JP6322350B1 - 新規トリチル保護剤 - Google Patents

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Abstract

官能基を保護した化合物を固体化又は不溶化させず、反応後の分離、精製を容易ならしめる保護基を開発することにある。一般式(1)(式中、Yはヒドロキシ基又はハロゲン原子を示し、R1〜R15のうちの少なくとも1個は式(2)で表される基を示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し;R16は炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し;XはO又はCONR17(ここでR17は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)を示し;Aは式(3)等(ここで、R18、R19及びR20は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す)で表される基を示す)で表されるトリチル化合物。

Description

本発明は、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、メルカプト基等の保護剤として有用な新規トリチル化合物に関する。
ペプチド合成や種々の化合物の合成において、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基やメルカプト基等の官能基を保護して反応させる必要が生じることがある。そのような保護基としては、簡便な方法により保護ができ、かつ穏和な条件で脱離できるものが望まれる。例えば、カルボキシ基の保護基としては、ベンジルエステル(Bn)、tert−ブチルエステル等が知られている。また、最近、ベンジルアルコール系化合物、トリチル系化合物、フルオレン系化合物が保護基として有用であることが報告されている(特許文献1、2、3)。
特許第5929756号公報 特許第5113118号公報 国際公開第2010/104169号パンフレット
しかしながら、従来の保護基で官能基を保護した化合物は、析出しやすい欠点があった。特にペプチド合成においては有機溶媒にも不溶になってしまうため、反応後の化合物の分離、精製が困難になることがしばしばであった。この分離、精製の困難性は、縮合反応が連続して行なわれるペプチド合成においては大きな問題であった。
従って、本発明の課題は、官能基を保護した化合物を固体化又は不溶化させずに有機溶媒に溶解させることにより、反応後の分離、精製を容易ならしめる保護基を提供することにある。
そこで本発明者は、トリチル化合物の置換基について種々検討した結果、ベンゼン環上にオキシアルキレン基を介し末端に置換シリルオキシ基を有するトリチル化合物を開発した。このトリチル化合物はヘテロ原子の保護剤として有用であり、このトリチル化合物を用いて官能基を保護したペプチド等の有機化合物は有機溶媒中で析出しにくく、液−液相分離の操作により分離精製が容易となる特徴を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔8〕を提供するものである。
〔1〕一般式(1)
Figure 0006322350
(式中、Yはヒドロキシ基又はハロゲン原子を示し、R1〜R15のうちの少なくとも1個は式(2)
Figure 0006322350
で表される基を示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し;
16は炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し;
XはO又はCONR17(ここでR17は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)を示し;
Aは式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)又は(13)
Figure 0006322350
(ここで、R18、R19及びR20は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R21は単結合又は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、R22、R23及びR24はそれぞれ、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す)
で表される基を示す)
で表されるトリチル化合物。
〔2〕Yがヒドロキシ基、塩素原子、又は臭素原子である〔1〕記載のトリチル化合物。
〔3〕R1〜R15のうち少なくとも1個が式(2)で表される基であり、残余が水素原子又はハロゲン原子である〔1〕又は〔2〕記載のトリチル化合物。
〔4〕R16が炭素数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のトリチル化合物。
〔5〕式(2)で表される基が2−t−ブチルジメチルシリルオキシエトキシ基又は3−t−ブチルジメチルシリルオキシプロポキシ基である場合を除く〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のトリメチル化合物。
〔6〕R16が炭素数6〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のトリチル化合物。
〔7〕R21が単結合又はメチレン基であり、R22、R23及びR24がメチレン基である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のトリチル化合物。
〔8〕〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のトリチル化合物からなるカルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基又はメルカプト基の保護剤。
本発明のトリチル化合物(1)を用いて官能基を保護した化合物は、液状になりやすく、また溶媒への溶解性が向上するため、縮合反応後の分離、精製が容易である。
医薬、農薬等様々な化学物質の製造工程において、原料や中間体の不溶化、固化が支障となっている場合、原料や中間体化合物に本発明のトリチル化合物(1)を結合させることで、これらの液状性、溶解性を向上させ、これらの問題点を解決することができる。
一般式(1)で表される本発明のトリチル化合物は、R1〜R15の少なくとも1個が式(2)の構造を有する点に特徴がある。かかる構造を有することにより、このトリチル化合物(1)を用いて保護した化合物が液状になりやすく、また溶媒への溶解性が顕著に向上する。
一般式(1)中、Yはヒドロキシ基又はハロゲン原子を示す。ここで、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子が挙げられる。
Yとしては、ヒドロキシ基、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
本発明のトリチル化合物は、R1〜R15のうち、少なくとも1個が式(2)で示される基を示すが、このうち1〜2個が式(2)で示される基であることが、保護基導入化合物の溶解性、また保護基の脱離性の点で好ましい。
残余は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。ここで、R1〜R15で示される残余のハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、このうち塩素原子、フッ素原子が好ましい。さらに置換位置としては、オルト位が好ましい。残余の炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基等が挙げられ、このうちメトキシ基が好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等が挙げられ、このうちメチル基、エチル基がより好ましい。
16は炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。当該アルキレン基のうち、炭素数2以上16以下の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基が好ましく、炭素数6以上16以下の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基がより好ましく、炭素数8以上14以下の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基がさらに好ましく、炭素数8以上12以下の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基がさらに好ましい。当該アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ナノメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基等が挙げられる。
XはO又はCONR17を示す。
ここでR17は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、水素原子が好ましい。
Aは、式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)又は(13)で示される基を示す。R18、R19及びR20は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。ここで炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。このうち、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、tert−ブチル、イソプロピル基がさらに好ましい。
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、具体的には炭素数1〜3のアルキル基が置換してもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。このうち、フェニル基がさらに好ましい。
21は、単結合又は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基が挙げられるが、このうち単結合が特に好ましい。
22、R23及びR24は、それぞれ炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基が挙げられるが、メチレン基が特に好ましい。
一般式(1)において、Yがヒドロキシ基、塩素原子又は臭素原子であり;R1〜R15のうち少なくとも1個、好ましくは1〜2個が式(2)で示される基であり、残余が水素原子、塩素原子又はフッ素原子であり;R16が炭素数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であり;R21が単結合又はメチレン基であり;R22、R23及びR24がメチレン基である化合物がより好ましい。
また、一般式(2)において、R16が炭素数6〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり;XはO又はCONHであり;Aは、式(3)又は(13)で示される基であり;R18、R19及びR20は、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基であり;R21は単結合であり;R22、R23及びR24はメチレン基である化合物がより好ましい。
ここで、式(2)で示される基が結合した状態の好ましい具体例を次に示す。式(2)で示される基としては、2−t−ブチルジメチルシリルオキシエトキシ基又は3−t−ブチルジメチルシリルオキシプロポキシ基は除かれるのが好ましい。
Figure 0006322350
(式中、R1b及びR2bは水素原子、ハロゲン原子を示し、Y、A、X及びR16は前記と同じ)
本発明のトリチル化合物(1)の具体例としては、次の(a)〜(e)が挙げられる。(a)〜(e)中、Yはヒドロキシ基又はハロゲン原子を示す。
(a)TIPS2型−(MM)−OO保護剤
Figure 0006322350
(式中、Raは水素原子又はハロゲン原子を示す。)
(b)TIPS2型−(MM)−PP保護剤
Figure 0006322350
(式中、Raは水素原子又はハロゲン原子を示す。)
(c)TIPS2型−(M)(M)−O保護剤
Figure 0006322350
(式中、Raは水素原子又はハロゲン原子を示す。)
(d)TIPS3型−(P)−OO保護剤
Figure 0006322350
(式中、Raは水素原子又はハロゲン原子を示す。)
(e)TIPS4型−(MM)(MM)−O保護剤
Figure 0006322350
(式中、Raは水素原子又はハロゲン原子を示す。)
本発明のトリチル化合物(1)は、例えば以下に示す反応式に従って製造することができる。
Figure 0006322350
Figure 0006322350
Figure 0006322350
Figure 0006322350
(式中、Halはハロゲン原子を示し、R1a〜R10aのうち少なくとも1個は水酸基を示し、残余は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、R6aは炭素数1〜3のアルキル基を示し、R1c〜R10cのうち少なくとも1個は式(2)で表わされる基を示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、R1d〜R10dは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、R1e〜R10eのうち少なくとも1個は−OTBS、−OTIPS、又は−OTBDPSを示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、MはMgBr又はLiを示す。)
シリルオキシ化アルキルハライド(14)とハロゲン化アリール化合物(15)とを反応させて、シリルオキシ化アリール化合物(16)を得、次いで金属試薬と反応させて有機金属試薬(18)が得られる。有機金属試薬(18)とエステル化合物(20)を反応させ、水酸基を有するトリチル化合物(21)が得られる。さらに、これをハロゲン化することにより、式(24)の化合物が得られる。或いは、ハロゲン化アリール化合物(15)の水酸基をシリルエーテルで保護した後、金属試薬と反応させて有機金属試薬(19)を得、エステル化合物(20)と反応させ、式(22)の化合物が得られる。次いで式(22)の化合物の保護基を脱保護して式(23)の化合物を得、シリルオキシ化アルキルハライド(14)と反応させ、式(21)の化合物を得ることもできる。
シリルオキシ化アルキルハライド(14)とエステル化合物(25)とを反応させて、シリルオキシ化エステル化合物(26)を得、次いで有機金属試薬(27)と反応させて、水酸基を有するトリチル化合物(28)の化合物が得られる。さらに、これをハロゲン化することにより、式(29)の化合物が得られる。また、エステル化合物(25)の水酸基をシリルエーテルで保護した後、有機金属試薬(27)と反応させて、式(31)の化合物が得られる。次いで式(31)の化合物の保護基を脱保護して式(32)の化合物を得、シリルオキシ化アルキルハライド(14)と反応させ、式(28)の化合物が得られる。
ケトン化合物(33)を有機金属試薬(18)と反応させ、式(34)の化合物を得、水酸基を有するトリチル化合物(34)をハロゲン化することにより、式(35)の化合物が得られる。或いは、ケトン化合物(33)を有機金属試薬(19)と反応させ、式(36)の化合物を得、次いで式(36)の化合物の保護基を脱保護して式(37)の化合物を得、シリルオキシ化アルキルハライド(14)と反応させ、式(34)の化合物を得ることもできる。
ケトン化合物(38)とシリルオキシ化アルキルハライド(14)とを反応させて、シリルオキシ化ケトン化合物(39)を得、次いで有機金属試薬(27)と反応させて、水酸基を有するトリチル化合物(40)の化合物が得られる。さらに、これをハロゲン化することにより、式(41)の化合物が得られる。或いは、ケトン化合物(38)の水酸基をシリルエーテルで保護した後、有機金属試薬(27)と反応させ、式(43)の化合物が得られる。次いで式(43)の化合物の保護基を脱保護して式(44)の化合物を得、シリルオキシ化アルキルハライド(14)と反応させ、式(40)の化合物を得ることもできる。
原料であるシリルオキシ化アルキルハライド(14)は、例えばハロゲン化アルコールとシリル化剤とを塩基の存在下に反応させることにより製造することができる。化合物(14)中のハロゲン原子としては、臭素原子等が挙げられる。
また、式(15)の化合物から式(17)の化合物、式(25)の化合物から式(30)の化合物、及び、式(38)の化合物から式(42)の化合物を得る反応も、上記と同様に、アルコールとシリル化剤とを塩基の存在下に反応させることにより製造することができる。
上記反応に用いられるシリル化剤としては、塩化トリイソプロピルシリル(TIPSCl)、臭化トリイソプロピルシリル、ヨウ化トリイソプロピルシリル、メタンスルホニルトリイソプロピルシリル、トリフルオロメタンスルホニルイソプロピルシリル、p−トルエンスルホニルトリイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルクロロシラン(TBDPSCl)、tert−ブチルジメチルクロロシラン(TBSCl)等が挙げられる。
塩基としては、TEA、DIPEA、DBU、ジアザビシクロノネン(DBN)、DABCO、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N、N−ジメチルアニリン、ピリジン、2、6−ルチジン、DMAP、LDA、NaOAc、MeONa、MeOK、リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)等の有機塩基、Na2CO3、NaHCO3、NaH、NaNH2、K2CO3、Cs2CO3等の無機塩基が挙げられる。
溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、N−メチルピロリドン等のラクタム類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。
反応は、例えば0℃〜100℃で1時間〜24時間行えばよい。
シリルオキシ化アルキルハライド(14)と式(15)の化合物との反応、シリルオキシ化アルキルハライド(14)と式(23)の化合物との反応、シリルオキシ化アルキルハライド(14)と式(25)の化合物との反応、シリルオキシ化アルキルハライド(14)と式(32)の化合物との反応、シリルオキシ化アルキルハライド(14)と式(37)の化合物との反応、シリルオキシ化アルキルハライド(14)と式(38)の化合物との反応、及び、シリルオキシ化アルキルハライド(14)と式(44)の化合物との反応は、塩基の存在下に反応させることにより合成できる。
上記反応に用いられる塩基としては、TEA、DIPEA、DBU、DBN、DABCO、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N、N−ジメチルアニリン、ピリジン、2、6−ルチジン、DMAP、LDA、NaOAc、MeONa、MeOK、リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)等の有機塩基、Na2CO3、NaHCO3、NaH、K2CO3、Cs2CO3等の無機塩基が挙げられる。
溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、CPME、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、DMF、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、N−メチルピロリドン等のラクタム類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。
反応は、例えば40℃〜150℃で1時間〜24時間行えばよい。
式(20)の化合物から式(21)の化合物、式(20)の化合物から式(22)の化合物、式(26)の化合物から式(28)の化合物、式(30)の化合物から式(31)の化合物、式(33)の化合物から式(34)の化合物、式(33)の化合物から式(36)の化合物、式(39)の化合物から式(40)の化合物、及び、式(42)の化合物から式(43)の化合物を得るには、有機金属試薬(18)、(19)又は(27)と反応させる手段が挙げられる。
有機金属試薬としては、ハロゲン化アリールから調製できるグリニャール試薬、若しくはリチウム試薬等が挙げられる。溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、CPME、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類またはこれらの混合溶媒が挙げられる。反応は、例えば−48℃〜100℃で0.5時間〜48時間行うのが好ましい。
式(22)の化合物から式(23)の化合物、式(31)の化合物から式(32)の化合物、式(36)の化合物から式(37)の化合物、及び、式(43)から式(44)の化合物を得るには、脱保護剤を反応させる手段が挙げられる。
脱保護剤としては、TBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド)、フッ化ピリジン錯体、フッ化水素トリエチルアミン錯体、フッ化アンモニウム等が挙げられる。溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、CPME、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化水素類またはこれらの混合溶媒が挙げられる。反応は、例えば0℃〜80℃で1時間〜24時間行うのが好ましい。
式(21)の化合物から式(24)の化合物、式(28)の化合物から式(29)の化合物、式(34)の化合物から式(35)の化合物、及び、式(40)の化合物から式(41)の化合物を得るには、例えばハロゲン化剤を反応させることにより製造することができる。式(24)、(29)、(35)、及び(41)中のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
ハロゲン化剤としては、塩化チオニル/ピリジン、塩化アセチル、PCl3、NCS、HCl、臭化アセチル、PBr3、NBS、HBr等が挙げられる。
溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、CPME、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)またはこれらの混合溶媒が挙げられる。反応は、例えば0℃〜100℃で0.5時間〜48時間行えばよい。
本発明のトリチル化合物(1)は、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基又はメルカプト基等の官能基の保護剤として使用できる。本発明のトリチル化合物(1)でカルボキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基又はメルカプト基を保護された化合物は、液状性、溶媒に対する溶解性が高いという特徴を有する。従って、本発明のトリチル化合物(1)を保護剤として用いて官能基を保護した化合物は、液状となり、液−液相分離等の操作により分離精製可能である。また、本発明化合物で使用された保護基は、酸により容易に脱離することができる。
本発明のトリチル化合物(1)で保護できる化合物としては、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基又はメルカプト基を有する化合物であればよく、例えばアミノ酸、ペプチド、糖化合物、タンパク質、核酸化合物、その他種々の医薬品化合物、農薬化合物、その他、種々のポリマー、デンドリマー化合物等が挙げられる。
本発明のトリチル化合物(1)を保護剤として用いるペプチドの合成法は、例えば次の工程(1)〜(4)を含む製法である。
(1)本発明のトリチル化合物(1)を、可溶性溶媒中、N−保護アミノ酸又はN−保護ペプチドのC末端カルボキシル基と縮合させて、本発明のトリチル化合物(1)でC末端が保護されたN−保護C保護アミノ酸又はN−保護C−保護ペプチドを得る。若しくは、本発明のトリチル化合物(1)を、可溶性溶媒中、N−保護アミノ酸又はN−保護ペプチドのC末端アミド基と反応させて、本発明のトリチル化合物(1)でC末端が保護されたN−保護C保護アミノ酸又はN−保護C−保護ペプチドを得る。
(2)得られたN−保護C保護アミノ酸又はN−保護C−保護ペプチドのN末端の保護基を除去して、C−保護アミノ酸又はC−保護ペプチドを得る。
(3)得られたC−保護アミノ酸又はC−保護ペプチドのN末端に、N保護アミノ酸又はN−保護ペプチドを縮合させて、N−保護C−保護ペプチドを得る。
(4)得られたN−保護C−保護ペプチドのN末端の保護基及びC末端の保護基を除去して、目的のペプチドを得る。
次に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
実施例1
TIPS2−4,4’−diClTrt−Clの合成
Figure 0006322350
(以下、Br−(CH211−OTIPS、TIPS2−Ph−COOMe、TIPS2−4,4’−diClTrt−OH、TIPS2−4,4’−diClTrt−Clは図中の構造を示す。)
実施例(1−a):TIPS2−Ph−COOMe
Br−(CH211−OTIPS 8.66g(21.3mmol)、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル1.59g(9.5mmol)、炭酸カリウム4.70g(34.0mmol)をDMF37.8mLに懸濁し、85℃に加熱し、3時間撹拌した後、100℃に昇温し、3時間攪拌した。反応溶液を濾過し、濾物をヘプタン79mLで洗浄した。濾液を分液し、得られたヘプタン層にヘプタン38mLを加え、DMF38mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層に、ヘプタン38mLを加え、1N塩酸38mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液38mLで1回、水38mLで1回分液洗浄した。ヘプタン層にヘプタン38mLを加え、アセトニトリル38mLで2回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=200:1→0:100)で精製し、TIPS2−Ph−COOMe 9.76gを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.04−1.08(m,42H),1.23−1.39(m,24H),1.44(quin.,4H),1.54(quin.,4H),1.77(quin.,4H),3.67(t,4H),3.89(s,3H),3.96(t,4H),6.64(t,1H),7.16(d,2H)
ESIMS MNa+ 843.6
実施例(1−b):TIPS2−4,4’−diClTrt−OH
TIPS2−Ph−COOMe0.82g(1.00mmol)をTHF10.0mLに溶解し、4−クロロマグネシウムブロミドジエチルエーテル溶液9.00mL(9.00mmol)を添加し、75℃に加熱し、3時間撹拌した。反応溶液を5℃に冷却し、1N塩酸30mLで反応を停止し、ヘキサン80mLを添加し、1N塩酸45mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液45mLで1回、水45mLで1回分液洗浄した。ヘプタン層にヘプタン20mLを加え、アセトニトリル50mLで分液洗浄した。前記のヘプタンとアセトニトリルによる分液洗浄をさらに1回行った。ヘプタン層に、ヘプタン30mLを加え、DMF15mLで分液洗浄した。ヘプタン層にヘプタン15mLを加え、DMF15mLで分液洗浄した。前記のヘプタンとアセトニトリルによる分液洗浄をさらに2回行い、ヘプタン層を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=70:1→15:1)で精製し、TIPS2−4,4’−diClTrt−OH 0.50gを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.04−1.08(m,42H),1.23−1.44(m,28H),1.53(quin.,4H),1.70(quin.,4H),2.72(s,1H),3.66(t,4H),3.84(t,4H),6.32(d,2H),6.37(t,1H),7.19−7.29(m,8H)
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ12.2(6C),18.2(12C),26.0(2C),26.2(2C),29.3−29.8(12C),33.2(2C),63.7(2C),68.3(2C),81.5,100.2,106.9(2C),128.3(4C),129.4(4C),133.5(2C),144.9(2C),148.4,160.2(2C)
ESIMS MNa+ 1035.9
実施例(1−c):TIPS2−4,4’−diClTrt−Cl
TIPS2−4,4’−diClTrt−OH 30mg(0.03mmol)をクロロホルム0.49mLに溶解し、塩化アセチル97μL(1.37mmol)を添加し、45℃に加熱し、1時間30分撹拌した。さらに塩化アセチル97μL(1.37mmol)添加し、45℃で15時間攪拌した。反応溶液にヘキサン5.0mLを加え、アセトニトリル3.0mLで分液洗浄した。ヘプタン層にヘプタン2.0mLを加え、アセトニトリル3.0mLで分液洗浄した。前記のヘプタンとアセトニトリルによる分液洗浄をさらに1回行い、ヘプタン層を減圧下で濃縮して、TIPS2−4,4’−diClTrt−Cl 21mgを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.04−1.08(m,42H),1.23−1.44(m,28H),1.53(quin.,4H),1.71(quin.,4H),3.67(t,4H),3.85(t,4H),6.32(d,2H),6.40(t,1H),7.15−7.30(m,8H)
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ12.2(6C),18.2(12C),26.0(2C),26.2(2C),29.3−29.8(12C),33.2(2C),63.7(2C),68.3(2C),80.1,100.7,108.9(2C),128.1(4C),131.1(4C),134.2(2C),143.5(2C),146.5,159.9(2C)
実施例2
TIPS6−2−ClTrt−OHの合成
Figure 0006322350
(以下、TBS2−2−ClTrt−OH、4’,4’’−diOH−2−ClTrt−OH、Br−(CH210−CONH−C(CH2OTIPS)3、TIPS6−2−ClTrt−OHは図中の構造を示す。)
実施例(2−a):TBS2−2−ClTrt−OH
1−bromo−3−[[(1,1−dimethylethyl)dimethylsilyl]oxy]−benzene 4.48g(15.6mmol)を無水THF31.2mLに溶解し、マグネシウム455mg(18.7mmol)を添加し、反応容器内を窒素置換した後、1,2−ジブロモエタン 7μL(0.08mmol)を添加し、2時間還流した。反応溶液を50℃に冷却し、無水THF 7.8mLに溶解したmethyl 2−Chlorobenzoate 1.00g(5.9mmol)を添加し、50分間還流した。反応溶液を5℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液 79mLで反応を停止し、ヘプタン 224mLを加え、分液洗浄した。得られた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液 79mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液 116mLで1回分液洗浄した。有機層を減圧下で濃縮して、TBS2−2−ClTrt−OHを含む混合物を得た。
実施例(2−b):4’,4”−diOH−2−ClTrt−OH
前工程で得た混合物をTHF 17.7mLに溶解し、テトラブチルアンモニウムフロリド 1.0MTHF溶液 13.3mL(13.3mmol)を添加し、室温で20分間撹拌した。反応溶液を5℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液 147mLで反応を停止し、酢酸エチル147mLを加え、分液洗浄した。得られた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液 147mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液 147mLで1回分液洗浄した。有機層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=10:1→4:1→2:1→1:1)で精製し、4’,4”−diOH−2−ClTrt−OH 0.45gを得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ6.21(s,1H),6.60−6.69(m,6H),6.99(dd,1H),7.08(t,2H),7.23(td,1H),7.29(td,1H),7.38(dd,1H),9.26(s,2H)
13C−NMR(100MHz,DMSO−d6)δ80.7,113.6(2C),114.9(2C),118.5(2C),126.1,128.4(2C),128.9,130.6,131.3,133.7,144.3,147.8(2C),156.7(2C)
ESIMS MH+ 327.1
実施例(2−c):TIPS6−2−ClTrt−OH
Br−(CH210−CONH−C(CH2OTIPS)3 0.91g(1.09mmol)、4’,4”−diOH−2−ClTrt−OH 0.14g(0.43mmol)、炭酸カリウム 0.19g(1.37mmol)をDMF 2.8mLに懸濁し、120℃に加熱し、2時間15分撹拌した。さらにBr−(CH210−CONH−C(CH2OTIPS)3 0.16g(0.19mmol)を添加し、120℃で、2時間30分撹拌した。室温まで冷却し、反応溶液を濾過し、ヘプタン6.0mLで洗浄した。濾液を分液し、得られたヘプタン層にヘプタン 2.8mLを加え、DMF 2.8mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層に、ヘプタン 2.8mLを加え、水 2.8mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン 2.8mLを加え、アセトニトリル 2.8mLで2回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=50:1→15:1)で精製し、TIPS6−2−ClTrt−OH 0.31gを得た。
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.14−1.18(m,126H),1.18−1.36(m,24H),1.56(quin.,4H),1.74(quin.,4H),2.19(t,4H),3.59−3.70(m,4H),4.42(s,12H),4.58(s,1H),5.91(s,2H),6.65−6.75(m,2H),6.84(dd,2H),6.96−7.02(m,3H),7.05−7.12(m,3H),7.43(t,2H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.7(18C),18.7(36C),26.6(2C),26.8(2C),29.8−30.3(12C),38.3(2C),62.2(6C),62.8(2C),68.2(2C),83.3,114.3(2C),114.7(2C),121.1(2C),126.9,129.5(3C),131.8,132.3,134.1,144.9,148.3(2C),160.2(2C),172.4(2C)
ESIMS MNa+ 1860.2
実施例3
ペプチド化合物に対する溶解度向上性能の確認
本発明におけるトリチル保護剤で保護した化合物の溶解度を測定した。
モデルとして使用したペプチド:H−Phe−Leu−Gly−OH
H−Phe−Leu−Gly−OH、H−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)を合成し、25℃でCPME(シクロペンチルメチルエーテル)にそれぞれの化合物を飽和させ、その溶解度を測定した。
その結果、トリチル保護剤の結合していないH−Phe−Leu−Gly−OHがCPMEにわずか0.9mMしか溶解しないのに比べ、TIPS2−4,4’−diClTrt−Clを結合した場合、1030mM以上と約1100倍以上溶解度が向上した。この結果から、トリチル保護剤で誘導体化することで、ペプチドの溶解度が著しく向上することが確認できた。なお、H−Phe−Leu−Gly−OHとH−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)は以下に示す通り合成した。また下記の構造を示す。
Figure 0006322350
実施例(3−a)
H−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)の合成
TIPS2−4,4’−diClTrt−Cl 10.18g(9.86mmol)をジクロロメタン 10.2mLに溶解し、ジクロロメタン 86.5mLにDIPEA 8.59mL(49.3mmol)とFmoc−Gly−OH 5.86g(19.7mmol)を溶解させた溶液を添加し、ジクロロメタン 5.1mLを添加し、室温で1時間30分撹拌した。溶液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をヘプタン407mLに溶解し、アセトニトリル407mLで3回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、Fmoc−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt) を含む混合物を得た。なお、Fmoc−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)は下記の構造を示す。
Figure 0006322350
得られた混合物をTHF 91.9mLに溶解し、DBU 2.75mL(18.4mmol)を加え、5℃に冷却し、30分撹拌した。Fmoc−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)の消失を確認後、4M CPME/HCl 4.37mL(17.5mmol)を滴下し、溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をヘプタン500mLに溶解し、アセトニトリル500mLで2回分液洗浄した。得られたヘプタン層にCPME 10mLを添加し、アセトニトリル 500mLで分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮し、得られた残渣にアセトニトリル 100mLを添加し、充分撹拌した後、デカンテーションにより上精を除去することで油状物を得た。このアセトニトリルによる洗浄、デカンテーションをさらに1回行い、油状物を得、減圧下で乾燥した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル:トリエチルアミン=25:1:1.3→0:20:1)で粗精製し、H−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)を含む混合物 6.16gを得た。なお、H−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)は下記の構造を示す。
Figure 0006322350
得られた混合物 6.16gをCPME 53.7mLに溶解し、DMF 23.0mL、DIPEA 4.01mL(23.0mmol)、Fmoc−Leu−OH 3.05g(8.62mmol)、(ヒドロキシイミノ)シアノ酢酸エチル(Oxyma) 1.23g(8.62mmol)、(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ−モルホリノ−カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)
3.69g(8.62mmol)を加え、室温で50分撹拌した。H−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)の消失を確認後、2−(2−アミノエトキシ)エタノール 342μL(3.45mmol)を加え、室温で15分撹拌した。反応溶液にDMSO 57.5mLに溶解した3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム12.29g(69.0mmol)を添加し、5℃に冷却した後、DMSO 5.8mL、DBU 6.88mL(46.0mmol)を加え、30分撹拌した。Fmoc−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)の消失を確認後、4M CPME/HCl 12.1mL(48.3mmol)を滴下し、室温まで昇温し、CPME 3.1mL、20%食塩水 186mL、10%炭酸ナトリウム水溶液 159mLを加え、分液洗浄した。得られた有機相にDMSO 1.9mL、DMF 1.9mL、50%リン酸水素二カリウム水溶液 69mLを加え、分液洗浄し、H−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)を含む混合液を得た。
なお、Fmoc−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)とH−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)は下記の構造を示す。
Figure 0006322350
得られた混合液に対し、CPME 2.0mL、DMF 31.7mL、DIPEA 4.01mL(23.0mmol)、Fmoc−Phe−OH 3.34g(8.62mmol)、Oxyma 1.23g(8.62mmol)、COMU 3.69g(8.62mmol)を加え、室温で40分撹拌した。H−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)の消失を確認後、溶液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をヘプタン 204mLに溶解し、アセトニトリル 102mLで4回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮し、得られた残渣を減圧下で乾燥し、Fmoc−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt) 7.37gを得た。
ESIMS MNa+ 1574.7
なお、Fmoc−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)は下記の構造を示す。
Figure 0006322350
Fmoc−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)4.43g(2.85mmol)をTHF 28.5mLに溶解し、DBU 0.85mL(5.70mmol)を加え、5℃に冷却し、25分撹拌した。Fmoc−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)の消失を確認後、4M CPME/HCl 1.35mL(5.42mmol)を滴下し、溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をヘプタン 200mLに溶解し、アセトニトリル 200mLで分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮し、得られた残渣にアセトニトリル 22mLを添加し、充分撹拌した後、デカンテーションにより上精を除去することで油状物を得た。このアセトニトリルによる洗浄、デカンテーションをさらに5回行い、油状物を得た。油状物をTHFに溶解させ、減圧下で濃縮し、得られた残渣を減圧下で乾燥し、H−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)3.04gを得た。
ESIMS MNa+ 1353.0
実施例(3−b)
H−Phe−Leu−Gly−OHの合成
H−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt) 102mg(0.077mmol)をジクロロメタン 1.52mLに溶解し、トリフルオロ酢酸 15μL(0.20mmol)を添加し、室温で45分撹拌した。H−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−4,4’−diClTrt)の消失を確認後、溶液を減圧下で濃縮し、残渣にジイソプロピルエーテル10mLを滴下し、5℃に冷却し、充分撹拌した後、5℃、3000rpmで5分間遠心分離し、デカンテーションにより上精を除去することで沈殿物を得た。このジイソプロピルエーテルによるスラリー洗浄、遠心分離、デカンテーションをさらに3回行い、沈殿物を得た。沈澱物を減圧下で乾燥し、H−Phe−Leu−Gly−OH 24mgを得た。
ESIMS MH+ 336.1
以上の結果から、本発明のトリチル保護剤を用いて官能基を保護された化合物は、有機溶媒に対する溶解度が大幅に向上することがわかった。

Claims (5)

  1. 一般式(1)
    Figure 0006322350
    (式中、Yはヒドロキシ基又はハロゲン原子を示し、R1〜R15のうちの少なくとも1個は式(2)
    Figure 0006322350
    で表される基を示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し;
    16は炭素数〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し;
    XはO又はCONR17(ここでR17は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)を示し;
    Aは式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)又は(13)
    Figure 0006322350
    (ここで、R18、R19及びR20は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R21は単結合又は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、R22、R23及びR24はそれぞれ、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す)
    で表される基を示す)
    で表されるトリチル化合物。
  2. Yがヒドロキシ基、塩素原子又は臭素原子である請求項1記載のトリチル化合物。
  3. 1〜R15のうち少なくとも1個が式(2)で表される基であり、残余が水素原子又はハロゲン原子である請求項1又は2記載のトリチル化合物。
  4. 21が単結合又はメチレン基であり、R22、R23及びR24がメチレン基である請求項1〜のいずれか1項記載のトリチル化合物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項記載のトリチル化合物からなるカルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基又はメルカプト基の保護剤。
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