JP6320306B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用空調装置に関する。
特許文献1には、調和空気分配用ダンパの開度を調整する車両用空調制御装置が記載されている。この車両用空調制御装置は、複数に区分けされた領域毎に車体内の温度を検知する温度センサから取得した値に基づいて、調和空気分配用ダンパの基本開度率を決定する。また、車両用空調制御装置は、車体の床面又は全体の空間における乗客の密度を検知する乗客密度分布検出用センサから取得した値に基づいて、調和空気分配用ダンパの開度補正率を決定する。車両用空調制御装置は、基本開度率及び開度補正率に基づいて、調和空気分配用ダンパの開度率を決定する。同文献には、車両の客室内の温度と乗客の密度分布に基づいて調和空気分配用ダンパの開度を調整することにより、客室内の温度を均一化できることが記載されている。
特開2013−224065号公報
しかしながら、特許文献1の車両用空調制御装置では、ドア周辺などの温度変化が大きい場所の温度を適切に制御することは困難である。また、調和空気の分配比によっては、冷却不足又は冷却過剰となる場所が発生する場合がある。したがって、車室内の温度分布を均一化することが困難であるという問題点があった。
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、車室内の温度分布をより均一化できる車両用空調装置を提供することを目的とする。
本発明に係る車両用空調装置は、車室内の空間が区分された複数の空調空間のそれぞれの空気を吸い込む複数のリターン口と、前記複数のリターン口に吸い込まれる前記複数の空調空間のそれぞれの空気のリターン温度を検出する複数のリターン温度センサと、冷凍サイクル及び室内送風機を有し、前記複数のリターン口に吸い込まれた空気を冷却して冷風を生成する出力可変の空調ユニットと、前記空調ユニットで生成された冷風を前記複数の空調空間のそれぞれに吹き出す複数の吹出口と、前記複数の吹出口のそれぞれから吹き出される冷風の風量を調節する複数のダンパと、前記複数の空調空間のそれぞれの前記リターン温度に基づいて、前記空調ユニット及び前記複数のダンパを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、予め設定された設定温度と、前記複数の空調空間のそれぞれの前記リターン温度とに基づいて、前記複数の空調空間のそれぞれの必要冷房出力を決定し、前記必要冷房出力の総和に基づいて前記空調ユニットの総冷房出力を決定し、前記必要冷房出力の比に基づいて前記複数のダンパのそれぞれの開度を決定し、前記複数のダンパのそれぞれの開度は、対応する空調空間の前記必要冷房出力を、前記複数の空調空間の前記必要冷房出力のうちの最大値で除した値に設定されるものである。
本発明によれば、車室内の温度分布をより均一化することができる。
本発明の実施の形態1に係る車両用空調装置1の概略構成を示す図である。 図1のII−II断面を示す断面図である。 図1のIII−III断面を示す断面図である。 本発明の実施の形態1に係る車両用空調制御装置40で実行される運転状態設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る車両用空調制御装置40で実行される運転状態設定処理の具体例を示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係る車両用空調制御装置40で実行される運転状態設定処理の具体例を示す説明図である。 本発明の実施の形態2に係る車両用空調装置2の概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る車両用空調制御装置40で実行される運転状態設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る車両用空調制御装置40で実行される運転状態設定処理の具体例を示す説明図である。 本発明の実施の形態2に係る車両用空調制御装置40で実行される運転状態設定処理の具体例を示す説明図である。 本発明の実施の形態3に係る車両用空調装置3の概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る車両用空調制御装置40で実行される運転状態設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係る車両用空調制御装置40で実行される運転状態設定処理の具体例を示す説明図である。 本発明の実施の形態3に係る車両用空調制御装置40で実行される運転状態設定処理の具体例を示す説明図である。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る車両用空調装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る車両用空調装置1の概略構成を示す図である。図1では、車両用空調装置1が搭載された鉄道車両100を当該鉄道車両100の前後方向(前進又は後退方向)に垂直な面で切断した断面を示している。図2は、図1のII−II断面を示す断面図である。図3は、図1のIII−III断面を示す断面図である。図1〜図3では、空気の流れ方向を矢印で示している。なお、図1〜図3を含む以下の図面では、各構成要素の相対的な寸法の関係や形状等が実際のものとは異なる場合がある。
図1〜図3に示すように、車両用空調装置1は、少なくとも冷房運転が可能なヒートポンプ式の空調ユニット10と、空調ユニット10を含む車両用空調装置1の全体を制御する車両用空調制御装置40(制御装置の一例)と、を有している。空調ユニット10は、鉄道車両100の屋根102上に設置されている。鉄道車両100の車室101内には、ロングシート式の座席104a、104bが設けられている。なお、図2及び図3では、扉の図示を省略している。
空調ユニット10は、室内送風機11及び室内熱交換器12a、12bを有している。室内送風機11及び室内熱交換器12a、12bは、空調ユニット10の内部であって後述するリターン口と吹出口との間に形成される空気通路内に配置されている。また、空調ユニット10は、室内熱交換器12a、12bと共に冷凍サイクルを構成する不図示の圧縮機、室外熱交換器及び膨張装置と、室外熱交換器に外気を送風する室外送風機と、を有している。冷凍サイクルは、圧縮機、室外熱交換器、膨張装置及び室内熱交換器12a、12bが冷媒配管を介して順次環状に接続された構成を有している。室内送風機11の出力(例えば、回転数)及び圧縮機の出力(例えば、運転周波数)は、それぞれインバータによって可変(例えば、無段階又は多段階)に制御されるようになっている。室内送風機11及び圧縮機の能力が可変に制御されることにより、空調ユニット10の冷房出力は可変に制御されるようになっている。
冷凍サイクルの圧縮機によって圧縮され吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁を経由して室外熱交換器に流入する。室外熱交換器に流入したガス冷媒は、室外送風機により送風される外気との熱交換により凝縮し、低温の冷媒となって、室外熱交換器から流出する。室外熱交換器から流出した冷媒は、膨張装置によって膨張及び減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となる。この気液二相冷媒は、室内熱交換器12a、12bに流入し、室内送風機11により送風される室内空気との熱交換により蒸発し、低温低圧のガス冷媒となって室内熱交換器12a、12bから流出する。このとき、冷媒に吸熱されて冷却された室内空気は、空調空気(冷風)となって、鉄道車両100の車室101内(空調対象空間)に吹き出される。室内熱交換器12a、12bから流出したガス冷媒は、四方弁を経由して圧縮機に吸入され、再び圧縮される。以上の動作が連続的に繰り返されることにより、冷房運転が行われる。
車室101内の空間は、鉄道車両100の前後方向において複数(本例では10個)の空調空間101−1〜101−10に区分されている。図2及び図3では、空調空間101−1〜101−10の境界となる仮想面を点線で示している。本例の仮想面は、いずれも鉄道車両100の前後方向に垂直である。
空調空間101−1の天井部103には、当該空調空間101−1の空気を吸い込むリターン口14a−1、14b−1と、リターン口14a−1、14b−1に吸い込まれて室内熱交換器12a、12bで冷却された冷風を空調空間101−1に吹き出す吹出口13−1と、が設けられている。吹出口13−1は、鉄道車両100の左右方向中央部に配置されている。リターン口14a−1、14b−1は、吹出口13−1を挟んで左右両側に配置されている。
同様に、空調空間101−2〜101−10の天井部103には、リターン口14a−2〜14a−10、14b−2〜14b−10と、吹出口13−2〜13−10と、がそれぞれ設けられている。空調空間101−2〜101−10のそれぞれにおけるリターン口及び吹出口の配置は、空調空間101−1におけるリターン口及び吹出口の配置と同様である。すなわち、リターン口14a−1〜14a−10は鉄道車両100の前後方向に一列に配列しており、リターン口14b−1〜14b−10は鉄道車両100の前後方向に一列に配列しており、吹出口13−1〜13−10は鉄道車両100の前後方向に一列に配列している。
本例では、リターン口14a−1〜14a−10に吸い込まれた空気は、互いに合流して1つの室内熱交換器12aに流入し、冷媒との熱交換により冷却されて冷風となる。また、リターン口14b−1〜14b−10に吸い込まれた空気は、互いに合流して1つの室内熱交換器12bに流入し、冷媒との熱交換により冷却されて冷風となる。室内熱交換器12aで生成された冷風と、室内熱交換器12bで生成された冷風とは、室内送風機11に吸引されて送風される。送風された冷風は、吹出口13−1〜13−10毎に分流し、吹出口13−1〜13−10から空調空間101−1〜101−10にそれぞれ吹き出される。
吹出口13−1〜13−10には、吹出口13−1〜13−10から吹き出される冷風の風量をそれぞれの開度調節により調節するダンパ20−1〜20−10が設けられている。ダンパ20−1〜20−10のそれぞれの開度は、例えば、全閉状態である0%から全開状態である100%までの間で可変(例えば、無段階又は多段階)に調節される。ダンパ20−1〜20−10は、車両用空調制御装置40によって互いに独立して制御される。
リターン口14a−1〜14a−10、14b−1〜14b−10には、リターン口14a−1〜14a−10、14b−1〜14b−10のそれぞれに吸い込まれる空気の温度(リターン温度)を検出するリターン温度センサ30a−1〜30a−10、30b−1〜30b−10が設けられている。リターン温度センサ30a−1〜30a−10、30b−1〜30b−10は、それぞれ検出したリターン温度の情報を車両用空調制御装置40に送信するようになっている。
車両用空調制御装置40は、CPU、ROM、RAM、入出力ポート等を備えたマイクロコンピュータを有している。車両用空調制御装置40は、リターン温度センサ30a−1〜30a−10、30b−1〜30b−10から受信した情報に基づき、空調空間101−1〜101−10のそれぞれのリターン温度TR1〜TR10を取得する。例えば、空調空間101−1のリターン温度TR1は、リターン温度センサ30a−1で検出された温度と、リターン温度センサ30b−1で検出された温度との平均値である。同様に、リターン温度TR2〜TR10はそれぞれ、リターン温度センサ30a−2〜30a−10で検出された温度と、リターン温度センサ30b−2〜30b−10で検出された温度との平均値である。車両用空調制御装置40は、不図示の設定手段により予め設定された設定温度T0と、空調空間101−1〜101−10のリターン温度TR1〜TR10と、に基づいて、空調ユニット10の室内送風機11及び圧縮機、並びにダンパ20−1〜20−10等を制御する。
次に、車両用空調装置1の冷房運転制御について説明する。図4は、冷房運転制御の一部として車両用空調制御装置40で実行される運転状態設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。運転状態設定処理では、室内送風機11及び圧縮機のV/fパターン(運転パターンの一例)と、ダンパ20−1〜20−10の開度と、が設定される。室内送風機11及び圧縮機のV/fパターンには、例えば、室内送風機11の回転数と圧縮機の運転周波数とが含まれる。車両用空調制御装置40は、室内送風機11の回転数、圧縮機の運転周波数、及びダンパ20−1〜20−10の開度がそれぞれ設定された値となるように、室内送風機11、圧縮機及びダンパ20−1〜20−10を制御するようになっている。
まず、ステップS1では、リターン温度TR1〜TR10と設定温度T0とに基づいて、空調空間101−1〜101−10のそれぞれに必要な冷房出力(必要冷房出力)Pk(k=1〜n(本例では、k=1〜10))を決定する。例えば、空調空間101−1の必要冷房出力P1は、リターン温度TR1と設定温度T0との温度差(TR1−T0)に基づいて決定され、温度差(TR1−T0)が大きいほど大きい値となる。同様に、空調空間101−2〜101−10の必要冷房出力P2〜P10はそれぞれ、リターン温度TR2〜TR10と設定温度T0との温度差に基づいて決定される。ここで、必要冷房出力P1〜P10のうちの最大値はPmaxとして記憶される。
次に、ステップS2では、空調空間101−1〜101−10の必要冷房出力Pk(k=1〜10)の総和に基づいて、空調ユニット10の総冷房出力P(例えば、P=ΣPk)を決定する。
次に、ステップS3では、総冷房出力Pに基づいて、室内送風機11及び圧縮機のV/fパターンを決定する。例えば、車両用空調制御装置40のROMには、総冷房出力Pと室内送風機11及び圧縮機のV/fパターンとの対応関係を示すテーブルが記憶されている。車両用空調制御装置40は、このテーブルを参照して室内送風機11及び圧縮機のV/fパターンを決定する。ステップS3の処理により、空調ユニット10では、車室101内の全体で必要十分となる冷房出力が得られる。なお、室内送風機11及び圧縮機のV/fパターンは、総冷房出力Pを用いた演算によって決定してもよい。
次に、ステップS4では、必要冷房出力P1〜P10の比に基づいて、ダンパ20−1〜20−10のそれぞれの開度Wk(k=1〜10)(%)を決定する。例えば、開度Wk(k=1〜10)はそれぞれ、次式を用いて決定される。
Wk=Pk/Pmax
すなわち、ダンパ20−1〜20−10のそれぞれの開度W1〜W10は、対応する空調空間101−1〜101−10の必要冷房出力P1〜P10を、必要冷房出力P1〜P10のうちの最大値Pmaxで除した値に設定される。以上のステップS1〜S4の処理は、所定の時間間隔で繰り返して実行される。
次に、運転状態設定処理について具体例を挙げて説明する。図5及び図6は、運転状態設定処理の具体例を示す説明図である。図5は図2に対応する断面を示しており、図6は図3に対応する断面を示している。
図5に示すように、リターン温度TR1〜TR10と設定温度T0とに基づいて決定された空調空間101−1〜101−10の必要冷房出力P1〜P10は、それぞれ、7、5、4、5、7、8、6、4、2、3であるものとする。このとき、必要冷房出力P1〜P10の最大値は8であるため、最大値Pmaxは8に設定される。また、必要冷房出力P1〜P10の総和は51であるため、空調ユニット10の総冷房出力Pは51に設定される。
空調空間101−1の必要冷房出力P1が7であり、最大値Pmaxが8であるため、図6に示すように、ダンパ20−1の開度W1は87.5%(=P1/Pmax=7/8)に設定される。同様に、ダンパ20−2〜20−10の開度W2〜W10は、それぞれ、62.5%、50%、62.5%、87.5%、100%、75%、50%、25%、37.5%に設定される。
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用空調装置1は、車室101内の空間が区分された複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれの空気を吸い込む複数のリターン口14a−1〜14a−10、14b−1〜14b−10と、複数のリターン口14a−1〜14a−10、14b−1〜14b−10に吸い込まれる複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれの空気のリターン温度TR1〜TR10を検出する複数のリターン温度センサ30a−1〜30a−10、30b−1〜30b−10と、冷凍サイクル及び室内送風機11を有し、複数のリターン口14a−1〜14a−10、14b−1〜14b−10に吸い込まれた空気を冷却して冷風を生成する出力可変の空調ユニット10と、空調ユニット10で生成された冷風を複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれに吹き出す複数の吹出口13−1〜13−10と、複数の吹出口13−1〜13−10のそれぞれから吹き出される冷風の風量を調節する複数のダンパ20−1〜20−10と、複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれのリターン温度TR1〜TR10に基づいて、空調ユニット10及び複数のダンパ20−1〜20−10を制御する車両用空調制御装置40と、を備えるものである。車両用空調制御装置40は、予め設定された設定温度T0と、複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれのリターン温度TR1〜TR10とに基づいて、複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれの必要冷房出力P1〜P10を決定し、必要冷房出力P1〜P10の総和に基づいて空調ユニット10の総冷房出力P(例えば、室内送風機11の回転数及び冷凍サイクルの圧縮機の運転周波数)を決定し、必要冷房出力P1〜P10の比に基づいて複数のダンパ20−1〜20−10のそれぞれの開度W1〜W10を決定するように構成されている。
この構成によれば、必要冷房出力P1〜P10の比に基づいてダンパ20−1〜20−10のそれぞれの開度W1〜W10を決定するため、空調空間101−1〜101−10のそれぞれに冷房負荷に応じた風量の冷風を供給することができる。したがって、扉周辺などの温度が変化しやすい場所であっても温度変化を小さくすることができるため、車室101内の温度分布をより均一化することができる。
また、この構成によれば、必要冷房出力P1〜P10の総和に基づいて空調ユニット10の総冷房出力Pを決定するため、車室101内の全体の負荷に対して空調ユニット10の総冷房出力Pを必要十分に設定することができる。したがって、空調ユニット10の消費電力を最小限に抑えつつ、車室101内の全体で必要となる冷房出力を確保することができる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る車両用空調装置について説明する。図7は、本実施の形態に係る車両用空調装置2の概略構成を示す図である。図7では、車両用空調装置2が搭載された鉄道車両100を当該鉄道車両100の前後方向に垂直な面で切断した断面を示している。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7に示すように、本実施の形態に係る車両用空調装置2は、壁部温度センサ31a−1〜31a−10、31b−1〜31b−10を有している。壁部温度センサ31a−1は、空調空間101−1の図中左側の内壁面上に配置されている。壁部温度センサ31b−1は、空調空間101−1の図中右側の内壁面上に配置されている。壁部温度センサ31a−1、31b−1は、検出した温度の情報を車両用空調制御装置40に送信する。車両用空調制御装置40は、例えば、壁部温度センサ31a−1で検出された温度と、壁部温度センサ31b−1で検出された温度と、の平均値を空調空間101−1の壁部温度TW1として取得する。
同様に、壁部温度センサ31a−2〜31a−10は、それぞれ、空調空間101−2〜101−10の図中左側の内壁面上に配置されている。壁部温度センサ31b−2〜31b−10は、それぞれ、空調空間101−2〜101−10の図中右側の内壁面上に配置されている。車両用空調制御装置40は、例えば、壁部温度センサ31a−2〜31a−10で検出された温度と、壁部温度センサ31b−2〜31b−10で検出された温度と、の平均値を空調空間101−2〜101−10の壁部温度TW2〜TW10としてそれぞれ取得する。壁部温度センサ31a−1〜31a−10、31b−1〜31b−10はいずれも、車室101の床面からの高さが100〜150cm程度の位置に配置されている。本実施の形態の車両用空調制御装置40は、設定温度T0と、リターン温度TR1〜TR10と、壁部温度TW1〜TW10と、に基づいて、空調ユニット10の室内送風機11及び圧縮機、並びにダンパ20−1〜20−10等を制御するものである。
図8は、車両用空調制御装置40で実行される運転状態設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップS11では、リターン温度TR1〜TR10と壁部温度TW1〜TW10とに基づいて、空調空間101−1〜101−10のそれぞれの空間温度Tk(k=1〜10)を算出する。空間温度Tk(k=1〜10)は、例えば次式を用いて算出される。
Tk=αTRk+(1−α)TWk
ここで、αは、0〜1の範囲で予め任意に設定される重み付け係数である(0≦α≦1)。空間温度Tkは、係数αが0に近づくほど壁部温度TWkの影響を大きく受け、係数αが1に近づくほどリターン温度TRkの影響を大きく受ける。
次に、ステップS12では、空間温度Tk(k=1〜10)と設定温度T0とに基づいて、空調空間101−1〜101−10のそれぞれに必要な必要冷房出力Pk(k=1〜10)を決定する。例えば、空調空間101−1の必要冷房出力P1は、空間温度T1と設定温度T0との温度差(T1−T0)に基づいて決定され、温度差(T1−T0)が大きいほど大きい値となる。同様に、空調空間101−2〜101−10の必要冷房出力P2〜P10はそれぞれ、空間温度T2〜T10と設定温度T0との温度差に基づいて決定される。ここで、必要冷房出力P1〜P10のうちの最大値はPmaxとして記憶される。
ステップS13〜S15は、図4のステップS2〜S4と同様であるので説明を省略する。
図9及び図10は、運転状態設定処理の具体例を示す説明図である。図9は図2に対応する断面を示しており、図10は図3に対応する断面を示している。
図9に示すように、空間温度T1〜T10と設定温度T0とに基づいて決定された空調空間101−1〜101−10の必要冷房出力P1〜P10は、それぞれ、7、5、4、5、7、8、6、4、2、3であるものとする。このとき、必要冷房出力P1〜P10の最大値は8であるため、最大値Pmaxは8に設定される。また、必要冷房出力P1〜P10の総和は51であるため、空調ユニット10の総冷房出力Pは51に設定される。
空調空間101−1の必要冷房出力P1が7であり、最大値Pmaxが8であるため、図10に示すように、ダンパ20−1の開度W1は87.5%(=P1/Pmax=7/8)に設定される。同様に、ダンパ20−2〜20−10の開度W2〜W10は、それぞれ、62.5%、50%、62.5%、87.5%、100%、75%、50%、25%、37.5%に設定される。
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用空調装置2は、複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれの壁部温度TW1〜TW10を検出する複数の壁部温度センサ31a−1〜31a−10、31b−1〜31b−10をさらに備えている。本実施の形態では、複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれの必要冷房出力P1〜P10は、設定温度T0と、複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれのリターン温度TR1〜TR10と、複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれの壁部温度TW1〜TW10と、に基づいて決定される。
この構成によれば、空調空間101−1〜101−10のそれぞれの必要冷房出力P1〜P10を決定する際に、リターン温度TR1〜TR10だけでなく壁部温度TW1〜TW10が考慮される。したがって、本実施の形態によれば、実施の形態1と比較して、必要冷房出力P1〜P10をより適切に精度良く決定することができる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る車両用空調装置について説明する。図11は、本実施の形態に係る車両用空調装置3の概略構成を示す図である。図11では、車両用空調装置3が搭載された鉄道車両100を当該鉄道車両100の前後方向に垂直な面で切断した断面を示している。なお、実施の形態1又は2と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図11に示すように、本実施の形態に係る車両用空調装置3は、空調空間101−1〜101−10のそれぞれにおける乗客密度を検出する乗客密度検出用センサ32−1〜32−10(乗客密度センサ)を有している。乗客密度検出用センサ32−1〜32−10は、検出した乗客密度の情報を車両用空調制御装置40に送信する。
乗客密度検出用センサ32−1〜32−10としては、例えば、空調空間101−1〜101−10の荷重を検出する荷重センサが用いられる。荷重センサが用いられる場合、乗客密度検出用センサ32−1〜32−10は、それぞれ、空調空間101−1〜101−10の床面の全域に設置される。乗客密度検出用センサ32−1〜32−10のそれぞれで検出される乗客密度は、互いに独立している。すなわち、ある乗客密度検出用センサで検出された乗客密度は、他の乗客密度検出用センサの検出値に干渉しないようになっている。乗客密度検出用センサ32−1〜32−10としては、赤外線又は超音波等を用いて人間の存在を検知する人感センサや、画像を撮像するカメラ等を用いることもできる。カメラが用いられる場合には、車両用空調制御装置40で画像処理を行うことにより、空調空間101−1〜101−10のそれぞれにおける乗客密度を演算することができる。
図12は、車両用空調制御装置40で実行される運転状態設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS21、S24〜S26は、図8のステップS11及び図4のステップS2〜S4と同様であるので説明を省略する。
ステップS22では、空調空間101−1〜101−10のそれぞれにおける乗客密度Mk(k=1〜10)に基づいて、空間温度Tkの補正値ΔTk(k=1〜10)を決定する。補正値ΔTkは、例えば次式を用いて算出される。
ΔTk=β×Mk/Mk_100
ここで、βは、予め任意に設定される係数である(β>0)。また、Mk_100(k=1〜10)は、定員数の乗客が車室101内に均等に乗車したと仮定した場合における空調空間101−1〜101−10のそれぞれの乗客密度である。補正値ΔTkは、乗客密度Mkが大きくなるほど大きくなり、乗客密度Mkが小さくなるほど小さくなる。ただし、本例の補正値ΔTkは0以上である(ΔTk≧0)。
次に、ステップS23では、空間温度Tkと補正値ΔTkと設定温度T0とに基づいて、空調空間101−1〜101−10のそれぞれに必要な必要冷房出力Pk(k=1〜10)を決定する。例えば、空調空間101−1の必要冷房出力P1は、空間温度T1及び補正値ΔT1の和と設定温度T0との温度差(T1+ΔT1−T0)に基づいて決定され、温度差(T1+ΔT1−T0)が大きいほど大きい値となる。同様に、空調空間101−2〜101−10の必要冷房出力P2〜P10はそれぞれ、空間温度T2〜T10及び補正値ΔT2〜ΔT10の和と設定温度T0との温度差に基づいて決定される。ここで、必要冷房出力P1〜P10のうちの最大値はPmaxとして記憶される。
図13及び図14は、運転状態設定処理の具体例を示す説明図である。図13は図2に対応する断面を示しており、図14は図3に対応する断面を示している。
図13に示すように、空間温度T1〜T10と補正値ΔT1〜ΔT10と設定温度T0とに基づいて決定された空調空間101−1〜101−10の必要冷房出力P1〜P10は、それぞれ、7、5、4、5、7、8、6、4、2、3であるものとする。このとき、必要冷房出力P1〜P10の最大値は8であるため、最大値Pmaxは8に設定される。また、必要冷房出力P1〜P10の総和は51であるため、空調ユニット10の総冷房出力Pは51に設定される。
空調空間101−1の必要冷房出力P1が7であり、最大値Pmaxが8であるため、図14に示すように、ダンパ20−1の開度W1は87.5%(=P1/Pmax=7/8)に設定される。同様に、ダンパ20−2〜20−10の開度W2〜W10は、それぞれ、62.5%、50%、62.5%、87.5%、100%、75%、50%、25%、37.5%に設定される。
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用空調装置3は、複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれの乗客密度M1〜M10を検出する複数の乗客密度検出用センサ32−1〜32−10をさらに備えている。本実施の形態では、複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれの必要冷房出力P1〜P10は、設定温度T0と、複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれのリターン温度TR1〜TR10と、複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれの乗客密度M1〜M10と、に基づいて決定される。必要冷房出力P1〜P10は、さらに、複数の空調空間101−1〜101−10のそれぞれの壁部温度TW1〜TW10にも基づいて決定されるものであってもよい。
この構成によれば、空調空間101−1〜101−10のそれぞれの必要冷房出力P1〜P10を決定する際に、乗客密度M1〜M10が考慮される。乗客密度M1〜M10は、リターン温度TR1〜TR10と同様に必要冷房出力P1〜P10に相関があり、かつ、リターン温度TR1〜TR10よりも応答良く検出することができる。したがって、本実施の形態によれば、実施の形態1及び2と比較して、空調制御の応答性をさらに向上することができる。鉄道車両100の車室101内では、扉の開閉や乗客の移動により各場所の温度変化が大きくなるため、空調制御の応答性が特に求められる。
その他の実施の形態.
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、車室101内の空間が10個の空調空間101−1〜101−10に区分された構成を例に挙げたが、車室101内の空間は、2〜9個又は11個以上の空調空間(例えば、3個以上の空調空間)に区分されていてもよい。
また、上記実施の形態では、冷房運転が可能な車両用空調装置1、2、3を例に挙げたが、本発明は、冷房運転及び暖房運転の双方が可能な車両用空調装置にも適用できる。
また、上記の各実施の形態や変形例は、互いに組み合わせて実施することが可能である。
1、2、3 車両用空調装置、10 空調ユニット、11 室内送風機、12a、12b 室内熱交換器、13−1〜13−10 吹出口、14a−1〜14a−10、14b−1〜14b−10 リターン口、20−1〜20−10 ダンパ、30a−1〜30a−10、30b−1〜30b−10 リターン温度センサ、31a−1〜31a−10、31b−1〜31b−10 壁部温度センサ、32−1〜32−10 乗客密度検出用センサ、40 車両用空調制御装置、100 鉄道車両、101 車室、101−1〜101−10 空調空間、102 屋根、103 天井部、104a、104b 座席、Mk、M1〜M10 乗客密度、P 総冷房出力、Pk、P1〜P10 必要冷房出力、Pmax 最大値、T0 設定温度、Tk、T1〜T10 空間温度、TRk、TR1〜TR10 リターン温度、TWk、TW1〜TW10 壁部温度、Wk、W1〜W10 開度、ΔTk、ΔT1〜ΔT10 補正値、α、β 係数。

Claims (4)

  1. 車室内の空間が区分された複数の空調空間のそれぞれの空気を吸い込む複数のリターン口と、
    前記複数のリターン口に吸い込まれる前記複数の空調空間のそれぞれの空気のリターン温度を検出する複数のリターン温度センサと、
    冷凍サイクル及び室内送風機を有し、前記複数のリターン口に吸い込まれた空気を冷却して冷風を生成する出力可変の空調ユニットと、
    前記空調ユニットで生成された冷風を前記複数の空調空間のそれぞれに吹き出す複数の吹出口と、
    前記複数の吹出口のそれぞれから吹き出される冷風の風量を調節する複数のダンパと、
    前記複数の空調空間のそれぞれの前記リターン温度に基づいて、前記空調ユニット及び前記複数のダンパを制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    予め設定された設定温度と、前記複数の空調空間のそれぞれの前記リターン温度とに基づいて、前記複数の空調空間のそれぞれの必要冷房出力を決定し、
    前記必要冷房出力の総和に基づいて前記空調ユニットの総冷房出力を決定し、
    前記必要冷房出力の比に基づいて前記複数のダンパのそれぞれの開度を決定し、
    前記複数のダンパのそれぞれの開度は、対応する空調空間の前記必要冷房出力を、前記複数の空調空間の前記必要冷房出力のうちの最大値で除した値に設定されるものである車両用空調装置。
  2. 前記空調ユニットの総冷房出力は、前記室内送風機の回転数と、前記冷凍サイクルの圧縮機の運転周波数と、を含むものである請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記複数の空調空間のそれぞれの壁部温度を検出する複数の壁部温度センサをさらに備え、
    前記複数の空調空間のそれぞれの前記必要冷房出力は、前記設定温度と、前記複数の空調空間のそれぞれの前記リターン温度と、前記複数の空調空間のそれぞれの前記壁部温度と、に基づいて決定されるものである請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記複数の空調空間のそれぞれの乗客密度を検出する複数の乗客密度センサをさらに備え、
    前記複数の空調空間のそれぞれの前記必要冷房出力は、前記設定温度と、前記複数の空調空間のそれぞれの前記リターン温度と、前記複数の空調空間のそれぞれの前記乗客密度と、に基づいて決定されるものである請求項1〜のいずれか一項に記載の車両用空調装置。
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