JP6312018B2 - タイル剥がし工具及びタイル剥がし方法 - Google Patents
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Description
このタイル剥がし工具201は、薄いへら状の縦長の本体210を有する。本体210の一面の、先端からやや内寄りの部分には、てこの支点となる突起部213が、横方向に延びるように形成されている。この突起部213の先端側の面、及び、突起部213が形成された面の反対側の面の先端の面には、硬質粒体(例えばダイヤモンド粒子)が付着した高摩擦抵抗層214、215が形成されている。
まず、剥がすべきタイルTの周囲の目地Jに、ダイヤモンドカッター等で溝Sを形成しておく。なお、目地材を全く使わない工法で貼り付けたタイルの場合は、この工程は不要である。次に、タイル剥がし工具201を、突起部213がタイルと反対側となるように向けて、先端を溝Sに差し込み、突起部213を目地Jの表面に当接させる。そして、タイル剥がし工具の本体210を、突起部213を支点として、突起部213の側に回動させる。この際、突起部213は高摩擦抵抗層214で目地Jに当接しているので、支点の位置はずれない。すると、本体210の突起部213から先の部分は、矢印Wの方向に回動し、タイルTに基体Bの表面に対して平行な力Xと、同面と直交する方向の力Yがかかり、タイルTが基体Bから分離する。この際、本体210の先端の高摩擦抵抗層215がタイルTの側面に当接しているので、両者の間に滑りなどが生じず、本体210を回動させる力を損失なくタイルTを分離する力に伝えることができる。
レバーは、略コの字状、あるいはチャンネル状とすることができる。
長さ可変支持部材でブロックを支持すると、剥がされるタイルに隣接するタイルが存在しない場合にも、当て板長さ調整固定具を基体の表面に支持することができ、レバーを安定に回動させることができる。
長さ可変支持部材は、例えば、締結部材とすることができる。つまり、複数の締結部材の内のいくつかを長さの長いものとして、ブロックから垂下した部分で、ブロックを基体に支持することができる。
図1、図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るタイル剥がし工具を説明する。図1は、タイル剥がし工具の斜視図、図2(A)は、タイル剥がし工具の側面図であり、図2(B)は、図2(A)のA部を拡大した図である。
タイル剥がし工具1は、タイルの一方の側壁に当てられるレバー10と、タイルの他方の側壁に当てられる当て板30と、レバー10に回転モーメントを加える取っ手60(モーメント付与部材)とを主に備える。レバー10と当て板30とで、剥がすべきタイルの対向する側壁を挟み、取っ手60を回動させることにより、レバー10がてこの作用をして、挟まれたタイルが剥がされる。
レバー10は、断面形状が略コの字状の板材であって、二枚の対向板部11、12と、これらの対向板部とほぼ直角の屈曲部で接続する中央板部13とを有する。対向板部は長さが異なっており、一方の対向板部11が短く、もう一方の対向板部12は長く形成されている。両対向板部11、12の幅方向の中心には、同軸上を延びる円形の孔15が開けられている。両孔15には、図1、図2(A)に示すように、取っ手60が挿通される。取っ手60は、例えば、円形のパイプとすることができる。取っ手60の、長い方の対向板部12から突き出た端部には、抜け止めのキャップ61が取り付けられている。図2(A)に示すように、取っ手60と、レバー10の対向板部11、12とはほぼ直交した姿勢に固定される。
当て板30は、断面形状がL字状の板材であり、タイルのもう一方の側壁に当てられる短板部31と、タイルの表面に沿う長板部(表面沿い部)32とを有する。短板部31の先端部の両面には、高摩擦抵抗粒子が付着した層が形成されている。高摩擦抵抗粒子は、レバーと同様に、例えばダイヤモンド粒子等の硬質粒子であり、溶着や電着により付着している。この、短板部31の高摩擦抵抗先端部33が、剥がされるタイルのもう一方の側壁に当てられる当て部(当て板側当て部)となる。高摩擦抵抗先端部33の長さL1は、この例では10mmである。
当て板長さ調整固定具40は、図2(B)に示すように、当て板30の長片部35の端部(反当て部側端部)が載るブロック41と、反当て部側端部をブロック41に挟む挟み板45と、反当て板側端部を、挟み板45とブロック41との間に挟んで締結する締結部材55とを備える。
当て板30の各長片部35の端部は、挟み板45及びブロック41の傾斜面の側から、挟み板45の角孔48を通って、挟み板45の上片46とブロック41の上面41aとの間に挟まれて、ボルト55により固定されている。この状態で、ブロック41の角(傾斜面41cと下面41bとの間の角)を挟み板45の先端を介して、レバー10の長い方の対向板部12の反タイル側の面に当接させると、レバーと当て板の両当て部19、33間の間隔L3が決定される。ボルト55を緩めると、挟み板45とブロック41は長片部35に沿ってスライド可能となる。
当て板長さ調整固定具40は、当て板30の長片部35の先端付近に、ボルト55で軽く仮止めしておく。また、当て板30の当て部33をレバー10から離れる方向にスライドさせて、両当て部33、19間の間隔L3をできるだけ広くしておく(図2の状態)
そして、図5(B)に示すように、タイルTの一方の側壁側の目地Jに形成された溝Sに、レバー10の当て部19を先端まで挿入する。この際、レバー10の開口17に通された当て板30と、当て板30に組み付けられている当て板長さ調整固定具40は、隣接するタイルの上面に乗るようにしておく。
さらに、取っ手60の握り部60aの中心とレバー10の対向板部12との距離L5を、例えば500mmとすれば、支点P1からの距離が、レバー10の当て部19の長さL1の50倍以上となり、当て部19の面からの回動力Wは、手回し力の50倍以上となる。
この例では、剥がすべきタイルの周囲に目地や他のタイルが存在しない場合に適用できる工具について説明する。
この工具は、図1等のタイル剥がし工具1とほぼ同様の構造を有するが、当て板長さ調整固定具をタイルの代替として使用するために、同固定具の構造が異なる。以下、当て板長さ調整固定具の、図1の固定具との相違点のみを、図7を参照して説明する。図7(A)は側面図、図7(B)は背面図である。
まず、図8(A)に示すように、剥がされるタイルTの一方の側壁に、レバー10の当て部19を当てる。次に、当て板30を、当て部33がタイルTのもう一方の側壁に達するまで、レバー10に対してスライドさせる。これにより、タイルTが、レバー10の当て部19と当て板30の当て部33との間に挟まれる。
このタイル剥がし工具1Aも、タイルの一方の側壁に当てられるレバー10と、タイルの他方の側壁に当てられる当て板30と、レバーに回転モーメントを加える取っ手60(モーメント付与部材)とを主に備える。ただし、図1のタイル剥がし工具と比べて当て板の構造が異なり、それに伴ってレバーの構造もやや異なる。以下、当て板の構造を主に説明する。
この例の当て板30も、断面形状がL字状の板材であり、長さの短い短板部31と、長さの長い長板部32とを有する。短板部31の先端部は、図1の工具の当て板と同様に、ダイヤモンド粒子の溶着層からなる高摩擦抵抗粒子が付着しており、剥がされるタイルのもう一方の側壁に当てられる当て部33となっている。
長板部31の先端部の両側にはネジ孔39が開けられている。各ネジ孔39には、図10(A)、図10(C)に示すように、下面からボルト111が螺合している。このボルト111は、当て板30の長板部32の、隣接するタイルの表面からの高さを調整するためのものである。
レバー10の長い方の対向板部12の先端部は、図1の工具のレバーと同様に、ダイヤモンド粒子の溶着層からなる高摩擦抵抗粒子が付着しており、剥がされるタイルの側壁に当てられる当て部19となっている。この当て部19の上方には、複数(この例では3個)のネジ孔が、幅方向にわたって等間隔で開けられている。これらのネジ孔には、外側からボルト113が螺合している。図10(B)に示すように、ボルト113のヘッドの側面の一部113aは、上から下に向かってやや外方向に湾曲した面となっている。レバー10の長い方の対向板部12が当て板30のスリット37に挿入された際、ボルト113の湾曲側面113aが、当て板30の長板部32の上面に当接する。
この工具は、図1の工具の当て板長さ調整固定具を備えていない。このため、レバー10の対向板部12が挿通されるスリット37の位置によって、当て板30の実質的な長さ(レバーの当て部19と当て板の当て部33との間隔)が調整される。したがって、まず、当て板30の当て部33からの距離が、剥がされるタイルTの長さとほぼ同じ位置にあるスリット37に、レバー10の対向板部12を挿入する。そして、図12(A)に示すように、タイルTの周囲の目地Jに形成した溝Sに、レバーの当て部19と当て板の当て部33とを挿入する。このとき、図12(B)に示すように、当て板30の先端部の両側に螺合したボルト111のヘッドが、隣接するタイルの表面に当接する。
このタイル剥がし工具は、図16・17に示すように、以下の主要部材を備える。
(1)タイルTの一方の側壁Tbに当てられる当て部319(レバー側当て部)、及び、該レバー側当て部319からタイルTの表面に対して直立するように立ち上がるレバー部311を有する剥がしレバー310
(2)タイルTの他方の側壁Tdに当てられる当て部333(当て板側当て部)、及び、該当て板側当て部333から屈曲して前記タイルTの表面Tcに沿うように延びる表面沿い部332を有する当て板330
(4)同じく、チャック式当て板長さ調整固定具369の1部材としての板バネ380
(5)同じく、チャック式当て板長さ調整固定具369の1部材としてのブロック押えレバー370
頂部383の先は、直線的にやや低くなったあとで、斜め上に直線的に折り曲げられた折り上げ部381となっている。この折り上げ部381は、図17に示す当て板長さ調整固定具369の解除位置(二点差線)において、ブロック押えレバー370の回転ストッパ機能とスリット377からバネ頂部383が抜け出しにくいように角度付けされている。
ア)剥がしレバー310の開口317(図19)に、当て板330の長片部335を通す。この際、剥がしレバー側当て部319と当て板側当て部333とを対向させる。
イ)板バネ380を、その窓387(図22)に「当て板長片部」335を通しながら、図17の右側から差し込む。
ウ)ブロック341を「当て板長片部」335上において、ブロック341のスリット341j(図21)を板バネ380に通しながら、図17の奥側から手前側に差し込む。
エ)ブロック押えレバー370を、そのスリット377(図23)に板バネ380の折り上げ部381・頂部383を通して、板バネ380に係合させる。
オ)図16に示すように、コイルスプリング395(左右2個)を剥がしレバー310の左右の小穴318と板バネ380の小穴400の間に掛け渡す。取手パイプ360を剥がしレバー310の上部に取り付ける。
まず、図18(A)に示すように、ダイヤモンドカッターなどを用いて、剥がしたいタイルTの両側の目地に切り込みVを入れる。
10 レバー 11、12 対向板部
13 中央板部 15 孔
17 開口 19 高摩擦抵抗先端部(当て部)
30 当て板 31 短板部
32 長板部(表面当て部) 33 高摩擦抵抗先端部(当て部)
35 長片部 37 スリット
39 ネジ
40 当て板長さ調整固定具 41 ブロック
43 ネジ孔 45 挟み板
46 上片 47 傾斜片
48 角孔 49 丸孔
51、53 高摩擦抵抗層 55、56 締結部材(ボルト)
111 ボルト 113 ボルト
310;剥がしレバー、311;柄部、313;リブ、315;穴、316;単板部、
317;開口、319;レバー側当て部、318;小穴
330;当て板、331;短板部、332;長板部(表面沿い部)、
333;当て板側当て部、335;長片部、
341;ブロック、341a;溝、341b;上面、341c;肉残り部、
341d;傾斜部、341f;先端部、341h;底面、341j;スリット、
341k;奥、341m;他方の長辺、341n;一方の短辺、
360;取手パイプ、369;チャック式当て板長さ調整固定具
370;ブロック押えレバー、371;柄部、373;ヘラ部、375;下折れ部
377;スリット、379;先端
380;板バネ、381;折り上げ部、383;頂部、385;アール部、
386;鉛直平面部、387;窓、389;底部、395;コイルスプリング
Claims (7)
- 基体に貼られたタイルを剥がす工具であって、前記タイルの一方の側壁に当てられる当て部(レバー側当て部)、及び該レバー側当て部から延びるレバー部を有するレバーと、
前記タイルの他方の側壁に当てられる当て部(当て板側当て部)、及び該当て板側当て部から屈曲して、前記タイルの表面に添うようにタイルの挟持方向に延びる複数の長片部を有する簾状の部材を有する当て板と、を備え、前記レバーに、前記当て板の長片部が入り組む複数の開口が形成されていて、前記当て板が、前記レバーに対してタイル挟持方向にスライド可能とされており、さらに、該当て板側当て部と、前記レバー側当て部との間隔を調整する当て板長さ調整固定具を備え、前記レバー側当て部及び、前記当て板側当て部には、滑り止め材として硬質粉体が付着しており、前記レバー側当て部と前記当て板側当て部で前記タイルを挟み、前記レバーにモーメントを加えることにより、前記タイルを前記基体から剥がすことを特徴とするタイル剥がし工具。 - 前記当て板側当て部と、前記レバー側当て部との間隔を調整する当て板長さ調整固定具として、
A)以下A1)、A2)及びA3)を有するブロックと、
A1)前記当て板の前記長片部に載り、前記当て板長さ調整固定具が固定位置にあるときに前記長片部に強く押し当てられる底面、
A2)前記レバーの下部に当たり、前記当て板長さ調整固定具が固定位置にあるときに、前記レバーの前記レバー側当て部を前記タイル側壁に強く押し当てる先端部、
A3)下記板バネとの係合部、
B)以下B1)、B2)及びB3を有する板バネと、
B1)前記当て板の長片部の下面に当たる底部、
B2)該底部の端から立ち上がる、前記当て板の前記長片部が通る窓を有するアール部、
B3)該アール部に接続された、下記ブロック押えレバーの下記スリット内を通る頂部、
C)以下C1)、C2)及びC3)を有するブロック押さえレバーと、
C1)柄部、
C2)該柄部の先のヘラ部、
C3)該ヘラ部の先につながる、前記スリットが開けられているとともに、その先端が前記ブロックの前記溝に入り込む下折れ部、
を具備することを特徴とする」請求項1記載のタイル剥がし工具。 - 前記当て板長さ調整固定具が、
前記当て板の、前記当て板側当て部の反対側の端部(反当て部)が載るブロックと、前記当て板の反当て部を前記ブロックに挟む挟み板と、
前記当て板の反当て部を、前記挟み板と前記ブロックとの間に挟んで締結部材と、
を、備え、
前記当て板側当て部と、前記レバー側当て部との間隔を所定の間隔に調整した後、前記ブロックを前記挟み板を介して前記レバー側当て部の反タイル側の面に当てた状態で、前記当て板と前記ブロックとを前記締結部材で固定することを特徴とする請求項1に記載のタイル剥がし工具。 - 前記挟み板の、前記当て板の反当て部に接触する面と、前記レバーの側当て部の反タイル側の面に当たる先端部分にも、硬質粒体が付着していることを特微とする請求項3に記載のタイル剥がし工具。
- 前記当て板長さ調整固定具は、前記レバーの当て部の上方に位置しており、
前記ブロックの角部が、前記挟み板を介して前記レバー側当て部の反タイル側の面に当たり、
該角部が、前記レバーの回動支点となることを特徴とする請求項3又は4に記載のタイル剥がし工具。 - 前記当て板に、前記レバー側当て部が挿入される、タイルの狭持方向と直交する方向に延びる複数のスリットが形成され、
前記スリットの位置を選択することにより、前記当て板の当て部と前記レバーの当て部との間の間隔を調整することを特徴とする請求項1に記載のタイル剥がし工具。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイル剥がし工具を使用して、基体に貼られたタイルを剥がすことを特徴とするタイル剥がし方法。
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