JP6319625B2 - インクジェット方法およびインクジェット装置 - Google Patents

インクジェット方法およびインクジェット装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6319625B2
JP6319625B2 JP2014066937A JP2014066937A JP6319625B2 JP 6319625 B2 JP6319625 B2 JP 6319625B2 JP 2014066937 A JP2014066937 A JP 2014066937A JP 2014066937 A JP2014066937 A JP 2014066937A JP 6319625 B2 JP6319625 B2 JP 6319625B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
curable composition
ultraviolet curable
ultraviolet
ink
adherend
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014066937A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015189045A (ja
Inventor
福本 浩
福本  浩
浩明 木田
浩明 木田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2014066937A priority Critical patent/JP6319625B2/ja
Priority to US14/669,986 priority patent/US9834012B2/en
Publication of JP2015189045A publication Critical patent/JP2015189045A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6319625B2 publication Critical patent/JP6319625B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J29/00Details of, or accessories for, typewriters or selective printing mechanisms not otherwise provided for
    • B41J29/377Cooling or ventilating arrangements
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J11/00Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form
    • B41J11/0015Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form for treating before, during or after printing or for uniform coating or laminating the copy material before or after printing
    • B41J11/002Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating
    • B41J11/0021Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating using irradiation
    • B41J11/00214Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating using irradiation using UV radiation
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J29/00Details of, or accessories for, typewriters or selective printing mechanisms not otherwise provided for
    • B41J29/38Drives, motors, controls or automatic cut-off devices for the entire printing mechanism

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

本発明は、インクジェット方法及びインクジェット装置に関する。
従来、紙などの被記録媒体に、画像データ信号に基づき画像を形成する記録方法として、種々の方式が利用されている。このうち、インクジェット方式は、安価な装置で、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、インクジェット方式は騒音が小さいため、記録方法として優れている。
近年、光を照射することによりモノマーが光重合(硬化)する光硬化型インクを用いたインクジェット記録方法は、耐水性及び耐擦性に優れた画像を、被記録媒体の被記録面に形成することができるため、カラーフィルターの製造、プリント基板、プラスチックカード、ビニールシート、大型看板、及びプラスチック部品への印刷(記録)、並びにバーコードや日付の印刷などに利用されている。
例えば、特許文献1は、着色材、重合性化合物、光重合開始剤、及び表面調整剤を含有するエネルギー線硬化型インク組成物として、前記重合性化合物は、300以下のアクリル当量を有し且つ一分子中にエチレン性二重結合を1個有する単官能モノマーと、150以下のアクリル当量を有し且つ一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する多官能モノマーと、からなり、前記光重合開始剤はα−アミノアルキルフェノン系化合物及びチオキサントン系化合物を含有し、前記表面調整剤はポリジメチルシロキサン構造を有するシリコーン系化合物を含有するインク組成物を開示している。そして、アクリル当量が300以下の単官能モノマーとアクリル当量が150以下の多官能モノマーとのみからなる重合性化合物を含有することにより、インクジェット記録方式に適した低粘度で、高反応性のインク組成物を得ることができることも開示している(特許文献1の段落0006,0007)。
特許第4335955号明細書
ここで、インクジェットプリンタにより特許文献1に示すインク組成物を用いて印刷をしたところ、インクジェットプリンタの長時間連続印刷に伴い記録媒体を搬送するドラムが昇温し、記録媒体も昇温する傾向が見られ、その際、記録物の硬化シワが悪化するという問題が発生した。原因を調べた所、記録媒体表面に付着し照射を受ける際のインクの粘度が低いほど硬化シワの発生が大きかった。同じインク組成を用いても紫外線照射する際のインク温度が高くインク粘度が低くなったほうが硬化シワが大きい傾向が見られた。紫外線照射する際のインク温度の上昇は、主として記録媒体の温度の昇温に起因する。記録媒体の昇温の要因は、光源の発熱、ヘッドの発熱、記録媒体上のインクの硬化時の硬化熱によるドラムの昇温、などが考えられる。記録媒体の昇温は、UVラベル記録装置のような高速で連続印刷を行うUVプリンタ、特にラインプリンタにおいて顕著となる。
そこで、本発明は、硬化シワの発生を低減することができるインクジェット方法およびインクジェット装置を提供することを目的の一つとする。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1]
被付着体を冷却装置により冷却する冷却工程と、
前記冷却装置により表面温度が45℃以下となっている前記被付着体に対して、吐出ヘッドにより紫外線硬化型組成物を吐出して被付着体へ付着させる工程と、
前記被付着体に付着した前記紫外線硬化型組成物へ紫外線を照射して、前記紫外線硬化型組成物を硬化させる工程と、
を備え、
前記紫外線の照射を受ける際の、前記被付着体に付着した前記紫外線硬化型組成物の前記被付着体の表面温度における粘度が6mPa・s以上である、
インクジェット方法。
[2]
前記紫外線硬化型組成物は、3官能以上の重合性化合物を含有しないものであるか、3官能以上の重合性化合物を含有する場合、3官能以上の重合体化合物の含有量が20質量%以下である、[1]記載のインクジェット方法
[3]
前記付着させる工程の継続時間が20分以上である、[1]又は[2]に記載のインクジェット方法。
[4]
前記冷却装置が、気体冷却型あるいは液体冷却型の少なくともいずれかである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
[5]
前記吐出ヘッドにより吐出される際の前記紫外線硬化型組成物の粘度が15mPa・s以下である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
[6]
前記吐出ヘッドにより吐出される際の前記紫外線硬化型組成物の温度が35℃以上である、
[1]〜[5]のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
[7]
前記紫外線硬化型組成物の平均重合性不飽和二重結合当量が50以上200以下である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
[8]
前記吐出ヘッドに対する前記被付着体の相対的な位置を移動させつつ前記吐出ヘッドから前記紫外線硬化型組成物を吐出する1回の走査により行われる、[1]〜[7]のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
[9]
前記硬化させる工程は、
前記付着体へ付着した前記紫外線硬化型組成物を仮硬化させる紫外線照射工程と、
前記仮硬化した前記紫外線硬化型組成物をさらに硬化させるための少なくとも1回の追加の紫外線照射工程と、
を有し、
前記仮硬化のための1回目の紫外線照射を受ける際の、前記被付着体に付着した前記紫外線硬化型組成物の前記被付着体の表面温度における粘度が6mPa・s以上である、[1]〜[8]のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
[10]
仮硬化のための1回目の紫外線の照射エネルギーが、2回目以降の紫外線照射の合計の照射エネルギーの1/12〜1/20の範囲である、[1]〜[9]のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
[11]
少なくとも仮硬化のための1回目の照射に用いる光源が350〜420nmの範囲にピーク波長を有する紫外線発光ダイオードである、[1]〜[10]のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
[12]
[1]〜[11]のいずれか一項に記載のインクジェット方法を行うインクジェット装置。
本発明のインクジェット装置の構成の一例を示すブロック図である。 本発明のインクジェット記録装置の一例であるラインプリンターにおけるヘッドユニット、搬送ユニット、及び照射ユニットの周辺の一例を示す概略断面図である。 図1に示したインクジェット装置の概略構成を部分的に例示した前方斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るインクジェット方法では、紫外線硬化型組成物が用いられる。まず紫外線硬化型組成物について説明し、続いて記録方法に含まれる各工程を説明する。
〔インクジェット装置〕
本実施形態のインクジェット装置は、後述するインクジェット方法に用いるものである。なお、本発明はインクジェット装置の構成は特に限定されない。
図1に、本実施形態に用いうるインクジェット装置の構成の一例を示すブロック図を示す。コンピューター130にはプリンタドライバーがインストールされており、プリンタ1に画像を記録させるため、当該画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。プリンタ1は、本発明の「インクジェット装置」に相当する。プリンタ1は、インク供給ユニット10、搬送ユニット20、ヘッドユニット30、照射ユニット40、冷却ユニット50、検出器群110、メモリー123、インターフェース121、及びコントローラー120を有する。コントローラー120は、CPU122とユニット制御回路124とを有する。外部装置であるコンピューター130から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラー120によって各ユニットを制御して、印刷データに従い、被記録媒体上に画像を記録する。プリンタ1内の状況は検出器群110によって監視されており、検出器群110は、検出結果をコントローラー120に出力する。コントローラー120は、検出器群110から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御し、インターフェース121を介して入力した印刷データをメモリー123に記憶する。メモリー123には、各ユニットを制御するための制御情報も記憶されている。
(インクジェットヘッド)
インクジェット装置(プリンタ1)が有するヘッドユニット30は、インク組成物(紫外線硬化型組成物)を被記録媒体に向けて吐出して記録を行うヘッド(インクジェットヘッド)を備える。当該ヘッドは、収容したインク組成物をノズルから吐出させるキャビティと、当該キャビティ毎に設けられた、インクに吐出の駆動力を付与する吐出駆動部と、当該キャビティ毎に設けられた、ヘッドの外へインク組成物を吐出するノズルと、ノズルが形成されているノズル形成面と、を有する。キャビティ、並びにキャビティ毎に設けられる吐出駆動部及びノズルは、それぞれ互いに独立して、一のヘッドに複数個設けられていてもよい。吐出駆動部は、機械的な変形によりキャビティの容積を変化させる圧電素子のような電気機械変換素子や、熱を発することによりインクに気泡を発生させ吐出させる電子熱変換素子などを用いて形成することができる。記録装置は、1色のインクにつきヘッドを1個設けていても複数個設けていてもよく、複数個設けている場合、複数個のヘッドを被記録媒体の幅方向に並べることによりラインヘッドを構成してもよく、この場合、上述の被記録幅を長くすることができる。複数色のインク組成物を用いて記録を行う場合、記録装置はインク毎にヘッドを備える。ヘッドは、例えば、特開2009−279830号の図3等のようにして構成することができる。
記録装置がライン方式の記録装置であるラインプリンタである場合には、ヘッドとして被記録媒体の幅に相当する長さ以上の長さであるラインヘッドを備える。当該ラインヘッドと被記録媒体とが当該幅方向と交差する走査方向に相対的に位置を変えながら被記録媒体に向けて、ラインヘッドからインク組成物が吐出されるものである。ラインプリンタでは、ヘッドが(ほぼ)移動せずに固定されて、1パス(シングルパス)で記録が行われる。ラインプリンタは記録速度が速い点でシリアルプリンタよりも有利である。
一方、シリアル方式の記録装置であるシリアルプリンタは、ヘッドが被記録媒体の副走査方向と交差した主走査方向に移動しながらインク組成物の吐出を行う主走査(パス)を行い、通常2パス以上(マルチパス)で記録を行うものである。
以下、図2を参照して、本実施形態で用いうる記録装置の一例であるラインプリンタについて詳しく説明する。以下の説明に用いる図2においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図2は、本実施形態に用いうるプリンタの一例である上述のラインプリンタにおけるヘッドユニット、搬送ユニット、及び照射ユニットの周辺の一例を示す概略断面図である。
搬送モーター(図示せず)により、上流側ローラー25A及び下流側ローラー25Bからなる搬送ローラーが回転し、搬送ドラム26が従動する。被記録媒体Sは、搬送ローラー25A及び25B、並びに支持体である搬送ドラム26の周面に沿い、搬送ローラーの回転に伴って搬送される。搬送ドラム26の周囲にはヘッドK、ヘッドC、ヘッドM、及びヘッドYからなる各ラインヘッドが搬送ドラム26の周面に対向して配置される。例えば、ヘッドKはブラックインク用であり、ヘッドCはシアンインク用であり、ヘッドMはマゼンタインク用であり、ヘッドYはイエローインク用である。
上記搬送ドラム26は、被記録媒体Sを搬送する面を周面に有し、当該面で被記録媒体Sを支持し、かつ、ヘッドに対して相対的に移動するものである。当該搬送ドラム26が被記録媒体Sを支持しつつヘッドに対して相対的に移動する場合、任意の位置から同じ位置に戻るまでの時間(周期)は5秒以上が好ましく、6秒以上がより好ましい。当該時間が上記範囲内であることにより、支持体の放熱の時間が確保され、温度上昇を抑制することができる傾向にある。また、上記周期の上限は特に制限されるものではないが、高速印刷を実現するため、例えば15秒以内が好ましい。
なお、上記の支持体による所定周期での移動は、少なくともインクジェット記録が行われる間になされればよく、さらにはインクジェット記録が行われる間、連続的又は断続的になされればよい。
上記支持体の形状としては、図2のようなドラム状の支持体に限られるものではなく、特に限定されないが、例えば、ローラー状、及びベルト状の支持体、並びに被記録媒体Sを支持する板状の支持体(プラテン等)も挙げられる。ヘッドに対して相対的になされる支持体の移動は、1つの方向に移動(回転)して同じ位置に戻る移動としてもよく、ある方向への移動と他の方向への移動とを組み合わせて同じ位置に戻る移動としてもよい。後者の場合、当該ある方向への移動を、単票型の一被記録媒体への記録に伴う移動とし、かつ、当該他の方向への移動を、一の被記録媒体への記録を終えて次の被記録媒体へ記録を行うための移動とする形態が挙げられる。
なお、シリアルプリンタの場合、上記のある方向への移動は副走査に相当する。また、ヘッドに対して相対的になされる支持体の移動は、ヘッドに対する支持体の相対的な移動であればよく、支持体に対してヘッドが移動するような移動も含む。
支持体の材質としては、特に限定されないが、例えば、金属、樹脂、及びゴムが挙げられる。この中でも金属が好ましい。当該材質が金属であることにより、ゴム等の高分子材料である場合と異なり、支持体を長期間使用しても、熱による劣化と思われるヒビ割れが生じず、長期使用が可能となる。当該金属としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、ステンレス、銅、及び鉄、並びにこれらの合金が挙げられる。さらに、金属製の支持体の表面、即ち被記録媒体Sの搬送面をコーティング剤などで塗装してもよい。これにより、塗装しない支持体よりも、支持体表面の硬度を向上させることができ、かつ、被記録媒体との間で滑りにくくすることができる。当該コーティング剤としては、特に限定されない、例えば、樹脂などの有機系コーティング剤及び無機化合物などの無機系コーティング剤、並びにこれらの複合コーティング剤が挙げられる。なお、以上の支持体に関する事項は、ラインプリンタに限らず、シリアルプリンタにも適用可能である。
このように、各ラインヘッドと対向する被記録媒体Sに向けてインク組成物を吐出し付着させる吐出動作により記録を行う。
図2に示すように、各ラインヘッドの搬送方向下流側には仮硬化用照射部42a、42b、42c、及び42dが配置される。各照射部は光源を備え、光源としては、特に限定されないが、例えば、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)等のLED(発光ダイオード)のような半導体光源、メタルハライド光源、又は水銀灯が挙げられる。このなかでも、波長350〜420nmの範囲にピーク波長を有する半導体光源が好ましく、波長350〜420nmの範囲にピーク波長を有するLEDがより好ましい。半導体光源を用いることにより、メタルハライド光源や水銀灯を用いる場合と比較して、記録装置の小型化及び高寿命化、並びにインクジェット記録方法の高効率化及び低コスト化が可能となる。また、ピーク波長が上記範囲内であることにより、本実施例に使用している開始剤との組み合わせで硬化性がより向上する傾向にあったり、ピーク波長が更に低波長にあるLEDと比較し安価に製造できるというメリットがある。
この記録装置を用いる照射工程においては、仮硬化用照射部42a、42b、42c、及び42dが、被記録媒体Sに向けて紫外線を照射する。また、搬送方向の更に下流側には本硬化用照射部44が配置されており、被記録媒体Sに向けて紫外線を照射する。このような記録装置は、例えば特開2010−269471号公報の図11のようにして構成することができる。
ここで、「仮硬化」とは、インク組成物の仮留め(ピニング)を意味し、より詳しくはドット間の滲みの防止やドット径の制御のために、本硬化の前に硬化させることを意味する。一般に、仮硬化における重合性化合物の重合度は、仮硬化の後で行う本硬化による重合性化合物の重合度よりも低い。また、「本硬化」とは、被記録媒体上に形成されたドットを、記録物の利用に必要な硬化状態まで硬化させることをいう。ここで、本明細書において「硬化」というときは、特に言及のない限り、上記本硬化を意味するものとする。複数回の紫外線の照射は、1パス(1走査)で行なうことが好ましい。
図1において、ブラックインクは、仮硬化用照射部42a、42b、42c、42d及び本硬化用照射部44からの紫外線を受け、シアンインクは、仮硬化用照射部42b、42c、42d及び本硬化用照射部44からの紫外線を受け、マゼンタインクは、仮硬化用照射部42c、42d及び本硬化用照射部44からの紫外線を受け、イエローインクは、仮硬化用照射部42d及び本硬化用照射部44からの紫外線を受けることになる。
ところで、ヘッドC,M,Y,Kから吐出されるUVインク(紫外線硬化型インク組成物)は、紫外線の照射によって発熱しながら硬化する。そのため、インク組成物からの熱が被記録媒体を介して搬送ドラム26に伝導して、搬送ドラム26の温度を上昇させる。このため、インク組成物を付着させる工程の継続時間が20分以上であると、回転ドラムの温度が45℃以上となることがある。この場合、常温でのインク組成物の粘度が最適値になるように調製されていたとしても、搬送ドラム26の熱によりインク組成物の温度が上昇して、その粘度が低下することになる。後述するように、インク組成物の粘度が6mPa・s未満に低下すると、硬化シワが発生するという不具合が生じる。そこで、プリンタ1は、搬送ドラム26を冷却するために、搬送ドラム26の中空部を通過する気流を生成する4つの送風ファン61を含む冷却ユニット(冷却装置)50を備える。
図3は、図1に示したインクジェット装置の概略構成を部分的に例示した前方斜視図である。図3では、プリンタの内部構成が示されるとともに、ヘッドユニット30や被記録媒体S等の装置各部の記載が省略されている。
図3から明らかなように、プリンタ1では、被記録媒体Sへの画像形成を行う印刷空間Raと、Y方向の後側(− Y側)で印刷空間Raに隣接する流路空間Rbと、Y方向の後側(−Y側)で流路空間Rbに隣接する作業空間Rcとが設けられている。そして、冷却ユニット50は、図1に示した各構成(搬送ドラム26等)が配備された印刷空間RaをY方向に抜ける気流を、流路空間Rbを介して排出するものである。具体的には、冷却ユニット50は、搬送ドラム26に対して軸方向Yの前側(+Y側)に設けられた4個の送風ファン61と、搬送ドラム26に対して軸方向Yの後側(− Y側)に設けられた6個の排気ファン(不図示)とを有する。
各送風ファン61は、搬送ドラム26の軸方向Yを向いて、中空部に対向する。ハウジング部材には、軸方向Yの前側(+Y側)から中空部に対向するルーバー11が形成されており、各送風ファン61は、ルーバー11を介して装置1外部から取り入れた空気を搬送ドラム26の中空部に送風する。これら4個の送風ファン61のうち、真ん中の2個の送風ファン61は、両端の2個の送風ファン61よりも下方にずらして配置されている。こうして、中空部の形状に応じて4個の送風ファン61を配置することで、中空部に効率的に送風することが可能となっている。
各排気ファン(不図示)は、搬送ドラム26の中空部から吸い込んだ空気を、流路空間Rbを介してプリンタ1外部に排出する。例えば、プリンタ1には、水平方向Xにおける流路空間Rbの両端に対応する箇所にルーバー12が設けられており、各排気ファンが吐き出した空気は、ルーバー12を介してプリンタ1外部へ出る。
このように送風ファン61および排気ファン(不図示)を有する冷却ユニット50が設けられている。そのため、プリンタ1内部では、搬送ドラム26の中空部を軸方向Yに抜けて流路空間Rbに空気が流れ込む気流と、搬送ドラム26から流路空間Rbに流れ込んだ空気が水平方向Xへ向いて排出される気流とが生成される。つまり、プリンタ1外部から取り込まれた空気は、気流に沿って軸方向Yへ移動した後に、気流に沿って水平方向Xへ移動して、プリンタ1外部へ出る。この際、水平方向Xへ向く排気ファン63が気流の先に配置されていることから、気流から気流への気流の切り換えがスムーズに実行される。このように、排気ファン(不図示)は、搬送ドラム26の中空部から空気を排気するだけでなく、気流を切り換える気流切換ファンとしても機能している。
なお、本実施形態では、冷却ユニット50が、搬送ドラム26の内側から搬送ドラム26を冷却する例を示したが、冷却ユニット50は、搬送ドラム26の外側から被記録媒体Sに気流を当てて被記録媒体Sを冷却する構造であってもよい。また、本実施形態では、冷却ユニット50が気体冷却型の例を示したが、冷却媒体として液体を用いる液体冷却型であってもよい。また、冷却ユニット50は、気体冷却型と液体冷却型の併用型であってもよい。ただし、冷却装置を簡単にできる点で気体冷却型の方が好ましい。
〔紫外線硬化型インク組成物〕
次に、本実施形態のインクジェット記録方法に用いる紫外線硬化型インク組成物について説明する。紫外線硬化型インク組成物は、3官能以上の重合性化合物を含有しないものであるか、3官能以上の重合性化合物を含有する場合、3官能以上の重合体化合物の含有量が20質量%以下である。
(3官能以上の重合性化合物)
3官能以上の重合性化合物を用いることにより、硬化性及び耐ブリード性が向上し、さらにタック性が低下し、シワの発生がより抑制される。その反面、より架橋性が高いため、保存安定性が悪く、吐出異常をもたらすおそれがあるが、本実施形態では、3官能以上の重合性化合物の量を少なくしても硬化シワを抑制できる。
3官能以上の重合性化合物としては、特に限定されないが、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
3官能以上の重合性化合物の含有量は、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の総量に対して、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。3官能以上の重合性化合物の含有量が20質量%以下であることにより、保存安定性がより向上する。また、3官能以上の重合性化合物を含まなくてもよい。ただし、3官能以上の重合性化合物の含有量が1質量%以上であることにより、硬化性及び耐ブリード性が向上し、さらにタック性が低下し、シワの発生がより抑制される傾向にある。3官能以上の重合性化合物の中でも、4官能以上の重合性化合物が好ましく、5官能以上の重合性化合物がより好ましく、6官能以上の重合性化合物がさらに好ましく、また、10官能以下の重合性化合物が好ましい。これらの場合、上記の傾向の点でより好ましい。3官能以上の重合性化合物は、(メタ)アクリレート基数として3官能以上の重合性化合物が上記の傾向の点でより好ましい。
(2官能以下の重合性化合物)
インク組成物は、ビニルエーテル基、ビニル基、(メタ)アクリレート基などの重合性官能基を有する2官能以下の重合性化合物を含んでもよい。当該重合性化合物としては、特に限定されないが、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトール骨格若しくはジペンタエリスリトール骨格を有する1又は2官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。
2官能以下の重合性化合物の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下である。2官能以下の重合性化合物の含有量が90質量%以下であることにより、硬化性及び耐ブリード性が向上し、さらにタック性が低下し、シワの発生がより抑制される傾向にある。また、2官能以下の重合性化合物の含有量の下限は、インク組成物の総量に対して、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上である。2官能以下の重合性化合物の含有量が40質量%以上であることにより、インクの低粘度化、開始剤の溶解性などの点で優れる傾向にある。また、2官能以下の重合性化合物の中でも、少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を有する重合性化合物が好ましく、当該重合性化合物として、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、1つの(メタ)アクリレート基と1つのビニルエーテル基を有する重合性化合物などの少なくともいずれかが挙げられる。これらを含む場合、上記の傾向の点で好ましい。
(光重合開始剤)
インク組成物に含まれる重合開始剤は、紫外線などの光のエネルギーによって、ラジカルやカチオンのような活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、ラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤を使用することができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、芳香族ケトン類、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオフェニル基含有化合物など)、α−アミノアルキルフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドが挙げられる。このようなアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は酸素阻害を受けやすいが、長波長光のLEDを用いた場合の硬化に適する。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、Irgacure 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)、Darocur TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド)が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、及びクロロチオキサントンからなる群より選ばれた1種以上を含むことが好ましい。なお、特に限定されないが、ジエチルチオキサントンとしては2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンとしては2−イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントンとしては2クロロチオキサントンが好ましい。このようなチオキサントン系光重合開始剤を含むインク組成物であれば、表面タック性を低減でき、特に、酸素阻害を受けやすい薄膜時においてインク表面を硬化させドット間の混色、滲みを防止することができる上、硬化性、保存安定性、及び吐出安定性により優れる傾向にある。このなかでも、ジエチルチオキサントンを含むチオキサントン系光重合開始剤が好ましい。ジエチルチオキサントンを含むことにより、幅広い領域の紫外光(UV光)をより効率良く活性種に変換できる傾向にある。また、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤を組み合わせることにより、UV−LEDによる硬化プロセスにより優れ、インク組成物の硬化性、密着性が一層優れる傾向にある。
チオキサントン系光重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、Speedcure DETX(2,4−ジエチルチオキサントン)、Speedcure ITX(2−イソプロピルチオキサントン)(以上、Lambson社製)、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)が挙げられる。
その他の光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、Irgacure 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、Irgacure 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、Irgacure 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、Irgacure 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン}、Irgacure 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、Irgacure 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、Irgacure 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、Irgacure 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、Irgacure OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、Irgacure OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、Irgacure 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、BASF社製)、Speedcure TPO(以上、Lambson社製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)が挙げられる。
その他の光カチオン重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、スルホニウム塩、ヨードニウム塩が挙げられる。
光カチオン重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、Irgacure250、Irgacure270が挙げられる。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の総量に対して、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。光重合開始剤の含有量が15質量%以下であることにより、吐出安定性、クリーニング復帰性がより向上する傾向にある。また、光重合開始剤の含有量の下限は、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の総量に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上である。光重合開始剤の含有量が1質量%以上であることにより、硬化性がより向上する傾向にある。特に、光重合開始剤は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を上記の範囲の含有量含むと上記の傾向の点で好ましい。
(色材)
色材としては、特に限定されないが、例えば、顔料及び染料が挙げられる。
無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンが挙げられる。
有機顔料としては、特に限定されないが、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。
顔料は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
顔料の含有量は、0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。顔料の含有量が上記範囲内であることにより、発色性により優れる傾向にある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
染料の含有量は、優れた隠蔽性及び色再現性が得られるため、インク組成物100質量%に対して、1〜20質量%が好ましい。
(その他の成分)
本実施形態で用いるインク組成物は、その保存安定性及びヘッドからの吐出安定性を良好に維持するため、目詰まり改善のため、又はインク組成物の劣化を防止するため、分散剤、界面活性剤、浸透剤、保湿剤、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、上記以外の重合禁止剤(例えばp−メトキシフェノール)、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤のような種々の添加剤を適宜添加することもできる。
(紫外線硬化型インクの粘度)
本実施形態に係るインク組成物は、少なくとも、45℃以下における粘度が6mPa・s以上である。45℃以下における粘度が6mPa・s以上であることにより、冷却装置により被記録媒体の温度を45℃以下に制御することにより、当該被記録媒体に付着した紫外線硬化型インクの粘度も6mPa・s以上となり、硬化シワの発生を効果的に抑制することができる。また、本実施形態に係るインク組成物は、吐出ヘッドにより吐出される際の紫外線硬化型組成物の粘度が15mPa・s以下であることが好ましい。吐出ヘッドにより吐出される際の紫外線硬化型組成物の粘度が15mPa・s以下であることにより、連続印刷における吐出安定性を確保することができる。
硬化シワが発生する原理は次のように推測されるが、本発明の範囲は以下の推測によって何ら限定されることはない。硬化シワは、インクの塗膜において、塗膜表面が先に硬化した後、塗膜内部が塗膜表面よりも遅れて硬化する際に、先に硬化した塗膜表面が変形したり、後から硬化するまでの間に塗膜内部のインクが不規則に流動したりすることなどにより、発生すると推測される。特に、紫外線硬化型インクを1回の紫外線照射で硬化させずに、複数回紫外線を照射する硬化方法において硬化シワが発生しやすくなる。また、粘度が低い紫外線硬化型インクは、流動性が高いことだけでなく、硬化に伴う重合収縮率(所定の質量を有する硬化前のインクの体積に対する、当該インクの体積と硬化後の当該インク(硬化物)の体積との差)が大きい傾向が見られ、このため硬化シワの発生が顕著であると推測される。また、後述する単官能の(メタ)アクリレート、中でも後述の一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを含有する紫外線硬化型インクは、硬化シワが発生しやすい傾向が見られ、特に、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを含有し、かつ、粘度が低い紫外線硬化型インクは、硬化シワの発生が顕著であると推測される。本実施形態のインクジェット記録方法に用いられる紫外線硬化型インクは、これらを含有する場合でも、粘度を上記の範囲とすることにより、硬化シワの発生を効果的に抑制することができる。なお、本明細書における粘度は、後述の実施例で行った方法により測定された値を採用することができる。
ここで、インクの粘度を所望の範囲とするための、インクの設計方法の一例を説明する。
インクに含まれる重合性化合物全体の混合粘度は、使用する各重合性化合物の粘度と、当該各重合性化合物のインク組成物に対する質量比と、から推算することができる。
インクが、重合性化合物A,B…(途中省略)…,NというN種類の重合性化合物を含むと仮定する。重合性化合物Aの粘度をVAとし、インク中の重合性化合物全量に対する重合性化合物Aの質量比をMAとする。重合性化合物Bの粘度をVBとし、インク中の重合性化合物全量に対する重合性化合物Bの質量比をMBとする。同様にN番目の重合性化合物Nの粘度をVNとし、インク中の重合性化合物全量に対する重合性化合物Nの質量比をMNとする。確認的に示すと、「MA+MB+…(途中省略)…+MN=1」という数式が成り立つ。また、インクに含まれる重合性化合物全体の混合粘度をVXとする。そうすると、下記の数式(1)を満たすと仮定する。
MA×LogVA+MB×LogVB+…(途中省略)…+MN×LogVN=LogVX ・・・(1)
なお、例えば重合性化合物がインクに2種含まれる場合には、MBよりも後の重合性化合物の質量比をゼロとする。重合性化合物の種類数は1種以上の任意の数とすることができる。
次に、インク粘度を所望の範囲とするための手順(ステップ1〜7)の一例を説明する。
まず、使用する各重合性化合物の所定温度における粘度の情報を入手する(ステップ1)。入手方法としては、メーカーカタログなどから入手したり、各重合性化合物の所定温度における粘度を測定したりすることなどが挙げられる。重合性化合物単体の粘度は、同じ重合性化合物であってもメーカーにより異なることがあるので、使用する重合性化合物の製造メーカーによる粘度情報を採用するとよい。
続いて、VXに目標粘度を設定し、上記の数式(1)に基づきVXが目標粘度となるよう各重合性化合物の組成比(質量比)を決める(ステップ2)。目標粘度は、最終的に得たいインク組成物の粘度であり、例えば15〜25mPa・sの範囲のうちのある粘度とする。所定温度は20℃とする。
続いて、実際に重合性化合物を混合して重合性化合物の組成物(以下、「重合性組成物」という。)を調製し、所定温度における粘度を測定する(ステップ3)。
続いて、重合性組成物の粘度が上記の目標粘度に凡そ近い場合(本ステップ4では、「目標粘度±5mPa・s」になっていればよい。)、当該重合性組成物と、光重合開始剤や顔料など重合性化合物以外の成分(以下、「重合性化合物以外の成分」と言う)と、を含むインク組成物を調製し、当該インク組成物の粘度を測定する(ステップ4)。当該ステップ4において、重合性化合物以外の成分であって、例えば顔料のように顔料分散液の形態でインク組成物に混合する成分がある場合、顔料分散液に予め含まれている重合性化合物もインク組成物に持ち込まれてしまうため、ステップ2で決めた各重合性化合物の組成比から、顔料分散液としてインク組成物に持ち込まれてしまう重合性化合物の質量比を差し引いた質量比で、インク組成物を調整する必要がある。
続いて、上記インク組成物の測定粘度と上記重合性組成物の測定粘度との差を算出し、これをVYとする(ステップ5)。ここで、通常「VY>0」となる。VYは、重合性化合物以外の成分の種類や含有量などの含有条件によるが、後記の実施例においては、VY=3〜5mPa・sであった。
続いて、VXに「ステップ2の目標粘度−VY」を定め、上記の数式(1)から、VXが前記で定めた「ステップ2の目標粘度−VY」となるよう各重合性化合物の組成比を再度決める(ステップ6)。
続いて、ステップ6で決めた組成比の各重合性化合物と重合性化合物以外の成分とを混合してインク組成物を調製し、所定温度における粘度を測定する(ステップ7)。測定した粘度が目標粘度になっていれば、ステップ7で調整したインク組成物が、目標粘度を有するインク組成物として得られたことになる。
一方、ステップ3において、調製した重合性化合物の組成物の測定粘度が「目標粘度±5mPa・s」の範囲に入っていない場合、以下の微調整を行った上で、ステップ3から再度行う。まず、上記測定粘度が高すぎる場合、単体としての粘度が目標粘度よりも高い重合性化合物の含有量を減らし、かつ、単体としての粘度が目標粘度よりも低い重合性化合物の含有量を増やすといった微調整を行う。一方、上記測定粘度が低すぎる場合、単体としての粘度が目標粘度よりも低い重合性化合物の含有量を減らし、かつ、単体としての粘度が目標粘度よりも高い重合性化合物の含有量を増やすといった微調整を行う。また、ステップ7で、調製したインク組成物の測定粘度が目標粘度になっていない場合、上記の微調整と同様の調整を行った上で、ステップ7から再度行う。
(紫外線硬化型インクの平均重合性不飽和二重結合当量)
上記紫外線硬化型インクは、好ましくは、その平均重合性不飽和二重結合当量が50以上200以下であり、より好ましくは120以上150以下であることを特徴とする。平均重合性不飽和二重結合当量が上記の下限値以上であると、硬化に起因して発生する反応熱量を少なく抑えられるため、連続印刷後の温度上昇を抑制でき、かつ、保存安定性が優れたものとなる。また、平均重合性不飽和二重結合当量が上記の上限値以下であると、硬化性が優れたものとなる。
ここで、本明細書における「平均重合性不飽和二重結合当量」とは、重合性の不飽和二重結合の平均当量と換言することができる。当該重合性不飽和二重結合を有する化合物は、重合性不飽和二重結合を備えた重合性官能基を有する化合物ということもでき、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート化合物、ビニル化合物、ビニルエーテル化合物、及びアリル化合物が挙げられる。上記の重合性不飽和二重結合を有する化合物は、重合性官能基を1個以上有する化合物であればよく、重合性官能基を2個以上有する場合には、同じ種類の重合性官能基であってもよく異なる種類の重合性官能基であってもよい。また、上記の各化合物は、上記の重合性官能基以外の構造から、芳香環骨格を有する重合性化合物、環状又は直鎖状の脂肪族骨格を有する重合性化合物、複素環骨格を有する重合性化合物などに分類することもできる。
本明細書において、紫外線硬化型インクの平均重合性不飽和二重結合当量は以下のようにして求めることができる。まず、インクに含まれる重合性化合物ごとに、重合性化合物の重合性不飽和二重結合当量を、下記数式(2)により算出する。
重合性化合物の重合性不飽和二重結合当量=重合性化合物の分子量/重合性化合物の分子中に含まれる重合性不飽和二重結合数 ・・・(2)
上記数式(2)中、重合性化合物の分子量や重合性不飽和二重結合数は、メーカーカタログの値や化学構造式から算出した値を採用することができる。
次に、インクの平均重合性不飽和二重結合当量を下記数式(3)により算出する。
インクの平均重合性不飽和二重結合当量=(重合性化合物Aの重合性不飽和二重結合当量×重合性化合物Aのインク中の含有量+重合性化合物Bの重合性不飽和二重結合当量×重合性化合物Bのインク中の含有量+・・+重合性化合物nの重合性不飽和二重結合当量×重合性化合物nのインク中の含有量)/(重合性化合物Aのインク中の含有量+重合性化合物Bのインク中の含有量+・・+重合性化合物nのインク中の含有量) ・・・(3)
上記数式(3)は、インクがn種類の重合性化合物を含むと仮定したときの式であり、当該「n」は1以上の任意の整数とする。上記数式(3)中、「含有量」はインクの総質量に対する質量%を表す。
インクの平均重合性不飽和二重結合当量が小さいほど、当該インクは重合性不飽和二重結合をより多く有しており、当該インクの重合に伴い発生する反応熱量がより大きくなる。一方、インクの平均重合性不飽和二重結合当量が大きいほど、当該インク中の重合性不飽和二重結合がより少なく、当該インクの重合に伴い発生する反応熱量はより小さくなる。
〔被記録媒体〕
被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。インクジェット記録方法は、水溶性インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、当該インク組成物を非吸収性の被記録媒体に適用した場合は、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設けること等が必要となる場合がある。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インクの浸透性が高い電子写真用紙のような普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。
〔インクジェット方法〕
次に、本実施形態に係るインクジェット方法について説明する。本実施形態に係るインクジェット方法は、被記録媒体S(被付着体)を冷却装置により冷却する冷却工程と、冷却ユニット50により表面温度が45℃以下となっている被記録媒体Sに対して、吐出ヘッドによりインク組成物(紫外線硬化型組成物)を吐出して被記録媒体Sへ付着させる工程と、被記録媒体Sに付着したインク組成物へ紫外線を照射して、インク組成物を硬化させる工程と、を備え、紫外線の照射を受ける際の、被記録媒体Sに付着したインク組成物の被記録媒体Sの粘度が6mPa・s以上である。紫外線の照射を受ける際の、被記録媒体Sに付着したインク組成物の粘度は、紫外線の照射を受ける直前の紫外線の照射を未だ受けていないインク組成物の粘度である。インク組成物の温度は、被記録媒体Sに付着した後、迅速に被記録媒体Sの表面温度になることから、本実施形態においては、紫外線の照射を受ける際の、被記録媒体Sに付着したインク組成物の粘度のことを、紫外線の照射を受ける際の、被記録媒体Sに付着したインク組成物の被記録媒体Sの表面温度におけるインク組成物の粘度であるとも言うことができる。よって、以下、紫外線の照射を受ける際の、被記録媒体Sに付着した紫外線硬化型インク組成物の粘度を、紫外線の照射を受ける際の、被記録媒体Sに付着した紫外線硬化型インク組成物の被記録媒体Sの表面温度における粘度ともいう。
〔冷却制御〕
上述したように、本実施形態に係るインクジェット方法では、冷却ユニット50により被記録媒体の表面温度を45℃以下に制御する冷却工程を備える。特に、1回目の紫外線照射、すなわち、仮硬化用照射部42aにより紫外線が照射される際の被記録媒体の表面温度を45℃以下に制御することが好ましい。後述するように、硬化シワを抑制する観点からは、1回目の紫外線照射の際に付着したインク組成物の温度及び粘度を制御することが重要であるからである。被記録媒体Sの表面温度の制御は、検出器群110が温度センサを備え、コントローラー120が、温度センサからの温度結果に基づいて冷却ユニット50を制御することにより行われる。具体的には、コントローラー120が、温度センサからの温度結果に基づいて冷却ユニット50を構成する送風ファン及び排気ファンの回転数を制御する。
〔付着工程〕
付着工程は、上記インク組成物を、ノズルより吐出し、被記録媒体に付着させる工程である。本実施形態に係るインクジェット方法は、紫外線硬化型インクを所定範囲の吐出温度でヘッドから被記録媒体に向けて吐出するものである。そして、当該吐出温度は35℃以上であることが好ましく、35℃以上45℃以下であることがさらに好ましい。
上記の33〜45℃という温度は、加温により昇温させた温度としては比較的低温である。このように、吐出されるインクの温度(吐出温度)が比較的低温であると、温度のばらつきが殆どないことからインクの吐出安定性が良好なものとなるという有利な効果が得られる。
ここで、本明細書における吐出温度は、次の方法により測定した値を採用するものとする。ヘッドに設けられたノズルプレートのノズル面に設けた熱電対の温度を印刷開始前に測定し、これを吐出温度とする。ただし、当該方法は本発明が採り得る吐出温度の測定方法を何ら限定するものではない。なお、インクを収容したインクカートリッジからヘッドへインクを供給する経路にインク加温装置を配置し、インク加温装置で加温したインクをヘッドに供給することにより、インクを所定の吐出温度とすることができる。
以下、上記の吐出温度についてより具体的に説明する。当該温度が35℃以上であると、吐出安定性が優れたものとなる。これに加えて、35℃未満で吐出可能な紫外線硬化型インクは粘度が非常に低いが、この低粘度に起因して硬化シワが発生しやすくなるという問題が生じる。これに対し、本実施形態におけるインクは当該問題を回避することができる。一方、上記の吐出温度が45℃以下であると、記録装置内の温度上昇を抑制することができる。
上記の問題は特に、プリンターの方式がラインプリンターである場合、及び光源が発光ダイオード(LED)である場合に、顕著である。そのため、本実施形態においてラインプリンターやLEDを用いる場合、特に大きな効果がもたらされる。ラインプリンタでは、付着工程において、被記録媒体の記録幅以上の長さのノズル列幅を有するインクジェットヘッドを、被記録媒体に対して相対的に1回だけ走査させる。すなわち、ラインプリンタでは、1パス印刷により記録が行われる。隣接画素のドットを別々のパスで付着させ、かつ、パス毎に紫外線の照射を行うシリアルプリンタよりも、1パスで全てのドットを付着させ紫外線を照射するラインプリンタ(1パス印刷)の方が、厚く打ち込んだ層を一気に硬化する為に硬化シワが発生しやすい傾向にある。そのため、ラインプリンタを用いて行うインクジェット記録方法において、本発明が特に有用となる。
また、紫外線硬化型インクは、上述したように、通常のインクジェット用インクで使用される水性インクよりも粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。このようなインクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。そのため、吐出されるインクの温度(吐出温度)はできるだけ一定に保つことが好ましい。本実施形態におけるインクは、吐出温度が比較的低温であるとともに、加温による温度調節により、吐出温度をほぼ一定に保つことができる。したがって、本実施形態におけるインクは、画質安定性にも優れている。
本実施形態に係るインクジェット方法において、付着工程の継続時間が20分以上の場合に特に硬化を発揮する。継続時間とは、1ジョブの継続時間をいう。インクの吐出自体は画像に応じて連続又は断続である。継続時間は、1枚の被記録媒体を記録する場合に限らず、順次、被記録媒体に記録する場合は複数枚の被記録媒体への全体の記録時間をいう。好ましくは、付着工程時間は、30分以上、さらに好ましくは40分以上100分以下であり、さらに好ましくは40分以上70分以下である。付着工程の継続時間が長ければ長いほど、冷却装置がない場合において搬送ドラム26の温度が上昇し、硬化シワが発生しやすくなる。本実施形態では、継続時間(印刷時間)が長くても、搬送ドラム26の温度を一定に制御することができ、硬化シワの発生を抑制することができる。
〔硬化工程〕
硬化工程は、被記録媒体に付着した上記インク組成物に対して、光出射部から紫外線を照射することによって、インク組成物を硬化させる工程である。被記録媒体に付着したインク組成物に対して、光源から紫外線(光)が照射されることによって、そのインク組成物は硬化する。照射工程において、インク組成物に含まれる光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基のような開始種を発生し、重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進される。あるいは照射工程において、紫外線の照射により重合性化合物の重合反応が開始する。
硬化工程は、被記録媒体Sへ付着したインク組成物を仮硬化させる紫外線照射工程と、仮硬化したインク組成物をさらに硬化させるための少なくとも1回の追加の紫外線照射工程とを有する。そして、好ましくは、仮硬化のための1回目の紫外線照射を受ける際の、被記録媒体Sに付着したインク組成物の粘度が6mPa・s以上である。
図1に示すプリンタ1の場合、仮硬化用照射部42aにより紫外線照射を受ける際の、被記録媒体Sに付着したブラックインクの粘度が6mPa・s以上であり、仮硬化用照射部42bにより紫外線照射を受ける際の、被記録媒体Sに付着したシアンインクの粘度が6mPa・s以上であり、仮硬化用照射部42cにより紫外線照射を受ける際の、被記録媒体Sに付着したマゼンタインクの粘度が6mPa・s以上であり、仮硬化用照射部42dにより紫外線照射を受ける際の、被記録媒体Sに付着したイエローインクの粘度が6mPa・s以上である。このように、仮硬化のための1回目の紫外線照射を受ける際のインクの粘度の下限値を制御することにより、硬化シワの発生を抑制することができる。
仮硬化のための1回目の紫外線の照射エネルギーが、2回目以降の紫外線照射の合計の照射エネルギーの1/12〜1/20の範囲であることが好ましい。紫外線照射エネルギーが上記範囲内であることにより、表面硬化性により優れ、ブリードがより抑制される傾向にある。
具体的には、図1において、ブラックインクを基準にした場合には、仮硬化用照射部42aが1回目の紫外線照射に相当し、仮硬化用照射部42b、42c、42d及び本硬化用照射部44が2回目以降の紫外線照射に相当する。シアンインクを基準にした場合には、仮硬化用照射部42bが1回目の紫外線照射に相当し、仮硬化用照射部42c、42d及び本硬化用照射部44が2回目以降の紫外線照射に相当する。マゼンタインクを基準にした場合には、仮硬化用照射部42cが1回目の紫外線照射に相当し、仮硬化用照射部42d及び本硬化用照射部44が2回目以降の紫外線照射に相当する。イエローインクを基準にした場合には、仮硬化用照射部42dが1回目の紫外線照射に相当し、本硬化用照射部44が2回目以降の紫外線照射に相当する。ブラック、シアン、マゼンタ、イエローインクに対して、仮硬化のための1回目の紫外線の照射エネルギーが、2回目以降の紫外線照射の合計の照射エネルギーの1/12〜1/20の範囲に設定されることで、すべてのインクについて表面硬化性及びブリード抑制向上硬化を発揮することができる。
仮硬化用照射部42a、42b、42c、42d及び本硬化用照射部44における紫外線照射エネルギーの総量の下限は、好ましくは100mJ/cm以上であり、より好ましくは200mJ/cm以上である。また、仮硬化用照射部42a、42b、42c、42d及び本硬化用照射部44における紫外線照射エネルギーの総量の上限は、好ましくは1500mJ/cm以下であり、より好ましくは1400mJ/cm以下であり、さらにより好ましくは1000mJ/cm以下であり、よりさらに好ましくは800mJ/cm以下であり、もっとも好ましくは600mJ/cm以下である。仮硬化用照射部42a、42b、42c、42d及び本硬化用照射部44における紫外線照射エネルギーの総量が上記範囲内であることにより、タックを抑制し、内部硬化性をより向上できる傾向にある。
このように、本実施形態によれば、硬化性、吐出安定性、及び連続印刷後の記録装置内における温度上昇の抑制のいずれにも優れ、さらに硬化シワの発生も抑制することのできるインクジェット記録方法を提供することができる。さらに言えば、本実施形態の記録方法は、低粘度の紫外線硬化型インクを用いる場合であっても、優れた硬化性及び吐出安定性を確保しつつ、連続印刷後の記録装置内における温度上昇の抑制に優れるものである。
なお、本実施形態及び実施例では、本発明のインクジェット方法及びインクジェット装置の例としてインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置の例を説明したが、本発明は例えば3次元プリンタにも適用可能である。このため、本発明は、記録物を生成する以外にもあらゆる硬化物の作製に適用可能である。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[使用材料]
実施例及び比較例において使用した材料は、下記に示すとおりである。
〔重合性化合物〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社(Nippon Shokubai Co., Ltd.)製商品名、単官能の(メタ)アクリレート)
・ニューフロンティアPHE(フェノキシエチルアクリレート、第一工業製薬社(Dai-ichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd.)製商品名、単官能の(メタ)アクリレート、以下「PEA」と記載した。)
・APG−100(ジプロピレングリコールジアクリレート、新中村化学工業社製商品名、2官能の(メタ)アクリレート、以下「DPGDA」と記載した。)
・A−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、6官能の(メタ)アクリレート、新中村化学社(SHIN-NAKAMURA CHEMICAL CO.、LTD.)製商品名)
〔光重合開始剤〕
・DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、BASF社製商品名、以下「TPO」と記載した。)
・IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、BASF社製商品名、以下「819」と記載した。)
〔色材〕
・カーボンブラック
〔分散剤〕
・Solsperse 36000(アビシア(Lubrizol社製商品名、以下「36000」と記載した。)
[紫外線硬化型インク1〜12の調製]
下記表1に記載の各材料を、表1に記載の含有量(単位:質量%)となるように添加し、これを高速水冷式撹拌機で撹拌することにより、紫外線硬化型インク1〜12を得た。なお、各インクの粘度は、上述の粘度設計手法に従って所望の値とした。
[インクの特性の分類]
(平均重合性不飽和二重結合当量)
インクの平均重合性不飽和二重結合当量を上述の数式(2)及び(3)により算出した。算出結果を下記表1に示す。
(インク粘度)
Physica MCR−100(Anton Paar社製)を用いて、上記で調製した各インクの20℃での粘度を測定した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表1に示す。
1:15mPa・s未満
2:15mPa・s以上25mPa・s未満
3:25mPa・s以上
(インクの硬化性)
PETフィルム(PET50(K2411)PA−T1 8LK〔商品名〕、リンテック社(Lintec Corporation)製)上に、バーコーターを用いて上記で調製した各インクを塗布し、膜厚10μmの塗膜をそれぞれ得た。そして、紫外線照射装置(UV−LED)から、照射強度が1,000mW/cmであり、且つピーク波長が395nmである紫外線を所定時間照射して上記の各塗膜を硬化させた。硬化した塗膜(硬化膜)を、綿棒を用いて100g加重で10回擦り、傷が付かなくなる時点の硬化エネルギー(照射エネルギー)を求めた。
評価は、硬化の際に要した紫外線の照射エネルギーを算出することにより行った。照射エネルギー[mJ/cm]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。照射強度の測定は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING,INC.)製)を用いて行った。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表1に示す。
A:積算光量200mJ/cm以下の照射エネルギーで硬化した。
B:積算光量200mJ/cmを超える照射エネルギーで硬化した。
(インクの保存安定性)
インク粘度を測定した各インクを50mL容のガラス瓶に入れ、密栓した後に60℃1週間の恒温槽内に投入した。その後、室温まで温度を下げた各インクについて、上記と同様の方法で粘度測定した。そして、保存前後の増粘率(保存前のインクの粘度に対する保存後のインクの粘度の割合)により、保存安定性を評価した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表1に示す。
A:増粘率5%未満
B:増粘率5%以上10%以下
C:増粘率10%超
Figure 0006319625
上述した特性をもつインク組成物を用いて、実施例及び比較例の方法によって、印刷物を作製した。以下、各実施例及び各比較例における記録方法について説明する。
各実施例及び比較例において、図2に示す、被記録媒体の画像が記録されるべき幅(被記録幅)にほぼ相当する長さを有するラインヘッドを備えるラインプリンターを使用した。なお、図2に示すヘッド及び光源のうち、ヘッドK、光源42a、及び光源44を使用し、その他のものは使用しなかった。光源42aとして、ピーク波長395nm及び照射ピーク強度500mW/cmのLEDを用いた。また、光源44として、ピーク波長395nm及び照射ピーク強度1,500mW/cmのLEDを用いた。搬送ドラム26はアルミニウム製とし、搬送ドラム26の直径を500mm、印刷速度を285mm/s、ドラム回転周期を5.5sとした。
各実施例及び比較例において、20分間連続印刷を行った。ドラム上を搬送されるロール状記録媒体(PETフィルム)に全ノズルから連続吐出した。ヘッドのノズル密度は720dpiである。形成したパターンは記録解像度720×720dpiとした。1パターンは5×5cmの大きさの正方形とし5mmの余白を挟んで横方向及び縦方向にパターンを並べて形成した。被記録媒体は、TORAY製ルミラーS10でその厚みは100μmである。なお、参考例は、連続印刷の継続時間を10分としたこと以外は比較例2と同じ条件で行ったものである。参考例は、冷却機構を備えずに、記録媒体温度を45℃以下に保つ為に10分毎に停止し自然冷却をした。
各実施例及び比較例の印刷において異なる点は、使用したインク組成物の組成と、平均重合性不飽和二重結合当量と、吐出時のインク加温温度と、被記録媒体上でのインク組成物の粘度と、ピニングエネルギー(仮硬化のための照射エネルギー)と、本硬化エネルギーである。表1において、これらの印刷条件を下記に示すように分類した。また、実施例1〜13についてはドラム冷却機構を作動させ、比較例1〜7については比較例7を除きドラム冷却機構を作動させずに印刷を行った。
(実施例及び比較例の印刷条件)
・インク粘度ランク(被記録媒体温度)
1: 10mPa・s以上 2:6mPa・s以上10mPa・s未満 3:6mPa・s未満
・平均重合性不飽和二重結合当量ランク
1:100未満 2:100以下150以下 3:150超

・インク加温温度
1:35℃未満 2:35℃以上40℃未満 3:40℃以上

・本硬化エネルギー
A:250mJ/cm2 B:300mJ/cm2

・ピニング/本硬化エネルギー比
A:1/12以上 B:1/120以上1/12未満 C:1/120未満
(印刷条件:ドラム冷却機構)
また、実施例1〜13についてはドラム冷却機構を作動させ、比較例1〜7については比較例7を除きドラム冷却機構を作動させずに印刷を行った。各実施例及び比較例において、20分間連続印刷における冷却機構の作動の状況及び被記録媒体の温度にもとづいて下記のように印刷条件をランク付けした。なお、被記録媒体温度は、後述する被記録媒体温度安定性のときと同様の条件にて測定した。
1A:ドラム冷却機構を作動させ20分連続印刷終了時の被記録媒体温度は45℃以下となっていた。(具体的には、実施例又は比較例により異なるが、39〜43℃程度であった。)
1B:1A同様に45℃以下だが45℃以下とするためにドラムに十分な風を当てるためにファンの送風の強さを1Aの例より強くする必要があった。
2:ドラム冷却機構を作動させず20分連続印刷終了時の被記録媒体温度は45℃超であった。(具体的には、50〜60℃の間であった。)
3:ドラム冷却機構を作動させず10分連続印刷終了時の被記録媒体温度は45℃以下であった。
[測定・評価項目]
実施例及び比較例のインクジェット方法において、下記項目に基づいて評価した。なお、参考例については、被記録媒体温度安定性以外の評価は10分連続印刷の条件で行った。
(被記録媒体温度安定性)
20分連続印刷終了時の記録媒体温度を測定し、20分間連続印刷の終了時の被記録媒体の表面温度を45℃以下に維持できるか否かを評価した。被記憶媒体の温度測定は、被記録媒体の記録面側の表面の温度をヘッドと対抗する位置であって被記録媒体の幅方向の中央の位置において非接触式温度計にて測定した。搬送ドラムが光源の熱および反応熱のより昇温しているため、被記録媒体はヘッドと対向する位置に搬送されてくる間にドラムの温度に昇温している状態にある。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2に示す。
○:45℃以下に維持できる
×:45℃以下に維持できない
(連続印刷安定性)
連続印刷が10分経過した時点のノズルからインク滴が正常に吐出しているか否かをパターンのドットを観察し確認した。検査は1ヘッド(ノズル数720)についておこなった。なお、参考例は10分連続印刷でのものである。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2に示す。
A:異常ノズルがない。
B:全ノズル吐出しているが飛行曲がりあるいは吐出量が少ないノズルがある。
C:不吐出ノズル有り。
(印刷物光沢性)
連続印刷における最後に形成したパターンの表面の光沢度を測定した。なお、硬化後のパターンのインク塗膜の厚さが8μmとなるような吐出量で印刷を行っている。光沢度の測定は、JIS Z 8741に基づく60°光沢度の測定とした。硬化シワが存在すると光沢度が低下することから、この光沢度により硬化シワの発生を評価した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2に示す。
A:光沢度60以上
B:光沢度50以上60未満
C:光沢度50未満
(印刷物のにじみ)
印刷物光沢度と同じ条件で作成したパターンの端部を目視で観察した。パターンの端部が直線になっておらず乱れているものをにじみありとした。
評価結果を下記の表2に示す。表2におけるランクは以下のとおりである。
A:にじみなし
B:にじみあり
(印刷物の埋まり)
印刷物光沢度と同じ条件で作成したパターンをルーペで観察した。ただしパターンのインク塗膜の厚さは5μmとなるように吐出量を調整した。
評価結果を下記の表2に示す。表2におけるランクは以下のとおりである。
A:被記録媒体の地が埋まっている。
B:埋まっていない。
Figure 0006319625
以上の結果より、冷却装置により表面温度が45℃以下となっている被記録媒体に対して紫外線硬化型組成物を吐出し、紫外線の照射を受ける際の、被記録媒体に付着した紫外線硬化型組成物の粘度が6mPa・s以上である実施例1〜13は、光沢度が高く、硬化シワを十分に抑制できることがわかる。また、実施例1〜13は、比較例に比べて、被記録媒体温度安定性、連続吐出安定性、印刷物にじみ、印刷物うまりにおいても高い評価が得られた。
実施例及び比較例の結果について付言すると以下の通りである。
実施例3では、付着時のインク組成物の粘度が低めなことから、硬化シワが一部発生し、画像の光沢度が低下したと考えられる。
実施例6の結果から、インクの平均重合性不飽和二重結合当量が低いと発熱が大きく、冷却が困難となる傾向があることがわかる。
実施例10は、被記録媒体上でのインク組成物の粘度が比較的低いことから光沢が悪化すると推測されるものの、実際の画像の光沢度の結果が良好だった理由は、用いたインク組成物が3官能モノマーを多く含むからであると考えられる。
実施例11では、実施例10と異なり3官能モノマーを多く含まないこと、付着時のインク組成物の粘度が低いことから、得られた画像の光沢は低下したことがわかる。
比較例7では、冷却装置を作動させて印刷はしているがインク組成物事態の粘度が低いことから、被記録媒体上での粘度が低くなり、その結果、画像の光沢度が低下した。
1…プリンタ、10…インク供給ユニット、11…ルーバー、12…ルーバー、20…搬送ユニット、25A…上流側ローラー、25B…下流側ローラー、26…搬送ドラム、30…ヘッドユニット、40…照射ユニット、42a…仮硬化用照射部、42b…仮硬化用照射部、42c…仮硬化用照射部、42d…仮硬化用照射部、44…本硬化用照射部、50…冷却ユニット、61…送風ファン、63…排気ファン、110…検出器群、120…コントローラー、121…インターフェース、123…メモリー、124…ユニット制御回路、130…コンピューター、Ra…印刷空間、Rb…流路空間、Rc…作業空間、S…被記録媒体。

Claims (14)

  1. 被付着体を送風手段または液体冷却型により冷却するものである冷却装置により冷却する冷却工程と、
    前記冷却装置により表面温度が45℃以下となっている前記被付着体に対して、吐出ヘッドにより紫外線硬化型組成物を吐出して被付着体へ付着させる工程と、
    前記被付着体に付着した前記紫外線硬化型組成物へ紫外線を照射して、前記紫外線硬化型組成物を硬化させる工程と、
    を備え、
    前記硬化させる工程は、
    前記付着体へ付着した前記紫外線硬化型組成物を仮硬化させる紫外線照射工程と、
    前記仮硬化した前記紫外線硬化型組成物をさらに硬化させるための少なくとも1回の追加の紫外線照射工程と、
    を有し、
    前記紫外線硬化型組成物として、20℃における粘度が25mPa・s未満である紫外線硬化型組成物を用い、
    前記仮硬化のための1回目の紫外線照射を受ける際の、前記被付着体に付着した前記紫外線硬化型組成物の前記被付着体の表面温度における粘度が6mPa・s以上である、
    インクジェット方法。
  2. 被付着体を送風手段または液体冷却型により冷却するものである冷却装置により冷却する冷却工程と、
    前記冷却装置により表面温度が45℃以下となっている前記被付着体に対して、吐出ヘッドにより紫外線硬化型組成物を吐出して被付着体へ付着させる工程と、
    前記被付着体に付着した前記紫外線硬化型組成物へ紫外線を照射して、前記紫外線硬化型組成物を硬化させる工程と、
    を備え、
    前記紫外線硬化型組成物として、20℃における粘度が25mPa・s未満である紫外線硬化型組成物を用い、
    前記吐出ヘッドにより吐出される際の前記紫外線硬化型組成物の温度が45℃以下であり、
    前記紫外線の照射を受ける際の、前記被付着体に付着した前記紫外線硬化型組成物の前記被付着体の表面温度における粘度が6mPa・s以上である、
    インクジェット方法。
  3. 前記吐出ヘッドにより吐出される際の前記紫外線硬化型組成物の温度が45℃以下である、
    請求項1に記載のインクジェット方法。
  4. 前記紫外線硬化型組成物として、20℃における粘度が15mPa・s以上25mPa・s未満である紫外線硬化型組成物を用いる、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
  5. 前記紫外線硬化型組成物は、3官能以上の重合性化合物を含有しないものであるか、3官能以上の重合性化合物を含有する場合、3官能以上の重合体化合物の含有量が20質量%以下である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット方法
  6. 前記付着させる工程の継続時間が20分以上である、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
  7. 前記吐出ヘッドにより吐出される際の前記紫外線硬化型組成物の粘度が15mPa・s以下である、
    請求項1〜のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
  8. 前記吐出ヘッドにより吐出される際の前記紫外線硬化型組成物の温度が35℃以上である、
    請求項1〜のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
  9. 前記紫外線硬化型組成物の平均重合性不飽和二重結合当量が50以上200以下である、
    請求項1〜のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
  10. 前記吐出ヘッドに対する前記被付着体の相対的な位置を移動させつつ前記吐出ヘッドから前記紫外線硬化型組成物を吐出する1回の走査により行われる、請求項1〜のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
  11. 前記硬化させる工程は、
    前記付着体へ付着した前記紫外線硬化型組成物を仮硬化させる紫外線照射工程と、
    前記仮硬化した前記紫外線硬化型組成物をさらに硬化させるための少なくとも1回の追加の紫外線照射工程と、
    を有し、
    前記仮硬化のための1回目の紫外線照射を受ける際の、前記被付着体に付着した前記紫外線硬化型組成物の前記被付着体の表面温度における粘度が6mPa・s以上である、
    請求項2〜10のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
  12. 仮硬化のための1回目の紫外線の照射エネルギーが、2回目以降の紫外線照射の合計の照射エネルギーの1/12〜1/20の範囲である、
    請求項1又は11に記載のインクジェット方法。
  13. 少なくとも仮硬化のための1回目の照射に用いる光源が350〜420nmの範囲にピーク波長を有する紫外線発光ダイオードである、
    請求項11又は12に記載のインクジェット方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のインクジェット方法を行うインクジェット装置。
JP2014066937A 2014-03-27 2014-03-27 インクジェット方法およびインクジェット装置 Active JP6319625B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014066937A JP6319625B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 インクジェット方法およびインクジェット装置
US14/669,986 US9834012B2 (en) 2014-03-27 2015-03-26 Ink jet method and ink jet apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014066937A JP6319625B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 インクジェット方法およびインクジェット装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015189045A JP2015189045A (ja) 2015-11-02
JP6319625B2 true JP6319625B2 (ja) 2018-05-09

Family

ID=54189132

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014066937A Active JP6319625B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 インクジェット方法およびインクジェット装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9834012B2 (ja)
JP (1) JP6319625B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2903344B2 (ja) 1990-03-20 1999-06-07 テクステイールマシーネンフアブリーク・ドクトル・エルンスト・フエーレル・アクチエンゲゼルシヤフト ニードルパンチ機

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10180248B2 (en) 2015-09-02 2019-01-15 ProPhotonix Limited LED lamp with sensing capabilities
JP6828283B2 (ja) * 2016-06-22 2021-02-10 セイコーエプソン株式会社 画像記録方法およびインクジェットインク組成物
JP2021035750A (ja) * 2019-08-30 2021-03-04 株式会社リコー 印刷物の製造方法、及び印刷物の製造装置
JP7500975B2 (ja) * 2020-01-23 2024-06-18 コニカミノルタ株式会社 画像形成装置および温度調整方法
US11787211B2 (en) * 2022-03-09 2023-10-17 Xerox Corporation Sheet cooling system for a printing device

Family Cites Families (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4552511B2 (ja) * 2003-08-19 2010-09-29 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 インクジェットプリンタ
EP1508452B1 (en) * 2003-08-19 2008-11-19 Konica Minolta Business Technologies, Inc. Ink jet printer
IL158571A (en) * 2003-10-23 2006-04-10 Nur Macroprinters Ltd Digital inkjet printing method and facility
JP4649872B2 (ja) * 2004-05-14 2011-03-16 コニカミノルタエムジー株式会社 インクジェット記録装置
CN101104343B (zh) * 2006-07-12 2011-05-18 兄弟工业株式会社 记录装置
JP4335955B1 (ja) 2008-05-16 2009-09-30 日立マクセル株式会社 エネルギー線硬化型インク組成物
JP5115330B2 (ja) 2008-05-22 2013-01-09 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッドおよびそれを備えた液体噴射装置
US7725050B2 (en) * 2008-09-19 2010-05-25 Xerox Corporation Heated drum assembly having a multiple speed fan for use in a printer
JP2010115791A (ja) 2008-11-11 2010-05-27 Konica Minolta Ij Technologies Inc 画像形成装置
JP2010269471A (ja) 2009-05-19 2010-12-02 Seiko Epson Corp 液体噴射装置
US8197024B2 (en) * 2009-10-29 2012-06-12 Xerox Corporation Cooler for a printer
US8236870B2 (en) * 2010-02-11 2012-08-07 Xerox Corporation Curable solid ink compositions
JP4915971B2 (ja) * 2010-03-17 2012-04-11 株式会社ミマキエンジニアリング Uv硬化型のインク使用のインクジェットプリンタ
US8617667B2 (en) * 2010-04-21 2013-12-31 Xerox Corporation Methods of leveling ink on substrates and apparatuses useful in printing
JP5659619B2 (ja) * 2010-08-19 2015-01-28 コニカミノルタ株式会社 インクジェット記録方法
EP2607433B1 (en) 2010-08-19 2020-11-11 Konica Minolta Holdings, Inc. Active ray-curable ink and active ray-curable inkjet recording method
US8628187B2 (en) 2010-09-14 2014-01-14 Xerox Corporation Methods of forming images on substrates with ink partial-curing and contact leveling and apparatuses useful in forming images on substrates
JP5720309B2 (ja) * 2011-03-03 2015-05-20 セイコーエプソン株式会社 液体噴射装置
JP5703954B2 (ja) * 2011-05-17 2015-04-22 コニカミノルタ株式会社 インクジェット記録方法
JP2013107275A (ja) * 2011-11-21 2013-06-06 Seiko Epson Corp 画像記録装置、画像記録方法
US10029483B2 (en) * 2012-04-25 2018-07-24 Seiko Epson Corporation Ink jet recording method, ultraviolet-ray curable ink, and ink jet recording apparatus
JP6135100B2 (ja) * 2012-04-25 2017-05-31 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法、インクジェット記録装置
JP6070312B2 (ja) * 2013-03-18 2017-02-01 セイコーエプソン株式会社 画像記録装置
JP6107265B2 (ja) * 2013-03-18 2017-04-05 セイコーエプソン株式会社 画像記録装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2903344B2 (ja) 1990-03-20 1999-06-07 テクステイールマシーネンフアブリーク・ドクトル・エルンスト・フエーレル・アクチエンゲゼルシヤフト ニードルパンチ機

Also Published As

Publication number Publication date
US9834012B2 (en) 2017-12-05
JP2015189045A (ja) 2015-11-02
US20150273872A1 (en) 2015-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6236768B2 (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置
JP6798943B2 (ja) インクジェット記録装置、インクジェット記録方法
JP7028291B2 (ja) インクジェット記録方法、紫外線硬化型インク、インクジェット記録装置
CN103358742B (zh) 喷墨记录方法、紫外线固化型油墨、喷墨记录装置
JP6319625B2 (ja) インクジェット方法およびインクジェット装置
JP2014073669A (ja) インクジェット記録方法、紫外線硬化型インク、インクジェット記録装置
JP6010965B2 (ja) インクジェット記録方法、紫外線硬化型インク、インクジェット記録装置
JP6343944B2 (ja) インクジェット記録方法及び記録装置
JP5929410B2 (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置
JP6160739B2 (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置
CN115122761B (zh) 喷墨记录方法
JP7491353B2 (ja) 光硬化型インクジェットインクセット及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP6702348B2 (ja) インクジェット記録方法
JP2018083352A (ja) インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置
JP6369584B2 (ja) インクジェット記録方法
JP6447668B2 (ja) インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
JP2022099495A (ja) インクセット及びインクジェット記録方法
JP6690759B2 (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170921

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170920

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180308

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180321

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6319625

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150