JP6319469B1 - タイヤトレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】加工性に優れ、且つ、タイヤにしたときにウェットグリップ性能、転がり特性及び耐摩耗性能に優れるタイヤトレッド用ゴム組成物、並びに、上記タイヤトレッド用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供する。【解決手段】ジエン系ゴムとシリカとシランカップリング剤と軟化点が60〜150℃の芳香族変性テルペン樹脂とを含有し、シリカの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して50〜150質量部であり、シランカップリング剤の含有量がシリカの含有量に対して2〜20質量%であり、ジエン系ゴムが特定の変性ブタジエンゴムと特定共役ジエン系ゴムとを含み、ジエン系ゴム中の上記変性ブタジエンゴムの含有量が10〜50質量%であり、ジエン系ゴム中の上記特定共役ジエン系ゴムの含有量が50〜90質量%である、タイヤトレッド用ゴム組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤに関する。
近年、車両走行時の低燃費性の面から、タイヤの転がり抵抗を低減することが求められている。また、安全性の面から、ウェットグリップ性能(ウェット路面での制動性能)の向上が求められている。これに対し、タイヤのトレッド部を構成するゴム成分に、シリカを配合して、低転がり抵抗性とウェットグリップ性能とを両立する方法が知られている。
しかし、シリカはゴム成分との親和性が低く、また、シリカ同士の凝集性が高いため、ゴム成分に単にシリカを配合してもシリカが分散せず、転がり抵抗を低減する効果やウェットグリップ性能を向上させる効果が十分に得られないという問題があった。
これに対し、特許文献1には、特定の共役ジエン系ゴムを含むジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤とを含有するタイヤトレッド用ゴム組成物が開示されている。そして、特許文献1には、上記タイヤトレッド用ゴム組成物が低転がり抵抗性に優れ(転がり特性に優れ)、また、ウェットグリップ性能にも優れる旨が記載されている。
特開2016−47887号公報
一方、環境問題および資源問題などから、車両のさらなる低燃費性が求められ、それに伴い、タイヤの転がり特性のさらなる向上が求められている。また、求められる安全レベルの向上に伴い、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性能についてもさらなる向上が求められている。さらに、製造プロセスの観点から、加工性の向上も求められている。
このようななか、本発明者が特許文献1の実施例を参考にタイヤトレッドゴム組成物を調製し、加工性、転がり特性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性について評価したところ、今後さらに高まるであろう要求を考慮するとさらなる改善が望ましいことが明らかになった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、加工性に優れ、且つ、タイヤにしたときにウェットグリップ性能、転がり特性及び耐摩耗性能に優れるタイヤトレッド用ゴム組成物、並びに、上記タイヤトレッド用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、特定の変性ブタジエンゴム及び特定の共役ジエン系ゴムを含有するジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、特定の芳香族変性テルペン樹脂とを所定の割合で配合することで、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) ジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、軟化点が60〜150℃の芳香族変性テルペン樹脂とを含有し、
上記シリカの含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して50〜150質量部であり、上記シランカップリング剤の含有量が上記シリカの含有量に対して2〜20質量%であり、
上記ジエン系ゴムが、変性ブタジエンゴムと、特定共役ジエン系ゴムとを含み、上記ジエン系ゴム中の上記変性ブタジエンゴムの含有量が10〜50質量%であり、上記ジエン系ゴム中の上記特定共役ジエン系ゴムの含有量が50〜90質量%であり、
上記変性ブタジエンゴムが、末端にポリオルガノシロキサン基を有する変性ブタジエンゴムであり、
上記特定共役ジエン系ゴムが、共役ジエン系重合体鎖の活性末端とポリオルガノシロキサンとが結合してなる共役ジエン系ゴムであり、
上記共役ジエン系重合体鎖が、重合体ブロックAと、上記重合体ブロックAと一続きに形成された重合体ブロックBとを有し、
上記重合体ブロックAが、イソプレン単位および芳香族ビニル単位を含み、イソプレン単位含有量が80〜95質量%であり、芳香族ビニル単位含有量が5〜20質量%であり、重量平均分子量が500〜15,000であり、
上記重合体ブロックBが、1,3−ブタジエン単位および芳香族ビニル単位を含む、タイヤトレッド用ゴム組成物。
(2) 上記シランカップリング剤が、下記一般式(S)で表される、上記(1)に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
(C2n+1O)−Si−C2m−S−CO−C2k+1 一般式(S)
式(S)中、nは1〜3の整数を表し、mは1〜5の整数を表し、kは1〜15の整数を表す。
(3) 上記シリカのCTABが、160〜300m/gである、上記(1)又は(2)に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
以下に示すように、本発明によれば、加工性に優れ、且つ、タイヤにしたときにウェットグリップ性能、転がり特性及び耐摩耗性能に優れるタイヤトレッド用ゴム組成物、並びに、タイヤトレッド用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図である。
以下に、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物及び上記タイヤトレッド用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤについて説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[タイヤトレッド用ゴム組成物]
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、ジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、軟化点が60〜150℃の芳香族変性テルペン樹脂とを含有し、上記シリカの含有量は上記ジエン系ゴム100質量部に対して50〜150質量部であり、上記シランカップリング剤の含有量は上記シリカの含有量に対して2〜20質量%である。
ここで、上記ジエン系ゴムは、変性ブタジエンゴムと、特定共役ジエン系ゴムとを含み、上記ジエン系ゴム中の上記変性ブタジエンゴムの含有量は10〜50質量%であり、上記ジエン系ゴム中の上記特定共役ジエン系ゴムの含有量は50〜90質量%である。
さらに、上記変性ブタジエンゴムは、末端にポリオルガノシロキサン基を有する変性ブタジエンゴムである。
また、上記特定共役ジエン系ゴムは、共役ジエン系重合体鎖の活性末端とポリオルガノシロキサンとが結合してなる共役ジエン系ゴムであり、
上記共役ジエン系重合体鎖は重合体ブロックAと、上記重合体ブロックAと一続きに形成された重合体ブロックBとを有し、
上記重合体ブロックAは、イソプレン単位および芳香族ビニル単位を含み、イソプレン単位含有量が80〜95質量%であり、芳香族ビニル単位含有量が5〜20質量%であり、重量平均分子量が500〜15,000であり、
上記重合体ブロックBは、1,3−ブタジエン単位および芳香族ビニル単位を含む。
本発明の組成物はこのような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
上述のとおり、本発明の組成物は、ジエン系ゴムとシリカとを含有し、上記ジエン系ゴムには変性ブタジエンゴム及び特定共役ジエン系ゴムが含まれる。ここで、変性ブタジエンゴムは、組成物のガラス転移温度を下げ、耐摩耗性能の向上に寄与する。また、変性ブタジエンゴムの末端はポリオルガノシロキサンにより変性されており、また、特定共役ジエン系ゴムの末端はポリオルガノシロキサンにより変性されている。そのため、いずれも末端がシリカと相互作用し、シリカの分散性を向上させる。また、特定共役ジエン系ゴムが有する主にイソプレン単位からなる重合体ブロックAもシリカと相互作用し、シリカの分散性を向上させる。このようにして、本発明の組成物におけるシリカの分散性は極めて高いものとなり、加工性、ウェットグリップ特性、及び、転がり特性(以下、「低転がり抵抗性」又は「低発熱性」とも言う)の向上に繋がるものと考えられる。
結果として、本発明の組成物は、優れた加工性を示し、且つ、タイヤにしたときに優れたウェットグリップ性能、転がり特性及び耐摩耗性能を示すものと推測される。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
〔ジエン系ゴム〕
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムは、変性ブタジエンゴムと、特定共役ジエン系ゴムとを含む。
ここで、上記ジエン系ゴム中の上記変性ブタジエンゴムの含有量は10〜50質量%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、15〜40質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。
また、上記ジエン系ゴム中の上記特定共役ジエン系ゴムの含有量は50〜90質量%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、60〜85質量%であることが好ましく、70〜80質量%であることがより好ましい。
また、特定共役ジエン系ゴムの含有量に対する変性ブタジエンゴムの含有量の割合は、本発明の効果がより優れる理由から、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、30〜70質量%であることがさらに好ましく、40〜60質量%であることが特に好ましい。
<変性ブタジエンゴム>
上記ジエン系ゴムに含まれる変性ブタジエンゴムは、末端にポリオルガノシロキサン基を有する変性ブタジエンゴムである。なお、上記変性ブタジエンゴムは、後述する特定共役ジエン系ゴムとは異なる。
上記変性ブタジエンゴムは、主鎖として、共役ジエン系重合体鎖であるポリブタジエン(ブタジエンゴム)を有し、この主鎖の末端に、ポリオルガノシロキサン基を有する。
上記ポリオルガノシロキサン基としては、例えば、後述する工程(B)において説明するポリオルガノシロキサン(変性剤)に由来する基が好適に挙げられる。
更に、上記変性ブタジエンゴムは、主鎖と、末端のポリオルガノシロキサン基との間に、後述する工程(A)において説明するケイ素化合物(カップリング剤)に由来する基を有していてもよい。
以下、上記変性ブタジエンゴムを製造する方法について説明する。
より詳細には、上記変性ブタジエンゴムを含む組成物(以下、「組成物S」ともいう)を製造する方法の好適態様について説明する。
(変成ブタジエンゴムを含む組成物Sの製造方法の好適態様)
上記変性ブタジエンゴムを含む組成物Sの製造方法は、例えば、
少なくとも共役ジエン単量体を、不活性溶媒中で重合開始剤を用いて重合させることにより得られる活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液と、
1分子中に、上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる反応点を6以上有するケイ素化合物、および、1分子中に、上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる官能基を3〜200個有するポリオルガノシロキサンと、を混合することにより、上記組成物Sを製造する方法であることが好ましい。
((活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖))
上記組成物Sの製造方法においては、まず、少なくとも共役ジエン単量体を、不活性溶媒中で重合開始剤を用いて重合させることにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液を得る。
上記共役ジエン単量体は、ブタジエンである。
ブタジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエンなどが挙げられ、なかでも、1,3−ブタジエンが好ましい。
これらの共役ジエン単量体は、それぞれ単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
共役ジエン単量体に加えて、芳香族ビニル単量体を用いてもよい。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレンなどを用いることができる。
これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
これらの芳香族ビニル単量体は、それぞれ単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖は、共役ジエン単量体の単独重合体鎖、または共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体鎖が好ましく、共役ジエン単量体の単独重合体鎖がより好ましい。
共役ジエン系重合体鎖は、共役ジエン単量体単位50〜100質量%を含むものが好ましく、60〜100質量%を含むものがより好ましく、70〜100質量%を含むものが更に好ましく、また、芳香族ビニル単量体単位50〜0質量%を含むものが好ましく、40〜0質量%を含むものがより好ましく、30〜0質量%を含むものが更に好ましい。
更に、所期の目的を損なわない範囲において、所望により、共役ジエン単量体、および芳香族ビニル単量体以外の他の単量体を用いてもよい。
他の単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸または酸無水物;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン;などを挙げることができる。
これらの単量体は、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖中に、単量体単位として、10質量%以下とするのが好ましく、5質量%以下とするのがより好ましい。
上記単量体の重合に用いられる不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用されるものであって、重合反応を阻害しないものであれば、特に制限なく使用できる。
その具体例としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、2−ブテンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロへキサン、シクロヘキセンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;等が挙げられる。
不活性溶媒の使用量は、単量体濃度が、通常、1〜50質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。
上記単量体の重合に用いられる重合開始剤としては、これらの単量体を重合させて、活性末端を有する重合体鎖を与えることができるものであれば、特に限定されないが、例えば、有機アルカリ金属化合物、および有機アルカリ土類金属化合物、ならびにランタン系列金属化合物などを主触媒とする重合開始剤が好ましく使用される。
有機アルカリ金属化合物の具体例としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、およびスチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、および1,3,5−トリス(リチオメチル)ベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機カリウム化合物;などが挙げられる。
有機アルカリ土類金属化合物としては、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、ジエトキシカルシウム、ジステアリン酸カルシウム、ジ−t−ブトキシストロンチウム、ジエトキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジエチルメルカプトバリウム、ジ−t−ブトキシバリウム、ジフェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ジステアリン酸バリウム、およびジケチルバリウムなどが挙げられる。
ランタン系列金属化合物を主触媒とする重合開始剤としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウムおよびガドリニウムなどのランタン系列金属と、カルボン酸、およびリン含有有機酸などとからなるランタン系列金属の塩を主触媒とし、これと、アルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物、および有機アルミニウムハライド化合物などの助触媒とからなる重合開始剤などが挙げられる。
これらの重合開始剤の中でも、有機モノリチウム化合物、および有機多価リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましく、n−ブチルリチウムが更に好ましい。
有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、およびヘプタメチレンイミン(好ましくは、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、およびヘプタメチレンイミン)などの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。
これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよいが、単量体1000g当り、通常、1〜50ミリモル、好ましくは2〜20ミリモル、より好ましくは4〜15ミリモルの範囲である。
上記単量体を重合するに際し、重合温度は、通常、−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃の範囲である。
重合様式としては、回分式、連続式などいずれの様式をも採用できるが、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とを共重合させる場合は、共役ジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位との結合のランダム性を制御しやすい点で、回分式が好ましい。
活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖が共役ジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位とを有する場合、共役ジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位との結合様式は、例えば、ブロック状、テーパー状、ランダム状などの結合様式が挙げられ、ランダム状の結合様式が好ましい。
活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖における共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、重合に際し、不活性有機溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。
極性化合物としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;等が挙げられる。
これらの中でも、エーテル化合物、および第三級アミンが好ましく、第三級アミンがより好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが更に好ましい。
これらの極性化合物は、それぞれ単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1モルに対して、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.005〜50モル、より好ましくは0.01〜30モルの範囲である。
上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により検出されるピークトップ分子量は、200,000以上、300,000未満が好ましく、210,000以上〜280,000未満がより好ましく、220,000以上〜260,000未満が更に好ましい。
ピークトップ分子量は、GPCにより検出され、ポリスチレン換算分子量として求めるものとする。また、共役ジエン系重合体鎖のピークが複数認められる場合は、GPCにより検出される共役ジエン系重合体鎖に由来する、分子量の最も小さいピークのピークトップ分子量を、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖のピークトップ分子量とする。
上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、好ましくは1.0〜1.5、より好ましくは1.0〜1.4、更に好ましくは1.0〜1.3である。
((工程(A)))
上記組成物Sの製造方法は、上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液と、1分子中に、上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる反応点を6以上有するケイ素化合物(以下、単に「カップリング剤」ともいう)とを混合する工程(A)を有する。
工程(A)で用いられるカップリング剤としては、1分子中に、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる反応点を6以上有するケイ素化合物であり、1分子中に、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる反応点を6〜9個有するケイ素化合物がより好ましく、1分子中に、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる反応点を6個有するケイ素化合物が更に好ましく、具体的には、下記一般式(11)で表されるケイ素化合物が特に好ましい。
上記反応点としては、共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応できるものであれば特に限定されないが、例えば、ケイ素原子と結合している、ハロゲン原子やアルコキシル基などが挙げられる。
SiL −A−SiL ・・・(11)
一般式(11)中、LおよびLは、それぞれ独立して、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルコキシル基であり、複数あるLまたはLは、同一であってもよいし、または異なっていてもよい。Aは、化学的単結合、炭素数1〜20のポリメチレン基((CH(kは1〜20の整数である。))、炭素数6〜20のアリーレン基、または炭素数5〜20のシクロアルキレン基である。
上記一般式(11)で表されるケイ素化合物のうち、Aは、炭素数1〜20のポリメチレン基((CH(kは1〜20の整数である。))であることが好ましく、このうち、kが1〜10の整数であることがより好ましく、kが1〜6の整数であることが更に好ましい。
上記一般式(11)で表されるLおよびLのいずれもハロゲン原子であるときは、上記一般式(11)で表されるケイ素化合物はハロゲン化ケイ素化合物である。ハロゲン化ケイ素化合物において、LおよびLは、塩素原子であることがより好ましい。一方、上記一般式(11)で表されるLおよびLがいずれも炭素数1〜20のアルコキシル基であるときは、上記一般式(11)で表されるケイ素化合物はアルコキシシラン化合物である。アルコキシシラン化合物において、LおよびLは、炭素数1〜10のアルコキシル基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルコキシル基であることがより好ましく、反応性の観点から、メトキシ基またはエトキシ基であることが更に好ましい。
上記一般式(11)で表されるハロゲン化ケイ素化合物の具体例としては、ヘキサクロロジシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、1,4−ビス(トリクロロシリル)ブタン、1,5−ビス(トリクロロシリル)ペンタン、および1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンなどが挙げられる。これらの中でも、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンが好ましい。
上記一般式(11)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ブタン、ビス(トリエトキシシリル)ブタン、ビス(トリメトキシシリル)ペンタン、ビス(トリエトキシシリル)ペンタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリメトキシシリル)シクロヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)シクロヘキサン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)エタン、およびビス(3−トリエトキシシリルプロピル)エタンなどを示すことができる。これらの中でも、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンが好ましい。
カップリング剤としてのその他の例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)メチルアミン、およびトリス(トリメトキシシリルメチル)アミンなどを挙げることができる。これらのカップリング剤は、それぞれ単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
カップリング剤の使用量は、後述するカップリング率の範囲に合わせて調製するが、重合反応に使用した重合開始剤1モルに対して、共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応するカップリング剤の反応点のモル量が、通常、0.1〜0.35モルであり、好ましくは0.2〜0.3モルである。
((工程(B)))
上記組成物Sの製造方法は、上記工程(A)の他に、上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液と、1分子中に、上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる官能基を3〜200個有するポリオルガノシロキサン(以下、単に「変性剤」ともいう)とを混合する工程(B)を有する。
工程(B)で用いられる変性剤としては、1分子中に、上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる官能基を3〜200個有するポリオルガノシロキサンである。官能基の個数は、ポリオルガノシロキサン1分子中に、好ましくは20〜150個、より好ましくは30〜120個である。
上記官能基としては、共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応できるものであれば特に限定されないが、例えば、エポキシ基、アルコキシル基、ピロリドニル基、アリロキシル基、カルボニル基、イソシアネート基、ビニル基、およびハロゲン原子などが挙げられる。これらの中でも、シリカとの親和性に優れるという観点より、エポキシ基、アルコキシル基、およびピロリドニル基が好ましい。
1分子中に、上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる官能基を3〜200個有するポリオルガノシロキサンとしては、具体的には、下記一般式(12)で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。
上記一般式(12)中、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基である。XおよびXは、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる官能基、または炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数6〜12のアリール基であり、XおよびXは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、それぞれ独立して、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる官能基である。Xは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Xの一部は2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基から導かれる基であってもよい。mは3〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数である。
〜R、X、およびXを構成する炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、およびシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、およびメチルフェニル基などが挙げられる。これらのなかでも、ポリオルガノシロキサン自体の製造容易性の観点から、メチル基が好ましい。
、X、およびXを構成する、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる官能基としては、炭素数1〜5のアルコキシル基、2−ピロリドニル基を含有する炭化水素基、およびエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましい。
炭素数1〜5のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、およびブトキシ基などが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、メトキシ基が好ましい。
2−ピロリドニル基を含有する炭化水素基は、例えば、一般式(13)で表される。
上記一般式(13)中、jは2〜10の整数であり、2であることが好ましい。
エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基は、例えば、一般式(14)で表される。
−Z−Z−E・・・(14)
上記一般式(14)中、Zは、炭素数1〜10のアルキレン基、またはアルキルアリーレン基であり、Zはメチレン基、硫黄原子、または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10の炭化水素基である。これらの中でも、Zが酸素原子であるものが好ましく、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものがより好ましく、Zが炭素数3のアルキレン基であり、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものが更に好ましい。
一般式(12)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R〜Rとしては、上記の中でも、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、XおよびXとしては、上記の中でも、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、Xとしては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であることが好ましい。
一般式(12)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、すなわち2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基としては、例えば、下記一般式(15)で表される。
上記一般式(15)中、tは2〜20の整数であり、Pは炭素数2〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、Qは炭素数1〜10のアルコキシル基またはアリーロキシ基である。これらの中でも、tが2〜8の整数であり、Pが炭素数3のアルキレン基であり、Rが水素原子であり、かつQがメトキシ基であるものが好ましい。
一般式(12)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、mは3〜200、好ましくは20〜150、より好ましくは30〜120の整数である。
一般式(12)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、nは0〜200、好ましくは0〜150、より好ましくは0〜120の整数である。kは0〜200、好ましくは0〜150、より好ましくは0〜120の整数である。m、n、およびkの合計数は、3〜400であることが好ましく、3〜300であることがより好ましく、3〜250であることが更に好ましい。
変性剤の使用量は、後述するカップリング率の範囲に合わせて調製するが、重合反応に使用した重合開始剤1モルに対して、共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応しうる変性剤中の官能基のモル量が、通常、0.01〜0.9モルであり、好ましくは0.05〜0.8モル、より好ましくは0.1〜0.5モルである。
これらの変性剤は、それぞれ単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記組成物Sの製造方法においては、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液と、カップリング剤および変性剤とを混合する方法としては、特に限定されないが、カップリング反応および変性反応を良好に制御する観点より、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、カップリング剤および変性剤を添加する方法が好ましい。その際、カップリング剤および変性剤は、不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することが好ましい。その溶液濃度は、1〜50質量%の範囲とすることが好ましい。
活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、カップリング剤や変性剤を添加する時期は特に限定されないが、重合反応が完結しておらず活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が、100ppm以上(より好ましくは300〜50,000ppm)の単量体を含有している状態で、該溶液にカップリング剤や変性剤を添加することが好ましい。カップリング剤や変性剤の添加をこのように行なうことにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖と重合系中に含まれる不純物等との副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
カップリング剤、および変性剤を反応させるときの条件としては、反応温度が、通常、0〜100℃、好ましくは30〜90℃の範囲であり、それぞれの反応時間が、通常、1分〜120分、好ましくは2分〜60分の範囲である。
上記組成物Sの製造方法においては、工程(A)および工程(B)の順序は特に限定されず、どちらか一方の工程を先に行なってもよいし、または同時に行なってもよいが、工程(A)を、工程(B)より先に行なうことが好ましい。
上記組成物Sの製造方法においては、工程(A)および工程(B)の前後において、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述したカップリング剤および変性剤以外の共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応できる公知の重合末端修飾剤を重合系内に添加してもよい。
上記組成物Sの製造方法においては、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、カップリング剤や変性剤を反応させた後は、所望により、例えば、メタノール、イソプロパノールなどのアルコールや水を添加して反応を停止すれば、上記変性ブタジエンゴムを含む組成物Sを含有する溶液を得ることができる。
次いで、所望により、老化防止剤、クラム化剤、スケール防止剤などを重合溶液に添加した後、直接乾燥やスチームストリッピングにより溶媒を分離して、目的とする組成物Sを回収する。
本発明においては、このように得られた組成物Sを、上記変成ブタジエンゴムとみなすことができる。
上記変性ブタジエンゴムの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により検出される分子量の最も小さいピークのピークトップ分子量の2.5倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の、全溶出面積に対する面積比(以下、「カップリング率」ともいう)は、25〜35%が好ましい。
ここで、「上記変性ブタジエンゴムの、GPCにより検出される分子量の最も小さいピーク」とは、「上記変性ブタジエンゴムに含まれる重合体の中で、分子量の最も小さい重合体に由来するピーク」を指す。カップリング率が上記範囲にあると、得られる組成物Sは、フローしにくくなり、貯蔵安定性に優れる。また、最終的に得られるタイヤは、低発熱性により優れたものとなる。
カップリング率とは、上記変性ブタジエンゴムの中で、3以上の共役ジエン系重合体鎖が反応後のカップリング剤および/または変性剤の残部を介して結合された構造体の割合(質量分率)を指す。これは、GPC(ポリスチレン換算)により測定できる。
上記変性ブタジエンゴムの重量平均分子量は、ポリスチレン換算のGPCで測定される値として、好ましくは200,000〜800,000、より好ましくは300,000〜700,000の範囲である。
上記変性ブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.1〜5.0が好ましく、1.2〜3.0がより好ましい。
上記変性ブタジエンゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、30〜75の範囲が好ましい。
上記変性ブタジエンゴムの共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合含有量は、50質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。
<特定共役ジエン系ゴム>
上記ジエン系ゴムに含まれる特定共役ジエン系ゴムは、共役ジエン系重合体鎖の活性末端とポリオルガノシロキサンとが結合してなる共役ジエン系ゴムである。
ここで、上記共役ジエン系重合体鎖は、重合体ブロックAと、上記重合体ブロックAと一続きに形成された重合体ブロックBとを有し、
上記重合体ブロックAは、イソプレン単位および芳香族ビニル単位を含み、イソプレン単位含有量が80〜95質量%であり、芳香族ビニル単位含有量が5〜20質量%であり、重量平均分子量が500〜15,000であり、
上記重合体ブロックBは、1,3−ブタジエン単位および芳香族ビニル単位を含む。
特定共役ジエン系ゴムにおける、共役ジエン系重合体鎖、共役ジエン系重合体鎖が有する重合体ブロックA及び重合体ブロックB、並びに、ポリオルガノシロキサンについては後述のとおりである。
特定共役ジエン系ゴムは、本発明の効果がより優れる理由から、下記工程AとBとCとをこの順に備える共役ジエン系ゴムの製造方法により製造される共役ジエン系ゴムであることが好ましい。
・工程A:イソプレンおよび芳香族ビニルを含む単量体混合物を重合することにより、イソプレン単位含有量が80〜95質量%であり、芳香族ビニル単位含有量が5〜20質量%であり、重量平均分子量が500〜15,000である、活性末端を有する重合体ブロックAを形成する工程
・工程B:上記重合体ブロックAと、1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニルを含む単量体混合物とを混合して重合反応を継続し、活性末端を有する重合体ブロックBを、上記重合体ブロックAと一続きにして形成することにより、上記重合体ブロックAおよび上記重合体ブロックBを有する、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得る工程
・工程C:上記共役ジエン系重合体鎖の上記活性末端に、ポリオルガノシロキサンを反応させる工程
以下、各工程について詳述する。
(工程A)
工程Aでは、イソプレンおよび芳香族ビニルを含む単量体混合物を重合することにより、イソプレン単位含有量が80〜95質量%であり、芳香族ビニル単位含有量が5〜20質量%であり、重量平均分子量が500〜15,000である、活性末端を有する重合体ブロックAを形成する。
上記単量体混合物はイソプレンおよび芳香族ビニルのみであってもよいし、イソプレンおよび芳香族ビニル以外の単量体を含んでもよい。
上記芳香族ビニルとしては特に制限されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノメチルスチレン、およびジメチルアミノエチルスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。これらの芳香族ビニルは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
イソプレンおよび芳香族ビニル以外の単量体の例としては、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、および1,3−ヘキサジエンなどのイソプレン以外の共役ジエン;アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、および無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸または酸無水物;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、および5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記単量体混合物は、不活性溶媒中で重合されるのが好ましい。
上記不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用されるものであって、重合反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。その具体例としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、および2−ブテンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、およびシクロヘキセンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどの芳香族炭化水素;などが挙げられる。不活性溶媒の使用量は、単量体混合物濃度が、例えば、1〜80質量%であり、好ましくは10〜50質量%である。
上記単量体は重合開始剤により重合されるのが好ましい。
上記重合開始剤としては、イソプレンおよび芳香族ビニルを含む単量体混合物を重合させて、活性末端を有する重合体鎖を与えることができるものであれば、特に限定されない。その具体例としては、例えば、有機アルカリ金属化合物および有機アルカリ土類金属化合物、ならびにランタン系列金属化合物などを主触媒とする重合開始剤が好ましく使用される。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、およびスチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、および1,3,5−トリス(リチオメチル)ベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機カリウム化合物;などが挙げられる。また、有機アルカリ土類金属化合物としては、例えば、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、ジエトキシカルシウム、ジステアリン酸カルシウム、ジ−t−ブトキシストロンチウム、ジエトキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジエチルメルカプトバリウム、ジ−t−ブトキシバリウム、ジフェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ジステアリン酸バリウム、およびジケチルバリウムなどが挙げられる。ランタン系列金属化合物を主触媒とする重合開始剤としては、例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウムおよびガドリニウムなどのランタン系列金属と、カルボン酸、およびリン含有有機酸などとからなるランタン系列金属の塩を主触媒とし、これと、アルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物、および有機アルミニウムハライド化合物などの助触媒とからなる重合開始剤などが挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、有機モノリチウム化合物を用いることが好ましく、n−ブチルリチウムを用いることがより好ましい。なお、有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、およびヘプタメチレンイミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよいが、単量体混合物100g当り、好ましくは4〜250mmol、より好ましくは6〜200mmol、特に好ましくは10〜70mmolの範囲である。
上記単量体混合物を重合する重合温度は、例えば、−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜90℃の範囲である。
重合様式としては、回分式、連続式など、いずれの様式をも採用できる。また、結合様式としては、例えば、ブロック状、テーパー状、およびランダム状などの種々の結合様式とすることができる。
重合体ブロックAにおけるイソプレン単位中の1,4−結合含有量を調節する方法としては、例えば、重合に際し、不活性溶媒に極性化合物を添加し、その添加量を調整する方法などが挙げられる。極性化合物としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、および2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、エーテル化合物、および第三級アミンが好ましく、その中でも、重合開始剤の金属とキレート構造を形成し得るものがより好ましく、2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン、およびテトラメチルエチレンジアミンが特に好ましい。
極性化合物の使用量は、目的とする1,4−結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1molに対して、0.01〜30molが好ましく、0.05〜10molがより好ましい。極性化合物の使用量が上記範囲内にあると、イソプレン単位中の1,4−結合含有量の調節が容易であり、かつ重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
重合体ブロックAにおけるイソプレン単位中の1,4−結合含有量は、10〜95質量%であることが好ましく、20〜95質量%であることがより好ましい。
なお、本明細書において、イソプレン単位中の1,4−結合含有量とは、重合体ブロックAが有する全イソプレン単位に対する、1,4−結合のイソプレン単位の割合(質量%)を指す。
重合体ブロックAの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値として、500〜15,000である。なかでも、1,000〜12,000であることがより好ましく、1,500〜10,000であることがさらに好ましい。
重合体ブロックAの重量平均分子量が500に満たないと、所望の転がり特性とウェットグリップ性能が発現しにくくなる。
重合体ブロックAの重量平均分子量が15,000を超えると、所望の転がり特性とウェットグリップ性能の指標となる粘弾性特性のバランスが崩れる可能性がある。
重合体ブロックAの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.0〜1.5であることが好ましく、1.0〜1.3であることがより好ましい。重合体ブロックAの分子量分布の値(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、特定共役ジエン系ゴムの製造がより容易となる。なお、MwおよびMnはいずれもGPCによって測定されるポリスチレン換算の値である。
重合体ブロックAのイソプレン単位含有量は、80〜95質量%である。なかでも、85〜95質量%であることが好ましい。
重合体ブロックAの芳香族ビニル単位含有量は5〜20質量%である。なかでも、5〜15質量%であることが好ましく、5〜13質量%であることがより好ましい。
重合体ブロックAにおける、イソプレン単位および芳香族ビニル単位以外の単量体単位の含有量は、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましい。
(工程B)
工程Bでは、上述した工程Aで形成された重合体ブロックAと、1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニルを含む単量体混合物とを混合して重合反応を継続し、活性末端を有する重合体ブロックBを、上記重合体ブロックAと一続きにして形成することにより、上記重合体ブロックAおよび上記重合体ブロックBを有する、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得る。
上記芳香族ビニルの具体例および好適な態様は上述のとおりである。
上記単量体混合物は、不活性溶媒中で重合されるのが好ましい。
上記不活性溶媒の定義、具体例および好適な態様は上述のとおりである。
重合体ブロックBを形成する際の活性末端を有する重合体ブロックAの使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよいが、1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニルを含む単量体混合物100g当り、例えば、0.1〜5mmol、好ましくは0.15〜2mmol、より好ましくは0.2〜1.5mmolの範囲である。
重合体ブロックAと1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニルを含む単量体混合物との混合方法は、特に限定されず、1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニルを含む単量体混合物の溶液中に活性末端を有する重合体ブロックAを加えてもよいし、活性末端を有する重合体ブロックAの溶液中に1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニルを含む単量体混合物を加えてもよい。重合の制御の観点より、1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニルを含む単量体混合物の溶液中に活性末端を有する重合体ブロックAを加えることが好ましい。
1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニルを含む単量体混合物を重合するに際し、重合温度は、例えば、−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式など、いずれの様式をも採用できる。なかでも、回分式が好ましい。
重合体ブロックBの各単量体の結合様式は、例えば、ブロック状、テーパー状、およびランダム状などの種々の結合様式とすることができる。これらの中でも、ランダム状が好ましい。1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニルの結合様式をランダム状にする場合、重合系内において、1,3−ブタジエンと芳香族ビニルとの合計量に対する芳香族ビニルの比率が高くなりすぎないように、1,3−ブタジエンと芳香族ビニルとを、連続的または断続的に重合系内に供給して重合することが好ましい。
重合体ブロックBの1,3−ブタジエン単位含有量は特に制限されないが、55〜95質量%であることが好ましく、55〜90質量%であることがより好ましい。
重合体ブロックBの芳香族ビニル単位含有量は特に制限されないが、5〜45質量%であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましい。
重合体ブロックBは、1,3−ブタジエン単位および芳香族ビニル単位以外に、さらに、その他の単量体単位を有していてもよい。その他の単量体単位を構成するために用いられるその他の単量体としては、上述した「イソプレン以外の単量体のうち芳香族ビニル以外の例」のうち1,3−ブタジエンを除いたものや、イソプレンなどが挙げられる。
重合体ブロックBのその他の単量体単位の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることがさらに好ましい。
重合体ブロックBにおける1,3−ブタジエン単位中のビニル結合含有量を調節するためには、重合に際し、不活性溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。ただし、重合体ブロックAの調製時に、不活性溶媒に、重合体ブロックBにおける1,3−ブタジエン単位中のビニル結合含有量を調節するのに十分な量の極性化合物を添加している場合は、新たに極性化合物を添加しなくてもよい。ビニル結合含有量を調節するために用いられる極性化合物についての具体例は、上述の重合体ブロックAの形成に用いられる極性化合物と同様である。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1molに対して、好ましくは0.01〜100mol、より好ましくは0.1〜30molの範囲で調節すればよい。極性化合物の使用量がこの範囲にあると、1,3−ブタジエン単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、かつ、重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
重合体ブロックBにおける1,3−ブタジエン単位中のビニル結合含有量は、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは25〜70質量%である。
工程AおよびBにより、重合体ブロックAおよび重合体ブロックBを有する、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得ることができる。
上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖は、生産性の観点より、重合体ブロックA−重合体ブロックBで構成され、重合体ブロックBの末端が活性末端であることが好ましいが、重合体ブロックAを複数有していてもよいし、その他の重合体ブロックを有していてもよい。例えば、重合体ブロックA−重合体ブロックB−重合体ブロックA、および重合体ブロックA−重合体ブロックB−イソプレンのみからなるブロックなどの、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖が挙げられる。共役ジエン系重合体鎖の活性末端側にイソプレンのみからなるブロックを形成させる場合、イソプレンの使用量は、初めの重合反応に使用した重合開始剤1molに対して、10〜100molであることが好ましく、15〜70molであることがより好ましく、20〜35molであることが特に好ましい。
上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖における重合体ブロックAと重合体ブロックBとの質量比(重合体ブロックA、Bが複数ある場合は、それぞれの合計質量を基準とする)は、(重合体ブロックAの質量)/(重合体ブロックBの質量)として、0.001〜0.1であることが好ましく、0.003〜0.07であることがより好ましく、0.005〜0.05であることが特に好ましい。
上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.5であることがより好ましく、1.0〜2.2であることが特に好ましい。活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の分子量分布の値(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、特定共役ジエン系ゴムの製造が容易となる。なお、MwおよびMnはいずれもGPCによって測定されるポリスチレン換算の値である。
上記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖中、イソプレン単位および1,3−ブタジエン単位の合計の含有量が50〜99.995質量%、芳香族ビニル単位の含有量が0.005〜50質量%であることが好ましく、イソプレン単位および1,3−ブタジエン単位の合計の含有量が55〜95質量%、芳香族ビニル単位の含有量が5〜45質量%であることがより好ましく、イソプレン単位および1,3−ブタジエン単位の合計の含有量が55〜90質量%、芳香族ビニル単位の含有量が10〜45質量%であることが特に好ましい。また、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖におけるイソプレン単位中および1,3−ブタジエン単位中のビニル結合含有量は、上述した重合体ブロックBにおける1,3−ブタジエン単位中のビニル結合含有量と同様である。
(工程C)
工程Cは、工程Bで得られた共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、ポリオルガノシロキサンを反応させる工程である。
上記ポリオルガノシロキサンは特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、下記式(1)で表されるポリオルガノシロキサン、下記式(2)で表されるポリオルガノシロキサン、及び、下記式(3)で表されるポリオルガノシロキサンからなる群より選択される少なくとも1種のポリオルガノシロキサンであることが好ましく、下記式(1)で表されるポリオルガノシロキサンであることがより好ましい。
上記式(1)中、R1〜R8は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。上記式(1)中、X1およびX4は、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、もしくはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基、または、炭素数1〜6のアルキル基、もしくは炭素数6〜12のアリール基であり、X1およびX4は同一であっても相違していてもよい。上記式(1)中、X2は、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基である。上記式(1)中、X3は、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基である。上記式(1)中、mは3〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数である。
上記式(2)中、R9〜R16は、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。上記式(2)中、X5〜X8は、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。
上記式(3)中、R17〜R19は、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。上記式(3)中、X9〜X11は、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。上記式(3)中、sは1〜18の整数である。
上記式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R1〜R8、X1およびX4で表される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、およびシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、およびメチルフェニル基などが挙げられる。これらのなかでも、ポリオルガノシロキサン自体の製造の観点から、メチル基、およびエチル基が好ましい。
上記式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X1、X2、およびX4で表される炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、およびブトキシ基などが挙げられる。なかでも、共役ジエン系重合体鎖の活性末端との反応性の観点から、メトキシ基、およびエトキシ基が好ましい。
上記式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X1、X2、およびX4で表される炭素数6〜14のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、およびトリルオキシ基などが挙げられる。
上記式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X1、X2、およびX4で表されるエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基としては、下記式(5)で表される基が挙げられる。
上記式(5)中、Z1は、炭素数1〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、Z2はメチレン基、硫黄原子、または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10のヒドロカルビル基(炭化水素基)である。上記式(5)中、*は結合位置を表す。
上記式(5)で表される基において、Z2が酸素原子であるものが好ましく、Z2が酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものがより好ましく、Z1が炭素数3のアルキレン基であり、Z2が酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものが特に好ましい。
上記式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X1およびX4としては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基、または炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、また、X2としては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましく、X1およびX4が炭素数1〜6のアルキル基であり、かつ、X2がエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であることがより好ましい。
上記式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X3、すなわち2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基としては、下記式(6)で表される基が好ましい。
上記式(6)中、tは2〜20の整数であり、Pは炭素数2〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、Qは炭素数1〜10のアルコキシ基またはアリールオキシ基である。上記式(6)中、*は結合位置を表す。これらの中でも、tが2〜8の整数であり、Pが炭素数3のアルキレン基であり、Rが水素原子であり、かつ、Qがメトキシ基であるものが好ましい。
上記式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、mは、機械的強度がより優れる理由から、好ましくは20〜150、より好ましくは30〜120の整数である。
上記式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、nは、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜120の整数である。また、上記式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、kは、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜120の整数である。
上記式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、m、n、およびkの合計数は、400以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましく、250以下であることが特に好ましい。m、n、およびkの合計数が400以下であるとポリオルガノシロキサン自体の製造が容易になると共に、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いも容易となる。
上記式(2)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R9〜R16の具体例および好適な態様は、上記式(1)中のR1〜R8と同様である。また、上記式(2)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X5〜X8の具体例および好適な態様は、上記式(1)中のX2と同様である。
上記式(3)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R17〜R19の具体例および好適な態様は、上記式(1)中のR1〜R8と同様である。また、上記式(3)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X9〜X11の具体例および好適な態様は、上記式(1)中のX2と同様である。
なお、共役ジエン系重合体鎖が、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと反応する場合は、ポリオルガノシロキサンが有する少なくとも一部のエポキシ基が開環することにより、エポキシ基が開環した部分の炭素原子と共役ジエン系重合体鎖の活性末端との結合が形成されると考えられる。また、共役ジエン系重合体鎖が、ヒドロカルビルオキシシリル基を有するポリオルガノシロキサンと反応する場合は、ポリオルガノシロキサンが有するヒドロカルビルオキシシリル基における少なくとも一部のヒドロカルビルオキシ基が脱離することにより、ポリオルガノシロキサンが含有するケイ素原子と共役ジエン系重合体鎖の活性末端との結合が形成されると考えられる。
上記ポリオルガノシロキサン(以下、変性剤とも言う)の使用量は、重合に使用した重合開始剤1molに対する変性剤中のエポキシ基およびアルコキシ基の合計mol数の比が0.1〜1の範囲となる量であることが好ましく、0.2〜0.9の範囲となる量であることがより好ましく、0.3〜0.8の範囲となる量であることがさらに好ましい。
上記共役ジエン系ゴムの製造方法では、上述した変性剤にて、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を変性する他に、重合停止剤、上述した変性剤以外の重合末端変性剤、およびカップリング剤などを重合系内に添加することにより、一部の共役ジエン系重合体鎖の活性末端を、本発明の効果を阻害しない範囲で、不活性化してもよい。すなわち、特定共役ジエン系ゴムは、一部の共役ジエン系重合体鎖の活性末端が、本発明の効果を阻害しない範囲で、重合停止剤、上述した変性剤以外の重合末端変性剤、およびカップリング剤などにより不活性化されていてもよい。
このときに用いられる重合末端変性剤およびカップリング剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、およびN−メチル−ε−カプロラクタムなどのN−置換環状アミド類;1,3−ジメチルエチレン尿素、および1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンなどのN−置換環状尿素類;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、および4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのN−置換アミノケトン類;ジフェニルメタンジイソシアネート、および2,4−トリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類;N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドなどのN,N−ジ置換アミノアルキルメタクリルアミド類;4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒドなどのN−置換アミノアルデヒド類1ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのN−置換カルボジイミド類;N−エチルエチリデンイミン、N−メチルベンジリデンイミンなどのシッフ塩基類;4−ビニルピリジンなどのピリジル基含有ビニル化合物;四塩化錫;四塩化ケイ素、ヘキサクロロジシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、1,4−ビス(トリクロロシリル)ブタン、1,5−ビス(トリクロロシリル)ペンタン、および1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンなどのハロゲン化ケイ素化合物;などが挙げられる。1分子中に5以上のケイ素−ハロゲン原子結合を有するハロゲン化ケイ素化合物をカップリング剤として併用して得られる高分岐共役ジエン系ゴムを用いて得られるタイヤは、操縦安定性が優れる。これらの重合末端変性剤およびカップリング剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、上述した変性剤などを反応させる際、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、変性剤などを添加することが好ましく、反応を良好に制御する観点から、変性剤などを不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することがより好ましい。その溶液濃度は、1〜50質量%の範囲とすることが好ましい。
変性剤などを添加する時期は、特に限定されないが、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖における重合反応が完結しておらず、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が、好ましくは100ppm以上、より好ましくは300〜50,000ppmの単量体を含有している状態で、この溶液に変性剤などを添加することが望ましい。変性剤などの添加をこのように行なうことにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖と重合系中に含まれる不純物との副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、上述した変性剤などを反応させるときの条件としては、温度が、例えば、0〜100℃、好ましくは30〜90℃の範囲であり、それぞれの反応時間が、例えば、1分〜120分、好ましくは2分〜60分の範囲である。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、変性剤などを反応させた後は、メタノールおよびイソプロパノールなどのアルコールまたは水などの、重合停止剤を添加して未反応の活性末端を失活させることが好ましい。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端を失活させた後、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤、クラム化剤、およびスケール防止剤などを重合溶液に添加し、その後、直接乾燥またはスチームストリッピングなどにより重合溶液から重合溶媒を分離して、得られる特定共役ジエン系ゴムを回収する。なお、重合溶液から重合溶媒を分離する前に、重合溶液に伸展油を混合し、特定共役ジエン系ゴムを油展ゴムとして回収してもよい。
特定共役ジエン系ゴムを油展ゴムとして回収する場合に用いる伸展油としては、例えば、パラフィン系、芳香族系およびナフテン系の石油系軟化剤、植物系軟化剤、ならびに脂肪酸などが挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合には、IP346の方法(英国のTHEINSTITUTEPETROLEUMの検査方法)により抽出される多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。伸展油を使用する場合、その使用量は、共役ジエン系ゴム100質量部に対して、例えば、5〜100質量部、好ましくは10〜60質量部、より好ましくは20〜50質量部である。
特定共役ジエン系ゴムは、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖と、上述したポリオルガノシロキサンとを反応させることにより生じる、3以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体(以下、「活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖と、上述したポリオルガノシロキサンとを反応させることにより生じる、3以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体」を単に「3以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体」とも言う)を、5〜40質量%含有していることが好ましく、5〜30質量%含有していることがより好ましく、10〜20質量%含有していることが特に好ましい。3以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体の割合が上記範囲内にあると、製造時における凝固性、および乾燥性が良好となり、さらには、シリカを配合したときに、より加工性に優れるタイヤトレッド用ゴム組成物、およびより低発熱性に優れたタイヤを与えることができる。なお、最終的に得られた特定共役ジエン系ゴムの全量に対する、3以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体の割合(質量分率)を、共役ジエン系重合体鎖の3分岐以上のカップリング率として表す。これは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(ポリスチレン換算)により測定することができる。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定により得られたチャートより、全溶出面積に対する、分子量の最も小さいピークが示すピークトップ分子量の2.8倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の面積比を、共役ジエン系重合体鎖の3分岐以上のカップリング率とする。
上記特定共役ジエン系ゴムの芳香族ビニル単位含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、38〜48質量%であることが好ましく、40〜45質量%であることがより好ましい。
上記特定共役ジエン系ゴムのビニル結合含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、20〜35質量%であることが好ましく、25〜30質量%であることがより好ましい。なお、ビニル結合含有量とは、特定共役ジエン系ゴムに含まれる共役ジエン単位のうち、ビニル結合が占める割合(質量%)を指す。
上記特定共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値として、500,000〜800,000であることが好ましく、600,000〜700,000であることがより好ましい。
上記特定共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.1〜3.0であることが好ましく、1.2〜2.5であることがより好ましく、1.2〜2.2であることが特に好ましい。なお、MwおよびMnはいずれもGPCによって測定されるポリスチレン換算の値である。
上記特定共役ジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、20〜100であることが好ましく、30〜90であることがより好ましく、35〜80であることが特に好ましい。なお、特定共役ジエン系ゴムを油展ゴムとする場合は、その油展ゴムのムーニー粘度を上記の範囲とすることが好ましい。
<その他のゴム成分>
上記ジエン系ゴムは上述した変性ブタジエンゴム及び上述した特定共役ジエン系ゴム以外のゴム成分(その他のゴム成分)を含んでいてもよい。そのようなゴム成分としては特に制限されないが、上述した変性ブタジエンゴム及び上述した特定共役ジエン系ゴム以外の、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴム、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。なかでも、BRが好ましい。上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴムとしては、特定共役ジエン系ゴム以外のスチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレン共重合体ゴムなどが挙げられる。
上記ジエン系ゴム中のその他のゴム成分の含有量は特に制限されないが、0〜30質量%であることが好ましい。
〔シリカ〕
本発明の組成物に含有されるシリカは特に制限されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
上記シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
上記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100〜400m/gであることが好ましく、160〜350m/gであることがより好ましく、180〜350m/gであることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217−3:2001「第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物において、シリカの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して50〜150質量部である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、70〜130質量部であることが好ましい。
〔シランカップリング剤〕
本発明の組成物に含有されるシランカップリング剤は、加水分解性基および有機官能基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。
上記加水分解性基は特に制限されないが、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、1〜16であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
上記有機官能基は特に制限されないが、有機化合物と化学結合を形成し得る基であることが好ましく、例えば、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、メルカプト基などが挙げられ、なかでも、メルカプト基が好ましい。
シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤は硫黄含有シランカップリング剤であることが好ましい。
上記シランカップリング剤の具体例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド、トリメトキシシリルプロピル−メルカプトベンゾチアゾールテトラスルフィド、トリエトキシシリルプロピル−メタクリレート−モノスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤は、本発明の効果がより優れる理由から、下記式(1)で表されるのが好ましい。
(C2n+1O)−Si−C2m−S−CO−C2k+1 式(S)
式(S)中、nは1〜3の整数を表し、mは1〜5の整数(好ましくは、2〜4の整数)を表し、kは1〜15の整数(好ましくは、5〜10の整数)を表す。
また、上記シランカップリング剤は、本発明の効果がより優れる理由から、ポリエーテル鎖を有するシランカップリング剤が好ましい。
ここで、ポリエーテル鎖とは、エーテル結合を2以上有する側鎖であり、例えば、構造単位−Ra−O−Rb−を合計して2個以上有する側鎖が挙げられる。ここで、上記構造単位中、RaおよびRbは、それぞれ独立して、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、直鎖状もしくは分岐状のアルケニレン基、直鎖状もしくは分岐状のアルキニレン基、または、置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。なかでも、直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
本発明の組成物において、シランカップリング剤の含有量は、上述したシリカの含有量に対して2〜20質量%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、5〜15質量%であることが好ましい。
〔芳香族変性テルペン樹脂〕
本発明の組成物の含有される芳香族変性テルペン樹脂は、軟化点が60〜150℃である芳香族変性テルペン樹脂(以下、「特定芳香族変性テルペン樹脂」とも言う)であれば特に制限されない。上記軟化点は、本発明の効果がより優れる理由から、100〜140℃であることがより好ましい。
ここで、軟化点は、JIS K7206:1999に準拠して測定されたビカット軟化点である。
本発明の組成物において、上記芳香族変性テルペン樹脂の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。
〔任意成分〕
本発明の組成物は、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに他の成分(任意成分)を含有することができる。
上記任意成分としては、例えば、カーボンブラック、充填剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加工助剤、オイル、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
<カーボンブラック>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、カーボンブラックを含有するのが好ましい。
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、FEF等の各種グレードのものを使用することができる。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50〜200m/gであることが好ましく、70〜150m/gであることがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(NSA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定した値である。
上記カーボンブラックの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して1〜200質量部であることが好ましく、3〜100質量部であることがより好ましい。
〔タイヤトレッド用ゴム組成物の調製方法〕
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄または加硫促進剤を含有する場合は、硫黄および加硫促進剤以外の成分を先に高温(好ましくは100〜155℃)で混合し、冷却してから、硫黄または加硫促進剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
[空気入りタイヤ]
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いた空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をトレッドに用いた空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
なお、タイヤトレッド部3は上述した本発明の組成物により形成されている。
本発明の空気入りタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔合成例〕
以下のとおり、変性ブタジエンゴム、特定共役ジエン系ゴム、及び、比較共役ジエン系ゴムを合成した。
<変性ブタジエンゴムの合成>
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン5670g、1,3−ブタジエン700gおよび、テトラメチルエチレンジアミン0.17mmolを仕込んだ後、n−ブチルリチウムをシクロヘキサンと1,3−ブタジエンとに含まれる重合を阻害する不純物の中和に必要な量を添加し、更に、n−ブチルリチウムを重合反応に用いる分として8.33mmolを加え、50℃で重合を開始した。重合を開始してから20分経過後、1,3−ブタジエン300gを30分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は80℃であった。連続添加終了後、更に15分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、少量の重合溶液をサンプリングした。サンプリングした少量の重合溶液は、過剰のメタノールを添加して反応停止した後、風乾して、重合体を取得し、GPC分析の試料とした。その試料を用いて、重合体(活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に該当)のピークトップ分子量および分子量分布を測定したところ、それぞれ、「23万」および「1.04」であった。
少量の重合溶液をサンプリングした直後、重合溶液に、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサン0.288mmol(重合に使用したn−ブチルリチウムの0.0345倍モルに相当)を40重量%シクロヘキサン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。
更に、その後、下記式(16)で表されるポリオルガノシロキサンA(mとkの数値は平均値)0.0382mmol(重合に使用したn−ブチルリチウムの0.00459倍モルに相当)を20重量%キシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。
その後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加した。これにより、変性ブタジエンゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、ゴム成分100部あたり、老化防止剤として2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール0.2部を添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の変性ブタジエンゴム(組成物S)を得た。この変性ブタジエンゴム(組成物S)について、重量平均分子量、分子量分布、カップリング率、ビニル結合含有量、および、ムーニー粘度を測定したところ、それぞれ、「51万」、「1.46」、「28%」、「11質量%」および「46」であった。
<特定共役ジエン系ゴムの合成>
窒素置換された100mLアンプル瓶に、シクロヘキサン(35g)、およびテトラメチルエチレンジアミン(1.4mmol)を添加し、さらに、n−ブチルリチウム(4.3mmol)を添加した。次いで、イソプレン(21.6g)、およびスチレン(3.1g)をゆっくりと添加し、50℃のアンプル瓶内で120分反応させることにより、活性末端を有する重合体ブロックAを得た。この重合体ブロックAについて、重量平均分子量、分子量分布、芳香族ビニル単位含有量、イソプレン単位含有量、および1,4−結合含有量を測定した。これらの測定結果を第1表に示す。
次に、撹拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン(4000g)、1,3−ブタジエン(474.0g)、およびスチレン(126.0g)を仕込んだ後、上記にて得られた活性末端を有する重合体ブロックAを全量加え、50℃で重合を開始した。重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、次いで、下記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンAを、エポキシ基の含有量が1.42mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.33倍モルに相当)となるように、20質量%濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。その後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、特定共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤(イルガノックス1520、BASF社製)を少量添加し、伸展油としてフッコールエラミック30(新日本石油(株)製)を特定共役ジエン系ゴム100質量部に対して25質量部添加した後、スチームストリッピング法により固形状のゴムを回収した。得られた固形状のゴムをロールにより脱水し、乾燥機中で乾燥を行い、固形状の特定共役ジエン系ゴムを得た。
上記式(4)中、X1、X4、R1〜R3およびR5〜R8はメチル基である。上記式(4)中、mは80、kは120である。上記式(4)中、X2は下記式(5)で表される基である(ここで、*は結合位置を表す)。
なお、得られた特定共役ジエン系ゴムについて、重量平均分子量、分子量分布、3分岐以上のカップリング率、芳香族ビニル単位含有量、ビニル結合含有量、および、ムーニー粘度を測定した。測定結果を第2表に示す。測定方法は以下のとおりである。
(重量平均分子量、分子量分布および3分岐以上のカップリング率)
重量平均分子量、分子量分布および3分岐以上のカップリング率(特定共役ジエン系ゴムに対する「3以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体」の割合(質量%))については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、ポリスチレン換算の分子量に基づくチャートを得て、そのチャートに基づいて求めた。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィの具体的な測定条件は、以下のとおりである。
・測定器:HLC−8020(東ソー社製)
・カラム:GMH−HR−H(東ソー社製)2本を直列に連結した
・検出器:示差屈折計RI−8020(東ソー社製)
・溶離夜:テトラヒドロフラン
・カラム温度:40℃
ここで、3分岐以上のカップリング率は、全溶出面積(s1)に対する、分子量の最も小さいピークが示すピークトップ分子量の2.8倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の面積(s2)の比(s2/s1)である。
(芳香族ビニル単位含有量およびビニル結合含有量)
芳香族ビニル単位含有量およびビニル結合含有量については、H−NMRにより測定した。
(ムーニー粘度)
ムーニー粘度(ML1+4、100℃))については、JIS K6300−1:2013に準じて測定した。
<比較共役ジエン系ゴムの合成>
窒素置換された内容量10Lのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン4533g、スチレン338.9g(3.254mol)、ブタジエン468.0g(8.652mol)、イソプレン20.0g(0.294mol)およびN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン0.189mL(1.271mmol)を仕込み、攪拌を開始した。反応容器内の内容物の温度を50℃にした後、n−ブチルリチウム5.061mL(7.945mmol)を添加した。重合転化率がほぼ100%に到達した後、さらにイソプレン12.0gを添加して5分間反応させた後、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンの40wt%トルエン溶液0.281g(0.318mmol)を添加し、30分間反応させた。さらに、上記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンAを、エポキシ基の含有量が1.00mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.13倍モルに相当)となるように、20質量%濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。メタノール0.5mLを添加して30分間攪拌し、共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。得られた溶液に老化防止剤(イルガノックス1520、BASF社製)を少量添加し、伸展油としてフッコールエラミック30(新日本石油(株)製)を共役ジエン系ゴム100質量部に対して25質量部添加した後、スチームストリッピング法により固形状のゴムを回収した。得られた固形状のゴムをロールにより脱水し、乾燥機中で乾燥を行い、固形状の共役ジエン系ゴムを得た。得られた共役ジエン系ゴムを比較共役ジエン系ゴムとする。
〔タイヤトレッド用ゴム組成物の調製〕
下記第3表に示す成分を同表に示す割合(質量部)で配合した。
具体的には、まず、下記第3表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて150℃付近に温度を上げてから、5分間混合した後に放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄および加硫促進剤を混合し、タイヤトレッド用ゴム組成物を得た。
なお、第3表中、比較共役ジエン系ゴムおよび特定共役ジエン系ゴムの値は、ゴムの正味の量(油展オイルを除いた量)である。
〔評価〕
得られたタイヤトレッド用ゴム組成物について、以下のとおり評価を行った。
<加工性>
得られたタイヤトレッド用ゴム組成物(未加硫)について、JIS K6300−1:2013に準拠し、L形ロータを用いて、試験温度125℃の条件でスコーチタイムを測定した。
結果(スコーチタイム)を第3表に示す。結果は基準例1のスコーチタイムを100とする指数で表した。指数が大きいほどスコーチタイムが長く、加工性に優れる。
<tanδ(0℃)>
得られたタイヤトレッド用ゴム組成物(未加硫)を金型(15cm×15cm×0.2cm)中で、160℃で20分間プレス加硫して加硫ゴムシートを作製した。
作製した加硫ゴムシートについて、JISK6394:2007に準じて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度0℃の条件で、tanδ(0℃)を測定した。
結果(tanδ(0℃))を第3表に示す(第3表中の「tanδ 0℃(ウェットグリップ性能)」の欄)。結果は基準例1のtanδ(0℃)を100とする指数で表した。指数が大きいほどtanδ(0℃)が大きく、タイヤにしたときにウェットグリップ性能に優れる。
<tanδ(60℃)>
温度0℃の条件で測定する代わりに、温度60℃の条件で測定した以外は上述したtanδ(0℃)と同様の手順にしたがって、tanδ(60℃)を測定した。
結果(tanδ(60℃)の逆数)を第3表に示す(第3表中の「tanδ 60℃(転がり特性)」の欄)。結果は基準例1のtanδ(60℃)の逆数を100とする指数で表した。指数が大きいほどtanδ(60℃)が小さく、タイヤにしたときに転がり特性に優れる。
<耐摩耗性能(低シビアリティ)>
得られたタイヤトレッド用ゴム組成物(未加硫)を用いて上述のとおり加硫ゴムシートを作製した。
作製した加硫ゴムシートについて、JIS K6264−1、2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所製)を用いて、温度20℃、スリップ率25%の条件で摩耗量を測定した。
結果を第3表に示す(第3表中の「耐摩耗性能(低シビアリティ)」の欄)。結果は、下記式から算出された指数で表した。指数が大きいほど摩耗量が小さく、タイヤにしたときに耐摩耗性能(低シビアリティ)に優れる。
指数=(基準例1の摩耗量/各例の摩耗量)×100
<耐摩耗性能(高シビアリティ)>
スリップ率25%の条件で測定する代わりに、スリップ率50%の条件で測定した以外は上述した耐摩耗性能(低シビアリティ)と同様の手順にしたがって、摩耗量を測定した。
結果を第3表に示す(第3表中の「耐摩耗性能(高シビアリティ)」の欄)。結果は、下記式から算出された指数で表した。指数が大きいほど摩耗量が小さく、タイヤにしたときに耐摩耗性能(高シビアリティ)に優れる。
指数=(基準例1の摩耗量/各例の摩耗量)×100
第3表中の各成分の詳細は以下のとおりである。
・特定共役ジエン系ゴム:上述のとおり合成された特定共役ジエン系ゴム(ゴム100質量部に対して油展オイル25質量を含む)
・比較共役ジエン系ゴム:上述のとおり合成された比較共役ジエン系ゴム(ゴム100質量部に対して油展オイル25質量を含む)(芳香族ビニル単位含有量:42質量%、ビニル結合含有量:32質量%、Tg:−25℃、Mw:750,000)
・変性ブタジエンゴム:上述のとおり合成された変性ブタジエンゴム
・比較ブタジエンゴム:NIPOL BR1220(未変性BR、日本ゼオン社製)
・シリカ1(大粒径):Zeosil 1165MP(CTAB吸着比表面積:159m/g、Solvay社製)
・シリカ2(小粒径):Ultrasil 9000GR(CTAB吸着比表面積:197m/g、Evonik社製)
・カーボンブラック:ショウブラックN339(キャボットジャパン社製)
・シランカップリング剤1:Si69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニックデグッサ社製)
・シランカップリング剤2:上述した式(S)で表されるシランカップリング剤(ここで、上述した式(S)中、n=2、m=3、k=6である。)
・アロマオイル:エキストラクト4号S(昭和シェル石油社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛3種(正同化学工業社社製)
・硫黄:金華印油入微粉硫黄(硫黄の含有量95.24質量%、鶴見化学工業社製)
・加硫促進剤:SANTOCURE CBS(FLEXSYS社製)
・芳香族変性テルペン樹脂:YSレジン TO−125(軟化点:125±5℃、ヤスハラケミカル社製)
第3表から分かるように、変性ブタジエンゴムと特定共役ジエン系ゴムとを併用する本願実施例は、優れた加工性、ウェットグリップ性能、転がり特性及び耐摩耗性能を示した。
実施例1〜3の対比から、特定共役ジエン系ゴムの含有量に対する変性ブタジエンゴムの含有量の割合が30質量%以上である実施例2は、より優れた加工性、転がり抵抗性及び耐摩耗性能を示した。
実施例1と4との対比から、シランカップリング剤が上述した式(S)で表される実施例4は、より優れた加工性、ウェットグリップ性能、転がり特性及び耐摩耗性能を示した。
実施例4と5との対比から、シリカのCTABが160〜300m/gである実施例5は、より優れたウェットグリップ性能及び耐摩耗性能を示した。
一方で、変性ブタジエンゴムと特定共役ジエン系ゴムとを併用しない基準例1、比較例1及び2、変性ブタジエンゴムと特定共役ジエン系ゴムとを併用するがシリカの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して50質量部に満たない比較例3、変性ブタジエンゴムと特定共役ジエン系ゴムとを併用するがシリカの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して150質量部を超える比較例4、変性ブタジエンゴムと特定共役ジエン系ゴムとを併用するが特定芳香族変性テルペン樹脂を含有しない比較例5は、加工性、ウェットグリップ性能、転がり特性及び耐摩耗性能の少なくともいずれかが不十分であった。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション

Claims (3)

  1. ジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、軟化点が60〜150℃の芳香族変性テルペン樹脂とを含有し、
    前記シリカの含有量が前記ジエン系ゴム100質量部に対して50〜150質量部であり、前記シランカップリング剤の含有量が前記シリカの含有量に対して2〜20質量%であり、
    前記ジエン系ゴムが、変性ブタジエンゴムと、特定共役ジエン系ゴムとを含み、前記ジエン系ゴム中の前記変性ブタジエンゴムの含有量が10〜50質量%であり、前記ジエン系ゴム中の前記特定共役ジエン系ゴムの含有量が50〜90質量%であり、
    前記変性ブタジエンゴムが、末端にポリオルガノシロキサン基を有する変性ブタジエンゴムであり、
    前記特定共役ジエン系ゴムが、共役ジエン系重合体鎖の活性末端とポリオルガノシロキサンとが結合してなる共役ジエン系ゴムであり、
    前記共役ジエン系重合体鎖が、重合体ブロックAと、前記重合体ブロックAと一続きに形成された重合体ブロックBとを有し、
    前記重合体ブロックAが、イソプレン単位および芳香族ビニル単位を含み、イソプレン単位含有量が80〜95質量%であり、芳香族ビニル単位含有量が5〜20質量%であり、重量平均分子量が500〜15,000であり、
    前記重合体ブロックBが、1,3−ブタジエン単位および芳香族ビニル単位を含み、
    前記シランカップリング剤が、下記一般式(S)で表される、タイヤトレッド用ゴム組成物。
    (C2n+1O)−Si−C2m−S−CO−C2k+1 一般式(S)
    式(S)中、nは1〜3の整数を表し、mは1〜5の整数を表し、kは1〜15の整数を表す。
  2. 前記シリカのCTAB吸着比表面積が、160〜300m/gである、請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
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