JPH0892206A - トリフルオロメチル基を有するアジリジン化合物及びその製造方法 - Google Patents

トリフルオロメチル基を有するアジリジン化合物及びその製造方法

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JPH0892206A
JPH0892206A JP25420194A JP25420194A JPH0892206A JP H0892206 A JPH0892206 A JP H0892206A JP 25420194 A JP25420194 A JP 25420194A JP 25420194 A JP25420194 A JP 25420194A JP H0892206 A JPH0892206 A JP H0892206A
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JP25420194A
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Toshimasa Katagiri
利真 片桐
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Japan Energy Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】下記する一般式化1 【化1】 (式中、R1は、水素原子、又は [1群] 脂肪族炭
化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基か
らなる炭化水素基の群、 [2群] 前記する[1群]
に記載する炭化水素基の炭素骨格の炭素原子の1以上
を、酸素原子、イオウ原子、又は窒素原子から選択され
るヘテロ原子で置き換えてなる基からなる群、 前記す
る[1群]或いは[2群]から選択される一価の基を表
わす)で表されるトリフルオロメチル基を有するアジリ
ジン化合物、及び対応するβ−アミノアルコールから、
反応試薬の三置換ホスフィン=ジハロゲニドを用いる閉
環反応により、当該化合物を製造する方法。 【効果】 上記トリフルオロメチル基を有するアジリジ
ン化合物、特に光学活性体は、反応性に富むアジリジン
環を有するので、医薬や農薬等の生理活性物質、液晶や
界面活性剤、色素、光学分割剤等の機能性有機化合物の
原料化合物として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トリフルオロメチル基
を有するアジリジン化合物及びその製造方法に関するも
のであり、特には、光学活性なトリフルオロメチル基を
有するアジリジン化合物及びその製造方法に関する。ま
た、本発明のトリフルオロメチル基を有するアジリジン
化合物は、医薬や農薬等の生理活性物質、液晶や界面活
性剤、色素、光学分割剤等の機能性有機化合物の原料と
して有用な含フッ素化合物となる。
【0002】
【従来の技術】一般に、機能性或いは生理活性を有する
既知化合物の水素をフッ素に置き換えた化合物は、その
フッ素原子の特異的な電子効果により、その機能や生理
活性が強化され、或いは新しい機能や生理活性を獲得す
ることが知られている。そのため既知化合物の原料中間
体の特定の水素原子等をフッ素と置換した構造を持つ含
フッ素ビルディングブロックが多数設計され合成されて
きている(「90年代のフッ素系生理活性物質」石川延
男監修 CMC社刊(1991);「Fluorine inBioorga
nic Chemistry」J.T.Welch,S.Eswarakrishnan著, John W
iley & Sons社刊(1991) などを参照)。例えば、本出願
人は、3,3,3−トリフルオロプロペンを微生物酸化
することにより、絶対配座S体、例えば光学純度75%
eeの光学活性な3,3,3−トリフルオロプロペンオ
キシドを製造する方法(特公昭61−14798公報を
参照)を既に提案した。さらに、3,3,3−トリフル
オロプロペンオキシドを、モノ置換アミン、例えばモノ
アルキルアミンで開環し3−アルキルアミノ−1,1,
1−トリフルオロ−2−プロパノールなどの3−(モノ
置換アミノ)−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパ
ノールを製造する方法を開発し、先に出願した(特願平
6−183040号明細書を参照)。また、3,3,3
−トリフルオロプロペンオキシドをアンモニアで開環し
3−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノ
ールを製造する方法は文献に記載されている(E.T.McBe
e,他、J.Amer.Chem.Soc., 78, 3851 (1956) を参照)。
【0003】アジリジン類はアルカロイド、アミノ糖、
アミノ酸、β−ラクタム等の生理活性物質の合成原料と
して広く用いられており、その化学も広く検討されてい
る(例えば、D.Tanner, Angw. Chem. Int. Ed. Eng., 3
3, 599 (1994) を参照)。アジリジン骨格は、一般に対
応するβ−アミノアルコール化合物から、β−ハロゲノ
アミン化合物(Gabriel法)あるいはβ−アミノ硫酸エ
ステル(Wenker法)を中間体として経る分子内SN2反
応、或いはその類似法により合成されている。
【0004】しかしながら、上記の3−アルキルアミノ
−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールあるい
は3−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパ
ノールのごときトリフルオロメチル基を有するβ−アミ
ノアルコール化合物においては、水酸基は隣接するトリ
フルオロメチル基の強い電子吸引効果の影響下に在り、
いわゆる「抗求核反応性」を有するとされている(北
爪、石原、田口、「フッ素の化学」、講談社サイエンテ
ィフィク、(1993)、128頁を参照)。この「抗
求核反応性」のため、その水酸基の脱離を伴う置換反応
は極めて難しいことが知られいる。例えば、その水酸基
を極めて良好なる脱離基であるスルホン酸エステルへと
変換し、この中間原料を用いて求核置換反応を行う際、
有機金属試薬の様なカルバニオン種では置換は起こら
ず、イオウやセレンの如き強い求核試薬においてのみ可
能であることが知られている。
【0005】従って、トリフルオロメチル基を有するβ
−アミノアルコール化合物を原料として、分子内のアミ
ノ基の窒素原子を求核部位とし、しかも生成に伴い高い
歪を持つ3員環の形成を要するアジリジン骨格の化合物
を合成することは極めて困難であると考えられる。フッ
素原子置換を有するアジリジン類は、ビルディングブロ
ックとして高い有用性を有するもので、特には、アジリ
ジン環の2位にトリフルオロメチル基の結合した構造を
持つ化合物は、含フッ素ビルディングブロックとして広
い用途が期待できる。更には、アジリジン環の2位にト
リフルオロメチル基の結合した構造を持つ化合物類にお
いて、該アジリジン環の2位の炭素原子に不斉中心を持
ち、その不斉中心による光学活性を示す化合物類は一層
の有用性を持つので、その簡便な合成法が望まれてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
を解決したものである。本発明の目的は、新規なトリフ
ルオロメチル基を有するアジリジン化合物、特にトリフ
ルオロメチル基が結合する炭素原子が不斉中心であり、
該不斉中心に因る光学活性を示す光学活性なトリフルオ
ロメチル基を有するアジリジン化合物、並びにこれら新
規なトリフルオロメチル基を有するアジリジン化合物を
容易に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のトリフルオロメ
チル基を有するアジリジン化合物は、下記する一般式化
【化1】(式中、R1は、水素原子、又は[1群] 脂
肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水
素基からなる炭化水素基の群、[2群] 前記する[1
群]に記載する炭化水素基の炭素骨格の炭素原子の1以
上を、酸素原子、イオウ原子、又は窒素原子から選択さ
れるヘテロ原子で置き換えてなる基からなる群、前記す
る[1群]或いは[2群]から選択される一価の基を表
わす)で表される新規なアジリジン化合物である。更に
は、本発明の光学活性なトリフルオロメチル基を有する
アジリジン化合物は、下記する一般式化2
【化2】(式中、R1は、上記一般式化1と同じ基を表
わし、*Cは、不斉中心の炭素原子を表わす)で表わさ
れ、トリフルオロメチル基が結合する不斉中心の炭素原
子に因る光学活性を示す光学活性なアジリジン化合物で
ある。
【0008】また、本発明のトリフルオロメチル基を有
するアジリジン化合物の製造方法は、塩基存在下に、下
記一般式化3
【化3】(式中、R1は、上記一般式化1と同じ基を表
わす)で表わされるトリフルオロメチル基を有するβ−
アミノアルコール化合物を、下記一般式化4
【化4】(式中、R2は、アルキル基、アリ−ル基、及
びアラルキル基からなる群より選択される一価の基を表
わし、Xは、ハロゲン原子を表わす)で表わされる三置
換ホスフィン=ジハロゲニドを用いて、閉環反応させ、
下記する一般式化5
【0009】
【化5】(式中、R1は、上記一般式化3と同じ基を表
わす)で表わされるトリフルオロメチル基を有するアジ
リジン化合物を製造する方法である。或いは、塩基存在
下に、下記一般式化6
【0010】
【化6】(式中、R1は、上記一般式化1と同じ基を表
わし、*Cは、不斉中心の炭素原子を表わす)で表わさ
れ、トリフルオロメチル基が結合する不斉中心の炭素原
子に因る光学活性を示す光学活性なトリフルオロメチル
基を有するβ−アミノアルコール化合物を、 下記一般
式化4
【化4】(式中、R2は、アルキル基、アリ−ル基、及
びアラルキル基からなる群より選択される一価の基を表
わし、Xは、ハロゲン原子を表わす)で表わされる三置
換ホスフィン=ジハロゲニドを用いて、閉環反応させ、
下記する一般式化7
【0011】
【化7】(式中、R1は、上記一般式化6と同じ基を表
わし、*Cは、不斉中心の炭素原子を表わす)で表わさ
れ、トリフルオロメチル基が結合する不斉中心炭素原子
に因る光学活性を示す光学活性なアジリジン化合物を製
造する方法である。
【0012】本発明のアジリジン化合物において、アジ
リジン環の1位に置換する基は、該閉環反応においてそ
の妨害となるものでなければ特には制限は無いが、下記
する範囲より選択すると好ましい。即ち、本発明のトリ
フルオロメチル基を有するアジリジン化合物において、
アジリジン環の1位に置換する基R1として、上記する
[1群] 脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び
芳香族炭化水素基からなる炭化水素基の群 より選択さ
れる一価の基は、求核反応において反応性がイミノ基よ
り優る求核部位を含まないので、一般に好ましい。即
ち、アジリジン環を形成する反応において、目的としな
い副次反応が効果的に抑制されるので一般に好ましい。
なお、芳香族炭化水素基とは、芳香環基(例えば、フェ
ニル基)やアリ−ル基(例えば、トリル基)、或いはア
リ−ルアルキル基(例えば、4−メチルベンジル基)、
アラルキル基(例えば、ベンジル基)などを含む。ま
た、芳香環基に、他の脂環式炭化水素基が縮環する構造
を有してもよい。脂肪族炭化水素基とは、飽和脂肪族炭
化水素基のアルキル基や不飽和脂肪族炭化水素基のアル
ケニル基などを意味し、炭素骨格に枝分かれを有しても
よい。脂環式炭化水素基とは、環状の構造を有し、芳香
族炭化水素基に分類されないものを意味し、環数が複数
のものを含む。
【0013】また、上記する[2群] 前記する[1
群]に記載する炭化水素基の炭素骨格の炭素原子の1以
上を、酸素原子、イオウ原子、又は窒素原子から選択さ
れるヘテロ原子で置き換えてなる基からなる群より選択
される一価の基とは、具体的には、芳香環基と対応する
構造を有する複素芳香環基など、シクロアルキル基と対
応する構造を有するヘテロシクリル基などを意味する。
これらも、一般に求核反応において反応性がイミノ基よ
り優る求核部位を含まないので好ましい。なお、窒素原
子をヘテロ原子として選択するものでは、例えば、この
窒素原子上に一つ水素原子が存在するイミノ基となるも
のでは、アジリジン環を形成する反応において、副次反
応の可能性がある。しかしながら、生成する該アジリジ
ン化合物には、アジリジン環の窒素原子に加えて、他の
イミノ基が存在するので好ましいビルディングブロック
となる。即ち、複数の反応性部位を有するので、ビルデ
ィングブロックとしての用途はより広くなる。
【0014】また、該基R1として、水素原子又は上記
する炭化水素基のうち、アルキル基、アリ−ル基、アラ
ルキル基などの電子供与性の高い炭化水素基を選択する
と、原料のβ−アミノアルコール化合物において、反応
にあずかるアミノ基の反応性が高くなり、より好まし
い。更に、ヘテロ原子で置き換えてなる基においても、
反応にあずかるアミノ基の反応性が高く保たれるもの
は、同じくより好ましい。更には、アジリジン環を形成
する下記の反応において、反応の妨げとならない限り、
種々の置換基が存在してもよい。
【0015】本発明のアジリジン化合物の製造方法で用
いる原料、一般式化3で表わされるβ−アミノアルコー
ル化合物は、3,3,3−トリフルオロプロペンオキシ
ドを、モノ置換アミン、例えばモノアルキルアミンなど
で開環する方法(特願 平6−183040号の明細書
を参照)、或いはアンモニアで開環する方法(E.T. McB
ee,他、J. Amer. Chem. Soc., 78, 3851 (1956) を参
照)により調製することができる。即ち、下記する式化
【化8】 で表わされる3,3,3−トリフルオロプロペンオキシ
ドを、下記する一般式化9
【化9】 (式中、R1は、上記一般式化1と同じ基を表わす)で
表わされるモノ置換アミン又はアンモニアにより開環す
る反応により、一般式化3で表わされるβ−アミノアル
コール化合物が得られる。また、一般式化6で表わされ
る光学活性なβ−アミノアルコール化合物は、例えば微
生物酸化法(特公昭61−14798公報参照)によ
り、3,3,3−トリフルオロプロペンより製造される
光学活性な3,3,3−トリフルオロプロペンオキシド
を用い、前記のモノ置換アミン又はアンモニアで開環す
る方法を用いて、容易に得ることができる。得られる光
学活性なβ−アミノアルコール化合物は、トリフルオロ
メチル基の結合する炭素原子の不斉中心を有し、該不斉
中心に因る光学活性を示す。
【0016】本発明の製造方法で反応試薬として用いる
一般式化4で表わされる三置換ホスフィン=ジハロゲニ
ドは、対応する三置換ホスフィン、例えばトリアルキル
ホスフィンを適当な溶媒中に塩素分子や臭素分子などの
ハロゲン分子と反応させることにより得られる(I. Oka
da,et.al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 43, 1185 (1970)
を参照)。或いは、対応する三置換ホスフィン、例えば
トリアルキルホスフィンを適当な溶媒中に四塩化炭素な
どのハロゲン置換炭化水素と反応させることによっても
得られる(R.Appel,et al., Chem. Ber., 107, 5 (197
4) を参照)。なお、該三置換ホスフィンとしては、置
換基R2を、アルキル基、アリ−ル基、及びアラルキル
基からなる一価基の群より選択するものを用いることが
できる。特に、該三置換ホスフィンがトリフェニルホス
フィンであるトリフェニルホスフィン=ジハロゲニドは
好適な反応試薬である。該三置換ホスフィン=ジハロゲ
ニドは、予め調製された化合物を用いてもよく、或いは
上記する調製の方法に従い、反応系内でその場調製して
もよい。即ち、三置換ホスフィン=ジハロゲニドに換え
て、例えば、反応系内に該三置換ホスフィンとハロゲン
分子を加えて、反応試薬の三置換ホスフィン=ジハロゲ
ニドを適宜、その場調製する構成とすることもできる。
【0017】また、該三置換ホスフィン=ジハロゲニド
を構成するハロゲン原子Xは、塩素原子、臭素原子、又
はヨウ素原子を選択することができる。なお、前記する
三置換ホスフィンとハロゲン分子との反応により調製す
る場合、塩素原子又は臭素原子が好ましい。或いは、三
置換ホスフィンとハロゲン置換炭化水素との反応により
調製する場合も、塩素原子又は臭素原子が好ましい。該
三置換ホスフィン=ジハロゲニドを構成するハロゲン原
子Xに、塩素原子又は臭素原子を選択するものは、反応
性に富み好適な反応試薬となる。
【0018】本発明の製造方法で用いる塩基としては、
トリエチルアミン、ピリジン等の窒素原子上に水素を有
しない有機アミン類、含窒素複素環化合物が好適であ
る。この反応において、該塩基は、反応の過程において
発生するハロゲン化水素酸を中和することに用いられる
ので、過剰量を用いるとよい。通常、原料化合物のβ−
アミノアルコール1モルに対し、塩基を2モル以上を用
いるとよい。また、ハロゲン化水素酸を中和除去するこ
とより副反応を抑え、更には、反応そのものを促進する
効果も持つ。
【0019】原料化合物のβ−アミノアルコールと反応
試薬の三置換ホスフィン=ジハロゲニドとの反応は、両
者をともに溶解する溶媒を用いて行うとよい。溶媒とし
ては、本反応条件において影響を受けるものでなければ
特に制限は無く、即ち、反応試薬の三置換ホスフィン=
ジハロゲニドと反応するものでなく、且つ原料化合物、
反応試薬並びに塩基を溶解するものを用いることができ
る。例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素
等の塩素系溶媒、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の炭化水素、エチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニ
トリル類などの非プロトン性溶媒を挙げることができ
る。特には、ニトリル類であるアセトニトリル等の高い
極性を持つ溶媒、双極性非プロトン性溶媒が、反応を円
滑に進める上で好都合である。なお、アルコール等の水
酸基を有する溶媒、あるいはカルボン酸類等ではそれ自
身が、該反応試薬と反応してしまうものが多く、一般に
は不適当である。
【0020】本発明の製造方法におけるアジリジン環の
形成反応は、原料のトリフルオロメチル基を有するβ−
アミノアルコールと反応試薬の三置換ホスフィン=ジハ
ロゲニドを、塩基であるアミン化合物存在下に混合する
ことにより開始する。反応温度は、溶媒の融点以上であ
り、又溶媒、原料化合物、反応試薬などの沸点、還流温
度などにより上限が制限されることがあるが、その範囲
内である限り、特に制限は無い。通常は、0℃〜室温の
範囲で反応を行なう。反応の終了は、薄層クロマトグラ
フ法、ガスクロマトグラフ法等の分離分析法、あるいは
核磁気共鳴法などの分光学的分析法により、反応液中に
残留する原料のβ−アミノアルコールの量を確認するこ
とで、適宜決めることができる。なお、塩基としてアミ
ン類を用いる場合には、反応に伴い生成するハロゲン化
水素酸とアミン類とからなる錯体の沈殿物形成を観察す
ることによっても、反応の進行をうかがい知ることがで
きる。従って、形成する錯体の沈殿物量を目安すとし
て、反応の終了を決めることもできる。
【0021】得られたトリフルオロメチル基を有するア
ジリジン化合物は、反応液から蒸留、溶媒抽出等の一般
的な分離法により回収することができ、更には分別蒸
留、液相クロマトグラフ法などの一般的な精製法によ
り、更に精製することができる。また、本発明のアジリ
ジン化合物は上記する方法で製造されるので、原料のβ
−アミノアルコールに由来する基R1、トリフルオロメ
チル基などに特徴的なNMRスペクトル、質量分析スペ
クトルにより、容易にその構造を同定することができ
る。また、原料β−アミノアルコールの立体配座に依存
する立体配座をとるので、施光度の測定により光学活性
の有無を容易に確認することができる。以下に実施例を
持って本発明の詳細を説明する。
【0022】[参考例]ベンジルアミン 10.7 g ( 100
mmol )を 50 ml のテトラヒドロフランに溶かした溶液
中に光学純度 75%ee の 3,3,3-トリフルオロプロペンオ
キシド 11.2 g( 100 mmol ) を 2 ml のテトラヒドロフ
ランに溶かした溶液を 0 ℃ で滴下した。その後、得ら
れる溶液を室温(約25℃)で6日間撹拌し、反応を行
わせた。この反応溶液から溶媒テトラヒドロフランを減
圧留去した後、トルエン 10 mlを加え、これを濾過する
ことにより白色粉末の生成物 10.0 g を回収した。この
白色粉末化合物は、下に示す分光学的な分析結果より目
的物である 3-ベンジルアミノ-1,1,1-トリフルオロ-2-
プロパノールであることを確認した。原料の 3,3,3-ト
リフルオロプロペンオキシド に対する、目的物の収率
は46%であった。なお、該生成物の施光度は、下記す
る値を示し、光学活性体であることが分かった。
【0023】1H-NMR(CDCl3) δppm: 2.89-3.00(m,2H),
3.82(s,2H), 3.94(m,1H), 7.24-7.34(m,5H) MS(rel.Int.): 91(100) 120(80) 219(tr) 〔α〕25 D -11.4 ° (c 0.23, CH2Cl2)
【0024】
【実施例】本例では原料のβ−アミノアルコールとし
て、上記の参考例に従い調製した光学活性な 3-ベンジ
ルアミノ-1,1,1-トリフルオロ-2-プロパノールを用い
た。 3-ベンジルアミノ-1,1,1-トリフルオロ-2-プロパ
ノール 2.2 g ( 10 mmol )をアセトニトリル 10 ml に
溶かした溶液を、市販のトリフェニルホスフィン=ジク
ロリド 3.6 g ( 11 mmol )をアセトニトリル 30 ml に
溶かした溶液中に 0 ℃ で滴下した。この溶液中に、ト
リエチルアミン 2.0 g ( 20 mmol )をアセトニトリル 1
0 ml に溶かした溶液を 0 ℃ でゆっくりと滴下した。
引き続き、室温(約25℃)で3日間撹拌し反応を行な
った。その後、反応液から白色の沈殿を濾過し、その濾
液から溶媒アセトニトリルを減圧留去した。得られた残
渣にヘキサン30 mlを撹拌しつつ加え、さらに超音波洗
浄器を用いて混濁振盪した後、静置しヘキサン相を分け
とった。この抽出作業を3回繰り返した後に、集めたヘ
キサン溶液を約 2 ml にまで濃縮した。濃縮の過程で析
出した固形物を、再度濾過し、ヘキサン濾液を回収し
た。溶媒ヘキサンを完全に減圧留去した後、液体状の残
留物をクーゲルロール型蒸留装置を用いてオ−ブン温度
120 〜 150 ℃ / 30 mmHgの条件で蒸留したところ、無
色液体状の化合物 約 0.2 g が回収された。この化合物
は以下に示す分光学的な分析結果より目的物であるN-ベ
ンジル-2-トリフルオロメチルアジリジンであることが
確認された。原料の 3-ベンジルアミノ-1,1,1-トリフル
オロ-2-プロパノール に対する収率は、10%であっ
た。なお、該生成物の施光度は、下記する値を示し、光
学活性体であることが分かった。
【0025】1H-NMR(CDCl3) δppm: 1.65(d,1H), 2.14-
2.17(m,2H), 3.55(s,2H), 7.24-7.34(m,5H) MS(rel.Int.): 91(100) 201(15). 〔α〕25 D +18.3 ° (c 0.19, CH2Cl2)
【0026】
【発明の効果】本発明のトリフルオロメチル基を有する
アジリジン化合物、特にはその光学活性体は、トリフル
オロメチル基がメチル基である、対応するアジリジン化
合物と類似する、あるいは新規な性質を有するもので、
医薬や農薬等の生理活性物質、液晶や界面活性剤、色
素、光学分割剤等の機能性有機化合物の原料化合物とし
て利用できる。即ち、アジリジン環の高い反応性を利用
し、トリフルオロメチル基を有するアルカロイド、アミ
ノ糖、アミノ酸、β−ラクタム等に誘導することができ
る利点がある。本発明の製造方法は、原料のβ−アミノ
アルコールにおける立体配置に依存するアジリジン化合
物を簡便に製造することを可能とし、従って、従来知ら
れていなかった、特には光学活性なトリフルオロメチル
基を有するアジリジン化合物を容易に入手することがで
きるようになり、この化合物を原料とする従来合成が困
難であった含フッ素有機化合物の製造を可能とするとい
う格別の効果をもつ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記する一般式化1 【化1】 (式中、R1は、水素原子、又は[1群] 脂肪族炭化
    水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基から
    なる炭化水素基の群、[2群] 前記する[1群]に記
    載する炭化水素基の炭素骨格の炭素原子の1以上を、酸
    素原子、イオウ原子、又は窒素原子から選択されるヘテ
    ロ原子で置き換えてなる基からなる群、前記する[1
    群]或いは[2群]から選択される一価の基を表わす)
    で表されるトリフルオロメチル基を有するアジリジン化
    合物。
  2. 【請求項2】下記する一般式化2 【化2】 (式中、R1は、上記一般式化1と同じ基を表わし、*
    は、不斉中心の炭素原子を表わす)で表わされ、トリフ
    ルオロメチル基が結合する不斉中心の炭素原子に因る光
    学活性を示す光学活性なトリフルオロメチル基を有する
    アジリジン化合物。
  3. 【請求項3】 塩基存在下に、下記一般式化3 【化3】 (式中、R1は、上記一般式化1と同じ基を表わす)で
    表わされるトリフルオロメチル基を有するβ−アミノア
    ルコール化合物を、 下記一般式化4 【化4】 (式中、R2は、アルキル基、アリ−ル基、及びアラル
    キル基からなる群より選択される一価の基を表わし、X
    は、ハロゲン原子を表わす)で表わされる三置換ホスフ
    ィン=ジハロゲニドを用いて、閉環反応させることを特
    徴とする下記する一般式化5 【化5】 (式中、R1は、上記一般式化3と同じ基を表わす)で
    表わされるトリフルオロメチル基を有するアジリジン化
    合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 塩基存在下に、下記一般式化6 【化6】 (式中、R1は、上記一般式化1と同じ基を表わし、*
    は、不斉中心の炭素原子を表わす)で表わされ、トリフ
    ルオロメチル基が結合する不斉中心の炭素原子に因る光
    学活性を示す光学活性なトリフルオロメチル基を有する
    β−アミノアルコール化合物を、 下記一般式化4 【化4】(式中、R2は、アルキル基、アリ−ル基、及
    びアラルキル基からなる群より選択される一価の基を表
    わし、Xは、ハロゲン原子を表わす)で表わされる三置
    換ホスフィン=ジハロゲニドを用いて、閉環反応させる
    ことを特徴とする下記する一般式化7 【化7】 (式中、R1は、上記一般式化6と同じ基を表わし、*
    は、不斉中心の炭素原子を表わす)で表わされ、トリフ
    ルオロメチル基が結合する不斉中心炭素原子に因る光学
    活性を示す光学活性なトリフルオロメチル基を有するア
    ジリジン化合物の製造方法。
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