JPH1017553A - N−アルキル−n′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩の製造方法 - Google Patents
N−アルキル−n′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩の製造方法Info
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- JPH1017553A JPH1017553A JP8173505A JP17350596A JPH1017553A JP H1017553 A JPH1017553 A JP H1017553A JP 8173505 A JP8173505 A JP 8173505A JP 17350596 A JP17350596 A JP 17350596A JP H1017553 A JPH1017553 A JP H1017553A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高純度なN−アルキル−N′−メチルイミダ
ゾリニウム無機酸塩を高収率で製造する。 【解決手段】 (a)N−アルキルイミダゾリン類を炭
酸ジメチルによってメチル化し、炭酸メチル N−アル
キル−N′−メチルイミダゾリニウムを製造する四級化
反応工程、および、(b)生成した炭酸メチル N−ア
ルキル−N′−メチルイミダゾリニウムを無機酸と反応
させるアニオン交換反応工程を含むN−アルキル−N′
−メチルイミダゾリニウム無機酸塩の製造する方法にお
いて、(a)工程の反応溶媒としてメタノールを使用す
ること、および(b)工程が無機酸水溶液に(a)工程
で得られた炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイ
ミダゾリニウム溶液を添加して反応させることを特徴と
するN−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム無機
酸塩の製造方法。
ゾリニウム無機酸塩を高収率で製造する。 【解決手段】 (a)N−アルキルイミダゾリン類を炭
酸ジメチルによってメチル化し、炭酸メチル N−アル
キル−N′−メチルイミダゾリニウムを製造する四級化
反応工程、および、(b)生成した炭酸メチル N−ア
ルキル−N′−メチルイミダゾリニウムを無機酸と反応
させるアニオン交換反応工程を含むN−アルキル−N′
−メチルイミダゾリニウム無機酸塩の製造する方法にお
いて、(a)工程の反応溶媒としてメタノールを使用す
ること、および(b)工程が無機酸水溶液に(a)工程
で得られた炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイ
ミダゾリニウム溶液を添加して反応させることを特徴と
するN−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム無機
酸塩の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、界面活性剤(シャ
ンプー基剤、繊維柔軟剤、帯電防止剤、静電荷調整剤な
ど)、インクジェット紙用薬剤、電気化学的素子用電解
質、樹脂硬化用触媒、あるいは、相関移動触媒などとし
て幅広い分野で使用される有用なN−アルキル−N′−
メチルイミダゾリニウム無機酸塩を高収率および高純度
に製造する方法に関する。
ンプー基剤、繊維柔軟剤、帯電防止剤、静電荷調整剤な
ど)、インクジェット紙用薬剤、電気化学的素子用電解
質、樹脂硬化用触媒、あるいは、相関移動触媒などとし
て幅広い分野で使用される有用なN−アルキル−N′−
メチルイミダゾリニウム無機酸塩を高収率および高純度
に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】四級アンモニウム無機酸塩の合成法とし
ては、主に下記の三種類の方法がある。 1)三級アミン類のハロゲン化アルキルによる四級化反
応で合成したハロゲン化四級アンモニウム塩と無機酸と
を溶媒中で反応させ、ハロゲン化水素を除去すること
で、無機酸の四級アンモニウム塩を得る方法(D.T.
Sawyer,etal.,“Experimenta
l Electrochemistryfor Che
mists”,p.210,Wiley−Inters
ciences,NY(1974).)。 R3 N + RX → R4 NX R4 NX + HY → R4 NY + HX
ては、主に下記の三種類の方法がある。 1)三級アミン類のハロゲン化アルキルによる四級化反
応で合成したハロゲン化四級アンモニウム塩と無機酸と
を溶媒中で反応させ、ハロゲン化水素を除去すること
で、無機酸の四級アンモニウム塩を得る方法(D.T.
Sawyer,etal.,“Experimenta
l Electrochemistryfor Che
mists”,p.210,Wiley−Inters
ciences,NY(1974).)。 R3 N + RX → R4 NX R4 NX + HY → R4 NY + HX
【0003】2)三級アミン類のハロゲン化アルキルに
よる四級化反応で合成したハロゲン化四級アンモニウム
塩を電解法(特公昭45−28564号公報)、イオン
交換樹脂法(特開昭52−3009号公報)、酸化銀法
(R.C.Peterson,et al.,J.Am
er.Chem.Soc.,1959,81,326
4)などの方法で水酸化四級アンモニウム塩を合成し、
これと無機酸とを中和させて無機酸の四級アンモニウム
塩を得る方法。 R4 NX → R4 NOH R4 NOH + HY → R4 NY + H2 O
よる四級化反応で合成したハロゲン化四級アンモニウム
塩を電解法(特公昭45−28564号公報)、イオン
交換樹脂法(特開昭52−3009号公報)、酸化銀法
(R.C.Peterson,et al.,J.Am
er.Chem.Soc.,1959,81,326
4)などの方法で水酸化四級アンモニウム塩を合成し、
これと無機酸とを中和させて無機酸の四級アンモニウム
塩を得る方法。 R4 NX → R4 NOH R4 NOH + HY → R4 NY + H2 O
【0004】3)三級アミン類の炭酸ジエステルによる
四級化反応で合成した炭酸四級アンモニウム塩を無機酸
と反応させて、脱炭酸により無機酸の四級アンモニウム
塩を得る方法(特開昭63−284148号公報)。 R3 N + R2 CO3 → R4 NCO3 R R4 NCO3 R + HY → R4 NY + ROH
+ CO2
四級化反応で合成した炭酸四級アンモニウム塩を無機酸
と反応させて、脱炭酸により無機酸の四級アンモニウム
塩を得る方法(特開昭63−284148号公報)。 R3 N + R2 CO3 → R4 NCO3 R R4 NCO3 R + HY → R4 NY + ROH
+ CO2
【0005】1)の方法は、ハロゲン化水素より酸性の
強い無機酸によって、平衡を右方向の反応にずらせる方
法であるが、生成物からハロゲン化水素を完全に除去す
ることが非常に困難であり、低純度の無機酸の四級アン
モニウム塩しか得られないという欠点を有する。
強い無機酸によって、平衡を右方向の反応にずらせる方
法であるが、生成物からハロゲン化水素を完全に除去す
ることが非常に困難であり、低純度の無機酸の四級アン
モニウム塩しか得られないという欠点を有する。
【0006】2)の水酸化四級アンモニウム塩を利用す
る方法は最も一般的な合成法であり、工業的には電解法
が実施されているが、不純物をppmオーダーで制御し
た高純度品の製造コストは高い。また、実験室的にはイ
オン交換樹脂法、酸化銀法が利用されているが、1)と
同様に純度に問題がある。3)の方法は純度の点で最も
有利な方法であるが、高温、高圧の反応条件を必要とす
る。
る方法は最も一般的な合成法であり、工業的には電解法
が実施されているが、不純物をppmオーダーで制御し
た高純度品の製造コストは高い。また、実験室的にはイ
オン交換樹脂法、酸化銀法が利用されているが、1)と
同様に純度に問題がある。3)の方法は純度の点で最も
有利な方法であるが、高温、高圧の反応条件を必要とす
る。
【0007】三級アミン類としてN−アルキルイミダゾ
リン類を使用し、上記の四級アンモニウム無機酸塩の合
成法を適用し、N−アルキル−N′−メチルイミダゾリ
ニウム無機酸塩を得ようとした場合、1)の方法ではや
はり高純度なものは得られず、また、N−アルキル−
N′−メチルイミダゾリニウムの水酸化物は安定に存在
しないので(B.Fernandez et al.,
J.C.S.Perkinll,1978,545)、
2)の方法も適用できない。
リン類を使用し、上記の四級アンモニウム無機酸塩の合
成法を適用し、N−アルキル−N′−メチルイミダゾリ
ニウム無機酸塩を得ようとした場合、1)の方法ではや
はり高純度なものは得られず、また、N−アルキル−
N′−メチルイミダゾリニウムの水酸化物は安定に存在
しないので(B.Fernandez et al.,
J.C.S.Perkinll,1978,545)、
2)の方法も適用できない。
【0008】また、3)の方法では、四級化反応工程で
生成する炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイミ
ダゾリニウムは炭酸メチル テトラアルキルアンモニウ
ムとは異なり、熱的に不安定で、単離できないばかりで
なく、無機酸と反応させる前に分解してしまい、高純度
のN−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム無機酸
塩を高収率で得ることは不可能である。
生成する炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイミ
ダゾリニウムは炭酸メチル テトラアルキルアンモニウ
ムとは異なり、熱的に不安定で、単離できないばかりで
なく、無機酸と反応させる前に分解してしまい、高純度
のN−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム無機酸
塩を高収率で得ることは不可能である。
【0009】更に、原料のN−アルキルイミダゾリン類
および炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイミダ
ゾリニウムは水に対しても不安定でそれぞれ、式(2)
および式(3)に示すように加水分解するので、高純度
のN−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム無機酸
塩を高収率で得ることは不可能であった。
および炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイミダ
ゾリニウムは水に対しても不安定でそれぞれ、式(2)
および式(3)に示すように加水分解するので、高純度
のN−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム無機酸
塩を高収率で得ることは不可能であった。
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1 は炭素数が1〜4のアルキル
基、R2 は炭素数が1〜19のアルキル基または水素原
子、R3 およびR4 はそれぞれ独立してメチル基、エチ
ル基または水素原子である。)
基、R2 は炭素数が1〜19のアルキル基または水素原
子、R3 およびR4 はそれぞれ独立してメチル基、エチ
ル基または水素原子である。)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記のN−アルキル−
N′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩の製造方法にお
いて、四級化反応工程で生成する炭酸メチル N−アル
キル−N′−メチルイミダゾリニウムは熱的に不安定で
あり、また、加水分解も受けやすく、特開昭63−28
4148号公報で開示されているような従来の四級アン
モニウム無機酸塩の製造方法をそのまま適用することは
不可能である。本発明は、高純度のN−アルキル−N′
−メチルイミダゾリニウム無機酸塩を高収率で製造する
方法の提供を目的とする。
N′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩の製造方法にお
いて、四級化反応工程で生成する炭酸メチル N−アル
キル−N′−メチルイミダゾリニウムは熱的に不安定で
あり、また、加水分解も受けやすく、特開昭63−28
4148号公報で開示されているような従来の四級アン
モニウム無機酸塩の製造方法をそのまま適用することは
不可能である。本発明は、高純度のN−アルキル−N′
−メチルイミダゾリニウム無機酸塩を高収率で製造する
方法の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)N−ア
ルキルイミダゾリン類を炭酸ジメチルによってメチル化
し、炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイミダゾ
リニウムを製造する四級化反応工程、および、(b)生
成した炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイミダ
ゾリニウムを無機酸と反応させるアニオン交換反応工程
を含むN−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム無
機酸塩の製造する方法において、(a)工程の反応溶媒
としてメタノールを使用すること、および(b)工程が
無機酸水溶液に(a)工程で得られた炭酸メチル N−
アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム溶液を添加し
て反応させることを特徴とするN−アルキル−N′−メ
チルイミダゾリニウム無機酸塩の製造方法を提供するも
のである。
ルキルイミダゾリン類を炭酸ジメチルによってメチル化
し、炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイミダゾ
リニウムを製造する四級化反応工程、および、(b)生
成した炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイミダ
ゾリニウムを無機酸と反応させるアニオン交換反応工程
を含むN−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム無
機酸塩の製造する方法において、(a)工程の反応溶媒
としてメタノールを使用すること、および(b)工程が
無機酸水溶液に(a)工程で得られた炭酸メチル N−
アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム溶液を添加し
て反応させることを特徴とするN−アルキル−N′−メ
チルイミダゾリニウム無機酸塩の製造方法を提供するも
のである。
【0015】
【作用】上記(a)工程の反応溶媒としてメタノールを
使用し、中間体である炭酸メチル N−アルキル−N′
−メチルイミダゾリニウムを安定化させることにより、
および、無機酸水溶液に(a)工程で得られた炭酸メチ
ル N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム溶液
を添加して反応させることにより加水分解を防止するこ
とにより、N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウ
ム無機酸塩を高純度で収率よく製造できる。
使用し、中間体である炭酸メチル N−アルキル−N′
−メチルイミダゾリニウムを安定化させることにより、
および、無機酸水溶液に(a)工程で得られた炭酸メチ
ル N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム溶液
を添加して反応させることにより加水分解を防止するこ
とにより、N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウ
ム無機酸塩を高純度で収率よく製造できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明を更に詳細に説明す
る。(a)工程: (a)工程は、メタノール溶媒中、式
(1)で示されるN−アルキルイミダゾリン類を炭酸ジ
メチルによってメチル化し、炭酸メチル N−アルキル
−N′−メチルイミダゾリニウムを製造する次式(4)
で示される四級化反応工程である。
る。(a)工程: (a)工程は、メタノール溶媒中、式
(1)で示されるN−アルキルイミダゾリン類を炭酸ジ
メチルによってメチル化し、炭酸メチル N−アルキル
−N′−メチルイミダゾリニウムを製造する次式(4)
で示される四級化反応工程である。
【0017】
【化4】
【0018】(式中のR1 、R2 、R3 およびR4 の定
義は、式(1)と同じである。) この(a)工程の反応は、N−アルキルイミダゾリン
類、炭酸ジメチルおよびメタノール溶媒を耐圧反応器内
に仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した後に反応させ
る。使用する炭酸ジメチルの量は、N−アルキルイミダ
ゾリン類1モルに対して1〜5モル、好ましくは1〜2
モル、さらに好ましくは1.3〜1.7モルである。ま
た、メタノール溶媒の量は、N−アルキルイミダゾリン
類1モルに対して1〜20モル、好ましくは2〜10モ
ル、さらに好ましくは、3〜7モルである。反応温度は
110〜170℃、好ましくは、130〜150℃であ
る。上記の条件下での反応圧力は5〜20気圧である。
反応時間は反応温度および仕込み組成によって異なる
が、おおよそ、2〜24時間である。
義は、式(1)と同じである。) この(a)工程の反応は、N−アルキルイミダゾリン
類、炭酸ジメチルおよびメタノール溶媒を耐圧反応器内
に仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した後に反応させ
る。使用する炭酸ジメチルの量は、N−アルキルイミダ
ゾリン類1モルに対して1〜5モル、好ましくは1〜2
モル、さらに好ましくは1.3〜1.7モルである。ま
た、メタノール溶媒の量は、N−アルキルイミダゾリン
類1モルに対して1〜20モル、好ましくは2〜10モ
ル、さらに好ましくは、3〜7モルである。反応温度は
110〜170℃、好ましくは、130〜150℃であ
る。上記の条件下での反応圧力は5〜20気圧である。
反応時間は反応温度および仕込み組成によって異なる
が、おおよそ、2〜24時間である。
【0019】反応溶媒に水を使用すると炭酸メチル N
−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウムは加水分解
してしまうので、無水の有機溶媒を使用する必要がある
が、炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイミダゾ
リニウムは単離不可能なので、上述のように安定化に充
分な量のメタノール溶媒を含んだものを使用する必要が
ある。
−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウムは加水分解
してしまうので、無水の有機溶媒を使用する必要がある
が、炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイミダゾ
リニウムは単離不可能なので、上述のように安定化に充
分な量のメタノール溶媒を含んだものを使用する必要が
ある。
【0020】(a)工程で生成する炭酸メチル N−ア
ルキル−N′−メチルイミダゾリニウムは単独では不安
定で分解してしまうが、メタノール溶媒は炭酸メチル
N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウムを水素結
合によって安定化させる効果を有する。反応溶媒とし
て、非プロトン性溶媒を使用すると水素結合による安定
化効果がないので、炭酸メチル N−アルキル−N′−
メチルイミダゾリニウムは分解しやすく、その収率は非
常に低くなってしまう。また、エタノール、イソプロパ
ノールなどのプロトン性溶媒も炭酸メチル N−アルキ
ル−N′−メチルイミダゾリニウムを安定化させる効果
を有するが、炭酸ジメチルとアルコールとのエステル交
換反応などのため複雑な生成物を与え、反応収率はメタ
ノールを溶媒として用いた場合とに比べると劣る。
ルキル−N′−メチルイミダゾリニウムは単独では不安
定で分解してしまうが、メタノール溶媒は炭酸メチル
N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウムを水素結
合によって安定化させる効果を有する。反応溶媒とし
て、非プロトン性溶媒を使用すると水素結合による安定
化効果がないので、炭酸メチル N−アルキル−N′−
メチルイミダゾリニウムは分解しやすく、その収率は非
常に低くなってしまう。また、エタノール、イソプロパ
ノールなどのプロトン性溶媒も炭酸メチル N−アルキ
ル−N′−メチルイミダゾリニウムを安定化させる効果
を有するが、炭酸ジメチルとアルコールとのエステル交
換反応などのため複雑な生成物を与え、反応収率はメタ
ノールを溶媒として用いた場合とに比べると劣る。
【0021】また、原料のN−アルキルイミダゾリン類
および生成物の炭酸メチル N−アルキル−N′−メチ
ルイミダゾリニウムは定量的に加水分解し、式(2)お
よび式(3)に記した副生成物を与えるので、反応系内
を無水の状態に保つ必要がある。通常、原料および溶媒
は不純物として微量の水分を含有しているので、あらか
じめモレキュラーシーブなどの脱水剤により極力水分を
除去した後、蒸留などで精製しておく必要がある。含水
量は少ないほど好ましいが、実際的には、系内の水分量
を1重量%未満に保てば、充分高純度なN−アルキル−
N′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩を得ることがで
きる。
および生成物の炭酸メチル N−アルキル−N′−メチ
ルイミダゾリニウムは定量的に加水分解し、式(2)お
よび式(3)に記した副生成物を与えるので、反応系内
を無水の状態に保つ必要がある。通常、原料および溶媒
は不純物として微量の水分を含有しているので、あらか
じめモレキュラーシーブなどの脱水剤により極力水分を
除去した後、蒸留などで精製しておく必要がある。含水
量は少ないほど好ましいが、実際的には、系内の水分量
を1重量%未満に保てば、充分高純度なN−アルキル−
N′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩を得ることがで
きる。
【0022】式(1)で示される原料のN−アルキルイ
ミダゾリン類は、例えば1−メチルイミダゾリン、1−
エチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、
1−エチル−2−メチルイミダゾリン、1,2,4−ト
リメチルイミダゾリン、1−エチル−2,4−ジメチル
イミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾ
リンなどである。
ミダゾリン類は、例えば1−メチルイミダゾリン、1−
エチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、
1−エチル−2−メチルイミダゾリン、1,2,4−ト
リメチルイミダゾリン、1−エチル−2,4−ジメチル
イミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾ
リンなどである。
【0023】(b)工程:(b)工程は、上記(a)工
程で得られた炭酸メチル N−アルキル−N′−メチル
イミダゾリニウム溶液を無機酸水溶液に添加して反応さ
せ、加水分解を防止しつつ、脱炭酸によりN−アルキル
−N′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩を製造するア
ニオン交換反応工程で、次式(5)で示される。
程で得られた炭酸メチル N−アルキル−N′−メチル
イミダゾリニウム溶液を無機酸水溶液に添加して反応さ
せ、加水分解を防止しつつ、脱炭酸によりN−アルキル
−N′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩を製造するア
ニオン交換反応工程で、次式(5)で示される。
【0024】
【化5】
【0025】(式中のR1 ,R2 ,R3 およびR4 は式
(1)と同じであり、HYは無機酸を示す。) 特開昭63−284148号公報に開示されているよう
に、反応溶媒に水を使用すると炭酸メチル N−アルキ
ル−N′−メチルイミダゾリニウムは加水分解してしま
うので、無水の有機溶媒を使用する必要があるが、炭酸
メチル N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム
は単離不可能なので、上述のように安定化に充分な量の
メタノール溶媒を含んだものを使用する必要がある。
(1)と同じであり、HYは無機酸を示す。) 特開昭63−284148号公報に開示されているよう
に、反応溶媒に水を使用すると炭酸メチル N−アルキ
ル−N′−メチルイミダゾリニウムは加水分解してしま
うので、無水の有機溶媒を使用する必要があるが、炭酸
メチル N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム
は単離不可能なので、上述のように安定化に充分な量の
メタノール溶媒を含んだものを使用する必要がある。
【0026】なお、(a)工程で得た反応液から炭酸ジ
メチル(および過剰のメタノール)を減圧留去した炭酸
メチル N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム
のメタノール含有物を適当な有機溶媒中に溶解させても
良いが、有機溶媒としては、上述の炭酸メチル N−ア
ルキル−N′−メチルイミダゾリニウムの安定性の観点
から、メタノールを使用するのが好ましい。また、メタ
ノールは炭酸メチルN−アルキル−N′−メチルイミダ
ゾリニウム、無機酸および目的物であるN−アルキル−
N′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩を溶解しやす
く、反応終了後、沸点が低いので留去しやすいので好ま
しい。メタノール溶媒の量は、炭酸メチル N−アルキ
ル−N′−メチルイミダゾリニウム1モルに対して1〜
20モル、好ましくは2〜10モル、さらに好ましく
は、3〜7モルである。
メチル(および過剰のメタノール)を減圧留去した炭酸
メチル N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム
のメタノール含有物を適当な有機溶媒中に溶解させても
良いが、有機溶媒としては、上述の炭酸メチル N−ア
ルキル−N′−メチルイミダゾリニウムの安定性の観点
から、メタノールを使用するのが好ましい。また、メタ
ノールは炭酸メチルN−アルキル−N′−メチルイミダ
ゾリニウム、無機酸および目的物であるN−アルキル−
N′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩を溶解しやす
く、反応終了後、沸点が低いので留去しやすいので好ま
しい。メタノール溶媒の量は、炭酸メチル N−アルキ
ル−N′−メチルイミダゾリニウム1モルに対して1〜
20モル、好ましくは2〜10モル、さらに好ましく
は、3〜7モルである。
【0027】さらに、本発明で使用する無機酸は水溶液
で供給されるので、その水によって炭酸メチル N−ア
ルキル−N′−メチルイミダゾリニウムが加水分解され
るのを防止する必要がある。このためには、無機酸水溶
液に(a)工程で得られた炭酸メチル N−アルキル−
N′−メチルイミダゾリニウム溶液を添加して反応させ
る方式を選ぶ必要がある。この方法では反応が完結する
まで常に反応液が酸性であるので、式(3)の加水分解
は起こらない。一方、(a)工程で得られた炭酸メチル
N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム溶液に
無機酸水溶液を添加する方式では、反応が完結するまで
常に反応液が塩基性であるので、式(3)の加水分解が
起こってしまい目的物は得られない。
で供給されるので、その水によって炭酸メチル N−ア
ルキル−N′−メチルイミダゾリニウムが加水分解され
るのを防止する必要がある。このためには、無機酸水溶
液に(a)工程で得られた炭酸メチル N−アルキル−
N′−メチルイミダゾリニウム溶液を添加して反応させ
る方式を選ぶ必要がある。この方法では反応が完結する
まで常に反応液が酸性であるので、式(3)の加水分解
は起こらない。一方、(a)工程で得られた炭酸メチル
N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム溶液に
無機酸水溶液を添加する方式では、反応が完結するまで
常に反応液が塩基性であるので、式(3)の加水分解が
起こってしまい目的物は得られない。
【0028】また、(a)工程で使用したメタノールを
そのまま(b)工程の反応溶媒として使用した方が簡単
で経済的であるので、(a)工程で得た反応液をそのま
ま(b)工程に使用することが好ましい。この際、メタ
ノール及び未反応の炭酸ジメチルが(a)工程で得た反
応液に含まれていても(b)工程の反応には悪影響は及
ぼさないので問題はない。反応温度は10〜100℃、
好ましくは、20〜60℃である。炭酸ガス発泡による
吸熱が起きるため、加温する必要がある。この反応は炭
酸より酸性の強い無機酸であれば、定量的に進行し、炭
酸ガスの発泡が終わった時点で反応は完結する。
そのまま(b)工程の反応溶媒として使用した方が簡単
で経済的であるので、(a)工程で得た反応液をそのま
ま(b)工程に使用することが好ましい。この際、メタ
ノール及び未反応の炭酸ジメチルが(a)工程で得た反
応液に含まれていても(b)工程の反応には悪影響は及
ぼさないので問題はない。反応温度は10〜100℃、
好ましくは、20〜60℃である。炭酸ガス発泡による
吸熱が起きるため、加温する必要がある。この反応は炭
酸より酸性の強い無機酸であれば、定量的に進行し、炭
酸ガスの発泡が終わった時点で反応は完結する。
【0029】引き続いて溶媒を留去し、乾燥すれば高収
率で高純度のN−アルキル−N′−メチルイミダゾリニ
ウム無機酸塩が得ることができるが、必要に応じて再結
晶による精製を行ってさらに純度を向上させても良い。
使用する無機酸としては、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、
沃化水素酸、硫酸、亜硫酸、セレン酸、硝酸、燐酸、砒
酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸、六フッ化燐酸、六フ
ッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸などの水溶液から選ば
れる一種以上を挙げることができる。これらの中でも、
酸性の強い無機酸が平衡上好ましく、具体的には過塩素
酸、ホウフッ化水素酸、六フッ化燐酸、六フッ化アンチ
モン酸、あるいは六フッ化砒酸が好ましい。無機酸水溶
液の濃度は任意であるが、通常、30〜90重量%で供
給されるが、適宜、水で希釈しても良い。
率で高純度のN−アルキル−N′−メチルイミダゾリニ
ウム無機酸塩が得ることができるが、必要に応じて再結
晶による精製を行ってさらに純度を向上させても良い。
使用する無機酸としては、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、
沃化水素酸、硫酸、亜硫酸、セレン酸、硝酸、燐酸、砒
酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸、六フッ化燐酸、六フ
ッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸などの水溶液から選ば
れる一種以上を挙げることができる。これらの中でも、
酸性の強い無機酸が平衡上好ましく、具体的には過塩素
酸、ホウフッ化水素酸、六フッ化燐酸、六フッ化アンチ
モン酸、あるいは六フッ化砒酸が好ましい。無機酸水溶
液の濃度は任意であるが、通常、30〜90重量%で供
給されるが、適宜、水で希釈しても良い。
【0030】使用する無機酸の量は所望する酸塩基比に
なるように調節すればよいが、(a)工程で得られた炭
酸メチル N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウ
ムに対し、当量以上である必要がある。通常は、N−ア
ルキル−N′−メチルイミダゾリニウム陽イオンと陰イ
オンが1:1のN−アルキル−N′−メチルイミダゾリ
ニウム無機酸塩が利用されることが多い。
なるように調節すればよいが、(a)工程で得られた炭
酸メチル N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウ
ムに対し、当量以上である必要がある。通常は、N−ア
ルキル−N′−メチルイミダゾリニウム陽イオンと陰イ
オンが1:1のN−アルキル−N′−メチルイミダゾリ
ニウム無機酸塩が利用されることが多い。
【0031】
【実施例】次に、具体的な実施例および比較例を挙げ
て、本発明を更に詳細に説明する。 (実施例1)100mlオートクレーブ内に、1−エチ
ル−2−メチルイミダゾリン16.8g(0.15モ
ル)、炭酸ジメチル20.3g(0.225モル)、メ
タノール19.2g(0.60モル)を仕込んだ。系内
の水分量をカールフィッシャー法により測定したとこ
ろ、350ppmであった。オートクレーブを約30分
で135℃まで加熱し、135℃で7時間反応させた。
反応液を液体クロマトグラフで分析した結果、1−エチ
ル−2−メチルイミダゾリンの転化率は100%で、炭
酸メチル 1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニ
ウムの収率98%あった。
て、本発明を更に詳細に説明する。 (実施例1)100mlオートクレーブ内に、1−エチ
ル−2−メチルイミダゾリン16.8g(0.15モ
ル)、炭酸ジメチル20.3g(0.225モル)、メ
タノール19.2g(0.60モル)を仕込んだ。系内
の水分量をカールフィッシャー法により測定したとこ
ろ、350ppmであった。オートクレーブを約30分
で135℃まで加熱し、135℃で7時間反応させた。
反応液を液体クロマトグラフで分析した結果、1−エチ
ル−2−メチルイミダゾリンの転化率は100%で、炭
酸メチル 1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニ
ウムの収率98%あった。
【0032】68重量%六フッ化燐酸32.2g(0.
15モル)に上記反応液を添加したところ炭酸ガスの生
成による発泡が認められた。この反応液から水、メタノ
ールおよび炭酸ジメチルを減圧留去することにより、六
フッ化燐酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニ
ウムを収率98%で得た。これを液体クロマトグラフで
分析したところ、純度は99.5%以上であった。ま
た、融点は221℃であった。なお、構造は元素分析、
1H−NMR(図1)および13C−NMR(図2)によ
り同定した。
15モル)に上記反応液を添加したところ炭酸ガスの生
成による発泡が認められた。この反応液から水、メタノ
ールおよび炭酸ジメチルを減圧留去することにより、六
フッ化燐酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニ
ウムを収率98%で得た。これを液体クロマトグラフで
分析したところ、純度は99.5%以上であった。ま
た、融点は221℃であった。なお、構造は元素分析、
1H−NMR(図1)および13C−NMR(図2)によ
り同定した。
【0033】実験値:C,30.72;H,5.74;
N,10.14 理論値:C,30.89;H,5.55;N,10.2
9
N,10.14 理論値:C,30.89;H,5.55;N,10.2
9
【0034】(実施例2)実施例1において、1−エチ
ル−2−メチルイミダゾリンの代わりに1,2−ジメチ
ルイミダゾリン14.7g(0.15モル)に変更し
て、同一の実験をした。四級化反応の結果を表1に示し
た。また、68重量%六フッ化燐酸の代わりに70重量
%過塩素酸21.5g(0.15モル)に変更して同一
の実験をした。過塩素酸1,2,3−トリメチルイミダ
ゾリニウムを収率98%で得た。これを液体クロマトグ
ラフで分析したところ、純度は99.5%以上であっ
た。なお、構造は元素分析、 1H−NMRおよび13C−
NMRにより同定した。
ル−2−メチルイミダゾリンの代わりに1,2−ジメチ
ルイミダゾリン14.7g(0.15モル)に変更し
て、同一の実験をした。四級化反応の結果を表1に示し
た。また、68重量%六フッ化燐酸の代わりに70重量
%過塩素酸21.5g(0.15モル)に変更して同一
の実験をした。過塩素酸1,2,3−トリメチルイミダ
ゾリニウムを収率98%で得た。これを液体クロマトグ
ラフで分析したところ、純度は99.5%以上であっ
た。なお、構造は元素分析、 1H−NMRおよび13C−
NMRにより同定した。
【0035】(実施例3)実施例1において、1−エチ
ル−2−メチルイミダゾリンの代わりに1,2,4−ト
リメチルイミダゾリンに変更して、同一の実験をした。
四級化反応の結果を表1に示した。また、68重量%六
フッ化燐酸の代わりに34重量%六フッ化アンチモン酸
104.4g(0.15モル)に変更して同一の実験を
した。六フッ化アンチモン酸1,2,3,4−テトラメ
チルイミダゾリニウムを収率98%で得た。これを液体
クロマトグラフで分析したところ、純度は99.5%以
上であった。なお、構造は元素分析、 1H−NMRおよ
び13C−NMRにより同定した。
ル−2−メチルイミダゾリンの代わりに1,2,4−ト
リメチルイミダゾリンに変更して、同一の実験をした。
四級化反応の結果を表1に示した。また、68重量%六
フッ化燐酸の代わりに34重量%六フッ化アンチモン酸
104.4g(0.15モル)に変更して同一の実験を
した。六フッ化アンチモン酸1,2,3,4−テトラメ
チルイミダゾリニウムを収率98%で得た。これを液体
クロマトグラフで分析したところ、純度は99.5%以
上であった。なお、構造は元素分析、 1H−NMRおよ
び13C−NMRにより同定した。
【0036】(実施例4)100mlオートクレーブ内
に、1−エチル−2−メチルイミダゾリン16.8g
(0.15モル)、炭酸ジメチル20.3g(0.22
5モル)、メタノール19.2g(0.60モル)を仕
込んだ。系内の水分量をカールフィッシャー法により測
定したところ、600ppmであった。オートクレーブ
を約35分で145℃まで加熱し、145℃で5時間反
応させた。反応液を液体クロマトグラフで分析した結
果、1−エチル−2−メチルイミダゾリンの転化率は1
00%で、炭酸メチル 1−エチル−2,3−ジメチル
イミダゾリニウムの収率は98%あった。
に、1−エチル−2−メチルイミダゾリン16.8g
(0.15モル)、炭酸ジメチル20.3g(0.22
5モル)、メタノール19.2g(0.60モル)を仕
込んだ。系内の水分量をカールフィッシャー法により測
定したところ、600ppmであった。オートクレーブ
を約35分で145℃まで加熱し、145℃で5時間反
応させた。反応液を液体クロマトグラフで分析した結
果、1−エチル−2−メチルイミダゾリンの転化率は1
00%で、炭酸メチル 1−エチル−2,3−ジメチル
イミダゾリニウムの収率は98%あった。
【0037】また、42重量%ホウフッ化水素酸31.
4g(0.15モル)に上記反応液を添加したところ、
炭酸ガスの生成による発泡が認められた。この反応液か
ら水、メタノールおよび炭酸ジメチルを減圧留去するこ
とにより、ホウフッ化水素酸1−エチル−2,3−ジメ
チルイミダゾリニウムを収率98%で得た。これを液体
クロマトグラフで分析したところ、純度は99.5%以
上であった。また、融点は221℃であった。なお、構
造は元素分析、 1H−NMRおよび 13C−NMRにより
同定した。
4g(0.15モル)に上記反応液を添加したところ、
炭酸ガスの生成による発泡が認められた。この反応液か
ら水、メタノールおよび炭酸ジメチルを減圧留去するこ
とにより、ホウフッ化水素酸1−エチル−2,3−ジメ
チルイミダゾリニウムを収率98%で得た。これを液体
クロマトグラフで分析したところ、純度は99.5%以
上であった。また、融点は221℃であった。なお、構
造は元素分析、 1H−NMRおよび 13C−NMRにより
同定した。
【0038】(比較例1)実施例1において、四級化反
応後の反応液からメタノールと炭酸ジメチルを室温にて
減圧留去し、炭酸メチル 1−エチル−2,3−ジメチ
ルイミダゾリニウムの単離を試みたが、分解してしまっ
た。図3に、炭酸メチル 1−エチル−2,3−ジメチ
ルイミダゾリニウムのメタノール含有物の熱分析結果を
示したが、メタノールの蒸発とともに分解した。従来の
炭酸メチル テトラメチルアンモニウムは約200℃ま
で安定で(図4)、単離可能なのと対照的であった。
応後の反応液からメタノールと炭酸ジメチルを室温にて
減圧留去し、炭酸メチル 1−エチル−2,3−ジメチ
ルイミダゾリニウムの単離を試みたが、分解してしまっ
た。図3に、炭酸メチル 1−エチル−2,3−ジメチ
ルイミダゾリニウムのメタノール含有物の熱分析結果を
示したが、メタノールの蒸発とともに分解した。従来の
炭酸メチル テトラメチルアンモニウムは約200℃ま
で安定で(図4)、単離可能なのと対照的であった。
【0039】(比較例2)実施例1において、反応液中
の含有水分量が5重量%とした以外は実施例1と同一の
実験をした。反応初期から炭酸ガスの異常発生により反
応圧力が急激に上昇したので、20kg/cm2 に達し
た2時間後に反応を停止した。四級化反応の結果を表1
に示したが、副反応のため炭酸メチル 1−エチル−
2,3−ジメチルイミダゾリニウムはほとんど生成して
いなかったので、六フッ化燐酸との反応は実施できなか
った。
の含有水分量が5重量%とした以外は実施例1と同一の
実験をした。反応初期から炭酸ガスの異常発生により反
応圧力が急激に上昇したので、20kg/cm2 に達し
た2時間後に反応を停止した。四級化反応の結果を表1
に示したが、副反応のため炭酸メチル 1−エチル−
2,3−ジメチルイミダゾリニウムはほとんど生成して
いなかったので、六フッ化燐酸との反応は実施できなか
った。
【0040】(比較例3)100mlオートクレーブ内
に、1−エチル−2−メチルイミダゾリン16.8g
(0.15モル)、炭酸ジメチル27.0g(0.30
モル)を仕込んだ。(この場合、過剰の炭酸ジメチルが
溶媒となっている。)、系内の水分量をカールフィッシ
ャー法により測定したところ、160ppmであった。
オートクレーブを約30分で130℃まで加熱し、反応
させたが、炭酸ガスの異常発生により反応圧力が上昇し
たので、20kg/cm2 に達した5時間後に反応を停
止した。反応液を液体クロマトグラフで分析した結果、
1−エチル−2−メチルイミダゾリンの転化率は100
%であったにもかかわらず、炭酸メチル 1−エチル−
2,3−ジメチルイミダゾリニウムの収率39%であっ
た。収率が非常に低いので、六フッ化燐酸との反応は実
施できなかった。
に、1−エチル−2−メチルイミダゾリン16.8g
(0.15モル)、炭酸ジメチル27.0g(0.30
モル)を仕込んだ。(この場合、過剰の炭酸ジメチルが
溶媒となっている。)、系内の水分量をカールフィッシ
ャー法により測定したところ、160ppmであった。
オートクレーブを約30分で130℃まで加熱し、反応
させたが、炭酸ガスの異常発生により反応圧力が上昇し
たので、20kg/cm2 に達した5時間後に反応を停
止した。反応液を液体クロマトグラフで分析した結果、
1−エチル−2−メチルイミダゾリンの転化率は100
%であったにもかかわらず、炭酸メチル 1−エチル−
2,3−ジメチルイミダゾリニウムの収率39%であっ
た。収率が非常に低いので、六フッ化燐酸との反応は実
施できなかった。
【0041】(比較例4〜7)実施例1において、メタ
ノールの代わりに、0.60モルのトルエン(比較例
4)、テトラヒドロフラン(比較例5)、エタノール
(比較例6)、および、イソプロパノール(比較例7)
を使用して、四級化反応を実施した。四級化反応の結果
を表1に示したが、1−エチル−2−メチルイミダゾリ
ンの転化率も、炭酸メチル 1−エチル−2,3−ジメ
チルイミダゾリニウムの収率も非常に低かった。
ノールの代わりに、0.60モルのトルエン(比較例
4)、テトラヒドロフラン(比較例5)、エタノール
(比較例6)、および、イソプロパノール(比較例7)
を使用して、四級化反応を実施した。四級化反応の結果
を表1に示したが、1−エチル−2−メチルイミダゾリ
ンの転化率も、炭酸メチル 1−エチル−2,3−ジメ
チルイミダゾリニウムの収率も非常に低かった。
【0042】また、68重量%六フッ化燐酸32.2g
(0.15モル)に上記反応液を添加し、水、メタノー
ルおよび炭酸ジメチルなどを減圧留去することにより、
固体を得た。これを液体クロマトグラフで分析したとこ
ろ、目的物の他に、未反応の1−エチル−2−メチルイ
ミダゾリンと六フッ化燐酸との三級塩や多数の未知不純
物が存在し、純度の非常に悪い(純度:約50%以下)
六フッ化燐酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリ
ニウムしか得られなかった。これら実施例、比較例にお
いて転化率、収率、選択率を表1に示す。
(0.15モル)に上記反応液を添加し、水、メタノー
ルおよび炭酸ジメチルなどを減圧留去することにより、
固体を得た。これを液体クロマトグラフで分析したとこ
ろ、目的物の他に、未反応の1−エチル−2−メチルイ
ミダゾリンと六フッ化燐酸との三級塩や多数の未知不純
物が存在し、純度の非常に悪い(純度:約50%以下)
六フッ化燐酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリ
ニウムしか得られなかった。これら実施例、比較例にお
いて転化率、収率、選択率を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】(比較例8)実施例1において、四級化反
応後の反応液に、68重量%六フッ化燐酸を添加した。
しかしながら、炭酸メチル 1−エチル−2,3−ジメ
チルイミダゾリニウムが加水分解したために、目的物は
ほとんど得られなかった。
応後の反応液に、68重量%六フッ化燐酸を添加した。
しかしながら、炭酸メチル 1−エチル−2,3−ジメ
チルイミダゾリニウムが加水分解したために、目的物は
ほとんど得られなかった。
【0045】
【発明の効果】本発明により、高純度のN−アルキル−
N′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩を高収率で製造
することができる。
N′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩を高収率で製造
することができる。
【図1】六フッ化燐酸1−エチル−2,3−ジメチルイ
ミダゾリニウムのジメチルスルホキサイド−d6 中での
1H−NMRのチャートを示す。
ミダゾリニウムのジメチルスルホキサイド−d6 中での
1H−NMRのチャートを示す。
【図2】六フッ化燐酸1−エチル−2,3−ジメチルイ
ミダゾリニウムのジメチルスルホキサイド−d6 中での
13C−NMRのチャートを示す。
ミダゾリニウムのジメチルスルホキサイド−d6 中での
13C−NMRのチャートを示す。
【図3】炭酸メチル 1−エチル−2,3−ジメチルイ
ミダゾリニウムのメタノール含有物の熱重量−示差熱分
析結果を示す。
ミダゾリニウムのメタノール含有物の熱重量−示差熱分
析結果を示す。
【図4】炭酸メチル テトラメチルアンモニウムの熱重
量−示差熱分析結果を示す。
量−示差熱分析結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 7/075 A61K 7/075 (72)発明者 竹原 雅裕 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内
Claims (6)
- 【請求項1】 (a)N−アルキルイミダゾリン類を炭
酸ジメチルによってメチル化し、炭酸メチル N−アル
キル−N′−メチルイミダゾリニウムを製造する四級化
反応工程、および、(b)生成した炭酸メチル N−ア
ルキル−N′−メチルイミダゾリニウムを無機酸と反応
させるアニオン交換反応工程を含むN−アルキル−N′
−メチルイミダゾリニウム無機酸塩の製造する方法にお
いて、(a)工程の反応溶媒としてメタノールを使用す
ること、および(b)工程が無機酸水溶液に(a)工程
で得られた炭酸メチル N−アルキル−N′−メチルイ
ミダゾリニウム溶液を添加して反応させることを特徴と
するN−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム無機
酸塩の製造方法。 - 【請求項2】 (a)工程において、反応系内の水分量
を1重量%未満に保つことを特徴とする請求項1記載の
N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩
の製造方法。 - 【請求項3】 (a)工程で使用するN−アルキルイミ
ダゾリン類が一般式(1) 【化1】 (式中、R1 は炭素数が1〜4のアルキル基、R2 は炭
素数が1〜19のアルキル基または水素原子、R3 およ
びR4 はそれぞれ独立してメチル基、エチル基または水
素原子である。)で表わされる化合物である請求項1ま
たは2項記載のN−アルキル−N′−メチルイミダゾリ
ニウム無機酸塩の製造方法。 - 【請求項4】 N−アルキルイミダゾリン類が1−メチ
ルイミダゾリン、1−エチルイミダゾリン、1,2−ジ
メチルイミダゾリン、1−エチル−2−メチルイミダゾ
リン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1−エチ
ル−2,4−ジメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル
−2−エチルイミダゾリンから選ばれる1種以上である
請求項3記載のN−アルキル−N′−メチルイミダゾリ
ニウム無機酸塩の製造方法。 - 【請求項5】 (b)工程で使用する無機酸水溶液が過
塩素酸、ホウフッ化水素酸、六フッ化燐酸、六フッ化ア
ンチモン酸、あるいは、六フッ化砒酸である請求項1記
載のN−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム無機
酸塩の製造方法。 - 【請求項6】 (a)工程で得られた反応液をそのまま
(b)工程に使用することを特徴とする請求項1記載の
N−アルキル−N′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8173505A JPH1017553A (ja) | 1996-07-03 | 1996-07-03 | N−アルキル−n′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8173505A JPH1017553A (ja) | 1996-07-03 | 1996-07-03 | N−アルキル−n′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1017553A true JPH1017553A (ja) | 1998-01-20 |
Family
ID=15961777
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8173505A Pending JPH1017553A (ja) | 1996-07-03 | 1996-07-03 | N−アルキル−n′−メチルイミダゾリニウム無機酸塩の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1017553A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0985668A1 (de) * | 1998-08-12 | 2000-03-15 | Basf Aktiengesellschaft | Verfahren zur Herstellung von 1,3-Dimethyl-imidazolium-4-carboxylat |
JP2005314267A (ja) * | 2004-04-28 | 2005-11-10 | Kaneka Corp | 常温溶融塩及びその製造方法 |
CN114737210A (zh) * | 2022-04-26 | 2022-07-12 | 南京工业大学 | 一种利用电化学微通道反应装置连续制备1,3-茚二酮螺咪唑啉类化合物的方法 |
CN115677589A (zh) * | 2022-11-23 | 2023-02-03 | 山东青科农牧发展有限公司 | 一种1,2-二甲基-5-硝基咪唑的合成方法 |
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1996
- 1996-07-03 JP JP8173505A patent/JPH1017553A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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