JP2008153550A - 半導体装置、半導体装置の製造方法、電気光学装置および電子機器 - Google Patents

半導体装置、半導体装置の製造方法、電気光学装置および電子機器 Download PDF

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武富 上川
Kiyoshi Nakamura
潔 中村
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【課題】製造が容易で、フレキシブル化に有利な両極性型の半導体装置およびその製造方法ならびにそれを備える電気光学装置および電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の半導体装置1は、基板8と、基板8の一方の面側に設けられ、導電体として機能するソース部3およびドレイン部4と、ソース部3およびドレイン部4との間に一体的に形成され、半導体として機能するチャネル部5とを備え、無機材料を主材料として構成された無機物層2と、無機物層2と接して設けられ、チャネル部5の極性と異なる極性を有し、有機半導体材料を主材料として構成された有機半導体層9と、無機物層2と接しないで設けられ、チャネル部5に電界を付与するゲート部7と、無機物層2とゲート部7との間に設けられ、ゲート部7に対してソース部3およびドレイン部4を絶縁するゲート絶縁層6とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置、半導体装置の製造方法、電気光学装置および電子機器に関するものである。
トランジスタなどの半導体装置は、テレビなどの電子機器に広く一般に用いられている。現在まで、半導体装置に用いられる半導体材料は数多く知られており、酸化亜鉛などの無機材料で構成した半導体膜が知られている。これらの材料は半導体であるため、導電性を要求される電極として用いることはできない。したがって、半導体装置では、一般に、電極に金属材料や透明導電性酸化物を用い、半導体材料として前記材料が用いられている。しかしながら、半導体層と電極に別異の材料を用いると、材料同士のマッチングを考慮する必要があることや製造工程が多工程にわたるという点が問題となっている。
一方で、半導体の応用においては、pn接合は基本かつ重要な事項であるため、pn接合に関して種々の検討がなされている。例えば、特許文献1では、酸化亜鉛などのn型半導体層と無機p型半導体層が積層されている半導体積層薄膜を有する薄膜トランジスタが検討されている。しかしながら、かかるトランジスタは、気相成膜法により半導体層や電極などを一層ずつ順次積層したものであるため、製造工程が多工程にわたるなど、製造に時間を要するといった問題や、フレキシブル化にとって不利であるという問題などを有している。
特開2000−228516号公報
本発明の目的は、製造が容易で、フレキシブル化に有利な両極性型の半導体装置およびその製造方法ならびにそれを備える電気光学装置および電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明に係る半導体装置は、基板と、
該基板の一方の面側に設けられ、導電体として機能するソース部およびドレイン部と、該ソース部およびドレイン部との間に一体的に形成され、半導体として機能するチャネル部とを備え、無機材料を主材料として構成された無機物層と、
前記無機物層と接して設けられ、前記チャネル部の極性と異なる極性を有し、有機半導体材料を主材料として構成された有機半導体層と、
前記無機物層と接しないで設けられ、前記チャネル部に電界を付与するゲート部と、
前記無機物層と前記ゲート部との間に設けられ、該ゲート部に対して前記ソース部およびドレイン部を絶縁するゲート絶縁層とを有することを特徴とする。
これにより、電極材料および半導体材料同士のマッチングを考慮する必要がない、ソース部、ドレイン部およびチャネル部が一体形成された無機物層と、有機半導体層とを有する両極性の半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体装置では、前記無機物層は、透明酸化物系材料を主材料として構成され、
前記チャネル部の平均厚さを前記ソース部および前記ドレイン部の平均厚さより小さく設定すること、および/または前記チャネル部における酸素原子の含有量を前記ソース部および前記ドレイン部における酸素原子の含有量より大きく設定することにより、前記ソース部および前記ドレイン部が導電体として機能し、前記チャネル部が半導体として機能するよう構成されていることが好ましい。
これにより、チャネル部に半導体特性が顕著に得られ、ソース部、ドレイン部およびチャネル部が一体形成された無機物層と、有機半導体層とを有する両極性の半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体装置では、前記透明酸化物系材料は、インジウム亜鉛複合酸化物およびインジウムスズ複合酸化物のうちの少なくとも一方を主成分とする材料であることが好ましい。
これにより、電極材料および半導体材料同士のマッチングを考慮する必要がない、より優れた特性を有する、ソース部、ドレイン部およびチャネル部が無機物層に一体形成された両極性の半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体装置では、前記ソース部またはドレイン部の平均厚さをA[nm]とし、前記チャネル部の平均厚さをB[nm]としたとき、A/Bが2.5〜4000であることが好ましい。
これにより、チャネル部により適切に半導体特性が得られ、ソース部、ドレイン部およびチャネル部が一体形成された無機物層と、有機半導体層とを有する両極性の半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体装置では、前記ソース部およびドレイン部は、その平均厚さが50nm以上であることが好ましい。
これにより、ソース部およびドレイン部が導電性を顕著に示し、優れた特性を有する、ソース部、ドレイン部およびチャネル部が一体形成された無機物層と、有機半導体層とを有する両極性の半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体装置では、前記チャネル部は、その平均厚さが0.5〜20nmであることが好ましい。
これにより、チャネル部に確実に半導体特性が顕著に得られ、ソース部、ドレイン部およびチャネル部が一体形成された無機物層と、有機半導体層とを有する両極性の半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体装置では、前記有機半導体材料は、チオフェン環骨格およびアリール骨格を有する化合物であることが好ましい。
これにより、p型半導体特性に優れた半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体装置では、前記有機半導体材料は、その炭素数が20〜50であることが好ましい。
これにより、よりp型半導体特性に優れた半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体装置では、前記有機半導体材料は、チオフェン環骨格を1〜4個有することが好ましい。
これにより、より一層p型半導体特性に優れた装置を得ることができる。
本発明の半導体装置では、前記有機半導体材料は、発光特性を有する材料であることが好ましい。
これにより、発光特性に優れた、ソース部、ドレイン部およびチャネル部が一体形成された無機物層と、有機半導体層とを有する両極性の半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体装置では、前記有機半導体層中の前記有機半導体材料の含有量は、50〜100wt%であることが好ましい。
これにより、より一層p型半導体特性に優れた半導体装置を得ることができる。
本発明に係る半導体装置の製造方法は、
前記基板の一方の面側に、前記ソース部に対応する第1の開口部と、前記ドレイン部に対応する第2の開口部とを備えるマスクを配置する第1の工程と、
該マスクの前記基板と反対側から、前記無機材料を供給して成膜し、前記無機物層を形成する第2の工程と、
前記有機半導体材料を供給して成膜し、前記有機半導体層を形成する第3の工程とを有し、
前記第2の工程において、前記ソース部およびドレイン部を形成するとともに、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを仕切る仕切り部で覆われた直下の領域に前記無機材料を回り込ませ、前記ソース部およびドレイン部と一体的に前記チャネル部を形成して、前記無機物層を得ることを特徴とする。
これにより、無機材料の回り込みによる薄い無機物層、すなわちチャネル部が得られ、電極材料および半導体材料同士のマッチングを考慮する必要がない、ソース部、ドレイン部およびチャネル部が一体形成された無機物層と、有機半導体層とを有する両極性の半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体装置の製造方法では、前記仕切り部は、その前記基板側の部分が丸みを帯びていることが好ましい。
これにより、より確実に無機材料の回り込みによる薄い無機物層が得られ、ソース部、ドレイン部およびチャネル部が一体形成された無機物層と、有機半導体層とを有する両極性の半導体装置を得ることができる。
本発明に係る電気光学装置は、本発明の半導体装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電気光学装置を得ることができる。
本発明に係る電子機器は、本発明の電気光学装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器を得ることができる。
以下、本発明の半導体装置、半導体装置の製造方法、電気光学装置および電子機器について、図を用いて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の半導体装置1およびその製造方法の第1実施形態について説明する。
(1)半導体装置
図1は、本発明の一実施形態を示した図で、半導体装置1の概略縦断面図を示している。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」として説明する。
図1に示した半導体装置1は、ソース部3、ドレイン部4およびチャネル部5が一体形成された無機物層2と、ゲート絶縁層6、ゲート部7と、基板8と、有機半導体層9とで構成されている。
以下、各部の構成について、順次説明する。
無機物層2は、基板8の一方の面側に設けられ、無機材料(好ましくは透明酸化物系材料)を主材料として構成されている。以下では、無機物層2が透明酸化物系材料を主材料として構成される場合を代表に説明する。
この無機物層2は、その膜厚が中央部より両端部(図1中、左右両端部)において大きくなっている。この膜厚(平均厚さ)の違いにより、無機物層2は、その両端部がそれぞれ導電体として機能するソース部3およびドレイン部4を構成し、中央部が半導体として機能するチャネル部5を構成している。
ここで、本発明者は、一般に電極材料(導電性材料)として用いられる透明酸化物系材料について鋭意研究を重ねた結果、この透明酸化物系材料で構成される層は、その厚さが小さくなるにしたがって、半導体的性質を示すようになることが判った。
このような構成により、ソース部3およびドレイン部4と、チャネル部5との間におけるキャリア(電子や正孔)の受け渡しが円滑になされ、特性に優れる半導体装置1を得ることができる。
このように、チャネル部5は、ソース部3およびドレイン部4の平均厚さよりも小さい平均厚さとなっている。
ソース部3およびドレイン部4の平均厚さとチャネル部5の平均厚さの関係は、ソース部3およびドレイン部4の平均厚さをA[nm]とし、チャネル部5の平均厚さをB[nm]としたときに、A/Bが2.5〜4000であることが好ましく、5〜2000であることがより好ましい。これにより、優れた半導体特性を有するチャネル部5と、ソース部3およびドレイン部4とが同時に無機物層2に一体形成された半導体装置1を得ることができる。
ソース部3およびドレイン部4の平均厚さの具体的な値は、50nm〜2000nmであるのが好ましく、50〜1000nmであるのがより好ましい。これにより、無機材料が導電性を顕著に示すようになり、電極として用いることができる。
ソース部3およびドレイン部4は、その離間距離が、0.1〜100μmであることが好ましく、0.5〜50μmであることがより好ましい。これにより、効率的にキャリアが流れ、優れた特性を有する半導体装置1を得ることができる。
チャネル部5は、ソース部3およびドレイン部4との間に一体的に形成され、ソース部3およびドレイン部4の平均厚さより小さい平均厚さである。
チャネル部5の平均厚さの具体的な値は、0.5〜20nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましく、1〜5nmであることが最も好ましい。これにより、優れた半導体特性を有するチャネル部5を得ることができる。
また、チャネル部5の厚さは、図1に示すように、ソース部3およびドレイン部4間(ソース部3またはドレイン部4のいずれか一方から他方へ向かう方向)の中央部に向かって減少していることが好ましい。これにより、より確実に、優れた半導体特性を有するがチャネル部5と、ソース部3およびドレイン部4とが一体形成された半導体装置1を得ることができる。
さらに、チャネル部5は、図1に示すように、その基板8と反対側の面が湾曲凹面を構成していることが好ましい。これにより、より一層確実に、優れた半導体特性を有するがチャネル部5と、ソース部3およびドレイン部4とが一体形成された半導体装置1を得ることができる。
また、透明酸化物系材料を主材料として構成される無機物層2は、チャネル部5における酸素原子の含有量をソース部3およびドレイン部4における酸素原子の含有量より大きく設定することによっても、ソース部3およびドレイン部4を導電体として機能させ、チャネル部5を半導体として機能させるようにすることもできる。
チャネル部5において酸素原子の含有量を増大させる方法としては、例えば、酸素ガスを含む雰囲気または溶液中で、無機物層2の所定の領域に、選択的に電界を励起したり、加熱することにより、酸素原子を注入する方法を用いることができる。
電界励起の方法としては、例えば、無機物層2を陽極、原子間力顕微鏡または走査型トンネル顕微鏡の指針を陰極として、陰極に負のバイアスを印加する方法を用いることができる。また、加熱の方法としては、例えば、レーザー光を照射する方法が挙げられる。
また、チャネル部5の平均厚さをソース部3およびドレイン部4の平均厚さより小さく設定するとともに、チャネル部5における酸素原子の含有量をソース部3およびドレイン部4における酸素原子の含有量より大きく設定して、チャネル部5を半導体として機能させることもできる。このように、無機物層2に2種類の設定を施すことで、確実にチャネル部5を半導体として機能させることができる。
透明酸化物系材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化タンタル、チタン酸ストロンチウム、酸化ニオブ、チタン酸バリウムなどの金属酸化物、インジウムスズ複合酸化物(以下、「ITO」と略す。)、インジウム亜鉛複合酸化物(以下、「IZO」と略す。)、アルミニウム亜鉛複合酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛複合酸化物(GZO)などの金属複合酸化物などが挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらのうち、金属複合酸化物が好ましく、インジウムを含む複合酸化物がより好ましく、ITOおよびIZOが最も好ましい。これらのものは、優れたn型半導体特性を有するという点から好ましい。また、透明性が高い材料でもあるため、透明性の高い半導体装置1を構築することができる。
なお、無機物層2を構成する無機材料には、透明酸化物系材料の他、例えば、Si、Geまたはこれらを含む化合物半導体のような半導体材料、Cr、Al 、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co、Sn、Zn、Gaまたはこれらを含む合金のような金属材料等を用いることもできる。
無機物層2を半導体材料を主材料として構成する場合、予め、ホウ素やアルミニウム等の不純物を混合した半導体材料を用いて、無機物層2を形成し、その後、無機物層2の所定の領域から選択的に不純物を離脱させることにより、半導体としての機能を発現させ、チャネル部5を形成することができる。
この不純物離脱方法としては、例えば、真空(減圧)雰囲気または還元雰囲気中で無機物層2にレーザー光を照射する方法が挙げられる。
また、これとは逆に、半導体材料を用いて無機物層2を形成し、その後、無機物層2の所定の領域に選択的に、ホウ素イオンやリンイオン等の不純物イオンを注入することにより、導電体としての機能を発現させ、ソース部3およびドレイン部4を形成するようにしてもよい。
一方、無機物層2を金属材料を主材料として構成する場合、金属材料を用いて無機物層2を形成し、その後、前述したのと同様に、無機物層2の所定の領域に選択的に、酸素原子を注入することにより、半導体としての機能を発現させ、チャネル部5を形成することもできる。
この場合、金属材料として、例えばCu、Cu−Al合金やSr−Cu合金を用いることにより、チャネル部5には、p型の半導体特性が発現する。
また、ソース部3、ドレイン部4およびチャネル部5は、前記同一の化合物で構成されていても別異の化合物で構成されていてもよいが、同一の化合物であることが好ましい。これにより、簡便に半導体装置1を得ることができる。
このような無機物層2は、図1に示すように、基板8と反対側の面(有機半導体層9に接する面)が連続面を構成していることが好ましい。これにより、ソース部3およびドレイン部4とチャネル部5との境界に段差部が形成されないので、この段差部に後述する有機半導体層9が接触することにより、当該部分から有機半導体層9に劣化が生じることを好適に防止することができる。なお、連続面であれば、その形状は特に問わない。
ゲート絶縁層6は、後述するゲート部7に対してソース部3およびドレイン部4を絶縁するためのものであり、無機物層2とゲート部7との間に、これらの双方に接して設けられている。
かかるゲート絶縁層6は、絶縁性の材料で構成されており、公知の材料であれば、種類は特に限定されず、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化コバルト、ジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸鉛、酸化チタン、酸化タンタル等の無機酸化物ならびに窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、窒化セリウム、窒化亜鉛、窒化コバルト、窒化チタン、窒化タンタル等の無機窒化物などの無機材料、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルフェノール等の有機材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このうち、特に、無機酸化物が好ましく、酸化ケイ素がより好ましい。これにより、より絶縁性を高めることができる。
ゲート絶縁層6の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであるのが好ましく、100〜500nmであるのがより好ましい。これにより、半導体装置1の動作電圧を低くすることができる。
ゲート部7は、チャネル部5に電界を付与するためのものであり、ゲート絶縁層6と基板8との間に、これらの双方に接して設けられている。すなわち、ゲート部7は、無機物層と接しないで(離間して)設けられている。
かかるゲート部7は、導電性の材料で構成されており、公知のいずれの材料を用いるこ
とができる。例えば、無機物層2で説明した材料と同様のものやCr、Al 、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co、Zn、Sn、Gaまたはこれらを含む合金のような金属材料、およびそれらの酸化物を用いることができる。
ゲート部7の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜2000nm程度であるのが好ましく、1〜1000nm程度であるのがより好ましい。
基板8は、半導体装置1を構成する各層(各部)を支持するものである。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)ポリイミド(PI)等で構成されるプラスチック基板(樹脂基板)、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、金属基板、ガリウム砒素基板等を用いることができる。
半導体装置1に可撓性を付与する場合には、基板8には、プラスチック基板、あるいは、薄い(比較的膜厚の小さい)金属基板が選択される。
有機半導体層9は、無機物層2と接して設けられ、有機半導体材料を主材料として構成されている。そして、有機半導体層9は、チャネル部5と極性が異なる極性を有している。このような構成により、異なる極性を有する両極性型の半導体装置1を得ることができる。また、このような半導体装置1は、フレキシブル化にも有利である。
有機半導体層9を構成する有機半導体材料としては、半導体特性を示せば特に限定されず、例えば、2,5-ビス(5'-ビフェニル-2'-チエニル)-チオフェン(以下、「BPT3」と略す。)、2,5-[2,2'-(5,5'-ジフェニル)ジチエニル]-チオフェンなどのチオフェン環骨格およびアリール環骨格を有する化合物、テトラセン、1,3,5−トリス[(3−フェニル−6−トリ−フルオロメチル)キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ1)、1,3,5−トリス[{3−(4−t−ブチルフェニル)−6−トリスフルオロメチル}キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ2)のようなアリール環骨格を有する化合物、フタロシアニン、銅フタロシアニン(CuPc)、鉄フタロシアニンのようなフタロシアニン系化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリノレート)アルミニウム(Alq3)、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)のような有機金属化合物や、オキサジアゾール系高分子、トリアゾール系高分子、カルバゾール系高分子、フルオレン系高分子のような高分子系化合物のものが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、これらのものは、いずれもp型の半導体特性に優れる材料である。
前述したようなものの中でも、チオフェン環骨格及びアリール骨格を有する化合物が好ましく、チオフェン環骨格を1〜4個有するのがより好ましく、BPT3が最も好ましい。かかる有機半導体材料で有機半導体層9を構成することにより、半導体装置1の駆動電圧をより確実に低減することができる。これは、π共役系構造の特有な電子雲の広がりにより、キャリアの移動能を特に高くすることができるからである。
また、有機半導体材料は、その炭素数が20〜50であるのが好ましい。これにより、半導体装置1の駆動電圧をさらに確実に低減することができる。
さらに、有機半導体材料は、発光特性を有する材料であることが好ましい。これにより、半導体装置1が発光し、発光トランジスタなどに好ましく用いられる。なお、BPT3はそれ自体が発光特性を有する。
また、発光特性を発現させるためには、有機半導体材料に発光特性を有する別の化合物を材料として有機半導体層9に含有させてもよい。
このような有機半導体材料の有機半導体層9中の含有量は、50〜100wt%が好ましく、70〜100wt%がより好ましい。したがって、有機半導体材料を主材料とすれば、半導体特性に影響を与えない限り、他にどのような化合物、材料を有機半導体層9中に含んでいてもよい。有機半導体材料の含有量がこのような範囲であることにより、確実にp型の半導体特性が得られ、両極性型の半導体装置1を得ることができる。
なお、n型の半導体特性を有する有機半導体材料としては、例えば、フラーレンや全フッ素化フタロシアニンなどが挙げられる。
有機半導体層9の平均厚さは、0.1〜1000nmであるのが好ましく、1〜500nmであるのがより好ましく、10〜200nmであるのがさらに好ましい。これにより、顕著に半導体特性を示すことができる。また、チャネル部5の平均厚さよりも厚くする方が、両極性を示す半導体装置1を得ることができる。
このような半導体装置1は、両極性の半導体特性を有するため、ゲート部7に印加する電圧を正とするか負とするかによって、チャネル部5および有機半導体層9のいずれか一方にキャリアが流れる。
例えば、チャネル部5をn型とし、有機半導体層9をp型とした場合、ドレイン部4の電位がソース部3の電位に対して正となるように、ソース部3とドレイン部4との間に電圧を印加した状態で、ゲート部7に印加する電圧の値を変化させると、ゲート部7に印加する電圧の値が負の領域では、半導体装置1がp型の動作をし、正の値のドレイン電流が観察され、ゲート部7に印加する電圧の値が0またはその近傍において、ドレイン電流の値がほぼ0となり、ゲート部7に印加する電圧の値が正の領域では、半導体装置1がn型の動作をして、再度、正の値のドレイン電流が観察される。
一方、ドレイン部4の電位がソース部3の電位に対して負となるように、ソース部3とドレイン部4との間に電圧を印加した状態で、同様にゲート部7に印加する電圧の値を変化させると、負の領域で値が変動するドレイン電流が観察される。なお、この場合も、ゲート部7に印加する電圧の値が負の領域では、半導体装置1はp型の動作をし、ゲート部7に印加する電圧の値が正の領域では、半導体装置1はn型の動作をする。
このように、ゲート部7に印加する電圧の値が負の領域では、半導体装置1はp型の動作をする。したがって、このとき、チャネル部5は、ゲート絶縁層6とともに絶縁体(誘電体)として機能することとなる。かかる観点、すなわち、未使用時のチャネル部5に絶縁体としての機能を発揮させる観点からも、チャネル部5の平均厚さは、前述した範囲とするのが好ましい。
このような半導体装置1は、例えば、薄膜トランジスタ、透明トランジスタ、電界効果型透明トランジスタ(透明FET)、電界効果型有機発光トランジスタ(有機発光FET)、静電誘導トランジスタなどのトランジスタ、集積トランジスタなどに好ましく用いられる。
(2)半導体装置の製造方法
次に、本発明の半導体製造装置1の製造方法について説明する。前記説明した半導体装置1は、例えば、次のような方法で製造することができる。
図1に示す半導体装置1の製造方法は、基板8上にゲート部7を形成する工程[A1]と、ゲート部7上にゲート絶縁層6を形成する工程[A2]と、ゲート絶縁層6上に無機物層2を形成する工程[A3]、無機物層2上に有機半導体層9を形成する工程[A4]とを有している。
[A1]ゲート部形成工程
まず、基板8上に、ITOなどの透明酸化物を積層する。
これは、例えば、スパッタリング法などの真空成膜法、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、シート材の接合等により形成することができる。
また、ITOなどの透明酸化物膜付の基板を用いてもよい。
[A2]ゲート絶縁層形成工程
次に、ゲート部7上に、酸化ケイ素などの絶縁性の材料を積層する。
ゲート絶縁層6を無機材料で構成する場合、ゲート絶縁層6は、例えば、熱酸化法、CVD法、SOG法により形成することができる。また、原材料にポリシラザンを用いることにより、ゲート絶縁層6として、シリカ膜、窒化珪素膜を湿式プロセスで成膜することが可能となる。
ゲート絶縁層6を有機材料で構成する場合、ゲート絶縁層6は、有機材料またはその前駆体を含む液体材料を、ゲート部7上を覆うように塗布した後、必要に応じて、この塗膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、超音波の付与等)を施すことにより形成することができる。有機材料またはその前駆体を含む液体材料を、ゲート部7上へ塗布する方法としては、スピンコート法やディップコート法のような塗布法、インクジェット法やスクリーン法などの印刷法等を用いることができる。
[A3]無機物層形成工程
次に、ゲート絶縁層6上に、無機材料を主材料として構成する無機物層2を形成する。本工程は、本発明の特徴部分であるため、以下図を用いて詳細に説明する。
(a)第1の工程
本工程は、前記基板8の一方の面側に、前記ソース部3に対応する第1の開口部12aと、前記ドレイン部4に対応する第2の開口部12bとを備えるマスク10を配置する工程である。
ここで、本発明において用いられるマスク10の構造を図2に示す。
図2に示すマスク10は、開口部12を備える板状体(マスク本体)11と、開口部112を横断するように設けられた棒状体13とを有する。
また、板状体11は、その開口部12の縁部の対向する位置に一対の凹部14が形成されている。各凹部14に、それぞれ棒状体13の両端部が収納され、これにより棒状体13が板状体11に装着されている。
そして、棒状体13により開口部12が2つの開口部12a、12bに仕切られている。すなわち、棒状体13の開口部12に露出する部分が、開口部12を開口部12aと開口部12bとに仕切る仕切り部を構成する。
このようなマスク10を用い、成膜時の諸条件を設定することにより、開口部12a、12bに対応する位置に、ソース部3およびドレイン部4を形成するとともに、棒状体13(仕切り部)の直下の領域に、無機物層2を形成する際に無機材料(膜材料)の回りこみ効果により、極薄のチャネル部5を形成することができる。
板状体11の材料は、例えば、アルミニウムなどの金属やシリコンなどが挙げられ、好ましくは金属が用いられる。
板状体11は、直方体状をなし、その大きさは、マスクする部分の大きさによって異なるが、例えば、縦L10〜50mm、横W10〜50mm、厚さH0.5〜5mmとするのが好ましい。これにより、ゲート絶縁層6やゲート部7を適切にマスクできる。
開口部12は、平面視でほぼ正方形または長方形をなしており、棒状体13で仕切られることにより、開口部12aおよび12bの形状は、それぞれ長方形をなしている。これにより、利便性に優れた形状の無機物層2を形成することができる。
開口部12aおよび12bの大きさは、形成すべきソース部3およびドレイン部4の大きさに応じて設定され、特に限定されないが、例えば、長さl1〜30mm、幅w1〜30mmとするのが好ましい。これにより、ゲート絶縁層6上に適切に無機物層2が積層される。
開口部12aおよび12bの位置は、板状体11の中心部にあるのが好ましい。これにより、適切にマスクすることができる。
棒状体13の材料は、例えば、アルミニウムなどの金属やシリコンなどが挙げられる。板状体11と同じ材料が好ましく、金属がより好ましい。これにより、板状体11と棒状体13との熱膨張係数の差による歪み等を防止して、棒状体13の直下の領域に、効率的に無機材料の回り込み効果を発現させることができる。
棒状体13の形状は、棒状体13の基板8側の部分が丸みを帯びた形状が好ましく、円柱状であることがより好ましい。これにより、棒状体13の直下の領域に、効率的に無機材料の回り込み効果を発現させ、チャネル部5を形成させることができる。
棒状体13の幅(直径)rは、ソース部3とドレイン部4との離間距離に応じて設定され、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜100μmとされる。また、棒状体13の長さlは、開口部12aおよび12bの長さlより大きくなるように設定され、好ましくは2〜48mm、より好ましくは5〜32mmとされる。これにより、棒状体13の直下の領域に、効率的に無機系材料の回り込み効果を発現させることができ、適切な大きさのチャネル部5を寸法精度よく形成することができる。
棒状体13は、開口部12をほぼ同じ大きさの開口部12a、12bに仕切るように設けられている。これにより、ほぼ等しい大きさのソース部3およびドレイン部4を得ることができる。
また、棒状体13は、板状体11のゲート絶縁層6との接触面16側(図2の上方の面側部)に位置している。この場合、棒状体13は、形成されるチャネル部5の厚さ分、該接触面16から離れていることが好ましい。これにより、棒状体13の直下の領域に、効率的に無機材料の回り込み効果を発現させることができる。
この棒状体13は、その両端部がそれぞれ板状体11の開口部12の縁部に形成された凹部14に挿入(収納)、固定されている。
棒状体13を凹部14に固定する方法としては、例えば、嵌合、融着、接着剤による接着等の方法が挙げられるが、嵌合による方法が好ましい。これにより、板状体11から棒状体13を取り外して、この板状体11を1つの開口部12を有するマスクとして使用することもできる。
この場合、凹部14の幅(図2中左右方向の長さ)wは、棒状体13の幅rより若干小さく設定される。また、凹部14の深さ(図2中上下方向の長さ)dは、棒状体13の幅rより、形成すべきチャネル部5の平均厚さ分程度、大きく設定される。
また、凹部14の長さ(図2中の紙面前後方向の長さ)lは、開口部12a、12bの長さlと、棒状体13の長さlとにより設定される。
凹部14の具体的な大きさは、好ましくは長さl200〜5000μm、幅w5〜200μmで、深さd5〜200μm、より好ましくは長さl500〜2000μm、幅w10〜100μmで、深さd10〜100μmとされる。これにより、棒状体13を確実に収納することができ、確実に無機材料の回り込み効果を発現させることができる。
なお、各凹部14は、それぞれ開口部12の幅方向(図2中の左右方向)のほぼ中央の縁部に設けられている。これにより、前述したように、開口部12が、棒状体13により、ほぼ等しい大きさの開口部12a、12bに仕切られている。
また、図示の構成では、凹部14は、その開口部12側から見た縁部の形状がコ字状をなしているが、これに限定されず、例えば、U字状等であってもよい。
また、凹部14は、接触面16に開放しない構成、すなわち、開口部12に臨む面に凹没形成された穴で構成されていてもよい。
さらに、凹部14は、その深さが接触面16と反対側の面付近にまで到達するものや、接触面16と反対側の面に開放する溝で構成されていてもよい。この場合、仕切り部は、棒状体13に代えて、長尺の板片で構成することもできる。
また、図示の構成では、マスク10は、板状体11と棒状体13との2部材で構成されていたが、これらは一体的に形成されたものであってもよい。
以上のようなマスク10を配置する方法は、特に限定されず、公知のいずれの方法も用いることができる。配置されたマスク10は、ゲート絶縁層6に圧着させてもよいが、圧着させない方が好ましい。これにより、ゲート絶縁層6に軽く接触している状態となり、棒状体13の直下の領域に無機材料の回り込み効果を発現させることができ、極薄のチャネル部5を得ることができる。
(b)第2の工程
本工程は、マスク10の基板8と反対側から、無機材料を供給して成膜し、無機物層2を形成する工程である。
無機材料を供給して成膜し、無機物層2を形成させる方法は、特に限定されず、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、スパッタリング法などの真空成膜法により形成させることができる(図3)。すなわち、真空状態(減圧状態)でマスク10を覆った装置とスパッタターゲット15の間に電圧をかけ、電子やイオンをスパッタターゲット15に衝突させ、はじき飛ばされたIZOをゲート絶縁層6に付着させる方法である。この際、棒状体13を境として、開口部12aにソース部3が、12bにドレイン部4が形成される。さらに、棒状体13の直下の領域において、スパッタされた無機材料が回り込み、極薄のチャネル部5が形成される。したがって、ソース部3、ドレイン部4およびチャネル部5が、同時に一体的に形成される。これにより、電極材料と半導体材料のマッチングを考慮することなく、ソース部3、ドレイン部4およびチャネル部5が無機材料で一体形成された半導体装置1を簡便に得ることができる。
形成された無機物層2は、棒状体13の直下の領域における回り込みによりチャネル部5が形成され、棒状体13を境にソース部3およびドレイン部4が形成される。
スパッタリングの時間は、5〜20分であることが好ましく、10〜15分であることがより好ましい。
スパッタターゲット15とマスク10との離間距離は、5〜20cmであることが好ましく、7〜15cmであることがより好ましい。
基板8の温度は、室温(20℃)〜300℃であることが好ましく、50〜250℃であることが好ましい。
スパッタリング法では、例えば、アルゴンや酸素などのガスの雰囲気下で成膜が行われる。ことときのアルゴンの流量は、50〜200sccmであることが好ましく、100〜150sccmであることが好ましい。酸素の流量は、0.1〜2sccmであることが好ましく、0.2〜1sccmであることが好ましい。
このような条件設定により、前述したような平均厚さの無機物層2を形成することができる。
その他、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法により形成させることができる。これらのうち、スパッタリングが好ましい。これにより、無機材料の回り込み効果を効率的に得ることができ、極薄のチャネル部5を得ることができる。
[A4]有機半導体層形成工程
本工程は、有機半導体材料を供給して成膜し、有機半導体層9を形成する工程である。
有機半導体層9を形成させる方法は、蒸着法あるいは、前駆体を用いて可溶性にすることで、スピンコーター方式やディップ方式等を用いた塗布法、インクジェット方式やスクリーン印刷方式等を用いて塗膜を形成した後、この塗膜に対してアニール処理を行うことで、所望のものに形成することが可能である。
有機半導体材料として高分材料を用いた場合には、スピンコーター方式やディップ方式等を用いた塗布法、インクジェット方式やスクリーン印刷方式等を用いた印刷法等を用いて形成することができる。
なお、有機半導体層9の形成において、棒状体13を有さないマスク10を使用することもできる。
形成された有機半導体層9は、マスク10を使用した場合、棒状体13における回り込み効果により、棒状体13の直下の領域に、厚さの薄い部分が形成される。一方、棒状体13を有さないマスク10を使用した場合、有機半導体層9は均一な厚さで形成される。
以上のような工程を含む製造方法により、ソース部3、ドレイン部4およびチャネル部5が一体形成された無機物層2ならびに有機半導体層9を有する半導体装置1を簡便に得ることができる。
<第2実施形態>
本発明の半導体装置1およびその製造方法の第2実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
(1)半導体装置
図4および図5は、本発明の一実施形態を示した図で、半導体装置1の概略縦断面図を示している。なお、以下の説明では、図4および図5中の上側を「上」、下側を「下」として説明する。
図4および図5に示した半導体装置1は、第1実施形態の半導体装置1と無機物層2の構成が異なり、それ以外は第1実施形態の半導体装置1と同様である。
すなわち、図4に示す半導体装置1は、ゲート絶縁層6上に厚さが均一な無機物層2aを形成した後、ソース部3、ドレイン部4およびチャネル部5を一体に備える無機物層2bを形成し、さらに有機半導体層9を形成したものである。一方、図5に示す半導体装置1は、ゲート絶縁層6上にソース部3、ドレイン部4およびチャネル部5を一体に備える無機物層2bを形成した後、厚さが均一な無機物層2aを形成し、さらに有機半導体層9を形成したものである。
(2)半導体装置の製造方法
このような半導体装置1は、例えば次のようにして製造することができる。
図4、5に示す半導体装置1の製造方法は、基板8上にゲート部7を形成する工程[B1]と、ゲート部7上にゲート絶縁層6を形成する工程[B2]と、ゲート絶縁層6上に無機物層2aおよび2bを形成する工程[B3]と、無機物層2aまたは2b上に有機半導体層9を形成する工程[B4]とを有している。
[B1]ゲート部形成工程
本工程は、第1実施形態で説明したものと同様である。
[B2]ゲート絶縁部形成工程
本工程は、第1実施形態で説明したものと同様である。
[B3]無機物層形成工程
(a)図4に示す半導体装置の場合
本方法は、ゲート絶縁層6上に棒状体13を有さないマスク10を配置し、スパッタリング法により、時間の管理によって所望の厚さの無機物層2aを形成させ、その後、第1実施形態と同様の方法で棒状体13を有するマスク10を用いて無機物層2bを形成する方法である。
本実施形態では、無機物層2a、2bを有するため、チャネル部5が半導体特性を示すようにすることが好ましい。すなわち、チャネル部5と無機物層2aの厚さの合計が前記チャネル部5の平均厚さになるよう、スパッタリング時間によって無機物層2aの厚さを管理することが好ましい。これにより、無機物層2aと2bとが一体となった状態でもチャネル部5に半導体特性が得られる。
なお、二つの無機物層2a、2bに含まれる無機材料は、それぞれ異なる物質を使用することもできる。この場合、優れた特性を有する半導体装置1を得ることができる。
(b)図5に示す半導体装置の場合
本方法は、ゲート絶縁層上6に、第1実施形態と同様の方法で棒状体13を有するマスク10を用いて無機物層2bを形成させ、その後、棒状体13を有さないマスク10を配置し、スパッタリング法により、時間の管理によって所望の厚さの無機物層2aを形成させる方法である。
本実施形態では、無機物層2a、2bを有するため、チャネル部5が半導体特性を示すようにすることが好ましい。すなわち、チャネル部5と無機物層2aの厚さの合計が前記チャネル部5の平均厚さになるよう、スパッタリング時間によって無機物層2aの厚さを管理することが好ましい。これにより、無機物層2aと2bとが一体となった状態でもチャネル部5に半導体特性が得られる。
なお、二つの無機物層2a、2bに含まれる無機材料は、それぞれ異なる物質を使用することもできる。この場合、優れた特性を有する半導体装置1を得ることができる。
[B4]有機半導体層形成工程
本工程は、第1実施形態で説明したものと同様である。
以上のような工程を含む製造方法により、ソース部3、ドレイン部4およびチャネル部5が一体形成された無機物層2ならびに有機半導体材料を主材料として構成する有機半導体層9を有する両極性型の半導体装置1を簡便に製造することができる。
なお、以上の実施形態では、無機物層2が有機半導体層9より基板8側に設けられた構成であったが、有機半導体層9を無機物層2より基板8側に設ける構成としてもよい。
<電気光学装置>
次に、本発明の半導体装置を備える電気光学装置について説明する。
本発明の電気光学装置は、例えば、液晶表示装置などの液晶装置、有機EL表示装置などの有機EL装置、電気泳動表示装置、プリンターヘッドなどの装置が挙げられる。
以下、本発明の半導体装置を備える電気光学装置およびその製造方法を、電気泳動表示装置を一例に、図を用いて説明する。
(1)電気泳動表示装置
図6は、電気泳動表示装置の実施形態を示す縦断面図、図7は、電気泳動表示装置が備えるアクティブマトリクス装置の構成を示すブロック図である。
なお、以下では、説明の都合上、図6および図7中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図6に示す電気泳動表示装置20は、電気泳動表示シート(フロントプレーン)21と、回路基板(バックプレーン)22と、電気泳動表示シート21と回路基板22との間の間隙を気密的に封止する封止部36とを有している。
電気泳動表示シート21は、平板状の基部31と基部31の下面に設けられた第2の電極33とを備える基板39と、この基板39の下面(一方の面)側に設けられ、マイクロカプセル40とバインダ材41とで構成されたマイクロカプセル含有層400とを有している。
一方、回路基板22は、平板状の基部30と基部30の上面に設けられた複数の第1の電極32とを備える対向基板38と、この対向基板38(基部30)に設けられた、アクティブマトリックス装置300(第1の電極32で接続されている)とを有している。
図7に示すアクティブマトリクス装置300は、互いに直交する複数のデータ線301と、複数の走査線302と、これらのデータ線301と走査線302との各交点付近に設けられた半導体装置1とを有している。
そして、半導体装置1が有するゲート部7は走査線302に、ソース部3はデータ線301に、ドレイン部4は後述する画素電極(第1の電極)32に、それぞれ接続されている。
各カプセル40内には、それぞれ、特性の異なる複数種の電気泳動粒子、本実施形態では、電荷および色(色相)の異なる2種の電気泳動粒子34a、34b、液相分散媒35を含む電気泳動分散液37が封入されている。
以下、各部の構成について説明する。
基部30および基部31は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配される各部材を支持および保護する機能を有する。
各基部30、31は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する基部30、31を用いることにより、可撓性を有する電気泳動表示装置20、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な電気泳動表示装置20を得ることができる。
また、各基部(基材層)30、31を可撓性を有するものとする場合、その構成材料としては、それぞれ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
このような基部30、31の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、可撓性を有するものとする場合、20〜500μm程度であるのが好ましく、25〜250μm程度であるのがより好ましい。これにより、電気泳動表示装置20の柔軟性と強度との調和を図りつつ、電気泳動表示装置20の小型化(特に、薄型化)を図ることができる。
これらの基部30、31のマイクロカプセル40側の面、すなわち、基部30の上面および基部31の下面に、それぞれ、層状(膜状)をなす第1の電極32および第2の電極33が設けられている。
第1の電極32と第2の電極33との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じ、この電界が電気泳動粒子(表示粒子)34a、34bに作用する。
本実施形態では、第2の電極33が共通電極とされ、第1の電極32がマトリックス状(行列状)に分割された個別電極(スイッチング素子に接続された画素電極)とされており、第2の電極33と1つの第1の電極32とが重なる部分が1画素を構成する。
なお、第2の電極33も、第1の電極32と同様に複数に分割するようにしてもよい。
また、第1の電極32がストライプ状に分割され、第2の電極33も同様にストライプ状に分割され、これらが交差するように配置された形態であってもよい。
各電極32、33の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、金、銀、モリブデン、タンタルまたはこれらを含む合金等の金属材料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素系材料、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリカルバゾール、ポリシランまたはこれらの誘導体等の電子導電性高分子材料、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンオキシド、ポリビニルブチラール、ポリビニルカルバゾール、酢酸ビニル等のマトリックス樹脂中に、NaCl、LiClO、KCl、HO、LiCl、LiBr、LiI、LiNO、LiSCN、LiCFSO、NaBr、NaI、NaSCN、NaClO、NaCFSO、KI、KSCN、KClO、KCFSO、NHI、NHSCN、NHClO、NHCFSO、MgCl、MgBr、MgI、Mg(NO、MgSCN、Mg(CFSO、ZnCl、ZnI、ZnSCN、Zn(ClO、Zn(CFSO、CuCl、CuI、CuSCN、Cu(ClO、Cu(CFSO等のイオン性物質を分散させたイオン導電性高分子材料、インジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープした錫酸化物(FTO)、錫酸化物(SnO)、インジウム酸化物(IO)等の導電性酸化物材料のような各種導電性材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他、各電極32、33の構成材料としては、それぞれ、例えば、ガラス材料、ゴム材料、高分子材料等の導電性を有さない材料中に、金、銀、ニッケル、カーボン等の導電性材料(導電性粒子)を混合して、導電性を付加したような各種複合材料も使用することができる。
このような複合材料の具体例としては、例えば、ゴム材料中に導電性材料を混合した導電性ゴム、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系等の接着剤組成物中に導電性材料を混合した導電性接着剤または導電性ペースト、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ナイロン(ポリアミド)、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等のマトリックス樹脂中に導電性材料を混合した導電性樹脂等が挙げられる。
このような電極32、33の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.05〜10μm程度であるのが好ましく、0.05〜5μm程度であるのがより好ましい。
なお、各基部30、31および各電極32、33のうち、表示面側に配置される基部および電極は、それぞれ、光透過性を有するもの、すなわち、実質的に透明(無色透明、有色透明または半透明)とされる。これにより、後述する電気泳動分散液37中における電気泳動粒子34a、34bの状態、すなわち電気泳動表示装置20に表示された情報(画像)を目視により容易に認識することができる。
なお、各電極32、33は、前述したような材料の単体からなる単層構造のものの他、例えば、複数の材料を順次積層したような多層積層構造のものであってもよい。すなわち、各電極32、33は、それぞれ、例えば、ITOで構成される単層構造であってもよく、ITO層とポリアニリン層との2層積層構造とすることもできる。
電気泳動表示シート21では、第2の電極33の下面に接触して、マイクロカプセル含有層400が設けられている。
このマイクロカプセル含有層400は、電気泳動分散液37をカプセル本体(殻体)401内に封入した複数のマイクロカプセル40が、バインダ材41で固定(保持)されて構成されている。
マイクロカプセル40は、対向基板38と基板39との間に、縦横に並列するように単層で配設されている。
本実施形態では、第1の電極と第32の電極33とで挟持されることにより、マイクロカプセル40は、上下方向に圧縮され、水平方向に拡がって扁平形状となっている。換言すれば、マイクロカプセル40は、平面視において石垣構造を形成している。
このような構成により、電気泳動表示装置20では、有効表示領域が増大し、コントラストが良好なものとなる。また、電気泳動粒子34a、34bの上下方向への移動距離を短縮することができるため、電気泳動粒子34a、34bを短時間に所定の電極近傍に移動・集合させることができ、応答速度の向上を図ることもできる。
また、本実施形態では、隣り合う2つの第1の電極32に対して、1つのマイクロカプセル40が配置されている。すなわち、マイクロカプセル40は、隣り合う2つの第1の電極32にまたがるように配置されている。
カプセル本体(殻体)401の構成材料としては、例えば、ゼラチン、アラビアゴムとゼラチンとの複合材料、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、ポリアミド、ポリエーテルのような各種樹脂材料が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、カプセル本体401の構成材料には、架橋剤により架橋(立体架橋)を形成するようにしてもよい。これにより、カプセル本体401の柔軟性を維持しつつ、強度を向上させることができる。その結果、マイクロカプセル40が容易に崩壊するのを防止することができる。
このようなマイクロカプセル40は、その大きさがほぼ均一であることが好ましい。これにより、電気泳動表示装置20では、表示ムラの発生が防止または低減され、より優れた表示性能を発揮することができる。
カプセル本体401内に封入された電気泳動分散液37は、少なくとも1種の電気泳動粒子34a、34bを液相分散媒35に分散(懸濁)してなるものである。
電気泳動粒子34a、34bは、荷電を有し、電界が作用することにより、液相分散媒35中を電気泳動し得る粒子(帯電粒子)であれば、いかなるものをも用いることができ、特に限定はされないが、顔料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、荷電の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有している。
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、酸化チタン、酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫化亜鉛、亜鉛華、酸化珪素、酸化アルミニウム等の白色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料や他の顔料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
顔料粒子の表面を他の顔料で被覆した粒子としては、例えば、酸化チタン粒子の表面を、酸化珪素や酸化アルミニウムで被覆したものを例示することができ、かかる粒子は、白色粒子(電気泳動粒子34a)として好適に用いられる。
また、カーボンブラック粒子またはその表面を被覆した粒子は、着色粒子(電気泳動粒子34b)として好適に用いられる。
また、電気泳動粒子34a、34bの形状は、特に限定されないが、球形状であるのが好ましい。
電気泳動粒子34a、34bの平均粒径は、0.1〜10μm程度であるのが好ましく、0.1〜7.5μm程度であるのがより好ましい。電気泳動粒子34a、34bの平均粒径を前記範囲とすることにより、電気泳動粒子34a、34b同士の凝集や、液相分散媒35中における沈降を確実に防止することができ、その結果、電気泳動表示装置20の表示品質の劣化を好適に防止することができる。
一方、液相分散媒35としては、カプセル本体401に対する溶解性が低く、かつ比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。また、このような有機分散媒35は、極性が低いか、実質的に極性を有しない、非極性の有機材料(非プロトン性分散媒)で構成されている。
かかる液相分散媒35としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンのような長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族復素環類、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、カルボン酸塩またはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
中でも、液相分散媒35は、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(特に、ドデシルベンゼン)を主成分とするものが好ましい。長鎖アルキル基を有するベンゼン類は、沸点が比較的高く、これにより常温における揮発性を低くすることができる。このため、例えば、電気泳動分散液37の製造過程で、液相分散媒35が揮発することにより、電気泳動粒子34a、34bの含有率や、水分の含有率等が変化してしまうのを防止することができる。その結果、これらの変化に起因して生じる電気泳動表示装置20の応答特性や表示性能の低下等を、確実に防止することができる。
さらに、液相分散媒35には、必要に応じて、アントラキノン系染料、アゾ系染料、インジゴイド系染料、トリフェニルメタン系染料、ピラゾロン系染料、スチルベン系染料、ジフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アリザリン系染料、アクリジン系染料、キノンイミン系染料、チアゾール系染料、メチン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料等の各種染料を溶解するようにしてもよい。
かかる電気泳動粒子34a、34bの液相分散媒35への分散は、例えば、ペイントシェーカー法、ボールミル法、メディアミル法、超音波分散法、撹拌分散法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
また、電気泳動粒子34a、34bの比重は、液相分散媒35の比重とほぼ等しくなるように設定されているのが好ましい。これにより、電気泳動粒子34a、34bは、電極32、33間への電圧の印加を停止した後においても、液相分散媒35中において一定の位置に長時間滞留することができる。すなわち、電気泳動表示装置20に表示された情報が長時間保持されることとなる。
バインダ材41は、例えば、第1の基板38と第2の基板39とを接合する目的、第1の基板38および第2の基板39とマイクロカプセル40を固定する目的、電極32、33間の絶縁性を確保する目的等により供給される。これにより、電気泳動表示装置20の耐久性および信頼性をより向上させることができる。
このバインダ材41には、各電極32、33およびカプセル本体401(マイクロカプセル40)との親和性(密着性)に優れ、かつ、絶縁性に優れる樹脂材料が好適に使用される。
このようなバインダ材41としては、例えば、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール−塩化ビニル共重合体、プロピレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアリレート、グラフト化ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド等の高分子、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化エチレンプロピレン、四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリ三フッ化塩化エチレン、フッ素ゴム等のフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム等のシリコーン系樹脂、ポリウレタン等のウレタン系樹脂、その他として、メタクリル酸−スチレン共重合体、ポリブチレン、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体等の各種樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、バインダ材41は、その誘電率が前記液相分散媒35の誘電率とほぼ等しくなるよう設定されているのが好ましい。このため、バインダ材41中には、例えば、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールのようなアルコール類、ケトン類、カルボン酸塩等の誘電率調節剤を添加するのが好ましい。
基部30と基部31との間であって、それらの縁部に沿って、封止部36が設けられている。この封止部36により、各電極32、33およびマイクロカプセル含有層400が気密的に封止されている。これにより、電気泳動表示装置20内への水分の浸入を防止して、電気泳動表示装置20の表示性能の劣化をより確実に防止することができる。
封止部36の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、封止部36は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
このような電気泳動表示装置20では、1本あるいは複数本の走査線302に選択信号(選択電圧)を供給すると、この選択信号(選択電圧)が供給された走査線302に接続されている半導体装置1がONとなる。
これにより、かかる半導体装置1に接続されているデータ線301と画素電極32とは、実質的に導通する。このとき、データ線301に所望のデータ(電圧)を供給した状態であれば、このデータ(電圧)は画素電極32に供給される。
これにより、画素電極32と第2の電極33との間に電界が生じ、この電界の方向、強さ、電気泳動粒子34a、34bの特性等に応じて、電気泳動粒子34a、34bは、いずれかの電極に向かって電気泳動する。
一方、この状態から、走査線302への選択信号(選択電圧)の供給を停止すると、半導体装置1はOFFとなり、かかる半導体装置1に接続されているデータ線301と画素電極32とは非導通状態となる。
したがって、走査線302への選択信号の供給および停止、あるいは、データ線301へのデータの供給および停止を適宜組み合わせて行うことにより、電気泳動表示装置20の電気泳動表示シート21側(第2の電極33側)に、所望の画像(情報)を表示させることができる。
特に、本実施形態の電気泳動表示装置20では、電気泳動粒子34a、34bの色を異ならせていることにより、多階調の画像を表示することが可能となっている。
また、本実施形態の電気泳動表示装置20は、アクティブマトリクス装置300を有することにより、特定の走査線302に接続された半導体装置1を選択的にON/OFFすることができるので、クロストークの問題が生じにくく、また、回路動作の高速化が可能であることから、高い品質の画像(情報)を得ることができる。
また、本実施形態の電気泳動表示装置20は、低い駆動電圧で作動するため、省電力化が可能である。
このような電気光学装置の製造方法は、本発明の半導体装置を製造する方法を含んでいれば、特に限定されず、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、以下の方法で製造することができる。
(2)電気泳動表示装置の製造方法
図8および図9は、それぞれ、図6に示す電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図8および図9中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[C1]マイクロカプセル40の作製工程
まず、電気泳動分散液37が封入されたマイクロカプセル40を作製する。
マイクロカプセル40の作製手法(カプセル本体401への電気泳動分散液37の封入方法)としては、特に限定されないが、例えば、界面重合法、In−situ重合法、相分離法、界面沈降法、スプレードライ法等の各種マイクロカプセル化手法を用いることができる。
また、均一な大きさのマイクロカプセル40は、例えば、ふるいにかけて選別する方法、濾過法、比重差分級法等を用いることにより得ることができる。
マイクロカプセル40の平均粒径は、20〜200μm程度であるのが好ましく、30〜100μm程度であるのがより好ましい。マイクロカプセル40の平均粒径を前記範囲とすることにより、製造される電気泳動表示装置20において電気泳動粒子34a、34bの電気泳動をより確実に制御することができるようになる。
[C2]マイクロカプセル分散液の調製工程
次に、前述のようにして作製されたマイクロカプセル40と、バインダ材41と、分散媒とを含むマイクロカプセル分散液を調製する。
分散媒としては、親水性が高い(すなわち疎水性が低い)溶媒(水系溶媒)が好ましい。水系溶媒としては、具体的には、蒸留水、純水等の水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール類等が挙げられ、これらのうちでは、特に水が好ましい。低級アルコール類には、メトキシ基等の疎水性の低い置換基が導入されていてもよい。このような水系溶媒を用いることにより、マイクロカプセル40への溶媒の浸透が抑えられ、溶媒の浸透によるマイクロカプセル40の膨潤、溶解がより確実に防止される。
マイクロカプセル40を除くマイクロカプセル分散液中のバインダ材41の濃度(含有量)は、50wt%以下であるのが好ましく、0.05〜25wt%程度であるのがより好ましい。
前記バインダ材41の濃度を前記のように設定することにより、マイクロカプセル分散液の粘度を好適な値にすることができ、後述するマイクロカプセル40の間隙を埋めるようにマイクロカプセル分散液を供給する工程において、マイクロカプセル40を容易かつ確実に移動させることができる。
また、マイクロカプセル分散液の粘度は、1〜1000cP(25℃)程度であるのが好ましく、2〜700cP(25℃)程度であるのがより好ましい。
また、マイクロカプセル分散液中におけるマイクロカプセル40の含有量は、10〜80wt%程度であるのが好ましく、30〜60wt%程度であるのがより好ましい。
マイクロカプセル40の含有量を前記範囲に設定すると、マイクロカプセル40が厚さ方向に重ならないように(単層で)、マイクロカプセル含有層400において移動(再配置)させる配設する上で、非常に有利である。
[C3]マイクロカプセル含有層の形成工程
次に、図8(a)に示すような基板39を用意する。
そして、図8(b)に示すように、基板39上にマイクロカプセル分散液を供給する。
マイクロカプセル分散液を供給する方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の各種塗布法を用いることができる。
次に、必要に応じて、基板39の各部において、マイクロカプセル分散液の厚さ(量)が均一になるように、好ましくはマイクロカプセル40が厚さ方向に重ならないように1個ずつ(単層に)配置されるように均す。
これは、例えば、図8(c)に示すように、スキージ(平板状の治具)100を基板39上を通過させ、マイクロカプセル40を掃くことにより行うことができる。
これにより、マイクロカプセル含有層400が形成され、図8(d)に示すような電気泳動表示シート21が得られる。
[C4]回路基板22の接合工程
次に、図9(e)に示すように、マイクロカプセル含有層400上に、前記本発明の半導体装置の製造方法で製造した半導体装置1を備えるアクティブマトリクス装置と第1の電極32を接続した回路基板22を、第1の電極32がマイクロカプセル含有層400に接触するように重ね合わせる。
これにより、マイクロカプセル含有層400を介して、電気泳動表示シート21と回路基板22とが接合される。
[C5]封止工程
次に、図9(f)に示すように、電気泳動表示シート21および回路基板22の縁部に沿って、封止部36を形成する。
これは、電気泳動表示シート21(基部31)と回路基板22(基部30)との間であって、これらの縁部に沿って封止部36を形成するための材料を、例えば、ディスペンサ等により供給し、固化または硬化させることにより形成することができる。
以上の工程を経て、電気泳動表示装置20が得られる。
<電子機器>
次に、本発明の半導体装置を備える電子機器について説明する。
本発明の電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等等が挙げられる。
(1)電子ペーパー
図10は、本発明の電子機器である電子ペーパーを示す斜視図である。
この図に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動表示装置20で構成されている。
このような電子ペーパーの製造方法は、本発明の半導体装置を製造する方法を含む、または、本発明の半導体装置を製造する方法を含む電気光学装置の製造方法を含んでいれば、特に限定されず、公知のいずれの方法も用いることができる。
(2)ディスプレイ
図11は、本発明の電子機器であるディスプレイを示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
この図に示すディスプレイ800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図10に示す構成と同様のものである。
本体部801は、その側部(図中、右側)に電子ペーパー600を挿入可能な挿入口805が形成され、また、内部に二組の搬送ローラ対802a、802bが設けられている。電子ペーパー600を、挿入口805を介して本体部801内に挿入すると、電子ペーパー600は、搬送ローラ対802a、802bにより挟持された状態で本体部801に設置される。
また、本体部801の表示面側(下図(b)中、紙面手前側)には、矩形状の孔部803が形成され、この孔部803には、透明ガラス板804が嵌め込まれている。これにより、本体部801の外部から、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を視認することができる。すなわち、このディスプレイ800では、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。
また、電子ペーパー600の挿入方向先端部(図中、左側)には、端子部806が設けられており、本体部801の内部には、電子ペーパー600を本体部801に設置した状態で端子部806が接続されるソケット807が設けられている。このソケット807には、コントローラー808と操作部809とが電気的に接続されている。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
また、このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600が、前述したような電気泳動表示装置20で構成されている。
アクティブマトリクス装置に本発明の半導体装置を用いた、このようなディスプレイ800は、ディスプレイの開口率向上につながり、好ましい。
このようなディスプレイ800の製造方法は、本発明の半導体装置を製造する方法を含む、または、本発明の半導体装置を製造する方法を含む電気光学装置の製造方法を含んでいれば、特に限定されず、公知のいずれの方法も用いることができる。
以上、本発明の半導体装置、半導体装置の製造方法、かかる装置を備える電気光学装置および電子機器について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本発明の半導体装置では、各層の間に任意の目的の層が設けられていてもよく、半導体装置の構造は、ボトムゲート型、トップゲート型等、特に限定されない。
また、本発明の半導体装置の製造方法では、本発明の効果を奏する限り、他にいかなる工程、例えば、基板上にゲート絶縁層を形成する工程やマスクを除去する工程などを含んでいてもよい。
(参考例1)
最初に、IZOの膜厚と比抵抗の関係を調べた。
ガラス基板に、膜厚の異なる(1、2、5、8、20、50、105、500nm)IZOをそれぞれスパッタ法により成膜し、それらの基板を用いて定電流電源(ケイスレー社製)と微小電圧計(ケイスレー社製)とから構成される四探針シート抵抗測定システムを用いてシート抵抗を測定し、その値と膜厚から比抵抗(シート抵抗×膜厚)を得た。その結果を、図12に示す。なお、膜厚は、実測ではなくスパッタ時間から換算した。また、スパッタ法は、スパッタ時間0.1、0.2、0.5、0.8、2、5、10.5、50分、スパッタターゲットとマスクとの距離10cm、基板温度100℃、アルゴン流量120sccm、酸素流量0.5sccmの条件で行った。
図12に示すとおり、IZOは、50nm以上の膜厚では比抵抗の膜厚依存性は小さくなり、100nm以上の膜厚ではその依存性はほとんどないことがわかった。
一方、20nm以下の膜厚では膜厚が小さくなるにしたがって比抵抗は高くなり、10nm以下の膜厚では比抵抗が急激に高くなっていくことがわかった。
したがって、膜厚が小さくなるのにしたがって、半導体的性質を示すようになることがわかった。
(参考例2)
IZO膜の電圧対電流特性(V−I特性)を調べた。
5nm、10nm、20nmの膜厚のIZOをスパッタ法により成膜し、それらの基板を用いて、定電流電源(ケイスレー社製)と微小電圧計(ケイスレー社製)とから構成される四探針式I−V測定システムを用い、電流掃引してI−V特性を得た。なお、スパッタ法の条件は、参考例1と同様である。その結果を、図13に示す。
図13に示すとおり、IZOは、膜厚が小さくなるにしたがって非線形特性を示すことがわかった。
したがって、膜厚が小さくなるのにしたがって、半導体的性質を示すようになることがわかった。
(参考例3)
IZOをITOにした以外は、参考例1、2と同様に行った。その結果、ITOの膜厚と比抵抗の関係、V−I特性もIZOと同様の結果であった。
(実施例1)
<1> まず、厚さ0.5mmのITO膜付きガラス基板を用意した。
<2> 次に、この基板上に、スパッタ法により、厚さ400nmの二酸化ケイ素を積層し、ゲート絶縁層を形成した。
<3> 次に、このゲート絶縁層に、図2に示されるマスクを設置し、スパッタ法により、IZOを積層した(無機物層)。マスクの仕様は、板状体;L:20mm、W:20mm、H2mm、開口部;l:10mm、w:10mm、棒状体;l:14mm、r:80μm、凹部;l:1500μm、w:80μm、d:80μmである。また、スパッタ法は、スパッタ時間10.5分で行った。
IZO層の膜厚を測定したところ、仕切り部におけるIZOの回り込み効果により、最も薄い部分で5nmであり、開口部で100nmであった。これにより、ソース部、ドレイン部およびチャネル部が一体形成されたIZO層を得た。以上により、薄膜トランジスタを得た。
<4> マスクを除去した後、再度図2に示されるマスクを設置し、真空蒸着により、2,5-ビス(5’-ビフェニル-2’-チエニル)-チオフェン(BP3T)を供給して成膜し、有機半導体層を形成した。有機半導体層の膜厚を測定したところ、100nmであった。なお、真空蒸着は、真空度2×10−4Paの条件で行った。
以上により、薄膜トランジスタを得た。
<5> 得られた薄膜トランジスタのITOをゲート電極、IZO層のソース部をソース電極(グランド)、ドレイン部をドレイン電極として、ドレイン電極とゲート電極のそれぞれに正電圧を印加して電界効果トランジスタ特性を直流電圧・電流源/モニタ(アドバンテスト社製)を用いて評価した。その結果を図14に示す。図14は電界効果トランジスタのn型駆動時の出力特性を示している。
図14に示すとおり、極薄のIZO部分が電界効果により変調されたため、チャネル部として機能し、良好なn型の電界効果トランジスタ特性を得ることができた。この結果は、参考例で示した関係と対応している。
<6> 次に、ソース電極をグランドとして、ドレイン電極とゲート電極のそれぞれに負電圧を印加して電界効果トランジスタ特性を直流電圧・電流源/モニタ(アドバンテスト社製)を用いて評価した。その結果を図15に示す。図15は電界効果トランジスタのp型駆動時の出力特性を示している。
図15に示すとおり、有機半導体層がチャネルとして機能し、良好なp型の電界効果トランジスタ特性を得ることができた。この場合、IZO膜(無機物層)は、n型半導体であるためチャネルは開かない。したがって、ゲート絶縁層の一部として機能していることになる。この点からも、IZO膜は極薄であることが好ましい。
<7> 以上の結果から、本実施例の薄膜トランジスタのゲート電圧(V)とドレイン電流(I)の関係を調べた。図16にV-I特性の関係図を示す。図16に示すとおり、ゲート電圧(V)の正負両方の領域において、ドレイン電流がゲート電圧によって変調されていることがわかる。ゲート電圧が正の領域における変調はn型の動作であり、負の領域における変調はp型の動作である。すなわち、本トランジスタは、p型とn型の両極性を持つことがわかった。
また、ゲート電圧の絶対値の小さい領域では、ドレイン電流はほとんど0であり、良好なスイッチング特性を有することもわかった。
<8> さらに、ドレイン電圧およびゲート電圧を負電圧で80V以上印加したところ、本トランジスタはピーク波長566nmで発光した。発光強度は、ゲート電圧によって変調した。これは、有機半導体層に含まれているBPT3によるものである。本トランジスタに用いられる各部(基板、電極、絶縁層、導電性無機物層)の材料は透明であるため、基板の表裏いずれからでも発光を観測することができる。
(実施例2)
IZOの替わりにITOを用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果、ITOを用いた場合であっても、良好なp型およびn型の両極性の電界効果トランジスタ特性を得ることができた。この結果は、参考例で示した関係と対応する。また、発光特性も得ることができた。
(実施例3)
厚さ10nmと5nmのチャネル部を有する2種類の薄膜トランジスタを製造した。
実施例1の<3>の工程において、ゲート絶縁層に棒状体を有さないマスクを設置し、スパッタ法により、厚さ4nmおよび2nmの2種類のIZO層を形成した。マスクを除去した後、それぞれに図2に示されるマスクを設置し、スパッタ法によりIZO層を形成した。かかるIZO層のチャネル部は、それぞれ6nmおよび3nmの厚さだった。さらに、マスクを除去した後、図3に示されるマスクを再度設置し、真空蒸着により有機半導体層を形成した。膜厚は100nmであった。これにより、無機物層を2層有する2種類(厚さ10nmと5nm)の薄膜トランジスタを得た(図4)。なお、ソース部およびドレイン部はいずれも100nmの厚さであった。
また、スパッタ法は、厚さ4nmのIZO層形成の場合は0.4分、厚さ2nmのIZO形成の場合は0.2分で行った。また、厚さ100nmのソース部、ドレイン部形成の場合は10分で行った。
真空蒸着は、真空度度2×10−4Paの条件で行った。
得られた薄膜トランジスタのITOをゲート電極、IZO層のソース部をソース電極、ドレイン部をドレイン電極として、実施例1と同様に電界効果トランジスタ特性を評価した。その結果、いずれの薄膜トランジスタにおいても、実施例1と同様に良好な両極性の電界効果トランジスタ特性、発光特性を得ることができた。特に、5nmのチャネル部を有する薄膜トランジスタでは、顕著なスイッチング効果が認められた。したがって、膜厚が小さくなるほど良好な特性が得られ、参考例で示した関係と対応する事がわかった。
(実施例4)
IZOの替わりにITOを用いた以外は、実施例3と同様に行った。その結果、実施例3と同様、ITOを用いた場合であっても、良好な両極性および発光特性の電界効果トランジスタを得ることができた。
(実施例5)
厚さ10nmと5nmのIZO層を有する2種類の薄膜トランジスタを製造した。
実施例1の<3>の工程において、ゲート絶縁層に図2に示されるマスクを設置し、スパッタ法により、チャネル部の厚さがそれぞれ6nmおよび3nmのIZO層を形成した。マスクを除去した後、それぞれのIZO層に棒状体を有さないマスクを設置し、スパッタ法により、厚さ4nmおよび2nmの2種類のIZO層を形成した。さらに、マスクを除去した後、図3に示されるマスクを設置し、真空蒸着により有機半導体層を形成した。膜厚は100nmであった。これにより、無機物層を2層有する2種類(厚さ10nmと5nm)の薄膜トランジスタを得た(図5)。なお、ソース部およびドレイン部の厚さはいずれも100nmの厚さであった。スパッタ法および真空蒸着の条件は実施例3と同様である。
得られた薄膜トランジスタのITOをゲート電極、IZO層のソース部をソース電極、ドレイン部をドレイン電極として、実施例1と同様に電界効果トランジスタ特性を評価した。その結果、いずれの薄膜トランジスタにおいても、実施例1と同様に良好な両極性の電界効果トランジスタ特性、発光特性を得ることができた。特に、5nmのIZO層を有する薄膜トランジスタでは、顕著なスイッチング効果が認められた。したがって、膜厚が小さくなるほど良好な特性が得られ、参考例で示した関係と対応する事がわかった。
(実施例6)
IZOの替わりにITOを用いた以外は、実施例5と同様に行った。その結果、実施例5と同様、ITOを用いた場合であっても、良好な両極性および発光特性の電界効果トランジスタ特性を得ることができた。
(比較例)
厚さ50nmまたは100nmのIZO層、厚さ100nmの有機半導体層を有する2種類の薄膜トランジスタを製造した。
実施例1のマスクの替わりに、棒状体を有さないマスクを用いて50nmまたは100nmのIZOを積層した以外は、実施例1と同様に行った。なお、この場合IZO層には5nmの薄い部分はなく、膜厚は均一に50nmまたは100nmである。その結果、電界効果トランジスタ特性は得られなかった。
本発明の半導体装置の第1実施形態を模式的に示す縦断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法で用いられるマスクの構造を示す斜視図である。 図1の半導体装置の製造方法を模式的に示す縦断面図である。 本発明の半導体装置の第2実施形態を模式的に示す縦断面図である。 本発明の半導体装置の第2実施形態を模式的に示す縦断面図である。 本発明の電気光学装置の実施形態である電気泳動表示装置を模式的に示す図である。 アクティブマトリクス装置の構成を示すブロック図である。 図6に示す電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図である。 図6に示す電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図である。 本発明の電子機器の実施形態である電子ペーパーを模式的に示す図である。 本発明の電子機器の実施形態であるディスプレイを模式的に示す図である。 IZOの膜厚と比抵抗の関係を示す図である。 IZO膜の電圧対電流特性の関係を示す図である。 透明トランジスタのn型駆動時のV-I特性を示す図である。 透明トランジスタのp型駆動時のV-I特性を示す図である。 透明トランジスタのV-I特性を示す図である。
符号の説明
1……半導体装置 2……無機物層 2a……無機物層 2b……無機物層 3……ソース部 4……ドレイン部 5……チャネル部 6……ゲート絶縁層 7……ゲート部 8……基板 9……有機半導体層 10……マスク 11……板状体 12……開口部 12a……第1の開口部 12b……第2の開口部 13……棒状体 14……凹部 15……スパッタターゲット 16……接触面 20……電気泳動表示装置 21……電気泳動表示シート 22……回路基板 30……基部 31……基部 32……第1の電極 33……第2の電極 34a……電気泳動粒子 34b……電気泳動粒子 35……液相分散媒 36……封止部 37……電気泳動分散液 38……対向基板 39……基板 40……マイクロカプセル 41……バインダ材 100……スキージ 300……アクティブマトリクス装置 301……データ線 302……走査線 400……マイクロカプセル含有層 401……カプセル本体 600……電子ペーパー 601……本体 602……表示ユニット 800……ディスプレイ 801……本体部 802a……搬送ローラ対 802b……搬送ローラ対 803……孔部 804……透明ガラス板 805……挿入口 806‥‥端子部 807‥‥ソケット 808‥‥コントローラー 809‥‥操作部

Claims (15)

  1. 基板と、
    該基板の一方の面側に設けられ、導電体として機能するソース部およびドレイン部と、該ソース部およびドレイン部との間に一体的に形成され、半導体として機能するチャネル部とを備え、無機材料を主材料として構成された無機物層と、
    前記無機物層と接して設けられ、前記チャネル部の極性と異なる極性を有し、有機半導体材料を主材料として構成された有機半導体層と、
    前記無機物層と接しないで設けられ、前記チャネル部に電界を付与するゲート部と、
    前記無機物層と前記ゲート部との間に設けられ、該ゲート部に対して前記ソース部およびドレイン部を絶縁するゲート絶縁層とを有することを特徴とする半導体装置。
  2. 前記無機物層は、透明酸化物系材料を主材料として構成され、
    前記チャネル部の平均厚さを前記ソース部および前記ドレイン部の平均厚さより小さく設定すること、および/または前記チャネル部における酸素原子の含有量を前記ソース部および前記ドレイン部における酸素原子の含有量より大きく設定することにより、前記ソース部および前記ドレイン部が導電体として機能し、前記チャネル部が半導体として機能するよう構成されている請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記透明酸化物系材料は、インジウム亜鉛複合酸化物およびインジウムスズ複合酸化物のうちの少なくとも一方を主成分とする材料である請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記ソース部またはドレイン部の平均厚さをA[nm]とし、前記チャネル部の平均厚さをB[nm]としたとき、A/Bが2.5〜4000である請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体装置。
  5. 前記ソース部およびドレイン部は、その平均厚さが50nm以上である請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
  6. 前記チャネル部は、その平均厚さが0.5〜20nmである請求項1ないし5のいずれかに記載の半導体装置。
  7. 前記有機半導体材料は、チオフェン環骨格およびアリール骨格を有する化合物である請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
  8. 前記有機半導体材料は、その炭素数が20〜50である請求項1ないし7のいずれかに記載の半導体装置。
  9. 前記有機半導体材料は、チオフェン環骨格を1〜4個有する請求項1ないし8のいずれかに記載の半導体装置。
  10. 前記有機半導体材料は、発光特性を有する材料である請求項1ないし9のいずれかに記載の半導体装置。
  11. 前記有機半導体層中の前記有機半導体材料の含有量は、50〜100wt%である請求項1ないし10のいずれかに記載の半導体装置。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の半導体装置を製造する方法であって、
    前記基板の一方の面側に、前記ソース部に対応する第1の開口部と、前記ドレイン部に対応する第2の開口部とを備えるマスクを配置する第1の工程と、
    該マスクの前記基板と反対側から、前記無機材料を供給して成膜し、前記無機物層を形成する第2の工程と、
    前記有機半導体材料を供給して成膜し、前記有機半導体層を形成する第3の工程とを有し、
    前記第2の工程において、前記ソース部およびドレイン部を形成するとともに、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを仕切る仕切り部で覆われた直下の領域に前記無機材料を回り込ませ、前記ソース部およびドレイン部と一体的に前記チャネル部を形成して、前記無機物層を得ることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  13. 前記仕切り部は、その前記基板側の部分が丸みを帯びている請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
  14. 請求項1ないし11のいずれかに記載の半導体装置を備えることを特徴とする電気光学装置。
  15. 請求項14に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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