JP6311574B2 - 車両用乗員拘束装置 - Google Patents
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Description
ショルダベルトのベルトパスを車幅方向内側へ変更する変更量(効果)が小さい。このため、前面衝突時にショルダベルトによる拘束力で乗員の肋骨が大きく変形(胸たわみ)する可能性がある。よって、胸たわみを低減する観点から改善の余地がある。
(1) 本発明の車両用乗員拘束装置では、ショルダベルトとラップベルトを備える3点式シートベルトと、前記ショルダベルトの上端部を支持するショルダベルトアンカと、を有している。前記ショルダベルトアンカが、前面衝突時に車幅方向内側に移動するよう構成されている。
前記ショルダベルトアンカは、該ショルダベルトアンカが配設される部材に取付けられるアンカボルトと、該アンカボルトに取付けられており前記シートベルトが挿通されるスリップリングと、を備えており、前記アンカボルトの搭載軸が車幅方向から車両前方側に傾けられている。前面衝突時に前記アンカボルトが車幅方向内側に移動する。
(2) 本発明の乗員拘束装置では、ショルダベルトとラップベルトを備える3点式シートベルトと、シートバックの肩口に配設され前記ショルダベルトの中間部が挿通されるベルトガイドと、を有している。前記ベルトガイドが、前面衝突時に車幅方向内側に移動するよう構成されている。
ショルダベルトの上端部を支持するショルダベルトアンカが、前面衝突時に車幅方向内側に移動するよう構成されている。このため、ショルダベルトのベルトパスを耐性値の低い肋軟骨からずらすことができる。したがって、前面衝突時にショルダベルトによる拘束力で生じる胸たわみを、従来に比べて低減できる。
前面衝突時にショルダベルトアンカのアンカボルトが車幅方向内側に移動するため、比較的簡単な構成にて、上記(1)で得られる効果を得ることができる。
ショルダベルトの中間部が挿通されるベルトガイドが、前面衝突時に車幅方向内側に移動するよう構成されている。このため、ショルダベルトのベルトパスを耐性値の低い肋軟骨からずらすことができる。したがって、前面衝突時にショルダベルトによる拘束力で生じる胸たわみを、従来に比べて低減できる。
(基本構成)
本発明実施例1の車両用乗員拘束装置10は、図2に示すように、3点式シートベルト20を有する。シートベルト20は、1本のウエビングで構成されており、ベルト装着時に乗員Pの胸前に位置するショルダベルト部21と、ベルト装着時に乗員Pの腰前に位置するラップベルト部22と、を備える。ショルダベルト21は、バックル23に接続されるタングプレート24から、車幅方向外側(車両外側)かつ上方にショルダベルトアンカ25まで延びる部分である。ショルダベルト21の上端部は、ショルダベルトアンカ25によって支持されている。なお、シートベルト20は、図1に示すように、ショルダベルトアンカ25まで延びた後、ショルダベルトアンカ25で方向を変換して下方に延び、下方に延びる部分の下端でリトラクタ26に接続される。ラップベルト部22は、タングプレート24から車幅方向外側に延び、車幅方向外側端でラップアウタアンカ27に固定されている。
以上の基本構成は、本発明全実施例に適用される。
本発明実施例1では、図2に示すように、ショルダベルトアンカ25が、車両の前面衝突時に車幅方向内側に移動するよう構成されている。ショルダベルトアンカ25の車幅方向内側への移動は、たとえば、衝突発生後30ms後までに完了する。
以上の特徴構成Aは、本発明実施例2,3にも適用される。
さらに本発明実施例1では、図3に示すように、アンカボルト25aの搭載軸が車幅方向から車両前方側に傾けられている。すなわち、アンカボルト25aは、軸芯(中心線)CLが車両前後方向と直交する方向(車幅方向)Wから、車両前側に90度未満の角度θだけ傾けられた状態で、ピラー30に取付けられている。これは、前面衝突時の車両前方への慣性力によりショルダベルトアンカ25が車幅方向内側に移動する(飛び出す)ようにするためである。このため、図4に示すように、ショルダベルトアンカ25は、車両の前面衝突時に自身の慣性力で車幅方向内側に移動する。
車両の前面衝突時、シートベルトによる拘束力で、肋骨が大きく変形(胸たわみ)することがある。胸たわみは、図2に示すように、剛性の低い胸部中央P1で変形が大きくなり易い。ここで、本発明実施例1では、ショルダベルトアンカ25が、前面衝突時に車幅方向内側に移動するよう構成されている。このため、ショルダベルトアンカ25が上方または車両後方に移動する場合に比べてショルダベルト21のベルトパスが車幅方向内側に変更する(ずれる)量は大きく、ショルダベルト21のベルトパスを耐性値の低い肋軟骨(胸部中央P1)からずらすことができる。したがって、前面衝突時にショルダベルト21による拘束力で生じる胸たわみを、従来に比べて低減できる。
以上の本発明実施例1の作用、効果は、本発明実施例2,3にも適用される。
図3に示すように、アンカボルト25aの搭載軸が車幅方向から車両前方側に傾けられているため、前面衝突時に車両前方への慣性力がショルダベルトアンカ25に働いた際、この慣性力によりショルダベルトアンカ25を車幅方向内側に移動させることができる。
本発明実施例2が構成において本発明実施例1と異なる点は、以下の点である。
本発明実施例2では、図6に示すように、アンカボルト25aの搭載軸が車幅方向と同じ向きとされている。すなわち、アンカボルト25aは、軸芯(中心線)CLが車両前後方向と直交する方向(車幅方向)Wに向けてピラー30に取付けられている。ただし、アンカボルト25aの搭載軸は、車幅方向から車両前後方向に傾けられていてもよい。アンカボルト25aは、圧縮された付勢バネ25eにより付勢されている。ショルダベルトアンカ25は、車両の前面衝突時にバネ25eの付勢力により車幅方向内側に移動する。
本発明実施例2では、アンカボルト25aが付勢バネ25eにより付勢されている。このため、アンカボルト25aの搭載軸を車幅方向と同じ向きにすることもでき、アンカボルト25aの搭載角度の自由度が高くなる。
本発明実施例3が構成において本発明実施例1と異なる点は、以下の点である。
本発明実施例3では、図9に示すように、アンカボルト25aの搭載軸が車幅方向と同じ向きとされている。すなわち、アンカボルト25aは、軸芯(中心線)CLが車両前後方向と直交する方向(車幅方向)Wに向けてピラー30に取付けられている。ただし、アンカボルト25aの搭載軸は、車幅方向から車両前後方向に傾けられていてもよい。アンカボルト25aには、インフレータ(マイクロガスジェネレータ)25gが取付けられている。アンカボルト25aは、車両の前面衝突時にインフレータ25gの作用により車幅方向内側に移動する。
本発明実施例3では、ショルダベルトアンカ25が、インフレータ25gの作用により車幅方向内側に移動する。このため、ショルダベルトアンカ25を瞬時に車両幅方向内側に移動させることができる。また、アンカボルト25aの搭載軸を車幅方向と同じ向きにすることもでき、アンカボルト25aの搭載角度の自由度が高くなる。
本発明実施例4では、図10に示すように、乗員拘束装置10が、車両用シート40のシートバック41の肩口に配設されるベルトガイド50を有する。ベルトガイド50は、ショルダベルト21の延び方向中間部が挿通される。そして、ベルトガイド50が、前面衝突時に車幅方向内側に移動するよう構成されている。ベルトガイド50の車幅方向内側への移動は、たとえば、衝突発生後30ms後までに完了する。ベルトガイド50は、図11に示すように、シートバック41に固定されるスライドレール51に沿って車幅方向に移動可能である。
本発明実施例4の以上の構成は、本発明実施例5にも適用される。
車両の前面衝突時、シートベルトによる拘束力で、肋骨が大きく変形(胸たわみ)することがある。胸たわみは、図2に示すように、剛性の低い胸部中央P1で変形が大きくなり易い。ここで、本発明実施例4では、ベルトガイド50が、前面衝突時に車幅方向内側に移動するよう構成されている。このため、ショルダベルト21のベルトパスが車幅方向内側に変更する(ずれる)量は大きく、ショルダベルト21のベルトパスを耐性値の低い肋軟骨(胸部中央P1)からずらすことができる。したがって、前面衝突時にショルダベルト21による拘束力で生じる胸たわみを、従来に比べて低減できる。
以上の本発明実施例4の作用、効果は、本発明実施例5にも適用される。
本発明実施例5が構成において本発明実施例4と異なる点は、以下の点である。
本発明実施例5では、図14に示すように、ベルトガイド50にインフレータ(マイクロガスジェネレータ)54が取付けられている。ベルトガイド50は、車両の前面衝突時にインフレータ54の作用により車幅方向内側に移動する。
ベルトガイド50が、インフレータ54の作用により車幅方向内側に移動する。このため、ベルトガイド50を瞬時に車幅方向内側に移動させることができる。また、衝突が生じていない通常時には、インフレータ54を作用させないことで、ベルトガイド50の移動を抑制できる。このため、ベルトガイド50の移動を抑制するためのストッパは不要である。
20 3点式シートベルト
21 ショルダベルト部
22 ラップベルト部
23 バックル
24 タングプレート
25 ショルダベルトアンカ
25a アンカボルト
25b スリップリング
25c、25f ストッパ
25d、25e バネ
25g インフレータ(マイクロガスジェネレータ)
26 リトラクタ
27 ラップアウタアンカ
30 ピラー
40 シート
41 シートバック
50 ベルトガイド
51 スライドレール
52 ベルトガイド付勢バネ
53 ストッパ
54 インフレータ(マイクロガスジェネレータ)
P 乗員
P1 胸部中央
Claims (2)
- ショルダベルトとラップベルトを備える3点式シートベルトと、前記ショルダベルトの上端部を支持するショルダベルトアンカと、を有しており、
前記ショルダベルトアンカが、前面衝突時に車幅方向内側に移動するよう構成されている、車両用乗員拘束装置であって、
前記ショルダベルトアンカは、該ショルダベルトアンカが配設される部材に取付けられるアンカボルトと、該アンカボルトに取付けられており前記シートベルトが挿通されるスリップリングと、を備えており、前記アンカボルトの搭載軸が車幅方向から車両前方側に傾けられており、
前面衝突時に前記アンカボルトが車幅方向内側に移動する、車両用乗員拘束装置。 - ショルダベルトとラップベルトを備える3点式シートベルトと、シートバックの肩口に配設され前記ショルダベルトの中間部が挿通されるベルトガイドと、を有しており、
前記ベルトガイドが、前面衝突時に車幅方向内側に移動するよう構成されている、車両用乗員拘束装置。
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