JP6326314B2 - インク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、C.I.ピグメントイエロー74を含有するインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法、それにより得られる記録物、及び着色剤組成物に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
特許文献1では、耐光性に優れかつインクジェット記録方式において吐出不良を起こさない、C.I.ピグメントイエロー74を含有するインク組成物の提供を課題としている。当該文献においては、当該インク組成物として特定構造を有するアニシダイド化合物の含有量が1〜20ppmであるインク組成物が提案されている。
特開2008−63524号公報
しかしながら、C.I.ピグメントイエロー74を含有するインク組成物においては、未だ、吐出不良を改善する余地がある。
そこで、本発明は、C.I.ピグメントイエロー74を含有するインク組成物であって、吐出不良が発生しにくく、保存安定性及び発色性に優れたインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法、それにより得られる記録物、及び着色剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、C.I.ピグメントイエロー74(以下、「PY74」ともいう)を含有するインク組成物において、下記の式(I−1)又は(I−2)で表される化合物(I)(以下単に「化合物(I)」ともいう)を所定範囲で前記インク組成物に含有させることで、上記の課題が解決されることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] C.I.ピグメントイエロー74と、インク組成物中1mg/kg以上50mg/kg以下の、式(I−1)又は(I−2)で表される化合物(I)と、を含有するインク組成物。
Figure 0006326314
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[2] 上記[1]に記載のインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法。
[3] 上記[2]に記載の方法によって得られる、記録物。
[4] C.I.ピグメントイエロー74と、該C.I.ピグメントイエロー74及び化合物(I)の合計量に対して20mg/kg以上1000mg/kg以下の、式(I−1)又は(I−2)で表される化合物(I)と、を含有する着色剤組成物。
本発明によれば、C.I.ピグメントイエロー74を含有するインク組成物であって、吐出不良が発生しにくく、保存安定性及び発色性に優れたインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法、それにより得られる記録物、及び着色剤組成物を提供することができる。
本発明のインク組成物は、C.I.ピグメントイエロー74と、インク組成物中1mg/kg以上50mg/kg以下の、式(I−1)又は(I−2)で表される化合物(I)と、を含有する。
Figure 0006326314
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本発明のインク組成物は、吐出不良が発生しにくく、保存安定性及び発色性に優れる。その理由は定かではないが、PY74の存在下で化合物(I)の含有量を特定濃度以下とすることで、PY74との相互作用により化合物(I)の結晶性が抑制され、インク組成物の保存安定性が向上し、吐出不良が発生しにくくなると考えられる。また、化合物(I)はPY74と構造が類似しているため、化合物(I)を少量含有することによりPY74と固溶体を形成し、PY74自体の過度な結晶成長を抑制することで、発色性を高めつつ、インク組成物の保存安定性に優れると考えられる。
すなわち、化合物(I)が実質的に含まれないインク組成物よりも、インク組成物に微量の化合物(I)が含まれることで、優れた保存安定性及び発色性を有するインク組成物が得られることが見出された。
化合物(I)のインク組成物中の含有量は、吐出不良抑制、保存安定性及び発色性の観点から、1mg/kg以上であり、好ましくは3mg/kg以上、より好ましくは5mg/kg以上、更に好ましくは10mg/kg以上であり、また、吐出不良抑制及び保存安定性の観点から、50mg/kg以下であり、好ましくは45mg/kg以下、より好ましくは40mg/kg以下、更に好ましくは35mg/kg以下、更に好ましくは30mg/kg以下、更に好ましくは25mg/kg以下である。
本発明のインク組成物において、化合物(I)の含有量は、式(I−1)で表される化合物と式(I−2)で表される化合物の合計含有量を意味する。
本発明のインク組成物において、化合物(I)の含有量の測定方法は、実施例に記載の方法による。
本発明のインク組成物は、PY74を含有する。PY74は以下の式(II)で代表される化合物である。
Figure 0006326314
式(II)中、波線は、隣接する二重結合の幾何異性体がE体及びZ体から選ばれる1種以上であることを示す。
式(II)で表される化合物は、好ましくは式(II−1)で表される化合物である。
Figure 0006326314
化合物(I)は、式(I−1)又は(I−2)で表される化合物である。化合物(I)は、質量分析計(極性:ポジティブ)において、m/z345を示す化合物であり、式(I−1)で表される化合物と、式(I−2)で表される化合物とは互変異性体の関係にある。
Figure 0006326314
Figure 0006326314
式(I−1)及び(I−2)中、波線は、隣接する二重結合の幾何異性体がE体及びZ体から選ばれる1種以上であることを示す。
式(I−1)で表される化合物は、好ましくは式(I−1−1)で表される化合物である。
Figure 0006326314
式(I−2)で表される化合物は、好ましくは式(I−2−1)で表される化合物である。
Figure 0006326314
PY74は、例えば、m−ニトロ−o−アニシジンとアセト酢酸−o−アニシダイドとをカップリング反応させることにより得られる。また、当該カップリング反応において、上記化合物(I)を副生させることができる。
PY74の製造方法は、例えば、下記の工程(1)〜(3)を有する。
工程(1):m−ニトロ−o−アニシジンのジアゾ化反応を行って、生成物Aを得る工程
工程(2):アセト酢酸−o−アニシダイドと水酸化ナトリウムと水とを混合した後、酢酸を添加し、その後、更に酢酸ナトリウムを添加して、生成物Bを得る工程
工程(3):前記工程(1)で得られた生成物Aと、工程(2)で得られた生成物Bを混合し、カップリング反応を行う工程
(工程(1))
工程(1)におけるm−ニトロ−o−アニシジンのジアゾ化反応は、例えば、m−ニトロ−o−アニシジンと、亜硝酸又はその塩とを酸性条件下で反応させることで行うことができる。
(工程(2))
工程(2)では、前記アセト酢酸−o−アニシダイドと水酸化ナトリウムと水とを混合した後、酢酸を添加し、その後、更に酢酸ナトリウムを添加する。
上記の化合物(I)は、PY74を合成する際に副生しうる化合物である。
当該化合物(I)の含有量を本発明のインク組成物の規定する範囲内とするためには、例えば、上記の工程(2)において、酢酸と、酢酸ナトリウムの使用量を調整することで、上記の化合物(I)の副生量を制御することができる。
工程(2)における、酢酸に対する酢酸ナトリウムの質量比(酢酸ナトリウム/酢酸)は、化合物(I)の副生を抑制する観点からは、好ましくは87/13以上、より好ましくは88/12以上、更に好ましくは90/10以上であり、生産性の観点から、好ましくは99/1以下、より好ましくは98/2以下、化合物(I)を少量含ませて優れた発色性を得る観点から、更に好ましくは96/4以下、より更に好ましくは95/5以下である。
(工程(3))
工程(3)においては、好ましくは工程(2)で得られた組成物に対して、工程(1)で得られた組成物を添加する。
反応の温度は、好ましくは0〜25℃、より好ましくは0〜10℃である。
当該反応後、ロジンなどの添加物を添加してもよい。
(着色剤組成物)
本発明において着色剤組成物は、PY74と、化合物(I)とを含有する。
なお、PY74、及び化合物(I)を総称し、単に「着色剤」ともいう。
本発明の着色剤組成物中、着色剤の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、また、100質量%以下であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。
本発明の着色剤組成物において、着色剤に対する化合物(I)の含有量は、インクの保存安定性及び発色性の観点から、20mg/kg以上であり、好ましくは60mg/kg以上、より好ましくは100mg/kg以上、更に好ましくは200mg/kg以上であり、また、インクの吐出不良抑制及び保存安定性の観点から、1000mg/kg以下であり、好ましくは900mg/kg以下、より好ましくは800mg/kg以下、更に好ましくは700mg/kg以下、更に好ましくは600mg/kg以下、更に好ましくは500mg/kg以下である。
本発明の着色剤組成物は、上記着色剤の他、グリセリン、水、等を含有していてもよい。
(インク組成物)
本発明のインク組成物は、上記着色剤を含有する。本発明のインク組成物は、好ましくは、高分子分散剤、界面活性剤、pH調整剤、水、水溶性有機溶剤、その他各種添加剤を含有する。
高分子分散剤としては、合成高分子、並びに、天然高分子及びその誘導体が挙げられる。これらの中でも、好ましくは合成高分子である。
合成高分子としては、好ましくは疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体であり、より具体的には、好ましくは、スチレン/アクリル酸共重合体、及びスチレン/メタクリル酸共重合体から選ばれる少なくとも1種である。
上記ポリマーの市販品としては、BASFジャパン株式会社製「ジョンクリル」シリーズの「67」、「68」、「678」、「680」、「682」、「683」、「690」、「819」等が挙げられる。
天然高分子としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミン等のタンパク質類、アラビアゴム、トラガントゴム等の天然ゴム類、サポニン等のグリコシド類、アルギン酸等の多糖類が挙げられる。天然高分子の誘導体としては、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン塩、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。
界面活性剤としては、オルガノシロキサン系界面活性剤、アセチレングリコール等の非イオン性界面活性剤、及びリン酸エステル系界面活性剤等のアニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも好ましくはオルガノシロキサン系界面活性剤である。
オルガノシロキサン系界面活性剤としては、市販品として、ビックケミー社製「BYK347」、「BYK348」等が挙げられる。
アセチレングリコールとしては、市販品として、Air Products and Chemicals Inc.製「サーフィノール」シリーズの「82」、「104」、「440」、「465」及び「485」、並びに「オレフィンY」等が挙げられる。
その他の非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が挙げられる。
リン酸エステル系界面活性剤としては、市販品として、東邦化学工業株式会社製「フォスファノール」シリーズの「RS−410」、「RS−610」、「RS−710」等が挙げられる。
その他のアニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩等が挙げられる。
これらは単独使用または二種以上を併用することができる。
pH調整剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン等のアミン類;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等の四級アンモニウム水酸化物等の水酸化物類;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩類;燐酸塩類等が挙げられる。これらの中でも好ましくはアミン類、より好ましくはトリエタノールアミンである。
水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水が挙げられ、好ましくはイオン交換水である。
水溶性有機溶媒としては、一価アルコール、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、多価アルコールアルキルエーテルアセテート、含窒素複素環化合物等が挙げられ、好ましくは多価アルコールである。
多価アルコールとしては、グリセリン、ジエチレングリコール(以下、「DEG」ともいう)、プロピレングリコール(以下、「PG」ともいう)、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中では、好ましくは、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール、PG及びDEGから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはグリセリン、及び1,2−ヘキサンジオールである。
一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、1−ペンタノールなどが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられ、好ましくはトリエチレングリコールモノブチルエーテルである。
多価アルコールアルキルエーテルアセテートとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等が挙げられる。
上記水溶性有機溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のインク組成物は、上記成分のほか、保湿剤、湿潤剤、浸透剤、その他の分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等を含有していてもよい。
本発明のインク組成物は、例えば、上記の各成分を混合して分散機による分散処理を経て製造できる。より詳細には、例えば、着色剤と高分子分散剤と水とを混合して分散機で分散処理する。得られた分散液と他の成分とを混合して、インク組成物が得られる。なお、当該インク組成物から、目詰まりの原因となる粗大粒径及び異物を除去するためにろ過を行ってもよい。
分散機としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等が挙げられる。
(組成)
インク組成物中の着色剤の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、保存安定性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である。
インク組成物中の高分子分散剤の含有量は、保存安定性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、印字濃度の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である。
インク組成物中の界面活性剤の含有量は、保存安定性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、印字濃度の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
インク組成物中の水溶性有機溶媒の含有量は、保存安定性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、印字濃度の観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
インク組成物中のpH調整剤の含有量は、そのpH調整の目的に応じて適宜設定されるが、例えば、保存安定性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、印字濃度の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
インク組成物中の水の含有量は、例えば、保存安定性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上であり、また、印字濃度の観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インクとして使用されることが好ましい。
すなわち本発明のインク組成物は、インクジェット記録へ使用されることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、例えば、本発明のインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて、印刷を行う方法である。
当該方法によって得られる記録物は、上記記録媒体にインク組成物の液滴により形成された文字や画像等を有する。記録媒体としては、インクジェット記録に通常用いられる媒体が挙げられ、具体的には普通紙等が挙げられる。
本実施例において、各種数値の測定及び評価は、以下の通りの方法で行った。
[インク組成物中の化合物(I)の定量方法]
実施例、比較例で調製したインク組成物4gを超遠心分離機(日立工機株式会社製「CS120FNX型」)を用いて110,000r/minで30分遠心分離した後、上澄み1gを採取した。
採取した上澄みをメタノール(和光純薬工業株式会社製「高速液体クロマトグラフ用」)で150倍に希釈し、0.45μmのフィルター(ポール社製「エキクロディスク 13Cr」)でろ過した。
LC−MS(株式会社島津製作所製「LCMS−2020」)を用いて以下の条件により測定し、化合物(I)(m/z345)量を定量した。なお、化合物(I)のリテンションタイムは2.8〜3.2minであった。
(各種条件)
溶離液A:{ギ酸/ギ酸アンモニウム緩衝液pH3.0}:MeOH=10:90(25℃における体積比)
溶離液B:MeOH:THF:ギ酸=10:90:0.1(25℃における体積比)
(ギ酸、ギ酸アンモニウムは和光純薬工業株式会社製「特級」、THF、MeOHは和光純薬工業株式会社製「高速液体クロマトグラフ用」)
グラジエント条件: B0%(0min)−B0%(5min)−B100%(5.1min)−B100%(7min)−B0%(7.1min)−B0%(13min)
カラム: 一般財団法人化学物質評価研究機構製「L−Column2 ODS」(2.1×150mm,5μm)
検出: MS(ESI+)
注入量: 10μL
定量方法:化合物(I)(以下の単離方法により得られた化合物)を用い、メタノールで溶解して濃度が0.1、0.5、1、5、10、50、100mg/kgの検量線用溶液を調製した。LC−MS(株式会社島津製作所製「LCMS−2020」)を用いて上記の条件により測定し、化合物(I)量を定量するための検量線を作成した。得られたピークから、上記検量線により化合物(I)の含有量を定量した。
(化合物(I)の単離方法)
比較例2で得られたインク組成物から、上述の方法で上澄みを採取し、105℃で12時間乾燥して粘ちょう物を得た。粘ちょう物を応研商事製TEM用グリッドメッシュ「♯09−1031 200−Aメッシュ SUS」に通し、イオン交換水で洗浄してメッシュ上に残った結晶物を回収した。結晶物を105℃で12時間乾燥させたのち、この操作を10回繰り返すことで化合物(I)を単離した。
本化合物をMS−MS(サーモ・サイエンティフィックス社製「Q−Exactive」)(極性:ポジティブ)にて解析した結果、m/z345([M+H]:345.1194 C1617)を示し、さらにフラグメント解析により、式(I−1−1)又は式(I−2−1)で表される化合物であることが判った。
観測された主なフラグメントは、以下のとおりであった。
[CONHC6H4OCH3]+; 150.0551,
[NC6H3(NO2)(OCH3)]+H+; 167.0452,
[COCH2NNC6H3(NO2)(OCH3)]+;222.0511
[目詰まり評価]
インク組成物を70℃で1日静置し、さらに25℃で1日静置して、測定用試料とした。前記試料を均一にし、その5mLを採取して、孔径10μmのSUS製フィルターを用いて吸引ろ過を行った。そのフィルター表面全面を光学顕微鏡(倍率:20倍)で観察して板状固形物粒子の数を測定した。前記粒子の数が少ないほど目詰まり性が良好である。
[保存安定性評価]
インク組成物を70℃で7日放置後、粒径の初期(インク製造直後)に対する変化率を求めた。変化率が小さいほど保存安定性が良好である。なお粒径は以下の方法で測定した。
〔粒径測定方法〕
大塚電子株式会社製レーザー粒子解析システム「ELS−8000」(キュムラント解析)を用いて測定した。測定試料は、固形分が約5×10−3質量%なるよう水で希釈したものを用いた。測定条件は、温度:25℃、入射光と検出器との角度:90°、積算回数:100回、分散溶媒の屈折率:1.333とし、体積中位粒径D50を測定した。
[発色性評価]
インク組成物をセイコーエプソン株式会社製印刷機「EM−930C」のカートリッジに充填し、PM写真用紙にduty100%でベタ印刷を行った。その後、マクベス社製分光測色計「Spectro Eye」にて測色し、bを求めた。bが大きいほど、発色性が良好である。
(実施例1)
(着色剤(PY74−1)の調製)
m−ニトロ−o−アニシジン70.4質量部を水600質量部と35質量%塩酸128質量部とからなる溶液に溶解攪拌し、0℃に冷却した。さらに亜硝酸ナトリウム30.3質量部を加え、5℃以下を保持しながら1時間攪拌して、生成物Aを得た。一方、アセト酢酸−o−アニシダイド90質量部を水2300質量部と水酸化ナトリウム18質量部とからなる溶液に溶解した。これに90質量%酢酸16質量部を添加析出させ、ついで酢酸ナトリウム400質量部を加えて生成物Bを得た。当該生成物Bに生成物Aを3時間かけて加えた。この間の反応は5℃に保持した。カップリング終了後に、ロジン15質量部を加え表面処理した。得られた顔料スラリーを濾過水洗し、さらにデカンテーションをおこない、圧搾して着色剤(PY74−1)を45質量%含有するウエットケーキ367質量部を得た。
(インク組成物の製造)
インク組成物の製造において、各成分の配合量は、表1に示したとおりである。上記で得られた着色剤(PY74−1)を45質量%含有するウエットケーキと、分散剤としてスチレン−アクリル酸樹脂(BASFジャパン株式会社製「ジョンクリル68」;以下「J68」ともいう)の25質量%水溶液とを混合し、サンドミルで直径0.5mmガラスビーズとともに2時間分散させた。その後ガラスビーズを取り除き、粗大粒子を除去した後、10μmのメンブランフィルターでろ過し、分散液を得た。得られた分散液と、着色剤及び分散剤以外の表1記載の成分とを均一に撹拌混合し、孔径5μmのメンブランフィルターでろ過して、実施例1のインク組成物を得た。各種評価の結果を表1に示した。
(実施例2)
(着色剤(PY74−2)の調製)
酢酸ナトリウム400質量部を200質量部に代えた以外は、実施例1と同様の工程にて着色剤を調製し、着色剤(PY74−2)を得た。
(インク組成物の製造)
PY74−1に代えて上記PY74−2を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインク組成物を製造した。各種評価の結果を表1に示した。
(実施例3)
(着色剤(PY74−3)の調製)
酢酸ナトリウム400質量部を100質量部に代えた以外は、実施例1と同様の工程にて着色剤を調製し、着色剤(PY74−3)を得た。
(インク組成物の製造)
PY74−1に代えて上記PY74−3を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインク組成物を製造した。各種評価の結果を表1に示した。
(比較例1)
(着色剤(PY74−4)の調製)
酢酸ナトリウム400質量部を85質量部に代えた以外は、実施例1と同様の工程にて着色剤を調製し、着色剤(PY74−4)を得た。
(インク組成物の製造)
PY74−1に代えて上記PY74−4を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインク組成物を製造した。各種評価の結果を表1に示した。
(比較例2)
(着色剤(PY74−5)の調製)
酢酸ナトリウム400質量部を50質量部に代えた以外は、実施例1と同様の工程にて着色剤を調製し、着色剤(PY74−5)を得た。
(インク組成物の製造)
PY74−1に代えて上記PY74−5を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインク組成物を製造した。各種評価の結果を表1に示した。
(比較例3)
(着色剤(PY74−6)の調製)
実施例1で得られた、着色剤(PY74−1)を45質量%含有するウエットケーキ367質量部にテトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)を367質量部添加して化合物(I)をテトラヒドロフラン中へ抽出、洗浄し、溶媒を除去した後水洗を繰り返して着色剤(PY74−6)を45質量%含有するウエットケーキ367質量部を得た。
(インク組成物の製造)
PY74−1に代えて上記PY74−6を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインク組成物を製造した。各種評価の結果を表1に示した。
Figure 0006326314
以上の結果から、インク組成物中の化合物(I)の含有量は、低いほど、目詰まり性の評価において優れた結果を示した。インク組成物中の化合物(I)は、特定の範囲の量であれば、優れた保存安定性を示した。インク組成物は、化合物(I)を所定量以上含むことで、優れた発色性を示した。
本発明によれば、C.I.ピグメントイエロー74を含有するインク組成物であって、吐出不良が発生しにくく、保存安定性及び発色性に優れたインク組成物が得られるため、インクジェット記録のインクとして用いられる。

Claims (7)

  1. C.I.ピグメントイエロー74と、インク組成物中1mg/kg以上50mg/kg以下の、式(I−1)又は(I−2)で表される化合物(I)とを含有し、かつ
    該C.I.ピグメントイエロー74及び化合物(I)の合計量に対して20mg/kg以上1000mg/kg以下の化合物(I)を含有するインク組成物。
    Figure 0006326314

    Figure 0006326314
  2. 式(I−1)で表される化合物が式(I−1−1)で表される化合物であり、式(I−2)で表される化合物が式(I−2−1)で表される化合物である、請求項1に記載のインク組成物。
    Figure 0006326314

    Figure 0006326314
  3. 前記C.I.ピグメントイエロー74及び化合物(I)の合計含有量が、1質量%以上10質量%以下である、請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記C.I.ピグメントイエロー74が、m−ニトロ−o−アニシジンとアセト酢酸−o−アニシダイドとのカップリング反応によって得られるものである、請求項1〜3のいずれかに記載のインク組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法。
  6. 請求項5に記載の方法によって得られる、記録物。
  7. C.I.ピグメントイエロー74と、該C.I.ピグメントイエロー74及び化合物(I)の合計量に対して20mg/kg以上1000mg/kg以下の、式(I−1)又は(I−2)で表される化合物(I)と、を含有する着色剤組成物。
    Figure 0006326314

    Figure 0006326314
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