JP6323106B2 - N−アルキル−n’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩およびその溶液の製造方法 - Google Patents

N−アルキル−n’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩およびその溶液の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩およびその溶液の製造方法に関するものである。
四級アンモニウム有機酸塩の合成法としては、主に下記の三種類の方法がある。
1)三級アミン類のハロゲン化アルキルによる四級化反応で合成したハロゲン化四級アンモニウム塩と有機酸の金属塩とを溶媒中で反応させ、不溶性のハロゲン化金属塩を除去することで、四級アンモニウム有機酸塩を得る方法(特許文献1)。
R3N + RX → R4NX
R4NX+ MY → R4NY + MX
2)三級アミン類のハロゲン化アルキルによる四級化反応で合成したハロゲン化四級アンモニウム塩を電解法(特許文献2)、イオン交換樹脂法(特許文献3)、酸化銀法(非特許文献1)などの方法で水酸化四級アンモニウム塩を合成し、これと有機酸とを中和させて四級アンモニウム有機酸塩を得る方法。
R4NX → R4NOH
R4NOH + HY → R4NY + H2O
3)三級アミン類の炭酸ジアルキルエステルによる四級化反応で合成した炭酸アルキル
四級アンモニウムを有機酸と反応させて、脱炭酸により四級アンモニウム有機酸塩を得る方法(特許文献4)。
R3N + R2CO3 → R4NCO3R
R4NCO3R + HY → R4NY + ROH+ CO2
三級アミン類としてシクロアミジン化合物を使用し、上記の四級アンモニウム有機酸塩の合成法を適用し、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩を得ようとする場合、1)の方法ではやはり高純度なものは得られず、また、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウムの水酸化物は安定に存在しない(非特許文献2)ので、2)の方法も適用できない。また、3)の方法では、四級化反応工程で生成する炭酸メチルN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウムは従来の炭酸メチル テトラアルキルアンモニウムとは異なり、熱的に不安定で単離できないばかりでなく、有機酸と反応させる前に分解してしまい、高純度のN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩を高収率で得ることは不可能であった。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
更に、N−アルキルシクロアミジン類および炭酸メチル N−アルキル−N’−メチル
シクロアミジニウムは水に対しても不安定でそれぞれ、式(1)および式(2)のように加水分解するので、特許文献4で開示されているような従来の四級アンモニウム有機酸塩の製造方法をそのまま適用することは不可能であった(特許文献5)。
Figure 0006323106
式(1)及び(2)中、R1及びR2は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキレン基またはアルケニレン基を表す。
そこで、改良法として特許文献5に記載される方法が提案された。これは(a)N−アルキルシクロアミジニウム化合物の一種であるN−アルキルイミダゾリン類を炭酸ジメチルによってメチル化し、N−アルキル−N’−メチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩を製造する四級化反応工程、および、(b)生成したN−アルキル−N’−メチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩を有機酸と反応させるアニオン交換反応工程を含むN−アルキル−N’−メチルイミダゾリニウム有機酸塩の製造方法において、前記(a)と(b)の両工程の反応溶媒としてメタノールを用い、さらに両工程で反応系内の水分を1重量%未満に保ちながら反応させN−アルキル−N’−メチルイミダゾリニウム有機酸塩を製造するものである。
この方法によれば、反応時の水によるN−アルキル−イミダゾリン類およびN−アルキル−N’−メチルイミダゾリニウムの加水分解が抑制され、かつ、メタノールを反応系溶媒にしているので炭酸メチル塩が安定化され高純度なN−アルキル−N’−メチルイミダゾリニウム有機酸塩が反応液として得られるという利点がある。
ところで、例えばオルトフタル酸は無水フタル酸の加水分解で製造されるように、経済性を向上させるためには原料として有機酸無水物を直接使用することが好ましい。上記の3)の方法で有機酸の代わりに有機酸無水物を使用する方法が提案されている(特許文献6)。この方法では、炭酸メチル 四級アンモニウムを水と反応させ生成するメタノールを系外に除去し得られた四級アンモニウム炭酸水素塩と有機酸無水物を反応させることで、有機酸メチルエステルの副生を抑制し、高純度の四級アンモニウム有機酸塩を得ることができる。
しかしながら、前述したようにN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウムは水に不安定であり炭酸水素塩の形態で存在できないため、この方法をN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩の製造方法に適用することはできない。
特開昭63−8359号公報 特公昭45−28564号公報 特開昭52−3009号公報 特開昭63−280045号公報 特開平10−17554号公報 特開平1−197462号公報
R.C.Peterson,et al.,J.Amer.Chem.Soc.,1959,81,3264 B.Fernandez et al.,J.C.S.Perkinll,1978,545
N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩と有機酸無水物からN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩を製造する方法では、有機酸メチルエステルの副生を避けようとすればN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウムが加水分解し、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウムの加水分解を避けようとすれば有機酸メチルエステルが生成し、この2つの副生物の生成を同時に回避することは困難であった。本発明では、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウムの加水分解や副生物の生成を回避し、安価なN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、有機酸無水物と水とをN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩の製造の反応に用いることで上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
a)N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩と有機酸無水物と水とを反応させることを特徴とするN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩の製造方法。
b)有機酸無水物と水とを混合し、次いでN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩を添加する工程を有することを特徴とする、a)に記載のN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩の製造方法。
c)a)またはb)に記載の製造方法により得られたN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩を希釈溶媒に溶解し、次いで水を留去する工程を有することを特徴とするN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩溶液の製造方法。
本発明の方法を使用すれば、より経済的に有利な原料である有機酸無水物を使用して、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩およびその溶液が製造できる。
このため、本発明の方法を用いれば、帯電防止剤、静電荷調整剤、繊維柔軟剤、シャンプー基剤、インクジェット用薬剤、樹脂硬化用触媒、相間移動触媒、電気化学的素子用電解質等として様々な分野で広範に使用されうるN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩およびその溶液を効率よく提供することができる。
以下において、本発明の製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩と有機酸無水物と水とを反応させることを特徴とするN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩の製造方法に関するものである。
本発明の製造方法で使用するN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩は例えば、N−アルキルシクロアミジン類をメタノール溶媒中、炭酸ジメチルによってメチル化する次式(3)で示される四級化反応により製造される。
Figure 0006323106
上記(3)中、R4及びR5は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R6は置換基を有していてもよいアルキレン基またはアルケニレン基を表す。
上記R4及びR5としては、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基であることが好ましい。
上記R6がアルキレン基である場合、炭素数1〜10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基であることがより好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基であることが好ましい。また、R6がアルケニレン基である場合、炭素数2〜10のアルケニレン基であることが好ましく、炭素数2〜5のアルケニレン基であることがより好ましい。具体的には、エチレニレン基、n−プロピニレン基、i−プロピニレン基、であることが好ましい。
また、上記置換基としては、炭素数1〜6の炭素原子、水素原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、硫黄原子、珪素原子、酸素原子およびハロゲン原子からなる群から選ばれる原子で構成された構造であることを表す。具体的には、例えば、フッ素原子、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。
この工程は、N−アルキルシクロアミジン類、炭酸ジメチルおよびメタノールを耐圧反応器内に仕込み、反応器内を窒素置換した後に反応する方法;N−アルキルシクロアミジン類とメタノールを反応器内に仕込み窒素置換した後に窒素置換された炭酸ジメチルを滴下しながら反応する方法;または炭酸ジメチルとメタノールを反応器内に仕込み窒素置換した後に窒素置換されたN−アルキルシクロアミジン類を滴下しながら反応する方法のいずれの方式でも反応することができる。反応系内の水分は少ないほど好ましいが、実際的には、系内の水分量を1重量%に保てば、充分に高純度なN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩を得ることができる。
使用する炭酸ジメチルの量は、N−アルキルシクロアミジン類1モルに対して1〜5モル、好ましくは1〜3モルである。また、メタノール溶媒の量は、N−アルキルシクロアミジン類1モルに対して1〜20モル、好ましくは2〜15モル、さらに好ましくは3〜10モルである。反応温度は110〜170℃、好ましくは130〜150℃である。上記条件下での反応圧力は常圧以上、好ましくは5〜20気圧(ブルドン管圧力計等にて測定したゲージ圧力)である。反応時間は反応温度および仕込み組成によって異なるが、おおよそ、2〜24時間である。
N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩は単独では不安定で分解してしまう為、メタノールを溶媒として用いることにより炭酸メチル塩を水素結合によって安定化させることができる。このとき、非プロトン性溶媒を使用すると水素結合による安定化効果がないので、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩が分解しやすく、その収率は非常に低くなる。また、エタノール、イソプロパノールなどのプロトン性溶媒も炭酸メチル塩を安定化させる効果を有するが、炭酸メチルとアルコール
とのエステル交換反応等の副反応により目的物の収率が低下する。
また、N−アルキルシクロアミジン類および生成物のN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩は定量的に加水分解し、前記式(1)および式(2)に記した副生成物を与えるので、反応系内を無水の状態に保つ必要がある。通常、原料および溶媒は不純物として微量の水分を含有しているので、あらかじめモレキュラーシーブなどの脱水剤により極力水分を除去した後、蒸留などで精製しておく必要がある。含水量は少ないほど好ましいが、実際的には、系内の水分量を1重量%未満に保てばよい。
上述のように製造されるN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩としては、不飽和シクロアミジニウム化合物と飽和シクロアミジニウム化合物が挙げられる。
不飽和シクロアミジニウム化合物としてはイミダゾリウム化合物が挙げられ、具体例としては1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−n−プロピル−2,4−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−プロピルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−ペンチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−ヘプチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルベンゾイミダゾリウム、1−フェニル−3−メチルイミダゾリウム、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム、1−フェニル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、2−フェニル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ベンジル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−ウンデシルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−ヘプタデシルイミダゾリウム等、さらには2−(2’−ヒドロキシ)エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(2’−ヒドロキシ)エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、2−エトキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エトキシメチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム等のヒドロキシル基やエーテル結合を有する化合物等を挙げることができる。
飽和シクロアミジニウム化合物の具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリニウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリニウム、1−メチル−3−n−プロピル−2,4−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−n−プロピルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−n−ペンチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−n−ヘプチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−エチル−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、1−フェニル−3−メチルイミダゾリニウム、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリニウム、1−フェニル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1−ベンジル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−フェニル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ベンジル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム等のイミダゾリニウム化合物;1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、1−エチル−3−メチルテトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、1−エチル−2,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−エチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、1,2−ジエチル−3−メチルテトラヒドロピリミジ
ニウム、1,3−ジエチル−2−メチルテトラヒドロピリミジニウム等のテトラヒドロピリミジニウム化合物;5−メチル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,3−ジメチル−2−n−ウンデシルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−n−ヘプタデシルイミダゾリニウム、さらには2−(2’−ヒドロキシ)エチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1−(2’−ヒドロキシ)エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−エトキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1−エトキシメチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム等のヒドロキシル基やエーテル結合を有する基を挙げることができる。
これらのうち、総炭素数が4 〜1 2であるシクロアミジニウムが好ましく、なかでも1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリニウムからなる群から選択される一種以上の化合物であることが好ましく、更に好ましくは、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムである。
本発明は、上記N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩と有機酸無水物と水とを反応させてN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩を製造するものであり、その反応手順は特に限定されるものではないが、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩含む反応液を、そのまま或いは炭酸ジメチルおよび過剰のメタノールを減圧留去した後で、次の工程で有機酸無水物と水と反応させることが好ましい。
有機酸無水物としては、同種分子間酸無水物、異種分子間酸無水物、分子内酸無水物の各種のカルボン酸無水物が使用できる。N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩の性能から、同種分子間酸無水物と分子内酸無水物が好ましい。具体的には、無水酢酸、プロピオン酸無水物、イソ酪酸無水物、酪酸無水物、無水メタクリル酸、クロトン酸無水物、クロロ酢酸無水物、イソ吉草酸無水物、吉草酸無水物、トリメチル酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物等の脂肪族モノカルボン酸無水物類;無水コハク酸、グルタル酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、アジピン酸無水物、スベリン酸無水物、アゼライン酸無水物、セバシン酸無水物、ドデカン二酸無水物、ジグリコール酸無水物、2−メチルグルタル酸無水物、3−メチルグルタル酸無水物、2,2−ジメチルグルタル酸無水物、3,3−ジメチルグルタル酸無水物、シクロプロパンジカルボン酸無水物、シクロブタン−1,2−ジカルボン酸無水物、1−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,2,3,4−テトラヒドロフタル酸無水物等の飽和脂肪族ジカルボン酸無水物類;無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、シクロブテン−1,2−ジカルボン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,6−ジヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、2,3−ジクロロマレイン酸無水物等の不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物類;安息香酸無水物、トルイル酸無水物、クミン酸無水物、t−ブチル安息香酸無水物、サリチル酸無水物、γ−レゾルシン酸無水物、アニス酸無水物等の芳香族モノカルボン酸無水物類;無水フタル酸、4−メチルフタル酸無水物、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、2,3−ピリジンジカルボン酸無水物、
3,4−ピリジンジカルボン酸無水物、2,3−ピラジンジカルボン酸無水物、3−フルオロフタル酸無水物、4−フルオロフタル酸無水物、3−ニトロフタル酸無水物、4−ニトロフタル酸無水物等の芳香族ジカルボン酸無水物類;これらの中でも、酸性の強い有機酸の無水物が平衡上好ましく、特に無水フタル酸あるいは安息香酸無水物が好ましい。
使用する有機酸無水物の量は所望する酸塩基比になるように調節すればよいが、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム陽イオン1モル当量に対し有機酸(陰イオンを含む)の下限値は好ましくは0.9モル当量、さらに好ましくは0.95モル当量、上限値は好ましくは1.1モル当量、さらに好ましくは1.05モル当量である。通常はN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウムと有機酸は等量付近で使用されるため、いずれかが大過剰であることは好ましくない。この反応では有機酸無水物の一部を有機酸で代替することもできる。有機酸無水物に代えて有機酸を使用する場合は、有機酸無水物を対応する有機酸に換算して上限値は好ましくは0.2モル当量、より好ましくは0.1モル当量である。これより多量であると本方法の経済性の利点が小さくなる。
反応溶媒は必須ではないが反応基質である水をそのまま使用できる。水の量は有機酸無水物に対して1モル当量以上であればよいが、溶媒を兼ねる場合は通常は大過剰に使用される。この場合、有機酸無水物に対して上限値は好ましくは100モル当量、より好ましくは50モル当量、さらに好ましくは20モル当量である。
反応は、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩、有機酸無水物、水を混合することで行う。それぞれの混合順序は任意であり、あるいは同時でも、連続添加、断続添加、いずれの方法でもよい。中でも、有機酸無水物と水とを混合し、次いでN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩を添加する工程を有する方法が反応速度を制御しやすい点で好ましい。
反応温度は0〜100℃、好ましくは、10〜60℃である。この反応は炭酸ガスの発泡を伴い、炭酸ガスの発泡が終わった時点で反応は完結し、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩を含む反応液が得られる。
N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩を単体で得るためには、引き続いて溶媒を留去し乾燥すればよいが、必要に応じて再結晶による精製を行ってさらに純度を向上させてもよい。
上記の製造方法により得られたN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩を希釈溶媒に溶解して使用する場合は、上記のN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩を含む反応液から溶媒交換により、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩溶液を調製することができる。N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩を含む反応液にメタノールより沸点が高く前記希釈溶媒よりも沸点が低い中沸点溶媒を添加し、メタノールと炭酸ジメチルを70℃以下で留去した後、さらに前記希釈溶媒を添加し前記中沸点溶媒を留去することにより、希釈溶媒に溶解したN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム塩溶液を得ることができる。
中沸点溶媒は、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム塩を溶解する物質で、操作条件下で酸および希釈溶媒であるラクトン類等と反応しないものであれば特に限定されない。中でも水を用いる場合が、沸点、溶解性の面から特に好ましい。水はN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩を含む反応液に含まれているので、そのまま中沸点溶媒として使用できるが、必要に応じて追加してもよい。中沸点溶媒は、混合溶液内のメタノールと炭酸ジメチルを完全に留去する前であれば、その添加段階は特に制限されない。例えば、メタノールと炭酸ジメチルの留去を行う前にあらかじめ添加しておいてもよいし、メタノールと炭酸ジメチルの一部を70℃以下で留去してから添加してもよい。好ましいのは後者であり、特に系内のメタノール及び未反応炭酸ジメチルの総濃度が
50%以下、好ましくは35%以下になった段階で中沸点溶媒を添加することが好ましい。また、中沸点溶媒は複数回に分けて添加しても構わない。中沸点溶媒の添加量は特に限定されないが、好ましくは系内に残存するメタノール及び未反応炭酸ジメチルの総量と同程度が好ましい。中沸点溶媒の添加後、更に内部温度を70℃以下に保ち留去を実施し、系内に残存しているメタノール及び未反応炭酸ジメチルとほぼ同量を中沸点溶媒添加前と同一条件下で留去することが好ましい。
系内に存在する中沸点溶媒は、所望濃度になるまで留去する。最終的に製造しようとしている溶液が中沸点溶媒を含有することが望まれていない場合は、系内に存在する中沸点溶媒の全量を留去する。中沸点溶媒の留去の条件は特に制限されず、留去の温度も70℃以上であっても構わない。例えば、中沸点溶媒として水を選択した場合は、内部温度が100℃以下となる様に減圧度を調整して所定の水分濃度に達するまで留去することができる。なお、中沸点溶媒は所望濃度以下になるまで留去して、留去後に所望濃度になるようにさらに中沸点溶媒を添加して調整してもよい。
希釈溶媒としては、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等のアミド類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類;安息香酸メチル、安息香酸エチル等のカルボン酸エステル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等のカーボネート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類;3−メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、2−メチルグルタロニトリル等のニトリル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、エチルイソプロピルスルホン、エチルブチルスルホン、ブチルイソプロピルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等のスルホン類;ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド類;リン酸トリメチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル等の燐酸エステル類および1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の単独あるいは混合系を挙げることができる。これらの中でもγ−ブチロラクトン、スルホラン、これらを主成分とする溶媒が好ましく、特にγ−ブチロラクトンが好ましい。
希釈溶媒の添加量は、製造しようとしている溶液に存在する希釈溶媒の量を勘案しながら適宜決定する。希釈溶媒を少なめに添加しておいて溶液の製造後に希釈溶媒をさらに添加することによって所望濃度に調節してもよいし、希釈溶媒を多め目に添加しておいて溶液の製造後にさらに留去して所望濃度に調節してもよい。
メタノールおよび未反応の炭酸ジメチルの留去工程において、中沸点溶媒を添加して内部温度を70℃以下にして蒸留を行うことにより、系内のメタノールをほぼ完全に留去することができる。また、酸とメタノールが反応した不純物の生成や、希釈溶媒であるラクトン類とメタノールが反応した不純物の生成を抑制することもできる。
本発明は、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩と有機酸無水物と水とを反応させ、さらに希釈溶媒に溶解した後、水を留去する、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩溶液の製造方法である。N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウムは水と反応し加水分解されるが、水を留去する過程で再環化される。有機酸無水物はN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩やメタノ
ールと反応し有機酸メチルエステルを生成するが、水存在中でメタノールを留去することにより、有機酸メチルエステルが加水分解し有機酸に戻る。この2つの逆反応が組み合わされることにより、従来避けられなかった、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウムの加水分解物生成と有機酸無水物からの有機酸メチルエステル生成が同時に回避でき、有機酸無水物を原料としてもN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩およびその溶液を得ることが可能となった。
以下に、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
(工程A)
1Lのオートクレーブ内に1−エチル−2−メチルイミダゾリン169g(1.51モル)、メタノール411g(12.83モル)を仕込み、145℃まで昇温したところ8.5気圧(ブルドン圧力計にて測定したゲージ圧)になった。さらに、炭酸ジメチル272g(3.02モル)を1.5時間かけて滴下した後、6時間反応させて反応液Aを得た。この反応液Aを液体クロマトグラフ(HPLC)で分析した結果、1−エチル−2−メチルイミダゾリンの転化率は100%で、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩の収率は99%であった。
(工程B)
1Lのガラス製フラスコ内に、無水フタル酸134g(0.90モル)を仕込み、次いで水267g(14.84モル)を添加し、100℃で2時間攪拌した。さらに、反応液A507g(1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩の含有量0.90モル)を20℃〜30℃で3時間かけて滴下した後、1時間反応させて反応液Bを得た。この反応液Bから圧力70mmHg(水銀マノメーターにて測定した絶対圧力)で内部温度が40℃の条件下で系内のメタノール及び未反応の炭酸ジメチルの留去を実施し、さらに50mmHg、内部温度45℃の条件で留去を行い351gまで濃縮を行った。この濃縮液280gにγ−ブチロラクトンを629g添加し、20mmHgまで徐々に減圧度を上げ、内部温度が100℃になるまで昇温して留去を実施し、さらにγ−ブチロラクトン37gを加え、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩のγ−ブチロラクトン溶液849gを得た。1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩の濃度は25.0wt%(HPLC法)、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩基準の収率は99%以上、残存水分168ppmであった。
(実施例2)
工程Bでの反応液Aの使用量を532g(1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩の含有量0.95モル)とし、最初のγ−ブチロラクトン投入後にオルトフタル酸を添加し、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩の陽イオンと陰イオンの比を1:1に調整した以外は実施例1と同様に反応を行った。1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩のγ−ブチロラクトン溶液中の1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩の濃度は25.2wt%(HPLC法)、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩基準の収率は99%以上、残存水分235ppmであった。
(実施例3)
工程Bでの反応液Aの使用量を483g(1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩の含有量0.86モル)とした以外は実施例1と同様に反応を行った。
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩のγ−ブチロラクトン溶液中の1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩の濃度は25.4wt%(HPLC法)、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩基準の収率は99%以上、残存水分297ppmであった。
(実施例4)
工程Bでの希釈溶媒をスルホランとした以外は実施例1と同様に反応を行った。1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩のスルホラン溶液中の1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩の濃度は54.2wt%(HPLC法)、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩基準の収率は99%以上、残存水分498ppmであった。
(参考例1)
工程Aは実施例1と同様にして実施した。(工程B)1Lのガラス製フラスコ内に、オルトフタル酸150g(0.90モル)を仕込み、次いでメタノール288g(9.00モル)を添加し、室温で30分攪拌した。さらに、反応液A507g(1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩の含有量0.90モル)を20℃〜30℃で3時間かけて滴下した後、1時間反応させて反応液Bを得た。この反応液Bから圧力70mmHg(水銀マノメーターにて測定した絶対圧力)で内部温度が40℃の条件下で系内のメタノール及び未反応の炭酸ジメチルの留去を実施し、さらに50mmHg、内部温度45℃の条件で留去を行い340gまで濃縮を行った。この濃縮液298gにγ−ブチロラクトンを696g添加し、20mmHgまで徐々に減圧度を上げ、内部温度が100℃になるまで昇温して留去を実施し、さらにγ−ブチロラクトン112gを加え、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩のγ−ブチロラクトン溶液934gを得た。1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩の濃度は24.8wt%(HPLC法)、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩基準の収率は99%以上、残存水分55ppmであった。
(参考例2)
工程Bでの反応液Aの使用量を569g(1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩の含有量1.01モル)とし、最初のγ−ブチロラクトン投入後にオルトフタル酸を添加し、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩の陽イオンと陰イオンの比を1:1に調整した以外は参考例1と同様に反応を行った。1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩のγ−ブチロラクトン溶液中の1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩の濃度は24.8wt%(HPLC法)、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩基準の収率は99%以上、残存水分43ppmであった。
(参考例3)
工程Bでの希釈溶媒をスルホランとした以外は参考例1と同様に反応を行った。1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩のスルホラン溶液中の1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩の濃度は52.2wt%(HPLC法)、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩基準の収率は99%以上、残存水分1902ppmであった。
(比較例1)
工程Aは実施例1と同様にして実施した。(工程B)1Lのガラス製フラスコ内に、無水フタル酸67g(0.45モル)を仕込み、次いでメタノール134g(4.19モル)を添加し、室温で30分攪拌した。さらに、反応液A241g(1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩の含有量0.43モル)を20℃〜30℃で3時
間かけて滴下した後、1時間反応させて反応液Bを得た。この反応液Bから圧力70mmHg(水銀マノメーターにて測定した絶対圧力)で内部温度が40℃の条件下で系内のメタノール及び未反応の炭酸ジメチルの留去を実施し、さらに50mmHg、内部温度45℃の条件で留去を行い156gまで濃縮を行った。この濃縮液151gにγ−ブチロラクトンを364g添加し、20mmHgまで徐々に減圧度を上げ、内部温度が100℃になるまで昇温して留去を実施し、さらにγ−ブチロラクトン41gを加え、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩のγ−ブチロラクトン溶液463gを得た。1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩の濃度は4.0wt%(HPLC法)、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩基準の収率は17%であった。
(比較例2)
特開平1−197462号公報(特許文献6)を参考に実験を行った。工程Aは実施例1と同様にして実施した。(工程B)1Lのガラス製フラスコ内に、水129g(7.14モル)と反応液A241g(1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩の含有量0.43モル)を仕込み、圧力20mmHg(水銀マノメーターにて測定した絶対圧力)で内部温度が40℃の条件下で1時間加熱した。この反応液に無水フタル酸64g(0.43モル)を加え、50℃1時間撹拌し、20mmHg、内部温度50℃の条件で留去を行い127gまで濃縮を行った。この濃縮液123gにγ−ブチロラクトンを356g添加し、20mmHgまで徐々に減圧度を上げ、内部温度が100℃になるまで昇温して留去を実施し、さらにγ−ブチロラクトン44gを加え、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩のγ−ブチロラクトン溶液456gを得た。1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩の濃度は17.7wt%(HPLC法)、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム炭酸メチル塩基準の収率は72%であった。
<分析結果>
実施例1〜4、参考例1〜3、比較例1〜2で得られた1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩の溶液の電気伝導率とpHの測定を実施した。電気伝導率は、γ−ブチロラクトン(GBL)を溶媒に使用した溶液は溶液のまま、スルホラン(SLF)を溶媒に使用したものは水で50wt%に希釈し、電気伝導率計を用いて25℃で測定した。
pHは、水で50wt%に希釈し、pH計を用いて25℃で測定した。
Figure 0006323106
表1の分析結果から明らかなように、実施例1と参考例1で製造される1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムのフタル酸水素塩のγ−ブチロラクトン溶液は同等であり、同様に実施例2と参考例2、実施例4と参考例3はそれぞれ同等である。
本発明は、N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩およびその溶液を製造する方法に関する。N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩は、帯電防止剤、静電荷調整剤、繊維柔軟剤、シャンプー基剤、インクジェット用薬剤、樹脂硬化用触媒、相間移動触媒、コンデンサ用電解質等として様々な分野で広範に使用されている有用な化合物である。

Claims (2)

  1. N−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム炭酸メチル塩と有機酸無水物と水とを
    反応させるN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩の製造方法であって
    、該有機酸無水物と該水とを混合し、次いで該N−アルキル−N’−メチルシクロアミジ
    ニウム炭酸メチル塩を添加する工程を有することを特徴とする、N−アルキル−N’−メ
    チルシクロアミジニウム有機酸塩の製造方法
  2. 請求項1に記載の製造方法により得られたN−アルキル−N’−メチルシクロアミジニ
    ウム有機酸塩を希釈溶媒に溶解し、次いで水を留去する工程を有することを特徴とするN
    −アルキル−N’−メチルシクロアミジニウム有機酸塩溶液の製造方法。
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