JP6311831B1 - マイクロ波整流回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】アンテナから外部空間への再放射を確実に抑制し得るマイクロ波整流回路を提供すること。【解決手段】交流電力を整流するマイクロ波整流回路であって、入力線路の出力側の分岐点から複数に分岐する分岐線路と、複数の前記分岐線路それぞれに配設されたインピーダンス整合部と、複数の前記分岐線路それぞれの前記インピーダンス整合部の後段に配設されて、前記交流電力を整流する整流部と、複数の前記分岐線路の少なくとも一の前記インピーダンス整合部と前記整流部の間に配設され、前記整流部で発生する反射波の基本波成分の合成が前記分岐点においてゼロとなるように、前記交流電力の位相をシフトする位相シフト部と、複数の前記分岐線路それぞれの前記インピーダンス整合部の出力端から分岐するように配設された複数の抵抗部を有し、当該複数の抵抗部の他端を互いに結線して構成される分岐抵抗部と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、マイクロ波整流回路に関する。
アンテナでマイクロ波帯域の電磁波を受電し、得られた高周波電力を整流して直流電力に変換(RF−DC変換)するレクテナ装置(Rectifying Antenna:レクチファイア・アンテナとも称される)が知られている(例えば、特許文献1や特許文献2を参照)。
この種のレクテナ装置で使用される整流回路(以下、「マイクロ波整流回路」と称する)においては、当該マイクロ波整流回路内からアンテナ側への反射波を抑制する要請がある。
一般に、高周波電力が使用される回路においては、回路間の接続部でインピーダンスが異なると反射波が起こる。そして、マイクロ波整流回路において、アンテナ側への反射波が発生した場合、当該反射波は、アンテナから外部空間へ再放射され、電力損失の増大を引き起こし、加えて、他の用途の電波への悪影響を及ぼすことにもなる。
又、マイクロ波整流回路においては、整流ダイオードの非線形性に起因して、基本周波数の反射波に加えて、高調波の反射波も発生する。マイクロ波整流回路においては、通流する電力が無線通信に比べて遙かに大きいため、基本周波数の反射波に加えて、当該高調波の反射波の抑制も求められる。
特開2014−023069号公報 特開2012−023857号公報
小西 良弘,「実用マイクロ波技術講座―理論と実際〈第2巻〉」,ケイラボ出版,2001,PP.56-58
かかる問題を解決するため、例えば、特許文献1には、整流ダイオードからなる整流部の前段に、フィルタとオープンスタブを配設することが記載されている。そして、特許文献1の従来技術においては、フィルタによって高調波の反射波を遮蔽し、当該フィルタを通過してくる基本波成分の反射波をオープンスタブ等で遮蔽する。
しかしながら、特許文献1の従来技術においては、レクテナ装置に伝送される電磁波の伝搬態様や整流部内で発生する反射波が一定であることが前提となっている。一方、電磁波の伝搬態様は、実際には大きく変化する。又、整流部における反射特性は、例えば、入力電力や出力電力等、レクテナ装置の使用条件に応じて大きく変化する。そのため、特許文献1の従来技術においては、アンテナ側への反射波を抑制することは、実際には困難な場合が多い。
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、整流動作の際に、受電したマイクロ波がアンテナから外部空間へ再放射されることを確実に抑制し得るマイクロ波整流回路を提供することを目的とする。
前述した課題を解決する主たる本開示は、
交流電力を整流するマイクロ波整流回路であって、
前記交流電力が入力される入力線路と、
前記入力線路の出力側の分岐点から複数に分岐する分岐線路と、
複数の前記分岐線路それぞれに配設されて、前記入力線路と後段との間でインピーダンス整合と90°の位相シフトを行うインピーダンス整合部と、
複数の前記分岐線路それぞれの前記インピーダンス整合部の後段に配設されて、前記交流電力を整流する整流部と、
複数の前記分岐線路の少なくとも一の前記インピーダンス整合部と前記整流部の間に配設され、前記整流部で発生する反射波の基本波成分の合成が前記分岐点においてゼロとなるように、前記交流電力の位相をシフトする位相シフト部と、
複数の前記分岐線路それぞれの前記インピーダンス整合部の出力端から分岐するように配設された複数の抵抗部を有し、当該複数の抵抗部の他端を互いに結線して構成される分岐抵抗部と、
を備える、マイクロ波整流回路。
本開示に係るマイクロ波整流回路によれば、整流動作の際に、受電したマイクロ波がアンテナから外部空間へ再放射されることを確実に抑制することができる。
第1の実施形態に係るマイクロ波整流回路の構成の一例を示す図 比較例1に係るマイクロ波整流回路の構成を示す図 第1の実施形態に係るマイクロ波整流回路の動作を説明する図 第1の回路シミュレーションに用いた第1のテスト回路の構成を示す図 第1の回路シミュレーションのシミュレーション結果を示す図 第2の回路シミュレーションに用いた第2のテスト回路の構成を示す図 第2の回路シミュレーションに用いた比較用テスト回路の構成を示す図 第2の回路シミュレーションのシミュレーション結果を示す図 インピーダンス整合部及び位相シフト部の他の態様の一例を示す図 π型回路の回路素子の回路パラ-メータと位相シフト量の関係の一例を示す図 第2の実施形態に係るマイクロ波整流回路の構成の一例を示す図 第2の実施形態に係るマイクロ波整流回路の動作を説明する図 第3の実施形態に係るマイクロ波整流回路の構成の一例を示す図
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
[マイクロ波整流回路の構成]
以下、図1を参照して、第1の実施形態に係るマイクロ波整流回路Uの構成の一例について説明する。本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uは、例えば、上記したレクテナ装置に適用される。
図1は、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uの構成の一例を示す図である。
本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uは、入力線路1、インピーダンス整合部2、位相シフト部3、整流部4、及び分岐抵抗部5を備えている。
入力線路1には、アンテナAから受電した高周波電力(以下、「入力波Vin」と称する)が入力される。入力線路1の出力側には、分岐点L0から複数に分岐する分岐線路La、Lbが接続されている。入力線路1に入力された入力波Vinは、分岐点L0から、複数の分岐線路La、Lbそれぞれに分岐して後段側に向かう。
尚、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uは、分岐点L0から分岐線路La、Lbが二股に分岐する構成となっている。本実施形態では、分岐線路Laを「第1の分岐線路La」、分岐線路Lbを「第2の分岐線路Lb」と称すると共に、いずれの分岐線路La、Lb上の構成かを区別して説明する際には、第1の分岐線路La上の構成については符号aを付して「第1の…a」と称し、第2の分岐線路Lb上の構成については符号bを付して「第2の…b」と称して説明する。
インピーダンス整合部2は、複数の分岐線路La、Lbそれぞれに配設されて、入力線路1と後段との間でインピーダンス整合を行う。本実施形態に係るインピーダンス整合部2は、λ/4線路2a、2bによって、構成されている。λ/4線路2a、2bは、入力波Vinの基本周波数の波長λに基づいて、λ/4の線路長に調整されている。
具体的には、第1のλ/4線路2aは、第1の分岐線路Laを構成する伝送線路であって、入力線路1と第1の整流部4aの間のインピーダンス整合を行う。又、第2のλ/4線路2bは、第2の分岐線路Lbを構成する伝送線路であって、入力線路1と第2の整流部4bの間のインピーダンス整合を行う。尚、第1のλ/4線路2a及び第2のλ/4線路2bは、通過する入力波Vin(及び反射波)に対して、90°位相差を発生させる機能も有する。
第1のλ/4線路2a及び第2のλ/4線路2bが、後段とのインピーダンス整合を行うことによって、入力波Vinが分岐点L0において、反射することを抑制する。但し、インピーダンス整合部2は、後段との間でインピーダンス整合と90°の位相シフトを行うことができれば、インダクタとキャパシタで構成したπ型回路(図9を参照して後述)等、任意の構成によって実現されてよい。
位相シフト部3は、複数の分岐線路La、Lbの少なくとも一のインピーダンス整合部2と整流部4の間に配設され、整流部4で発生する反射波の基本波成分の合成が、分岐点L0においてゼロとなるように、通過する高周波電力の位相をシフトする。尚、位相シフト部3が、整流部4で発生する反射波の基本波成分の合成が分岐点L0においてゼロとなるようにすることで、再反射等した反射波から見たとき、分岐抵抗部5の結線位置の電位をゼロの状態とすることができる(詳細は後述)。
本実施形態においては、位相シフト部3は、第1のλ/4線路2aの後段に配設された第1の位相シフト部3aによって構成され、第1の整流部4aに向かう入力波Vinを90°位相シフト(位相遅れ又は位相進み)する。又、第1の位相シフト部3aは、第1の整流部4aからの反射波に対しても90°の位相シフト(位相遅れ又は位相進み)を発生させる。これによって、第1の整流部4aで発生する反射波の基本波成分と第2の整流部4bで発生する反射波の基本波成分とは、分岐点L0において、同一波形で且つ逆位相の関係となり、当該分岐点L0において、その合成はゼロとなる。
位相シフト部3は、例えば、λ/4線路によって構成される。但し、位相シフト部3は、遅延回路等、他の構成によって実現されてよい。
整流部4は、複数の分岐線路La、Lbそれぞれのインピーダンス整合部2の後段に配設されて、入力波Vinを整流する。整流部4は、ダイオードを用いて構成され、例えば、シングルシャント型の整流回路、ボルテージダブラ型の整流回路によって構成される。
具体的には、第1の整流部4aは、第1の分岐線路Laの第1の位相シフト部3aの後段に接続され、第1の位相シフト部3aから出力される入力波Vinを整流する。第2の整流部4bは、第2の分岐線路Lbの第2のλ/4線路2bの後段に接続され、第2のλ/4線路2bから出力される入力波Vinを整流する。
但し、第1の整流部4aと第2の整流部4bとは、同一の反射特性を有するように構成される。そのため、第1の整流部4aと第2の整流部4bとは、例えば、同一特性のダイオード、及び同一種別の回路構成が用いられる。これによって、第1の整流部4aで発生する反射波(以下、「第1の反射波Vra」と称する)と第2の整流部4bで発生する反射波(以下、「第2の反射波Vrb」と称する)とが同一波形となる。
第1の整流部4aが生成した直流電力と、第2の整流部4bが生成した直流電力は、共に、後段の集電部(図示せず)に出力され、当該集電部において合成される。
分岐抵抗部5は、複数の分岐線路La、Lbそれぞれのインピーダンス整合部2の出力端から分岐するように配設された複数の抵抗部5a、5bを有し、当該複数の抵抗部5a、5bの他端を互いに結線して構成されている。分岐抵抗部5は、分岐点L0において再反射等した反射波を消滅させる(詳細は後述)。
具体的には、第1の抵抗部5aは、一端が第1のλ/4線路2aの出力端に接続され、第2の抵抗部5bは、一端が第2のλ/4線路2bの出力端に接続され、第1の抵抗部5aの他端と第2の抵抗部5bの他端とが結線されている。
尚、第1の抵抗部5a及び第2の抵抗部5bは、一端が第1のλ/4線路2aの出力端に接続され、他端が第2のλ/4線路2bの出力端に接続された一個の抵抗素子によって構成されてもよい。
尚、マイクロ波整流回路Uには、第1の整流部4a及び第2の整流部4bそれぞれの前段に高調波を遮蔽するフィルタ部(例えば、オープンスタブ)が配設されてもよい。
[マイクロ波整流回路の動作]
以下、図2〜図3を参照して、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uの動作について説明する。
図2は、比較例1に係るマイクロ波整流回路H1の構成を示す図である。
まず、比較例1に係るマイクロ波整流回路H1を参照して、入力波Vinを入力線路1から分岐させることによる反射波(第1の反射波Vraと第2の反射波Vrb)の相殺作用について説明する。
比較例1に係るマイクロ波整流回路H1は、入力線路1の分岐点L0から二股に分岐した第1の分岐線路Laと第2の分岐線路Lbとを有し、第1の分岐線路Laには、第1の位相シフト部3aを介して第1の整流部4aが配設され、第2の分岐線路Lbには、第2の整流部4bが分岐点L0に直結された構成となっている。
比較例1に係るマイクロ波整流回路H1において、入力波Vinが入力線路1に入力されると、まず、第1の整流部4aにおいて第1の反射波Vraが発生し、第2の整流部4bにおいて第2の反射波Vrbが発生する。この際、ダイオードの非線形性等に起因して、第1の反射波Vraと第2の反射波Vrbは、それぞれ、入力波Vinの基本周波数成分に加えて高調波成分を含むものとなっている。
但し、第1の反射波Vraと第2の反射波Vrbは、第1の整流部4aの反射特性と第2の整流部4bの反射特性とが同一であるため、同一波形となっている。又、第1の反射波Vraは、入力波Vinが位相シフト部3を介して入力されるため、第2の反射波Vrbに対して、整流部4への到着時点で90°の位相差を有するものとなっている。
第1の反射波Vraは、再度、位相シフト部3aを通過して、分岐点L0に到達する。一方、第2の反射波Vrbは、そのまま、分岐点L0に到達する。従って、分岐点L0においては、第1の反射波Vraは、第2の反射波Vrbに対して、180°の位相差を有することになる。つまり、分岐点L0においては、第1の反射波Vraと第2の反射波Vrbは、同一波形で、互いに位相が反転した状態となっている。従って、第1の反射波Vraと第2の反射波Vrbとは、分岐点L0から入力線路1に向かう際に互いに打ち消し合うことになる。
このように、比較例1に係るマイクロ波整流回路H1においては、入力波Vinを分岐して入力する第1の整流部4aと第2の整流部4bを配設すると共に、第1の整流部4a又は第2の整流部4bの一方の前段に位相シフト部3aを配設することによって、反射波(第1の反射波Vraと第2の反射波Vrb)の相殺作用を期待することができる。
しかしながら、比較例1に係るマイクロ波整流回路H1においては、反射波を減少はできてもゼロにすることはできない。
詳述すると、分岐点L0に戻ってきた第1の反射波Vraは、すべてが入力線路1に戻るわけではなく、一部は、元来た第1の分岐線路Laに再反射し(以下、「第1の再反射波Vra1」と称する)、又、他の一部はもう一方の第2の分岐線路Lbへ回り込む(以下、「第1の回り込み反射波Vra2」と称する)。
同様に、分岐点L0に戻ってきた第2の反射波Vrbは、一部は、元来た第2の分岐線路Lbに再反射し(以下、「第2の再反射波Vrb1」と称する)、又、他の一部はもう一方の第1の分岐線路Laへ流れ込む(以下、「第2の回り込み反射波Vrb2」と称する)。
分岐点L0において再反射等した反射波Vra1、Vra2、Vrb1、Vrb2は、それぞれ、第1の整流部4aと第2の整流部4bにおいて反射し、再び分岐点L0に戻ってくる。第1の再反射波Vra1と第2の再反射波Vrb1は、再び分岐点L0に戻ってくる際には、位相がそろった状態となる。又、第1の回り込み反射波Vra2と第2の回り込み反射波Vrb2も、同様に、分岐点L0に戻ってくる際には、位相がそろった状態となる。その結果、当該反射波Vra1、Vra2、Vrb1、Vrb2は、互いに打ち消されることなく、入力線路1からアンテナA側に向かい、アンテナAから再放射されることになる。
本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uは、上記に鑑みて、分岐点L0において再反射等した反射波(Vra1、Vra2、Vrb1、Vrb2)を分岐抵抗部5によって消失させる。
図3は、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uの動作を説明する図である。
図3中において、Vraは第1の整流部4aにおいて発生する第1の反射波、Vrbは第2の整流部4bにおいて発生する第2の反射波、Vra1は第1の再反射波、Vrb1は第2の再反射波、Vra2は第1の回り込み反射波、Vrb2は第2の回り込み反射波を表す。
本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uにおいても、上記比較例1に係るマイクロ波整流回路H1と同様に、第1の整流部4aにおいて第1の反射波Vraが発生し、第2の整流部4bにおいて第2の反射波Vrbが発生する。
第1の反射波Vraは、第1の位相シフト部3a及び第1のλ/4線路2aを介して、分岐点L0に戻ってくる。又、第2の反射波Vrbは、第2のλ/4線路2bを介して、分岐点L0に戻ってくる。尚、第1の反射波Vraと第2の反射波Vrbの一部は、分岐点L0に戻ってくる際に、分岐抵抗部5へ流れ込んで消失する。
分岐点L0における第1の反射波Vra及び第2の反射波Vrbの挙動は、比較例1に係るマイクロ波整流回路H1を参照して説明した通りである。つまり、第1の反射波Vraは、一部が第1のλ/4線路2aに再反射し(第1の再反射波Vra1)、他の一部が第2のλ/4線路2bに回り込む(第1の回り込み反射波Vra2)。同様に、第2の反射波Vrbは、一部が第2のλ/4線路2bに再反射し(第2の再反射波Vrb1)、他の一部が第1のλ/4線路2aに回り込む(第2の回り込み反射波Vrb2)。
この際、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uにおいては、第1及び第2の整流部4a、4bと分岐点L0の間に分岐抵抗部5を設けているため、公知のウィルキンソン分配器と同様に(詳細には、例えば、非特許文献1を参照)、第1の再反射波Vra1、第1の回り込み反射波Vra2、第2の再反射波Vrb1、及び第2の回り込み反射波Vrb2は、分岐抵抗部5の両端から当該分岐抵抗部5に吸収されて熱となり、第1及び第2の整流部4a、4bの方へは戻らない。又、第1の反射波Vraと第2の反射波Vrbの一部の信号は、分岐点L0点で入力線路1側に伝搬するが、この信号は逆相のため互いに打ち消し合う。その結果、入力線路1側にも反射波は戻らない。
このように、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uにおいては、分岐点L0において再反射等した反射波Vra1、Vra2、Vrb1、Vrb2を分岐抵抗部5で消失させることができるため、アンテナAから再放射が発生することを抑制することができる。
尚、入力波Vinについては、分岐抵抗部5の両端で、同位相であるため、当該分岐抵抗部5への流れ込みは生じず、当該分岐抵抗部5における損失とはならない。
以上では、基本周波数の反射波についてのみ説明したが、基本周波数の第1及び第2の反射波Vra、Vrbにおいて位相差が180°となる場合には、2n+1(nは任意の正の整数)で表される奇数次の高調波においても、同様に、位相差は180°+n×360°となる。従って、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uは、奇数次の高調波成分に係る反射波についても、基本周波数の反射波と同様に、分岐抵抗部5において消失させ、入力線路1からアンテナA側に戻ることを確実に抑制することができる。
尚、第1及び第2の整流部4a、4bにおいて反射波として発生する高調波成分は、通常、奇数次の高調波成分のみであるため、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uは、すべての高調波成分に関してもアンテナAからの再放射を抑制する効果を有すると言える。また、偶数次の高調波も完全に遮断するには、スタブなどにより対応する遮断フィルタを設置することでレクテナ回路の特性を損なうことなく実現できる。
[マイクロ波整流回路のインピーダンス設計]
次に、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uのインピーダンス設計について、説明する。本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uにおいては、分岐点L0においてインピーダンス整合が行われおり、且つ、分岐抵抗部5の接続位置においてインピーダンス整合が行われている場合、上記のように、再反射等した反射波Vra1、Vra2、Vrb1、Vrb2を分岐抵抗部5で消失させることができる。
第1のλ/4線路2aの特性インピーダンスZは、入力波Vinが分岐点L0及び第1の位相シフト部3aにおいて反射しないように、入力線路1と第1の位相シフト部3aの間でインピーダンス整合を行うべく、次式(1)が成立するように設定する。
(2×Z)×Z=Z …式(1)
(但し、Z:入力線路1の特性インピーダンス[Ω]、Z:第1のλ/4線路2aの特性インピーダンス[Ω]、Z:第1のλ/4線路2aの後段(第1の位相シフト部3a等)の特性インピーダンス[Ω])
ここで、入力線路1の特性インピーダンスを(2×Z)としているのは、第1のλ/4線路2aが二股に分岐した一方側であるためである。
尚、この際、第2のλ/4線路2bの特性インピーダンスも、第1のλ/4線路2aと同じ特性インピーダンスZとなるように設定する。
次に、分岐抵抗部5の第1の抵抗部5a(及び第2の抵抗部5b)の抵抗値Zの設定方法について説明する。
分岐抵抗部5の第1の抵抗部5a(及び第2の抵抗部5b)の抵抗値Zは、分岐点L0において再反射等した反射波Vra1、Vra2、Vrb1、Vrb2が、第1のλ/4線路2a(及び第2のλ/4線路2b)との接続位置において反射することなく、当該分岐抵抗部5の結線位置に向かうように設定する。
まず、入力波Vinについては、分岐抵抗部5の両側で同位相であるため、当該分岐抵抗部5への流れ込みは生じないため、第1の抵抗部5aの抵抗値Zを設定する際には無視して考えることができる。換言すると、第1の抵抗部5aの抵抗値Zは、分岐点L0において再反射等した反射波Vra1、Vra2、Vrb1、Vrb2のみを考慮して設定すればよい。
そして、第1の再反射波Vra1と第2の回り込み反射波Vrb2から第1のλ/4線路2aの後段を見たとき、分岐抵抗部5の結線位置の電位がゼロ[V]であるから、この際には、第1の位相シフト部3a側のインピーダンスも無視して考えることができる。つまり、第1の再反射波Vra1と第2の回り込み反射波Vrb2が第1の抵抗部5aの接続位置において反射することなく当該第1の抵抗部5a側に吸収される条件は、第1の抵抗部5aの抵抗値Zが、第1のλ/4線路2aの特性インピーダンス(Z)とインピーダンス整合していることである。
従って、第1の抵抗部5aの抵抗値Zは、一般的なλ/4線路のインピーダンス整合の条件式より、以下の式(2)を満足するように設定する。
(2×Z)×Z=Z …式(2)
(但し、Z:入力線路1の特性インピーダンス[Ω]、Z:第1のλ/4線路2aの特性インピーダンス[Ω]、Z:第1の抵抗部5aの抵抗値[Ω])
換言すると、第1の抵抗部5aの抵抗値Zは、第1の位相シフト部3aの特性インピーダンスZと同一値となるように設定すればよい。
尚、第2の抵抗部5aの抵抗値Zについても、同様に考えて、上式(2)を満たすように設定する。
以上のように、分岐抵抗部5の第1の抵抗部5a及び第2の抵抗部5bの抵抗値を設定することによって、分岐点L0において再反射等した反射波Vra1、Vra2、Vrb1、Vrb2に起因して、アンテナAから再放射されることを確実に抑制することが可能となる。
[動作検証1]
次に、図4〜図5を参照して、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uの動作検証のために行った第1の回路シミュレーションについて説明する。
図4は、第1の回路シミュレーションに用いた第1のテスト回路T1の構成を示す図である。
第1の回路シミュレーションは、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uの第1及び第2の整流部4a、4bで発生する第1及び第2の反射波Vra、Vrbの挙動を観察する。
第1のテスト回路T1においては、ポートSbから、第1及び第2の反射波Vra、Vrbを模擬した高周波信号Vt0を入力し、当該高周波信号Vt0のポートSaへの透過量を検出する。尚、第1のテスト回路T1においては、第1の分岐線路La側に第1の位相シフト部3aを2つ連続して配設し、これによって、高周波信号Vt0から180°の位相差を有する第1の反射波Vraと第2の反射波Vrbを生成する。
尚、図4中の入力線路1、第1のλ/4線路2a、第2のλ/4線路2b、位相シフト部3、及び、分岐抵抗部5は、それぞれ、図1のマイクロ波整流回路Uの各構成と同様の構成を有する。
第1の回路シミュレーションにおいては、5.8GHz(基本周波数)を基準として、第1のλ/4線路2a、第2のλ/4線路2b、第1の位相シフト部3a、及び分岐抵抗部5のインピーダンス等を設定している。そして、第1の回路シミュレーションにおいては、高周波信号Vt0の周波数を変化させたときの信号成分Vt1、信号成分Vt2、損失Ptを算出する。換言すると、本回路シミュレーションは、5.8GHzを基本周波数として設定したマイクロ波整流回路Uにおける周波数毎の挙動を検証する。
図5は、第1の回路シミュレーションのシミュレーション結果を示す図である。
図5の各グラフは、Vt1(点線)はポートSaまで透過した信号成分の大きさ、Vt2(一点鎖線)はポートSbまで再反射した信号成分の大きさ、及びPt(実線)は分岐抵抗部5における電力損失を示す。図5の各グラフにおいて、横軸は周波数[GHz]、縦軸は入力成分を1とした場合のVt1、Vt2、Ptの大きさを表す。
図5の各グラフが示すように、高周波信号Vt0の周波数が、基本周波数(5.8GHz)、第3高調波(17.4GHz)、及び第5高調波(29GHz)の場合には、ポートSaまで透過した信号成分Vt1(点線)、ポートSbまで再反射した信号成分Vt2(一点鎖線)は、実質的にゼロとなることが分かる。尚、この際のエネルギーの多くは、損失Pt(実線)のグラフが示すように、分岐抵抗部5で抵抗損失として消費される。
一方、図5の各グラフが示すように、高周波信号Vt0が第2高調波(11.6GHz)等の偶数次の場合には、ポートSaまで透過した信号成分Vt1(点線)は、略1であり、略100%がポートSaまで透過する。但し、上記したように、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uにおいては、偶数次の高調波は発生しないため、この結果は、特段問題とはならない。又、必要に応じて偶数次の遮断フィルタを設置して回路特性を損なうこと無く除去することも可能である。
[動作検証2]
次に、図6〜図8を参照して、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uの動作検証のために行った第2の回路シミュレーションについて説明する。
図6は、第2の回路シミュレーションに用いた第2のテスト回路T2の構成を示す図である。
図7は、第2の回路シミュレーションに用いた比較用テスト回路H2の構成を示す図である。比較用テスト回路H2は、入力線路1から分岐せずに整流動作を行う従来技術に係るマイクロ波整流回路である。
本回路シミュレーションでは、高周波信号Vt3の入力電力を変化させたときの第1の整流部4a及び第2の整流部4bにおける電力損失の挙動、及び反射電力の挙動を観察する。本回路シミュレーションでは、主に、分岐構造とフィルタ部6による反射波の遮蔽効果を検証する。
第2の回路シミュレーションでは、入力ポートScから高周波信号Vt3を入力し、出力ポートSdで検出される直流出力Vt4、及び検出ポートSeで検出される入力線路1まで反射した反射波の電力Vt5を検出する。
図6及び図7中の入力線路1、第1のλ/4線路2a、第2のλ/4線路2b、第1の位相シフト部3a、第1の整流部4a、第2の整流部4b、及び、分岐抵抗部5は、それぞれ、図1と同様の構成を有する。但し、ここでは、第1の整流部4a及び第2の整流部4bの前段に、高調波の反射波を遮蔽するためのフィルタ部6(第1のフィルタ部6a、第2のフィルタ部6b)を配設している。
尚、図6及び図7中の抵抗7a、7bは電力負荷、キャパシタ8は直流カット用のキャパシタ、サーキュレータ9は入力線路1まで反射した反射波を検出するための構成である。
尚、第2のテスト回路T2及び比較用テスト回路H2は、第1のフィルタ部6a、第2のフィルタ部6b等の調整によって、高周波信号Vt3の周波数が5.8GHz、入力電力が1Wのときに、第1の整流部4a及び第2の整流部4bでの反射が最小になるように設定されている。
図8は、第2の回路シミュレーションのシミュレーション結果を示す図である。図8Aは第2のテスト回路T2のシミュレーション結果、図8Bは比較用テスト回路H2のシミュレーション結果を示す。
図8A、図8Bの各グラフは、Pd2(点線)は整流部4での電力損失、及びPr2(実線)はサーキュレータ9で検出された反射電力を示す。
図8A、図8Bにおいて、横軸Pinは入力電力(10mW〜10W)[W]、縦軸は入力成分を1とした場合の電力損失Pd2(点線)の大きさ、及び反射電力Pr2(実線)の大きさを表す。
図8BのグラフPr2が示すように、比較用テスト回路H2においては、フィルタ部6の反射波の遮蔽効果が発揮される入力電力が1Wのときにも、反射電力Pr2及び電力損失Pd2がともに多く観察される。
一方、図8AのグラフPr2が示すように、第2のテスト回路T2においては、入力電力Pinによらず、反射電力Pr2がほぼゼロとなる。
以上、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uによれば、整流部4で発生する反射波(Vra、Vrb)を分岐点L0で互いに相殺させると共に、当該分岐点L0で再反射等した反射波(Vra1、Vra2、Vrb1、Vrb2)については分岐抵抗部5で消失させることができる。そして、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uは、基本周波数に加えて高調波成分についても、当該作用を発揮することができる。従って、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uは、整流動作の際に、受電したマイクロ波がアンテナAから外部空間へ再放射されることを確実に抑制することができる。
又、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uによれば、分岐点L0で再反射等した反射波が第1の整流部4a及び第2の整流部4b等に入力されることがないため、当該第1の整流部4a及び第2の整流部4b等の性能限界においても安定して動作することができる。その結果、RF/DCの変換効率の向上にも資することになる。
尚、上記実施形態では、分岐点L0から第1の分岐線路Laと第2の分岐線路Lbの2本に分岐する構成を示したが、当該構成を複数組形成する態様等にも変形し得る。例えば、分岐点L0から2×m(mは任意の正の整数)本の分岐線路に分岐する構成として、一方のm本の分岐線路と、他のm本の分岐線路とが、整流部4に到達する際に90°の位相差を有するように、入力波Vinの位相をシフトする態様としてもよい。
(第1の実施形態の変形例)
次に、図9〜図10を参照して、第1の実施形態の変形例に係るマイクロ波整流回路Uについて説明する。
上記実施形態では、インピーダンス整合部2及び位相シフト部3をそれぞれλ/4線路を用いて構成する態様を示した。しかしながら、インピーダンス整合部2及び位相シフト部3は、他の回路構成によって実現してもよい。
図9は、インピーダンス整合部2又は位相シフト部3の他の回路構成の一例を示す図である。
図9に示す回路は、π型回路であり、インダクタンス素子L1と、第1のキャパシタC1と、第2のキャパシタC2と、を備えている。そして、インダクタンス素子L1は、入力側と出力側の間に直列に接続され、第1のキャパシタC1は、一端が接地された状態で当該インダクタンス素子L1の前段に接続され、第2のキャパシタC2は、一端が接地された状態で当該インダクタンス素子L1の後段に接続されている。
インピーダンス整合は、一般に、インピーダンス整合回路の入力点を基準として信号源側のインピーダンスが負荷側のインピーダンスと共役の関係となり、且つ、当該インピーダンス整合回路の出力点を基準として信号源側のインピーダンスが負荷側のインピーダンスと共役の関係となるように、回路素子の回路常数を設定することで実現することができる。
本変形例においては、例えば、インダクタンス素子L1のインダクタを1nH程度、第1のキャパシタC1及び第2のキャパシタC2のキャパシタンスを1pF程度とすることによって、マイクロ波帯域の高周波電力に対して、入力線路1と後段の整流部4との間のインピーダンス整合を行うことができる。
図10は、高周波電力が5.8GHzの場合における、π型回路の回路素子の回路パラ-メータ(インダクタンス素子L1のインダクタ、第1のキャパシタC1及び第2のキャパシタC2のキャパシタンス)と位相シフト量の関係の一例を示す図である。
図10に示すように、π回路は、インダクタンス素子L1のインダクタ、第1のキャパシタC1及び第2のキャパシタC2のキャパシタンスを適宜設定することによって、通過する高周波電力の位相シフト量を調整することができる。
尚、π型回路のように集中定数線路を用いるインピーダンス整合部2は、基本波に対する遅延時間と高調波に対する遅延時間が異なるため、高調波に対する位相差による反射抑制効果は期待できない。しかしながら、高周波に対しては透過率が低下するため、結果的に高調波反射も抑制される。より完璧に抑制するには。高調波への遮断フィルタを挿入すればよい。
(第2の実施形態)
次に、図11〜図12を参照して、第2の実施形態に係るマイクロ波整流回路Uについて説明する。
図11は、第2の実施形態に係るマイクロ波整流回路Uを構成の一例を示す図である。
本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uは、分岐点L0から分岐線路La、Lb、Lcに3分岐する構成となっている。尚、第1の実施形態と共通する構成については、説明を省略する(以下、他の実施形態についても同様)。
尚、本実施形態では、分岐線路Laを「第1の分岐線路La」、分岐線路Lbを「第2の分岐線路Lb」、分岐線路Lcを「第3の分岐線路Lc」と称すると共に、いずれの分岐線路La、Lb、Lc上の構成かを区別して説明する際には、第1の分岐線路La上の構成については符号aを付して「第1の…a」と称し、第2の分岐線路Lb上の構成については符号bを付して「第2の…b」と称し、第3の分岐線路Lb上の構成については符号cを付して「第3の…c」と称して説明する。
第1の分岐線路Laには、第1のλ/4線路2aを介して第1の整流部4aが接続されている。第2の分岐線路Lbには、第2のλ/4線路2bと第2の位相シフト部3bを介して第2の整流部4bが接続されている。又、第3の分岐線路Lcには、第3のλ/4線路2cと第3の位相シフト部3cを介して第3の整流部4cが接続されている。そして、分岐抵抗部5は、第1のλ/4線路2aの出力端、第2のλ/4線路2bの出力端、及び第3のλ/4線路2cの出力端それぞれに接続した第1、第2及び第3の抵抗部5a、5b、5cを介して、Y結線するように構成される。
本実施形態において、第1のλ/4線路2a、第2のλ/4線路2b及び第3のλ/4線路2cは、第1の実施形態と同様に、入力線路1と後段との間のインピーダンス整合を行う。又、第1の整流部4a、第2の整流部4b及び第3の整流部4cも、第1の実施形態と同様に、それぞれ、反射特性が等価な整流回路を構成する。
一方、本実施形態に係る位相シフト部3は、第1の実施形態とは異なり、第2の位相シフト部3bは通過する高周波電力の位相を60°シフト(位相遅れ又は位相進み)し、第3の位相シフト部3cは通過する高周波電力の位相を120°シフト(位相遅れ又は位相進み)する。
従って、第1の整流部4aにおいて発生した第1の反射波Vra、第2の整流部4bにおいて発生した第2の反射波Vrb、及び第3の整流部4cにおいて発生した第3の反射波Vrcは、分岐点L0において、それぞれ、同一波形で、且つ、120°ずつの位相差を有するものとなる。
換言すると、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uにおいては、分岐点L0において、第1の反射波Vra、第2の反射波Vrb及び第3の反射波Vrcを三相交流の状態とすることによって、互いに打ち消し合わせる。
但し、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uにおいても、分岐点L0において、第1の反射波Vra、第2の反射波Vrb及び第3の反射波Vrcが再反射等するため、これらを消失させるために、分岐抵抗部5を配設する。
図12は、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uの動作を説明する図である。
第1の反射波Vraは、分岐点L0において、再反射により第1の分岐線路Laに戻る第1の再反射波Vra1、並びに第2の分岐線路Lb及び第3の分岐線路Lcに回り込む第1の回り込み反射波Vra2を発生する。又、第2の反射波Vrbは、分岐点L0において、再反射により第2の分岐線路Lbに戻る第2の再反射波Vrb1、並びに第1の分岐線路La及び第3の分岐線路Lcに回り込む第2の回り込み反射波Vrb2を発生する。又、第3の反射波Vrcは、分岐点L0において、再反射により第3の分岐線路Lcに戻る第3の再反射波Vrc1、並びに第1の分岐線路La及び第2の分岐線路Lbに回り込む第3の回り込み反射波Vrc2を発生する。
この際、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uにおいては、第1、第2及び第3の整流部4a、4b、4cと分岐点L0の間に分岐抵抗部5を設けているため、公知のウィルキンソン分配器と同様に、これらの再反射波等Vra1、Vra2、Vrb1、Vrb2、Vrc1、Vrc2は、分岐抵抗部5の各接続位置から当該分岐抵抗部5に吸収されて熱となり、第1、第2及び第3の整流部4a、4b、4cの方へは戻らない。又、一部の信号は、分岐点L0点で入力線路1側に伝搬するが、この信号は第1の反射波Vra、第2の反射波Vrb、第3の反射波Vrcが互いに120°の位相差を持ち、振幅が同じなので互いに打ち消し合う。その結果、入力側にも反射波は戻らない。
尚、本実施形態においては、第1の抵抗部5a(第2の抵抗部5b、第3の抵抗部5c)の抵抗値Zは、λ/4線路のインピーダンス整合の条件式より、以下の式(3)を満足するように設定する。
(3×Z)×Z=Z …式(3)
(但し、Z:入力線路1の特性インピーダンス、Z:第1のλ/4線路2aの特性インピーダンス、Z:第1の抵抗部5aの抵抗値)
以上、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uによれば、整流部4で発生する反射波(Vra、Vrb、Vrc)を分岐点L0で互いに相殺させると共に、当該分岐点L0で再反射等した反射波(Vra1、Vra2、Vrb1、Vrb2、Vrc1、Vrc2)については分岐抵抗部5で消失させることができる。従って、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uは、アンテナAから外部空間への再放射を確実に抑制することができる。
(第3の実施形態)
次に、図13を参照して、第3の実施形態に係るマイクロ波整流回路Uについて説明する。
図13は、第3の実施形態に係るマイクロ波整流回路Uを構成の一例を示す図である。
本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uは、分岐点L0から分岐線路Ln1、Ln2、Ln3・・Lnnのn本に分岐する構成となっている。
又、本実施形態に係る位相シフト部3は、分岐線路Ln1、Ln2、Ln3・・Lnnに入力する高周波電力の位相を、それぞれ180/n°ずつシフト(位相遅れ又は位相進み)する。換言すると、n−1本の分岐線路Ln2、Ln2、Ln3・・Lnnを通流する高周波電力は、それぞれ、整流部4に到達する際に、一の分岐線路Ln1を通流する高周波電力に対して、k×180/n°(kは1〜n−1の正の整数)ずつ異なる位相差を有する。
このように構成することによって、整流部4で発生する反射波の合成が、分岐点L0において、ゼロとすることができる。そして、整流部4で発生する反射波の合成が分岐点L0においてゼロとなる場合、第1の実施形態及び第2の実施形態において説明したように、分岐点L0において再反射等した反射波から見たとき、分岐抵抗部5の結線位置は、電位がゼロの状態となる。
従って、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uにおいても、分岐点L0において再反射等した反射波は、分岐抵抗部5に吸収されて、消失することになる。
尚、本実施形態においては、分岐抵抗部5の抵抗部5n1の抵抗値Zは、λ/4線路のインピーダンス整合の条件式より、以下の式(4)を満足するように設定する。
(n×Z)×Z=Z …式(4)
(但し、Z:入力線路1の特性インピーダンス、Z:λ/4線路2n1の特性インピーダンス、Z:抵抗部5n1の抵抗値)
以上のように、本実施形態に係るマイクロ波整流回路Uにおいても、アンテナAから外部空間への再放射を確実に抑制することができる。
尚、上記実施形態では、位相シフト部3の一例として、n本の分岐線路を通流する高周波電力の位相をそれぞれ180/n°ずつシフトする構成としたが、同一の位相の高周波電力を通流させる分岐線路を複数本ずつ組として、当該組の単位で位相のシフト量を設定する構成としてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本開示に係るマイクロ波整流回路によれば、アンテナから外部空間への再放射を確実に抑制することができる。
1 入力線路
2 インピーダンス整合部
3 位相シフト部
4 整流部
5 分岐抵抗部
L0 分岐点
La、Lb、Lc、Ln1〜Lnn 分岐線路
U マイクロ波整流回路
A アンテナ

Claims (6)

  1. 交流電力を整流するマイクロ波整流回路であって、
    前記交流電力が入力される入力線路と、
    前記入力線路の出力側の分岐点から複数に分岐する分岐線路と、
    複数の前記分岐線路それぞれに配設されて、前記入力線路と後段との間でインピーダンス整合と90°の位相シフトを行うインピーダンス整合部と、
    複数の前記分岐線路それぞれの前記インピーダンス整合部の後段に配設されて、前記交流電力を整流する整流部と、
    複数の前記分岐線路の少なくとも一の前記インピーダンス整合部と前記整流部の間に配設され、前記整流部で発生する反射波の基本波成分の合成が前記分岐点においてゼロとなるように、前記交流電力の位相をシフトする位相シフト部と、
    複数の前記分岐線路それぞれの前記インピーダンス整合部の出力端から分岐するように配設された複数の抵抗部を有し、当該複数の抵抗部の他端を互いに結線して構成される分岐抵抗部と、
    を備え、
    複数の前記分岐線路は、前記分岐点から2×m(mは2以上の任意の正の整数)本に分岐する前記分岐線路であって、
    前記位相シフト部は、一方のm本の前記分岐線路を通流する前記交流電力が、他方のm本の前記分岐線路を通流する前記交流電力に対して、前記整流部に到達する際に90°の位相差を有するように、前記交流電力の位相をシフトする、
    マイクロ波整流回路。
  2. 交流電力を整流するマイクロ波整流回路であって、
    前記交流電力が入力される入力線路と、
    前記入力線路の出力側の分岐点から複数に分岐する分岐線路と、
    複数の前記分岐線路それぞれに配設されて、前記入力線路と後段との間でインピーダンス整合と90°の位相シフトを行うインピーダンス整合部と、
    複数の前記分岐線路それぞれの前記インピーダンス整合部の後段に配設されて、前記交流電力を整流する整流部と、
    複数の前記分岐線路の少なくとも一の前記インピーダンス整合部と前記整流部の間に配設され、前記整流部で発生する反射波の基本波成分の合成が前記分岐点においてゼロとなるように、前記交流電力の位相をシフトする位相シフト部と、
    複数の前記分岐線路それぞれの前記インピーダンス整合部の出力端から分岐するように配設された複数の抵抗部を有し、当該複数の抵抗部の他端を互いに結線して構成される分岐抵抗部と、
    を備え、
    複数の前記分岐線路は、前記分岐点からn(nは3以上の任意の正の整数)本に分岐する前記分岐線路であって、
    前記位相シフト部は、一の前記分岐線路を通流して前記整流部に到達する前記交流電力に対して、他のn−1本の前記分岐線路を通流して前記整流部に到達する前記交流電力がそれぞれ、k(kは1〜n−1の正の整数)×180/n°ずつ異なる位相差を有するように、前記交流電力の位相をシフトする、
    マイクロ波整流回路。
  3. 前記抵抗部の抵抗値は、前記インピーダンス整合部とインピーダンス整合するように設定される、
    請求項1又は2に記載のマイクロ波整流回路。
  4. 前記インピーダンス整合部は、複数の前記分岐線路それぞれに配設されたλ/4線路である、
    請求項に記載のマイクロ波整流回路。
  5. 複数の前記分岐線路の分岐数がtは、前記2×m又は前記nに相当する正の整数)本、前記入力線路の特性インピーダンスがZ[Ω]、及び、前記λ/4線路の特性インピーダンスがZ[Ω]としたとき、
    前記抵抗部の抵抗値は、Z [Ω]となるように設定される、
    請求項に記載のマイクロ波整流回路。
  6. 前記交流電力は、アンテナを介して前記入力線路に入力される、
    請求項1乃至のいずれか一項に記載のマイクロ波整流回路。
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