JP6311996B2 - キャンドモータポンプおよびキャンドモータポンプの製造方法 - Google Patents

キャンドモータポンプおよびキャンドモータポンプの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、キャンドモータポンプおよびキャンドモータポンプの製造方法に関する。
従来、キャンドモータポンプとして、コイルが巻回されて磁界を発生させるステータと、ステータによる磁界の発生を制御する制御基板と、発生した磁界によって駆動するロータと、ロータに固定されて液体を吸排する羽根車と、ステータとロータとを隔離する分離板と、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1では、コイルが絡げられたコイル端子を制御基板に接続することで、ステータによる磁界の発生を制御基板によって制御できるようにしている。
さらに、漏水などによる水の浸入や、高湿度な設置環境による腐食の防止、騒音振動の低減、電子部品の放熱を効率よく行うため、制御基板は、ステータおよび分離板とともに樹脂によりモールドされている。
このように、制御基板、ステータおよび分離板を樹脂によりモールドした樹脂モールド体を形成することで、使用水温が90℃程度である場合には、制御基板上の電子部品からの熱を、樹脂を介して効率よく放熱させることができる。
なお、樹脂モールド体を形成する際には、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂が一般的に使用されており、樹脂モールド体は、制御基板、ステータおよび分離板をモールド金型内に設置し、モールド金型内に設けられたゲートより樹脂を射出させることで形成されるものである。
特開2009−284704号公報
ところで、近年、使用環境の多様化が進み、従来よりも高温となる高温水をポンプに用いることもあり、このように高温な水を用いた場合、高温水からの熱がモールド樹脂を介してモールド樹脂内の制御基板に実装された各電子部品やはんだ部に伝達されて、各電子部品やはんだ部が高温になってしまうおそれがある。
このような熱による影響を抑制する方法として、コイルが絡げられたコイル端子をモールド樹脂の表面から露出させ、コイル端子と制御基板とを樹脂モールド体の外部で接続させる方法が考えられる。
そして、制御基板を樹脂モールド体の外部に配置させるために、コイル端子をモールド樹脂の表面から露出させた場合、樹脂モールド体を形成する際に、コイル端子の径方向の面にモールド成形金型の内面を当接させて、樹脂がコイル端子の径方向の面に回り込むことを抑制する必要がある。
しかしながら、コイル端子の径方向の面にモールド成形金型の内面を当接させる方法では、寸法公差等の影響によって、コイル端子が配置される位置にばらつきが生じてしまうことがあるため、樹脂モールド体を形成する際にモールド成形金型によってコイル端子を押しつぶしてしまうおそれがある。また、コイル端子の径方向の面とモールド成形金型の内面との間に隙間が形成されて、コイル端子周りに漏れたモールド樹脂によってコイル端子が覆われてしまい、制御基板を電気的に接続させることができなくなってしまうおそれもある。
そこで、コイル端子を圧入したスペーサを用い、コイル端子の外周に位置するスペーサの面(コイル端子の突出方向と交差する方向に延在する面)でモールド成形金型を受けるようにすることで、コイル端子回りへのモールド樹脂の回りこみを抑制できるようにすることが考えられる。
しかしながら、単にスペーサを用いるだけでは、積層されたステータの厚さやその他の部品の積み上げ公差等の影響で、モールド成形金型がスペーサを介してステータ等を押し込み、モールド成形金型やステータが破壊されてしまうおそれがある。また、モールド成形金型とスペーサとの間に隙間が生じてしまい、コイル端子周りにバリが生じてしまったり、コイル端子をモールド樹脂が覆ってしまったりするおそれもある。
このように、上記従来の技術では、使用環境に汎用性を持たせようとすると、製品の信頼性が損なわれてしまうおそれがある。
本発明は、前記従来の課題を解決するものであって、使用環境に汎用性を持たせつつ、製品の信頼性が損なわれてしまうことを抑制することのできるキャンドモータポンプおよびキャンドモータポンプの製造方法を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のキャンドモータポンプは、軸により回転自在に軸支された磁気従動部と、前記磁気従動部の前記軸方向の一端側に一体形成された羽根車と、前記羽根車を収容するポンプ室が形成されたポンプ本体と、コイルと、当該コイルが巻回されるステータコアとを有し、前記磁気従動部の外周側に配置されて前記磁気従動部を回転させるための回転磁界を発生する磁気駆動部と、前記磁気従動部と前記磁気駆動部とを仕切る分離板と、前記コイルに電気的に接続されるコイル端子と、前記コイル端子が取り付けられるスペーサと、前記コイル端子に電気的に接続される制御基板と、を備えている。
そして、前記分離板は、前記軸方向の一側に開口して前記磁気従動部が収納される収納部が形成された有底円筒部と、当該有底円筒部の開口側から径方向外側に向けて延設され、前記磁気駆動部が前記軸方向の他側に配置されるフランジ部と、を備えている。
また、前記分離板、前記磁気駆動部および前記スペーサを樹脂によりモールドすることで樹脂モールド体が形成されている。
また、前記コイル端子の一部が前記樹脂モールド体の外部に露出するとともに、前記コイル端子の前記樹脂モールド体から露出した部位で前記制御基板が電気的に接続されている。
また、前記スペーサは、前記軸方向と交差する方向に延在して前記コイル端子が取り付けられるとともに、前記磁気駆動部の前記軸方向他側に配置される略円環状の板部と、前記板部から前記軸方向一側に延設されて前記フランジ部の前記軸方向他面に当接する脚部と、を備えている。
そして、前記スペーサは、前記脚部が撓んだ状態で樹脂によりモールドされている。
また、本発明のキャンドモータポンプの製造方法により製造されるキャンドモータポンプは、軸により回転自在に軸支された磁気従動部と、前記磁気従動部の前記軸方向の一端側に一体形成された羽根車と、前記羽根車を収容するポンプ室が形成されたポンプ本体と、コイルと、当該コイルが巻回されるステータコアとを有し、前記磁気従動部の外周側に配置されて前記磁気従動部を回転させるための回転磁界を発生する磁気駆動部と、前記磁気従動部と前記磁気駆動部とを仕切る分離板と、前記コイルに電気的に接続されるコイル端子と、前記コイル端子が取り付けられるスペーサと、前記コイル端子に電気的に接続される制御基板と、を備えるものである。
そして、このようなキャンドモータポンプの製造方法は、前記分離板、前記磁気駆動部および前記スペーサを樹脂によりモールドすることで樹脂モールド体を形成する樹脂モールド体形成工程を備えている。
また、前記樹脂モールド体形成工程は、前記分離板における前記軸方向の一側に開口する有底円筒部の開口側に径方向外側に向けて延在するフランジ部の前記軸方向の他側に前記磁気駆動部を配置する磁気駆動部配置工程と、前記スペーサの前記軸方向と交差する方向に延在して前記コイル端子を取り付けた板部を、前記磁気駆動部の前記軸方向他側に配置するとともに、前記板部から前記軸方向一側に延設された脚部を前記フランジ部の前記軸方向他面に当接させるスペーサ配置工程と、モールド成形金型と前記分離板とで前記スペーサを型締めして樹脂が充填されるキャビティを形成するスペーサ型締め工程と、前記モールド成形金型と前記分離板との間で前記スペーサを型締めした状態で前記キャビティ内に樹脂を射出する射出工程と、を備えている。
そして、前記スペーサ型締め工程では、前記モールド成形金型の内面を前記板部の前記軸方向他面に面接触させながら前記スペーサを前記分離板側に押圧して前記脚部を撓み変形させた状態で前記スペーサを型締めしている。
これにより、樹脂モールド体を製造する際には、ステータ等の寸法公差による影響を受けることなく、スペーサの板部とモールド成形金型との間に隙間が形成されてしまうのを抑制することができるようになる。
その結果、ステータ等が破壊されてしまうのが抑制される上、コイル端子周りにバリが生じてしまったり、コイル端子を樹脂が覆ってしまったりするのを抑制することができるようになる。
本発明によれば、使用環境に汎用性を持たせつつ、製品の信頼性が損なわれてしまうことを抑制することのできるキャンドモータポンプおよびキャンドモータポンプの製造方法を得ることができる。
本発明の実施の形態1にかかるキャンドモータポンプを示す平面図である。 図1のA−A断面図である。 本発明の実施の形態1にかかる分離板を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1にかかる分離板を後面側から視た図である。 本発明の実施の形態1にかかる分離板とステータコアの配置関係を模式的に示す断面図である。 図5のB−B断面図である。 本発明の実施の形態1にかかるスペーサを示す斜視図である。 本発明の実施の形態1にかかるスペーサを示す側面図である。 本発明の実施の形態1にかかるスペーサを板部側から視た図である。 本発明の実施の形態1にかかるスペーサを脚部側から視た図である。 図10のC−C断面図である。 本発明の実施の形態1にかかる分離板にステータコアおよび中継基板を配置した状態を後面側から視た図である。 図12のD−D断面図である。 本発明の実施の形態1にかかるスペーサにステータコアおよび中継基板を配置した状態を後面側から視た図である。 図14のE−E断面図である。 図15のF部を拡大して示す拡大断面図である。 本発明の実施の形態1にかかるモールド成形金型と分離板との間でスペーサが型締めされている状態を後面側から視た図である。 図17のG−G断面図である。 本発明の実施の形態1にかかる樹脂モールド体を一方向から視た斜視図である。 本発明の実施の形態1にかかる樹脂モールド体を他方向から視た斜視図である。
本発明の実施の形態にかかるキャンドモータポンプは、軸により回転自在に軸支された磁気従動部と、前記磁気従動部の前記軸方向の一端側に一体形成された羽根車と、前記羽根車を収容するポンプ室が形成されたポンプ本体と、コイルと、当該コイルが巻回されるステータコアとを有し、前記磁気従動部の外周側に配置されて前記磁気従動部を回転させるための回転磁界を発生する磁気駆動部と、前記磁気従動部と前記磁気駆動部とを仕切る分離板と、前記コイルに電気的に接続されるコイル端子と、前記コイル端子が取り付けられるスペーサと、前記コイル端子に電気的に接続される制御基板と、を備えるものである。
そして、前記分離板は、前記軸方向の一側に開口して前記磁気従動部が収納される収納部が形成された有底円筒部と、当該有底円筒部の開口側から径方向外側に向けて延設され、前記磁気駆動部が前記軸方向の他側に配置されるフランジ部と、を備えている。
また、前記分離板、前記磁気駆動部および前記スペーサを樹脂によりモールドすることで樹脂モールド体が形成されている。
また、前記コイル端子の一部が前記樹脂モールド体の外部に露出するとともに、前記コイル端子の前記樹脂モールド体から露出した部位に前記制御基板が電気的に接続されている。
また、前記スペーサは、前記軸方向と交差する方向に延在して前記コイル端子が取り付けられるとともに、前記磁気駆動部の前記軸方向他側に配置される略円環状の板部と、前記板部から前記軸方向一側に延設されて前記フランジ部の前記軸方向他面に当接する脚部と、を備えている。
そして、前記スペーサは、前記脚部が撓んだ状態で樹脂によりモールドされている。
これにより、樹脂モールド体を製造する際には、磁気駆動部等の寸法公差による影響を受けることなく、スペーサの板部とモールド成形金型との間に隙間が形成されてしまうのを抑制することができるようになる。
その結果、磁気駆動部等が破壊されてしまうのが抑制される上、コイル端子周りにバリが生じてしまったり、コイル端子を樹脂が覆ってしまったりするのを抑制することができるようになる。
このように、本実施の形態によれば、使用環境に汎用性を持たせつつ、製品の信頼性が損なわれてしまうことを抑制することのできるキャンドモータポンプを得ることができる。
また、前記脚部は、前記板部の外周側に形成された外周側脚部と、前記板部の内周側に形成された内周側脚部と、を備えており、前記磁気駆動部が、前記外周側脚部と前記内周側脚部との間に配置されている。
これにより、スペーサの脚部の撓み方向をある程度規制することが可能となり、板部が略平行移動するように脚部を撓ませることができる。その結果、スペーサの板部とモールド成形金型との間に隙間が形成されてしまうのをより確実に抑制することができるようになる。
その結果、コイル端子周りにバリが生じてしまったり、コイル端子を樹脂が覆ってしまったりするのをより確実に抑制することができるようになる。
また、前記脚部は、前記板部の周方向に沿って複数個配置されている。
これにより、スペーサの脚部の撓み方向をある程度規制することが可能となり、板部が略平行移動するように脚部を撓ませることができ、スペーサの板部とモールド成形金型との間に隙間が形成されてしまうのをより確実に抑制することができるようになる。
その結果、コイル端子周りにバリが生じてしまったり、コイル端子を樹脂が覆ってしまったりするのをより確実に抑制することができるようになる。
また、前記板部の周方向に沿って配置される複数個の前記脚部が連結部によって連結されている。
これにより、スペーサの成形時に脚部が外周方向へ開いてしまうのを抑制することができるようになって脚部の寸法をより安定させることができるようになる。
また、前記フランジ部の前記軸方向他面に前記脚部を収納する収納部が設けられている。
これにより、スペーサの脚部の撓み方向をより確実に規制することが可能となり、板部が略平行移動するように脚部を撓ませることができ、スペーサの板部とモールド成形金型との間に隙間が形成されてしまうのをより確実に抑制することができるようになる。
その結果、コイル端子周りにバリが生じてしまったり、コイル端子を樹脂が覆ってしまったりするのをより確実に抑制することができるようになる。
また、前記有底円筒部は、開口側から底面側に向かうにつれて縮径するテーパ状をしており、前記ステータコアは、前記有底円筒部の外周面に対向する磁極面を有しており、前記有底円筒部の前記フランジ部側の前記磁極面と対向する部位に、前記軸方向に沿って延在するストレート部が設けられている。
これにより、スペーサの脚部が撓んで、ステータコアの位置が軸方向にずれたとしても、有底円筒部の外周面とステータコアの磁極面との間のクリアランスを略一定に保つことができるため、樹脂モールド時の樹脂の射出圧によって、ステータコアが径方向へ動いてしまったり、軸に対して傾いてしまったりすることを抑制することができるようになる。その結果、磁気従動部が偏心してしまったり、傾いた状態で回転してしまったりすることに起因するポンプ振動の増大を抑制することができるようになる。
また、前記コイル端子は、前記コイルが絡げられる第1のコイル端子と、前記板部に取り付けられて前記制御基板に電気的に接続される第2のコイル端子と、を有しており、前記第1のコイル端子と前記第2のコイル端子とが中継基板を介して電気的に接続されており、前記軸方向から視た状態で前記第1のコイル端子と前記第2のコイル端子とがずれた位置に配置されている。
これにより、制御基板に電気的に接続されるコイル端子の突出位置を所望の位置とすることが可能となって、制御基板の所望の位置にコイル端子を接続することが可能となる。
また、本発明の実施の形態にかかるキャンドモータポンプの製造方法で製造されるキャンドモータポンプは、軸により回転自在に軸支された磁気従動部と、前記磁気従動部の前記軸方向の一端側に一体形成された羽根車と、前記羽根車を収容するポンプ室が形成されたポンプ本体と、コイルと、当該コイルが巻回されるステータコアとを有し、前記磁気従動部の外周側に配置されて前記磁気従動部を回転させるための回転磁界を発生する磁気駆動部と、前記磁気従動部と前記磁気駆動部とを仕切る分離板と、前記コイルに電気的に接続されるコイル端子と、前記コイル端子が取り付けられるスペーサと、前記コイル端子に電気的に接続される制御基板と、を備えている。
そして、かかる構成をしたキャンドモータポンプの製造方法は、前記分離板、前記磁気駆動部および前記スペーサを樹脂によりモールドすることで樹脂モールド体を形成する樹脂モールド体形成工程を備えている。
また、前記樹脂モールド体形成工程は、前記分離板における前記軸方向の一側に開口する有底円筒部の開口側に径方向外側に向けて延在するフランジ部の前記軸方向の他側に前記磁気駆動部を配置する磁気駆動部配置工程と、前記スペーサの前記軸方向と交差する方向に延在して前記コイル端子を取り付けた板部を、前記磁気駆動部の前記軸方向他側に配置するとともに、前記板部から前記軸方向一側に延設された脚部を前記フランジ部の前記軸方向他面に当接させるスペーサ配置工程と、モールド成形金型と前記分離板とで前記スペーサを型締めして樹脂が充填されるキャビティを形成するスペーサ型締め工程と、前記モールド成形金型と前記分離板との間で前記スペーサを型締めした状態で前記キャビティ内に樹脂を射出する射出工程と、を備えている。
そして、前記スペーサ型締め工程では、前記モールド成形金型の内面を前記板部の前記軸方向他面に面接触させながら前記スペーサを前記分離板側に押圧して前記脚部を撓み変形させた状態で前記スペーサを型締めしている。
これにより、樹脂モールド体を製造する際には、磁気駆動部等の寸法公差による影響を受けることなく、スペーサの板部とモールド成形金型との間に隙間が形成されてしまうのを抑制することができるようになる。
その結果、磁気駆動部等が破壊されてしまうのが抑制される上、コイル端子周りにバリが生じてしまったり、コイル端子を樹脂が覆ってしまったりするのを抑制することができるようになる。
このように、本実施の形態のキャンドモータポンプの製造方法を用いれば、使用環境に汎用性を持たせつつ、製品の信頼性が損なわれてしまうことを抑制することのできるキャンドモータポンプを製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の説明では、羽根車の回転軸方向(軸方向)を前後方向と規定し、当該回転軸方向における吸込口側(図2の上側)を前側と規定して説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態1にかかるキャンドモータポンプ1は、図1および図2に示すように、外郭を構成するポンプ本体10を備えている。さらに、キャンドモータポンプ1は、ポンプ本体10内に形成された回転体収納室51に収納される回転体20を備えている。
ポンプ本体10は、ケーシング30と、後方に開口するポンプ室131が形成され、ケーシング30とは別体に形成されたボリュート部130と、前方に開口する収納部41aが形成された駆動ブロック40とで概略構成されている。なお、後述するように、スペーサ140も必要に応じてポンプ本体10を構成する部材となる。
駆動ブロック40は、ケーシング30およびボリュート部130の後方に位置している。駆動ブロック40の後述する収納部41aはボリュート部130のポンプ室131に通じており、収納部41aとポンプ室131とで回転体20全体を収納する回転体収納室51が構成されている。
駆動ブロック40は、分離板41、磁気駆動部42、制御部43、外郭をなす樹脂44を有している。
分離板41は合成樹脂製であって、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂によって形成することができる。なお、磁気駆動に影響を及ぼさない金属を用いて分離板を形成することも可能である。
この分離板41は、図2〜図4に示すように、前方に開口する容器状に形成されており、前面が開口するとともに後面が底部41bにより閉塞された有底円筒状の有底円筒部41kと、有底円筒部41kの周壁部41cの前縁部から径外方向に突出したフランジ部41dと、で構成されている。本実施の形態1では、フランジ部41dは周壁部41cの周方向全長に亘って形成されている。また、有底円筒部41kには磁気従動部80が収納される収納部41aが形成されている。
このように、本実施の形態1では、ケーシング30、ボリュート部130および分離板41で、回転体20を収納する回転体収納室51が形成されたハウジング50を構成している。なお、ポンプ本体10と同様に、スペーサ140も必要に応じてハウジング50を構成する部材となる。
有底円筒部41kの底部41bの中央(収納部41a内の奥部中央)には、前方に向けて突出する後軸固定部(軸支持部)41eが形成されており、後軸固定部41eには、回転体20を回転自在に支持するセラミックス製の軸60の後端部が固定されている。
なお、軸60は、分離板41に回転不能に保持されている。例えば、軸60の後端部の輪郭形状をD字状にするとともに、後軸固定部41eの内周面を軸60の後端部と対応するD字状にし、軸60のD字状の後端部を後軸固定部41eに嵌め込むようにすれば、軸60を分離板41に回転不能に保持することができる。
磁気駆動部42は、電磁鋼板で形成されたステータコア42aと、ステータコア42aに巻き付けられたコイル42bと、ステータコア42aとコイル42bとを電気的に絶縁する絶縁部42cとを有するステータであって、有底円筒部41kの周壁部41cを囲むように設けられている(図12および図13参照)。
ステータコア42aは、図5に示すように、上面視で環状に形成され、磁気従動部80の回転軸心CAに対して同心配置される図示せぬヨーク部と、ヨーク部における周壁部41cの周面41fと対向する側面から周面41fに向けて突出し、コイル42bが巻回される複数のティース部42dと、を備えている。本実施の形態1では、周方向に略等間隔に6個のティース部42dが形成された三相モータが用いられている(図12参照)。
さらに、ステータコア42aは、ティース部42dの先端側(周面41f側)に設けられて周面41fに対向配置される磁極部42eを備えている。
磁極部42eは、周面41fとの対向面(磁極面42f)が周面41fに沿うように上面視で湾曲した形状となるように形成されている(図5参照)。このように、本実施の形態1では、ステータコア42aは、有底円筒部41kの外周面(周面41f)に対向する磁極面42fを有している。
このステータコア42aは、電磁鋼板からなる複数枚の板材を、磁気従動部80の回転軸心CA方向(前後方向)に積層することで形成されている。
また、絶縁部42cは、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂等の絶縁性および耐熱性を有し、さらに、薄肉状に構成しても破断し難い軟質性を備えた材料から構成されている。
かかる構成をした磁気駆動部42は、図5および図6に示すように、磁極面42fが周面41fとクリアランスd4をもって対向するように、分離板41に取り付けられる。なお、本実施の形態1では、磁気駆動部42が分離板41に正常に取り付けられた状態(位置ずれせずに取り付けられた状態)において距離が最も短くなる部位におけるクリアランスをd4としている(図6参照)。
本実施の形態1では、フランジ部41dの外周側が後方(底部41b側)に折り返された形状をしており、周壁部41cの前部外周に環状溝41iが形成されている(図2および図3参照)。そして、磁気駆動部42を後方から周壁部41cに挿入しつつ、磁気駆動部42の前端を環状溝41iに収容することで、磁気駆動部42が分離板41に取り付けられている。
さらに、磁気駆動部42を保護するとともに、磁気駆動部42で発生した熱を外部へ効率よく放出するため、磁気駆動部42を分離板41に取付けた後に、熱伝導性を有する熱硬化性樹脂からなる樹脂44により磁気駆動部42を覆っている。本実施の形態1では、磁気駆動部42を覆うように樹脂44を充填する、いわゆるモールド充填を行うことで、樹脂モールド体200を形成している。樹脂44は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂によって形成することができ、分離板41の外側に位置して、分離板41および磁気駆動部42を一体的に包含している。
なお、周壁部41cの周面41fには、磁気従動部80の回転軸心CA方向(前後方向)に延在して、径外方向に突出するリブ41gが放射状に複数設けられており、このリブ41gによって分離板3に対する磁気駆動部42の位置決めを行っている(図3、図5および図12参照)。
また、有底円筒部41kの周壁部41cは、図2に示すように、開口側から底面側に向かうにつれて縮径するテーパ状をしており、有底円筒部41kのフランジ部41d側の磁極面42fと対向する部位に、回転軸心CA方向(軸方向:前後方向)に沿って延在するストレート部41hが設けられている(図5および図6参照)。
このように、回転軸心CA方向(軸方向:前後方向)に沿って延在するストレート部41hを磁極面42fと対向するように設けることで、磁気駆動部42が回転軸心CA方向(軸方向:前後方向)に位置ずれしたとしても、磁極面42fが周面41fと所定のクリアランスd4をもって対向するようにしている。
制御部43は、磁気駆動部42を制御する制御基板であって、様々な電子部品が実装されており、分離板41および磁気駆動部42の後方に位置している。この制御部43は、コイル端子45を介して磁気駆動部42のコイル42bに電気的に接続されている。そして、制御部43により磁気駆動部42のコイル42bに通電がなされると、磁気駆動部42には、回転体20の後述する磁気従動部80を回転させる磁界が発生する。
また、制御部43上の分離板41の近傍には、磁気従動部80の回転位置を検知するホールIC素子(図示せず)が設けられており、ホールIC素子により検知された磁気従動部80の回転位置に基づき、制御部43が磁気駆動部42で発生する磁力を制御するようにしている。
回転体20は、図2に示すように、前部に設けられたポンプ部としての羽根車70と、羽根車70の後部に設けられた磁気従動部80とを有している。本実施の形態1では、羽根車70と磁気従動部80とが接続部90を介して接続されている。そして、本実施の形態1では、羽根車70、磁気従動部80および接続部90は一体的に形成されている。すなわち、羽根車70が、磁気従動部80の前部(軸60方向の一端側)に一体的に形成されている。
そして、回転体20の磁気従動部80が収納部41aに収納されており、羽根車70がポンプ室131に収納されている。
磁気従動部80は、収納部41aに収納されるとともに、軸60により回転自在に軸支されたロータである。
この磁気従動部80は、合成樹脂製のロータ部81と、ロータ部81の外周側に設けられたマグネット部82と、ロータ部81の中心部に設けられた軸受け83とで構成されている。本実施の形態1では、ロータ部81はポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂製であり、マグネット部82はフェライト製もしくはSmFe製などの永久磁石であり、軸受け83はカーボン含有の樹脂製摺動材やセラミックで構成されている。
ロータ部81は、前後方向に貫通する筒状の軸受固定部81aと、軸受固定部81aを囲むマグネット固定部81bとを有している。
軸受固定部81aは、前部の小径部81cと、後部の大径部81dを備えており、大径部81dよりも直径の小さい小径部81cの内側には軸受け83が挿入固定されている。軸受け83には軸60が挿通されており、この軸60により回転体20が前後軸回り方向に回転自在に支持されている。
マグネット固定部81bは、円筒状に形成されており、マグネット固定部81bの内周面の前部は軸受固定部81aの小径部81cに一体に接続されている。また、マグネット固定部81bの外周面にはマグネット収納溝81eが形成されている。
そして、マグネット収納溝81eには、ステンレス製のマグネットカバー82aにより被覆されたマグネット部82が収納されている。なお、マグネットカバー82aを設けず、磁気従動部(ロータ)80の外周に、マグネット部82の外周面が露出するようにしてもよい。
ロータ部81の外周部に設けられたマグネット部82は、磁気駆動部42の内側に位置しており、マグネット部82と磁気駆動部42の間には、分離板41の有底円筒部41kの周壁部41cが配置されている。そして、マグネット部82と周壁部41c(本実施の形態1では、分離板カバー160)との間には、磁気従動部80の回転を許容するための隙間d1が形成されている。
磁気従動部80の前方に位置するポンプ部としての羽根車70は、羽根車70の周方向に複数設けられた羽根部71と、各羽根部71の後側を覆う後面シュラウド72と、各羽根部71の前側を覆う前面シュラウド73とで構成されている。
円板状に形成された後面シュラウド72の中央部には、接続部90を介してロータ部81の前端が接続されている。マグネット部82、マグネットカバー82a、軸受け83および接続部90は、後面シュラウド72およびロータ部81を成形する金型に挿入されることで、後面シュラウド72およびロータ部81と一体的に設けられる。つまり、後面シュラウド72および磁気従動部80はインサート成形品である。
前面シュラウド73は、前部に向かうにつれて縮径する円錐部73aと、円錐部73aの前部に形成された円筒部73bとで構成されており、円筒部73bの前部には、前後方向に貫通する吸入口部74が形成されている。
また、前面シュラウド73の外周縁(円錐部73aの外周縁)と後面シュラウド72の外周縁は、羽根車70のラジアル方向において同位置に配置されている。なお、両シュラウド72,73の外周縁は同位置に配置されていなくてもよい。そして、前面シュラウド73の外周縁部と後面シュラウド72の外周縁部の間には隙間が形成されている。
この隙間は両シュラウド72,73間において隣り合う羽根部71の間に形成された流路75を介して吸入口部74に通じており、この隙間により羽根車70の吐出部76が構成されている。
各羽根部71は、前面シュラウド73の内周側から前面シュラウド73の外周縁(すなわち後面シュラウド72の外周縁)に至るまでの範囲で形成されている。各羽根部71の前端は前面シュラウド73の円錐部73aの後面に一体に接続されており、各羽根部71と前面シュラウド73は一体に成形されている。一方、各羽根部71の後端は後面シュラウド72の前面に取り付けられている。
各羽根部71は、羽根車70の回転時において、吸入口部74を介して流路75に導入された液体に対してラジアル方向の圧力を加える。これにより、吸入口部74から流路75に供給された液体は羽根車70の外周側に送られ、吐出部76から羽根車70の外周側に吐出される。
ケーシング30は、図1および図2に示すように、後方に開口する容器状に形成されており、このケーシング30は壁部32を有している。そして、壁部32の外周側後縁をフランジ部41dの前面外周端部に当接させることで、収納部41aの前側がケーシング30によって覆われるようにしている。
このケーシング30は、複数のビスやねじ等の固定部材190により駆動ブロック40のフランジ部41dを含む外周部に壁部32の外周部を取り付けることで、駆動ブロック40に取り付けられている(図1参照)。このとき、ケーシング30とフランジ部41dとの結合部分にはシール材100を介在させており、回転体収納室51の水密性を確保できるようにしている(図2参照)。
また、ケーシング30の壁部32には、図示せぬ配管等に接続されて液体をポンプ室131内に導入する吸入管35と、図示せぬ配管等に接続されてポンプ室131内の液体を外部(接続された配管等)に吐出する吐出管36とが形成されている。
吸入管35の内部は吸込流路35aとなっており、吸込流路35aの上流側には、接続された配管等の流路に連通する吸込口35bが形成されている。そして、吸込流路35aの下流側には、羽根車70の吸入口部74に対向するとともに、ボリュート部130が挿通される開口35cが形成されている。
一方、吐出管36の内部は吐出流路36aとなっており、吐出流路36aの下流側には、接続された配管等の流路に連通する吐出口36bが形成されている。また、吐出口36bも軸60方向に対して交差する方向(本実施の形態1では垂直な方向)に開口している。
本実施の形態1では、上述したように、ボリュート部130をケーシング30とは別体に形成している。
このボリュート部130は、後段部136の前側(ケーシング30側)に、環状の突起部137が形成された段差状に形成されており、突起部137の前側且つ径方向内側が、吸込流路35aと連通するように開口している。
そして、ボリュート部130には、ポンプ室131が形成されている。ポンプ室131は、羽根車70を収容する平面視で円形状の羽根車収容室131aと、羽根車収容室131aの外周に形成されて液体に増圧効果を与える平面視で渦巻形状のボリュート構造131bとで構成されている。
したがって、吐出部76から羽根車70の外周側に吐出された液体は、ボリュート構造131bに導入され、このボリュート構造131bにおいて増圧されるようになっている。そして、ボリュート部130をケーシング30に組み付けた状態で、ボリュート構造131bが吐出流路36aの上流側に連通するようになっている。
かかる構成とすることで、羽根車70の吐出部76からボリュート構造131bに吐出された液体は、ボリュート構造131bにおいて増圧された状態で、吐出流路36aの吐出口36bを経てキャンドモータポンプ1の外部に吐出されることとなる。
また、ボリュート部130には、回転体収納室51の中央部に位置する前軸固定部(軸支持部)133が設けられており、前軸固定部133には軸60の前端部が固定されている。
なお、軸60は、分離板41に回転不能に保持されている。そして、ケーシング30と分離板41とが固定されており、ボリュート部130がケーシング30に固定されている。そのため、軸60の前端部をボリュート部130の前軸固定部133に回転不能に保持させなくても、ボリュート部130に対する軸60の相対回転は規制されることとなる。
本実施の形態1では、前軸固定部133は、突起部137の内面側からポンプ室131に向けて延設された複数(本実施の形態1では3本)の支持リブ134を介してボリュート部130と一体に形成されている。なお、前軸固定部133は、ボリュート部130と一体に形成されている必要はない。
そして、前軸固定部133は、前部に向かって突出するコーン状の突出部133aと、突出部133aの後部に接続されて軸60の前端部を支持する筒状の軸受け部133bとで構成されている。
なお、図2中符号110は、軸受け83にかかるスラスト方向の荷重を受ける軸受板、符号120は、軸60の振動等を吸収する緩衝材である。
なお、ケーシング30の材料としては、耐熱性が高く、高剛性、高硬度の材料が使われることが多く、本実施の形態1においてはPPS樹脂によってケーシング30を形成している。一方、ボリュート部130は、ケーシング30よりも強度を必要としないため、PPE樹脂によって形成している。
このように、ケーシング30とは別体に前軸固定部133が形成されたボリュート部130を形成すれば、耐水圧の影響を受けず、ケーシング30の材料よりも強度を必要としないボリュート部130および前軸固定部133をより安価な材料で形成することができる。なお、ボリュート部をケーシングと一体に設けることも可能である。
かかる構成をしたキャンドモータポンプ1の駆動は、制御部43によってコイル42bに通電することにより行われる。コイル42bに電流が流れると、磁気駆動部42において磁界が発生する。すると、磁気駆動部42に対して回転体20が有するマグネット部82が吸引・反発して磁気従動部80が軸60を中心に回転し、これにより羽根車70が前後に延在する軸60回りに回転する。
そして、羽根車70が回転すると、吸入口部74を介して羽根車70の流路75に導入された液体が、吐出部76から羽根車70の外周側に吐出される。羽根車70の外周側に吐出された液体は、基本的に、ボリュート構造131bに導入されて、このボリュート構造131bにおいて増圧される。この後、液体は、ボリュート構造131bにおいて増圧された状態で、吐出口36bを経てキャンドモータポンプ1の外部に吐出される。
ところで、液体の一部は、後面シュラウド72の外周縁と分離板41のフランジ部41dとの間のフランジ部間隙d3を通り、後面シュラウド72の後方へ流入し、収納部41aへ流れ込もうとする。
このとき、マグネット部82に付着するおそれのある異物(鉄粉等の磁性体)が液体内に混入していると、異物(鉄粉等の磁性体)がマグネット部82に付着して回転体20の回転を阻害してしまったり、ロックさせてしまったりするおそれがある。
そこで、本実施の形態1では、分離板41の内面に、SUSで形成された分離板カバー160を配置し、収納部41a内に侵入してマグネット部82に引きつけられた異物(鉄粉等の磁性体)が磁気従動部80と共に回転して分離板41の内面を傷つけてしまうのを抑制している。
さらに、本実施の形態1では、液体内の異物が収納部41aへと流入してしまうのを抑制できるようにしている。
具体的には、磁気従動部(ロータ)80の前側端部(羽根車70側の端部)に配置されたマグネット固定部81bの外径をマグネット部82の外径よりも大きくしている。そして、マグネット固定部81bの外径をマグネット部82の外径よりも大きくすることで、マグネット固定部81bの外周縁と周壁部41cとの間の隙間d2がマグネット部82と周壁部41cとの間の隙間d1よりも小さくなるようにしている。
すなわち、外径がマグネット部82の外径よりも大きい抑制部130を磁気従動部80の前側端部外周に設けることで、ポンプ室31内の液体に含まれる異物が磁気従動部80と分離板41との間へ流入することを抑制できるようにしている。
なお、隙間d2は、0.5mm以下となるように設定するのが好ましい。
また、本実施の形態1では、分離板41の開口部内周面に環状のスペーサ140を配置している。
スペーサ140は樹脂で形成されており、図2に示すように、スペーサ140のケーシング30側の端面140aはボリュート構造131bの一部をなしている。そして、ケーシング30側の端面140aの外周をボリュート部130の後端面130aで押し、後端面130aと分離板41との間にケーシング30側の端面140aの外周を介在させることで、スペーサ140を固定している。
さらに、本実施の形態1では、スペーサ140の後側に分離板41の開口部内周面に沿うように突出するリブ140cが形成されており、リブ140cが分離板カバー160のフランジ部160aを押さえることで、分離板カバー160が分離板41とスペーサ140とで挟み込まれた状態で固定されている。
本実施の形態1では、羽根車70の外周部とフランジ部41dの内周部との間の隙間が大きくなる羽根車70を用いているため、スペーサ140を羽根車70の外周に配置し、羽根車70の外周部との隙間が小さくなるようにしている。
しかしながら、ポンプ効率を高めるために、羽根車70の外周部とフランジ部41dの内周部との間の隙間があまり大きくない羽根車70(外径が大きい羽根車70)を用いる場合には、スペーサ140を用ける必要はなくなる。
ここで、本実施の形態1では、90℃以上の高温となる高温水を用いることもできるようにすることで、キャンドモータポンプ1の使用環境に汎用性を持たせるようにした。
具体的には、90℃以上の高温となる高温水を用いることもできるようにするために、樹脂モールド体200の外部に制御部43を配置するようにした。
このように、樹脂モールド体200の外部に制御部43を配置することで、制御部43に実装された電子部品やはんだ部に高温水からの熱が樹脂モールド体200を介して伝達されて電子部品やはんだ部が高温になってしまうのを抑制することができるようになる。
本実施の形態1では、コイル42bが巻きつけられたコイル端子45を樹脂44の表面から露出させ、コイル端子45と制御部(制御基板)43とを樹脂モールド体200の外部で接続させるようにしている。すなわち、コイル端子45の一部を樹脂モールド体200の外部に露出させるとともに、コイル端子45の樹脂モールド体200から露出した部位で制御部(制御基板)43を電気的に接続させている。
なお、本実施の形態1では、樹脂モールド体200の後部に、図2に示すように、蓋部170が、樹脂モールド体200の外部で接続させた制御部43を覆うように設けられており、この蓋部170も外郭を構成するポンプ本体10の一部である。したがって、本実施の形態1では、制御部43は、キャンドモータポンプ1における樹脂モールド体200の外部に形成された空間部S1内に収容されることとなる。
さらに、本実施の形態1では、コイル端子45を樹脂44の表面から露出させた状態で樹脂モールド体200を形成するために、コイル端子45を圧入したスペーサ180を用いている。
このように、コイル端子45を圧入したスペーサ180を用いることで、コイル端子45の外周に位置するスペーサ180の面(押圧面181c)でモールド成形金型300を受けるようにすることができ、コイル端子45回りへの樹脂44の回りこみをより容易に抑制することができるようになる。
次に、スペーサ180の構造について詳細に説明する。以下では、図2に示す状態におけるスペーサ180を基準として前後方向を規定する。すなわち、図2の状態における上側を前後方向前方、図2の状態における下側を前後方向後方と規定する。
本実施の形態1では、スペーサ180は、図7〜図11に示すように、回転軸心CA方向(軸方向:前後方向)と直交(交差)する方向に延在してコイル端子45が取り付けられる略円環状の板部181を備えている。
略円環状の板部181の後面(軸方向他面)181bには、モールド成形金型300の内面301が当接して押圧される押圧面181cが、後面(軸方向他面)181bよりも後方に位置するように形成されている(図7参照)。
そして、押圧面181cから後方に突出するようにリブ184が形成されており、このリブ184に形成された挿通孔184aにコイル端子45が一部を後方に露出した状態で圧入される。
また、板部181には、コイル42bの温度を検知するヒューズ等を取り付けるための温度検知装置取付部185が形成されている。このように、温度検知装置取付部185を板部181に形成することにより、モールド成形後の樹脂モールド体200にヒューズ挿入溝202が形成される(図19および図20参照)。
さらに、スペーサ180は、板部181から前方(軸方向一側)に延設されてフランジ部41dの後面(軸方向他面)41nに当接する脚部182を備えている。
本実施の形態1では、脚部182は、板部181の前面(軸方向一面)181a側に形成されており、略円環状の板部181の外周側に形成された外周側脚部182aと、板部181の内周側に形成された内周側脚部182bと、を備えている。
また、脚部182は、板部181の周方向に沿って複数個配置されている。本実施の形態1では、板部181の外周側に、8個の外周側脚部182aが周方向に沿って配置されており、板部181の内周側に、4個の内周側脚部182bが周方向に沿って配置されている。
そして、脚部182は、図10に示すように、前後方向(軸方向)の前方から視た状態で、周方向で隣り合う2つの外周側脚部182aの間に1つの内周側脚部182bが位置するように形成されている。そして、2つの外周側脚部182aとその間に位置する内周側脚部182bとで3点支持される1組の支持部186が形成されており、この支持部186が4組形成されている。
また、支持部186は、回転軸心CAを挟んで両側に2対ずつ形成されており、回転軸心CAに対して点対称となる位置に形成されている。また、4組の支持部186は、回転軸心CAと温度検知装置取付部185とを通る直線Lに対して略線対称となるように形成されている。
本実施の形態1では、4組の支持部186は、回転軸心CAを中心として直線Lを約60度回転させた直線上および約120度回転させた直線上にそれぞれ配置されるようにしている。
4組の支持部186をこのように配置することで、各支持部186は、周方向で隣り合う支持部186までの距離(周方向距離)が異なるように配置されることとなる。具体的には、各支持部186は、直線Lに対して同じ側に形成される支持部186との距離のほうが、直線Lに対して反対側に形成される支持部186との距離よりも短くなるように配置されることとなる。
そして、各支持部186が形成された部位に、上述した押圧面181cが形成されている。
また、本実施の形態1では、外周側脚部182aと内周側脚部182bとの間に磁気駆動部42が配置されている。
具体的には、板部181の外周側に周方向に沿って配置される複数の外周側脚部182aと板部181の内周側に周方向に沿って配置される複数の内周側脚部182bとの間に、円環状の磁気駆動部42が配置されている。
さらに、板部181の外周側に周方向に沿って配置される複数個の外周側脚部182aは、先端側が連結リング(連結部)183によって連結されている。本実施の形態1では、8つの外周側脚部182aの全てが、連結リング(連結部)183によって連結されている。
かかる構成をしたスペーサ180は、脚部182の先端が前方を向くようにした状態で、板部181が磁気駆動部42の後方(軸方向他側)に位置するように配置されている(図2および図15参照)。このとき、フランジ部41dの後面(軸方向他面)41nに設けられた収納部41mに脚部182(外周側脚部182aおよび内周側脚部182b)がそれぞれ収納されており、スペーサ180の位置決めがなされている。
本実施の形態1では、フランジ部41dの後面(軸方向他面)41nから後方に突出する突起部41jを側面が脚部182の先端の側面と対向するように形成することで、収納部41mを形成している。
また、上述したように、本実施の形態1では、磁気駆動部42として、周方向に略等間隔に6個のティース部42dが形成された三相モータが用いられており、3つのコイルをそれぞれ制御部(制御基板)43に電気的に接続する必要がある。そのため、本実施の形態1では、3つのコイル端子45が制御部(制御基板)43に電気的に接続されている。
このとき、6個のティース部42dが周方向に略等間隔に形成されているため、通常のコイル端子45を用いた場合には、3つのコイル端子45が周方向に等間隔に形成されることとなる。
しかしながら、本実施の形態1では、図7に示すように、3つのコイル端子45が直線Lに対して同じ側で後方に突出するようにしている。
具体的には、コイル端子45が、コイル42bが絡げられる第1のコイル端子45aと、板部181に取り付けられて制御部(制御基板)43に電気的に接続される第2のコイル端子45bと、を有するようにしている(図15および図16参照)。
そして、第1のコイル端子45aと第2のコイル端子45bとを中継基板46を介して電気的に接続させている。
こうすることで、前後方向(軸方向)から視た状態で、第1のコイル端子45aと第2のコイル端子45bとがずれた位置(本実施の形態1では周方向にずれた位置)となるようにすることができる。
このように、第1のコイル端子45aと第2のコイル端子45bとの位置をずらすようにすることで、第2のコイル端子45b(コイル端子45)を所望の位置から突出させるようにすることができる。
そこで、本実施の形態1では、3つのコイル端子45が直線Lに対して同じ側で後方に突出するようにし、3つのコイル端子45の制御部(制御基板)43との接続位置が制御部(制御基板)43の面状で広がりすぎてしまわないようにしている。
そして、このようなスペーサ180を用いて、スペーサ180と分離板41との間に磁気駆動部42を配置するとともに、コイル42bに電気的に接続された3つのコイル端子45の一部をスペーサ180の板部181から後方に突出させた状態で、コイル端子45の一部が露出するように樹脂44によりモールドすることで、樹脂モールド体200が形成されることとなる。
このとき、本実施の形態1では、脚部182が撓んだ状態で樹脂44によりモールドされるように、スペーサ180を形成している(図18参照)。
すなわち、モールド成形金型300と分離板41とでスペーサ180を型締めして樹脂44をキャビティS2内に充填させる際に、モールド成形金型300の型締め力によりスペーサ180の脚部182を撓ませた状態で、樹脂44が充填されるようにしている。したがって、スペーサ180の脚部182の長さは、寸法公差により短くなってしまった場合であっても、モールド成形金型300の型締め力により撓むことができるように設定するのが好ましい。また、寸法公差により長くなってしまった場合に脚部182が破壊されてしまわないように、スペーサ180の脚部182の長さを設定するのが好ましい。
また、本実施の形態1では、外周側脚部182aは、板部181の外周側に周方向に沿って略対称となる位置(線対称および点対称となる位置)に配置されているため、径方向外側に凸となるように撓むこととなる。なお、図18では、便宜上、外周側脚部182aを径方向外側に凸となるように大きく撓ませたものを図示しているが、実際には、若干撓む程度である。
本実施の形態1では、スペーサ180は、弾性に優れたPA66によって形成されている。
次に、キャンドモータポンプ1の製造方法について説明する。なお、樹脂モールド体200の形成方法、制御部(制御基板)43の配置および蓋部170の取り付け以外の方法については、従来公知の方法を用いることができる。
したがって、以下では、樹脂モールド体200の形成方法、制御部(制御基板)43の配置および蓋部170の取り付けを主として説明する。
本実施の形態1にかかるキャンドモータポンプ1の製造方法は、分離板41、磁気駆動部42およびスペーサ180を樹脂44によりモールドすることで樹脂モールド体200を形成する樹脂モールド体形成工程を備えている。
この樹脂モールド体200は以下のようにして形成されている。
まず、図12および図13に示すように、分離板41における前後方向前方(軸方向の一側)に開口する有底円筒部41kの開口側に径方向外側に向けて延在するフランジ部41dの後面(軸方向の他側)41nに磁気駆動部42を配置する(磁気駆動部配置工程)。
本実施の形態1では、磁気駆動部42を後方から周壁部41cに挿入しつつ、磁気駆動部42の前端を環状溝41iに収容することで、磁気駆動部42を分離板41に取り付けている。
さらに、コイル42bが絡げられた第1のコイル端子45aを中継基板46に接続させている。
次に、スペーサ180の前後方向(軸方向)と直交(交差)する方向に延在してコイル端子45を取り付けた板部181を、磁気駆動部42の後方(軸方向他側)に配置するとともに、板部180から前方(軸方向一側)に延設された脚部182をフランジ部41dの後面(軸方向他面)41nに当接させる(スペーサ配置工程)。
本実施の形態1では、複数の脚部182(複数の外周側脚部182aおよび複数の内周側脚部182b)を、フランジ部41dの後面(軸方向他面)41nに設けられた収納部41mにそれぞれ収納させることで、脚部182をフランジ部41dの後面(軸方向他面)41nに当接させている。
このとき、一部を後方に露出した状態でリブ184の挿通孔184aに圧入されている第2のコイル端子45bが中継基板46に接続されており、第1のコイル端子45aと第2のコイル端子45bとが中継基板46を介して電気的に接続されるようにしている(図14〜図16参照)。
次に、モールド成形金型300と分離板41とでスペーサ180を型締めして樹脂44が充填されるキャビティS2を形成する(スペーサ型締め工程)。
本実施の形態1では、モールド成形金型300は、リブ184および第2のコイル端子45b(コイル端子45)の露出予定部位(樹脂モールド体200を形成した際に樹脂44で被覆されずに露出する部位)が収容される収容部302が設けられた上型300aと、分離板41が支持される下型300bと、を備えている。
そして、この上型300aおよび下型300bを型締めすることで、モールド成形金型300と分離板41との間に配置されたスペーサ180が型締めされてキャビティS2が形成される。
このとき、図18に示すように、モールド成形金型300の上型300aの内面301を板部180の後面(軸方向他面)181bに面接触させながらスペーサ180を分離板41側に押圧して脚部182を撓み変形させた状態でスペーサ180を型締めする。
本実施の形態1では、モールド成形金型300の内面301を板部180の押圧面181cに面接触させている。
このとき、第2のコイル端子45b(コイル端子45)が一部を後方に露出した状態でリブ184の挿通孔184aに圧入されており、このリブ184および第2のコイル端子45b(コイル端子45)の露出予定部位が、モールド成形金型300の上型300aの収容部302に収容されるようにしている(図18参照)。
そして、リブ184の周囲に形成された押圧面181cにモールド成形金型300の内面301がリブ184の全周に亘って面接触するようにしている。こうすることで、リブ184および第2のコイル端子45b(コイル端子45)の露出予定部位が収容されるモールド成形金型300の収容部302が、キャビティS2と連通しないようにしている。
そして、モールド成形金型300と分離板41との間でスペーサ180を型締めした状態でキャビティS2内に樹脂44を射出する(射出工程)。
このとき、リブ184および第2のコイル端子45b(コイル端子45)の露出予定部位が収容されるモールド成形金型300の収容部302が、キャビティS2と連通しないようにしているため、第2のコイル端子45b(コイル端子45)の露出予定部位が樹脂44に覆われてしまうのを抑制することができる。
こうして、図19および図20に示す樹脂モールド体200が形成される。
そして、上述のようにして形成された樹脂モールド体200を用い、樹脂モールド体200の前方に磁気従動部80やボリュート部130等を配置しつつケーシング30を取り付け、樹脂モールド体200の後方に制御部(制御基板)43を配置しつつ蓋部170を取り付けることで、図1および図2に示すキャンドモータポンプ1が製造される。
なお、本実施の形態1では、樹脂モールド体200の後部中央に突部201が設けられており、この突部201に制御部(制御基板)201が載置されるようにしている。
以上、説明したように、本実施の形態1のキャンドモータポンプ1は、軸60により回転自在に軸支された磁気従動部80と、磁気従動部80の前後方向前側(軸方向の一端側)に一体形成された羽根車70と、を備えている。また、キャンドモータポンプ1は、羽根車70を収容するポンプ室131が形成されたポンプ本体10を備えている。さらに、キャンドモータポンプ1は、コイル42bと、当該コイル42bが巻回されるステータコア42aとを有し、磁気従動部80の外周側に配置されて磁気従動部80を回転させるための回転磁界を発生する磁気駆動部42を備えている。そして、磁気従動部80と磁気駆動部42とを仕切る分離板41と、コイル42bに電気的に接続されるコイル端子45と、を備えている。さらに、コイル端子45が取り付けられるスペーサ180と、コイル端子45に電気的に接続される制御基板43と、を備えている。
また、分離板41は、前後方向前方(軸方向の一側)に開口して磁気従動部80が収納される収納部41aが形成された有底円筒部41kを備えている。そして、有底円筒部41kの開口側から径方向外側に向けて延設され、磁気駆動部42が後方(軸方向の他側)に配置されるフランジ部41dを備えている。
また、分離板41、磁気駆動部42およびスペーサ180を樹脂44によりモールドすることで樹脂モールド体200が形成されている。
また、コイル端子45の一部が樹脂モールド体200の外部に露出するとともに、コイル端子45の樹脂モールド体200から露出した部位で制御基板43が電気的に接続されている。
また、スペーサ180は、前後方向(軸方向)と直交(交差)する方向に延在してコイル端子45が取り付けられるとともに、磁気駆動部42の後方(軸方向他側)に配置される略円環状の板部181を備えている。さらに、板部181から前方(軸方向一側)に延設されてフランジ部41dの後面(軸方向他面)41nに当接する脚部182を備えている。
そして、スペーサ180は、脚部182が撓んだ状態で樹脂44によりモールドされている。
これにより、樹脂モールド体200を製造する際には、磁気駆動部42等の寸法公差による影響を受けることなく、スペーサ180の板部181とモールド成形金型300との間に隙間が形成されてしまうのを抑制することができるようになる。
その結果、磁気駆動部42等が破壊されてしまうのが抑制される上、コイル端子145の周りにバリが生じてしまったり、コイル端子45を樹脂44が覆ってしまったりするのを抑制することができるようになる。
このように、本実施の形態1によれば、使用環境に汎用性を持たせつつ、製品の信頼性が損なわれてしまうことを抑制することのできるキャンドモータポンプ1を得ることができる。
また、脚部182は、板部181の外周側に形成された外周側脚部182aと、板部181の内周側に形成された内周側脚部181bと、を備えており、磁気駆動部42が、外周側脚部182aと内周側脚部182bとの間に配置されている。
これにより、スペーサ180の脚部182の撓み方向をある程度規制することが可能となり、板部181が略平行移動するように脚部182を撓ませることができるようになる。その結果、スペーサ180の板部181とモールド成形金型300との間に隙間が形成されてしまうのをより確実に抑制することができるようになる。
したがって、コイル端子45の周りにバリが生じてしまったり、コイル端子45を樹脂44が覆ってしまったりするのをより確実に抑制することができるようになる。
また、脚部182は、板部181の周方向に沿って複数個配置されている。
これにより、スペーサ180の脚部182の撓み方向をある程度規制することが可能となり、板部181が略平行移動するように脚部182を撓ませることができる。その結果、スペーサ180の板部181とモールド成形金型300との間に隙間が形成されてしまうのをより確実に抑制することができるようになる。
したがって、コイル端子45の周りにバリが生じてしまったり、コイル端子45を樹脂44が覆ってしまったりするのをより確実に抑制することができるようになる。
また、板部181の周方向に沿って配置される複数個の脚部182(外周側脚部182a)が連結部183によって連結されている。
これにより、スペーサ180の成形時に脚部182(外周側脚部182a)が外周方向へ開いてしまうのを抑制することができるようになって脚部182(外周側脚部182a)の寸法をより安定させることができるようになる。
また、フランジ部41dの後面(軸方向他面)41nに脚部182を収納する収納部41mが設けられている。
これにより、スペーサ180の脚部182の位置ずれが抑制されて、脚部182の撓み方向をより確実に規制することが可能となり、板部181が略平行移動するように脚部182を撓ませることができる。その結果、スペーサ180の板部181とモールド成形金型300との間に隙間が形成されてしまうのをより確実に抑制することができるようになる。
したがって、コイル端子45の周りにバリが生じてしまったり、コイル端子45を樹脂44が覆ってしまったりするのをより確実に抑制することができるようになる。
また、有底円筒部41kは、開口側から底面側に向かうにつれて縮径するテーパ状をしており、ステータコア42aは、有底円筒部41kの周面(外周面)41fに対向する磁極面42fを有している。そして、有底円筒部41kのフランジ部41d側の磁極面42fと対向する部位に、前後方向(軸方向)に沿って延在するストレート部41hが設けられている。
これにより、スペーサ180の脚部182が撓んで、ステータコア42aの位置が前後方向(軸方向)にずれたとしても、有底円筒部41kの周面(外周面)41fとステータコア42aの磁極面42fとの間のクリアランスd4を略一定に保つことができる。そのため、樹脂モールド時の樹脂44の射出圧によって、ステータコア42aが径方向へ動いてしまったり、軸に対して傾いてしまったりすることを抑制することができるようになる。その結果、磁気従動部80が偏心してしまったり、傾いた状態で回転してしまったりすることに起因するポンプ振動の増大を抑制することができるようになる。
また、コイル端子45は、コイル42bが絡げられる第1のコイル端子45aと、板部181に取り付けられて制御基板43に電気的に接続される第2のコイル端子45bと、を有している。そして、第1のコイル端子45aと第2のコイル端子45bとが中継基板46を介して電気的に接続されており、前後方向(軸方向)から視た状態で第1のコイル端子45aと第2のコイル端子45bとがずれた位置に配置されている。
これにより、制御基板43に電気的に接続されるコイル端子45の突出位置を所望の位置とすることが可能となって、制御基板43の所望の位置にコイル端子45を接続することが可能となる。
また、本実施の形態1にかかるキャンドモータポンプの製造方法で製造されるキャンドモータポンプ1は、軸60により回転自在に軸支された磁気従動部80と、磁気従動部80の前後方向前側(軸方向の一端側)に一体形成された羽根車70と、を備えている。また、キャンドモータポンプ1は、羽根車70を収容するポンプ室131が形成されたポンプ本体10を備えている。さらに、キャンドモータポンプ1は、コイル42bと、当該コイル42bが巻回されるステータコア42aとを有し、磁気従動部80の外周側に配置されて磁気従動部80を回転させるための回転磁界を発生する磁気駆動部42を備えている。そして、磁気従動部80と磁気駆動部42とを仕切る分離板41と、コイル42bに電気的に接続されるコイル端子45と、を備えている。さらに、コイル端子45が取り付けられるスペーサ180と、コイル端子45に電気的に接続される制御基板43と、を備えている。
そして、かかる構成をしたキャンドモータポンプ1の製造方法は、分離板41、磁気駆動部42およびスペーサ180を樹脂44によりモールドすることで樹脂モールド体200を形成する樹脂モールド体形成工程を備えている。
また、樹脂モールド体形成工程は、分離板41における前後方向前方(軸方向の一側)に開口する有底円筒部41kの開口側に径方向外側に向けて延在するフランジ部41dの前後方向後方(軸方向の他側)に磁気駆動部42を配置する磁気駆動部配置工程を備えている。
また、スペーサ180の前後方向(軸方向)と直交(交差)する方向に延在してコイル端子45を取り付けた板部181を、磁気駆動部42の後方(軸方向他側)に配置するとともに、板部181から前方(軸方向一側)に延設された脚部182をフランジ部41dの後面(軸方向他面)41nに当接させるスペーサ配置工程を備えている。
また、モールド成形金型300と分離板41とでスペーサ180を型締めして樹脂44が充填されるキャビティS2を形成するスペーサ型締め工程を備えている。
また、モールド成形金型300と分離板41との間でスペーサ180を型締めした状態でキャビティS2内に樹脂44を射出する射出工程を備えている。
そして、スペーサ型締め工程では、モールド成形金型300の内面301を板部181の押圧面(軸方向他面)181cに面接触させながらスペーサ180を分離板41側に押圧して脚部182を撓み変形させた状態でスペーサ180を型締めしている。
これにより、樹脂モールド体200を製造する際には、磁気駆動部42等の寸法公差による影響を受けることなく、スペーサ180の板部181とモールド成形金型300との間に隙間が形成されてしまうのを抑制することができるようになる。
その結果、磁気駆動部42等が破壊されてしまうのが抑制される上、コイル端子45の周りにバリが生じてしまったり、コイル端子45を樹脂44が覆ってしまったりするのを抑制することができるようになる。
このように、本実施の形態1のキャンドモータポンプの製造方法を用いれば、使用環境に汎用性を持たせつつ、製品の信頼性が損なわれてしまうことを抑制することのできるキャンドモータポンプ1を製造することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、ケーシングや吸入管、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)を適宜に変更することが可能である。
以上のように、本発明にかかるキャンドモータポンプは、使用環境に汎用性を持たせつつ、製品の信頼性が損なわれてしまうことを抑制することができるので、例えば、給湯器用のポンプやヒートポンプにも適用できる。
1 キャンドモータポンプ
10 ポンプ本体
41 分離板
41a 収納部
41d フランジ部
41f 周面
41h ストレート部
41k 有底円筒部
41m 収納部
41n 後面(軸方向他面)
42 磁気駆動部
42a ステータコア
42b コイル
42f 磁極面
43 制御部(制御基板)
44 樹脂
45 コイル端子
45a 第1のコイル端子
45b 第2のコイル端子
46 中継基板
60 軸
70 羽根車
80 磁気従動部
180 スペーサ
181 板部
181b 後面(他面)
181c 押圧面
182 脚部
182a 外周側脚部
182b 内周側脚部
183 連結リング(連結部)
200 樹脂モールド体
300 モールド金型
301 内面
CA 中心軸方向
S2 キャビティ
d4 クリアランス

Claims (8)

  1. 軸により回転自在に軸支された磁気従動部と、
    前記磁気従動部の前記軸方向の一端側に一体形成された羽根車と、
    前記羽根車を収容するポンプ室が形成されたポンプ本体と、
    コイルと、当該コイルが巻回されるステータコアとを有し、前記磁気従動部の外周側に配置されて前記磁気従動部を回転させるための回転磁界を発生する磁気駆動部と、
    前記磁気従動部と前記磁気駆動部とを仕切る分離板と、
    前記コイルに電気的に接続されるコイル端子と、
    前記コイル端子が取り付けられるスペーサと、
    前記コイル端子に電気的に接続される制御基板と、
    を備え、
    前記分離板は、前記軸方向の一側に開口して前記磁気従動部が収納される収納部が形成された有底円筒部と、当該有底円筒部の開口側から径方向外側に向けて延設され、前記磁気駆動部が前記軸方向の他側に配置されるフランジ部と、を備えており、
    前記分離板、前記磁気駆動部および前記スペーサを樹脂によりモールドすることで樹脂モールド体が形成されており、
    前記コイル端子の一部が前記樹脂モールド体の外部に露出するとともに、前記コイル端子の前記樹脂モールド体から露出した部位で前記制御基板が電気的に接続されており、
    前記スペーサは、前記軸方向と交差する方向に延在して前記コイル端子が取り付けられるとともに、前記磁気駆動部の前記軸方向他側に配置される略円環状の板部と、前記板部から前記軸方向一側に延設されて前記フランジ部の前記軸方向他面に当接する脚部と、を備えており、
    前記スペーサは、前記脚部が撓んだ状態で樹脂によりモールドされていることを特徴とするキャンドモータポンプ。
  2. 前記脚部は、前記板部の外周側に形成された外周側脚部と、前記板部の内周側に形成された内周側脚部と、を備えており、
    前記磁気駆動部が、前記外周側脚部と前記内周側脚部との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のキャンドモータポンプ。
  3. 前記脚部は、前記板部の周方向に沿って複数個配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャンドモータポンプ。
  4. 前記板部の周方向に沿って配置される複数個の前記脚部が連結部によって連結されていることを特徴とする請求項3に記載のキャンドモータポンプ。
  5. 前記フランジ部の前記軸方向他面に前記脚部を収納する収納部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のキャンドモータポンプ。
  6. 前記有底円筒部は、開口側から底面側に向かうにつれて縮径するテーパ状をしており、
    前記ステータコアは、前記有底円筒部の外周面に対向する磁極面を有しており、
    前記有底円筒部の前記フランジ部側の前記磁極面と対向する部位に、前記軸方向に沿って延在するストレート部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のキャンドモータポンプ。
  7. 前記コイル端子は、前記コイルが絡げられる第1のコイル端子と、前記板部に取り付けられて前記制御基板に電気的に接続される第2のコイル端子と、を有しており、
    前記第1のコイル端子と前記第2のコイル端子とが中継基板を介して電気的に接続されており、
    前記軸方向から視た状態で前記第1のコイル端子と前記第2のコイル端子とがずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載のキャンドモータポンプ。
  8. 軸により回転自在に軸支された磁気従動部と、
    前記磁気従動部の前記軸方向の一端側に一体形成された羽根車と、
    前記羽根車を収容するポンプ室が形成されたポンプ本体と、
    コイルと、当該コイルが巻回されるステータコアとを有し、前記磁気従動部の外周側に配置されて前記磁気従動部を回転させるための回転磁界を発生する磁気駆動部と、
    前記磁気従動部と前記磁気駆動部とを仕切る分離板と、
    前記コイルに電気的に接続されるコイル端子と、
    前記コイル端子が取り付けられるスペーサと、
    前記コイル端子に電気的に接続される制御基板と、
    を備えるキャンドモータポンプの製造方法であって、
    前記分離板、前記磁気駆動部および前記スペーサを樹脂によりモールドすることで樹脂モールド体を形成する樹脂モールド体形成工程を備え、
    前記樹脂モールド体形成工程は、
    前記分離板における前記軸方向の一側に開口する有底円筒部の開口側に径方向外側に向けて延在するフランジ部の前記軸方向の他側に前記磁気駆動部を配置する磁気駆動部配置工程と、
    前記スペーサの前記軸方向と交差する方向に延在して前記コイル端子を取り付けた板部を、前記磁気駆動部の前記軸方向他側に配置するとともに、前記板部から前記軸方向一側に延設された脚部を前記フランジ部の前記軸方向他面に当接させるスペーサ配置工程と、
    モールド成形金型と前記分離板とで前記スペーサを型締めして樹脂が充填されるキャビティを形成するスペーサ型締め工程と、
    前記モールド成形金型と前記分離板との間で前記スペーサを型締めした状態で前記キャビティ内に樹脂を射出する射出工程と、
    を備えており、
    前記スペーサ型締め工程では、前記モールド成形金型の内面を前記板部の前記軸方向他面に面接触させながら前記スペーサを前記分離板側に押圧して前記脚部を撓み変形させた状態で前記スペーサを型締めすることを特徴とするキャンドモータポンプの製造方法。
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