JP2004315446A - エポキシド類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類の新規製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜6のアルキル基又はアリール基を示し、同一でも異なっていてもよい。また、式中R1とR3はそれぞれが結合する窒素原子とともに5員環もしくは6員環を形成していてもよく、R1、R2又はR3、R4が結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。)で表される化合物と環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオール類を反応させることを特徴とする、環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】一般式(1)
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜6のアルキル基又はアリール基を示し、同一でも異なっていてもよい。また、式中R1とR3はそれぞれが結合する窒素原子とともに5員環もしくは6員環を形成していてもよく、R1、R2又はR3、R4が結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。)で表される化合物と環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオール類を反応させることを特徴とする、環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類の製造方法に関する。環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類は、医薬製造中間体や機能性材料の原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類は反応性のエポキシ基を有するため、様々な官能基の導入が可能であり医薬製造中間体や機能性材料の原料として有用な化合物である。特にヒトゲノム計画の進展にともない、解読されたゲノム情報をもとにアンチセンス医薬に代表される新しい創薬研究が現在さかんに行われている状況下、核酸誘導体として糖類の特定部位にエポキシ基を有する化合物は、種々の核酸誘導体の開発原料および中間体として重要性が高まっている。例えば2,3−アンヒドロ‐リキソフラノシド類は、2,3位に反応性のエポキシ基を有する化合物であり、糖骨格に立体選択的に種々の官能基を導入できるため医薬品の合成原料として極めて有用である。
【0003】
従来、2,3−アンヒドロ‐リキソフラノシド類の合成はメチル キシロフラノシド類の3,5位の水酸基をアセトンなどで保護した後、2位の水酸基をメシルクロリド(CH3SO2Cl)などで誘導化し、その後酸を用いて3,5位の水酸基の脱保護を行い、最後にナトリウムメトキシドなどの強塩基を用いてエポキシ基を形成することで行われている(非特許文献1および非特許文献2)。これらの方法ではメチル キシロフラノシド類から4ステップと工程数が多く、さらに医薬品体の合成原料として使用する際、通常エポキシ基の開環反応前に5位の水酸基を保護する必要があるため、これらの利用は非常に煩雑なものとなっていた。
【0004】
この問題点を解決するためにいくつかの方法が提案されている。例えば非特許文献3に記載の方法ではメチル α‐D‐アラビノフラノシドからトリフェニルホスフィンとDEADを用いて1ステップでメチル 2,3−アンヒドロ‐α‐D‐リキソフラノシドを得ている。しかしこの方法では高価なDEADを用い、かつ反応で生成するトリフェニルホスフィンオキシドと目的物との分離が困難という問題を抱えている。また非特許文献4に記載の方法ではメチル 5‐O‐ベンジル‐α‐D‐アラビノフラノシドからフッ素化剤であるDASTを用いて1ステップでメチル 2,3−アンヒドロ‐5‐O‐ベンジル‐α‐D‐リキソフラノシドを得ている。しかしDASTは爆発危険性や高いコストのため工業的な使用には困難が伴う。
【0005】
したがって、環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類、特に2,3−アンヒドロ‐リキソフラノシド類の製造法として工業的に容易に実施可能な方法の開発が望まれていた。
【0006】
【非特許文献1】
J.Am.Chem.Soc.,77,7(1955)
【非特許文献2】
J.Med.Chem.,34,2195(1991)
【非特許文献3】
Carbohydrate Res.,123,332(1983)
【非特許文献4】
Helvetica Chimica Acta.,82,2052(1999)
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、安全性や経済性に優れ、工業的に容易に使用可能なフッ素化剤として、一般式(1)
【0008】
【化5】
【0009】
(式中、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜6のアルキル基又はアリール基を示し、同一でも異なっていてもよい。また、式中R1とR3はそれぞれが結合する窒素原子とともに5員環もしくは6員環を形成していてもよく、R1、R2又はR3、R4が結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。)で表される化合物を見出し、すでに特許出願を行っている(特開2000―38370号公報)。
【0010】
この度、本発明者らは、驚くべきことに、一般式(1)で表される化合物と容易に入手可能なアラビノフラノシド類を反応させることによって2,3−アンヒドロ‐リキソフラノシド類を1ステップで容易に合成できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0011】
即ち、本発明は、1) 一般式(1)
【0012】
【化6】
【0013】
(式中、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜6のアルキル基又はアリール基を示し、同一でも異なっていてもよい。また、式中R1とR3はそれぞれが結合する窒素原子とともに5員環もしくは6員環を形成していてもよく、R1、R2又はR3、R4が結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。)で表される化合物と環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオール類を反応させることを特徴とする、環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類の製造方法、
2)環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオール類が一般式(2)
【0014】
【化7】
【0015】
(式中R5は水酸基の保護基を表し、R6はアルコキシ基を示す。)で表される化合物であり、環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類が一般式(3)で表される化合物である前記1)に記載の製造方法、
【0016】
【化8】
【0017】
3)一般式(1)で表される化合物が、式(4)
【0018】
【化9】
【0019】
で表される2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジンである1)または前記2)のいずれか1項に記載の製造方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
一般式(1)において、R1〜R4はアルキル基又はアリール基であり、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又はアリール基であり、アルキル基は直鎖状又は分岐状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基等が挙げられ、同一でも異なっていてもよい。
【0021】
また、R1とR3はそれぞれが結合する窒素原子とともにヘテロ5員環又は6員環を形成していてもよい。このようなヘテロ環としては、イミダゾリジン環、ピリミジン環等が挙げられる。
【0022】
更には、R1とR2、およびR3とR4は、それぞれが結合する窒素原子とともに炭素数3〜5のヘテロ環を形成していてもよい。このようなヘテロ環の例としては、ピロリジン環、ピペリジン環等が挙げられる。
【0023】
一般式(1)で表される化合物としては、例えば、ビス−ジメチルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジエチルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ(n−プロピル)アミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジイソプロピルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ(n−ブチル)アミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ(n−ヘキシル)アミノ−ジフルオロメタン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジエチルイミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジ(n−プロピル)イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジ(n−ブチル)イミダゾリジン、N,N−ジメチル−N’,N’−メチル,フェニル−1,1−ジフルオロメタンジアミン、ビス(1−ピペリジル)ジフルオロメタン等が挙げられる。2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン(以下、DFIと略記する。)は特に好ましい。
【0024】
一般式(1)で表される化合物は、特開2000―38370号公報に記載されている方法で容易に合成することができる。
【0025】
環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオール類としては、例えばトランス‐1,2‐シクロペンタンジオール、トランス‐1,2‐シクロヘキサンジオール、トランス‐1,2‐シクロヘプタンジオール等が例示されるが、特に好適には一般式(2)で表されるアラビノフラノシド類が挙げられる。
【0026】
環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類としては、例えばシクロペンテン オキシド、シクロヘキセン オキシド、シクロヘプテンオキシド等が例示されるが、特に好適には一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0027】
一般式(2)および一般式(3)において、R5は水酸基の保護基を表し、R6はアルコキシ基を示す。
【0028】
R5で表わされる水酸基の保護基としては、温和な条件で除去できる保護基であれば特に制限はない。このような水酸基の保護基としては、例えば、水酸基とエステル結合を形成する保護基、水酸基とエーテル結合を形成する保護基などが例示できる。水酸基とエステル結合を形成する保護基としては、例えばアセチル基、ベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基などのアシル基が、水酸基とエーテル結合を形成する保護基としては、例えば、トリチル基、ジメトキシトリチル基、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基などが挙げられる。
【0029】
R6で表されるアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピロキシ基、2−プロピロキシ基などが挙げられる。
【0030】
一般式(2)で表される化合物としては、例えば、メチル 5−O−ベンゾイル−α−D−アラビノフラノシド、メチル 5−O−ベンゾイル−β−D−アラビノフラノシド、メチル 5−O−トリチル−α−D−アラビノフラノシド、メチル 5−O−トリチル−β−D−アラビノフラノシド、エチル 5−O−アセチル−α−D−アラビノフラノシド、n−プロピル 5−O−ジメトキシトリチル−β−D−アラビノフラノシド等が挙げられる。
【0031】
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、メチル 2,3−アンヒドロ‐5−O−ベンゾイル−α−D−リキソフラノシド、メチル 2,3−アンヒドロ‐5−O−ベンゾイル−β−D−リキソフラノシド、メチル 2,3−アンヒドロ‐5−O−トリチル−α−D−リキソフラノシド、メチル 2,3−アンヒドロ‐5−O−トリチル−β−D−リキソフラノシド、エチル 5−O−アセチル−2,3−アンヒドロ‐α−D−リキソフラノシド、n−プロピル 2,3−アンヒドロ‐5−O−ジメトキシトリチル−β−D−リキソフラノシド等が挙げられる。
【0032】
環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオール類に対する一般式(1)で表される化合物の使用量は化学量論量以上、好ましくは1〜10倍であるが、更に好ましくは1.0〜3.0倍である。
【0033】
一般式(1)で表される化合物と環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオール類との反応には必要に応じて有機溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、一般式(1)で表される化合物と反応しない有機溶媒であれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ピリジン、アセトニトリル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の溶媒が挙げられる。
【0034】
反応温度は、原料の種類、溶媒の種類、その他の条件により必ずしも一定しないが、反応速度、一般式(1)で表される化合物の安定性を考慮して、一般には―30〜100℃、好ましくは0〜90℃である。
【0035】
上記の反応により得られる本発明の目的物は、例えば、反応混合物を加水分解処理し、抽出、濃縮、クロマトグラフィー処理を行うなどの公知の方法により容易に取り出すことができる。
【0036】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
製造例1
2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン(DFI)の製造
1Lガラス製フラスコに、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド(以下、CDCと略記する)(99.74g,0.590mol)、スプレードライフッ化カリウム(102.84g,1.770mol)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下、DMIと略記する)(329.14g)を装入して窒素雰囲気下80℃で6時間反応を行った。反応後、反応混合物を室温まで冷却し、無機塩を濾別した後、無機塩をDMI約160gで洗浄した。得られた反応液中のDFI濃度は15.1%であった(DFI76.3g,収率95.0%/CDC)。反応液から減圧蒸留によりDFI72.5gを得た(純度99%,蒸留収率95%)。
【0038】
実施例1
メチル 2,3−アンヒドロ−5−O−トリチル−α−D−リキソフラノシド の製造
メチル 5−O−トリチル−α−D−アラビノフラノシド(1.21g,2.91mmol)、トルエン(20ml)をガラス製フラスコに装入し、減圧下トルエン留去を行った後、さらにトルエン(10ml)とピリジン(10ml)を加え、フラスコの内容物の重量が7.1gになるまでトルエンおよびピリジンを減圧下50℃にて留去する操作を行い系内の水分を除去した。得られた均一透明溶液にトルエン(3g)を加え、窒素雰囲気下マグネチックスターラーにて攪拌した。これにDFI(1.24g,8.93mmol)を室温にて滴下した後、そのまま5時間反応させた。飽和重曹水にて加水分解した後、トルエンにて有機成分を抽出した。得られた有機相を水洗し、硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。得られたオレンジ油状物をシリカゲルカラムにて精製することで純度98%のメチル 2,3−アンヒドロ−5−O−トリチル−α−D−リキソフラノシド 0.24gを得た(収率21%、無色透明油状物、1H−NMR(CDCl3)δ3.23−3.37(m,2H),3.38(s,3H),3.65(d,1H),3.88(dd,1H),4.14−4.19(m,1H),4.88(s,1H),7.19−7.47(m,15H))。
【0039】
【発明の効果】
煩雑な工程を経ずに、環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオールから、1ステップで安全かつ経済的に類環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類を製造できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類の製造方法に関する。環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類は、医薬製造中間体や機能性材料の原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類は反応性のエポキシ基を有するため、様々な官能基の導入が可能であり医薬製造中間体や機能性材料の原料として有用な化合物である。特にヒトゲノム計画の進展にともない、解読されたゲノム情報をもとにアンチセンス医薬に代表される新しい創薬研究が現在さかんに行われている状況下、核酸誘導体として糖類の特定部位にエポキシ基を有する化合物は、種々の核酸誘導体の開発原料および中間体として重要性が高まっている。例えば2,3−アンヒドロ‐リキソフラノシド類は、2,3位に反応性のエポキシ基を有する化合物であり、糖骨格に立体選択的に種々の官能基を導入できるため医薬品の合成原料として極めて有用である。
【0003】
従来、2,3−アンヒドロ‐リキソフラノシド類の合成はメチル キシロフラノシド類の3,5位の水酸基をアセトンなどで保護した後、2位の水酸基をメシルクロリド(CH3SO2Cl)などで誘導化し、その後酸を用いて3,5位の水酸基の脱保護を行い、最後にナトリウムメトキシドなどの強塩基を用いてエポキシ基を形成することで行われている(非特許文献1および非特許文献2)。これらの方法ではメチル キシロフラノシド類から4ステップと工程数が多く、さらに医薬品体の合成原料として使用する際、通常エポキシ基の開環反応前に5位の水酸基を保護する必要があるため、これらの利用は非常に煩雑なものとなっていた。
【0004】
この問題点を解決するためにいくつかの方法が提案されている。例えば非特許文献3に記載の方法ではメチル α‐D‐アラビノフラノシドからトリフェニルホスフィンとDEADを用いて1ステップでメチル 2,3−アンヒドロ‐α‐D‐リキソフラノシドを得ている。しかしこの方法では高価なDEADを用い、かつ反応で生成するトリフェニルホスフィンオキシドと目的物との分離が困難という問題を抱えている。また非特許文献4に記載の方法ではメチル 5‐O‐ベンジル‐α‐D‐アラビノフラノシドからフッ素化剤であるDASTを用いて1ステップでメチル 2,3−アンヒドロ‐5‐O‐ベンジル‐α‐D‐リキソフラノシドを得ている。しかしDASTは爆発危険性や高いコストのため工業的な使用には困難が伴う。
【0005】
したがって、環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類、特に2,3−アンヒドロ‐リキソフラノシド類の製造法として工業的に容易に実施可能な方法の開発が望まれていた。
【0006】
【非特許文献1】
J.Am.Chem.Soc.,77,7(1955)
【非特許文献2】
J.Med.Chem.,34,2195(1991)
【非特許文献3】
Carbohydrate Res.,123,332(1983)
【非特許文献4】
Helvetica Chimica Acta.,82,2052(1999)
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、安全性や経済性に優れ、工業的に容易に使用可能なフッ素化剤として、一般式(1)
【0008】
【化5】
【0009】
(式中、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜6のアルキル基又はアリール基を示し、同一でも異なっていてもよい。また、式中R1とR3はそれぞれが結合する窒素原子とともに5員環もしくは6員環を形成していてもよく、R1、R2又はR3、R4が結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。)で表される化合物を見出し、すでに特許出願を行っている(特開2000―38370号公報)。
【0010】
この度、本発明者らは、驚くべきことに、一般式(1)で表される化合物と容易に入手可能なアラビノフラノシド類を反応させることによって2,3−アンヒドロ‐リキソフラノシド類を1ステップで容易に合成できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0011】
即ち、本発明は、1) 一般式(1)
【0012】
【化6】
【0013】
(式中、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜6のアルキル基又はアリール基を示し、同一でも異なっていてもよい。また、式中R1とR3はそれぞれが結合する窒素原子とともに5員環もしくは6員環を形成していてもよく、R1、R2又はR3、R4が結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。)で表される化合物と環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオール類を反応させることを特徴とする、環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類の製造方法、
2)環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオール類が一般式(2)
【0014】
【化7】
【0015】
(式中R5は水酸基の保護基を表し、R6はアルコキシ基を示す。)で表される化合物であり、環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類が一般式(3)で表される化合物である前記1)に記載の製造方法、
【0016】
【化8】
【0017】
3)一般式(1)で表される化合物が、式(4)
【0018】
【化9】
【0019】
で表される2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジンである1)または前記2)のいずれか1項に記載の製造方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
一般式(1)において、R1〜R4はアルキル基又はアリール基であり、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又はアリール基であり、アルキル基は直鎖状又は分岐状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基等が挙げられ、同一でも異なっていてもよい。
【0021】
また、R1とR3はそれぞれが結合する窒素原子とともにヘテロ5員環又は6員環を形成していてもよい。このようなヘテロ環としては、イミダゾリジン環、ピリミジン環等が挙げられる。
【0022】
更には、R1とR2、およびR3とR4は、それぞれが結合する窒素原子とともに炭素数3〜5のヘテロ環を形成していてもよい。このようなヘテロ環の例としては、ピロリジン環、ピペリジン環等が挙げられる。
【0023】
一般式(1)で表される化合物としては、例えば、ビス−ジメチルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジエチルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ(n−プロピル)アミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジイソプロピルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ(n−ブチル)アミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ(n−ヘキシル)アミノ−ジフルオロメタン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジエチルイミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジ(n−プロピル)イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジ(n−ブチル)イミダゾリジン、N,N−ジメチル−N’,N’−メチル,フェニル−1,1−ジフルオロメタンジアミン、ビス(1−ピペリジル)ジフルオロメタン等が挙げられる。2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン(以下、DFIと略記する。)は特に好ましい。
【0024】
一般式(1)で表される化合物は、特開2000―38370号公報に記載されている方法で容易に合成することができる。
【0025】
環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオール類としては、例えばトランス‐1,2‐シクロペンタンジオール、トランス‐1,2‐シクロヘキサンジオール、トランス‐1,2‐シクロヘプタンジオール等が例示されるが、特に好適には一般式(2)で表されるアラビノフラノシド類が挙げられる。
【0026】
環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類としては、例えばシクロペンテン オキシド、シクロヘキセン オキシド、シクロヘプテンオキシド等が例示されるが、特に好適には一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0027】
一般式(2)および一般式(3)において、R5は水酸基の保護基を表し、R6はアルコキシ基を示す。
【0028】
R5で表わされる水酸基の保護基としては、温和な条件で除去できる保護基であれば特に制限はない。このような水酸基の保護基としては、例えば、水酸基とエステル結合を形成する保護基、水酸基とエーテル結合を形成する保護基などが例示できる。水酸基とエステル結合を形成する保護基としては、例えばアセチル基、ベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基などのアシル基が、水酸基とエーテル結合を形成する保護基としては、例えば、トリチル基、ジメトキシトリチル基、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基などが挙げられる。
【0029】
R6で表されるアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピロキシ基、2−プロピロキシ基などが挙げられる。
【0030】
一般式(2)で表される化合物としては、例えば、メチル 5−O−ベンゾイル−α−D−アラビノフラノシド、メチル 5−O−ベンゾイル−β−D−アラビノフラノシド、メチル 5−O−トリチル−α−D−アラビノフラノシド、メチル 5−O−トリチル−β−D−アラビノフラノシド、エチル 5−O−アセチル−α−D−アラビノフラノシド、n−プロピル 5−O−ジメトキシトリチル−β−D−アラビノフラノシド等が挙げられる。
【0031】
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、メチル 2,3−アンヒドロ‐5−O−ベンゾイル−α−D−リキソフラノシド、メチル 2,3−アンヒドロ‐5−O−ベンゾイル−β−D−リキソフラノシド、メチル 2,3−アンヒドロ‐5−O−トリチル−α−D−リキソフラノシド、メチル 2,3−アンヒドロ‐5−O−トリチル−β−D−リキソフラノシド、エチル 5−O−アセチル−2,3−アンヒドロ‐α−D−リキソフラノシド、n−プロピル 2,3−アンヒドロ‐5−O−ジメトキシトリチル−β−D−リキソフラノシド等が挙げられる。
【0032】
環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオール類に対する一般式(1)で表される化合物の使用量は化学量論量以上、好ましくは1〜10倍であるが、更に好ましくは1.0〜3.0倍である。
【0033】
一般式(1)で表される化合物と環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオール類との反応には必要に応じて有機溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、一般式(1)で表される化合物と反応しない有機溶媒であれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ピリジン、アセトニトリル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の溶媒が挙げられる。
【0034】
反応温度は、原料の種類、溶媒の種類、その他の条件により必ずしも一定しないが、反応速度、一般式(1)で表される化合物の安定性を考慮して、一般には―30〜100℃、好ましくは0〜90℃である。
【0035】
上記の反応により得られる本発明の目的物は、例えば、反応混合物を加水分解処理し、抽出、濃縮、クロマトグラフィー処理を行うなどの公知の方法により容易に取り出すことができる。
【0036】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
製造例1
2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン(DFI)の製造
1Lガラス製フラスコに、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド(以下、CDCと略記する)(99.74g,0.590mol)、スプレードライフッ化カリウム(102.84g,1.770mol)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下、DMIと略記する)(329.14g)を装入して窒素雰囲気下80℃で6時間反応を行った。反応後、反応混合物を室温まで冷却し、無機塩を濾別した後、無機塩をDMI約160gで洗浄した。得られた反応液中のDFI濃度は15.1%であった(DFI76.3g,収率95.0%/CDC)。反応液から減圧蒸留によりDFI72.5gを得た(純度99%,蒸留収率95%)。
【0038】
実施例1
メチル 2,3−アンヒドロ−5−O−トリチル−α−D−リキソフラノシド の製造
メチル 5−O−トリチル−α−D−アラビノフラノシド(1.21g,2.91mmol)、トルエン(20ml)をガラス製フラスコに装入し、減圧下トルエン留去を行った後、さらにトルエン(10ml)とピリジン(10ml)を加え、フラスコの内容物の重量が7.1gになるまでトルエンおよびピリジンを減圧下50℃にて留去する操作を行い系内の水分を除去した。得られた均一透明溶液にトルエン(3g)を加え、窒素雰囲気下マグネチックスターラーにて攪拌した。これにDFI(1.24g,8.93mmol)を室温にて滴下した後、そのまま5時間反応させた。飽和重曹水にて加水分解した後、トルエンにて有機成分を抽出した。得られた有機相を水洗し、硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。得られたオレンジ油状物をシリカゲルカラムにて精製することで純度98%のメチル 2,3−アンヒドロ−5−O−トリチル−α−D−リキソフラノシド 0.24gを得た(収率21%、無色透明油状物、1H−NMR(CDCl3)δ3.23−3.37(m,2H),3.38(s,3H),3.65(d,1H),3.88(dd,1H),4.14−4.19(m,1H),4.88(s,1H),7.19−7.47(m,15H))。
【0039】
【発明の効果】
煩雑な工程を経ずに、環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐トランス‐α,β‐ジオールから、1ステップで安全かつ経済的に類環内にヘテロ原子を含有してもよい脂環式‐α,β‐エポキシド類を製造できる。
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