JP2016216568A - 顔料分散体およびインクジェット用インク - Google Patents

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Abstract

【課題】特にインクジェット用インクとして用いた場合に、優れた分散安定性を有し、安定した吐出を行うことのできる顔料分散体、並びにインクジェット用インクを提供すること。
【解決手段】明細書中に定義される一般式(1)で表される顔料と、該顔料の分散剤であり且つアニオン性基を有する単量体単位を含有する樹脂とを含む顔料分散体。並びに、インクジェット用インク。
【選択図】なし

Description

本発明は、顔料分散体およびインクジェット用インクに関する。
従来、有機顔料は、塗料、トナー、およびインクジェット用インクなど広い分野で使用されている。特に、インクジェット用インクにおいては、有機顔料には分散安定性の高さが求められており、結晶径が100nm程度にまで微細加工された有機顔料が好まれている。
また、β結晶相キナクリドンの製造方法として、以下の工程を含む製造方法が提案されている(特許文献1)。アルコールと塩基の存在下で、粗製β結晶相キナクリドンを粉砕して有機顔料の粒子サイズを縮小した有機顔料スラリーを製造する工程。得られたスラリーと酸化剤とを混合し、20〜60℃で0.1μm以上まで結晶成長させる工程。および、β結晶相キナクリドンを単離する工程。
特開平6−100788号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1に記載の従来の有機顔料の製造方法では、得られた有機顔料を含むインクを用いて、近年求められるような高温下で高速印字を行った際に、高い画質レベルの画像が得られない場合があった。
特許文献1には、有機顔料であるキナクリドンと、摩砕助剤と、アルコールとを混合し、粉砕処理をアルカリ条件下で行うことが示されている。しかし、水溶性有機溶剤を多く含む状態での粉砕は、有機顔料の粒子径を過剰に小さくする傾向があり、有機顔料の表面積を増大させる傾向がある。このため、有機顔料の結晶成長を経ても活性な表面が多く残存する場合がある。従って、得られた有機顔料を樹脂で分散し、インクジェット用インクとした場合に、顔料微粒子の凝集によって分散安定性が低下して、インクが詰まる等、吐出が不安定になる恐れがある。
よって、本発明の目的は、特にインクジェット用インクとして用いた場合に、優れた分散安定性を有し、安定した吐出を行うことのできる顔料分散体、並びにインクジェット用インクを提供することである。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、
下記一般式(1)で表される顔料と、該顔料の分散剤であり、且つ、アニオン性基を有する単量体単位を含有する樹脂と、を含むことを特徴とする顔料分散体である。
Figure 2016216568
(式中、AおよびBは、各々独立に、水素原子、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、ただし、AおよびBのいずれか一方または両方は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、
11〜R18は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、または、メトキシ基を表す。)。
また、本発明は、上記一般式(1)で表される顔料と、該顔料の分散剤であり且つアニオン性基を有する単量体単位を含有する樹脂と、を含む顔料分散体であって、
(i)下記一般式(3)で表される顔料と、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液とを混合することにより、この顔料の構造中の窒素原子に結合している水素原子の少なくとも一部を脱離させるとともに、該水溶液中の金属イオンに該窒素原子を配位させ、前記一般式(1)で表される顔料を調製する工程と、
(ii)該一般式(1)で表される顔料と、該水溶液とを分離する工程と、
(iii)該一般式(1)で表される顔料と、前記樹脂とを混合することにより、該窒素原子と配位する金属イオンに、該樹脂が有するアニオン性基を配位させる工程と、
を含む製造方法により得られることを特徴とする顔料分散体である。
Figure 2016216568
(式中、R21〜R28は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、または、メトキシ基を表す。)。
さらに、本発明は、上記一般式(1)で表される顔料と、該顔料の分散剤であり、且つ、アニオン性基を有する単量体単位を含有する樹脂と、を含むことを特徴とするインクジェット用インクである。
本発明によれば、特にインクジェット用インクとして用いた場合に、優れた分散安定性を有し、安定した吐出を行うことのできる有機顔料分散体、並びにインクジェット用インクを提供することができる。
本発明者らは検討の結果、以下の知見を得て、本発明の顔料分散体に至った。
まず、キナクリドン骨格を有する特定の顔料(有機顔料)に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液であるアルカリ水溶液を接触させる。これにより、キナクリドン骨格中の窒素原子に結合している水素原子が脱離し、アルカリ水溶液に含まれる金属イオンに、この水素原子が脱離した窒素原子が配位する。そして、この窒素原子と配位結合する金属イオンの一部は、アルカリ水溶液と顔料とを分離した後においても顔料(粒子)中に残存する。次に、分離された顔料と、アニオン性基、例えばカルボキシル基を有する樹脂とを混合する。これにより、キナクリドン骨格中の窒素原子が配位した金属イオンに、樹脂に含まれるアニオン性基が配位する。この作用により、樹脂と顔料とが安定的に吸着し、顔料の分散安定性、および吐出安定性が向上することがわかった。また、かかる顔料分散体をインクジェット用のインクに使用した場合には、インクの長期的な吐出安定性が得られることがわかった。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
<顔料分散体>
本発明の顔料分散体(有機顔料分散体)は、以下の一般式(1)で表される顔料と、この顔料の分散剤であり且つアニオン性基を有する単量体単位を含有する樹脂とを含む。また、上記顔料分散体は、一般式(1)に示す構造に対して水素結合性を有する単量体単位を含有する樹脂をさらに含むことができる。さらに、上記顔料分散体は、他のキナクリドン骨格を有する有機顔料(例えば、後述する一般式(3)で表される顔料)、及び分散媒(例えば、水)などの他の成分を含むこともできる。
なお、本発明の顔料分散体は、分散媒中に、分散剤である上記樹脂の働きにより、分散質である顔料が分散した顔料分散液であることができる。
以下に、本発明の顔料分散体が含む各原料について説明する。
(一般式(1)で表される顔料)
本発明に用いる顔料は、下記一般式(1)に示す構造を有し、構造中に、キナクリドン骨格を有する。
Figure 2016216568
上記一般式(1)中、AおよびBは、各々独立に、水素原子、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、CsおよびFr)またはアルカリ土類金属(Ca、Sr、BaおよびRa)を表す。ただし、AおよびBのいずれか一方または両方は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表す。なお、AおよびBのいずれか一方または両方がアルカリ土類金属を表す場合は、本発明に用いる顔料は、このアルカリ土類金属に上記キナクリドン骨格が2つ配位した構造を有することができる。
上記キナクリドン骨格中の窒素原子と、アルカリ金属とは、アルカリ金属イオンにこの窒素原子が配位することにより結合が形成されることができる。また、上記キナクリドン骨格中の窒素原子と、アルカリ土類金属とは、アルカリ土類金属イオンにこの窒素原子が配位することにより結合が形成されることができる。
また、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18(R11〜R18)は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子(ハロゲン基)、アルキル基、または、メトキシ基を表す。ハロゲン原子としては、例えば、F、およびClが挙げられ、アルキル基としては、例えば、炭素数1以上3以下の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。このアルキル基としては、より具体的には、メチル基(−CH)、およびエチル基(−CHCH)を挙げることができる。
これらの顔料は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
なお、顔料が上記一般式(1)に示す構造を有していることは、エネルギーフィルター透過電子顕微鏡(EFTEM)により確認することができる。
本発明では、顔料として、2種類以上の、上記一般式(1)で表される顔料からなる混晶を用いることが好ましい。これにより、発色領域を一層拡大することができる。
なお、混晶とは、固溶体とも呼ばれ、2種類以上の化合物(ここでは、顔料)が互いに溶け合い、全体が均一の固相となっているものをいい、上記2種類以上の化合物を単純に混合したものとは異なる。単一の結晶状態のものと比較して、混晶にはより多くの結晶面が存在する。
混晶の製造方法は、例えば、特開昭60−35055号公報、および、特開平2−38463号公報に開示されている。2種類以上の顔料が混晶を形成しているか否かの検証は、X線回折分析などによって容易に行うことができる。2種類以上の顔料を単純に混合したものである場合、各顔料のX線回折パターンの重ね合わせに相当するパターンが得られ、そのピーク強度は各顔料の配合比率に比例する。一方、2種類以上の顔料が混晶を形成している場合、各顔料のX線回折パターンとは異なるX線回折パターンを示す。2種類以上の一般式(1)で表される顔料からなる混晶であると、キナクリドン骨格の修飾官能基の違いにより、結晶形成過程で配列にひずみが生じる。このひずみにより、顔料単体の回折パターンと異なる回折パターンが得られる。なお、混晶中の各顔料の配合比率は適宜設定することができる。
顔料分散体中の上記一般式(1)で表される顔料の合計含有割合は、分散安定性の観点から0.01質量%以上が好ましく、色域の観点から50質量%以下が好ましい。また、上記顔料の合計含有割合は、高温時の分散安定性の観点から0.1質量%以上がより好ましく、色域の観点から10質量%以下がより好ましい。
(アニオン性基を有する分散樹脂)
本発明で用いる分散樹脂(上記顔料の分散剤である樹脂)は、化学構造中に、アニオン性基を有する(アニオン性を呈する)単量体単位(ユニット)を含有する。即ち、本発明に用いる分散樹脂は、少なくともその一部にアニオン性基を有する単量体に由来するユニットを含む樹脂であれば良い。アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基(−COOH)、およびスルホン基(−SOH)などを挙げることができる。本発明において、これらの分散樹脂は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記分散樹脂中のアニオン性基を有するユニットの含有割合は、水溶性向上の観点から3質量%以上が好ましく、疎水結合性の観点から60質量%以下が好ましい。また、このユニットの含有割合は、高温時の水溶性の観点から5質量%以上がより好ましく、疎水結合性の観点から40質量%以下がより好ましい。
アニオン性基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸(AA)、およびメタクリル酸等を挙げることができる。
上記アニオン性基を有する分散樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸系樹脂、並びにアクリル酸ブチルーアクリル酸系樹脂などを挙げることができる。
また、上記分散樹脂は、化学構造中に、上記一般式(1)に示す構造に対して水素結合性を有する単量体単位を含有することが好ましい。即ち、上記分散樹脂は、少なくともその一部に水素結合性を有する単量体に由来するユニットを含む樹脂であることが好ましい。なお、上記一般式(1)に示す構造に対して水素結合性を有するとは、上記キナクリドン骨格中の窒素原子に結合する水素原子と、配位することを意味する。当然ながら、アルカリ金属、及び、アルカリ土類金属が配位した窒素原子には水素結合は形成されない。
上記分散樹脂が水素結合性を有することにより、上記一般式(1)に示す顔料に対して水素結合することができるため、分散樹脂と顔料との吸着を一層安定化することができる。
上記分散樹脂中の水素結合性を有するユニットの含有割合は、分散性の観点から5質量%以上が好ましく、水溶性の観点から50質量%以下が好ましい。また、このユニットの含有割合は、高温時の分散性の観点から10質量%以上がより好ましく、低温時における水溶性の観点から35質量%以下がより好ましい。
水素結合性を有する単量体としては、例えば、アクリロイルモルホリン(ACMO)、およびシクロヘキシルアクリレートなどを挙げることができる。
即ち、化学構造中にアニオン性基を有するユニットと水素結合性を有するユニットとを有する分散樹脂としては、例えば、以下のものを挙げることができる。スチレン−アクリル酸−アクリロイルモルホリン共重合体、およびスチレン−アクリル酸−シクロヘキシルアクリレート共重合体等。
また、上記分散樹脂の重量平均分子量は、分散安定性の観点から1,000以上であることが好ましく、溶解性の観点から20,000以下であることが好ましい。さらに、分散樹脂の酸価は、水溶性の観点から80mgKOH/g以上であることが好ましく、定着性の観点から250mgKOH/g以下であることが好ましい。
分散樹脂の形態としては、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、およびグラフト共重合体、ならびにこれらの塩などが挙げられる。
上記分散樹脂は、分散均一性の観点から、塩基を溶解した水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であることが好ましい。
本発明では、上記分散樹脂中の、上記アニオン性基を有する単量体単位の含有割合(濃度)A(質量%)と、上記水素結合性を有する単量体単位の含有割合B(質量%)とが、下記式2に示される関係を満たすことが好ましい。
(式2) 0.5 < B/A < 2.2
上記B/Aが0.5より大きければ、顔料に対する水素結合を利用した分散樹脂の吸着性に優れ、上記B/Aが2.2より小さければ、分散樹脂が適度な水溶性を容易に有することができ、良好な分散性を容易に得ることができる。
顔料分散体中の上記アニオン性基(及び必要に応じて水素結合性)を有する分散樹脂の合計含有割合は、分散安定性の観点から1質量%以上が好ましく、粘度の観点から30質量%以下が好ましい。また、この分散樹脂の合計含有割合は、高温時の分散安定性の観点から3質量%以上がより好ましく、色濃度の観点から20質量%以下がより好ましい。
なお、分散樹脂の化学構造については、IR、NMR、HPLC、GPC等により確認することができる。
(その他の成分)
上述したように、本発明の顔料分散体は、以下のようなその他の成分を含むことができる。
・一般式(1)に示す構造に対して水素結合性を有する樹脂
本発明の顔料分散体は、顔料の分散剤として、上述したアニオン性基を有する分散樹脂とは別に、上記一般式(1)に示す構造に対して水素結合性を有する単量体単位を有する樹脂をさらに含むことができる。この樹脂を含むことにより、光学濃度を一層高くすることできる。
この水素結合性を有する単量体単位を有する樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂を挙げることができる。
この樹脂中の水素結合性を有する単量体単位の含有割合は、色域の観点から1質量%以上が好ましく、粘度の観点から80質量%以下が好ましい。
この水素結合性を有する樹脂の重量平均分子量は、架橋作用の観点から1000以上が好ましく、粘度の観点から100000以下が好ましい。また、この樹脂の酸価は、水溶性の観点から10mgKOH/g以上が好ましく、定着性の観点から200mgKOH/g以下が好ましい。
また、この水素結合性を有する樹脂の形態としては、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、およびグラフト共重合体、ならびにこれらの塩などが挙げられる。
この水素結合性を有する樹脂は、分散均一性の観点から、塩基を溶解した水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であることが好ましい。
顔料分散体中のこの水素結合性を有する樹脂の含有割合は、分散安定性の観点から0.1質量%以上、粘度の観点から10質量%以下が好ましい。
なお、顔料分散体に、上述したアニオン性基を有する樹脂とは別に、上記水素結合性を有する樹脂を用いる場合は、この顔料分散体に含まれる、顔料の分散剤である全ての樹脂において、以下の関係を満たすことが好ましい。
即ち、上記全ての樹脂中の、上記アニオン性基を有する単量体単位の含有割合A(質量%)と、上記水素結合性を有する単量体単位の含有割合B(質量%)とが、上述した式2に示される関係を満たすことが好ましい。上記B/Aが0.5より大きければ、顔料に対する水素結合を利用した分散樹脂の吸着性に優れ、上記B/Aが2.2より小さければ、水溶性を容易に維持できる。
・その他のキナクリドン骨格を有する顔料
本発明の顔料分散体は、上記一般式(1)に示す顔料以外の他のキナクリドン骨格を有する顔料を含むこともできる。この他の顔料としては、例えば、後述する一般式(3)で表される顔料(有機顔料)、及び、その混晶体を挙げることができる。
顔料分散体に含まれる顔料の合計含有量を100質量%としたときに、その他の顔料の含有割合は、色域の観点から50質量%以上が好ましく、分散安定性の観点から99.99質量%以下が好ましい。例えば、顔料分散体に顔料として、一般式(1)で表される顔料及び一般式(3)で表される顔料のみを(例えば混合物として)含む場合は、以下とすることが好ましい。即ち、顔料分散体中のこれらの顔料の合計含有量を100質量%としたときに、一般式(1)で表される顔料の含有割合を0.01質量%以上50質量%以下とし、一般式(3)で表される顔料の含有割合を50質量%以上99.99質量%以下とすることが好ましい。
<顔料分散体の製造方法>
本発明の顔料分散体は、例えば、以下の工程を含む製造方法により得ることができる。
(i)下記一般式(3)で表される顔料と、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液(アルカリ水溶液と称することもある)とを混合することにより、この顔料の構造中の窒素原子に結合している水素原子の少なくとも一部を脱離させるとともに、前記水溶液中の金属イオンに前記窒素原子を配位させ、上述した一般式(1)で表される顔料を調製する工程。
(ii)前記一般式(1)で表される顔料と、前記水溶液とを分離する工程。
(iii)前記一般式(1)で表される顔料と、この顔料の分散剤であり且つアニオン性基を有する単量体単位を含有する樹脂とを混合することにより、前記窒素原子と配位する金属イオンに、この樹脂が有するアニオン性基を配位させる工程。
Figure 2016216568
式中、R21〜R28は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、または、メトキシ基を表す。なお、ハロゲン原子としては、例えば、Cl、およびFが挙げられ、アルキル基としては、例えば、炭素数1以上3以下の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。このアルキル基としては、より具体的には、メチル基(−CH)、およびエチル基(−CHCH)を挙げることができる。
また、上記製造方法は、例えば、後述する(iv)顔料の洗浄工程、および(v)顔料と、無機粉砕助剤との分離工程等の他の工程を有することもできる。
これらの工程(例えば、工程(v)及び(ii))は、順次行われても良いし、並行して(同時に)行われても良い。
以上の製造方法により、微細で分散安定性の高い顔料を含む顔料分散体を製造することができる。
以下に各工程を詳しく説明する。
(i)原料の顔料とアルカリ水溶液との混合工程
まず、上記一般式(3)に示す構造を有する顔料(原料の顔料)と、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液とを混合攪拌する。これにより、この顔料の構造中の窒素原子に結合している水素原子の少なくとも一部を脱離されるとともに、この水溶液中の金属イオンにこの窒素原子を配位させ、上記一般式(1)に示す構造を有する有機顔料を調製する。この際、原料の顔料全てが、一般式(1)の顔料に変換されなくても良く、未反応の顔料が反応系中に残存していても良い。
また、この混合工程では、顔料とアルカリ水溶液とともに、後述する無機粉砕助剤を一緒に混合することもできる。
(一般式(3)で表される顔料)
一般式(3)に示す顔料は、上述した一般式(1)に示す顔料の原料となる顔料である。この原料となる顔料を上記工程(i)に供することにより、一般式(1)に示す顔料を調製することができる。また、以下の2種類以上の、一般式(3)に示す顔料からなる混晶を上記工程(i)に供することにより、2種類以上の、一般式(1)に示す顔料からなる混晶を調製することができる。
一般式(3)で表わされる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド209、などが挙げられる。
また、2種類以上の一般式(3)に示す顔料からなる混晶としては、例えば、C.I.ピグメントレッド282、C.I.ピグメントバイオレット42などが挙げられる。また、市販品を使用することもできる。この市販品の具体例としては、Cinquasia Magenta D 4500 J、Cinquasia Magenta D 4400(以上、いずれも商品名、BASF社製)、Inkjet Magenta E7B LV 3958(商品名、クラリアント社製)などが挙げられる。
(アルカリ水溶液)
本発明では、アルカリ水溶液として、アルカリ金属の水酸化物、もしくは、アルカリ土類金属の水酸化物を水に溶解させたものを用いることができる。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ストロンチウム、および、水酸化バリウム等の水溶液を挙げることができる。
アルカリ水溶液と、原料の顔料との混合比は、特に限定されないが、原料の顔料がアルカリ水溶液によって十分に浸漬できるようにする。例えば、原料の顔料10質量部に対して、アルカリ水溶液を100質量部混合すれば良い。アルカリ水溶液の溶質(アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物)の濃度は溶質の種類によっても異なるが、水溶液がアルカリ性になるのに十分な量含まれるようにする。例えば、水酸化ナトリウムを溶質として用いる場合、調製する水酸化ナトリウム水溶液中の水酸化ナトリウム濃度を0.1質量%以上5.0質量%以下にすることができる。また、調製するアルカリ水溶液のpHは12以上であることが好ましく、アルカリ水溶液のpHが12以上であれば、工程(i)を短時間で容易に行うことができ、好ましい。
(無機粉砕助剤)
工程(i)において、より原料の顔料とアルカリ水溶液とを接触させるために、水に難溶性の無機粉砕助剤を加えて混合を行うことが好ましい。粉砕助剤が無機材料であれば、粉砕助剤が有機材料の場合と比較してより高い硬度が得られるため、撹拌中に粉砕助剤が摩耗し劣化するのを抑制できる。また、粉砕助剤が水に難溶であれば、撹拌中に顔料内に粉砕助剤が液体として残存し難い。そのため、顔料分散体中に、溶解した粉砕助剤を含む不純物が混合することを容易に防ぐことができ、保存安定性、吐出安定性に優れた顔料分散体を得ることができる。
水に難溶性の無機粉砕助剤としては、例えば、アルミナビーズ、ジルコニアビーズなどが挙げられる。また、無機粉砕助剤は、無機不純物の析出の観点から、アルカリ水溶液に耐性があることがより好ましい。
無機粉砕助剤と、原料の顔料との混合比は、特に制限は無いが、例えば、原料の顔料10質量部に対して、10質量部以上300質量部以下とすることができる。
また、無機粉砕助剤の直径を小さくすることにより、顔料と無機粉砕助剤との接触回数を増すことができ、より短時間で工程(i)を行うことができる。無機粉砕助剤の直径は、例えば、0.1mm以上0.3mm以下とすることができる。
(混合条件)
・撹拌装置
工程(i)に用いる撹拌装置は、原料の顔料と、アルカリ水溶液とが十分に接触できれば良く、従来公知のものを何れも使用することができる。例えば、ミックスローター、ペイントシェーカー、などの攪拌装置を使用できる。
・混合温度
混合温度は、特に限定されず、原料の顔料とアルカリ水溶液との撹拌を十分に行うことができれば良い。しかし、アルカリ水溶液が大気に接し、加熱により水が蒸発する恐れがある場合には、水の枯渇が生じない温度であることが好ましい。また、密閉条件下で、アルカリ水溶液が蒸発する恐れが無い場合には、気体が膨張し、漏れ出さない温度であることが好ましい。具体的には、混合温度は、10℃以上50℃以下とすることができる。
・攪拌時間
撹拌時間は、原料の顔料の使用量、および撹拌装置等によって適宜設定することができるが、原料の顔料とアルカリ水溶液とが十分に接触できる攪拌時間とすることが好ましい。具体的には、攪拌時間を10分以上300分以下とすることができる。
(ii)一般式(1)で表される顔料とアルカリ水溶液との分離工程
次に、工程(i)より得られる混合液中の、顔料と、アルカリ水溶液とを分離する。なお、工程(i)において、無機粉砕助剤を用いた場合は、工程(ii)および後述する工程(v)において、顔料を、アルカリ水溶液及び無機粉砕助剤と分離する。また、必要に応じて、この分離操作の後に、分離された顔料を乾燥させても良い。
なお、工程(i)より得られる混合液中の顔料は、上記一般式(1)で表される顔料の他に、未反応の顔料、即ち、上記一般式(3)で表される顔料を含んでいても良い。このため、上記工程(ii)によって分離回収される顔料は、一般式(1)で表される顔料以外に、他の顔料を含んでいても良い。
(分離方法)
本発明に用いることのできる分離方法としては、顔料とアルカリ水溶液とを分離できれば良く、従来公知のものを何れも使用することができる。例えば、遠心分離、ろ過、限外ろ過などの分離方法を用いることができる。
(iv)顔料の洗浄工程
顔料に含まれるアルカリ水溶液の成分を更に除去するために、分離工程の後または分離工程中に洗浄工程を加えることが好ましい。
(洗浄方法)
洗浄方法は、従来公知の方法を使用することができる。
例えば、遠心分離装置を用いる場合は、遠心管にアルカリ水溶液と顔料の混合物(工程(i)より得られる混合液)を入れ、遠心にて顔料を沈降させ、上澄み液を除去する。続いて、洗浄液(例えば、水)を遠心管に入れ、再度顔料と洗浄液とを混合させる。この後、再度遠心、洗浄液との混合をくり返すことにより、顔料のpHを下げることができる。
他の方法としては、ろ紙にアルカリ水溶液と顔料の混合物を滴下し、洗浄液(例えば、水)をくり返し滴下しpHを下げる方法が挙げられる。
また、顔料のpHが測定できない場合には、ろ液のpHを測定しても構わない。
この洗浄工程によって、顔料のpHを、この顔料を適用する装置(例えば、インクジェット記録装置)に損傷を与えない程度まで容易に下げることができる。例えば、中性であるpH7まで顔料のpHを下げることで、アルカリ水溶液によるインクジェット装置に対する損傷を容易に低減することができる。
・洗浄溶媒
顔料を洗浄する溶媒は、使用したアルカリ水溶液と混和できる溶媒であれば良いが、特に水を用いることが好ましい。洗浄溶媒として水を用いることにより、アルカリ水溶液によってpHが高くなっている状態から、中性である7程度まで顔料のpHを下げることができる。これにより、得られた顔料をインクジェット用インクに用いた場合に、アルカリに対して耐性の低い部材などに顔料が接触した際の損傷をより低減することができる。
(v)顔料と無機粉砕助剤との分離工程
さらに、工程(i)において、前述の水に難溶性の無機粉砕助剤を用いた場合、顔料と無機粉砕助剤とを分離する必要がある。例えば、無機粉砕助剤の直径が100μm以上300μm以下であり、顔料の直径が数十μmから数百μmであり、両者の直径が大きく異なる場合には、従来公知のろ過により分離が可能となる。また、両者の直径が近い場合には、顔料と無機粉砕助剤の密度を比較すると、無機粉砕助剤の方がより高い密度であることが多い。そのため、このような場合には、沈降速度の違いを利用して分離する方法を用いることができる。沈降速度の違いを利用する分離方法としては、例えば、遠心分離法が挙げられる。また、工程(ii)および(v)の分離工程において、複数種類の分離方法を組み合わせて用いても良い。
(iii)顔料と、分散樹脂との混合工程
続いて、工程(ii)(工程(ii)より後に他の工程を行った場合はその他の工程)より得られる顔料と、化学構造中に少なくともアニオン性基を有する単量体単位(ユニット)を有する分散樹脂とを混合する。これにより、一般式(1)中の窒素原子に配位する金属イオンに、この分散樹脂が有するアニオン性基を配位させることができる。混合方法としては、従来公知の方法を使用することができる。
ここで、上述したように、本発明の顔料分散体は、分散媒中に分散質である顔料が分散した顔料分散液であることができ、この場合には、この混合工程が、顔料分散液を調製する際の分散工程を兼ねることもできる。即ち、工程(iii)が、分散媒中で、上記工程(ii)より得られる顔料と、上記分散樹脂とを混合することにより、前記分散媒中にこの顔料を分散させる工程であることができる。
(分散方法)
分散媒中に顔料を分散処理する方法としては、公知の何れの分散方法を使用することができる。しかしながら、不純物の混入防止の観点から、分散手法としては、超音波分散、高圧ホモジナイザー分散などのメディアレス分散手法を用いることが好ましい。また、メディアレス分散手法の中でも、作用する圧力の高さの観点から、特に高圧ホモジナイザー分散を用いることが好ましい。高圧ホモジナイザー分散を実施できる分散機としては、例えば、商品名:ナノマイザー、ナノヴェイタ、スターバースト、LPEエコジナイザー、OMEGA、NanoMakerなどの製品がある。
<インク>
本発明のインクジェット用インクは、少なくとも、色材(顔料)と、顔料の分散剤である樹脂とを含み、さらに、水性媒体およびその他の成分を含むことができる。なお、本発明では、インクジェット用のインクの色材として少なくとも上述した一般式(1)に示す顔料を用い、さらに、上記樹脂として、少なくともアニオン性基を有するユニットを有する樹脂を用いる。この一般式(1)に示す顔料として、上記顔料製造方法の工程(ii)(工程(ii)の後に他の工程を行った場合はその他の工程)により得られた顔料を好適に用いることができる。
本発明のインクジェット用インクは、本発明の顔料分散体を含むことができ、さらに、以下の水性媒体およびその他の成分を含むことができる。
以下、本発明のインクジェット用のインクを構成する各成分について説明する。
(色材)
本発明のインクジェット用インクは、色材として、例えば上記製造方法の工程(ii)より得られる顔料を含有することができる。なお、インク中のこの顔料の含有量(質量%)は、未反応の顔料も含有する上記製造方法より得られる顔料の含有量を意味する。インクジェット用インク中の顔料(一般式(1)の顔料の他に、未反応の顔料も含む)の合計含有量は、インク全質量を基準(100質量%)として、光学濃度の観点から、好ましくは0.1質量%以上15.0質量%以下である。また、この顔料の合計含有量は、安定性の観点から、より好ましくは1.0質量%以上10.0質量%以下である。
(分散樹脂)
本発明のインクジェット用インクに用いる、樹脂としては、本発明の顔料分散体に用いる分散樹脂を同様に用いることができる。
インクジェット用インク中の分散樹脂の合計含有量(質量%)は、顔料インク全質量を基準(100質量%)として、分散安定性の観点から0.5質量%以上であることが好ましく、溶液粘度の観点から5.0質量%以下であることが好ましい。
(水性媒体)
本発明のインクは、分散安定性の観点から、水性媒体として、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を用いることが好ましい。水としては、不純物の析出の観点から、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、吐出安定性の観点から、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、さらには30.0質量%以上80.0質量%以下であることがより好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、保存安定性の観点から、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、さらには3.0質量%以上40.0質量%以下であることがより好ましい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1以上4以下のアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。エチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2個以上6個以下の炭素原子を含むアルキレングリコール類。1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ヘキサンジオールなどのアルキル基が3個以上6個以下の炭素原子を含むアルキルジオール類。グリセリン。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類。N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなど。
これらの水溶性有機溶剤の中でも、温度安定性の観点から、グリセリン、多価アルコール、および、多価アルコールのアルキルエーテルなどが好ましい。これらの水溶性有機溶剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(その他の成分)
本発明のインクは、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤などの添加剤を適宜添加することができる。このような添加剤のインク中における含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、吐出安定性の観点から、0.05質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、さらには0.2質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。
<インクの製造方法>
本発明のインクジェット用インクは、以下の工程を含む製造方法により得ることができる。
(I)上述した一般式(3)で表される顔料と、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液とを混合することにより、この顔料の構造中の窒素原子に結合している水素原子の少なくとも一部を脱離させるとともに、前記水溶液中の金属イオンに前記窒素原子を配位させ、上述した一般式(1)で表される顔料を調製する工程。
(II)前記一般式(1)で表される顔料と、前記水溶液とを分離する工程。
(III)水性媒体と、前記一般式(1)で表される顔料と、この顔料の分散剤であり且つアニオン性基を有する単量体単位を含有する樹脂とを混合し、インクジェット用インクを調製する工程。
なお、上記製造方法は、上述した顔料分散体の製造方法と同様に、これら以外の他の工程を含むことができる。
以下に各工程について説明する。
・工程(I)および(II)について
これらの工程は、上述した顔料分散体の製造方法における工程(i)及び(ii)と同様にして行うことができる。
・工程(III)について
工程(III)を行うことによって、一般式(1)中の窒素原子に配位する金属イオンに、分散樹脂が有するアニオン性基を配位させることができる。また、工程(III)を行うことによって、水性媒体中に顔料を分散させることができ、即ちこの工程は、分散工程であることもできる。
なお、本発明のインクは顔料の分散処理の際に公知の何れの分散手法を使用することができ、例えば、上記顔料分散体に用いた分散手法を同様に用いることができる。また、本発明のインクは顔料の分散処理後に粗粒除去を目的に公知の何れの分級手法を使用することができる。即ち、工程(III)は、分級工程を含むことができる。分級手法としては、遠心分離や、限外ろ過、透析などの膜分離などが挙げられる。
また、工程(III)は、2段階に分けて行うこともできる。具体的には、まず、一般式(1)に示す顔料と分散樹脂とを含む顔料分散液(上述した本発明の顔料分散体)を調製する。その後、この顔料分散液と、必要に応じて、水性媒体と、その他の成分とを混合し、さらに必要に応じて分級処理を行うことにより、本発明のインクジェット用インクを得ることもできる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の各例によって何ら限定されるものではない。なお、顔料分散液の製造、及び、インクの調製の記載における「部」及び「%」とは、特に指定のない限り、質量基準である。
(実施例1)
<顔料分散液の製造>
・原料の顔料とアルカリ水溶液とを混合、撹拌する工程(工程(i))
容積150mLのガラス瓶に、アルカリ水溶液として1規定(1N)NaOH水溶液67.5部を加え、さらに原料の顔料として無置換キナクリドン(大日精化製、商品名:クロモファインレッド PV19)7.5部を加え、蓋をしたうえでシールテープで覆い密閉した。この密閉したガラス瓶を、室温(25℃)下、5時間撹拌した。撹拌装置として、オーウエル製、商品名:LAU−Disperを用いた。
・得られた顔料とアルカリ水溶液とを分離する工程(工程(ii))
漏斗にろ紙(アドバンテック製、商品名:定性ろ紙No2)を設置し、工程(i)より得られた顔料とアルカリ水溶液との混合液を、ろ過し、両者を分離した。その際、ろ紙上に顔料のスラリーが残り、アルカリ水溶液はろ液として回収された。
ろ紙上の顔料を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の容器に移し、大気雰囲気下、60℃、15時間乾燥させ、褐色の顔料を得た。
・顔料分散液の調製(工程(iii))
工程(ii)より得られた顔料20部、分散樹脂水溶液(固形分の含有量=20.0%)50部、及び水30部を、高圧ホモジナイザー(商品名「スターバースト」、スギノマシン製)を使用して分散処理(処理圧:245MPa、20パス処理)した。この際、分散樹脂水溶液に用いる分散樹脂として、アニオン性及び水素結合性の樹脂(スチレン/アクリロイルモルホリン(ACMO)/アクリル酸(AA)の割合(質量基準)が60/20/20、重量平均分子量が8000、酸価が120mgKOH/gの共重合体)を用いた。
<分散剤の合成>
撹拌装置、窒素導入管、還流冷却装置、及び温度計を備えたフラスコに、メチルエチルケトン200部を加えた後、撹拌しながら窒素雰囲気下で80℃まで昇温した。その後、
スチレン60部、アクリロイルモルホリン20部、アクリル酸20部の混合液と、重合開始剤(商品名「V−59」、和光純薬製)1.9部及びメチルエチルケトン20部の混合液を、それぞれ2時間かけて80℃を維持したまま滴下した。滴下後、さらに80℃を維持して4時間撹拌して樹脂のメチルケトン溶液を得た。得られた樹脂は、酸価に対して当量の水酸化カリウム、及び適量のイオン交換水を加えた後、メチルエチルケトンを減圧下で除去して20%水溶液とした。
分散処理後、回転数5,000rpm(min−1)で30分間遠心分離を行うことにより凝集成分を除去し、さらにイオン交換水で希釈することで、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液Q‐1を得た。
顔料分散液Q−1中に含まれる、一般式(1)に示す顔料と、原料の顔料との比(質量基準)は、10/90であった。
また、この顔料分散液中の分散樹脂の含有量は8%であった。上述した遠心分離操作では、凝集成分として、凝集した顔料が主に沈降するため、得られる顔料分散液において、相対的に分散樹脂の比率が増加する傾向となる。このため、各原料の仕込み比率と、得られる顔料分散液中の各原料の含有割合とは異なることになる。
この顔料分散液の含有成分、無機粉砕助剤の使用の有無および調製した顔料の洗浄工程の有無を表1に示す。
<インクの調製>
次いで、以下に示す配合(合計100部)で各成分を混合撹拌し、混合物を得た。次いで、孔径1.2μmのメンブレンフィルター(商品名「HDCIIフィルター」、ポール製)にて、この混合物を加圧ろ過することによりインクを調製した。
[配合]
・工程(iii)より得られた有機顔料分散液 20.0部
・グリセリン(関東化学製) 5.0部
・ポリエチレングリコール(数平均分子量1,000)(関東化学製 5.0部
・ジエチレングリコール(関東化学製) 4.0部
・界面活性剤 1.0部
(商品名「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル製)
・イオン交換水 残部(65.0部)
<評価:吐出安定性>
上記で得られたインクをインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置、商品名:PIXUS iP3100(キヤノン製)に搭載した。この装置では、解像度が1200dpi×1200dpiであり、1/1200インチ×1/1200インチの単位領域に5ピコリットルのインク滴を1滴付与する条件で記録した画像は、記録デューティが100%であるベタ画像と定義される。A4サイズのPPC用紙、商品名:GF−500(キヤノン製)に、記録デューティを100%として、19cm×26cmのベタ画像を50枚記録した。なお、液体カートリッジにはセラミックヒーターを貼り付け、評価中の吐出ノズル内の温度が50℃で一定となるようにした。このときの10枚目及び50枚目のベタ画像の記録物を目視で観察することにより、以下の評価基準に基づきインクの吐出安定性を評価した。評価結果を表1に示す。本発明においては、以下の評価基準のCを許容できないレベルとした。
(評価基準)
A:50枚目においても白スジやカスレが見られない。
B:10枚目においては白スジやカスレは見られないが、50枚目において白スジやカスレが見られる。
C:10枚目において白スジやカスレが見られる。
(実施例2)
実施例1で用いた分散樹脂を、アクリル酸ブチル含む非水素結合性の樹脂(スチレン/アクリル酸ブチル(BA)/アクリル酸(AA)の割合(質量基準)が60/20/20、重量平均分子量が8000、酸価が120mgKOH/gの共重合体)に変更した。分散樹脂の合成方法はモノマー組成をスチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸とした以外は実施例1と同様にして合成した。それ以外は、実施例1と同様にして顔料分散液Q‐2およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例3)
原料の顔料を、ジメチルキナクリドン(大日精化製、商品名:クロモファインレッド PR122)(一般式(3)中の、R23およびR27がメチル基であるもの)に変更した以外は、実施例1と同様にして顔料分散液Q‐3およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例4)
原料の顔料を、ジクロロキナクリドン(BASF製、商品名:PR202)(一般式(3)中の、R23およびR27がClであるもの)に変更した以外は、実施例1と同様にして顔料分散液Q‐4およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例5)
原料の顔料を、BASF製 混晶キナクリドン、商品名2BC(無置換キナクリドン/2,9−ジクロロキナクリドン(質量比)=2/8)に変更した以外は、実施例1と同様にして顔料分散液Q‐5およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例6)
原料の顔料を、クラリアント製 混晶キナクリドン、商品名E7B(構成非開示)に変更した以外は、実施例1と同様にして顔料分散液Q‐6およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例7)
工程(i)において、原料の顔料及びアルカリ水溶液とともに、水難溶性の無機粉砕助剤、ニッカトー製、商品名:YTZボール、直径0.3mm、200部を加えて撹拌を行った。そして、工程(i)に続いて、工程(ii)より前に、無機粉砕助剤を、顔料及びアルカリ水溶液から分離する工程(工程(v))を行った。具体的には、目開き75μmのふるいにて、顔料及びアルカリ水溶液から無機粉砕助剤を分離する操作を行った。それら以外は実施例6と同様にして顔料分散液Q‐7およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例8)
水難溶性の無機粉砕助剤を、ニッカトー製、商品名:YTZボール、直径0.1mm、200部に変更した以外は実施例7と同様にして顔料分散液Q‐8およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例9)
工程(ii)において、ろ液のpHが中性であるpH7になるまで、ろ紙上の顔料を純水で洗浄する操作を行った(工程(iv))。それ以外は実施例8と同様にして顔料分散液Q‐9およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例10)
工程(i)に用いるアルカリ水溶液の濃度を0.1Nに変更した以外は実施例9と同様にして顔料分散液Q‐10およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例11)
工程(i)に用いるアルカリ水溶液の濃度を0.01Nに変更した以外は実施例9と同様にして顔料分散液Q‐11およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例12)
工程(i)に用いるアルカリ水溶液を1N−KOHに変更した以外は実施例6と同様にして顔料分散液Q‐12およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例13)
工程(i)に用いるアルカリ水溶液を1N−LiOHに変更した以外は実施例6と同様にして顔料分散液Q‐13およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例14)
工程(i)に用いるアルカリ水溶液を1N−CsOHに変更した以外は実施例6と同様にして顔料分散液Q‐14およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例15)
工程(i)に用いるアルカリ水溶液を1N−Ca(OH)に変更した以外は実施例6と同様にして顔料分散液Q‐15およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例16)
工程(i)に用いるアルカリ水溶液を1N−Ba(OH)に変更した以外は実施例6と同様にして顔料分散液Q‐16およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例17)
工程(i)に用いる無置換キナクリドンを、下記式(4)に示すジメトキシキナクリドン(USP3317539参考)に変更した以外は、実施例6と同様にして顔料分散液Q‐17およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。なお、このジメトキシキナクリドンは、無置換キナクリドンにおける、上述した一般式(1)中のR13及びR17位の水素原子をメトキシ基(‐OCH)にて置換したものである。
Figure 2016216568
なお、上述した実施例2〜17に用いた各顔料分散液における、顔料および分散樹脂の含有割合、並びに、一般式(1)に示す顔料と原料の顔料との比は、実施例1と同様であった。
(実施例18)
工程(iii)に用いる分散樹脂水溶液に、分散樹脂として、別の樹脂を更に10部添加した以外は実施例6と同様にして顔料分散液Q‐18およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。なお、上記別の樹脂としては、スチレン/シクロヘキシルアクリレート/アクリル酸(AA)の割合(質量基準)が60/20/20、重量平均分子量が6000、酸価が120mgKOH/gの共重合体を用いた。分散樹脂の合成方法はモノマー組成をスチレン/シクロヘキシルアクリレート/アクリル酸とした以外は実施例1と同様にして合成した。なお、この顔料分散液Q−18における、顔料の含有量は15.0%、分散樹脂の合計含有量は10%であり、一般式(1)に示す顔料と原料の顔料との比は10/90であった。
(実施例19)
実施例6の工程(iii)に用いる分散樹脂を、スチレン/アクリロイルモルホリン(ACMO)/アクリル酸(AA)の割合(質量基準)が38/42/20、重量平均分子量が8000、酸価が120mgKOH/gの共重合体に変更した。分散樹脂の合成方法はモノマー組成比をスチレン38部、アクリロイルモルホリン42部、アクリル酸20部とした以外は実施例1と同様にして合成した。それ以外は実施例6と同様にして顔料分散液Q‐19およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例20)
実施例6の工程(iii)に用いる分散樹脂を、スチレン/アクリロイルモルホリン(ACMO)/アクリル酸(AA)の割合(質量基準)が68/12/20、重量平均分子量が8000、酸価が120mgKOH/gの共重合体に変更した。分散樹脂の合成方法はモノマー組成比をスチレン68部、アクリロイルモルホリン12部、アクリル酸20部とした以外は実施例1と同様にして合成した。それ以外は実施例6と同様にして顔料分散液Q‐20およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(実施例21)
工程(iii)に用いる分散樹脂水溶液に、分散樹脂として、水素結合性の別の樹脂を更に2部添加した以外は実施例6と同様にして顔料分散液Q‐21およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。なお、上記別の樹脂としては、重量平均分子量が8000のウレタン樹脂(商品名: ユリアーノW600、荒川化学工業 社製)を用いた。
なお、上述した実施例19〜21に用いた各顔料分散液における、顔料および分散樹脂の含有割合、並びに、一般式(1)に示す顔料と原料の顔料との比は、実施例1と同様であった。
(比較例1)
工程(i)及び(ii)を行わずに、原料の顔料(無置換キナクリドン)を直接、工程(iii)に用いた以外は実施例1と同様にして顔料分散液Q‐22およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(比較例2)
比較例1で用いた分散樹脂を、アクリル酸ブチル含む非水素結合性の樹脂(スチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸の割合(質量基準)が60/20/20、重量平均分子量が8000、酸価が120mgKOH/gの共重合体)に変更した。それ以外は比較例1と同様にして顔料分散液Q‐23およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(比較例3)
比較例1で用いた分散樹脂を、ビニルピロリドンを含むノニオン性の樹脂(スチレン/ビニルピロリドン(VP)/アクリル酸(AA)の割合(質量基準)が60/20/20、重量平均分子量が8000、酸価が120mgKOH/gの共重合体)に変更した。分散樹脂の合成方法はモノマー組成をスチレン、ビニルピロリドン、アクリル酸とした以外は実施例1と同様にして合成した。それ以外は比較例1と同様にして顔料分散液Q‐24およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
(比較例4)
工程(i)において、アルカリ水溶液の代わりに、酸性水溶液である1N−HClを用いた以外は実施例1と同様にして顔料分散液Q‐25およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
比較例4では、用いた水溶液が酸性であるために、原料の顔料は、工程(i)を経ても構造が変化することはなかった。即ち、一般式(3)における窒素原子に結合した水素原子は他の基に変化することはなかった。
(比較例5)
工程(i)において、アルカリ水溶液の代わりに、純水を用いた以外は実施例1と同様にして顔料分散液Q‐26およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
比較例5では、用いた水溶液が中性であるために、原料の顔料は、工程(i)を経ても構造が変化することはなかった。即ち、一般式(3)における窒素原子に結合した水素原子は他の基に変化することはなかった。
(比較例6)
工程(i)において、原料の顔料及びアルカリ水溶液とともに、メタノールを37.5部加えて撹拌を行った。また、工程(i)に続いて、工程(ii)より前に、過酸化水素の30%水溶液5部を工程(i)より得られる混合物中に添加し、窒素雰囲気下45℃で10時間撹拌する工程を行った。それら以外は実施例1と同様にして顔料分散液Q‐27およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
比較例6では、アルカリ水溶液により、原料の顔料において、一般式(3)中の窒素原子に結合した水素原子の結合が切断される。しかし、その後、過酸化水素により、水素原子が再結合するため、これらの工程を経ても、原料の顔料は構造が変化しなかった。
(比較例7)
工程(i)に用いるアルカリ水溶液を、アルコールであるメタノールに変更した以外は実施例1と同様にして顔料分散液Q‐28およびインクを作製し、インクの吐出安定性を評価した。
比較例7では、アルカリ水溶液の代わりにアルコールを用いたため、工程(i)を経ても原料の顔料の構造が変化することはなかった。
各例の顔料分散液の含有成分および調製した顔料の洗浄工程の有無、さらに評価結果を表1に示す。
Figure 2016216568

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される顔料と、
    該顔料の分散剤であり、且つ、アニオン性基を有する単量体単位を含有する樹脂と、
    を含むことを特徴とする顔料分散体:
    Figure 2016216568
    (式中、AおよびBは、各々独立に、水素原子、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、ただし、AおよびBのいずれか一方または両方は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、
    11〜R18は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、または、メトキシ基を表す。)。
  2. 前記樹脂が、前記一般式(1)に示す構造に対して水素結合性を有する単量体単位を含有する、請求項1に記載の顔料分散体。
  3. 前記顔料の分散剤として、前記一般式(1)に示す構造に対して水素結合性を有する単量体単位を含有する樹脂をさらに含む、請求項1に記載の顔料分散体。
  4. 前記顔料分散体に含まれる、前記顔料の分散剤である樹脂中の、前記アニオン性基を有する単量体単位の含有割合A(質量%)と、前記水素結合性を有する単量体単位の含有割合B(質量%)とが、
    (式2) 0.5 < B/A < 2.2
    の関係を満たす、請求項2または3に記載の顔料分散体。
  5. 前記顔料として、2種類以上の、前記一般式(1)で表される顔料からなる混晶を用いる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の顔料分散体。
  6. 下記一般式(1)で表される顔料と、該顔料の分散剤であり且つアニオン性基を有する単量体単位を含有する樹脂と、を含む顔料分散体であって、
    (i)下記一般式(3)で表される顔料と、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液とを混合することにより、この顔料の構造中の窒素原子に結合している水素原子の少なくとも一部を脱離させるとともに、該水溶液中の金属イオンに該窒素原子を配位させ、前記一般式(1)で表される顔料を調製する工程と、
    (ii)該一般式(1)で表される顔料と、該水溶液とを分離する工程と、
    (iii)該一般式(1)で表される顔料と、前記樹脂とを混合することにより、該窒素原子と配位する金属イオンに、該樹脂が有するアニオン性基を配位させる工程と、
    を含む製造方法により得られることを特徴とする顔料分散体:
    Figure 2016216568
    (式中、AおよびBは、各々独立に、水素原子、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、ただし、AおよびBのいずれか一方または両方は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、
    11〜R18は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、または、メトキシ基を表す。)。
    Figure 2016216568
    (式中、R21〜R28は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、または、メトキシ基を表す。)。
  7. 前記顔料分散体が、前記一般式(3)で表される顔料を含み、該顔料分散体中の該一般式(3)で表される顔料と前記一般式(1)で表される顔料との合計含有量を100質量%としたときに、該一般式(3)で表される顔料の含有割合が、50質量%以上99.99質量%以下である、請求項6記載の顔料分散体。
  8. 前記樹脂が、前記一般式(1)に示す構造に対して水素結合性を有する単量体単位を含有する、請求項6または7に記載の顔料分散体。
  9. 前記工程(iii)において、前記一般式(1)で表される顔料、および、前記アニオン性基を有する単量体単位を含有する樹脂とともに、該一般式(1)で表される顔料の分散剤である、該一般式(1)に示す構造に対して水素結合性を有する単量体単位を含有する樹脂を混合する、請求項6または7に記載の顔料分散体。
  10. 下記一般式(1)で表される顔料と、
    該顔料の分散剤であり、且つ、アニオン性基を有する単量体単位を含有する樹脂と、
    を含むことを特徴とするインクジェット用インク:
    Figure 2016216568
    (式中、AおよびBは、各々独立に、水素原子、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、ただし、AおよびBのいずれか一方または両方は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、
    11〜R18は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、または、メトキシ基を表す。)。
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JP7272513B1 (ja) * 2021-12-07 2023-05-12 Dic株式会社 キナクリドン顔料、顔料分散体、及び水性インクジェットインク
WO2023105844A1 (ja) * 2021-12-07 2023-06-15 Dic株式会社 キナクリドン顔料、顔料分散体、及び水性インクジェットインク

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