JP6313130B2 - ラテックス改質速硬コンクリートの製造方法 - Google Patents

ラテックス改質速硬コンクリートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はラテックス改質速硬コンクリートに関する。
ラテックス改質コンクリートが提案されている。
特開平7−315961号公報
1.3.2 各種コンクリート添加剤の開発経緯(http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/kagaku02/frame.htm)
上記先行技術文献にはラテックス改質コンクリートが開示されている。
しかしながら、ラテックス改質コンクリートの詳細な開示はない。ポリマー(ラテックスを含む)はポピュラーな建設材料として普及しているが、主にセメント、砂と一緒にプレミックス化されたポリマーセメントモルタルの形であった。粗骨材が加わったコンクリートになると、配合設計方法すら確立されておらず、どのタイミングで、どこで、どのようにポリマーを添加した方が最適か等の製造方法が不明である。又、製造面の煩雑さ、性能と経済性のバランスから殆ど使用されていない状況である。従って、今日に至るまで、ラテックス改質コンクリートの実用化は進んでいない。
従って、本発明が解決しようとする課題は、前記問題点を解決することである。ラテックスを添加するタイミング、添加場所、添加方法等を明確にすると共に、特に、適切なスランプを有し、取り扱い易い高品質なラテックス改質速硬コンクリートを提供することである。本発明を実施することによって既存のプレミックスのモルタルタイプのものに比べ、コンクリートタイプのポリマーセメント複合体が廉価で大量に供給できることになる。
本発明は、
ラテックス改質速硬コンクリートの製造方法であって、
前記方法は、
少なくともセメント及び粗骨材が収納されている収納容器が、ラテックス改質速硬コンクリート使用現場に、搬送されるラテックス改質速硬コンクリート非液体系構成材料の搬送工程と、
少なくともゴムラテックス及び水を構成要素とするラテックス改質速硬コンクリート液体系構成材料が、ラテックス改質速硬コンクリート使用現場に、搬送されるラテックス改質速硬コンクリート液体系構成材料の搬送工程と、
前記搬送工程で搬送されて来たラテックス改質速硬コンクリート構成材料中のセメント、粗骨材、ゴムラテックス、凝結遅延剤、及び水が、ラテックス改質速硬コンクリート使用現場に配されているミキサのドラム内に、供給・混練される第1混練工程と、
前記第1混練工程の後、該混練物に速硬性セメント混和材が供給・混練される第2混練工程
とを具備してなり、
前記粗骨材の量は500kg/m以上であり、
前記ゴムラテックスの量は、前記セメント100質量部に対して、5〜30質量部であり、
前記速硬性セメント混和材の量は、前記セメント100質量部に対して、10〜100質量部である
ことを特徴とするラテックス改質速硬コンクリートの製造方法を提案する。
本発明は、前記ラテックス改質速硬コンクリートの製造方法であって、好ましくは、前記セメント100質量部に対して0.1〜4質量部の凝結遅延剤、水セメント比が0.2〜0.65の水が用いられることを特徴とするラテックス改質速硬コンクリートの製造方法を提案する。
本発明は、前記ラテックス改質速硬コンクリートの製造方法であって、前記収納容器には、好ましくは、速硬性セメント混和材以外のラテックス改質速硬コンクリート非液体系構成材料が、構成材料種別に分離されて、規定量、収納されていることを特徴とするラテックス改質速硬コンクリートの製造方法を提案する。
本発明は、前記ラテックス改質速硬コンクリートの製造方法であって、前記ゴムラテックスは、好ましくは、スチレンブタジエンゴム系ラテックスであることを特徴とするラテックス改質速硬コンクリートの製造方法を提案する。
本発明は、前記ラテックス改質速硬コンクリートの製造方法であって、速硬性セメント混和材は、好ましくは、カルシウムアルミネート類を主成分とする混和材であることを特徴とするラテックス改質速硬コンクリートの製造方法を提案する。
本発明は、前記ラテックス改質速硬コンクリートの製造方法によって製造されてなるラテックス改質速硬コンクリートを提案する。
本発明は、
セメント、粗骨材、ゴムラテックス、凝結遅延剤、及び速硬性セメント混和材を少なくとも含有してなり、
前記粗骨材の量は500kg/m以上であり、
前記ゴムラテックスの量は、前記セメント100質量部に対して、5〜30質量部であり、
前記速硬性セメント混和材の量は、前記セメント100質量部に対して、10〜100質量部である
ことを特徴とするラテックス改質速硬コンクリートを提案する。
本発明は、
セメント、粗骨材、ゴムラテックス、凝結遅延剤、及び速硬性セメント混和材を少なくとも含有してなり、
前記粗骨材の量は500kg/m以上であり、
前記ゴムラテックスの量は、前記セメント100質量部に対して、5〜30質量部であり、
前記凝結遅延剤の量は、前記セメント100質量部に対して0.1〜4質量部であり、
水セメント比が0.2〜0.65であり、
前記速硬性セメント混和材の量は、前記セメント100質量部に対して、10〜100質量部である
ことを特徴とするラテックス改質速硬コンクリートを提案する。
取扱性に優れたラテックス改質速硬コンクリートが得られる。
本発明の実施形態が、以下、説明される。
第1の本発明はラテックス改質速硬コンクリートの製造方法である。前記製造方法は、ラテックス改質速硬コンクリート非液体系構成材料の搬送工程と、ラテックス改質速硬コンクリート液体系構成材料の搬送工程と、第1混練工程と、第2混練工程とを具備する。前記ラテックス改質速硬コンクリート非液体系構成材料搬送工程は、少なくともセメント及び粗骨材が収納されている収納容器が、ラテックス改質速硬コンクリート使用現場(工事現場:打設現場)に、搬送される工程である。前記収納容器には、好ましくは、速硬性セメント混和材以外のラテックス改質速硬コンクリート非液体系構成材料が、構成材料種別に分離されて、規定量、収納されている。前記非液体系構成材料が、好ましくは、独立して(分離して:別々の収納室に)収納されている。構成材料種別に分離されて収納されている。特定の決められた配合量(規定量)の非液体系構成材料が収納されている。例えば、セメントはX質量部、粗骨材がY質量部、細骨材がZ質量部と言ったように、その配合量(或いは、配合割合と総量)が、前記収納容器に明記・収納されている。前記ラテックス改質速硬コンクリート液体系構成材料の搬送工程は、少なくともゴムラテックス及び水を構成要素とするラテックス改質速硬コンクリート液体系構成材料が、ラテックス改質速硬コンクリート使用現場に、搬送される工程である。ラテックス改質速硬コンクリート液体系構成材料としては、他にも、液状の凝結遅延剤が挙げられる。前記第1混練工程は、前記搬送工程で搬送されて来たラテックス改質速硬コンクリート構成材料中のセメント、粗骨材、ゴムラテックス、凝結遅延剤、及び水が、ラテックス改質速硬コンクリート使用現場に配されているミキサのドラム内に、供給・混練される工程である。前記第2混練工程は、前記第1混練工程による該混練物に前記搬送工程で搬送されて来た速硬性セメント混和材が供給・混練される工程である。前記粗骨材は500kg/m以上である。前記粗骨材は、好ましくは、800kg/m以上である。前記粗骨材は、好ましくは、1500kg/m以下である。前記ゴムラテックスは、前記セメント100質量部に対して、5〜30質量部である。好ましくは、10質量部以上である。好ましくは、20質量部以下である。前記ゴムラテックスは、好ましくは、スチレンブタジエンゴム系ラテックスである。前記速硬性セメント混和材は、前記セメント100質量部に対して、10〜100質量部である。好ましくは、30質量部以上である。好ましくは、70質量部以下である。前記速硬性セメント混和材は、好ましくは、カルシウムアルミネート類を主成分とする混和材である。前記凝結遅延剤は、前記セメント100質量部に対して、好ましくは、0.1〜4質量部である。より好ましくは、0.3質量部以上である。より好ましくは、3質量部以下である。W/Cは、好ましくは、0.2〜0.65である。より好ましくは0.25以上である。より好ましくは0.5以下である。
第2の本発明はラテックス改質速硬コンクリートである。前記ラテックス改質速硬コンクリートは、前記ラテックス改質速硬コンクリートの製造方法によって製造されてなるラテックス改質速硬コンクリートである。前記ラテックス改質速硬コンクリートは、セメント、粗骨材、ゴムラテックス、凝結遅延剤、及び速硬性セメント混和材を含有する。前記粗骨材の量は500kg/m以上である。好ましくは、800kg/m以上である。好ましくは、1500kg/m以下である。粗骨材の他にも、殆どの場合、細骨材を含有する。前記細骨材の量は、好ましくは、600〜1500kg/mである。前記ゴムラテックスは、前記セメント100質量部に対して、5〜30質量部である。好ましくは、10質量部以上である。好ましくは、20質量部以下である。前記ゴムラテックスは、好ましくは、スチレンブタジエンゴム系ラテックスである。前記速硬性セメント混和材は、前記セメント100質量部に対して、10〜100質量部である。好ましくは、30質量部以上である。好ましくは、70質量部以下である。前記速硬性セメント混和材は、好ましくは、カルシウムアルミネート類を主成分とする混和材である。前記凝結遅延剤は、前記セメント100質量部に対して、好ましくは、0.1〜4質量部である。より好ましくは、0.3質量部以上である。より好ましくは、3質量部以下である。W/Cは、好ましくは、0.2〜0.65である。より好ましくは0.25以上である。より好ましくは0.5以下である。前記ラテックス改質速硬コンクリートのスランプ値は、8〜24cmであった。特に、12cm以上であった。特に、22cm以下であった。
本発明においては、前記非液体系構成材料および前記液体系構成材料を混練する為、例えばミキサ(小型ミキサ)が用いられる。前記ミキサ(小型ミキサ)は、そのドラム内容積が、好ましくは1000L以下(好ましくは、500L以下。更に好ましくは、250L以下。もっと好ましくは、200L以下。好ましくは、50L以上。より好ましくは、100L以上。更に好ましくは、150L以上。)のものである。前記小型とは、ドラムが上記の如きのものを意味している。前記ミキサは前記ラテックス速硬改質コンクリート使用現場(工事現場:打設現場)に置かれている。すなわち、工事現場に設置されている。前記非液体系構成材料は、前記現場設置のミキサのドラム内に、前記搬送工程で搬送されて来た前記非液体系構成材料が、供給(投入)される。例えば、前記ドラム上に配された前記収納容器の底部側に設けられた閉鎖部が開かれる(解かれる)ことによって、前記収納容器内の非液体系構成材料が、構成種別毎に、順に、又は同時に、下方に、排出される。これによって、前記速硬性セメント混和材以外の非液体系構成材料がドラム内に供給(投入)される。水、ゴムラテックス、凝結遅延剤などの前記液体系構成材料が、前記ドラム内に供給(投入)される。前記混練工程は、前記ミキサの作動によって、前記ドラム内の材料が混練される工程である。混練後にラテックス改質速硬コンクリートが取り出される。作業終了後(前記ミキサ内の混練物が排出された後)、好ましくは、前記ミキサのドラム内が洗浄される。この洗浄は、例えば通常のドラム洗浄と同様に行われる。
上記のような手法でラテックス改質速硬コンクリートが製造された場合、次のような特長が奏される。ラテックス改質速硬コンクリートが、現場状況に合わせて、簡単に、製造される。例えば、トラックアジテータを用いなくても良い。この場合、トラックアジテータ使用の場合の問題点は、一切、起きない。例えば、トラックアジテータのドラム内でラテックス改質速硬コンクリートが製造された場合、ドラム内にラテックス改質速硬コンクリートが残存してしまう。ドラム内壁にラテックス改質速硬コンクリートが固着してしまう。この除去が大変である。しかしながら、上記手法によれば、打設作業終了後、前記ミキサのドラム内に水を投入して洗浄することで、斯かる問題点が改善される。トラックアジテータのドラム内でラテックス改質速硬コンクリートを製造する場合に比べて、そもそも、残存する速硬コンクリートの量が少ないから、残存速硬性コンクリートの処理・洗浄に要する手間が少ない。かつ、生コン工場からのベースコンクリートを用いないから、生コン工場が休みでも、かつ、近くに無い場合でも、問題は無い。
上記手法によれば、ラテックス改質速硬コンクリートの1回当たりの製造量は少量である。従って、1回の製造工程で製造されたラテックス改質速硬コンクリートを使い切るのに長時間を要さない。すなわち、打設に要する時間は短時間である。このことは、可使時間が短くて済む。と言うことは、即ち、可使時間を長くする必用が無いから、凝結遅延剤の量が少なくて済む。このことは、短時間でコンクリートの強度発現が実現する。道路の早期解放が実現される。社会的・経済的な寄与が高い。
本発明で用いられるセメントは、好ましくは、速硬性を有さない水硬性セメントである。速硬性を有さない水硬性セメントとは、混練開始から硬化までの時間が、例えば3時間を越えるものが挙げられる。例えば、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントが挙げられる。エコセメントが挙げられる。前記ポルトランドセメント(又は、エコセメント)に、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム又は石灰石微粉末等が混合された各種の混合セメントが挙げられる。前記セメントの一種であっても、二種以上のものであっても良い。カルシウムアルミネート類等の急硬成分を含有する急硬性セメントも速硬性を有さなければ、即ち、混練開始から硬化までの時間が3時間以内でなければ使用できる。太平洋セメント社製「ジェットセメント」(商品名)や住友大阪セメント社製「ジェットセメント」(商品名)等の超速硬セメントは含まれない。速硬性を有する水硬性セメントであっても、凝結遅延剤との併用で速硬性を有さなければ使用できる。
本発明で用いられる粗骨材は、通常コンクリートで使用される粗骨材であれば特に制限されるものではない。例えば、川砂利、陸砂利、砕石、人工粗骨材、スラグ粗骨材、再生粗骨材などが挙げられる。殆どの場合、粗骨材と併用して細骨材が使用される。細骨材としては、川砂、海砂、山砂、砕砂、人工細骨材、スラグ細骨材、再生細骨材、珪砂などが挙げられる。前記粗骨材の量は500kg/m以上である。好ましくは、800kg/m以上である。好ましくは、1500kg/m3以下である。粗骨材が500kg/m未満の場合、セメント量が増加することから、コンクリート本来の特徴が活かせない。すなわち、コンクリートとしての発熱が高くなる、収縮が大きくなる、コストが高くなるため好ましくない。前記細骨材の量は、好ましくは、800〜1500kg/mである。
本発明で用いられるゴムラテックスには、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスがある。合成ゴムラテックスとしては、例えば、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、メタクリル酸メチルブタジエンゴムなどが挙げられる。この中でスチレンブタジエンゴムが好ましい。前記ゴムラテックス量は、前記セメント100質量部に対して、5〜30質量部である。好ましくは、10質量部以上である。好ましくは、20質量部以下である。ゴムラテックス量が5質量部未満の場合、フレッシュ性状の改善、曲げ強度の増進、物質透過性の向上等のラテックス改質の効果が得られないため好ましくない。一方、30質量部を超えると液体系構成材料の比率が多くなりすぎて、コンクリートの強度低下、凝結遅延、粘性増加による仕上げ性の低下の恐れとともに、コストの増加のため好ましくない。
本発明で用いられる凝結遅延剤は、水硬性セメントの凝結に遅延作用を及ぼす。凝結遅延剤は、液状のもの、粉体状のものいずれでも構わないが、液状のものが好ましい。凝結遅延剤が液状のものを好ましいとしたのは、遅延効果が速やかに得られるからである。このような液状凝結遅延剤としては、例えばクエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸、又はその塩、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、リン酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等の無機塩、糖類などの群の中から選ばれる一種又は二種以上を含む液状(例えば、水溶液、エマルジョン、懸濁液の形態)のものが挙げられる。中でも、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸、酒石酸塩、アルカリ金属炭酸塩の群の中から選ばれる一種又は二種以上を含む水溶液が用いられると、ラテックス改質速硬性コンクリートの可使時間が長く、かつ、初期の強度発現が高いことから好ましい。ラテックス改質速硬性コンクリートの可使時間や初期強度発現性の観点から、液状凝結遅延剤中の有効成分が、ラテックス改質速硬性コンクリートに含まれる速硬性セメント混和材とセメントとの合計100質量部に対して、0.05〜2.0質量部であるよう液状凝結遅延剤が投入されることが好ましい。
本発明で用いられる速硬性セメント混和材は、混和から硬化までの時間が3時間以内となる粉体(粉粒)状の材(例えば、急硬材)である。好ましくは、混和から硬化までの時間が10分以上である。
前記速硬性セメント混和材は、例えばカルシウムアルミネート類、アルミン酸ナトリウム、仮焼明礬を含む明礬、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム等の急硬性物質の群の中から選ばれる一種又は二種以上を主成分とするものが好ましい。カルシウムアルミネート類、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウムの群の中から選ばれる一種又は二種以上を主成分とするものが更に好ましい。中でもカルシウムアルミネート類を主成分とするものが特に好ましかった。尚、カルシウムアルミネート類には、CaOをC、AlをA、NaOをN、FeをFで表示した場合、CA,CA,C12,C,CA,C又はCA等と表示される鉱物組成を有するカルシウムアルミネート、CAF,CAF等と表示されるカルシウムアルミノフェライト、カルシウムアルミネートにハロゲンが固溶又は置換したC・CaFやC11A7・CaF等と表示されるカルシウムフロロアルミネートを含むカルシウムハロアルミネート、CNAやC等と表示されるカルシウムナトリウムアルミネート、カルシウムリチウムアルミネート、アウイン(3CaO・3Al・CaSO)等のカルシウムサルホアルミネート、アルミナセメント、太平洋セメント社製「ジェットセメント」(商品名)や住友大阪セメント社製「ジェットセメント」(商品名)等の超速硬セメント、並びにこれらにSiO,KO,Fe,TiO等が固溶又は化合したもの等が含まれる。
速硬性セメント混和材には、上記の急硬性物質以外にも、セメント、混和材(混和剤)等の添加材の一種又は二種以上が本発明の特長が損なわれない範囲で併用されても良い。この種の添加材としては、例えば減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤等のセメント分散剤、速硬性を有してない水硬性セメント、凝結遅延剤、強度促進材、再乳化粉末樹脂、発泡剤、起泡剤、防水剤、防錆剤、収縮低減剤、増粘剤、保水剤、顔料、繊維、撥水剤、白華防止剤、消泡剤、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、石粉、シリカフューム、火山灰等が挙げられる。特に、セメント分散剤が併用されると、粉体状速硬性セメント混和材混合によるコンシステンシーの低下を抑えることが出来ることから好ましい。粉体状速硬性セメント混和材とセメントとの合計100質量部に対して、0.02〜2質量部のセメント分散剤が併用された場合、粉体状速硬性セメント混和材混合後の速硬性セメント混練物のコンシステンシーが添加前のベース混練物のコンシステンシーとほぼ同じ又は高まることから好ましい。硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩が用いられた場合、強度が高まることから好ましい。
速硬性セメント混和材の混和量は、好ましくは、セメント100質量部に対して、10〜100質量部である。急硬性の高い速硬性セメント混和材が使用されることから、速硬性セメント混和材の混和量が10質量部未満では、満足できるような速硬性が得られない。逆に、100質量部を越えた場合、速硬性セメント混和材の投入に要する時間が長くなる。速硬性セメント混練物製造後から打設可能な時間が短くなる。速硬性セメント混和材の更に好ましい混和量は、セメント100質量部に対して、20〜70質量部であった。
本発明にあっては、前記成分の他にも、必要に応じて、或いは本発明の特長が損なわれない程度において、各種の紛体(粉末)状の混和材や骨材の群の中から選ばれる一種又は二種以上の成分が含まれていても良い。この種の混和材としては、例えば減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤等のセメント分散剤、凝結遅延剤、増粘剤、膨張材、収縮低減剤、セメント用ポリマー(ゴムラテックス以外)、防水材、防錆剤、凍結防止剤、保水剤、顔料、繊維、撥水剤、白華防止剤、発泡剤、消泡剤、シリカフューム等のポゾラン微粉末、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末等の石粉、撥水剤、表面硬化剤等が挙げられる。急結剤(材)や急硬材(剤)も挙げられる。但し、急結剤(材)や急硬材(剤)は、その添加量が、ベース混練物が速硬性セメント混練物とならない範囲の添加量、即ち、混和(セメント、混和材及び水による混練開始)から硬化までの時間が3時間以内にはならない程度の場合である。
ミキサのドラムの回転によりラテックス改質速硬性コンクリートが製造される際、ドラムは3〜50r.p.m.(より好ましくは、10〜40r.p.m.)で回転することが好ましい。3r.p.m.以上とした場合、混練がスムーズに行われる。更に、ラテックス改質速硬性コンクリートの製造完了から硬化するまでの時間が短くなったり、或いはドラム内で硬化してしまうと言った恐れがなくなる。その結果、ラテックス改質速硬性コンクリートの打設を行えなくなると言った問題が起きない。50r.p.m.以下の場合には、混練物がドラムの内壁からスムーズに落下した。従って、混練が不充分となる恐れが解消された。ドラム回転による混合時間は、好ましくは、1〜30分である。30分を越えて長すぎた場合、ラテックス改質速硬性コンクリート製造後から打設可能な時間が短くなり、経済的では無い。かつ、CO排出量が増える。逆に、1分未満の短すぎた場合には、混練が不充分となる虞が有る。
前記非液体系コンクリート構成材料が収納される収納容器は、好ましくは、吊具を具備する。前記吊具によって、前記収納容器は、例えば前記地上に置かれた小型ミキサのドラム上に、吊り上げられる。前記収納容器は、好ましくは、その底部側に開閉部を具備する。そして、前記ドラム上に吊り上げられた前記収納容器は、その底部側に設けられた閉鎖部が開かれることによって、前記収納容器内の前記非液体系コンクリート構成材料が、構成種別毎に、順に、又は同時に、下方に、排出されるよう構成されている。
前記収納容器は、例えば袋(梱包袋)である。前記袋は、構成材料種別に分離収納できる収納機構を有する。全ての収納物が落下排出される排出機構を具備する。前記袋内に、予め計量された非液体系コンクリート構成材料が入れられる。例えば、セメントと、骨材とは、分離して、入れられる。骨材に付着(含有)された水分によるセメントに対する悪影響を防止する為、好ましくは、セメントと骨材とは分離収納される。セメントに悪影響を与えない非液体系コンクリート構成材料が用いられる場合、この非液体系コンクリート構成材料はセメントと共に入れられても良い。影響を与えるか否かが不明な場合、出来るだけ、分離収納されることが好ましい。骨材が前記袋内に分離収納されていると、前記骨材の含有(付着)水分は消失(乾燥)し難い。従って、前記骨材の品質低下防止にも役立つ。セメントが前記袋内に分離収納されていると、前記セメントと空気中の水分(湿気)との結合が起き難い。従って、前記セメントの品質低下防止にも役立つ。このように、非液体系コンクリート構成材料の各成分が前記袋内に分離・収納されていることによって、前記成分の品質低下が防止される。本発明にあっては、セメントや粗骨材のドラム内への投入時期と、速硬性セメント混和材のドラム内への投入時期とは、異なっている。従って、速硬性セメント混和材は、セメントや粗骨材を収納している収納容器には、収納されていない。勿論、投入(開封)時期をずらせる構造の収納容器ならば、一体型の収納容器を用いることも出来る。しかしながら、間違えて両者の投入(開封)時期を同時に行う恐れも考えられることから、出来れば、セメントや粗骨材を収納している収納容器と、速硬性セメント混和材を収納している収納容器とは、別体構造のものが好ましい。
前記収納容器(袋:梱包袋)は、例えば次の構造を持つ。前記袋(外袋)は、下側が、例えば紐で縛られている。前記紐が解かれると、前記袋(外袋)内の物質(例えば、骨材)は、下方に、落下する。前記袋(外袋)の下方側の閉鎖手段は、前記紐に限られない。適宜な手法が採用される。前記袋(外袋)は、その内部に、内袋を持つ。前記内袋は、前記外袋に、連結されている。従って、前記紐が解かれ、前記外袋内の物質が落下しても、前記内袋自体は落下しない。勿論、内袋内の物質の落下は妨げられない。前記内袋は、前記外袋の上部に、存在する。規定量(計量された規定量)の骨材が、前記外袋の内部(特に、下方側の内部)に、収納される。前記外袋内に収納された骨材の上部に、前記内袋は接して置かれている。前記内袋内に、例えばセメントが収納されている。前記内袋は下方側が開口状である。紐で縛られているにしても、多少の力が作用すると、この紐は簡単に解ける。従って、解けた開口から、内部の物質(セメント等)は、落下する。前記下方側開口は二つに折られたりしている。従って、紐で縛られてなくても、前記骨材上に前記内袋が置かれている場合、前記内袋内の物質(セメント等)と前記内袋外の物質(例えば、骨材)とは、分離・遮断されている。従って、前記内袋外の骨材含有(付着)水分が前記内袋内のセメントに悪影響を及ぼし難い。前記外袋の下方部を縛っている紐が解かれた場合、先ず、外袋内の下方部に存する骨材が落下する。多少の時間を置いて、内袋内のセメントや混和材が落下し始める。上記においては、内袋にセメントが収納された例である。しかし、外袋内の下方部にセメントが収納され、内袋内に骨材が収納されていても良い。この場合には、セメントや混和材の落下に次いで、骨材の落下が始まる。
前記内袋は、非液体系コンクリート構成材料の成分数に応じて、設けられる。非液体系コンクリート構成材料の成分数がMであると、内袋の数は(M−1)個であっても良い。内袋がN(Nは2以上の整数)個の場合、第(N−1)の内袋の中に、第Nの内袋が存在する構造が考えられる。或いは、N個の内袋が、前記外袋の中に、同等に、存する場合が考えられる。何れの形態であっても良い。前記N,Mは自然数である。
上記においては、外袋内に内袋が存する二重構造形態の袋であった。しかし、袋内部に仕切部材が設けられている形態でも良い。この場合、袋下方部を縛っている紐が解かれると、全ての収納物が、一度に、落下する。例えば、セメントと骨材とは、同時に、落下する。同時落下の場合、順に落下する場合よりも、セメントと骨材との混合効率が高いとも言える。
小型ミキサのドラム(ドラム開口)上に搬送(吊り上げられた)された前記袋の下方部が開かれると、前記袋内の非液体系コンクリート構成材料が落下する。この落下して来た非液体系コンクリート構成材料を前記ドラムは受け取る。前記ミキサは地面に接地している。前記袋を持ち上げる高さは低い。従って、非液体系コンクリート構成材料をドラム内に供給する作業性は良い。
以下、更に具体的な実施例が説明される。但し、本発明は以下の実施例によって限定されるものでは無い。
セメントと粗骨材と細骨材とが分離収納される収納容器(袋:梱包袋)が用いられた。前記袋には、規定量のセメントと、規定量の粗骨材と、規定量の細骨材とが、別々に、分離して、収納されている。前記袋が、例えばトラック等の車輛で、工事現場(ラテックス改質速硬コンクリート打設現場)に搬送された。前記袋には、リフト用の吊具が設けられている。この吊具にフック等が掛かって、前記袋が持ち上げられる。前記袋の下方部は紐で結ばれている。紐が解かれることによって、内部の収納物が外部に落下する。
ラテックス改質速硬コンクリートの製造に必要な液体(水、液状の凝結遅延剤、ゴムラテックス等)が、前記工事現場に、搬送された。
前記工事現場には、ドラム内容積が500Lの小型ミキサが設置(配置)されている。
前記工事現場に搬送された前記袋が前記小型ミキサのドラムの開口上に持ち上げられ、前記紐が解かれた。これによって、袋内部のセメントと粗骨材と細骨材とは、下方に、落下し、ドラム内に投入された。又、前記搬送された規定量の水と規定量の液状凝結遅延剤と規定量のゴムラテックスとが、ドラム内に投入された。前記投入後(或いは、投入中から)、前記小型ミキサの作動によって、前記ドラム内の材料が、所定時間、混練された。
前記所定時間の混練後、速硬性セメント混和材が、前記ドラム内に、投入された。前記投入後(或いは、投入中から)、前記小型ミキサの作動によって、前記ドラム内の材料が、所定時間、混練された。
このようにしてゴムラテックス改質速硬コンクリートが得られた。このゴムラテックス改質速硬コンクリートが、前記小型ミキサから、排出された。この排出されたゴムラテックス改質速硬コンクリートが、必要個所に、打設された。
前記ゴムラテックス改質速硬コンクリートを用いた工事(打設)が終了すると、前記小型ミキサのドラム内は殆ど空になっている。従って、ドラム内に水を投入して、ドラムの洗浄が行われた。ドラム内に前記ゴムラテックス改質速硬コンクリートが残存している場合、残存物が取り出されてから、ドラム洗浄が行われる。骨材を少量入れて一緒に攪拌すると、洗浄力が向上した。ドラムに残コンの付着がある場合は、木槌やゴム槌でドラムを軽く叩くことで簡単に落とせた。
上記のようにして得られたゴムラテックス改質速硬コンクリートの諸特性(スランプ値、空気量、圧縮強度、曲げ強度、乾燥収縮、質量変化率など)が表に示される。得られたゴムラテックス改質速硬コンクリートは、取扱い易く、速硬性を有する高品質のコンクリートであった。


Figure 0006313130

Claims (3)

  1. ラテックス改質速硬コンクリートの製造方法であって、
    前記方法は、
    少なくともセメント及び粗骨材が収納されている収納容器が、ラテックス改質速硬コンクリート使用現場に、搬送されるラテックス改質速硬コンクリート非液体系構成材料の搬送工程と、
    少なくともゴムラテックス及び水を構成要素とするラテックス改質速硬コンクリート液体系構成材料が、ラテックス改質速硬コンクリート使用現場に、搬送されるラテックス改質速硬コンクリート液体系構成材料の搬送工程と、
    前記搬送工程で搬送されて来たラテックス改質速硬コンクリート構成材料中のセメント、粗骨材、ゴムラテックス、凝結遅延剤、及び水が、ラテックス改質速硬コンクリート使用現場に配されているミキサのドラム内に、供給・混練される第1混練工程と、
    前記第1混練工程の後、該混練物に速硬性セメント混和材が供給・混練される第2混練工程
    とを具備してなり、
    前記粗骨材の量は500kg/m以上であり、
    前記ゴムラテックスの量は、前記セメント100質量部に対して、5〜30質量部であり、
    前記速硬性セメント混和材の量は、前記セメント100質量部に対して、10〜100質量部であり、
    前記収納容器には、速硬性セメント混和材以外のラテックス改質速硬コンクリート非液体系構成材料が、構成材料種別に分離されて、規定量、収納されている
    ラテックス改質速硬コンクリートの製造方法。
  2. ゴムラテックスがスチレンブタジエンゴム系ラテックスである
    請求項1のラテックス改質速硬コンクリートの製造方法。
  3. 速硬性セメント混和材がカルシウムアルミネート類を主成分とする混和材である
    請求項1又は請求項2ラテックス改質速硬コンクリートの製造方法。
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