JP2014189707A - インクジェット記録用水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自己分散型顔料の配合量を増やした場合においても、再分散性を低下させることなく、光学濃度(OD値)を高くすることが可能であり、かつ、白スジ状のムラ(バンディング)も抑制された記録画像をえることが可能なインクジェット記録用水性インクを提供する。
【解決手段】着色剤及び水を含むインクジェット記録用水性インクであって、前記着色剤が、下記(a)に示す物質を含み、さらに、前記水性インクが、下記(b)に示す物質及び(c)に示す物質を含む。(a):カルボン酸基により修飾された自己分散型顔料(b):ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸又はその塩(c):一般式(1)で表される化合物
Figure 2014189707

【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録用水性インクには、高い光学濃度(OD値)及び高速記録に対応可能な速乾性が求められている。これらを実現可能なものとして、自己分散型顔料の配合量等を調整したインクジェット記録用水性インクが提案されている(特許文献1)。
特開2004−35716号公報
しかし、光学濃度(OD値)を向上させるために、自己分散型顔料の配合量を増やしたのでは、インクジェット記録用水性インクの再分散性が低下する。また、高速記録に対応可能な速乾性を得るために、インクジェット記録用水性インクの吐出量を少なくすると、記録画像に白スジ状のムラ(バンディング)が発生し、結果として光学濃度(OD値)が低下することがある。
そこで、本発明は、自己分散型顔料の配合量を増やした場合においても、再分散性を低下させることがなく、インクジェット記録用水性インクの吐出量を少なくしても白スジ状のムラ(バンディング)も抑制することで光学濃度(OD値)の高い記録画像を得ることが可能なインクジェット記録用水性インクを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録用水性インクは、
着色剤及び水を含むインクジェット記録用水性インクであって、
前記着色剤が、下記(a)に示す物質を含み、
さらに、前記水性インクが、下記(b)に示す物質及び(c)に示す物質を含むことを特徴とする。

(a):カルボン酸基により修飾された自己分散型顔料
(b):ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸又はその塩
(c):一般式(1)で表される化合物

Figure 2014189707
一般式(1)において、
Rは、水素原子、若しくは、置換又は無置換のアルキル基であり、前記アルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよく、
Aは、アニオン基であり、
Xは、H若しくはアルカリ金属イオンである。
本発明のインクジェット記録用水性インクは、前記(b)に示す物質及び前記(c)に示す物質を併用しているため、自己分散型顔料(前記(a)に示す物質)の配合量を増やした場合においても、再分散性を低下させることなく、光学濃度(OD値)を高くすることが可能であり、かつ、白スジ状のムラ(バンディング)も抑制された記録画像を得ることが可能である。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示す概略斜視図である。
本発明において、インクジェット記録用水性インク(以下、「水性インク」又は「インク」と言うことがある。)の再分散性とは、例えば、水性インクが一度蒸発乾固し、固形物が生じた後、新たに水性インクと接触した際の前記固形物の溶解性及び分散性を意味する。水性インクの再分散性は、例えば、後述の実施例に記載の方法で評価できる。
本発明において、高速記録に対応可能な速乾性をえうる水性インクの吐出量としては、例えば、600dpi×300dpiにおいては28pL〜32pLがあげられる。ただし、前記吐出量は、解像度、水性インクの組成等により様々であり、前述の例に限定及び制限されない。
本発明の水性インクについて説明する。本発明の水性インクは、着色剤及び水を含む。
前述のとおり、前記着色剤は、前記(a)に示す物質(カルボン酸基により修飾された自己分散型顔料、以下、「カルボン酸基修飾自己分散型顔料」という。)を含む。前記カルボン酸基修飾自己分散型顔料は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「CAB−O−JET(登録商標)300」等があげられる。前記水性インクは、高分子顔料分散剤を含んでもよいし、含まなくてもよい。前記水性インクが高分子顔料分散剤を含む場合には、前記水性インクの粘度に影響を与えない程度の量であることが好ましい。このように、本発明の水性インクは、前記カルボン酸基修飾自己分散型顔料を使用しているため、高分子顔料分散剤に起因する粘度上昇の問題が無く、且つ、吐出安定性及び保存安定性に優れたものとすることができる。
前記水性インク全量に対する前記カルボン酸基修飾自己分散型顔料の固形分配合量(顔料固形分量)は、特に限定されず、例えば、所望の光学濃度又は色彩等により、適宜決定できる。前記顔料固形分量は、例えば、0.1重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜15重量%であり、より好ましくは、2重量%〜10重量%である。
前記着色剤は、前記カルボン酸基修飾自己分散型顔料に加え、さらに他の顔料及び染料等を含んでもよい。
前記水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。前記水性インク全量に対する前記水の配合量(水割合)は、例えば、10重量%〜90重量%であり、好ましくは、40重量%〜80重量%である。前記水割合は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
前述のとおり、前記水性インクは、さらに、前記(b)に示す物質(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸又はその塩)及び前記(c)に示す物質(一般式(1)で表される化合物)を含む。
前記(b)に示す物質は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、ライオン(株)製の「リパール(登録商標)835I」、「リパール(登録商標)860K」、「リパール(登録商標)870P」等があげられる。前記(b)に示す物質を配合した水性インクは、浸透性に優れる。このため、前記(b)に示す物質を配合した水性インクによれば、光学濃度(OD値)が高く、かつ、白スジ状のムラ(バンディング)も抑制された記録画像を得ることが可能である。前記(b)に示す物質における塩は、特に限定されず、例えば、ナトリウム塩等があげられる。前記(b)に示す物質は、前記水性インク中において、塩における対イオンが電離したイオンの状態であってもよい。前記水性インク全量に対する前記(b)に示す物質の配合量は、例えば、0.1重量%〜5重量%であり、好ましくは、0.2重量%〜4重量%であり、より好ましくは、0.3重量%〜3重量%である。前記(b)に示す物質の配合量は、塩を含まない場合の酸(又は、対イオンが電離したイオン)単独の配合量、酸(又は、対イオンが電離したイオン)を含まない場合の塩単独の配合量、並びに酸(又は、対イオンが電離したイオン)及び塩の双方を含む場合の酸(又は、対イオンが電離したイオン)及び塩の合計配合量を含む。
前記水性インクにおいて、前記(a)に示す物質と前記(b)に示す物質との比率(b/a)が、重量比で0.09/1〜0.35/1であることが好ましい。b/aを前記範囲とすることで、光学濃度(OD値)がより高く、かつ、白スジ状のムラ(バンディング)がより抑制された記録画像を得ることができる。
つぎに、前記(c)に示す物質(一般式(1)で表される化合物)について説明する。前述のとおり、一般式(1)において、Rは、水素原子、若しくは、置換又は無置換のアルキル基であり、前記アルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等があげられる。前記置換アルキル基の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;カルボン酸塩、スルホン酸塩等のイオン性親水性基等があげられる。一般式(1)において、Rは、炭素原子数8〜12の直鎖アルキル基、すなわち、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基であることが好ましい。一般式(1)において、Rは、オルト位、パラ位、メタ位のいずれに位置してもよい。
前述のとおり、一般式(1)において、Aは、アニオン基である。前記アニオン基としては、例えば、スルホン酸アニオン基(−SO )、カルボン酸アニオン基(−COO)等があげられ、再分散性を考慮すると、スルホン酸アニオン基(−SO )であることが好ましい。
前述のとおり、一般式(1)において、Xは、H若しくはアルカリ金属イオン(Li、Na、K、Rb、Cs又はFr)である。
前記(c)に示す物質は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、東京化成工業(株)製のベンゼンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸;花王(株)製の「ネオペレックス(登録商標)G−15」(ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム)等があげられる。
前記(c)に示す物質を、前記(a)に示す物質と併用することで、再分散性に優れた水性インクを得ることができる。この再分散性向上のメカニズムは、例えば、つぎのように推測される。すなわち、前記(a)に示す物質(カルボン酸基修飾自己分散型顔料)のカーボンブラック及び前記(c)に示す物質(一般式(1)で表される化合物)のベンゼン環には、それぞれ、π電子が存在する。これらのπ電子の相互作用により、前記(c)に示す物質は前記(a)に示す物質の近傍にあり、且つ前記(c)に示す物質(一般式(1)で表される化合物)中のAであるアニオン基の静電反発作用及びRの立体障害作用により、前記(a)に示す物質の凝集が抑制され、再分散性が向上する。ただし、このメカニズムは推測であり、本発明を限定するものではない。
前記水性インク全量に対する前記(c)に示す物質の配合量は、例えば、0.01重量%〜5重量%であり、好ましくは、0.02重量%〜3重量%であり、より好ましくは、0.04重量%〜2重量%である。
前記水性インクにおいて、前記(b)に示す物質と前記(c)に示す物質との比率(c/b)が、重量比で0.07/1〜0.5/1であることが好ましい。c/bを前記範囲とすることで、再分散性により優れた水性インクを得ることができる。
前記水性インクは、さらに、インクジェットヘッドのノズル先端部における水性インクの乾燥を防止する湿潤剤及び記録媒体上での乾燥速度を調整する浸透剤を含んでもよい。
前記湿潤剤は、特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン等のケトン;ジアセトンアルコール等のケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリアルキレングリコール等のポリエーテル;アルキレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等があげられる。前記アルキレングリコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等があげられる。これらの湿潤剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの中で、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。
前記水性インク全量に対する前記湿潤剤の配合量は、例えば、0重量%〜95重量%であり、好ましくは、5重量%〜80重量%であり、より好ましくは、5重量%〜50重量%である。
前記浸透剤は、例えば、グリコールエーテルがあげられる。前記グリコールエーテルは、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル等があげられる。前記浸透剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記水性インク全量に対する前記浸透剤の配合量は、例えば、0重量%〜20重量%であり、好ましくは、0.1重量%〜15重量%であり、より好ましくは、0.5重量%〜10重量%である。
前記水性インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、前記(b)に示す物質及び前記(c)に示す物質以外の界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
前記水性インクは、例えば、前記(a)に示す物質、水、前記(b)に示す物質及び前記(c)に示す物質と、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
つぎに、本発明のインクカートリッジは、インクジェット記録用水性インクを含むインクカートリッジであって、前記水性インクが、本発明のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とする。前記インクカートリッジの本体としては、例えば、従来公知のものを使用できる。
つぎに、本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部及びインク吐出手段を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって吐出するインクジェット記録装置であって、前記インク収容部に、本発明のインクジェット記録用水性インクが収容されていることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に水性インクをインクジェット方式により吐出して記録するインクジェット記録方法であって、前記水性インクとして、本発明のインクジェット記録用水性インクを用いることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、例えば、本発明のインクジェット記録装置を用いて実施可能である。前記記録は、印字、印画、印刷等を含む。
図1に、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す。図示のとおり、このインクジェット記録装置1は、4つのインクカートリッジ2と、インク吐出手段(インクジェットヘッド)3と、ヘッドユニット4と、キャリッジ5と、駆動ユニット6と、プラテンローラ7と、パージ装置8とを主要な構成要素として含む。
4つのインクカートリッジ2は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色の水性インクを、それぞれ1色ずつ含む。例えば、前記水性ブラックインクが、本発明のインクジェット記録用水性インクである。その他の水性インクは、一般的な水性インクを用いてよい。ヘッドユニット4に設置されたインクジェットヘッド3は、記録媒体(例えば、記録用紙)Pに記録を行う。キャリッジ5には、4つのインクカートリッジ2及びヘッドユニット4が搭載される。駆動ユニット6は、キャリッジ5を直線方向に往復移動させる。駆動ユニット6としては、例えば、従来公知のものを使用できる(例えば、特開2008−246821号公報参照)。プラテンローラ7は、キャリッジ5の往復方向に延び、インクジェットヘッド3と対向して配置されている。
パージ装置8は、インクジェットヘッド3の内部に溜まる気泡等を含んだ不良インクを吸引する。パージ装置8としては、例えば、従来公知のものを使用できる(例えば、特開2008−246821号公報参照)。
パージ装置8のプラテンローラ7側には、パージ装置8に隣接してワイパ部材20が配設されている。ワイパ部材20は、へら状に形成されており、キャリッジ5の移動に伴って、インクジェットヘッド3のノズル形成面を拭うものである。図1において、キャップ18は、水性インクの乾燥を防止するため、記録が終了するとリセット位置に戻されるインクジェットヘッド3の複数のノズルを覆うものである。
本例のインクジェット記録装置1においては、4つのインクカートリッジ2は、ヘッドユニット4と共に、1つのキャリッジ5に搭載されている。ただし、本発明は、これに限定されない。前記インクジェット記録装置において、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジは、ヘッドユニット4とは別のキャリッジに搭載されていてもよい。また、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジは、キャリッジ5には搭載されず、インクジェット記録装置内に配置、固定されていてもよい。これらの態様においては、例えば、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジと、キャリッジ5に搭載されたヘッドユニット4とが、チューブ等により連結され、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジからヘッドユニット4に前記水性インクが供給される。
このインクジェット記録装置1を用いたインクジェット記録は、例えば、つぎのようにして実施される。まず、記録用紙Pが、インクジェット記録装置1の側方又は下方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙される。記録用紙Pは、インクジェットヘッド3と、プラテンローラ7との間に導入される。導入された記録用紙Pに、インクジェットヘッド3から吐出される水性インクにより所定の記録がされる。本発明の水性インクは、再分散性にも優れるため、インクジェットヘッド3からの安定した吐出が可能である。また、本発明の水性インクによれば、光学濃度(OD値)が高く、かつ、白スジ状のムラ(バンディング)が抑制された記録画像を得ることが可能である。記録後の記録用紙Pは、インクジェット記録装置1から排紙される。図1においては、記録用紙Pの給紙機構及び排紙機構の図示を省略している。
図1に示す装置では、シリアル型インクジェットヘッドを採用するが、本発明は、これに限定されない。前記インクジェット記録装置は、ライン型インクジェットヘッドを採用する装置であってもよい。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例及び比較例により限定及び制限されない。
[実施例1及び比較例1]
水性インク組成(表1及び表2)における、自己分散型カーボンブラックを除く成分を、均一に混合しインク溶媒を得た。つぎに、水に分散させた自己分散型カーボンブラックに前記インク溶媒を加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過することで、実施例1−1〜1−16及び比較例1−1〜1−11のインクジェット記録用水性インクを得た。
[実施例2及び比較例2]
水性インク組成(表3)における、自己分散型カーボンブラックを除く成分を、均一に混合しインク溶媒を得た。つぎに、水に分散させた自己分散型カーボンブラックに前記インク溶媒を加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過することで、実施例2−1〜2−2及び比較例2−1〜2−3のインクジェット記録用水性インクを得た。
実施例及び比較例の水性インクについて、(a)再分散性評価、(b)白スジ状のムラ(バンディング)評価及び(c)光学濃度(OD値)測定を、下記方法により実施した。
(a)再分散性評価
実施例及び比較例の水性インク12μLを、スライドガラス上に滴下した。ついで、前記スライドガラスを、温度60℃、相対湿度40%の環境下にて1日保存することで、前記水性インクを蒸発乾固させた。つぎに、前記保存後の固形物上に純水を1mL滴下した。このようにして作製した評価サンプルを目視及び顕微鏡(倍率200倍)にて観察し、下記評価基準に従って再分散性を評価した。
再分散性評価 評価基準
AA:顕微鏡観察でも粗大な粒子・異物は見られなかった
A :目視観察では異常はないが、顕微鏡観察により実用上問題ないレベルの極少量の粗大な粒子が観察された
B :再分散(純水に溶解・分散)はしているが、目視観察により溶け残りが確認された
C :まったく再分散しなかった
(b)白スジ状のムラ(バンディング)評価
ブラザー工業(株)製のインクジェットプリンタ搭載デジタル複合機DCP−J525Nを用いて、600×300dpi、インク液滴量30pL、100%duty(ベタ画像)の条件で、実施例及び比較例の水性インクの吐出により、3inch×3inch(7.62cm×7.62cm)の評価パッチを記録した。このようにして作製した評価パッチを目視にて観察し、下記評価基準に従って白スジ状のムラ(バンディング)を評価した。
白スジ状のムラ(バンディング)評価 評価基準
G :評価パッチに白スジ状のムラ(バンディング)が確認されなかった
NG:評価パッチに白スジ状のムラ(バンディング)が確認された
(c)光学濃度(OD値)測定
前記「(b)白スジ状のムラ(バンディング)評価」と同様にして作製した評価パッチ中の5箇所の光学濃度(OD値)を、X−Rite社製の分光測色計SpectroEye(光源:D50、視野:2°、濃度基準:ANSI T)により測定し、平均値を求めた。評価パッチの作製には、International Paper社製のHammer Mill Laser Print 24lb(普通紙1)及びXerox社製の4200(普通紙2)を用いた。
実施例1の水性インクの水性インク組成及び測定・評価結果を、表1に示す。また、比較例1の水性インクの水性インク組成及び測定・評価結果を、表2に示す。さらに、実施例2及び比較例2の水性インク組成及び測定・評価結果を、表3に示す。
Figure 2014189707
Figure 2014189707
Figure 2014189707
表1に示すとおり、顔料固形分量を4.00重量%とした実施例1−1〜1−16では、再分散性評価及び白スジ状のムラ(バンディング)評価の結果に優れ、光学濃度(OD値)も高かった。(b)に示す物質として、一般式(1)におけるAがスルホン酸アニオン基(−SO )である化合物を用いた実施例1−1〜1−3及び1−7〜1−16では、特に再分散性評価の結果が優れていた。
一方、表2に示すように、顔料固形分量を4.00重量%とし、かつ、(b)に示す物質を用いなかった比較例1−1及び1−5〜1−8、並びに(b)に示す物質に代えてラウリルスルホコハク酸2ナトリウム又はポリオキシエチレンアルキル(C=12,13)エーテル硫酸ナトリウム(3E.O.)を用いた比較例1−9及び1−10では、白スジ状のムラ(バンディング)評価の結果が悪く、光学濃度(OD値)も低かった。また、顔料固形分量を4.00重量%とし、かつ、(b)に示す物質に代えてアセチレンジオールのエチレンオキサイド(10モル)付加物を用いた比較例1−11では、光学濃度(OD値)が低かった。そして、顔料固形分量を4.00重量%とし、かつ、(c)に示す物質を用いず、(b)に示す物質の配合量を0.07重量%とした比較例1−2では、白スジ状のムラ(バンディング)評価の結果が悪く、光学濃度(OD値)も低かった。さらに、顔料固形分量を4.00重量%とし、かつ、(c)に示す物質を用いず、(b)に示す物質の配合量を0.17重量%とした比較例1−3では、再分散性評価及び白スジ状のムラ(バンディング)評価の結果が悪く、光学濃度(OD値)も低かった。さらに、顔料固形分量を4.00重量%とし、かつ、(c)に示す物質を用いず、(b)に示す物質の配合量を0.34重量%とした比較例1−4では、再分散性評価の結果が悪かった。
また、表3に示すとおり、顔料固形分量を7.00重量%とした実施例2−1〜2−2でも、再分散性評価及び白スジ状のムラ(バンディング)評価の結果に優れ、光学濃度(OD値)も高かった。一方、顔料固形分量を7.00重量%とし、かつ、(b)に示す物質を用いなかった比較例2−1では、白スジ状のムラ(バンディング)評価の結果が悪く、光学濃度(OD値)も低かった。また、顔料固形分量を7.00重量%とし、かつ、(c)に示す物質を用いなかった比較例2−2及び2−3では、再分散性評価の結果が悪かった。
以上のように、本発明の水性インクは、自己分散型顔料の配合量を増やした場合においても、再分散性を低下させることなく、光学濃度(OD値)を高くすることが可能であり、かつ、白スジ状のムラ(バンディング)も抑制された記録画像をえることが可能なものである。本発明の水性インクの用途は、特に限定されず、各種のインクジェット記録に広く適用可能である。
1 インクジェット記録装置
2 インクカートリッジ
3 インク吐出手段(インクジェットヘッド)
4 ヘッドユニット
5 キャリッジ
6 駆動ユニット
7 プラテンローラ
8 パージ装置

Claims (8)

  1. 着色剤及び水を含むインクジェット記録用水性インクであって、
    前記着色剤が、下記(a)に示す物質を含み、
    さらに、前記水性インクが、下記(b)に示す物質及び(c)に示す物質を含むことを特徴とするインクジェット記録用水性インク。

    (a):カルボン酸基により修飾された自己分散型顔料
    (b):ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸又はその塩
    (c):一般式(1)で表される化合物

    Figure 2014189707
    一般式(1)において、
    Rは、水素原子、若しくは、置換又は無置換のアルキル基であり、前記アルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよく、
    Aは、アニオン基であり、
    Xは、H若しくはアルカリ金属イオンである。
  2. 一般式(1)において、Aが、スルホン酸アニオン基(−SO )であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用水性インク。
  3. 前記(b)に示す物質と前記(c)に示す物質との比率(c/b)が、重量比で0.07/1〜0.5/1であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インク。
  4. 前記(a)に示す物質と前記(b)に示す物質との比率(b/a)が、重量比で0.09/1〜0.35/1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インク。
  5. 一般式(1)において、Rが、炭素原子数8〜12の直鎖アルキル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インク。
  6. インクジェット記録用水性インクを含むインクカートリッジであって、前記水性インクが、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  7. インク収容部及びインク吐出手段を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって吐出するインクジェット記録装置であって、
    前記インク収容部に、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インクが収容されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 記録媒体に水性インクをインクジェット方式により吐出して記録するインクジェット記録方法であって、
    前記水性インクとして、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
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