JP6323293B2 - 電縫溶接操業管理装置および電縫溶接操業管理方法 - Google Patents
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Description
本発明の電縫溶接操業管理方法および電縫溶接操業管理装置は、図2に示す電縫鋼管の製造システム内で使用されるものである。
図3に示すように、入熱量が所定量を超えると、鋼板内部からの溶鋼排出が始まる溶接点(W)は、鋼板1の両端部11a、11bの衝合点であるV収束点(V1)よりも更に下流側の領域に存在し、V収束点V1と溶接点Wとの間には、鋼板1の厚み方向において鋼板1を貫通する溶融スリットSが形成される。このとき、図3に示すように、入熱量に応じて、「第2種」「遷移域」「第2’種」の各溶接現象が発現する。
以下に、電縫溶接操業管理装置100が有する機能を詳細に説明する。
画像入力手段101は、撮像装置5で撮像されたV字収束領域の画像データを入力する。具体的には、例えば、CPUが、通信インターフェースを介して、撮像装置5から画像データを取得し、取得した画像データを、RAM等に一時的に記憶する。撮像装置5により撮像されたV字収束領域の画像では、図7(a)に示すように、鋼板1の周方向の端部11a、11bに沿って輝度レベルの高い高熱領域12a、12bが現れる。また、鋼板1の搬送方向(x軸方向)の下流側の領域12cには、鋼板1に周方向の端部11a、11bの溶融部分が排出されてできる波状の模様が現れる。
赤色成分抽出手段102は、画像入力手段101により入力されたV字収束領域の画像データのコントラストを明確にするために、図7(b)に示すように、その画像データから赤色成分(波長590nm〜680nm)を抽出する。具体的には、例えば、CPUが、RAM等から画像データを読み出して赤色成分を抽出し、抽出した赤色成分の画像データをRAM等に一時的に記憶する。
2値化手段は、図7(c)に示すように、赤色成分抽出手段で抽出された赤色成分の画像データを2値化(反転)する。ここでは、2値化手段は、輝度レベルが閾値以上の画素に画素値「0」を、閾値未満の画素に画素値「1」を与える。2値化手段103a、103bでは、輝度レベルの閾値が異なる。具体的には、例えば、CPUが、RAM等から前記の各色成分の画像データを読み出して、各々、2値化処理を行い、2値化画像データをRAM等に一時的に記憶する。
ラベリング手段は、2値化手段で得られた2値化画像に対し、ブロッブ(Blob)毎にラベルをつけるラベリング処理を行う。ここでいうブロッブとは、ある画素に対し、上下左右方向において隣接する4画素と斜め方向において隣接する4画素とを含む隣接8画素の何れかにおいて、画素値「1」が与えられた画素が隣接している場合、それらの画素を連結することを各画素について行うことにより得られた個々の連結領域を意味する。また、ラベリング処理とは、個々のブロッブにラベル番号をつけて特定のブロッブを抽出し、抽出したブロッブの画像内の位置、幅、長さ、面積等を抽出する処理である。具体的には、例えば、CPUが、RAM等から、2値化画像データを読み出してラベリング処理を行い、その結果をRAM等に一時的に記憶する。
アーク検出領域抽出手段は、ラベリング手段によりラベルが付された赤色成分画像に基づいて、前記鋼板の両端部が衝合する衝合点であるV収束点(V1)と、鋼板内部からの溶鋼排出が始まる溶接点(W)との間に発生する溶接スリットを含む狭小領域をアーク検出領域として抽出する。本実施形態において、アーク検出領域抽出手段106は、V字状に収束する前記鋼板の周方向の両端部の幾何学的な近似直線及びそれらの交点である幾何学的V収束点(V0)の位置を検出するV0点検出手段106と、V字状に収束する前記鋼板の周方向の両端部が衝合する衝合点であるV収束点(V1)の位置を検出するV1点検出手段107と、鋼板内部からの溶鋼排出が始まる溶接点(W)の位置を検出するW点検出手段108と、前記V1点とW点間を溶接スリットとして検出する溶接スリット検出手段109を含み、周方向の両端部の幾何学的な近似線及び各点(V1、V0、W)の位置検出は、特許文献1等に記載されている公知の手法を用いて行われる。このように、アーク検出領域を予め抽出して、この領域内でアーク検出を行うことにより、電縫溶接操業過程において発生するスパークとの混同を回避することができる。
青色成分抽出手段110は、画像入力手段101により入力されたV字収束領域の画像データのコントラストを明確にするために、その画像データから青色成分(波長波長450〜495nm)を、各々、抽出する。抽出された青色成分は、その後、2値化手段104で2値化処理された後、ラベリング手段105でラベリング処理が行われる。
アーク検出手段は、前記アーク検出領域で発生するアークを検出する。本実施形態において、アーク検出手段は、前記のラベリング手段によりラベルが付された青色成分画像に基づいて、ラベルを付与されたブロッブの各々のアスペクト比を導出し、アスペクト比が0.3〜0.5のブロッブがあるか否かを判定するアスペクト比判定手段112を含む。他の実施形態として、アーク検出手段が、赤色成分画像に基づいて、アスペクト比を導出するものとすることもできる。このように、アスペクト比に基づいてアーク検出を行うことにより、「第2種」領域に特有の現象として現れるアーク以外の要素を排除し、確実に、「第2種」の判定を行うことができる。
アーク発生頻度計測手段は、単位時間あたりのアークの発生頻度を計測する。
溶接現象判定手段は、単位時間あたりのアークの発生頻度が、規定値以上(本実施形態では、10回/秒以上)の場合、溶接の状態が「第2種」状態であることを示す判定信号が生成される。この判定結果に基づいて、操業開始時に鋼板への入熱量を決定したり、操業中に入熱量をフィードバック制御することができる。入熱量の制御手法は特に限定されないが、例えば、高周波電源6から出力される電力量の調整により行うことができる。
次に図8のフローを参照しながら、電縫溶接操業管理装置100が、溶接現象判定を行う流れを説明する。
画像入力手段101が、撮像装置5で撮像されたV字収束領域の画像データを入力する。
(ST2)
赤色成分抽出手段102が、ST1で入力されたV字収束領域の画像データから赤色成分(波長590〜680nm)を抽出する。
(ST3)
2値化手段103が、ST2で得られた赤色成分の画像データを2値化(反転)する。
(ST4)
ラベリング手段104が、ST3で得られた2値化画像に対し、ブロッブ(Blob)毎にラベルをつけるラベリング処理を行う。
(ST5)
V1点検出手段107が、図9に示すように、ST4で行われたラベリング処理においてラべル番号が付与されたブロッブのうち所定の条件に合致するブロッブをV字収束領域のブロッブ13として抽出し、抽出したV字収束領域のブロッブから、衝合点であるV1点の位置を検出する。
(ST6)
V0点検出手段106が、ST2で得られた赤色成分の画像データから、鋼板1の端部11a、11bを検出して直線近似処理を行い、これらの直線の交点をV0点の位置として検出する。また、これらの直線のなす角を、アペックス角として検出する。
(ST7)
ST6で得られたアペックス角の二等分線を導出する。
(ST8)
アーク検出領域抽出手段105が、図10に示すように、ST7で得られた二等分線14を含む矩形状の領域であって、ST5で得られたV1点を最上流端、画像の最下流端を下流端とし、この二等分線からy軸の正の方向及び負の方向にそれぞれ距離D(本実施形態では3mm)だけ離れた位置の間の長さを幅として有する領域をアーク検出領域15として抽出する。
(ST9)
青色成分抽出手段110が、ST1で入力されたV字収束領域の画像データから青色成分(波長450〜495nm)を抽出する。
(ST10)
2値化手段103が、ST9で得られた青色成分の画像データの2値化処理を行う。
(ST11)
アスペクト比判定手段112が、ST10で得られた2値化画像に対し、アスペクト比が0.3〜0.5のブロッブがあるか否かの判定を行い、図11に示すように、0.3〜0.5のブロッブ16がある場合には、アークの発生有りとの判定を行う。
(ST12)
アーク発生頻度計測手段113が、ST11により検出されるアークの発生頻度を計測し、規定値以上(本実施形態では、例えば100回/秒以上)の場合、溶接の状態が「第2種」状態であるとの判定を行う。
2a、2b スクイズロール
3a、3bコンタクトチップ
4 インピーダー
5 撮像装置
6 高周波電源
11a、11b 鋼板の端部
12a、12b 輝度レベルの高い高熱領域
12c 下流側の領域
13 ブロッブ
14 二等分線
15 アーク検出領域
16 ブロッブ
100 電縫溶接操業管理装置
Claims (7)
- 鋼板を搬送しながら連続的に円筒状に成形して、その突き合わせ端部をV字状に収束させながら、高周波電流によって加熱溶融して、溶接シームを形成して電縫鋼管を製造する際の電縫溶接操業を管理する電縫溶接操業管理装置であって、
前記鋼板のV字状に収束する領域であるV字収束領域を含む、一定の時間間隔で連続的に撮像された複数の画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段により入力された画像に基づいて、前記鋼板の両端部が衝合する衝合点であるV収束点(V1)と、鋼板内部からの溶鋼排出が始まる溶接点(W)との間に発生する溶接スリットを含む領域をアーク検出領域として抽出するアーク検出領域抽出手段と、
前記アーク検出領域で発生するアークを検出するアーク検出手段と、
前記アークの発生頻度を計測するアーク発生頻度計測手段と、
前記アークの発生頻度が規定値以上であるか否かに基づいてその溶接現象を判定する溶接現象判定手段を有する
ことを特徴とする電縫溶接操業管理装置。 - 前記の画像入力手段よって入力された画像データから、赤色成分を抽出する赤色成分抽出手段と、前記の画像入力手段よって入力された画像データから、青色成分を抽出する青色成分抽出手段と、これらの赤色成分抽出手段および青色成分抽出手段で得られた各色成分の画像データを2値化処理する2値化手段と、2値化手段で得られた2値化画像に対し、ブロッブ(Blob)毎にラベルをつけるラベリング処理を行うラベリング手段を含むことを特徴とする請求項1記載の電縫溶接操業管理装置。
- 前記のアーク検出領域抽出手段は、
前記ラベリング手段によりラベルが付された赤色成分画像に基づいて、V字状に収束する前記鋼板の周方向の両端部の幾何学的な近似線及びそれらの交点である幾何学的V収束点(V0)の位置を検出するV0点検出手段と、
前記赤色成分画像に基づいて、V 0 点と同じあるいはV 0 点より下流に位置し、V字状に収束する前記鋼板の周方向の両端部が衝合する衝合点であるV収束点(V1)の位置を検出するV1点検出手段と、
前記赤色成分画像に基づいて、V 1 点と同じあるいはV 1 点より下流に位置し、鋼板内部からの溶鋼排出が始まる溶接点(W)の位置を検出するW点検出手段と、
前記V1点とW点間を溶接スリットとして検出する溶接スリット検出手段を含むことを特徴とする請求項2記載の電縫溶接操業管理装置。 - 前記のアーク検出手段は、
前記ラベリング手段によりラベルが付された青色成分画像に基づいて、ラベルを付与されたブロッブの各々のアスペクト比を導出し、アスペクト比が0.3〜0.5のブロッブがあるか否かを判定するアスペクト比判定手段を含むことを特徴とする請求項2記載の電縫溶接操業管理装置。 - 鋼板を搬送しながら連続的に円筒状に成形して、その突き合わせ端部をV字状に収束させながら、高周波電流によって加熱溶融して、溶接シームを形成して電縫鋼管を製造する際の電縫溶接操業を管理する電縫溶接操業管理方法であって、
前記鋼板のV字状に収束する領域であるV字収束領域を含む一定の時間間隔で連続的に撮像された画像を入力する画像入力工程と、
前記画像入力工程において入力された画像に基づいて、前記鋼板の両端部が衝合する衝合点であるV収束点(V1)と、前記鋼板の両端部が溶接される溶接点(W)との間に発生する溶接スリットを含む領域をアーク検出領域として抽出するアーク検出領域抽出工程と、
前記工程で抽出されたアーク検出領域で発生するアークを検出するアーク検出工程と、
前記工程で検出されたアークの発生頻度を計測するアーク発生頻度計測工程と、
前記工程で計測されたアークの発生頻度が規定値以上であるか否かに基づいてその溶接現象を判定する溶接現象判定工程を有する
ことを特徴とする電縫溶接操業管理方法。 - 前記のアーク検出領域抽出工程は、
前記画像入力ステップにおいて入力された画像に基づいて、V字状に収束する前記鋼板の周方向の両端部の幾何学的な近似線及びそれらの交点である幾何学的V収束点(V0)の位置を検出するV0点検出工程と、
前記画像入力ステップにおいて入力された画像に基づいて、V 0 点と同じあるいはV 0 点より下流に位置し、V字状に収束する前記鋼板の周方向の両端部が衝合する衝合点であるV収束点(V1)の位置を検出するV1点検出工程と、
前記画像入力ステップにおいて入力された前記複数の画像の各々に基づいて、V 1 点と同じあるいはV 1 点より下流に位置し、鋼板内部からの溶鋼排出が始まる溶接点(W)の位置を検出するW点検出工程と、
前記V1点とW点間を溶接スリットとして検出する溶接スリット検出工程を含むことを特徴とする請求項5記載の電縫溶接操業管理方法。 - 前記のアーク検出工程では、前記画像入力ステップにおいて入力された画像に基づいて、アーク検出領域の画像を2値化処理し、この2値化画像に基づいて、アスペクト比が0.3〜0.5の領域があるか否かを判定して、その判定結果に基づきアーク発生の有無を決定することを特徴とする請求項5記載の電縫溶接操業管理方法。
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