JP6317186B2 - 隙間拡げ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、互いに隙間を開けて積み重ねられた外壁パネル等の複数の部材の前記隙間を拡げる隙間拡げ装置に関する。
建物の建築現場等において複数枚の平積みされた外壁パネルを上から順に1枚ずつ分離して吊り上げる場合、従来、1番上の外壁パネルを人力でずらして縁部の下方に空間を開け、この縁部にクレーン等の吊索を掛けるための作業を行っている。吊索を掛けるための作業とは、例えば吊索を掛けるためのボルト、専用のパネル吊下げ用治具等を取り付ける作業のことである。
平積みされた外壁パネルを「てこ」の作用で持ち上げる技術が、特許文献1,2に開示されている。特許文献1のパネル持上具は、平積みされた複数の外壁パネルをハンドパレットに移し替えるために持ち上げるものである。また、特許文献2のパネル持上具は、平積みされた複数の外壁パネルのうちの1番上の外壁パネルを持ち上げるものであるが、比較的小型・軽量の外壁パネルに適用される。
実開平5−75216号公報 実開平5−58753号公報
従来のように1番上の外壁パネルを人力でずらして吊索を掛けるための作業を行うのは、外壁パネルをずらすときに外壁パネルの表面に傷を付ける恐れがある。また、吊上げ対象となる外壁パネルが物流施設、コンビニエンスストア等の壁に用いられる大きくて重い外壁パネルである場合、大きな労力を要すると共に、誤って上下の外壁パネル間に指を挟む危険性がある。特許文献2に記載のパネル持上具では、上記のような大きく重い外壁パネルを持ち上げることはできない。
この発明の目的は、互いに隙間を開けて積み重ねられた複数の部材の前記隙間を、小さな力で安全かつ簡単に、また部材の表面に傷を付けることなく拡げることができる隙間拡げ装置を提供することである。
この発明の他の目的は、外壁パネルの縁部に吊索を掛けるための吊上げ用治具を安全かつ確実に取り付けられる吊上げ用治具取付け方法を提供することである。
この発明の隙間拡げ装置は、互いに隙間を開けて積み重ねられた複数の部材の前記隙間を拡げる装置であって、一端部が把持部となるレバー状本体と、このレバー状本体の前記把持部となる端部とは反対側の端部に前記レバー状本体の長さ方向に並んで設けられ、それぞれが前記長さ方向と交差する互いに同一方向に突出し、前記積み重ねられた状態の部材間の隙間に差し込まれる2つの突起物とを有し、これら2つの突起物のうちの1つの突起物は前記レバー状本体に対して固定であり、もう1つの突起物は前記レバー状本体に対し突出方向の軸心回りに回転自在であることを特徴とする。前記隙間は、少なくとも部材の縁部間に隙間が開いていればよい。
この隙間拡げ装置により、互いに隙間を開けて積み重ねられた複数の部材の隙間を拡げる場合、上下に隣り合う2つの部材の間の隙間に2つの突起物をそれぞれ差し込み、レバー状本体の把持部を上げて、固定である突起物を支点にレバー状本体を回動させる。レバー状本体の回動に伴い2つの突起物間の上下距離が変化し、その分だけ下の部材に対して上の部材が持ち上がる。レバー状本体が回動するとき、固定である突起物を部材と回転接触し、回転自在である突起物は部材の表面を転がり接触する。このため、突起物と部材とが擦れ合うことがなく、部材の表面を傷付けない。てこの原理で上の部材を持ち上げるため、大きな力を必要とせず、一人でも部材間の隙間を拡げることができる。2つの突起物間の距離に対して、固定である突起物とレバー状本体の把持部間の距離を大きくすると、大きく重い部材であっても、小さな力で安全かつ確実に隙間を拡げることができる。
この発明において、前記レバー状本体の長さ方向に並ぶ前記2つの突起物のうちの把持部となる端部に近い方の突起物を前記固定された突起物とし、遠い方の突起物を前記回転自在な突起物とするのが良い。
この場合、レバー状本体を回動して部材を持ち上げるとき、固定された突起物が上側の部材に回転接触し、回転自在な突起物が下側の部材に転がり接触する。そのため、下側の部材に対する上側の部材の水平位置を変えることなく隙間を拡げることができる。
この発明において、前記レバー状本体は、前記2つの突起物が突出する平面に対して、把持部となる端部が前記2つの突起物の突出方向と反対側に位置していると良い。
この場合、把持部となる端部を手でつかんでレバー状本体を回動させるときに、手が部材と干渉しない。
この発明において、前記2つの突起物の外周に、前記部材との滑りを防止する被覆を設けると良い。
この場合、突起物と部材との間に滑りが生じないため、隙間拡げ操作をより一層安全かつ確実に行える。
この発明の隙間拡げ装置は、外壁パネルのような大きくて重い部材に適用できる。
この発明の吊上げ用治具の取付け方法は、前記隙間拡げ装置を用いて前記部材である外壁パネルの縁部に吊索を掛けるための吊上げ用治具を取り付ける方法であって、前記隙間拡げ装置により、互いに隙間を開けて積み重ねられた複数の外壁パネルのうちの1番上の外壁パネルと上から2番目の外壁パネルの間の隙間を拡げる過程と、拡げられた隙間に隙間保持部材を入れる過程と、1番上の外壁パネルに前記吊上げ用治具を取り付ける過程とを含む。
この吊上げ用治具の取付け方法によると、隙間拡げ装置により1番上の外壁パネルと上から2番目の外壁パネルの間の隙間を拡げることで、1番上の外壁パネルに吊上げ用治具を安全かつ確実に取り付けることができる。
この発明の隙間拡げ装置は、互いに隙間を開けて積み重ねられた複数の部材の前記隙間を拡げる装置であって、一端部が把持部となるレバー状本体と、このレバー状本体の前記把持部となる端部とは反対側の端部に前記レバー状本体の長さ方向に並んで設けられ、それぞれが前記長さ方向と交差する互いに同一方向に突出し、前記積み重ねられた状態の部材間の隙間に差し込まれる2つの突起物とを有し、これら2つの突起物のうちの1つの突起物は前記レバー状本体に対して固定であり、もう1つの突起物は前記レバー状本体に対し突出方向の軸心回りに回転自在であるため、互いに隙間を開けて積み重ねられた複数の部材の前記隙間を、小さな力で安全かつ簡単に、また部材の表面に傷を付けることなく拡げることができる。
この発明の吊上げ用治具の取付け方法は、前記隙間拡げ装置を用いて前記部材である外壁パネルの縁部に吊索を掛けるための吊上げ用治具を取り付ける方法であって、前記隙間拡げ装置により、互いに隙間を開けて積み重ねられた複数の外壁パネルのうちの1番上の外壁パネルと上から2番目の外壁パネルの間の隙間を拡げる過程と、拡げられた隙間に隙間保持部材を入れる過程と、1番上の外壁パネルに前記吊上げ用治具を取り付ける過程とを含むため、外壁パネルの縁部に吊索を掛けるための吊上げ用治具を安全かつ確実に取り付けられる。
(A)はこの発明の一実施形態に係る隙間拡げ装置の正面図、(B)はその側面図である。 同隙間拡げ装置の一部分の破断側面図である。 同隙間拡げ装置による部材の隙間拡げ動作の説明図である。 同隙間拡げ装置を用いて外壁パネルの縁部に吊索を掛けるための吊上げ用治具を取り付ける方法の説明図である。
この発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1はこの発明の一実施形態にかかる隙間拡げ装置の正面図および側面図である。この隙間拡げ装置1は、一端部が把持部Hとなるレバー状本体2を有し、このレバー状本体2の把持部Hとなる端部とは反対側の端部に、レバー状本体2の長さ方向に並んで2つの円柱状の突起物3,4が設けられている。各突起物3,4は、レバー状本体2の長さ方向と交差する方向に突出している。把持部Hに近い方の突起物3はレバー状本体2に対して固定であり、遠い方の突起物4はレバー状本体2に対し突出方向の軸心回りに回転自在である。これら突起物3,4の外周には、ゴム材等からなる被覆5が設けられている。この被覆5は、隙間拡げ対象となる部材との滑り防止、および部材の表面保護のために設けられる。
この実施形態のレバー状本体2は、把持部Hとなる端部を含む大半部分を占める丸パイプ部6と、突起物3,4が設けられた板状部7とからなり、板状部7に設けられた差込み部7aを丸パイプ部6の中空孔6aに差し込むことで、丸パイプ部6と板状部7を互いに結合している。差込み部7aは、突起物3,4が設けられている本体部7bに対して、突起物3,4の突出方向と逆側に所定の角度θで屈曲させてある。このため、2つの突起物3,4が設けられている平面Fに対して、把持部Hとなる端部が突起物3,4の突出方向と反対側に位置している。
固定である突起物3はボルト等からなり、板状部7に開けられた貫通孔(図示せず)に挿通され、ナット8により固定されている。一方、回転自在である突起物4の支持部は図2に示す構造となっている。すなわち、レバー状本体2の板状部7に鍔付き円筒状の軸受ハウジング9を鍔部で複数の固定ピン10により固定し、軸受ハウジング9内に収容された2つの軸受11により突起物4の基部4aを回転自在に支持している。2つの軸受11は、深溝玉軸受等の転がり軸受からなり、軸受ハウジング9の内周に嵌めた止め輪12により抜け止めされている。
この隙間拡げ装置1の操作方法を説明する。
例えば図4(A)のような互いに隙間を開けて積み重ねられた複数の部材20の隙間21に、図3(A)のように、2つの突起物3,4を差し込み、把持部Hを手でつかんで引き上げる。固定である突起物3は上側の部材20と回転接触し、かつ回転自在である突起物4は下側の部材20の表面を転がり接触することで、同図(B)〜(D)のように、固定である突起物3を支点にレバー状本体2が回動する。それにより、レバー状本体2の回動に伴い突起物3の上下位置が変化し、突起物3に下から押されて上側の部材20が持ち上がる。このとき、固定された突起物3の水平位置は変わらず、回転自在である突起物4が下側の部材20に沿って転動する。そのため、上側の部材20は、水平位置をずらすことなく隙間21を拡げることができる。
上記操作は、一人で行うことができる。2つの突起物3,4間の距離に対して、支点となる固定である突起物3とレバー状本体2の把持部H間の距離は長いため、大きくて重い部材であっても、小さな力で楽に隙間21を拡げることができる。レバー状本体2は屈曲していて、2つの突起物3,4を部材20間の隙間21に差し込んだ状態では把持部Hが部材20から離れた位置にあるため、レバー状本体2を回動操作するときに把持部Hをつかむ手が部材20と干渉しない。突起物3,4の外周に被覆5が設けられているため、突起物3,4と部材20との間に滑りが生じず、上記操作を正確かつ確実に行える。また、被覆5が設けられていることで、突起物3,4と部材20とが互いに傷付け合うことを防止できる。
図示例では、把持部Hに近い側の突起物3を固定とし、遠い側の突起物4を回転自在としたが、これとは逆に、把持部Hに近い側の突起物3を回転自在とし、遠い側の突起物4を固定としても良い。その場合、把持部Hから遠い側の突起物4を支点としてレバー状本体2が回動するため、上側の部材20の水平位置をずらしながら隙間21が拡げられる。
この隙間拡げ装置1の具体的な使用方法として、外壁パネルである部材(以下、「外壁パネル」とする)20の縁部にクレーン等の吊索を掛けるための吊上げ用治具を取り付ける場合を、図4と共に説明する。なお、外壁パネル20は建込み状態で上側となる縁部は他の部分よりも厚さが薄くなっているため、図のように平積みで積み重ねた場合、上下の外壁パネル20間に隙間21が形成される。
まず、同図(A),(B)のように、隙間拡げ装置1により、1番上の外壁パネル20と上から2番目の外壁パネル20の間の隙間21を拡げる。隙間拡げ装置1の操作方法は前述した通りである。次に、同図(C)のように、拡げられた隙間21に緩衝材、桟木等の隙間保持部材22を入れる。そして、その状態、1番上の外壁パネル20に吊上げ用治具22を取り付ける。この方法によると、吊上げ用治具23を取り付ける外壁パネル20の下方に広い隙間21があるの、吊上げ用治具23を安全かつ確実に取り付けることができる。
1…隙間拡げ装置
2…レバー状本体
3…固定された突起物
4…回転自在な突起物
5…被覆
20…部材(外壁パネル)
21…隙間
22…隙間保持部材
23…吊上げ用治具
H…把手部

Claims (6)

  1. 互いに隙間を開けて積み重ねられた複数の部材の前記隙間を拡げる装置であって、
    一端部が把持部となるレバー状本体と、このレバー状本体の前記把持部となる端部とは反対側の端部に前記レバー状本体の長さ方向に並んで設けられ、それぞれが前記長さ方向と交差する互いに同一方向に突出し、前記積み重ねられた状態の部材間の隙間に差し込まれる2つの突起物とを有し、これら2つの突起物のうちの1つの突起物は前記レバー状本体に対して固定であり、もう1つの突起物は前記レバー状本体に対し突出方向の軸心回りに回転自在であることを特徴とする隙間拡げ装置。
  2. 請求項1に記載の隙間拡げ装置において、前記レバー状本体の長さ方向に並ぶ前記2つの突起物のうちの把持部となる端部に近い方の突起物が前記固定された突起物であり、遠い方の突起物が前記回転自在な突起物である隙間拡げ装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の隙間拡げ装置において、前記レバー状本体は、前記2つの突起物が突出する平面に対して、把持部となる端部が前記2つの突起物の突出方向と反対側に位置している隙間拡げ装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の隙間拡げ装置において、前記2つの突起物の外周に、前記部材との滑りを防止する被覆を設けた隙間拡げ装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の隙間拡げ装置において、前記部材は外壁パネルである隙間拡げ装置。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の隙間拡げ装置を用いて、前記部材である外壁パネルの縁部に吊索を掛けるための吊上げ用治具を取り付ける方法であって、
    前記隙間拡げ装置により、互いに隙間を開けて積み重ねられた複数の外壁パネルのうちの1番上の外壁パネルと上から2番目の外壁パネルの間の隙間を拡げる過程と、
    拡げられた隙間に隙間保持部材を入れる過程と、
    1番上の外壁パネルに前記吊上げ用治具を取り付ける過程と、
    を含む吊上げ用治具の取付け方法。
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