JP6317973B2 - 座席装置、および車両 - Google Patents
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Description
ユーザは、乗車後、座席装置の熱気または冷気に耐えて座席に着座しなければならない。または、ユーザは、車両のエンジンを始動し、さらに空気調和装置を作動させて、座席が適温になるのを待つ必要がある。
その際、特許文献1から7の空調機能を有する座席装置を利用できる。
特許文献1の座席装置は、座席の背面部に、送風機を配置している。
特許文献1の座席装置では、特許文献2から7の座席装置とは異なり、座席の下側の汚れた空気を空調に使用したり、座席とは別体の送風機の設置場所を新たに設けたりする必要が無い。
しかしながら、特許文献1の座席装置では、背面部の側面に送風機を設けるために、背面部のメインフレームの外側面に送風機を取り付けている。
しかも、メインフレームに孔を形成し、その貫通孔を通じて座席へ空気を送り込んでいる。
その結果、特許文献1の座席装置では、フレーム強度が低下する。
よって、たとえばメインフレーム部に穴を開けてフレーム強度を低下させることなく、座席の背面部に送風機を配置できる。送風機を、座席の背面部のメインフレーム部内に収めることができる。
しかも、送風機は、補助フレーム部に固定されることにより、背面部の上部に配置され、この背面部の上部の周囲の空調されたクリーンな空気を吸引できる。
図1の自動車1は、車体2を有する。
車体2の中央部には、ユーザが乗り込む乗車空間3が設けられる。
乗車空間3内には、ユーザが着座する座席4が2列で設けられている。
座席4は、ユーザが着座する座部5と、着座したユーザが寄り掛かる背面部6と、を有する。
ユーザは、乗車後、座席4の熱気または冷気に耐えて、座席4に着座しなければならない。または、ユーザは、自動車1のエンジンを始動し、さらに自動車1の空気調和装置を作動させて、座席4が乗車空間3とともに適温になるのを待つ必要がある。
そこで、本実施形態では、座席用送風装置10を用いる。
図2の座席用送風装置10は、座席4へ空気を送り込み、座席4および着座したユーザから熱および湿気を取り除く。
座席用送風装置10は、座席4に形成された複数の溝部11および送風孔12、ダクト13、送風機14、コントローラ15を有する。
座席4は、座部5と、座部5から立設される背面部6とを有する。
本実施形態の背面部6には、一方の側部に、送風機14が内蔵される。他方の側部には、サイドエアバックユニット50が内蔵される。
図5は、図4の背面部6のフレーム構造の側面図である。
図4および図5に示すように、背面部6のフレーム構造は、メインフレーム部26と、サイドサポート部27と、を有する。
メインフレーム部26は、背面部6の全体を支えるために、背面部6の外周に沿った矩形の枠形状を有する。
サイドサポート部27は、メインフレーム部26の上縁部に固定される。サイドサポート部27は、図5に示すようにメインフレーム部26の前へ突出している。なお、サイドサポート部27は、メインフレーム部26の後ろへ突出してもよい。
このサイドサポート部27とメインフレーム部26とにより、背面部6の上部骨格が形成される。
送風機14は、背面部6の上部骨格に収まる。
送風機14は、メインフレーム部26の内側に配置される。
送風機14は、ファン18を有し、吸気口17から吸引した空気をファン18により圧送する。
送風機14は、風を送ることができるものであればよいが、本実施形態では、シロッコファンを使用する。
シロッコファンは、背面部6の側方向である前面から空気を吸引するファン18を有する。そして、ファン18は、吸引した空気をファンの半径方向へ吐出する。
このような構造のファン18は、吸引した空気をファンの軸方向へ吐出するものに比べて、静音、薄型という特徴がある。
シロッコファンは、たとえば3cm程度の薄さに形成できる。
送風機14は、たとえば自動車1のエンジンまたはバッテリなどの動力源51のエネルギを用いて動作する。
図6の座席4の座部5は、弾性部21、カバー部22、フレーム部23を有する。
また、座席4の背面部6は、弾性部24、カバー部25、メインフレーム部26を有する。
弾性部21,24は、たとえばウレタンなどの弾性材料で形成される。弾性部21,24は、所望の座面形状に形成される。
カバー部22,25は、たとえば通気性のあるメッシュ生地で形成される。カバー部22,25は、小さい貫通孔を多数形成した革シートで形成することもできる。図6のカバー部は、弾性部21,24の周囲全体を覆う。
フレーム部23,26は、たとえばアルミニウムなどの軽量で高剛性の金属材料で形成される。フレーム部23,26は、たとえば衝突時に乗員を保護し得る強度に形成される。
複数の溝部11は、弾性部21,24についてのユーザが着座する着座面に形成される。
送風孔12は、弾性部21,24において、たとえばその裏面から着座面に貫通して形成される。
なお、複数の溝部11および送風孔12は、弾性部21,24の成形時に同時に形成されても、弾性部21,24の成形後の加工により形成されてもよい。
図7は、座席4の表面に、溝部11および送風孔12の位置を模式的に表したものである。
溝部11および送風孔12は、実際には、弾性部21,24の表面(着座面)に形成される。
各送風口16には、6本の溝部11が接続される。複数の溝部11は、座部5の表面(着座面)において、送風口16から分岐して形成される。
座部5において、3本の溝部11は、一定間隔で互いに並行に延在するように、送風口16から座部5の前面までに至る長さで形成される。
残りの3本の溝部11は、一定間隔で互いに並行に延在するように、送風口16から座部5の背面までに至る長さで形成される。
なお、各組の3本の溝部11の中心間隔は、たとえば着座したユーザの腿の太さの範囲内に3本が入る程度であればよい。具体的にはたとえば3から6cmの間隔でよい。
各送風口16には、6本の溝部11が接続される。複数の溝部11は、背面部6の表面において、送風口16から分岐して形成される。
背面部6において、3本の溝部11は、一定間隔で互いに並行に延在するように、送風口16から背面部6の上端までに至る長さで形成される。
残りの3本の溝部11は、一定間隔で互いに並行に延在するように、送風口16から背面部6の下面までに至る長さで形成される。
図8に示すように、溝部11は、第1凹部31と、第2凹部32とを有する。
本実施形態の第1凹部31は、溝部11の全長において、一定の幅および一定の深さに形成される。第1凹部31は、矩形断面を有する。第1凹部31の幅および深さは、たとえば2cmずつであればよい。
第1凹部31の幅および深さを大きくするほど、後述するようにユーザの着座により弾性部21,24が変形していたとしても、第1凹部31による空気の送風路を確保できる。
しかし、第1凹部31の幅および深さを大きくすると、着座したユーザのホールド性能が低下する。
このため、第1凹部31の幅および深さは、たとえば1から3cmの範囲内とするとよい。
また、図8に示すように、第2凹部32は、第1凹部31の座席4の中央側に形成される。
本実施形態の第2凹部32は、溝部11の全長において、一定の幅および一定の深さに形成される。第2凹部32は、平たい長方形の断面を有する。第2凹部32の幅は、たとえば1cmであればよい。第2凹部32の深さは、たとえば0.5cmであればよい。
第2凹部32の幅および深さを大きくするほど、着座したユーザの体(たとえば臀部、腿)の広い範囲において、弾性部21,24を離間させることができる。
しかし、第2凹部32の幅および深さを大きくすると、着座したユーザのホールド性能が低下し、着座による圧縮時に第1凹部31による通気路を確保するように変形させる機能が低下する。
このため、第2凹部32の幅および深さは、たとえば0.3から1.5cmの範囲内とするとよい。第2凹部32は、第1凹部31より幅狭にしてよい。
第1凹部31と第2凹部32は、溝部11の全長において図8に示す一体化した溝を形成する。
本実施形態において、溝部11の断面は、その全長において図8に示す形状となる。
溝部11の底面は、第1凹部31の底面と第2凹部32の底面とによる階段状の段差のある構造になる。
図2の座席用送風装置10のダクト13は、座席4の送風孔12と送風機14とを接続する。ダクト13を省略し、送風孔12と送風機14とを直接に接続してよい。
コントローラ15は、送風機14へ起動信号または停止信号を出力する。
コントローラ15は、送風機14へ、送風能力を制御する信号を出力してよい。
コントローラ15は、制御プログラムを記憶するメモリと、制御プログラムを実行する中央処理装置とを有する。コントローラ15は、独立したコントローラ15でよいが、自動車1のエンジン7を制御するECU(Engine Control Unit)52の一部として実現されても、空気調和装置53のコントローラに実現されてもよい。
なお、コントローラ15は、時刻や時間を計測するタイマ、携帯電話機などと通信する無線通信部などを備えてよい。
このような信号としては、たとえばイグニッションキーの状態の検出信号、エンジンの起動信号若しくは停止信号、リモートコントロール開閉キーの検出信号、ドアパネルのロック開錠信号若しくは施錠信号、乗車検知信号がある。
この他にも、たとえば、空気調和装置53の冷暖房の開始信号がある。空気調和装置53は、一般的に温まったエンジンの排熱で暖房し、冷却されたエバポレータの冷気で冷房する。このため、エンジン始動時に空気調和装置53の動作が開始されたとしても、冷暖房された空気が乗車空間3へ供給され始めるまでに、時間を要する。
ユーザが座席4に着座すると、コントローラ15は、送風制御を開始する。
コントローラ15は、たとえばECU52からの乗車検知信号、エンジンの起動信号により、ユーザが座席4に着座したと判断してよい。コントローラ15は、たとえば空気調和装置53の冷暖房動作開始信号により、ユーザが座席4に着座したと判断してもよい。
コントローラ15は、送風機14へ起動信号を出力する。送風機14は、動作を開始する。これにより、送風機14により送風された空気は、ダクト13、座席4の送風孔12を通じて、座席4の着座面へ供給される。
図2の点線に示すように、ユーザが座席4に着座している場合、座席4の着座面の送風口16は、ユーザの臀部または腰部より略塞がれる。
この状態では、座席4の着座面へ供給された空気は、送風口16から噴き出ることができないので、座席4の着座面に形成された複数の溝部11へ流入する。
空気は、複数の溝部11を通って、複数の溝部11の先端部分から乗車空間3へ放出される。
一部の空気は、溝部11とユーザの体(たとえば腿)との隙間から、乗車空間3へ放出される。
コントローラ15は、たとえばECU52からの降車検知信号、エンジンの停止信号により、ユーザが座席4から立ったと判断してよい。コントローラ15は、たとえば空気調和装置53の冷暖房動作終了信号により、ユーザが座席4から立ったと判断してもよい。
コントローラ15は、送風機14へ停止信号を出力する。送風機14は、動作を停止する。これにより、座席4への空気の送風が終了する。
図9では、説明のために、座部5のカバー部22を図示していない。
図9に示すように、ユーザが着座することにより、溝部11は、腿により、その全体または一部が塞がれる。
この際、浅い第2凹部32は、腿の裏面で略つぶれる。
これに対して、深い第1凹部31は、その内側(中央側)に隣接して当該浅い第2凹部32が形成され、且つ腿が第2凹部32の底面に接するので、第2凹部32がつぶれた状態でも、略その形状を維持できる。
腿が第2凹部32の底面に押し付けられることにより、第2凹部32が座部5の中央側へ引き寄せられる。第1凹部31は広がる。
これにより、第1凹部31の下部に、空気の流路を確保できる。
着座面の送風口16から溝部11へ流入した空気は、第1凹部31を流れ、溝部11の先端部分から放出される。
ユーザが着座した状態でも、各溝部11に空気を流すことができる。溝部11に対応する箇所から、熱気および湿気を取り除くことができる。
また、図9の左側の溝部11では、第2凹部32の底面の全体に、腿が密着していない。第2凹部32の底面と腿との間に、若干の隙間が確保されている。当該第2凹部32に対応する腿裏部分にも空気を当てて、熱気および湿気を取り除くことができる。
図10では、説明のために、カバー部等を図示していない。
また、図10の溝部11は、図9のものと同様の構造を有する。
これにより、着座面の送風口16から溝部11へ流入した空気は、溝部11の第1凹部31内を流れ、溝部11の先端部分から放出される。
これにより、ユーザの腿により塞がれる範囲が変化する。溝部11に対して、腿の上下動による空気のポンピング効果が期待できる。
このポンピング効果により、ユーザの腿裏に流れる空気量を変動させ、熱および湿度を好適に取り除くことができる。
よって、たとえばメインフレーム部26に穴を開けてフレーム強度を低下させることなく、座席4の背面部6に送風機14を配置できる。
送風機14を、座席4の背面部6のメインフレーム部26内に収めることができる。
しかも、送風機14は、サイドサポート部27に固定されることにより、背面部6の上部に配置される。
送風機14は、背面部6の上部の周囲の空調されたクリーンな空気を吸引できる。
送風機14は、サイドエアバックユニット50の動作のじゃまとならない。
また、送風機14は、乗車空間3の中央側に向く。
乗車空間3の外側ではなく中央側の空調されたクリーンな空気を吸引できる。
空気調和装置53から乗車空間3へ供給されたばかりのクリーンな空気を吸引できる。
送風口16から着座面へ供給された空気は、分岐した複数の溝部11により、送風口16の周囲へ広がる。
溝部11は、送風口16から座部5の前面または後面に至る長さに形成される。
ユーザが座席4に着座した状態において、座席4の着座面に空気の流路を確保できる。
送風口16がユーザにより塞がれたとしても、送風口16へ送り込まれた空気は、複数の溝部11の先端から放出される。
本実施形態では、ユーザが着座した状態において、送風口16から広がってユーザの広い範囲に当たって流れる空気により、当該ユーザおよび座席の広い範囲から、次第に発生してくる熱や湿気を効果的に除去できる。
第2凹部32を、第1凹部31についての着座面の中央側に形成している。
これにより、弾性部21,24に溝部11を形成しているにもかかわらず、ユーザが着座した状態において、着座面に第1凹部31による空気の流路を確保できる。
更に、溝部11を形成した弾性部21,24は、通気性のあるカバー部22,25により被覆される。
よって、溝部11の途中に、ユーザにより被覆されていない箇所が発生したとしても、当該箇所からすべての空気が漏れ出なくなる。当該箇所よりも先端側に、空気を供給できる。
体格が異なるユーザが着座したとしても、そのユーザの体格に合わせて機能する複数の溝部11から空気を適切に漏れ出させることができる。
この他にもたとえば、座席用送風装置10は、バス、電車などのその他の車両に搭載されてよい。
座席用送風装置10は、車両から分離された単独の装置として形成されてよい。この場合、たとえば座席4に載せて使用するカバー部の着座面に、送風孔12および複数の溝部11を形成すればよい。
送風機14の駆動源に電動モータを使用することで、座席用送風装置10は、エンジン7の駆動力を動力源とすることなく送風動作できる。座席用送風装置10は、車両のバッテリ、太陽光発電パネル、家庭用電源の電力により動作できる。
3…乗車空間
4…座席(座席装置)
5…座部
6…背面部
10…座席用送風装置
12…送風孔
14…送風機
16…送風口
18…ファン
26…メインフレーム部
27…サイドサポート部(補助フレーム部)
50…サイドエアバックユニット
Claims (4)
- ユーザが着座する着座面および着座したユーザの背面を支える背面部を有する座席と、
前記座席に形成され、前記着座面に送風口を形成する送風孔と、
前記座席に設けられ、前記送風孔へ空気を供給する送風機と、
を有し、
前記背面部は、
当該背面部に内蔵され、当該背面部の外周に沿った形状により当該背面部を支えるメインフレーム部と、
前記メインフレーム部の前へ突出するように前記メインフレーム部の上部に固定され、前記メインフレーム部とともに前記背面部の上部骨格を形成する補助フレーム部と、
を有し、
前記送風機は、
前記補助フレーム部に固定され、前記メインフレーム部より内側に配置される
座席装置。 - 前記送風機は、
前記背面部において、サイドエアバックユニットとは反対側の側部に設けられる
請求項1記載の座席装置。 - 前記送風機は、
前記背面部の側方向から空気を吸引するファンを有し、
前記ファンの半径方向へ吸引した空気を吐出する
請求項1または2記載の座席装置。 - ユーザが着座する座席として、
ユーザが着座する着座面および着座したユーザの背面を支える背面部を有する座席と、
前記座席に形成され、前記着座面に送風口を形成する送風孔と、
前記座席に設けられ、前記送風孔へ空気を供給する送風機と、
を有し、
前記背面部は、
当該背面部に内蔵され、当該背面部の外周に沿った形状により当該背面部を支えるメインフレーム部と、
前記メインフレーム部の前へ突出するように前記メインフレーム部の上部に固定され、前記メインフレーム部とともに前記背面部の上部骨格を形成する補助フレーム部と、
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前記送風機は、
前記補助フレーム部に固定され、前記メインフレーム部より内側に配置される
車両。
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