JP6312556B2 - 有機ドーパント化合物およびそれらを用いた有機電界発光素子 - Google Patents
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Description
また有機ELにおいても電子輸送層に添加すると、発光特性がよくなることも分かっている(特許文献4)。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、有機ドーパント化合物として使用された場合に、有機半導体材料に良好な電気伝導性を付与することが可能であり、良好な保存安定性を有し、特に有機電界発光素子に良好な発光特性を付与することが可能な化合物を提供することを目的とする。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の化合物は、上記一般式(1)であらわされる。
本発明の化合物は水素放出型の化合物であり、水素を放出したカルボカチオンもしくはカルボラジカルに電子供与性の置換基(非共有電子対を持つ置換基および原子)が近接すること、または配位することでより高い放出性(ドープ性能)、安定性を付与することができる。すなわち上記一般式(1)で表わされる化合物をドーパントに用いれば、2位の水素が放出された際に残るカチオンもしくはラジカルに上記一般式(1)中のYが近接すること、または配位することで電子供与し安定化する。
置換基を有するアルキル基とは、アルキル基の水素原子の1または2以上が、他の置換基で置換されている基であり、置換基としては、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、アミノ基、アルコキシ基等が例示される。
置換基を有するアリール基とは、アリール基の水素原子の1または2以上が、他の置換基で置換されている基であり、置換基としては、アルキル基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、アミノ基、アルコキシ基等が例示される。
置換基を有するヘテロアリール基とは、ヘテロアリール基の水素原子の1または2以上が、他の置換基で置換されている基であり、置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、アミノ基、アルコキシ基等が例示される。
上記式(1)中、Yは非共有電子対をもつ原子で窒素、酸素、硫黄原子のいずれかを表す。Yが窒素原子、酸素原子、硫黄原子のいずれかであることにより、式(1)の化合物が水素を放出したカルボカチオンもしくはカルボラジカルが安定する傾向にある。これによりドープ性能が増加し、有機半導体材料等への電気伝導性の付与効果が向上する。Yは、窒素原子であることが好ましい。
式(2)におけるR1〜R4、R7〜R10、R11〜R14の好ましい形態は、一般式(1)におけるR1〜R4、R7〜R10の好ましい形態と同じである。
本発明の化合物の製造方法は、特に限定はされないが、2−フェニル−1H−ベンゾ [d]イミダゾール等の2−アリール−1H−ベンゾ [d]イミダゾールとトリアルキルボレート等のアルキルボレート化合物とを反応することにより、2−アリール−1H−ベンゾ [d]イミダゾールのアリール基のオルト水素原子をボロネート基で置換し(工程1)、該化合物とブロモへテロアリール化合物等のハロゲンヘテロアリール化合物とを反応してボロネート基をヘテロアリール基に置換し(工程2)、該化合物のイミダゾール環の3位の窒素をハロゲン化アルキル化合物、または超原子価ハロゲン化ヘテロアリール化合物で4級化し(工程3)、該化合物のイミダゾール環を還元することにより(工程4)、製造することが好ましい。
上記反応触媒は、それぞれの工程の原料であるイミダゾール化合物1モルに対して、0.01〜10モル使用することが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、本発明の化合物を含む。通常、本発明の化合物は、有機半導体層に含まれる。
本発明の有機電界発光素子は、少なくとも、陰極と、陽極と、陰極と陽極の間に存在する発光層を有する。
本発明の有機電界発光層は、上記のほかに、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、バッファー層、基板などを有することができる。
第1の電極の平均厚さは、特に制限されないが、10〜500nmであることが好ましく、より好ましくは、100〜200nmである。第1の電極の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
本発明の有機電界発光素子の第1の電極は、陰極であることが好ましい。
上記第2の電極の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、30〜150nmである。また、不透過な材料を用いる場合でも、例えば平均厚さを10〜30nm程度にすることで、透明型の電極として使用することができる。
本発明の有機電界発光素子の第2の電極は、陽極であることが好ましい。
発光層の材料としては、例えば、配位子に2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸を持つ3配位のイリジウム錯体、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、8−ヒドロキシキノリン アルミニウム(Alq3)、トリス(4−メチル−8キノリノレート) アルミニウム(III)(Almq3)、8−ヒドロキシキノリン 亜鉛(Znq2)、(1,10−フェナントロリン)−トリス−(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−ブタン−1,3−ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)3(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン プラチナム(II)のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)のようなベンゼン系化合物、ナフタレン、ナイルレッドのようなナフタレン系化合物、フェナントレンのようなフェナントレン系化合物、クリセン、6−ニトロクリセンのようなクリセン系化合物、ペリレン、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−3,4,9,10−ペリレン−ジ−カルボキシイミド(BPPC)のようなペリレン系化合物、コロネンのようなコロネン系化合物、アントラセン、ビススチリルアントラセンのようなアントラセン系化合物、ピレンのようなピレン系化合物、4−(ジ−シアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)のようなピラン系化合物、アクリジンのようなアクリジン系化合物、スチルベンのようなスチルベン系化合物、4,4’−ビス[9−ジカルバゾリル]−2,2’−ビフェニル(CBP)のようなカルバゾール系化合物、2,5−ジベンゾオキサゾールチオフェンのようなチオフェン系化合物、ベンゾオキサゾールのようなベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾイミダゾールのようなベンゾイミダゾール系化合物、2,2’−(パラ−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール系化合物、ビスチリル(1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン)、テトラフェニルブタジエンのようなブタジエン系化合物、ナフタルイミドのようなナフタルイミド系化合物、クマリンのようなクマリン系化合物、ペリノンのようなペリノン系化合物、オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、アルダジン系化合物、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン(PPCP)のようなシクロペンタジエン系化合物、キナクリドン、キナクリドンレッドのようなキナクリドン系化合物、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジンのようなピリジン系化合物、2,2’,7,7’−テトラフェニル−9,9’−スピロビフルオレンのようなスピロ化合物、フタロシアニン(H2Pc)、銅フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、さらには特開2009−155325号公報および特願2010−28273号に記載のホウ素化合物材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記発光層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100nmである。発光層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
上記基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、トップエミッション型の場合には、不透明基板も用いることができ、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等も用いることができる。
上記基板の平均厚さは、0.1〜30mmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜10mmである。
基板の平均厚さはデジタルマルチメーター、ノギスにより測定することができる。
本発明の有機電界発光素子が正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、40〜100nmである。 正孔輸送層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子が電子輸送層を有する場合、電子輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、40〜100nmである。電子輸送層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子が電子注入層を有する場合、電子注入層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、2〜100nmである。電子注入層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。本発明の有機電界発光素子が正孔注入層を有する場合、正孔注入層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、5〜50nmである。正孔注入層の水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
上記バッファ層の材料である有機化合物を含む溶液を塗布する方法は特に制限されず、スピンコート法、キャスティング法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布方法を用いることができる。この中でも、スピンコート法が好ましい。 上記有機化合物を含む溶液を調製するために使用する溶媒としては、有機化合物を溶解することができるものである限り特に制限されないが、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、THF、トルエン、クロロホルム、ジクロロエタンが好ましい。
〔製造例1〕:1−メチル−2−フェニル−1H−ベンゾ [d]イミダゾールの製造
以下の反応式により、1−メチル−2−フェニル−1H−ベンゾ [d]イミダゾールを合成した。
1H−NMR(400MHz、CDCl3)δ=7.8−7.83(1H),7.74−7.77(2H),7.49−7.53(3H),7.37−7.39(1H),7.28−7.33(2H),3.86(3H)
〔製造例2〕:1−メチル−2−(2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールの製造
以下の反応式により、1−メチル−2−(2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールを合成した。
1H−NMR(400MHz、CDCl3)δ=7.82−7.84(1H),7.75−7.77(1H),7.47−7.51(3H),7.34−7.37(1H),7.24−7.31(2H),3.67(3H),1.10(12H)
〔製造例3〕:1−メチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)4−1H−ベンゾ [d]イミダゾールの製造
以下の反応式により、1−メチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)4−1H−ベンゾ [d]イミダゾールを合成した。
1H−NMR(400MHz、CDCl3)δ=8.59(1H),7.88(1H),7.82(1H),7.68(1H),7.65(1H),7.55(1H),7.35(1H),7.24−7.31(2H),7.16(1H),7.10(1H),6.94(1H),3.06(3H)
〔製造例4〕:1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ [d]イミダゾール−3−イウムヨージドの製造
以下の反応式により、1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ [d]イミダゾール−3−イウムヨージドを合成した。
1H−NMR(400MHz、CDCl3)δ=8.22(1H),8.02(1H),7.83−7.90(3H),7.82(1H),7.76−7.79(3H),7.63−7.66(2H),7.12(1H),3.60(6H)
〔製造例5〕:1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ [d]イミダゾール(Py−DMBI)の製造
以下の反応式により、1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ [d]イミダゾール(Py−DMBI)を合成した。
1H−NMR(400MHz、CDCl3)δ=8.61(1H),8.02(1H),7.66(1H),7.49(1H),7.45(1H),7.37(2H),7.21(1H),6.64(2H),6.31(2H),5.34(1H),2.49(6H)
(有機電界発光素子の作製)
[実施例1]
[1]市販されている平均厚さ0.7mmのITO電極層付き透明ガラス基板を用意した。この時、基板のITO電極(第1の電極)は幅2mmにパターニングされているものを用いた。この基板をアセトン中、イソプロパノール中でそれぞれ10分間超音波洗浄後、イソプロパノール中で5分間煮沸した。この基板をイソプロパノール中から取り出し、窒素ブローにより乾燥させ、UVオゾン洗浄を20分行った。
[2]この基板を、亜鉛金属ターゲットを持つミラトロンスパッタ装置の基板ホルダーに固定した。約1×10−4Paまで減圧した後、アルゴンと酸素を導入した状態でスパッタし、膜厚約2nmの酸化亜鉛層を作成した。この時にメタルマスクを併用して、電極取り出しのためITO電極の一部は酸化亜鉛が成膜されないようにした。これを大気中、400℃にセットしたホットプレートで1時間焼成することにより、酸化亜鉛層を形成した。
[3]2,7−ビス(6−(2−(5H−ジベンゾ[b,d]ボロール−5−イル)フェニル)ピリジン−3−イル)−9,9‘−スピロビ[フルオレン](以下、「ホウ素化合物1」という)。ホウ素化合物1は、特許文献2を参考に製造した。文献中の該化合物は2,7−ビス(3−ジベンゾボロリル−4−ピリジルフェニル)−9,9’−スピロフルオレンと表記されている。)の1.0%、Py−DMBIの0.01%の1,2−ジクロロエタン混合溶液を作成した。工程[2]で作成した酸化亜鉛薄膜付き基板をスピンコーターにセットした。この基板上にホウ素含有化合物1、Py−DMBI混合溶液を滴下し、毎分3000回転で30秒間回転させ、ホウ素含有有機化合物を含む第2層を形成した。さらに、これを窒素雰囲気下125℃にセットしたホットプレートで2時間アニール処理を施した。第2層の平均厚さは30nmであった。
[4]第2層まで形成した基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト)亜鉛(II)
(ZnBTZ2)、イリジウムトリス(1−フェニルイソキノリン)(Ir(piq)3)、N,N'−ジ(1−ナフチル)−N,N'−ジフェニル−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン(α−NPD)をそれぞれアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。真空蒸着装置内を約1×10−5Paまで減圧し、ZnBTZ2をホスト、Ir(piq)3をドーパントとして20nm共蒸着し、発光層を成膜した。この時、ドープ濃度はIr(piq)3が発光層全体に対して6重量%となるようにした。次に、α−NPDを30nm蒸着し、正孔輸送層を成膜した。
[5]次に三酸化モリブデン、アルミニウムをアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。真空蒸着装置内を約1×10−5Paまで減圧し、三酸化モリブデンを膜厚10nmになるように蒸着した。次にアルミニウムを膜厚100nmになるように蒸着し、有機電界発光素子(1)を作製した。アルミニウムを蒸着する時、ステンレス製の蒸着マスクを用いて蒸着面が幅2mmの帯状になるようにした。すなわち、作製した有機電界発光素子の発光面積は4mm2とした。ITO−アルミニウム間に電圧を印加し発光させ、素子の電圧電流特性、電圧輝度特性を測定した。図6、7に特性図を示す。電流電圧はケースレー社製ソースメーター2400 、輝度測定はコニカミノルタ製のLS−100を使用した。
Py−DMBIを1,2−ジクロロエタンに溶解し1%溶液とした。この溶液をサンプル管に3ml入れ密閉し、室温大気下3日間放置した。3日後溶液は無色透明のままであった。
実施例1の第2層においてPy−DMBIに代えて、N−DMBIを用いた以外は実施例1と同様にして、比較有機電界発光素子(1)を作製した。図6、7に特性図を示す。
N−DMBIを1,2−ジクロロエタンに溶解し1%溶液とした。この溶液をサンプル管に3ml入れ密閉し、室温大気下3日間放置した。3日後溶液は褐色に着色し、一部不溶物が析出していた。
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- 請求項1および2記載の化合物を用いた有機電界発光素子。
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