、図5(a)および図5(b)中におけるnは、それぞれ上述した重量平均分子量と同様の理由から、12以上1400以下程度であるのが好ましく、130以上800以下程度であるのがより好ましい。
また、図5(b)における構造Zは、カップリング剤に含まれる反応性官能基Xとシリコーンオイルに含まれる反応性官能基Yとが反応してなる構造である。
反応性官能基X、Yとしては、例えば、図6に示すものが挙げられる。なお、図6中のRは、アルキル基のような脂肪族炭化水素基である。
なお、シロキサン系化合物72の末端および側鎖は、極性の低い置換基で構成されていることが好ましい。これにより、電気泳動粒子70の分散性をより高めることができる。具体的な置換基としては、例えばアルキル基等が挙げられる。
また、コア粒子71の表面におけるシロキサン系化合物72が結合している領域の占有率(被覆率)は、0.05%以上20%以下であるのが好ましく、0.1%以上10%以下であるのがより好ましく、0.2%以上5%以下であるのがさらに好ましい。かかる領域の占有率を前記範囲内に設定することにより、主にシロキサン系化合物72に起因する分散性と、主に分極基73に起因する帯電特性と、の両立をより強化することができる。すなわち、例えば分散液100が置かれる温度が大きく変化するような環境下、あるいは、電界の強さが小さい環境下においても、分散性と帯電特性との両立を図ることができる。
なお、かかる領域の占有率が前記下限値を下回る場合は、分散性が低下し、分散液100が置かれる環境によっては電気泳動粒子70が凝集してしまうおそれがある。一方、かかる領域の占有率が前記上限値を上回る場合は、電気泳動粒子70の製造方法の種類によっては、分極基73をコア粒子71の表面に導入することが難しくなり、また、分極基73をコア粒子71の表面に導入することができたとしても、コア粒子71や分極基73の種類によっては、分極基73に起因する帯電特性の影響が小さくなったり、分極基73による帯電特性の調整幅が小さくなったりする。
ここで、コア粒子71の表面におけるシロキサン系化合物72が結合している領域の占有率(被覆率)[%]は、コア粒子71の表面に結合したシロキサン系化合物72の分子1つあたりが占める面積を「単位面積」とし、コア粒子71の表面に結合したシロキサン系化合物72の分子の数を「分子数」としたとき、下記式により求められる。
占有率(被覆率)=(単位面積×分子数)/(コア粒子の表面積)×100
ここで、「単位面積」は、シロキサン系化合物72の分子構造から計算により求めることができる。
また、「分子数」は、コア粒子1つ当たりに結合したシロキサン系化合物72の質量[g]と、シロキサン系化合物72の分子量[g/mol]と、1モルあたりの分子数6.02×1023[個/mol]とから計算により求めることができる。
なお、後述するコア粒子71の表面における分極基73が結合している領域の占有率(被覆率)[%]についても、上記と同様に求めることができる。
次に、分極基73について説明する。
分極基73は、主骨格と、この主骨格に結合した置換基とを有する有機基である。
この分極基73では、置換基の種類(電子吸引性基および/または電子供与性基)、前記主骨格に対する結合数および結合位置のうちの少なくとも1つの条件を設定することにより、主骨格において電子を偏在(分極)させ、これにより、電気泳動粒子70の帯電状態を制御する。
すなわち、例えば、主骨格のコア粒子71と反対側の端部(以下、「主骨格の末端」と言う。)側に、置換基として電子吸引性基(電子吸引基)が結合した分極基73では、電子が主骨格のコア粒子71側より末端側に偏在するようになる。このような分極基73が導入されると、コア粒子71(電気泳動粒子70)は負に帯電する。
一方、主骨格のコア粒子71側に、置換基として電子吸引基が結合した分極基73では、電子が主骨格の末端側よりコア粒子71側に偏在するようになる。このような分極基73が導入されると、コア粒子71(電気泳動粒子70)は正に帯電する。
また、置換基として電子供与性基(電子供与基)が結合した分極基73では、前述したのと反対の電子密度の偏りが生じるため、主骨格の末端側に電子供与性基が結合した分極基73が導入されると、コア粒子71(電気泳動粒子70)は正に帯電し、主骨格のコア粒子71側に電子供与性基が結合した分極基73が導入されると、コア粒子71(電気泳動粒子70)は負に帯電する。
そして、主骨格に結合する置換基の結合数が増えるにつれて、この電子密度の偏りは、増大する傾向を示す。
本発明では、このような電子密度の偏りが生じた分極基73を、適宜選択してコア粒子71の表面に導入することにより、コア粒子71を所望の帯電状態に制御(調整)することができる。
ここで、コア粒子71(電気泳動粒子70)の帯電状態としては、例えば、荷電の正負、荷電量、荷電の分布等が挙げられるが、本発明によれば、特に、荷電の正負および荷電量の少なくとも一方の制御を容易に行うことができる。
分極基73の主骨格においては、電子密度の偏りが生じ易い状態であるのが好ましい。したがって、主骨格は、π電子が非局在化した部分(構造)を有するものであるのが好ましい。これにより、主骨格において電子の移動が容易に生じるようになり、前述したような効果がより顕著に発揮される。
このπ電子が非局在化した部分は、その全てが共役二重結合が直線状に連続した構造であってもよいが、その少なくとも一部に環状をなす環状構造を有するものが好ましい。これにより、主骨格において、電子の移動がより容易かつ円滑に生じるようになる。
このような環状構造には、各種のものが存在するが、芳香族環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピロール環、チオフェン環、アントラセン環、ピレン環、ペリレン環、ペンタセン環、テトラセン環、クリセン環、アズレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、フェナントレン環、キノリン環、インドール環、ピラジン環、アクリジン環、カルバゾール環、フラン環、ピラン環、ピリミジン環またはピリダジン環であるのが特に好ましい。これにより、環状構造における電子密度の偏り(分極)が生じ易くなり、その結果、主骨格における電子密度の偏りをより顕著なものとすることができる。
さらに、主骨格は、その末端に環状構造を有し、環状構造に置換基が結合しているものが好ましい。これにより、環状構造における電子密度の偏り(分極)が生じ易くなり、その結果、主骨格における電子密度の偏りをより顕著なものとすることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記置換基は、電気吸引性基または電子供与性基であることが好ましい。
これにより、母粒子をより確実に正または負に帯電させることができる。
ここで、主骨格がその末端にベンゼン環を有する場合を一例に説明する。
この場合、I:ベンゼン環の2位〜6位のうちの少なくとも3位〜5位の3つの位置(図7(a)では、2位〜6位の全ての位置)に、それぞれ、置換基として電子吸引性基Tが結合していると、図7(a)に示すように、電子吸引性基Tの存在により、主骨格において電子が末端側に引き寄せられ、偏在するようになる。このため、コア粒子71は負に帯電する。
II:ベンゼン環の3位、4位および5位のうちの少なくとも1つの位置(図7(b)では、3位および4位の位置)に、置換基として電子吸引性基Tが結合していると、図7(b)に示すように、電子吸引性基Tの存在により、主骨格(特に、ベンゼン環上)において電子が末端側に引き寄せられ、偏在するようになる。このため、コア粒子71は負に帯電する。
III:ベンゼン環の2位および6位のうちの少なくとも1つの位置(図7(c)では、2位および6位の位置)に、置換基として電子吸引性基Tが結合していると、図7(c)に示すように、電子吸引性基Tの存在により、主骨格(特に、ベンゼン環上)において電子がコア粒子71側に引き寄せられ、偏在するようになる。このため、コア粒子71は正に帯電する。
IV:ベンゼン環の2位〜6位のうちの少なくとも3位〜5位の3つの位置(図7(d)では、2位〜5位の4つの位置)に、それぞれ、置換基として電子供与性基Gが結合していると、図7(d)に示すように、電子供与性基Gの存在により、主骨格において電子がコア粒子71側に引き寄せられ、偏在するようになる。このため、コア粒子71は正に帯電する。
V:ベンゼン環の3位、4位および5位のうちの少なくとも1つの位置(図7(e)では、4位)に、置換基として電子供与性基Gが結合していると、図7(e)に示すように、電子供与性基Gの存在により、主骨格(特に、ベンゼン環上)において電子がコア粒子71側に押しやられ、偏在するようになる。このため、コア粒子71は正に帯電する。
VI:ベンゼン環の2位および6位のうちの少なくとも1つの位置(図7(f)では、2位)に、置換基として電子供与性基Gが結合していると、図7(f)に示すように、電子供与性基Gの存在により、主骨格(特に、ベンゼン環上)において電子が末端側に押しやられ、偏在するようになる。このため、コア粒子71は負に帯電する。
なお、前記IIの構成と前記VIの構成と、前記IIIの構成と前記Vの構成とは、それぞれ、組み合わせるようにしてもよい。これにより、主骨格(特に、ベンゼン環上)における電子密度の偏りを更に顕著なものとすることができる。
また、主骨格は、前述した環状構造1つのみで構成されていてもよく、複数の環状構造が直鎖状に結合した構造であってもよい。後者の主骨格の具体例としては、例えば、下記式(A−1)〜(A−3)等が挙げられる。
Figure 0006326856
ただし、前記式(A−1)〜(A−3)において、式中nは、1以上の整数を示す。
なお、前記式(A−1)〜(A−3)で表される主骨格において、置換基は、末端の環状構造に結合しているのが好ましいが、末端以外の他の環状構造に結合していてもよい。
電子吸引性基Tは、水素原子に比べて電子を強く引き寄せる(吸引する)傾向を示す置換基であればよく、特に限定されないが、例えば、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ホルミル基、スルホ基等が挙げられる。これらの中でも、電子吸引性基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基およびトリフルオロメチル基からなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましい。これらのものは、特に、電子を引き寄せる能力が高いものである。
一方、電子供与性基Gは、水素原子に比べて電子を強く押しやる(供与する)傾向を示す置換基であればよく、特に限定されないが、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、水酸基等が挙げられる。これらの中でも、電子供与性基としては、アミノ基、アルキル基およびアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種である。これらのものは、特に、電子を押しやる能力が高いものである。
アルキル基としては、炭素数1〜30であるのが好ましく、1〜18であるのがより好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜30であるのが好ましく、1〜18であるのがより好ましい。アルキル基およびアルコキシ基において、炭素数が多すぎると、いずれも、アルキル基自体およびアルコキシ基自体が凝集し易くなる傾向を示し、その結果、コア粒子71の帯電状態を所望のものに調整するのが困難となるおそれがある。
また、主骨格の総炭素数は、6〜40であるのが好ましく、6〜35であるのがより好ましい。総炭素数が少なすぎると、電子が非局在化し難くなり、このため、電子の偏りを効率的に生じさせることができないおそれがあり、一方、総炭素数が多すぎると、分極基73をコア粒子71の表面に導入するのが困難となるおそれがある。
さらに、主骨格は、そのコア粒子71側に、スペーサーとして機能する部分(構造)を有するものが好ましい。すなわち、主骨格は、コア粒子71と前記環状構造との間に位置するスペーサーとして機能する部分を有することが好ましい。これにより、各分極基73は、その特性(性質)を示す部分(帯電状態の制御に関与する部分)がコア粒子71から適度に離れて位置するようになり、その結果、各分極基73の特性がより顕著に発揮されるようになる。
このスペーサーとして機能する部分(以下、「スペーサー部」ともいう)には、種々の構造が考え得るが、例えば、飽和の炭素鎖、その一部に他の結合や炭素以外の原子を有するもの等が挙げられる。
ここで、他の結合としては、例えば、下記式(B−1)〜(B−23)で表される結合、二重結合または三重結合のような不飽和結合等が挙げられるが、下記式(B−1)〜(B−23)で表される結合が好ましい。
Figure 0006326856
Figure 0006326856
Figure 0006326856
前記式(B−1)〜(B−23)で表される結合を介することにより、コア粒子71の表面に各分極基73をより容易かつ確実に導入することができる。
また、前記式(B−1)〜(B−23)で表される結合部分では、電子密度の偏りが生じるため、分極基73がこれらの結合を有することにより、隣接する分極基73同士の間では、電子密度の偏りによる引力および斥力が作用する。これにより、各分極基73は、コア粒子71の表面においてより安定な位置に配列するようになる。具体的には、各分極基73は、コア粒子71の表面の法線方向に沿って正確に配列するようになる。その結果、各分極基73の特性を示す部分がより確実にコア粒子71から離れて位置するようになり、各分極基73の特性がより顕著に発揮されるようになる。
これらの中でも、特に、アミド結合(式(B−1))、ウレタン結合(式(B−2))、エステル結合(式(B−3))または尿素結合(式(B−4))が好適である。これらの結合を選択することにより、前記効果がより顕著に発揮される。
一方、炭素以外の原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。酸素原子や硫黄原子を介することにより、コア粒子71の表面に各分極基73をより容易かつ確実に導入することができる。
これらの中でも、特に、酸素原子が好適である。酸素原子を選択することにより、前記効果がより顕著に発揮される。
なお、前述したように、主骨格の総炭素数にも、好適な範囲が存在するため、これらを考慮した場合、スペーサーとして機能する部分は、特に、下記式(C)で表されるものが好ましい。
Figure 0006326856
[ただし、前記式(C)中R、Rは、それぞれ独立して、アミド結合、ウレタン結合、エステル結合、尿素結合または酸素原子を示し、aは0〜20の整数を示し、bは0または1を示し、cは0〜20の整数を示し、dは0または1を示す。]
なお、aの値が大きくなり過ぎると、コア粒子71から離れた位置でアミド結合、ウレタン結合、エステル結合、尿素結合が偏った集合を形成し易くなり、各分極基73の特性が十分に発揮されなくなるおそれがある。このため、前記式(C)において、aは、2〜4(特に、3または4)であるのが好ましい。
また、cが大き過ぎると、分極基73のコア粒子71表面での分布が不均一となるおそれがあり、一方、cが小さ過ぎると、例えば、ベンゼン環の2位または6位に置換基が導入されている場合等には、分極基73のコア粒子71への導入効率が極端に低下するおそれがある。したがって、cの値は、主骨格に導入する置換基の種類や位置等に応じて、0〜20の範囲で調整するのが好ましい。
以上のような分極基73は、コア粒子71の表面に、共有結合により導入されているのが好ましい。これにより、分極基73がコア粒子71の表面から離脱するのをより確実に防止することができる。このため、コア粒子71の帯電状態を、長期に亘って維持することができる。
分極基73は、コア粒子71の表面に結合したカップリング剤由来の構造を有し、前記環状構造がそのカップリング剤由来の構造を介してコア粒子71粒子の表面に連結されていることが好ましい。
すなわち、分極基73をコア粒子71の表面へ共有結合により導入する方法(導入方法)としては、カップリング剤を用いる方法が好適である。カップリング剤を用いる方法としては、例えば、[A]コア粒子71の表面に存在する水酸基と、目的とする分極基73を有するカップリング剤とを反応させる方法、[B]コア粒子71の表面に存在する水酸基と、目的とする分極基73の一部を有するカップリング剤とを反応させた後、導入された分極基73の一部と分極基73の残部とを反応させて、目的とする分極基73を完成する方法等が挙げられる。このようなカップリング剤を用いる方法によれば、容易かつ確実にコア粒子71の表面に分極基73を共有結合により導入することができる。
なお、コア粒子71の表面に存在する水酸基は、コア粒子71が本来有するものであってもよく、親水化処理等により導入されたものであってもよい。この親水化処理の方法としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、溶媒による表面処理、界面活性剤による表面処理等が挙げられる。
カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、カルボン酸末端を有する化合物、リン酸末端を有する化合物等のいずれもが使用可能であるが、特に、シラン系カップリング剤が好適である。
シラン系カップリング剤を用いることにより、コア粒子71の表面には、シロキサン結合(シロキサンネットワーク)が形成されるので、分極基73をコア粒子71の表面により強固に結合させることができる。また、シラン系カップリング剤は、入手や合成が容易であり、取り扱いやすいという利点も有する。
なお、コア粒子71の表面に分極基73を導入する方法は、これに限定されるものではなく、例えば、コア粒子71の表面に、水酸基に代わり、他の反応性官能基が存在すれば、この反応性官能基と、前述したような分極基73を有する化合物とを反応させることにより、コア粒子71の表面に分極基73を導入することもできる。
また、分極基73のコア粒子71の表面への導入量は、コア粒子71の質量と分極基73の質量との合計質量に対する比率(wt%)で表すと、0.1〜20wt%程度であるのが好ましく、0.1〜10wt%程度であるのがより好ましく、0.1〜5wt%程度であるのがさらに好ましい。分極基73の導入量を前記範囲とすることにより、コア粒子71の帯電状態をより確実に所望のものに制御(調整)することができる。
このような分極基73は、コア粒子71の表面のうち、前述したシロキサン系化合物72が導入されている領域以外の領域に導入することができ、その領域の少なくとも一部に導入されていればよい。その導入量は、電気泳動粒子70の目的とする帯電特性に応じて決められる。すなわち、分極基73の導入量は、電気泳動粒子70が所望の帯電特性となるように調整される。
また、電気泳動粒子70の分散媒7中における分散性を優れたものとする観点から、シロキサン系化合物72および分極基73の合計含有量は、コア粒子71(母粒子)100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
また、コア粒子71の表面における分極基73が結合している領域の占有率は、前述したコア粒子71の表面におけるシロキサン系化合物72が結合している領域の占有率よりも小さいことが好ましい。これにより、分極基73がシロキサン系化合物72に起因する分散性を阻害するのを防止または抑制することができる。
また、分極基73の分子量は、シロキサン系化合物72の分子量よりも小さいことが好ましい。これにより、分極基73がシロキサン系化合物72に起因する分散性を阻害するのを防止または抑制することができる。また、コア粒子71の表面におけるシロキサン系化合物72が結合している領域の占有率を小さくすることができることから、母粒子の表面に分極基を導入し得る領域を十分に確保することができる。そのため、帯電性の制御の幅を広くすることができる。
以上説明したような電気泳動粒子70によれば、シロキサン系化合物72により分散媒7中における分散性が高められるとともに、分極基73により帯電性を付与することができる。しかも、分極基73の種類や導入量等を調整することにより、電気泳動粒子70の帯電性を制御することができる。そのため、コア粒子71の種類によらずに、所望の極性や帯電量の帯電特性を発揮することができる。
また、このような電気泳動粒子70を含む分散液100を用いた表示シート21および表示装置20によれば、コントラストの高い表示が可能である。
<第2実施形態>
次に、本発明の表示装置の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の表示装置の第2実施形態を示す断面図である。なお、以下の説明では、説明の都合上、図8の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
第2実施形態に係る表示装置20は、壁部91の内側の空間101をさらに複数の区画に区分けする壁部92を備える以外、第1実施形態に係る表示装置20と同様である。
すなわち、表示層400には、複数の壁部92がY方向に所定の間隔を隔てて設けられている。また、図示しないものの、表示層400には、複数の壁部がX方向にも所定の間隔を隔てて設けられている。これにより、空間101には格子状に区分された画素区画が形成される。
各画素区画には、それぞれ第2の電極4が対応して配置されている。このため、第2の電極4に印加される電圧を適宜制御することにより、各画素区画が発する色を制御し、表示面111から視認される画像を自在に生成することができる。
このような壁部92は、前述した壁部91と同様の構造を有するものとされるが、平均幅については壁部91より小さくてもよい。これにより、画素の開口率を高めることができる。
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
<第3実施形態>
次に、本発明の表示装置の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の表示装置の第3実施形態を示す断面図である。なお、以下の説明では、説明の都合上、図9の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では第1、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態に係る表示装置20は、分散液100がカプセル本体(殻体)401内に封入されてなるマイクロカプセル40を備えていること以外は、第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態に係る表示装置20は、分散液100をカプセル本体401内に封入してなる複数のマイクロカプセル40が、バインダー41で空間101内に固定(保持)されることによって構成されている。
マイクロカプセル40は、各基板11、12間に、単層で(厚さ方向に重なることなく1個ずつ)、かつX方向およびY方向に拡がるよう並べられている。
カプセル本体(殻体)401の構成材料としては、例えば、ゼラチン、アラビアゴムとゼラチンとの複合材料、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエーテルのような各種樹脂材料が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、カプセル本体401は、複数の層の積層体で構成されていてもよい。この場合、最内層の構成材料としては、メラミン系樹脂、尿素樹脂のようなアミノ樹脂、またはこれらの複合樹脂等が好ましく用いられる。一方、最外層の構成材料としては、エポキシ系樹脂が好ましく用いられる。
また、カプセル本体401の構成材料においては、架橋剤により架橋(立体架橋)を形成するようにしてもよい。これにより、カプセル本体401の柔軟性を維持しつつ、強度を向上させることができる。その結果、マイクロカプセル40が容易に崩壊するのを防止することができる。
このようなマイクロカプセル40は、その大きさがほぼ均一であることが好ましい。これにより、表示装置20では、表示ムラの発生が防止または低減され、より優れた表示性能を発揮することができる。
また、マイクロカプセル40は、球状をなして存在しているのが好ましい。これにより、マイクロカプセル40は、耐圧性および耐ブリード性に優れたものとなる。したがって、このように表示装置20を作動させているとき、もしくは、表示装置20を保存している間に、表示装置20に衝撃が加わったり、表示面111が押圧されたりした場合でも、マイクロカプセル40の破壊や分散液100の散逸が防止され、長期間安定に動作することができる。
なお、マイクロカプセル40の平均粒径は、5μm以上50μm以下程度であるのが好ましく、10μm以上30μm以下程度であるのがより好ましい。マイクロカプセル40の平均粒径を前記範囲とすることにより、表示装置20において電気泳動粒子70の電気泳動をより確実に制御することができるようになる。すなわち、電気泳動粒子70にパルス状の電界を作用させたとしても、マイクロカプセル40内の端部にまで確実に電気泳動させることができる。その結果、表示のコントラストを高めることができる。
バインダー41は、例えば、基板11と基板12とを接合する目的、基板11と基板12との間にマイクロカプセル40を固定する目的、第1の電極3と第2の電極4との間の絶縁性を確保する目的等により供給される。これにより、表示装置20の耐久性および信頼性をより向上させることができる。
このバインダー41には、基板11、基板12、およびカプセル本体401(マイクロカプセル40)との親和性(密着性)に優れ、かつ、絶縁性に優れる樹脂材料(絶縁性または微小電流のみが流れる樹脂材料)が好適に使用される。
このようなバインダー41としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のような本実施形態に係る表示装置20は、第1実施形態および第2実施形態と同様の作用、効果を奏する。
≪電気泳動粒子の製造方法≫
次に、本発明の電気泳動粒子の製造方法の実施形態について説明する。
図10および図11は、それぞれ、本発明の電気泳動粒子の製造方法の例を説明するための図である。また、図12は、本発明の電気泳動粒子のシリコーン系化合物の製造方法の例を説明するための図、図13は、本発明の電気泳動粒子の分極基の製造方法の例を説明するための図である。なお、以下では、前述した電気泳動粒子70を製造する場合を例に説明する。
まず、電気泳動粒子70の製造方法の全体を簡単に説明する。
前述したように、コア粒子71への分極基73の導入方法としては、[A]分極基73を有するカップリング剤を合成した後にそのカップリング剤とコア粒子71の表面との反応により分極基73をコア粒子71の表面に導入する方法(以下、単に「方法[A]」ともいう)と、[B]コア粒子71の表面に分極基73の一部を含むカップリング剤を導入した後にそのカップリング剤と分極基73の残部を有する化合物との反応により分極基73を形成する方法(以下、単に「方法[B]ともいう」)とが挙げられる。
したがって、電気泳動粒子70の製造方法は、コア粒子71への分極基73の導入方法として方法[A]を用いる場合と方法[B]を用いる場合とに分けることができる。
方法[A]を用いて分極基73をコア粒子71の表面に導入する場合、電気泳動粒子70の製造方法としては、図10に示すように、<a>コア粒子71の表面に分極基73を導入した後にシロキサン系化合物72を導入する方法(図10(a)参照)、<b>コア粒子71の表面にシロキサン系化合物72を導入した後に分極基73を導入する方法(図10(b)参照)、<c>コア粒子71の表面にシロキサン系化合物72および分極基73を同時に導入する方法(図10(c)参照)が挙げられる。
一方、方法[B]を用いて分極基73をコア粒子71の表面に導入する場合、電気泳動粒子70の製造方法としては、図11に示すように、<d>コア粒子71の表面に分極基73の一部を導入、残部を形成した後にシロキサン系化合物72を導入する方法(図11(a)参照)、<e>コア粒子71の表面に分極基73の一部を形成した後にシロキサン系化合物72を導入し、その後分極基73の残部を形成する方法(図11(b)参照)、<f>コア粒子71の表面にシロキサン系化合物72を導入した後に分極基73の一部を導入し残部を形成する方法(図11(c)参照)、<g>コア粒子71の表面にシロキサン系化合物72および分極基73の一部を同時に導入した後に分極基73の残部を形成する方法(図11(d)参照)が挙げられる。
以下、これらの製造方法に用いる、コア粒子71の表面へのシロキサン系化合物72の導入方法、コア粒子71の表面への分極基73の導入方法について、順次詳細に説明する。
(コア粒子表面へのシロキサン系化合物の導入)
以下、コア粒子71の表面へのシロキサン系化合物72の導入方法について説明する。
コア粒子71の表面へのシロキサン系化合物72の導入方法は、シロキサン結合含有物質とカップリング剤とを反応させ、反応物を得る工程と、コア粒子71の表面に対し、その反応物のカップリング剤由来の加水分解性基を反応させ、表面の一部に反応物由来のシロキサン系化合物を結合させる工程と、を有する。以下、各工程について詳述する。
[1]
まず、シロキサン結合含有物質とカップリング剤とを反応させる。これにより、シロキサン系化合物72の構造を含むカップリング剤が反応物として得られる。また、この反応は、シロキサン結合含有物質が含む反応性官能基とカップリング剤が含む反応性官能基とを反応させるものである。これにより、シロキサン結合含有物質がカップリング剤で改質され、得られた反応物の一方の末端には、カップリング剤由来の加水分解性基が位置することとなる。
シロキサン結合含有物質とカップリング剤との反応には、例えば反応性官能基を含むシロキサン結合含有物質に対して反応性官能基を含むカップリング剤を十分な量加えることにより行うことができる。これにより、シロキサン結合含有物質とカップリング剤との反応確率を高めることができ、反応物の収率を特に高めることができる。
シロキサン結合含有物質としては、例えば、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン、またはこれらの変性物等が挙げられるが、特にシリコーンオイルの変性物が好ましく用いられる。
このうち、変性シリコーンオイルとしては、例えば、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、カルビノール基、酸塩化物等の反応性官能基を含むものであれば、いかなるものでもよい。具体的には、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル等が挙げられる。
また、シリコーンオイルは、上述した反応性官能基のうちの2種以上を含むものであってもよい。
一方、カップリング剤としては、例えば、アミノ基、エポキシ基、スルフィド基、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基等の反応性官能基を含むものであれば、いかなるものでもよい。具体的には、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
また、カップリング剤は、上述した反応性官能基のうちの2種以上を含むものであってもよい。
また、カップリング剤の添加量は、シロキサン結合含有物質中の反応性官能基に対して1当量以上の反応性官能基を含む量に設定されるのが好ましく、1.5当量以上の反応性官能基を含む量に設定されるのがより好ましい。
図12に、変性シリコーンオイルとシランカップリング剤との反応経路を示す反応式の一例を示す。
図12(a)に示す反応は、C=Cのような有機二重結合にSi−H結合を付加するヒドロシリル化という反応である。触媒には、例えば周期表の8−10族の金属錯体等が用いられ、特に白金またはその化合物が好ましく用いられる。
また、必要に応じて、図12(b)に示すように、まず、変性シリコーンオイルに連結部を反応させた後、得られた反応物に対してさらにカップリング剤を反応させるようにして、最終的に反応物を得るようにしてもよい。このとき、連結部としては、例えば図12(b)に示す4−ペンテノイルクロリドの他、10−ウンデセノイルクルリド、10−ウンデセン酸、4−ペンテン酸等を用いることができる。このような方法を用いることで、シロキサン系化合物72の分子量ならびに親水疎水のバランスをより細かく微調整することが可能になる。
この反応は、例えば、酸塩化物を用いる場合、温度0℃以上70℃以下、時間30分以上6時間以下の条件で行うことができる。
[2]
次いで、前述した[1]で得られた反応物を含む液体中にコア粒子71を添加する。これにより、その反応物中のカップリング剤由来の加水分解性基とコア粒子71の表面の官能基とが反応する。その結果、コア粒子71の表面にシロキサン系化合物72を導入することができる。
以上のようなコア粒子71の表面へのシロキサン系化合物72の導入方法によれば、シロキサン結合含有物質とカップリング剤とをあらかじめ反応させて反応物を得た後、この反応物をコア粒子71の表面に反応させるというプロセスを経るので、上述したように、反応物の生成に際してシロキサン結合含有物質とカップリング剤とを反応機会を十分に確保することができるため、反応確率を高めることができる。その結果、反応物の収率を高めることができる。
これに対し、コア粒子にカップリング剤を導入し、改質した後、これにシロキサン結合含有物質を添加し、シロキサン結合含有物質とカップリング剤とを反応させるというプロセスを経る場合、コア粒子に導入されたカップリング剤の反応性官能基とシロキサン結合含有物質の反応性官能基との反応頻度を制御することが難しく、このため、シロキサン系化合物72の導入量を厳密に調整することができない。特に、シロキサン結合含有物質は、長鎖でかつ直鎖状の分子構造を有しているため、反応性官能基が他の官能基と反応する確率が低くなる傾向があり、この確率低下を補うためには、コア粒子に対してできるだけ多くのカップリング剤をあらかじめ導入しておく必要がある。その結果、多量のカップリング剤によってコア粒子由来の帯電特性が打ち消されることとなる。したがって、シロキサン系化合物を導入しただけでは、分散性と帯電特性との両立を十分に図ることができない。
一方、本実施形態では、あらかじめシロキサン結合含有物質とカップリング剤とを確実に反応させておくことにより、得られた反応物は、コア粒子71に対してその導入量を制御し易いものとなる。これは、カップリング剤由来の加水分解性基が多官能であるため、コア粒子71の表面との反応確率を高め易いことが要因の1つであると考えられ、それゆえ、導入すべきシロキサン系化合物72の量に応じた量の反応物をコア粒子71の表面に対して反応させることにより、コア粒子71に導入されるシロキサン系化合物72の量を厳密に調整し易いからである。
以上、コア粒子71の表面へのシロキサン系化合物72の導入方法について説明した。
(コア粒子表面への分極基の導入)
以下、コア粒子71の表面への分極基73の導入方法について説明する。
−方法[A]−
以下、方法[A]、すなわち、分極基73を有するカップリング剤73Aを合成した後にそのカップリング剤73Aとコア粒子71の表面との反応により分極基73をコア粒子71の表面に導入する方法について説明する。
[A1]
まず、分極基73を有するカップリング剤73Aを合成する。
具体的には、分極基73の一部(置換基が結合した環状構造の部分)を含む環状構造含有物質と、分極基73の残部(スペーサー部)を含むカップリング剤とを反応させる。これにより、分極基73の構造を有するカップリング剤73Aが反応物として得られる。また、この反応は、環状構造含有物質が含む反応性官能基とカップリング剤が含む反応性官能基とを反応させるものである。これにより、環状構造含有物質がカップリング剤で改質され、得られた反応物の一方の末端には、カップリング剤由来の加水分解性基が位置することとなる。
環状構造含有物質とカップリング剤との反応には、例えば反応性官能基を含む環状構造含有物質に対して反応性官能基を含むカップリング剤を十分な量加えることにより行うことができる。これにより、環状構造含有物質とカップリング剤との反応確率を高めることができ、反応物の収率を特に高めることができる。
環状構造含有物質としては、前述した置換基(電子吸引性基または電子供与性基)が結合した環状構造の部分と、カップリング剤と反応し得る反応性官能基とを有するものであれば、いかなるものでもよい。かかる反応性官能基としては、例えば、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、カルビノール基、酸塩化物等の反応性官能基を含むものであれば、いかなるものでもよい。反応性官能基としてカルボキシル基を有する環状構造含有物質の具体例としては、例えば、下記式(a−1)〜(a−7)で表されるカルボン酸が挙げられる。
Figure 0006326856
一方、分極基73の残部(スペーサー部)を含むカップリング剤としては、例えば、アミノ基、エポキシ基、スルフィド基、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基等の反応性官能基を含むものであれば、いかなるものでもよい。具体的には、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
また、カップリング剤は、上述した反応性官能基のうちの2種以上を含むものであってもよい。
また、カップリング剤の添加量は、環状構造含有物質中の反応性官能基に対して1当量以上の反応性官能基を含む量に設定されるのが好ましく、1.5当量以上の反応性官能基を含む量に設定されるのがより好ましい。
図13(a)に、環状構造含有物質として芳香族カルボン酸を用い、カップリング剤としてシランカップリング剤を用いた場合の例を示す。
[A2]
次いで、前述した工程[A1]で得られた反応物(分極基73を有するカップリング剤73A)を含む液体中にコア粒子71を添加する。これにより、その反応物中のカップリング剤由来の加水分解性基とコア粒子71の表面の官能基とが反応する。その結果、コア粒子71の表面に分極基73を導入することができる。
以上説明したようなコア粒子71の表面への分極基73の導入方法[A]では、工程[A2]を、前述したコア粒子71の表面へのシロキサン系化合物72の導入方法における工程[2]の前、工程[2]と同時または工程[2]の後において行うことができる。
すなわち、工程[A2]を工程[2]の前に行うことにより、図10(a)に示す電気泳動粒子70の製造方法<a>を実現することができる。また、工程[A2]を工程[2]の後に行うことにより、図10(b)に示す電気泳動粒子70の製造方法<b>を実現することができる。また、工程[A2]を工程[2]と同時に行うことにより、図10(c)に示す電気泳動粒子70の製造方法<c>を実現することができる。
−方法[B]−
次に、方法[B]、すなわち、コア粒子71の表面に分極基73の一部を含むカップリング剤を導入した後にそのカップリング剤と分極基73の残部を有する化合物との反応により分極基73を形成する方法について説明する。
[B1]
まず、分極基73の一部の構造(スペーサー部)を含むカップリング剤732Aを含む液体中にコア粒子71を添加する。これにより、そのカップリング剤の加水分解性基とコア粒子71の表面の官能基とが反応する。その結果、コア粒子71の表面に分極基73の一部の構造732を導入することができる。
分極基73の一部(スペーサー部)を含むカップリング剤732Aとしては、前述した方法[A]の工程[A1]のカップリング剤と同様であり、例えば、アミノ基、エポキシ基、スルフィド基、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基等の反応性官能基を含むものであれば、いかなるものでもよい。具体的には、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
図13(b)に、環状構造含有物質として芳香族カルボン酸を用い、カップリング剤としてシランカップリング剤を用いた場合の例を示す。
[B2]
次いで、コア粒子71の表面に結合した構造732と、分極基73の残部の構造(置換基が結合した環状構造の部分)を含む環状構造含有物質731Aとを反応させる。これにより、コア粒子71の表面に結合した分極基73が得られる。また、この反応は、環状構造含有物質が含む反応性官能基と構造732が含む反応性官能基とを反応させるものである。
また、環状構造含有物質と構造732との反応は、前述した方法[A]の工程[A1]と同様にして行うことができる。
環状構造含有物質としては、前述した方法[A]の工程[A1]における環状構造含有物質と同様であり、前述した置換基(電子吸引性基または電子供与性基)が結合した環状構造の部分と、構造732と反応し得る反応性官能基とを有するものであれば、いかなるものでもよい。
以上説明したようなコア粒子71の表面への分極基73の導入方法[B]では、工程[B1]を、前述したコア粒子71の表面へのシロキサン系化合物72の導入方法における工程[2]の前、工程[2]と同時、工程[2]の後のいずれかにおいて行うことができる。また、工程[B1]を工程[2]の前に行う場合において、工程[B2]を工程[2]の前または後に行うことができる。
すなわち、工程[B1]および[B2]を工程[2]の前に行うことにより、図11(a)に示す電気泳動粒子70の製造方法<d>を実現することができる。また、工程[B1]を工程[2]の前に行い、かつ、工程[B2]を工程[2]の後に行うことにより、図11(b)に示す電気泳動粒子70の製造方法<e>を実現することができる。また、工程[B1]を工程[2]の後に行うことにより、図11(c)に示す電気泳動粒子70の製造方法<f>を実現することができる。また、工程[B1]を工程[2]と同時に行うことにより、図11(d)に示す電気泳動粒子70の製造方法<g>を実現することができる。
≪電子機器≫
以上説明したような表示装置20は、それぞれ、各種電子機器に組み込むことができる。具体的な電子機器としては、例えば、電子ペーパー、電子ブック、テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサー、パーソナルコンピューター、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができる。
これらの電子機器のうちから、電子ペーパーを例に挙げ、具体的に説明する。
図14は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
図14に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような表示装置20で構成されている。
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図15は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。このうち、図15中(a)は断面図、(b)は平面図である。
図15に示すディスプレイ(表示装置)800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図10に示す構成と同様である。
本体部801は、その側部(図15(a)中、右側)に電子ペーパー600を挿入可能な挿入口805が形成され、また、内部に二組の搬送ローラ対802a、802bが設けられている。電子ペーパー600を、挿入口805を介して本体部801内に挿入すると、電子ペーパー600は、搬送ローラ対802a、802bにより挟持された状態で本体部801に設置される。
また、本体部801の表示面側(図15(b)中、紙面手前側)には、矩形状の孔部803が形成され、この孔部803には、透明ガラス板804が嵌め込まれている。これにより、本体部801の外部から、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を視認することができる。すなわち、このディスプレイ800では、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。
また、電子ペーパー600の挿入方向先端部(図15(a)中、左側)には、端子部806が設けられており、本体部801の内部には、電子ペーパー600を本体部801に設置した状態で端子部806が接続されるソケット807が設けられている。このソケット807には、コントローラー808と操作部809とが電気的に接続されている。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。これにより、利便性が向上する。
以上、本発明の電気泳動粒子、電気泳動分散液、表示装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.電気泳動粒子の製造
以下のようにして電気泳動粒子を製造した。なお、各参考例、各実施例および各比較例における製造条件をそれぞれ表1に示す。
(参考例1)
[1]まず、丸底フラスコに、下記式(3)で示されるシリコーンオイルと、その中に含まれるシリコーンオイル由来の反応性官能基に対して1当量以上の反応性官能基を含むシランカップリング剤と、トルエンと、を混合し、そこに白金触媒を加えた。混合物を撹拌し、加熱した状態で放置した。次いで、室温に冷却し、減圧下で溶媒を除去し、残存物を乾燥させた。以上のようにして、下記式(4)に示す、変性シリコーンオイルとシランカップリング剤との反応物(シロキサン系化合物の構造を含むカップリング剤)が得られた。
Figure 0006326856
[式(3)中、nは50〜500である。また、Rはアルキル基(ブチル基)である。]
Figure 0006326856
[式(4)中、nは50〜500である。また、Rはアルキル基(ブチル基)である。]
[2]次いで、得られた反応物0.01gと、平均粒径250nmの酸化チタン粒子(石原産業製、「CR−97」)2.0gとを、トルエンに混合し、加熱還流した。その後、トルエンを留去して電気泳動粒子を得た。
(参考例2)
[1]まず、丸底フラスコに、下記式(1)で示される変性シリコーンオイルと、トリエチルアミンと、ジクロロメタンと、を混合し、撹拌した。
Figure 0006326856
[式(1)中、nは50〜300である。また、Rはアルキル基(ブチル基)である。]
[2]次いで、得られた混合物に、4−ペンテノイルクロリドを滴下した。その後、混合物を室温で2時間撹拌した。
[3]ジクロロメタンを留去した後、ヘキサンを加えた。そして、析出した固体を濾別し、液体から溶媒を揮発除去することにより、変性シリコーンオイルと4−ペンテノイルクロリドとの反応物が得られた。
[4]次いで、丸底フラスコに、得られた反応物と、その中に含まれる変性シリコーンオイル由来の反応性官能基に対して1当量以上の反応性官能基を含むシランカップリング剤と、トルエンと、を混合し、そこに白金触媒を加えた。混合物を撹拌し、加熱した状態で放置した。次いで、室温に冷却し、減圧下で溶媒を除去し、残存物を乾燥させた。以上のようにして、下記式(2)に示す、変性シリコーンオイルにグラフト鎖を導入した化合物とシランカップリング剤との反応物が得られた。
Figure 0006326856
[式(2)中、nは50〜300である。また、Rはアルキル基(ブチル基)である。]
[5]次いで、得られた反応物0.05gと、平均粒径250nmの酸化チタン粒子(石原産業製、「CR−97」)2.0gとを、トルエンに混合し、加熱還流した。その後、トルエンを留去して電気泳動粒子を得た。
(参考例3)
まず、丸底フラスコに、下記式(5)で示される変性シリコーンオイル0.08gと、平均粒径250nmの酸化チタン粒子(石原産業製、「CR−97」)2.0gとを、トルエンに混合し、加熱還流した。その後、トルエンを留去して電気泳動粒子を得た。
Figure 0006326856
[式(5)中、nは50〜100である。また、Rはアルキル基(ブチル基)である。]
(参考例4〜7)
コア粒子の表面においてシロキサン系化合物が結合している領域の占有率が表1に示す値になるようにした以外は、それぞれ参考例2と同様にして電気泳動粒子を得た。
(実施例1)
酸化チタン粒子の表面にシロキサン系化合物だけでなく分極基をも導入した以外は、前述した参考例2と同様にして電気泳動粒子を得た。
具体的には、以下のようにして、酸化チタン粒子の表面にシロキサン系化合物および分極基を導入した。
まず、下記式(6)で表されるカルボン酸と、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(シラン系カップリング剤)と、アミド結合を形成させるための縮合剤として1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)と、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)と、無水塩化メチレンとを混合して、アミノ基とカルボン酸とを縮合させた。
Figure 0006326856
次いで、得られた反応物と、前述した参考例1の[4]で得られた反応物0.05gと、平均粒径250nmの酸化チタン粒子(石原産業製、「CR−97」)2.0gとを、トルエンに混合し、加熱還流した。その後、トルエンを留去して電気泳動粒子を得た。
(実施例2〜実施例7)
前記式(6)で表されるカルボン酸に代えて、下記式(7)〜(12)で表されるカルボン酸を用いた以外は、それぞれ、前述した実施例1と同様にして電気泳動粒子を得た。
Figure 0006326856
(比較例1)
まず、丸底フラスコに、エポキシ変性カップリング剤(γ−グリジドキシプロピルトリメトキシシラン)0.3gと、平均粒径250nmの酸化チタン粒子(石原産業製、「CR−97」)3.0gとを、トルエンに混合し、加熱して分散処理を行いながら反応させた。反応終了後、放冷してフラスコの内容物を冷却し、その後、トルエンを留去して電気泳動粒子を得た。
(比較例2)
シランカップリング剤としてメルカプト変性カップリング剤を用いるようにした以外は、比較例1と同様にして電気泳動粒子を得た。
(比較例3)
平均粒径250nmの酸化チタン粒子(石原産業製、「CR−97」)をそのまま電気泳動粒子として用いた。
(比較例4)
酸化チタン粒子の表面に上記式(5)で示される変性シリコーンオイルを過剰量塗布することにより、シリコーンオイルの被膜を形成するようにした以外は、参考例3と同様にして電気泳動粒子を得た。
(比較例5)
酸化チタン粒子の表面に、シロキサン系化合物を導入せずに、分極基のみを導入した以外は、前述した実施例1と同様にして電気泳動粒子を得た。
具体的には、以下のようにして、電気泳動粒子を得た。
<1> まず、平均粒径250nmの酸化チタン粒子(石原産業製、「CR−97」):2.0gと、前記式(6)で表されるカルボン酸とを、トルエンに混合し、攪拌した後、超音波を照射し、加熱攪拌した。これにより、酸化チタン粒子の表面に、前記カルボン酸を吸着させ、トルエンに分散させた。
<2> 次に、この分散液に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(シラン系カップリング剤)を混合し、加熱還流した。その後、トルエンを留去して粉末を得た。
<3> 次に、得られた粉末に、アミド結合を形成させるための縮合剤として1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)と、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)と、無水塩化メチレンとを混合して、アミノ基とカルボン酸とを縮合させた。
<4> 次に、濾別により粉末を回収し、クロロホルムおよび水で洗浄し、加熱して、シロキサンネットワークを完成させた。これにより、目的とする有機基が導入された酸化チタン粒子(以下、「表面修飾粒子」と言う。)を得た。
なお、IR測定により1643cm−1付近に、アミド結合のC=O伸縮振動のピークを確認することにより、アミド結合の生成を確認した。
また、有機基の導入量は、0.8%であり、表面修飾粒子のゼータ電位は、+50.7mVであった。
2.電気泳動粒子の評価
まず、アントラキノンブルー(染料)を溶解したジメチルシリコーンオイルに、各参考例、各実施例および各比較例で得られた電気泳動粒子を10質量%の割合になるよう分散させ、電気泳動分散液を調製した。なお、使用したジメチルシリコーンオイルの誘電率は、約2.72であった。
次いで、この電気泳動分散液を用いて、図1に示すような電気泳動表示装置を製造した。各部の仕様は、以下の通りである。
・基部1および基部2
サイズ :縦50mm×横50mm×厚さ100μm
構成材料 :ポリエチレン
・第1の電極3および第2の電極4(なお、第2の電極は分割されていない。)
サイズ :縦40mm×横40mm×厚さ4μm
構成材料 :ITO
・スペーサー
サイズ :幅5mm×高さ50μm
構成材料 :エポキシ樹脂
なお、比較例2で得られた電気泳動粒子を用いてなる電気泳動分散液には、さらに分散剤を添加した。分散剤の濃度はシリコーンオイルに対して0.4質量%とした。なお、分散剤としては、高分子系分散剤(日本ルーブリゾール社製、ソルスパース18000)を用いた。
2.1 分散性(反射率)の評価
得られた各電気泳動表示装置に、それぞれ第1の電極側に電気泳動粒子を集めるように、所定の電圧を印加した。
その結果、表示面には白色が表示された。この白色表示は酸化チタンに由来するものであり、電気泳動粒子ができるだけ凝集することなく、かつできるだけ均一に分散していることで、反射率の高い良好な白色が表示される。
そこで、白色表示の反射率を測定することで、電気泳動粒子の分散性を評価した。なお、この評価は、以下の評価基準にしたがって行った。
<分散性の評価基準>
○:分散性が良好である(反射率が高い)
△:分散性がやや良好である(反射率がやや高い)
×:分散性が良くない(反射率が低い)
2.2 帯電特性(移動度)の評価
各参考例および各比較例について、得られた各電気泳動表示装置に、それぞれ第1の電極側に電気泳動粒子を集めるように、所定の電圧を印加した。
その結果、表示面には白色が表示された。
次いで、今度は第2の電極側に電気泳動粒子を集めるように、所定の電圧を印加した。これにより、第1の電極側に集まっていた電気泳動粒子は、第2の電極側へと移動する。このとき、所定の距離を移動するのに要した時間を計測することにより、電気泳動粒子の移動度を測定することができる。したがって、移動度を測定することにより、電気泳動粒子の帯電特性を評価した。なお、この評価は、以下の評価基準にしたがって行った。
<帯電特性の評価基準>
○:帯電量が大きい(移動度が大きい)
△:帯電量がやや大きい(移動度がやや大きい)
×:帯電量が小さい(移動度が小さい)
なお、実施例1〜7については、電気泳動粒子のゼータ電位も測定した。
2.3 抵抗率の評価
得られた各電気泳動表示装置の第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加し、電極間の体積抵抗率を測定した。
2.4 表示ムラの評価
各参考例および各比較例について、得られた各電気泳動表示装置の表示ムラを評価した。この評価は、以下の評価基準にしたがって行った。なお、ここでいう「表示ムラ」とは、非白色表示状態から白色表示状態へ移行する際、移行開始後から白色表示が完了するまでのタイムラグに相当するものである。
<表示ムラの評価基準>
◎:表示ムラが非常に少ない(タイムラグが非常に小さい)
○:表示ムラが少ない(タイムラグが小さい)
△:表示ムラが多い(タイムラグが大きい)
×:表示ムラが非常に多い(タイムラグが非常に大きい)
以上の評価結果を表1および表2に示す。
Figure 0006326856
Figure 0006326856
表1から明らかなように、各参考例で得られた電気泳動粒子を用いて製造された電気泳動表示装置では、分散性と帯電特性との両立が図られていた。ここで、各参考例で得られた電気泳動粒子の帯電性は、コア粒子の表面のうち、シロキサン系化合物に覆われずに露出した部分の帯電性によるものと考えられる。
また、各実施例で得られた電気泳動粒子は、各参考例で得られた電気泳動粒子と同等の分散性を発揮することができた。また、各実施例で得られた電気泳動粒子のゼータ電位は、いずれも、酸化チタン粒子のゼータ電位と明らかに異なっていた。さらに、表2に示すように、実施例1〜7で得られた電気泳動粒子は、ゼータ電位が互いに異なり、プラス極性のものとマイナス極性のものとが存在していた。したがって、分極基の導入量および種類によって電気泳動粒子の帯電量や帯電の極性を制御できることがわかる。
なお、酸化チタン粒子に代えて、カーボンブラック粒子を用いた以外は、実施例1〜7と同様にして電気泳動粒子を製造し、ゼータ電位を測定したところ、それぞれ、+15.3mV、−2.5mV、−6.5mV、−4.8mV、−12.1mV、−30.6mV、−7.8mVであった。このことから、母粒子の種類によらず、分極基の導入および分極基の種類によって電気泳動粒子の帯電量や帯電の極性を制御できることがわかる。
一方、比較例4で得られた電気泳動粒子を用いて製造された電気泳動表示装置では、帯電量がほぼゼロであった。このことから、比較例4で得られた電気泳動粒子では、コア粒子の表面がほぼ全面にわたってカップリング剤で覆われ、コア粒子由来の帯電特性が埋没しているものと推察される。
また、比較例3で得られた電気泳動粒子を用いて製造された電気泳動表示装置では、電気泳動粒子の分散性がやや低いという結果が得られた。また、各実施例で得られた電気泳動粒子を用いて製造された電気泳動表示装置と比較して、電極間の体積抵抗率が4桁以上小さく、比較的大きなリーク電流が生じるという結果が得られた。これは、電気泳動分散液中に添加された分散剤が影響しているものと思われる。
また、比較例1、2で得られた電気泳動粒子では、帯電量が小さく、また、表示ムラが多いという結果が得られた。
また、比較例5で得られた電気泳動粒子は、帯電特性に優れるものの、各参考例および各実施例で得られた電気泳動粒子に比し、分散性が劣っていた。
1‥‥基部 2‥‥基部 3‥‥第1の電極 4‥‥第2の電極 5‥‥封止部 7‥‥分散媒 11‥‥基板 12‥‥基板 20‥‥表示装置 21‥‥表示シート 22‥‥回路基板 40‥‥マイクロカプセル 41‥‥バインダー 70‥‥電気泳動粒子 71‥‥コア粒子 72‥‥シロキサン系化合物 73‥‥分極基 73A‥‥カップリング剤 91‥‥壁部 92‥‥壁部 100‥‥分散液 101‥‥空間 111‥‥表示面 400‥‥表示層 401‥‥カプセル本体 600‥‥電子ペーパー 601‥‥本体 602‥‥表示ユニット 721‥‥カップリング剤由来の構造 722‥‥シリコーンオイル由来の構造 731A‥‥環状構造含有物質 732‥‥分極基の一部の構造 732A‥‥カップリング剤 800‥‥ディスプレイ 801‥‥本体部 802a、802b‥‥搬送ローラ対 803‥‥孔部 804‥‥透明ガラス板 805‥‥挿入口 806‥‥端子部 807‥‥ソケット 808‥‥コントローラー 809‥‥操作部

Claims (19)

  1. 母粒子と、
    前記母粒子の表面に結合し、複数のシロキサン結合が直列に連結されている連結構造を含むシロキサン系化合物と、
    前記母粒子の表面に結合した有機基と、を有し、
    前記有機基は、主骨格と該主骨格に結合した置換基とを有し、前記主骨格の前記母粒子側またはその反対側に電子が偏在しており、
    前記有機基の分子量は、前記シロキサン系化合物の分子量よりも小さいことを特徴とする電気泳動粒子。
  2. 前記母粒子の表面における前記シロキサン系化合物が結合している領域の占有率は、0.05%以上20%以下である請求項1に記載の電気泳動粒子。
  3. 前記シロキサン系化合物および前記有機基の合計含有量は、前記母粒子100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下である請求項1または2に記載の電気泳動粒子。
  4. 前記母粒子の表面における前記有機基が結合している領域の占有率は、前記母粒子の表面における前記シロキサン系化合物が結合している領域の占有率よりも小さい請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  5. 前記シロキサン系化合物は、前記連結構造を含む主鎖と前記主鎖に結合している側鎖とで構成されている直鎖状の分子構造を有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  6. 前記シロキサン系化合物は、前記母粒子の表面に結合したカップリング剤由来の構造を有し、
    前記連結構造は、前記カップリング剤由来の構造を介して前記母粒子の表面に連結されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  7. 前記シロキサン系化合物は、前記母粒子の表面に結合した炭化水素構造を有し、
    前記連結構造は、前記炭化水素構造を介して前記母粒子の表面に連結されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  8. 前記シロキサン系化合物の重量平均分子量は、1000以上10万以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  9. 前記有機基が有する前記主骨格は、π電子が非局在化した部分を有する請求項1ないしのいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  10. 前記π電子が非局在化した部分は、その少なくとも一部に環状をなす環状構造を有する請求項に記載の電気泳動粒子。
  11. 前記環状構造は、前記主骨格の前記母粒子と反対側の端部に位置し、
    前記置換基は、前記環状構造に結合している請求項10に記載の電気泳動粒子。
  12. 前記置換基は、電気吸引性基または電子供与性基である請求項11に記載の電気泳動粒子。
  13. 前記主骨格は、前記母粒子と前記環状構造との間に位置するスペーサーとして機能する部分を有する請求項10ないし12のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  14. 前記有機基は、前記母粒子の表面に結合したカップリング剤由来の構造を有し、
    前記環状構造は、前記カップリング剤由来の構造を介して前記母粒子の表面に連結されている請求項10ないし12のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  15. 請求項1ないし14のいずれか1項に記載の電気泳動粒子と、
    前記電気泳動粒子を分散させる分散媒と、を有することを特徴とする電気泳動分散液。
  16. 前記分散媒の比誘電率は、1.5以上3以下である請求項15に記載の電気泳動分散液。
  17. 第1電極が設けられた第1基板と、
    前記第1基板に対向配置され、第2電極が設けられた第2基板と、
    前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、請求項15または16に記載の電気泳動分散液を含む表示層と、を有することを特徴とする表示シート。
  18. 請求項17に記載の表示シートを備えることを特徴とする表示装置。
  19. 請求項18に記載の表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
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