JP6310297B2 - 接着体およびガラスランチャンネル - Google Patents

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Description

本発明は、接着体、樹脂組成物、成形体およびガラスランチャンネルに関する。
自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建築材料等に用いられる耐摩耗性を必要とする部品または部位には、従来から種々の樹脂材料が用いられている。このような自動車部品の一例として、ガラスランチャンネルが挙げられる。ガラスランチャンネルは、窓ガラスと窓枠との間に設けられた案内部材であり、窓ガラスの昇降開閉操作を容易にしながら、窓ガラスと窓枠との緊密的(液密的)な密閉操作性が要求される。
このような部品または部位に用いられる樹脂材料に関する従来技術として、例えば、以下のものがある。
特許文献1(特開2001−232723公報)には、外観性、耐摩耗性、耐久性、摺動特性、機械的強度およびゴム弾性に優れ、かつ長期間の使用にもヘタリを生じない自動車用ガラスランチャンネルを提供することが課題として記載されている。
かかる課題を解決するため、特許文献1では、特定のオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)からなる基材層と、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)100質量部に対して、オルガノポリシロキサン(C)0.5〜20質量部、フッ素系ポリマー(D)0.5〜10質量部および帯電防止剤(E)0.5〜10質量部からなる群から選ばれる少なくとも1種を上記割合で含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(X)からなる表皮層とが積層されている積層体を採用している。
特開2001−232723号公報
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載されているような低摩擦な積層体は、基材層と表皮層との接着性が低いことが明らかになった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、接着性と耐摩耗性のバランスに優れた接着体を提供するものである。
本発明者らは、接着性と耐摩耗性のバランスに優れた接着体を提供するために鋭意検討したところ、従来の接着性に劣る接着体はオルガノポリシロキサンやフッ素系ポリマー等の耐摩耗性を向上させるために添加する成分が接着部分にブリードやブルームしているため、接着性が低くなっていることを明らかにした。また、接着性を上げるため、これらの成分の量を減らすと、今度は耐摩耗性が悪化してしまい、接着性と耐摩耗性にはトレード・オフの関係があることが明らかになった。
そこで、本発明者らは、接着性と耐摩耗性のバランスに優れた接着体を提供するために鋭意検討した。その結果、特定の樹脂と、特定のシリル化ポリオレフィンを用いることで、接着性と耐摩耗性のトレード・オフが改善され、これらのバランスに優れた接着体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、
成形体(A)と、上記成形体(A)と同一または異なる種類の成形体(B)とを備え、
上記成形体(A)の少なくとも一部と、上記成形体(B)の少なくとも一部とが接着された接着体であって、
少なくとも上記成形体(A)が、
熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂から選択される一種または二種以上の樹脂(R)と、
下記式(1)で表される構造単位を含有するケイ素含有化合物と、GPC法で求めた数平均分子量が100以上500,000以下であるビニル基含有化合物との反応(ただし、上記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ上記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は除く)によって得られる、シリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体、またはこれらの混合物と、
を含む樹脂組成物(P)からなる、接着体が提供される。
−Si(R)H−Y− (1)
(式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
はO、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)である。)
さらに、本発明によれば、
横断面において溝状の本体と、
上記本体の側壁頂部付近から中心側に向かって張出した舌片状の水切り部と、
を備えるガラスランチャンネルであって、
当該ガラスランチャンネルのガラスとの接触部に上記接着体が設けられており、
上記成形体(A)からなる層が上記ガラスと接触しているガラスランチャンネルが提供される。
さらに、本発明によれば、
オレフィン系熱可塑性エラストマーと、
下記式(1)で表される構造単位を含有するケイ素含有化合物と、GPC法で求めた数平均分子量が100以上500,000以下であるビニル基含有化合物との反応(ただし、上記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ上記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は除く)によって得られる、シリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体、またはこれらの混合物と、
を含む樹脂組成物(P1)が提供される。
−Si(R)H−Y− (1)
(式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
はO、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)である。)
さらに、本発明によれば、
上記樹脂組成物(P1)を溶融成形してなる成形体が提供される。
さらに、本発明によれば、
成形体(A)と、上記成形体(A)と同一または異なる種類の成形体(B)とを備え、
上記成形体(A)の少なくとも一部と、上記成形体(B)の少なくとも一部とが接着されており、
少なくとも上記成形体(A)が上記成形体である接着体が提供される。
さらに、本発明によれば、
横断面において溝状の本体と、
上記本体の側壁頂部付近から中心側に向かって張出した舌片状の水切り部と、
を備えるガラスランチャンネルであって、
当該ガラスランチャンネルのガラスとの接触部が上記樹脂組成物(P1)を成形加工してなる成形体(A)からなる層と、上記成形体(A)と同一または異なる種類の成形体(B)とからなる層とを含み、
上記成形体(A)からなる層が上記ガラスと接触しているガラスランチャンネルが提供される。
本発明によれば、接着性と耐摩耗性のバランスに優れた接着体を提供することができる。
本実施形態に係るガラスランチャンネルの構成の一例を示す断面図である。 図1に示すガラスランチャンネルの窓ガラスとの接触部の拡大断面図である。 ガラスランチャンネルの自動車ドアへの取付けを説明する図である。 窓ガラスの開閉時におけるガラスランチャンネルの状態の一例を示す断面図である。
以下、本発明による接着体、樹脂組成物、成形体およびガラスランチャンネルの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また数値範囲を示す記号「a〜b」はとくに断りがない限り、a以上からb以下を表すものとする。
本実施形態に係る接着体は、成形体(A)と、成形体(A)と同一または異なる種類の成形体(B)とを備え、成形体(A)の少なくとも一部と、成形体(B)の少なくとも一部とが接着されてなるものである。
そして、少なくとも成形体(A)が、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂から選択される一種または二種以上の樹脂(R)と、シリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体、またはこれらの混合物(以下、シリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体、またはこれらの混合物をまとめてシリル化ポリオレフィンとも呼ぶ。)と、を含む樹脂組成物(P)から形成される。
ここで、上記シリル化ポリオレフィンは、下記式(1)で表される構造単位を含有するケイ素含有化合物と、GPC法で求めた数平均分子量が100以上500,000以下であるビニル基含有化合物との反応(ただし、上記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ上記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は除く)によって得られる。
−Si(R)H−Y− (1)
上記式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、YはO、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)である。
上記接着体において、シリル化ポリオレフィンの構造は定かではないが、例えば、上記式(1)の構造単位を含有するケイ素含有化合物中の−Si−Hと、ビニル基含有化合物中の−CH=CH(ビニル基)とが反応して生成する、−Si−C−C−構造を含むのではないかと考えられる。ただし、上記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ上記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は、得られるシリル化ポリオレフィンは、例えば網目構造を有する可能性が高いと考えられ、本実施形態ではこのような場合を除いている。
樹脂(R)と上記シリル化ポリオレフィンとを含む樹脂組成物(P)から形成される成形体は、表面ケイ素濃度が向上し、成形体の表面自由エネルギーが抑制され、良好な耐摩耗性を有すると本発明者らは推察している。
また、上記シリル化ポリオレフィンは、従来のシリコーン系添加剤や金属石鹸等の添加剤に比べて、成形体表面へのブリードやブルームが起きにくいため、このような成形体からなる本実施形態に係る接着体は、良好な接着性を有すると本発明者らは推察している。
本実施形態に係る接着体は、成形体(A)および成形体(B)の両方が上記樹脂組成物(P)から形成されたものであることが好ましい。これにより、接着性と耐摩耗性のバランスにより一層優れた接着体となる。
(樹脂(R))
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも熱可塑性樹脂が好ましい。これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、それぞれ1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
これらの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂についての定義、製法については、周知であり、たとえば「実用プラスチック事典」(実用プラスチック事典 編集委員会編、株式会社産業調査会発行)等の刊行物に記載されている。なおここでいう「樹脂」とは軟質、硬質いずれであってもよく、特に制限はない。
上記の各熱可塑性樹脂について詳述する。
(Ia)ポリオレフィン樹脂
本実施形態で用いられるポリオレフィン樹脂は特に制限はなく、従来公知のポリオレフィン樹脂を使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル樹脂(塩素化ポリオレフィン)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体等が挙げられる。中でも、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が好ましく用いられる。
(Ib)ポリカーボネート樹脂
本実施形態で用いられるポリカーボネート樹脂は、典型的には、芳香族ジオール(例えばビスフェノールA)とホスゲンとを反応することにより得られる樹脂である。
このようなポリカーボネート樹脂は市販されており、例えば商品名NOVAREX(登録商標)(三菱化学社製)、パンライト(登録商標)(帝人化成社製)、レキサン(登録商標)(日本ジーイープラスチックス社製)等をあげることができ、本実施形態において好ましく用いることができる。
(Ic)熱可塑性ポリエステル樹脂
本実施形態で用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂は、典型的には、ジカルボン酸とジオールとを重縮合させて得られる樹脂である。本実施形態においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等が好ましく用いられる。
(Id)ABS樹脂
本実施形態で用いられるABS樹脂は、典型的には、ポリブタジエンにアクリロニトリルおよびスチレンをグラフト重合させて得られる耐衝撃性樹脂である。本実施形態においては、ポリブタジエン成分が5〜40質量%であって、スチレン成分とアクリロニトリル成分の質量比(スチレン/アクリロニトリル)が70/30〜80/20であるものが好ましい。
(Ie)ポリアセタール樹脂
本実施形態で用いられるポリアセタール樹脂は、典型的には、ホルマリンあるいはトリオキサンを、所望に応じてエチレンオキサイドと共に、カチオン触媒の存在下に開環重合して得られる樹脂であり、ポリオキシメチレン鎖を主骨格とする樹脂である。本実施形態においては、コポリマータイプのものが好ましい。
(If)ポリアミド樹脂
本実施形態で用いられるポリアミド樹脂は、典型的には、ジアミンとジカルボン酸との重縮合、あるいはカプロラクタムの開環重合等により得られる樹脂である。本実施形態においては、脂肪族ジアミンと脂肪族または芳香族ジカルボン酸の重縮合反応物が好ましい。
(Ig)ポリフェニレンオキシド樹脂
本実施形態で用いられるポリフェニレンオキシド樹脂は、典型的には、2,6−ジメチルフェノールを銅触媒の存在下に酸化カップリングさせて得られる。さらにこれを変性した変性ポリフェニレンオキシド樹脂も、本実施形態において用いることができる。
本実施形態においては、ポリフェニレンオキシド樹脂とスチレン系ポリマーのブレンド変性物が好ましい。
(Ih)ポリイミド樹脂
本実施形態で用いられるポリイミド樹脂は、典型的には、テトラカルボン酸とジアミンとを重縮合させ、主骨格にイミド結合を生成させて得られる樹脂である。
(Ii)ポリウレタン樹脂
本実施形態で用いられるポリウレタン樹脂は、好ましくは、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネートとポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリオールとを主原料とし、両者を混合、反応させた樹脂である。
(Ij)ポリ乳酸樹脂
本実施形態で用いられるポリ乳酸樹脂は、好ましくは、乳酸がエステル結合によって重合した樹脂であり、例えば、ジフェニルエーテル等の溶媒中で乳酸を減圧下加熱し、水を取り除きながら重合させることによってポリ乳酸が得られる。
(Ik)フラン樹脂
本実施形態で用いられるフラン樹脂としては、フルフリルアルコールを主成分として含む混合物を重縮合して得られる樹脂が挙げられる。このような樹脂としては、例えば、フルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類とを重縮合して得られる樹脂がある。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、フルフラール等の従来公知のアルデヒド化合物を使用することができる。
(Il)シリコーン樹脂
本実施形態で用いられるシリコーン樹脂としては、ジアルキルジクロロシランをはじめとする各種のシラン類を加水分解させ、生成したシラノールを脱水縮合して得られる重合体等が挙げられる。このような重合体としては、例えば、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシランやテトラクロロシランを加水分解し、脱水縮合するクロロシラン法により得られる重合体、ジメチルジメトキシシラン、トリメトキシシランやテトラメトキシシランを加水分解し、脱水縮合するゾル−ゲル法により得られる重合体が挙げられる。
(Im)オレフィン系熱可塑性エラストマー
本実施形態で用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマーは、結晶性ポリオレフィン樹脂(a−1)とゴム(a−2)とを含む熱可塑性エラストマーが好ましく、その中でも結晶性ポリオレフィン樹脂(a−1)とゴム(a−2)とを動的に熱処理して得られる熱可塑性エラストマーが好ましく、結晶性ポリオレフィン樹脂(a−1)とゴム(a−2)とを架橋剤の存在下に動的に熱処理(動的架橋とも呼ぶ。)して得られる熱可塑性エラストマーがより好ましく、結晶性ポリオレフィン樹脂(a−1)とエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体とを動的架橋して得られる熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
上記結晶性ポリオレフィン樹脂(a−1)としては、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜8のα−オレフィンの単独重合体または共重合体等が挙げられる。上記結晶性ポリオレフィン樹脂(a−1)の具体的な例としては、以下のような(共)重合体が挙げられる。
1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法のいずれでもよい)
2)エチレンと、10モル%以下の他のα−オレフィンまたは酢酸ビニル、エチルアクリレート等のビニルモノマーとの共重合体
3)プロピレン単独重合体
4)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
5)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
6)1−ブテン単独重合体
7)1−ブテンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
8)4−メチル−1−ペンテン単独重合体
9)4−メチル−1−ペンテンと20モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
上記のα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。結晶性ポリオレフィン樹脂(a−1)としては、上記3)〜5)の結晶性ポリプロピレン樹脂(a−1−1)が好ましい。
ゴム(a−2)としては、特に制限はないがオレフィン系共重合体ゴム(a−2−1)が好ましい。上記のオレフィン系共重合体ゴム(a−2−1)としては、炭素数2〜20、好ましくは2〜8のα−オレフィンを主成分とする無定形ランダムな弾性共重合体であって、2種以上のα−オレフィンからなる非晶性α−オレフィン共重合体、2種以上のα−オレフィンと非共役ジエン等の非共役ポリエンとからなるα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が好ましい。
このようなオレフィン系共重合体ゴム(a−2−1)の具体的な例としては、以下のようなゴムが挙げられる。これらの中でも、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が好ましい。
1)エチレン・α−オレフィン共重合体〔エチレン/α−オレフィン(モル比)=90/10〜50/50〕
2)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体〔エチレン/α−オレフィン(モル比)=90/10〜50/50〕
3)プロピレン・α−オレフィン共重合体〔プロピレン/α−オレフィン(モル比)=90/10〜50/50〕
4)ブテン・α−オレフィン共重合体〔ブテン/α−オレフィン(モル比)=90/10〜50/50〕
上記α−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等があげられる。上記非共役ポリエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。
上記のオレフィン系共重合体ゴム(a−2−1)は、オレフィン系熱可塑性エラストマー中において、未架橋、部分架橋、完全架橋等、すべての架橋状態で存在することができるが、本実施形態においては、架橋状態で存在していることが好ましく、特に部分架橋状態で存在することが好ましい。
本実施形態において用いられるゴム(a−2)としては、上記のオレフィン系共重合体ゴム(a−2−1)のほかに、他のゴム、例えばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム、SEBS、ポリイソブチレン等が挙げられる。
本実施形態で用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマーにおいて、結晶性ポリオレフィン樹脂(a−1)とゴム(a−2)との質量配合比(結晶性ポリオレフィン樹脂(a−1)/ゴム(a−2))は、通常90/10〜5/95、好ましくは70/30〜10/90の範囲であるのが好ましい。
また、ゴム(a−2)として、オレフィン系共重合体ゴム(a−2−1)とその他のゴムを組み合せて用いる場合には、その他のゴムは、結晶性ポリオレフィン樹脂(a−1)とゴム(a−2)との合計量100質量部に対して40質量部以下、好ましくは5〜20質量部の割合で配合するのが好ましい。
本実施形態で最も好ましく用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマーは、結晶性ポリプロピレン樹脂(a−1−1)と、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムまたはエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム等のオレフィン系共重合体ゴム(a−2−1)とからなり、オレフィン系熱可塑性エラストマー中においてこれらが部分架橋された状態で存在し、かつ結晶性ポリプロピレン樹脂(a−1−1)と、オレフィン系共重合体ゴム(a−2−1)との質量配合比(結晶性ポリプロピレン樹脂(a−1−1)/オレフィン系共重合体ゴム(a−2−1))が70/30〜10/90、好ましくは60/40〜10/90の範囲内にあるものである。
本実施形態で好ましく用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマーのより具体的な例としては、結晶性ポリプロピレン樹脂(a−1−1)70〜10質量部、好ましくは60〜10質量部と、エチレン・プロピレン共重合体ゴムまたはエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等のオレフィン系共重合体ゴム(a−2−1)30〜90質量部、好ましくは40〜90質量部〔成分(a−1−1)および(a−2−1)の合計量は100質量部とする〕と、このオレフィン系共重合体ゴム(a−2−1)以外のゴムおよび/または鉱物油系軟化剤5〜100質量部、好ましくは5〜80質量部とからなる混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
このように動的に熱処理することにより、上記オレフィン系共重合体ゴム(a−2−1)が架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
上記架橋剤としては有機ペルオキシド等が挙げられる。有機ペルオキシドとしては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
これらの中では臭気性、スコーチ安定性の点で2,5−ジメチル−2.5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)へキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、中でも1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。有機ペルオキシドは、結晶性ポリオレフィンとゴムとの合計量100質量部に対して0.05〜3質量部、好ましくは0.1〜1質量部の割合で用いるのが好ましい。
上記有機ペルオキシドを用いた動的な熱処理に際し、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p'−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N'−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
上記のような化合物を用いることにより、均一かつ穏和な架橋反応が期待できる。特に、本実施形態においては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニルベンゼンは取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分である結晶性ポリオレフィン(a−1)およびゴム(a−2)との相溶性が良好であり、かつ有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれたオレフィン系熱可塑性エラストマーが得られる。
上記のような架橋助剤もしくは多官能性ビニルモノマーは上記の被架橋処理物全体に対して0.1〜2質量%、好ましくは0.3〜1質量%の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤もしくは多官能性ビニルモノマーの使用量が上記範囲にある場合、架橋反応が適度に進行するので得られる熱可塑性エラストマーは流動性に優れ、また未反応の化合物が残留することもないので得られる熱可塑性エラストマーは加工成形の際の熱履歴による物性の変化等は生じない。
上記の「動的に熱処理する」とは、上記のような各成分を溶融(融解)状態で混練することをいう。混練装置としては、従来公知の混練装置、たとえば開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等が用いられる。これらの内では、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で行なうことが好ましい。
混練条件は、使用する有機ペルオキシドの半減期が1分未満となる温度で行うのが好ましい。混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは170〜240℃であり、混練時間は1〜20分間、好ましくは3〜10分間とするのが好ましい。また加えられる剪断力は剪断速度として100sec−1以上、好ましくは、500〜10,000sec−1の範囲内で決定される。
本実施形態で特に好ましく用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマーは、部分的に架橋されているが、この「部分的に架橋された」とは、下記の方法で測定したゲル含量が20〜98質量%の範囲内にある場合をいい、本実施形態においては、ゲル含量が40〜98質量%の範囲内にあることが好ましい。
〔ゲル含量の測定法〕
熱可塑性エラストマーの試料を約100mg秤量して0.5mm×0.5mm×0.5mmの細片に裁断し、得られた細片を密閉容器中にて30mlのシクロヘキサンに、23℃で48時間浸漬する。次に、この試料を濾紙上に取り出し、室温で72時間以上恒量になるまで乾燥する。この乾燥残渣の質量からポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の質量を減じた値を、「補正された最終質量(Y)」とする。
一方、試料の質量からポリマー成分以外のシクロヘキサン可溶性成分(例えば、軟化剤)の質量およびポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の質量を減じた値を、「補正された初期質量(X)」とする。
ここに、ゲル含量(シクロヘキサン不溶解分)は、次式により求められる。
ゲル含量(質量%)=〔補正された最終質量(Y)〕÷〔補正された初期質量(X)〕×100
上記のように、結晶性ポリオレフィン樹脂(a−1)とゴム(a−2)とを架橋剤の存在下に動的に熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーは、流動性に優れている。またこのオレフィン系熱可塑性エラストマーは圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出成形等の従来使用されている成形装置を用いて容易に成形することができる。
つづいて、上記の各熱硬化性樹脂について詳述する。なお、以下の説明は、各樹脂の熱硬化前の状態についてのものである。
(Im)エポキシ樹脂
本実施形態で用いられるエポキシ樹脂は、典型的には、芳香族ジオール(例えば、ビスフェノールA)とエピクロルヒドリンとをアルカリの存在下に反応させることにより得られる樹脂である。本実施形態においては、エポキシ当量170〜5000のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂が好ましい。
(In)熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂
本実施形態で用いられる熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂は、典型的には、脂肪族不飽和ジカルボン酸と脂肪族ジオールとをエステル化反応させることにより得られる樹脂である。本実施形態においては、マレイン酸やフマル酸等の不飽和ジカルボン酸と、エチレングリコールやジエチレングリコール等のジオールとをエステル化反応して得られる樹脂が好ましい。
(Io)フェノール樹脂
本実施形態で用いられるフェノール樹脂は、ノボラック型およびレゾール型のいずれをも包含する。本実施形態において、ヘキサメチレンテトラミンで硬化させるノボラック型やジメチレンエーテル結合を主体とする固形レゾールが好ましい。
(Ip)熱硬化性ポリオレフィン樹脂
本実施形態で用いられる熱硬化性ポリオレフィン樹脂としては、特に制限はないが、例えば、DCPD(ジシクロペンタジエン)、ポリブタジエン樹脂等を挙げることができる。このような樹脂は市販されており、例えばDCPD樹脂としては、商品名「PENTAM(登録商標)」、「METTON(登録商標)」(リムテック社製)から選ばれる樹脂が挙げられる。
中でも、上記樹脂(R)が熱可塑性樹脂である場合には、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸樹脂、およびオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
また上記樹脂(R)が熱硬化性樹脂である場合には、エポキシ樹脂および熱硬化性ポリオレフィン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
これらの中でも、樹脂(R)は、ポリオレフィン樹脂およびオレフィン系熱可塑性エラストマーであることがさらに好ましく、特にオレフィン系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
本実施形態における熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の分子量は、成形体を成形可能な程度であって各種成形体において好適とされる分子量のものであれば特に制限なく用いることができる。例えばJISK7210記載の方法で測定したMFRが0.01〜200g/10分、好ましくは0.01〜100g/10分のものを挙げることができる。測定条件は樹脂により異なるが、付属書B表1に記載のものを使用することができる。例えばポリオレフィンの場合であって、ポリエチレン樹脂(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)、ポリブテン樹脂の場合、190℃、2.16kg荷重で測定する。ポリプロピレン樹脂の場合、230℃、2.16kg荷重で測定する。エチレン・酢酸ビニル共重合体の場合190℃、2.16kg荷重で測定する。
(シリル化ポリオレフィン)
本実施形態で用いられるケイ素含有化合物は、下記式(1)で表される構造単位を有するヒドロシラン化合物である。
−Si(R)H−Y− (1)
上記式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、YはO、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)である。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等の直鎖状または分岐状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
また上記の炭化水素基は、1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。具体的には、これらの基の少なくとも一つの水素が、ハロゲン原子、酸素、窒素、ケイ素、リン、イオウを含む基で置換された基が挙げられる。
一実施形態において、ケイ素含有化合物は、式(2)で表される構造を有する。
22−(Si(R21)H−Y21−Z−(Y22−Si(R23)H)−R24 (2)
上記式(2)中、R21およびR23はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
22およびR24はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、または炭化水素基であり、
21およびY22はそれぞれ独立して、O、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)であり、
mは0または1であり、
nは0または1であり、
21、R23、Y21およびY22が複数存在する場合、各基は同一であっても異なっていてもよく、
Zは、下記式(3)で表される2価の基である:
−Si(R41)(R41)−(Y23−Si(R41)(R41))− (3)
上記式(3)中、R41は水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、各R41はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、Y23はそれぞれ独立して、O、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)であり、
lは0〜10,000の整数である。
ただし、上記式(2)において、m=n=0の場合、上記式(3)において、少なくとも1つのR41は水素原子である。
なお、上記式(2)および上記式(3)におけるハロゲン原子および炭化水素基の定義は、上記式(1)における定義と同様である。
また、上記式(1)、(2)、(3)における炭化水素基として、炭素原子と水素原子とのみからなるものであることも1つの典型的な実施態様である。
一実施形態において、ケイ素含有化合物は、好ましくは、3個以上、より好ましくは5個以上、さらに好ましくは10個以上のケイ素原子を有する。またケイ素含有化合物は好ましくは10,000個以下、より好ましくは1,000個以下、特に好ましくは300個以下、さらに好ましくは50個以下のケイ素原子を有することが好ましい。このようなケイ素含有化合物を用いたシリル化ポリオレフィンを用いることにより、得られた接着体は、良好な耐傷つき性、耐汚染性を発現する。なお、ここで言う耐傷つき性とは、耐摩耗性、耐摩擦性、摺動性を含む。
一実施形態において、上記式(3)におけるlは、0〜10,000の整数であるが、好ましい上限および下限としては、上記式(2)のmとnの値と上記好ましいケイ素原子の個数とから定まる数を挙げることができる。
一実施形態において、上記式(2)においてm=n=1、すなわち両末端にSiH基を有するケイ素含有化合物が好ましく用いられる。
一実施形態において、上記式(2)においてm=1であり、n=0、すなわち片末端にSiH基を有するケイ素含有化合物が好ましく用いられる。
特に好ましいケイ素含有化合物としては、上記式(2)および式(3)において、m=n=1であり、R21、R23およびR41は全て炭化水素基である化合物が挙げられる。
特に好ましい別のケイ素含有化合物としては、上記式(2)および式(3)において、m=1、n=0であり、R21およびR41は全て炭化水素基である化合物が挙げられる。
本実施形態で用いられるケイ素含有化合物の具体例を以下に示す。本実施形態のケイ素含有化合物としては、SiH基を1個有する化合物が挙げられる。
SiH基を1個有するケイ素含有化合物の例としては、例えば、下記式(2a)で表される化合物、式(2a)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換された化合物等が挙げられる。
HSi(CHO−(−Si(CH−O−)−Si(CH (2a)
(上記式(2a)中、dは1以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
−((CHSiO)−(CHSiH
−((CHSiO)65−(CHSiH
SiH基を1個有するケイ素含有化合物の別の例としては、例えば、下記式(2b)で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、下記式(2b)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換された化合物等が挙げられる。
Si(CHO−(−Si(CH−O−)−(−SiH(CH)−O−)−Si(CH (2b)
(上記式(2b)中、eは、0以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
なお、−Si(CH−O−単位と−SiH(CH)−O−単位とが並ぶ順序には特に制限はなく、ブロック的であっても無秩序であっても統計的ランダム的であってもよい。
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これに限定されない。
Si(CHO−SiH(CH)−O−Si(CH
本実施形態のケイ素含有化合物としてはまた、SiH基を2個以上有する化合物が挙げられる。
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物の例としては、例えば、下記式(2c)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、下記式(2c)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換された化合物等が挙げられる。
(CHSiO−(−SiH(CH)−O−)−Si(CH (2c)
(上記式(2c)中、fは2以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物の別の例としては、例えば、下記式(2d)で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、下記式(2d)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換された化合物等が挙げられる。
(CHSiO−(−Si(CH−O−)−(−SiH(CH)−O−)−Si(CH (2d)
(上記式(2d)中、gは1以上の整数であり、hは2以上の整数であり、gとhとの合計の上限は、例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
また、上記式(2d)において、−Si(CH−O−単位と−SiH(CH)−O−単位とが並ぶ順序には特に制限はなく、ブロック的であっても無秩序であっても統計的ランダム的であってもよい。
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これに限定されない。
Figure 0006310297
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物のさらに別の例としては、例えば、下記式(2e)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、下記式(2e)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換された化合物等が挙げられる。
HSi(CHO−(−Si(CH−O−)−Si(CHH (2e)
(上記式(2e)中、iは1以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
HSi(CHO−(−Si(CH−O−)−Si(CH
HSi(CHO−(−Si(CH−O−)−Si(CH
HSi(CHO−(−Si(CH−O−)18−Si(CH
HSi(CHO−(−Si(CH−O−)80−Si(CH
HSi(CHO−(−Si(CH−O−)230−Si(CH
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物のさらに別の例としては、例えば、下記式(2f)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、下記式(2f)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換された化合物等が挙げられる。
HSi(CHO−(−SiH(CH)−O−)−Si(CHH (2f)
(上記式(2f)中、jは1以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物のさらに別の例としては、例えば、下記式(2g)で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、下記式(2g)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換された化合物等が挙げられる。
HSi(CHO−(−Si(CH−O−)−(−SiH(CH)−O−)−Si(CHH (2g)
(上記式(2g)中、kおよびlは、それぞれ1以上の整数であり、kとlとの合計の上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)
また、−Si(CH−O−単位と−SiH(CH)−O−単位とが並ぶ順序には特に制限はなく、ブロック的であっても無秩序であっても統計的ランダム的であってもよい。
本実施形態のビニル基含有化合物のGPC法により求めた数平均分子量は、100以上500,000以下であり、100以上100,000以下であることがより好ましい。数平均分子量が上記下限値以上であると、得られたシリル化ポリオレフィンが樹脂中よりブリードやブルームしてくることをより一層抑制できる。上記上限値以下であると、樹脂中におけるシリル化ポリオレフィンの分散性が向上し、得られた成形体の取り扱いがより良好となる。なお本実施形態では後述するように数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)およびMw/Mnはポリエチレン換算の値とした。
以下にビニル基含有化合物について説明する。
ビニル基含有化合物は、通常炭素数2〜50のオレフィンから選ばれる1種以上を重合又は共重合して得られるものである。
炭素数2〜50のオレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ペンテン、3−エチル−4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘプテン、3,4−ジメチル−1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン等のα−オレフィン;シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、等の内部二重結合を含むオレフィン;イソブテン、2−メチル−1−ペンテン、2,4−ジメチル−1−ペンテン、2,4−ジメチル−1−ヘキセン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン、2,4−ジメチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−オクテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2,3−ジメチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−オクテン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,3,3−トリメチル−1−ペンテン、2,3,3−トリメチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−オクテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ヘキセン、2,3,4−トリメチル−1−オクテン、2,4,4−トリメチル−1−ヘキセン、2,4,4−トリメチル−1−オクテン、2−メチル−3−シクロヘキシル−1−プロピレン、ビニリデンシクロペンタン、ビニリデンシクロヘキサン、ビニリデンシクロオクタン、2−メチルビニリデンシクロペンタン、3−メチルビニリデンシクロペンタン、4−メチルビニリデンシクロペンタン等のビニリデン化合物;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等のアリールビニル化合物;α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、2−メチル−3−フェニルプロピレン等のアリールビニリデン化合物;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、2−シアノプロピレン、2−アミノプロピレン、2−ヒドロキシメチルプロピレン、2−フルオロプロピレン、2−クロロプロピレン等の官能基置換ビニリデン化合物;シクロブテン、シクロペンテン、1−メチル−1−シクロペンテン、3−メチル−1−シクロペンテン、2−メチル−1−シクロペンテン、シクロヘキセン、1−メチル−1−シクロヘキセン、3−メチル−1−シクロヘキセン、2−メチル−1−シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1Hインデン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等の内部二重結合を含む脂肪族環状オレフィン;シクロペンタ−2−エニルベンゼン、シクロペンタ−3−エニルベンゼン、シクロヘキサ−2−エニルベンゼン、シクロヘキサ−3−エニルベンゼン、インデン、1,2−ジヒドロナフタレン、1,4−ジヒドロナフタレン、1,4−メチノ1,4,4a,9aテトラヒドロフルオレン等の芳香環を含有する環状オレフィン;ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,4−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン等の、二個以上の二重結合を有する環状ポリエンおよび二個以上の二重結合を有する鎖状ポリエン等が挙げられる。
また、炭素数2〜50のオレフィンは、酸素、窒素、硫黄等の原子を含んだ官能基を有していてもよい。例えばアクリル酸、フマル酸、イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の不飽和カルボン酸金属塩;無水マレイン酸、無水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、等の不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和グリシジルエステル;塩化ビニル、フッ化ビニル、フッ化アリル等のハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、2−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン等の不飽和シアノ化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等の不飽和エーテル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の不飽和アミド;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン等の官能基含有スチレン誘導体;N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
好ましい実施形態において、ビニル基含有化合物は、下記式(4)で表される構造を有し、数平均分子量が100以上500,000以下の化合物である。
A−CH=CH (4)
ここで、上記式(4)中、Aは1種以上の炭素数2〜50のαオレフィン由来の構成単位を含む重合鎖である。
上記式(4)において、好ましくは、ビニル基含有化合物のA部は、エチレン重合鎖、プロピレン重合鎖または炭素数2〜50のα−オレフィンからなる群から選択される2種以上のオレフィンの共重合鎖である。また上記α−オレフィンは、炭素数が2〜20のα−オレフィンであることが好ましい。
好ましい実施形態において、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物のAは、炭素数2〜50のα−オレフィンのみから構成される重合鎖である。さらに好ましくはビニル基含有化合物のAは炭素数2〜20のα−オレフィンのみから構成される重合鎖である。さらに好ましくは、ビニル基含有化合物のAは、エチレン単独重合鎖、プロピレン単独重合鎖、またはエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン共重合鎖である。
上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、エチレン由来の構成単位が81〜100モル%、炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位が0〜19モル%の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体であることが好ましい。より好ましくは、エチレン由来の構成単位が90〜100モル%、炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位が0〜10モル%の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体であることが好ましい。とりわけエチレン由来の構成単位が100モル%であることが好ましい。
また、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mn)が1.1〜3.0の範囲にあることが好ましい。
また、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、数平均分子量(Mn)が100以上500,000以下の範囲にあることが望ましく、500以上50,000以下がより好ましく、700以上10,000以下がさらに好ましい。
また、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、融点が70℃以上130℃以下であることが好ましい。
さらに好ましくは、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物のビニル基は、主鎖の末端に存在することが好ましく、ビニル基が主鎖の末端のみに存在することがより好ましい。
なお、ビニル基が主鎖の末端に存在することの確認は、例えば13CNMR、HNMRを利用することで可能である。例えばAがエチレン単独重合体である場合、13CNMRにより3級炭素が検出されず、かつHNMRでビニル基の水素が検出されることで確認する方法が挙げられる。HNMRのみにおいても、検出された各プロトンのピークを帰属することにより、構造の確認が可能である。例えば、合成例1で合成した化合物においては、プロトン積分値が3であるケミカルシフト0.81ppmのピークが片末端のメチル基であり、ケミカルシフト1.10−1.45ppmのピークは主鎖のメチレン基、プロトン積分値が2であるケミカルシフト1.93ppmのピークは末端ビニル基に隣接するメチレン基、プロトン積分値がそれぞれ1である4.80、4.86、5.60−5.72ppmのピークが末端ビニル基と帰属され、他に帰属不明のピークが存在しないことから、Aがエチレン単独重合体であり末端のみにビニル基を含有する構造であることを確認することができる。また、別の方法として、主鎖末端に存在するビニル基の水素の方が、側鎖に存在するビニル基の水素よりもHNMR測定における緩和時間が短いことを利用して、例えば側鎖にビニル基を有するポリマーの当該ビニル基の水素と緩和時間を比較する方法で決めることも可能である。
側鎖のビニル基のHNMRにおけるケミカルシフトが、末端に存在するビニル基よりも低磁場シフトすることを利用して判別することができる場合もある。
また、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物が、主鎖の末端のみにビニル基を含有する場合、H−NMRにより計算される末端不飽和率(後述するVE)が60モル%以上100モル%以下であることが好ましい。さらに好ましい態様の一つは、H−NMRにより計算される末端不飽和率が80モル%以上99.5モル%以下、より好ましくは90モル%以上99モル%以下であるものである。
上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、例えば以下の式(I)、式(II)、または式(III)で表される遷移金属化合物(A)と、(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなる触媒(B)により、炭素数2〜50のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上を重合または共重合することにより得ることができる。
式(I)で表される遷移金属化合物
Figure 0006310297
(上記式(I)中、Mは周期律表4〜5族の遷移金属原子を示す。mは、1〜4の整数を示す。R51は、炭素数1〜5の直鎖炭化水素基(Cn'2n'+1,n'=1〜5)または水素原子を示す。R52〜R56は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。また、mが2以上の場合にはR52〜R56で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
式(II)で表される遷移金属化合物
Figure 0006310297
(上記式(II)中、Mは周期律表第4〜5族の遷移金属原子を示す。mは、1〜4の整数を示す。R61は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい3〜5員環の脂環式炭化水素基を示す。R62〜R66は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。また、mが2以上の場合にはR62〜R66で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
式(III)で表される遷移金属化合物
Figure 0006310297
(上記式(III)中、Mは周期律表第4〜5族の遷移金属原子を示す。mは、1〜4の整数を示す。R71は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい炭素数4〜20の少なくとも1つ以上の炭素を共有する2環性炭化水素基を示す。R72〜R76は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。また、mが2以上の場合にはR72〜R76で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
また、Aがエチレン由来の構成単位のみからなる場合、およびプロピレン由来の構成単位のみからなる場合は、以下の方法で製造することもできる。
(エチレン単独重合鎖を有するポリオレフィン)
(E1)エチレン単独重合鎖を有するポリオレフィン重合鎖は、たとえば、以下の方法によって製造することも可能である。
(a)特開2000−239312号公報、特開2001−2731号公報、特開2003−73412号公報等に示されているようなサリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物を重合触媒として用いる重合方法。
(b)チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒を用いる重合方法。
(c)バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いる重合方法。
(d)ジルコノセン等のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるチーグラー型触媒を用いる重合方法。
(プロピレン単独重合鎖を有するポリオレフィン)
(E2)プロピレン単独重合鎖を有するポリオレフィン重合鎖は、たとえば、以下の方法によって製造することも可能である。
(a)特開2004−262993号公報等に示されているような担持型チタン系触媒、例えばマグネシウム担持型チタン系触媒または、メタロセン触媒の存在下、プロピレンを重合する方法。
(b)特開2000−191862号公報、特開2002−097325号公報等に示されているような金属化合物中の遷移金属と反応してイオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物、アルミノキサンとからなるメタロセン系触媒の存在下、プロピレンを重合する方法。
(オレフィン・ポリエン共重合体)
本実施形態のビニル基含有化合物の1つである、(Z)オレフィン・ポリエン共重合体について説明する。
オレフィンとしては、エチレンおよび炭素原子数3〜12のα−オレフィンが挙げられる。
炭素原子数3〜12のα−オレフィンとしては、たとえば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。これらのうち、好ましくは炭素原子数3〜10のα−オレフィン、より好ましくは炭素原子数3〜8のα−オレフィン、特に好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンが好ましい。
ポリエンとしては、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)、ジシクロペンタジエン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン等が挙げられる。これらのなかでは、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,4−ヘキサジエンまたは2−メチル−1,6−オクタジエンが好ましい。ビニルノルボルネンは、嵩高い骨格を有するために、低密度であってもワックスを硬くでき、ワックス製品のブロッキングを起こしにくいため、特に好ましい。
(Z)オレフィン・ポリエン共重合体は、以下の共重合体(Z1)であることが好ましい。すなわち(Z1)は上記のようなエチレンとポリエンとの共重合体、またはエチレンと炭素原子数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとポリエンとの共重合体から選ばれる少なくとも1種以上である。
本実施形態における(Z)オレフィン・ポリエン共重合体は、ポリエンから導かれる構成単位を0.01〜6.0モル%、好ましくは0.1〜4.0モル%の割合で含有することが好ましい。また、(Z)オレフィン・ポリエン共重合体が炭素原子数3〜12のα−オレフィンから導かれる構成単位を含有する場合は、その含有率は0.01〜15モル%、好ましくは0.1〜12モル%が好ましい。
本実施形態における(Z)オレフィン・ポリエン共重合体が、ポリエンから導かれる構成単位を上記の範囲の割合で含有すると、重合活性も適度に高い。
また、炭素原子数3〜12のα−オレフィンから導かれる構成単位を上記の範囲の割合で含有すると、表面のタック感が少なく、機械的特性、衝撃性に優れる成形体を得ることができる。
(Z2)本実施形態における(Z)オレフィン・ポリエン共重合体は、平均で0.5〜3.0個/分子、好ましくは0.5〜2.0個/分子、より好ましくは1.0〜2.0個/分子、特に好ましくは1.0〜1.9個、とりわけ好ましくは1.0〜1.5個の範囲にある不飽和基含有量を有することが好ましい。(Z)オレフィン・ポリエン共重合体中の不飽和基含有量が上記範囲内にあると、すべての(Z)オレフィン・ポリエン共重合体にシリコーンが付加しているため、シリル化ポリオレフィンが効果的に無機強化材に作用し、機械的特性、衝撃性に優れる成形体を得ることができる。
なお、(Z)オレフィン・ポリエン共重合体の不飽和基含有量は、以下のようにして測定される。13C−NMRによる不飽和部分の炭素のピーク面積と全炭素のピーク面積とを比較することにより、1,000炭素あたりの不飽和基数Mを得ることができる。1分子あたりの不飽和基含有量は、数平均分子量Mnを用いて、Mn×M/14,000により算出することができる。
なお、本実施形態において、1,000炭素あたりの不飽和基数Mは、1.4〜105個、好ましくは1.4〜70個、より好ましくは2.8〜70個が好ましい。
(Z3)本実施形態における(Z)オレフィン・ポリエン共重合体は、密度勾配管法で測定した密度が870kg/m以上、好ましくは890kg/m以上、より好ましくは910kg/m以上、かつ、980kg/m以下、好ましくは970kg/m以下、より好ましくは960kg/m以下であることが好ましい。(Z)オレフィン・ポリエン共重合体の密度が上記範囲内にあると、タック感が少なく、かつ樹脂中への分散性にも優れるため、耐傷つき性、耐汚染性に優れる成形体を得ることができる。
(Z4)本実施形態における(Z)オレフィン・ポリエン共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が70℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、特に好ましくは100℃以上、かつ、130℃以下、好ましくは125℃以下、より好ましくは120℃以下であることが好ましい。(Z)オレフィン・ポリエン共重合体の融点が上記範囲内にあると、タック感が少なく、かつ樹脂中への分散性にも優れるため、耐傷つき性、耐汚染性に優れる成形体を得ることができる。
(Z5)本実施形態における(Z)オレフィン・ポリエン共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000、好ましくは400〜4,000、より好ましくは400〜3,000、特に好ましくは1,500〜2,500の範囲にあることが好ましい。(Z)オレフィン・ポリエン共重合体のMnが上記範囲内にあると、タック感が少なく、かつ樹脂中への分散性にも優れるため、耐傷つき性、耐汚染性に優れる成形体を得ることができる。
(Z6)本実施形態における(Z)オレフィン・ポリエン共重合体は、GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が4.0以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下であることが好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、ポリスチレン換算値である。ここで、GPCによる測定は、温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行う。
(Z7)本実施形態における(Z)オレフィン・ポリエン共重合体は、針入硬度が15dmm(1dmm=0.1mm)以下、好ましくは10dmm以下、より好ましくは3dmm以下、特に好ましくは1dmm以下であることが好ましい。なお、針入硬度はJIS K2207に準拠して測定することができる。(Z)オレフィン・ポリエン共重合体の針入硬度が上記範囲内にあると、耐傷つき性、耐汚染性に優れた成形体を得ることができる。
本実施形態における(Z)オレフィン・ポリエン共重合体は、上記(Z2)不飽和基含有量、(Z3)密度、(Z4)融点、(Z5)数平均分子量(Mn)、(Z6)Mw/Mn(Mw:重量平均分子量)、(Z7)針入硬度の条件のうち1つ以上を満たすことが望ましく、2つ以上を満たすことがより好ましく、3つ以上を満たすことがさらに好ましく、4つ以上を満たすことがさらにより好ましく、5つ以上を満たすことがとりわけ好ましく、6つ全てを満たすことが特に好ましい。例えば特に好ましい態様としては(Z2−1)不飽和基含有量が0.5〜3.0個/分子であり、(Z3−1)密度が870〜980kg/mであり、(Z4−1)融点が70〜130℃であり、(Z5−1)数平均分子量(Mn)が400〜5,000であり、(Z6−1)Mw/Mn(Mw:重量平均分子量)が4.0以下である態様が挙げられ、さらに好ましくはこれら5つに加えて(Z7−1)針入硬度が15dmm以下を満たすものが挙げられる。
また、本実施形態に係る(Z)オレフィン・ポリエン共重合体がポリエンとしてビニルノルボルンネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)を用いて共重合されたものである場合、この(Z)オレフィン・ポリエン共重合体は、上記(Z2)不飽和基含有量、(Z3)密度、(Z4)融点、(Z5)数平均分子量(Mn)、(Z6)Mw/Mn(Mw:重量平均分子量)、(Z7)針入硬度の条件のうち1つ以上を満たすことが望ましく、2つ以上を満たすことがより好ましく、3つ以上を満たすことがさらに好ましく、4つ以上を満たすことがさらにより好ましく、5つ以上を満たすことがとりわけ好ましく、6つ全てを満たすことが特に好ましい。例えば特に好ましい態様としては(Z2−2)不飽和基含有量が0.5〜2.0個/分子であり、(Z3―2)密度が890〜980kg/mであり、(Z4−2)融点が80〜130℃であり、(Z5−2)数平均分子量(Mn)が400〜5,000であり、(Z6−2)Mw/Mn(Mw:重量平均分子量)が4.0以下である態様が挙げられ、さらに好ましくはこれら5つに加えて、(Z7−2)針入硬度が15dmm以下を満たすものが挙げられる。
上述したような(Z)オレフィン・ポリエン共重合体は、たとえば周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなる、以下のようなメタロセン系触媒を用いて製造することができる。本実施形態において好適なメタロセン系触媒としては、特開2001―002731号公報、あるいは既に国際公開されたPCT出願、WO/2007/114102、WO/2007/105483、WO/2007/114009、WO/2007/122906等に記載された、例えば、(A)周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物、並びに(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物および(b−3)有機アルミニウム化合物とから選ばれる少なくとも1種以上の化合物とからなるオレフィン重合用触媒を挙げることができる。
本実施形態における(A)周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物の具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチル((t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド等が挙げられる。
また、本実施形態における(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物および(b−3)有機アルミニウム化合物とから選ばれる少なくとも1種以上の化合物の具体例としては、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等が挙げられる。
本実施形態では特に、ビニル基含有化合物が上記式(4)で表される場合が、耐摩耗性、耐汚染性が優れ、また成形体表面からのブリードやブルームも少ないため好ましい。
本実施形態で用いられるシリル化ポリオレフィンは、どのような方法によって製造されたものでも使用できるが、好ましくは下記の[工程1]および[工程2]を順次実施することにより得られたシリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体、またはこれらの混合物である。
[工程1]ケイ素含有化合物とハロゲン化遷移金属とを混合攪拌し、得られた懸濁溶液を濾過して濾液として遷移金属触媒組成物(C)を得る工程、
[工程2]上記[工程1]で得られた遷移金属触媒組成物(C)の存在下、ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物とを反応(ただし、上記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ上記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は除く)させる工程。
以下で、シリル化ポリオレフィンの製造方法について詳述する。
[工程1]:遷移金属触媒組成物(C)を得る工程
[工程1]では、ケイ素含有化合物とハロゲン化遷移金属とを混合攪拌し、得られた懸濁溶液を濾過して濾液として遷移金属触媒組成物(C)を得る。
ハロゲン化遷移金属としては、元素周期表第3族〜第12族の遷移金属のハロゲン化物であり、入手の容易さや経済性の点から好ましくは元素周期表第8族〜第10族の遷移金属のハロゲン化物であり、より好ましくは白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、パラジウムのハロゲン化物である。さらに好ましくは白金のハロゲン化物である。また、二種以上のハロゲン化遷移金属の混合物であっても構わない。
ハロゲン化遷移金属のハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、これらのうちでは取扱いの容易さの点で塩素が好ましい。
[工程1]に使用するハロゲン化遷移金属の具体例としては、二塩化白金、四塩化白金、二臭化白金、二ヨウ化白金、三塩化ロジウム、三臭化ロジウム、三ヨウ化ロジウム、三塩化イリジウム、四塩化イリジウム、三臭化イリジウム、三ヨウ化イリジウム、三塩化ルテニウム、三臭化ルテニウム、三ヨウ化ルテニウム、三塩化オスミウム、三臭化オスミウム、三ヨウ化オスミウム、二塩化ニッケル、二フッ化ニッケル、二臭化ニッケル、二ヨウ化ニッケル、二塩化パラジウム、二臭化パラジウム、二ヨウ化パラジウムが挙げられる。これらのうちでは二塩化白金、二塩化パラジウム、三塩化ルテニウム、三塩化ロジウム、三塩化イリジウムが好ましく、二塩化白金が最も好ましい。
[工程1]で用いるハロゲン化遷移金属は、通常、粉末状の固体であり、粒径は1000μm以下が好ましく、更には500μm以下が好ましい。粒径が大きくなると、遷移金属触媒組成物(C)の調製時間が長くなる。
[工程1]におけるケイ素含有化合物とハロゲン化遷移金属の使用量は、ケイ素含有化合物の量がハロゲン化遷移金属に対し1当量以上であれば特に制限されないが、好ましくは2当量以上である。ケイ素含有化合物の量が少ないと、遷移金属触媒組成物(C)の調製上必要な攪拌が困難になる。
[工程1]におけるケイ素含有化合物とハロゲン化遷移金属との混合攪拌は、これが可能であれば手段は問わないが、窒素気流下、攪拌機を備えた反応容器中にハロゲン化遷移金属を適当量仕込み、これにケイ素含有化合物を添加して攪拌を行う。少量の場合はサンプル管にスターラーチップを入れ、同様に仕込んで攪拌してもよい。
ケイ素含有化合物とハロゲン化遷移金属との混合攪拌時間は、通常10時間以上であり、好ましくは20時間以上であり、より好ましくは60時間以上であり、更に好ましくは80時間以上である。反応時間が短いと、次の[工程2]で得られるシリル化ポリオレフィン中の不純物である異性体のビニレン誘導体の生成割合が増大するため好ましくない。混合攪拌時間の上限は特に無いが、経済的な観点から概ね1ヶ月以内である。
ケイ素含有化合物とハロゲン化遷移金属との混合攪拌の温度は、ケイ素含有化合物の沸点以下であれば特に制限は無いが、通常0〜50℃の範囲、好ましくは10〜30℃の範囲である。また圧力は、通常は常圧で行うことができるが、必要に応じて加圧下または減圧下で行うこともできる。
[工程1]においては、必要に応じて溶媒を使用することもできる。使用する溶媒は、原料のケイ素含有化合物およびハロゲン化遷移金属に対して不活性なものが使用できる。使用できる溶媒の具体例は、例えばn−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、パークロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらのうち、特にトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒を使用する場合は溶媒の使用量は原料の溶解性に作用するが、原料に対し100質量倍以下が好ましく、より好ましくは20質量倍以下である。本実施形態では、無溶媒で実施することが最も好ましい。
次に、反応で得られた懸濁溶液を濾過して固形分を除去し、濾液として遷移金属触媒組成物(C)を得る。濾過の方法としては特に制限はなく、自然濾過、加圧濾過、減圧濾過等の一般的な方法を用いることができる。濾過で使用するフィルターとしては特に制限はなく、セルロース製ろ紙、ガラス繊維フィルター、フッ素樹脂製やセルロースアセテート製のメンブランフィルター等を適宜使用できる。これらの中でも、孔径の均一性、低吸湿性、化学的安定性等の点から、フッ素樹脂製メンブランフィルターを用いることが好ましい。また、濾過で使用するフィルターは10μmより小さな目のフィルターを使用することが好ましく、1μm以下の目のフィルターを使用することが更に好ましい。これより大きな目のフィルターを使用すると、未反応のハロゲン化遷移金属の固形分が触媒中に混入し、触媒が不均一化するため、合成目的物の不純物であるビニレン誘導体の生成量が増大する原因となる。また濾過の際、上記の溶媒を使用して固形分を洗浄することもできる。
濾過で除去される固形分、すなわち未反応のハロゲン化遷移金属の量は、使用したハロゲン化遷移金属の量に対して通常50質量%以下、好ましくは10質量%以下である。ハロゲン化遷移金属の反応率は、主に調製時間を変更することによって調節することができる。
このようにして調製した遷移金属触媒組成物(C)には、ナノコロイド状になった遷移金属化合物、ケイ素含有化合物、および必要に応じて使用した溶媒が含まれる。この遷移金属触媒組成物(C)は、そのままで次の[工程2]に用いることができるが、必要に応じて、溶媒の除去や、濃縮、希釈を行ってから、[工程2]に用いることもできる。また、ケイ素含有化合物をさらに追加して希釈し、触媒濃度を調整することもできる。
[工程1]を実施する代わりに市販の遷移金属触媒、例えば白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、あるいはアルミナ、シリカ等の担体に白金の担体を担持させたもの等が挙げられるが、これを[工程2]に使用しても構わない。
[工程2]:ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物とを反応させる工程
[工程2]では、上記[工程1]で得られた遷移金属触媒組成物(C)中で、ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物とを反応させ(ただし、上記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ上記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は除く)、シリル化ポリオレフィンを得る。
また、[工程2]で用いるケイ素含有化合物は、[工程1]で用いたケイ素含有化合物と異なるものを用いることもできるが、好ましくは[工程1]で用いたものと同一のものを用いる。
ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物とを反応させる際の量比は、目的によって異なるが、ビニル基含有化合物中のビニル基とケイ素含有化合物中のSi−H結合との当量比として0.01〜10当量倍の範囲であり、好ましくは0.1〜2当量倍の範囲である。ここでケイ素含有化合物の量は、[工程1]で用い、遷移金属触媒組成物(C)中に含まれる部分と、[工程2]で新たに追加する部分との合算量である。[工程1]において必要なケイ素含有化合物の全量を用いた場合には、[工程2]ではケイ素含有化合物を追加することなく実施することもできる。
ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物との反応は、[工程1]で調製した遷移金属触媒組成物(C)の存在下で行う。遷移金属触媒組成物(C)とビニル基含有化合物との量比は、ビニル基含有化合物中のビニル基と遷移金属触媒組成物(C)中の遷移金属分との当量比として、10−10〜10−1当量倍の範囲であり、好ましくは10−7〜10−3当量倍の範囲である。
ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物との反応における反応方法としては、最終的に反応すればよく、その方法は限定されるものではないが、例えば以下のように行う。反応容器中にビニル基含有化合物を装入し、窒素雰囲気下、ケイ素含有化合物と遷移金属触媒組成物(C)を装入する。予め内温をビニル基含有化合物の融点以上に昇温しておいた油浴中に、上記反応器をセットし攪拌する。反応後油浴を除いて室温に冷却し、得られた反応混合物をメタノールまたはアセトン等の貧溶媒中に取り出し2時間攪拌する。その後、得られた固体をろ取し、上記貧溶媒で洗浄し、60℃、2hPa以下の減圧下で乾燥させ、目的物を得ることができる。
[工程2]におけるビニル基含有化合物とケイ素含有化合物との反応は、反応温度を100〜200℃の範囲とすることが好ましく、反応させるビニル基含有化合物の融点より高い温度で行うことがより好ましい。反応温度が100℃より低いと、反応効率が低下することがあるので好ましくない。また圧力は、通常は常圧で行うことができるが、必要に応じて加圧下または減圧下で行うこともできる。
[工程2]においては、必要に応じて溶媒を使用することもできる。使用する溶媒は、原料のケイ素含有化合物およびビニル基含有化合物に対して不活性なものが使用できる。常圧下で反応させる場合、反応させるビニル基含有化合物の融点以上の沸点を有するものを使用するのが好ましい。使用できる溶媒の具体例は、例えばn−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、パークロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらのうち、特にトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒を使用する場合は溶媒の使用量は原料の溶解性に作用するが、原料に対し100質量倍以下が好ましく、より好ましくは20質量倍以下である。本実施形態では、無溶媒で実施することが最も好ましい。
以上のように、遷移金属触媒組成物(C)の存在下、ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物とを反応させることにより、上記式(1)で表される構造単位を含むシリル化ポリオレフィンを含む反応混合物が得られる。
上記反応後のシリル化ポリオレフィンを含む反応混合物には、シリル化ポリオレフィンの他に、未反応のビニル基含有化合物、副生物であるビニレン誘導体が含まれている。また場合によって、未反応のケイ素含有化合物が含まれていることもある。
シリル化ポリオレフィン中における、上記式(1)で表される構造単位に由来する構造の割合は、シリル化ポリオレフィンの目的機能が発現されれば良く、特に限定されないが、通常5〜99質量%であり、好ましくは10〜95質量%である。構成単位がこの範囲であれば耐傷つき性、耐汚染性の機能が発現でき、またオイル状となってブリードアウトすることも少ない。
上記の方法においては、[工程1]で得られた非常に高活性で高選択性の遷移金属触媒組成物(C)を用いるため、[工程2]のビニル基含有化合物とケイ素含有化合物との反応が効率よく進行する。このため、ビニル基含有化合物の二重結合の反応率は、通常90%以上、好ましくは95%以上であり、副生物であるビニレン誘導体の生成量は、シリル化ポリオレフィンに対して、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
シリル化ポリオレフィンは、上記反応混合物から、貧溶媒への再沈殿、またはスラッジングにより取り出すことができる。貧溶媒はシリル化ポリオレフィンの溶解度が小さいものであればよく、適宜選択することができ、好ましくは上記不純物が除けるものがよい。貧溶媒として具体的には、アセトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトニトリル、酢酸エチル、n−ヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられ、これらのうちではアセトン、メタノールが好ましい。
得られたシリル化ポリオレフィンの、JISK7210の方法に従い、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトマスフローレイト(MFR)は、0.01g/10分以上、好ましくは0.1g/10分以上であり、より好ましくは1.0g/10分以上である。上限は特にない。本指標は、シリル化ポリオレフィンが、樹脂の流動性を損なうほどの架橋等をしていないことを示す指標である。
本実施形態で用いられるビニル基含有化合物としては、前述したように具体的には、下記式(4)で表される化合物、または、(Z)オレフィン・ポリエン共重合体が挙げられる。
A−CH=CH (4)
(上記式(4)中、Aは1種以上の炭素数2〜50のαオレフィン由来の構成単位を含む重合鎖である。)
ビニル基含有化合物が上記式(4)で表される化合物である場合、Aが炭素数2〜20のα−オレフィンのみからなる構造(構造4−1)が好ましい。
さらに好ましくは、ビニル基含有化合物は、−CH=CHがポリマー主鎖の末端に存在する構造(構造4−2)を有する。
なおさらに好ましくは、ビニル基含有化合物は、−CH=CHがポリマー主鎖の末端のみに存在する構造(構造4−3)を有する。
なおさらに好ましくは、ビニル基含有化合物は、Aが炭素数2〜20のα−オレフィンのみからなり、−CH=CHがポリマー主鎖の末端に存在する構造(構造4−4)(構造4−1と構造4−2との組み合わせ)を有する。
なおさらに好ましくは、ビニル基含有化合物は、Aが炭素数2〜20のα−オレフィンのみからなり、さらに−CH=CHがポリマー主鎖の末端のみに存在する構造(構造4−5)(構造4−1と構造4−3との組み合わせ)を有する。
ビニル基含有化合物が(Z)オレフィン・ポリエン共重合体である場合、ポリエンとしてビニルノルボルネンを用いた構造がより好ましい。
本実施形態のケイ素含有化合物は、前述したように、具体的には上記式(2)の構造を有するものが好ましい。そのうちでもビニル基含有化合物が上記式(4)で表される場合と、(Z)オレフィン・ポリエン共重合体の構造である場合とにおける好ましいケイ素含有化合物はそれぞれ以下の通りである。
ビニル基含有化合物が上記式(4)で表される場合、ケイ素含有化合物としては、上記式(2)においてm=n=1である構造(構造2−1)が好ましく、さらには上記式(2)中のZにおけるR41が全て炭化水素基およびハロゲンから選ばれるものである構造(構造2−2)がより好ましい(すなわちR41はいずれも水素原子ではないことが好ましい。)
また、ビニル基含有化合物が(Z)オレフィン・ポリエン共重合体である場合であって、例えばビニル基が1分子に平均して2個以上ある場合は、ケイ素含有化合物としては、上記式(2)においてm=1、n=0であり、かつ上記式(2)中のZにおけるR41が全て炭化水素基およびハロゲンから選ばれる構造(構造2−3)であるか、または、上記式(2)においてm=0,n=0であり、かつ上記式(2)中のZにおけるR41のうち1つだけが水素原子である構造(構造2−4)である化合物が好ましい。
また、ビニル基含有化合物が1分子に平均して2個未満のビニル基を有する場合は、ケイ素含有化合物としては、上記構造2−3、構造2−4のようなSiH基を1分子に1個有する化合物に加えて、Si−H結合が1分子に2個以上有する化合物を使用することも可能であり、例えば前述の構造2−1、構造2−2をとってもよい。
シリル化ポリオレフィンは、たとえば、式(5)〜(8)で表されるような構造を有していると推定される。もちろんそのケイ素含有化合物やビニル基含有化合物の組合せは、これらの例示になんら限定されるものではない。
Figure 0006310297
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Figure 0006310297
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(上記各式中のm,n,o,p,qは1以上の整数を表す。)
以下に、特に好ましい態様とその推定理由とを述べる。以下ではビニル基含有化合物由来の部分のことを、「ポリオレフィン鎖」、ケイ素含有化合物由来の部分のことを、「ケイ素含有化合物鎖」ということがある。ビニル基含有化合物が上記式(4)で表される構造、中でも構造(4−5)をとり、ケイ素含有化合物が構造(2−2)をとる場合、シリル化ポリオレフィンは、(ポリオレフィン鎖)−(ケイ素含有化合物鎖)−(ポリオレフィン鎖)の順に結合したブロック共重合体のような構造をとると考えられる。具体的には上記した式(5)のような推定構造を有する化合物が例示できる。
ビニル基含有化合物が構造(4−5)をとり、ケイ素含有化合物が構造(2−1)をとった場合であって、ケイ素含有化合物がSiH基を3個以上有する場合には、シリル化ポリオレフィンには、(ポリオレフィン鎖)−(ケイ素含有化合物鎖)−(ポリオレフィン鎖)の順に結合しているブロック構造において、さらにケイ素含有化合物鎖からポリオレフィン鎖がグラフト的に結合したような構造が含まれ得ると考えられる。
またビニル基含有化合物が構造(4−5)をとり、ケイ素含有化合物が構造(2−3)、構造(2−4)である場合、シリル化ポリオレフィンは、具体的に例示すれば、上記式(6)、式(8)のような構造をとっているのではないかと考えられる。
またビニル基含有化合物が構造(4−5)をとり、ケイ素含有化合物が、式(2)においてm=0、n=0、Zが(−SiH(CH)O−)−Si(CHO−Si(C−である場合、式(7)のような形をとるのではないか考えられる。
またビニル基含有化合物が(Z)オレフィン・ポリエン共重合体であり、ケイ素含有化合物が構造(2−3)をとる場合、シリル化ポリオレフィンは、(ポリオレフィン鎖)に(ケイ素含有化合物鎖)がグラフトした、上記式(9)のような構造をとるのではないかと考えられる。
(ポリオレフィン鎖)−(ケイ素含有化合物鎖)−(ポリオレフィン鎖)のブロック共重合体の構造をとると推定されるような、たとえば上記式(5)の構造をとると推定されるようなビニル基含有化合物とケイ素含有化合物との組み合わせから得たシリル化ポリオレフィンが、ケイ素含有化合物鎖からグラフト鎖としてポリオレフィン鎖を有すると推測されるシリル化ポリオレフィンや、ポリオレフィン鎖がグラフト鎖としてケイ素含有化合物鎖を有すると推測されるシリル化ポリオレフィンよりも分子運動をしやすいと考えられる。そのため例えば溶融成形により当該シリル化ポリオレフィンが成形体表面に、より集まりやすいのではないかと考えられる。また、上記構造であれば、ケイ素含有化合物鎖の両末端にポリオレフィン鎖が存在するため、成形体表面からブリードアウトやブルームアウトすることが少ないのではないかと考えられる。
(添加剤)
樹脂組成物(P)には、本発明の目的および効果を損なわない範囲で任意の添加剤、たとえば臭素化ビスフェノール、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、トリフェニルホスフェート、ホスホン酸アミドおよび赤燐等のような難燃剤、三酸化アンチモンおよびアンチモン酸ナトリウム等のような難燃助剤、燐酸エステルおよび亜燐酸エステル等のような熱安定剤、ヒンダードフェノール等のような酸化防止剤、耐熱剤、耐候剤、光安定剤、離型剤、流動改質剤、着色剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、結晶核剤、可塑剤および発泡剤等を必要に応じてその有効発現量配合してもよい。
(樹脂組成物(P))
樹脂(R)とシリル化ポリオレフィンとを含有する樹脂組成物(P)は、任意の方法を用い製造することができる。例えば、樹脂(R)、シリル化ポリオレフィン、およびその他の添加剤を融解混練させて得ることができる。あるいは同時にまたは任意の順序で、タンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、単軸或いは二軸の押出機等で溶融混合させて得ることができる。
シリル化ポリオレフィンは樹脂(R)100質量部に対し0.01〜100質量部含有することが好ましく、より好ましくは0.5〜50質量部、さらに好ましくは1〜20質量部、特に好ましくは1〜10質量部である。
本実施形態に係る接着体はシリル化ポリオレフィンのブリードやブルームが少なく、少量のシリル化ポリオレフィンで、接着体の耐摩耗性や耐汚染性、接着性を向上させることができる点で、工業的に有利である。特にビニル基含有化合物として前述した上記式(4)で表され、かつビニル基を主鎖の末端にのみ有する化合物を用いることが好ましく、さらに加えて、ケイ素含有化合物として、上記構造(2−1)をとるもの、とりわけ構造(2−2)をとるものを用いた場合がより好ましい。
融解混練させる場合は、必要に応じて各種溶媒を適宜使用してもよい。使用する溶媒としては、シリル化ポリオレフィンが溶解するものを使用するのが好ましい。使用できる溶媒の具体例は、例えばn−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、パークロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
これらのうち、シリル化ポリオレフィンの溶解性や無機材料との反応性の観点から、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が特に好ましい。また、有機溶媒の使用量は、原料の溶解性に作用するが、シリル化ポリオレフィンの量に対して、100質量倍以下が好ましく、より好ましくは20質量倍以下の範囲である。
樹脂組成物(P)を調製する際の反応温度は、シリル化ポリオレフィンと樹脂(R)とが融解または溶解すればよく、特に制限はないが、80〜245℃の範囲が好ましく、更に融解または溶解の時間や混練度の観点から100〜200℃であることが好ましい。また、選択したシリル化ポリオレフィンの融点以上乃至溶媒の沸点以下の温度であることがより好ましい。また混練時間は、混練温度や溶媒量等の条件にもよるが、通常1分〜100時間、好ましくは5分から50時間の範囲である。
混練する装置としては、シリル化ポリオレフィンと樹脂(R)が、均一に混合混練出来ればよく、その形態は問わない。例としては、通常のジャケット式反応器、ニーダー、ミキサー、ホモジナイザー、短軸押出機、二軸押出機等が挙げられる。
溶媒を使用した場合、混練終了後、溶媒を除くことが必要であるが、脱溶媒ができればよく、その形態は問わない。例としては、加熱蒸発、真空脱溶媒、不活性ガスによるストリッピング、或いはそれらの組み合わせ、または、貧溶媒に排出して粉体を沈殿させ、組成物を取り出すことができる。この場合に使用する貧溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の中から、1種以上を適宜選択して用いることができる。また必要に応じて、得られた組成物を適当な溶媒によって洗浄する等の方法により更に精製することもできる。
以上述べた方法により、樹脂組成物(P)は、シリル化ポリオレフィンと樹脂(R)とから形成される。樹脂組成物(P)中には必要に応じ他の成分が入っても構わない。例としては、イルガノックス(登録商標)(チバスペシャルティケミカルズ社製)やラスミット(登録商標)(第一工業製薬社製)等の安定剤、クレイ(コープケミカル社製)、タルク(浅田製粉社製)等の物性改善剤等が挙げられる。
タンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、単軸或いは二軸の押出機等で溶融混合させる場合は、樹脂(R)とシリル化ポリオレフィンとを1段階で混合して樹脂組成物(P)を得る方法が一般的ではある。しかし、樹脂(R)とシリル化ポリオレフィンとの分子量や成形温度での溶融粘度の差が大きい場合や、シリル化ポリオレフィンの量が少ない場合等に、両成分が十分に分散しない場合がある。さらに、上記のように、樹脂(R)とシリル化ポリオレフィンとを1段階で混合し離型性を有する組成物を得ようとした場合、成形機の吐出量が安定せず、生産性にも問題が生じる場合がある。また、上記の方法ではペレット等の良形状の原料樹脂が圧送または吸引して配管内を輸送され、混合機、押出機ホッパー等に供給されることがあるが、低分子量成分を用いるとその形状が保持できず、輸送配管部材の内壁部に低分子量成分が融着、固着・付着するという問題が発生することがあった。
このような場合の好ましい製造方法として、組成物に比してシリル化ポリオレフィンの割合が高い第一の樹脂、所謂マスターバッチを予め調製し、その後、第二の樹脂と上記マスターバッチを混合して組成物を得る方法が挙げられる。上記マスターバッチ100質量部に対して、第二の樹脂は1質量部以上900質量部以下の量であることが好ましい。第二の樹脂の量の好ましい下限値は、2質量部、より好ましくは5質量部、特に好ましくは10質量部である。一方、好ましい上限値は300質量部、より好ましくは100質量部、特に好ましくは50質量部である。
本実施形態に係るマスターバッチには、勿論、前述した公知の添加剤等の成分が含まれていてもよい。
このようなマスターバッチの製法としては上記のタンブラー、ミキサー、ブレンダー、ロール、押出機等を用いた公知の混合法を用いることが出来る。また、樹脂(R)と上記マスターバッチとを用いて樹脂組成物(P)を調製する場合も同様の方法を用いることが出来る。
また、樹脂組成物(P)、またはマスターバッチの形態は使用される用途等によって適宜設計することができ、フィルム状、粉状、粒子状、ペレット状、プレート状等が挙げられる。
また、樹脂組成物(P)としては、前述した本実施形態に係るオレフィン系熱可塑性エラストマーと、前述した本実施形態に係るシリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体、またはこれらの混合物と、を含む樹脂組成物(P1)が特に好ましい。樹脂組成物(P1)を用いると、耐摩耗性および接着性のバランスに特に優れる接着体を得ることができる。
(成形体)
本実施形態に係る成形体(A)は、上述の樹脂組成物(P)を、押出成形法、射出成形法、溶液流延法、インフレーション成形法、圧縮成形法、トランスファー成形法、注型成形法等といった公知の成形方法により成形することにより得られる。特に加熱する過程を有する成形法が好ましく、溶融成形法(押出成形法、射出成形法、インフレーション成形法、圧縮成形法、トランスファー成形法等)により成形することが特に好ましい。
また加熱せずに成形したのち、成形体(A)をアニール等してもよい。溶融成形法の場合、通常は樹脂の融点以上であって成形に適した流動性を持つ程度の温度まで加熱して溶融させて成形することが通常である。アニール等の熱処理の場合は、成形体が溶融しない程度の温度まで加熱することが通常である。特に溶融成形法により得られるものが耐摩耗性、耐汚染性の点で好ましい。
(接着体)
本実施形態に係る接着体は、成形体(A)と、成形体(A)と同一または異なる種類の成形体(B)とを備え、成形体(A)の少なくとも一部と、成形体(B)の少なくとも一部とが接着されている。そして、少なくとも成形体(A)が上述の樹脂組成物(P)により形成されたものである。本実施形態に係る接着体の接着性と耐摩耗性のバランスをより一層向上させる観点から、成形体(B)は前述したエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含むことが好ましく、成形体(B)は本実施形態に係る樹脂組成物(P)から形成されたものであることがより好ましい。
本実施形態に係る接着体は、例えば、成形体(A)からなる層(A)と、成形体(B)からなる層(B)とが積層された積層体である。層(A)は層(B)の全面に積層されていてもよいし、一部分のみに積層されていてもよく、また他の層が積層されていてもよい。
層(A)は層(B)の片面に積層されていてもよいし、両面に積層されていてもよい。層(A)が層(B)の一部分のみに積層される場合、層(A)が積層されない部分は層(B)が表面に露出してもよい。層(A)と層(B)とは接着剤により積層されていてもよいが、融着されているのが好ましい。積層体の厚さは特に限定されないが、層(B)の厚さは0.1〜50mm、好ましくは0.5〜45mm、層(A)の厚さは5μm〜10mm、好ましくは10μm〜8mmであるのが好ましい。
本実施形態に係る接着体は、例えば、成形体(B)からなる層(B)を基材層とし、成形体(A)からなる層(A)を表皮層として積層することにより得られる。積層方法は、最終製品の形状、大きさ、要求物性により異なり特に限定されないが、例えば多層押出成形機により基材層と表皮層とを同時に押出成形して熱融着する方法が挙げられる。このような熱融着の方法は接着剤を必要とせず、簡単な一工程で容易に積層体を得ることができ、しかも基材層と表皮層との層間接着は強固である。また、押出成形時に発生する目ヤニが少なく、外観性に優れている。
このような本実施形態に係る接着体は、接着性、外観性、耐摩耗性、耐久性、摺動特性、機械的強度およびゴム弾性に優れている。また本実施形態に係る接着体は容易に製造することができ、リサイクルが可能であるため経済性に優れている。
本実施形態に係る接着体が効果を奏する理由として、樹脂を成形する過程、特に加熱して成形する過程で、本実施形態に使用するシリル化ポリオレフィンが成形体表面に移行し、計算で求められる成形体全体での平均的な値よりも濃度が高くなることが推察される。このため、少ない添加量で成形体表面の耐摩耗性を向上させることができると考えられる。
また、本実施形態に使用するシリル化ポリオレフィンは、成形体表面からブリードアウトやブルームアウトすることが少ないため、本実施形態に係る接着体は接着性に優れるのではないかと考えられる。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)において、樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合も、熱硬化する過程で、シリル化ポリオレフィンが成形体表面に集まるのではないかと考えられるため、効果を奏することが期待されるが、熱硬化性樹脂には架橋構造が含まれるため、シリル化ポリオレフィンの移動しやすさを考えると、特に熱可塑性樹脂を用いた場合に、本発明の効果は顕著であると考えられる。
本実施形態に係る接着体は、耐摩耗性および接着性のバランスに優れている。そのため、本実施形態に係る接着体は、例えば、ドアトリム等の自動車内装部品、ガラスランチャンネル、自動車用ウェザーストリップ、窓枠材、シーリング材、プラスチックシリンジ、包装材、プラスチック容器およびスポーツ用品のような、摩擦による傷が問題となる物品に好適に使用することができる。
(ガラスランチャンネル)
本実施形態に係るガラスランチャンネル1は、横断面において溝状の本体2と、本体2の側壁頂部2A付近から中心側に向かって張出した舌片状の水切り部3と、を備える。当該ガラスランチャンネル1のガラスとの接触部4に,少なくとも本実施形態に係る接着体が設けられている。そして、成形体(A)からなる層4Aがガラスとの接触部4に設けられている。
本実施形態に係るガラスランチャンネル1は、接着性および耐摩耗性に優れ、かつ長期間の使用にもヘタリを生じない。
以下、本実施形態に係るガラスランチャンネル1の一例を図に基づいて具体的に説明する。図1は本実施形態に係るガラスランチャンネル1の構成の一例を示す断面図である。
このガラスランチャンネル1は、横断面において溝状(コの字型)の本体2と、その側壁部頂部2A付近から中心側へ向かって張出した舌片状の水切り部3とからなっている。
この一対の水切り部3、3は、本体2の溝の内方へ向けて傾斜して延びており、その外面側がガラスとの接触部4となっており、その先端5、5は、互いに開閉可能な位置関係にある。本体2は、その外側壁に窓枠への取付け用フック6が設けられている。
この本体2および水切り部3は、通常は樹脂組成物で一体に成形されているが、本実施形態によれば、少なくともガラスとの接触部4を、本実施形態に係る接着体で構成する。すなわち、成形体(A)からなる層4Aと成形体(B)からなる層4Bとで構成する。このガラスとの接触部4を拡大して示す図2のように、成形体(A)からなる層4Aの表面は、微細な凹凸の繰返し模様が施されていることが好ましい。
図3は、ガラスランチャンネル1の自動車ドアへの取付けを説明する図である。図4は、窓ガラスの開閉時におけるガラスランチャンネル1の状態の一例を示す断面図である。
自動車のドア11には昇降動により開閉可能に窓ガラス12が設けられており、一方、窓枠13に対してガラスランチャンネル1が固定されている。
図4において、窓枠13は、全体として断面がコの字型に成形され、その凹部14の入口部分には内方への突起部15が形成されている。この凹部14にガラスランチャンネル1を挿入し、その係合用フック6と上記突起部15とを係合させることにより、窓枠13へのガラスランチャンネル1の固定が行なわれる。図4(a)に示すように、窓ガラス12を降下させた状態では、ガラス摺動部の先端5、5は互いに対面して閉じており、また、図4(b)に示すように、窓ガラス12の上昇状態では、窓ガラス摺動部の先端5、5は、これらの間に嵌挿された窓ガラス12により分離されているが、窓ガラス面とは接触した状態となっている。
本実施形態に係るガラスランチャンネルは、そのガラスとの接触部4に本実施形態に係る接着体が設けられているので、接着性および耐摩耗性のバランスに優れ、かつ長期間の使用にもヘタリを生じない。また本実施形態のガラスランチャンネルは容易に製造することができ、リサイクルが可能であるため経済性に優れている。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(測定および計算方法)
分子量、融点(Tm)、収率、転化率、異性化率、およびメルトマスフローレイト(MFR)、は以下に記載の方法で測定・計算した。
[m1]分子量の測定方法
数平均分子量Mn、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、ミリポア社製GPC−150を用い以下のようにして測定した。すなわち、分離カラムは、TSK GNH HTであり、カラムサイズは直径7.5mm、長さ300mmのものを使用した。カラム温度は140℃とし、移動相にはオルトジクロロベンゼン(和光純薬社製)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品社製)0.025質量%を用い、1.0ml/分で移動させた。試料濃度は0.1質量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとした。検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、常法に従ってポリエチレン換算の値に換算した。
なお、以下の合成例にて、原料ポリマーのモル数はすべてMnに基づいた値で表している。
[m2]融点の測定方法
融点(Tm)はDSCを用い測定して得られたピークトップ温度を採用した。装置は島津製作所製DSC−60Aを使用した。対照セルはアルミナを使用し、窒素流量は50ml/分の設定で行った。また10℃/分で30℃から300℃までの昇温条件で測定した。この昇温測定の前に、一旦、樹脂を200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、20℃/分で常温(25℃)まで降温する操作を行い、樹脂の熱履歴を統一することが好ましい。
[m3]NMR解析による収率、転化率、異性化率、末端不飽和率の測定・計算方法
シリル化ポリオレフィンの収率、転化率、異性化率、末端不飽和率はH−NMRによって決定される。収率は原料のビニル基含有化合物のモル数に対して得られたシリル化ポリオレフィンのモル数の割合、転化率は原料のビニル基含有化合物のモル数に対する同消費モル数の割合、異性化率は原料のビニル基含有化合物のモル数に対して生成したビニレン体のモル数の割合、末端不飽和率は原料であるビニル基含有化合物の主鎖末端ビニル基と末端メチル基の合計に対する主鎖末端ビニル基の割合と定義される。なお、末端不飽和率および炭素千個あたりのビニル基数は一般的には原料であるビニル基含有化合物に対して適用するが、ヒドロシリル化が十分でない場合等には未反応原料の残存量の指標としてシリル化ポリオレフィンにも適用することがある。
例えば、エチレンのみからなる主鎖末端ビニル基含有化合物をトリエトキシシランでヒドロシリル化して得られたシリル化ポリオレフィンのエトキシ基メチレンの6プロトン分のピーク(C)が3.8ppm、異性化したビニレン基の2プロトン分のピーク(D)が5.4ppmに観測される。ヒドロシリル化が十分でない場合は、未反応ビニル基の2プロトン分のピーク(E)が4.8〜5.1ppmに、1プロトン分のピーク(F)が5.6〜5.8ppmに観測される。原料のビニル基含有化合物については、2プロトン分の主鎖メチレン(G)が1.0〜1.5ppmに観測され、主鎖末端にビニル基を持たないものは3プロトン分の末端メチル(H)が0.8ppmに観測される。さらに二重結合に隣接した炭素上の2プロトン分のピーク(I)が1.9ppmに観測される。
各ピーク(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)および(I)のピーク面積を各々SC、SD、SE、SF、SG、SHおよびSIとすれば、収率(YLD(%))、転化率(CVS(%))、異性化率(ISO(%))、末端不飽和率(VE(%))は下記式にて算出される。
YLD(%)=(SC/3)/(SC/3+SD+SE)×100
CVS(%)={1−SE/(SC/3+SD+SE)}×100
ISO(%)=SD/(SC/3+SD+SE)×100
VE(%)=SE/(SE/2+SH/3)×100
[m4]メルトマスフローレイト(MFR)の測定方法
ビニル基含有化合物としてのポリエチレンのメルトマスフローレイト(MFR)は、東京精機社製メルトインデキサー T−111を用い、190℃、2.16kg荷重で測定した。
[合成例1]
(片末端にビニル基を有するポリエチレンの合成)
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3−クミル−5−メチルサリチルアルデヒド3.89g(15.0mmol)、トルエン30ml、エチルアミン2.54g(40%水溶液、22.5mmol)を仕込み、室温で5時間攪拌した。この反応溶液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、黄色のオイル状の化合物(L−1)を得た。
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器に、上記で得た化合物(L−1)1.12g(4.00mmol)とジエチルエーテル25mlを仕込み、−78℃に冷却し攪拌した。これにn−ブチルリチウム2.58ml(n−ヘキサン溶液、1.55M、4.00mmol)を5分かけて滴下し、そのままの温度で2時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに3時間攪拌してリチウム塩を調製した。この溶液を、−78℃に冷却したZrCl(THF)錯体0.76g(2.00mol)を含むテトラヒドロフラン溶液25mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で12時間攪拌した後、反応液を溶媒留去した。得られた固体を塩化メチレン50mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をn−ヘキサンで再沈し、減圧乾燥することにより黄色粉末の化合物(B−1)を得た。
充分に窒素置換した内容積2000mlのステンレス製オートクレーブに、室温でヘプタン1000mlを装入し、150℃に昇温した。続いてオートクレーブ内をエチレンで30kg/cmGに加圧し、温度を維持した。MMAO(東ソーファインケム社製)のヘキサン溶液(アルミニウム原子換算1.00mmol/ml)0.5ml(0.5mmol)を圧入し、次いで化合物B−1のトルエン溶液(0.0002mmol/ml)0.5ml(0.0001mmol)を圧入し、重合を開始した。エチレンガス雰囲気下、150℃で30分間重合を行った後、少量のメタノールを圧入することにより重合を停止した。得られたポリマー溶液を、少量の塩酸を含む3リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。
H−NMR測定により、得られた重合物はホモポリエチレンで、なおかつ片末端のみ二重結合を含有することが明らかであった。この片末端二重結合含有エチレン系重合体(P−1)(単体)の物性は以下の通りであった。
融点(Tm)123℃
Mw=4770、Mw/Mn=2.25(GPC)
末端不飽和率 97%
[合成例2]
(白金触媒組成物(C−1)の調製)
マグネットスターラーチップを入れた50mlサンプル管中、塩化白金(II)0.50gを、下記構造のヒドロシランA(HS(A)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、品番:XF40−C2195)(10ml)中に懸濁し、窒素気流下、室温で攪拌した。190時間攪拌した後、シリンジにて反応液を約0.4ml採取し、0.45μmPTFEフィルターを用いて濾過して10mlサンプル管中に濾液を採取し、白金濃度が3.8質量%の白金触媒組成物(C−1)を得た。
ヒドロシランA(HS(A)):HSi(CHO−(−Si(CH−O−)18−Si(CH
[合成例3]
(末端ビニル基を有するポリエチレンのヒドロシランへの導入−1)
300mlの2ツ口フラスコに、[合成例1]で得た片末端ビニル基含有エチレン系重合体(P−1)25.1g(11.8mmol)を装入し、窒素雰囲気下、ヒドロシランA(HS(A))8.7g(5.9mmol;Si−H基として11.8mmol相当)と、[合成例2]で調製した白金触媒組成物(C−1)をヒドロシランA(HS(A))で200倍希釈したもの(C−1a)150μl(Pt換算で1.4×10−6mmol)を装入した。予め内温130℃に昇温しておいた油浴中に、上記反応器をセットし、攪拌した。約3分後ポリマーは融解した。次いで6時間後に冷却し、メタノール約200mlを加え、300mlビーカーに内容物を取り出し2時間攪拌した。その後、固体をろ取しメタノールで洗浄し、60℃、2hPa以下の減圧下で乾燥させることにより、白色固体のシリル化ポリオレフィン(A−1)33.1gを得た。NMR解析の結果、得られたシリル化ポリオレフィン(A−1)は収率98%、オレフィン転化率100%、異性化率2%であった。MFRは測定上限値以上(MFR>100g/10min)であり、分子式より計算される(A−1)中のポリオルガノシロキサン含量は26質量%であった。
[実施例1]
オレフィン系熱可塑性エラストマー(三井化学社製ミラストマー(登録商標)、G800BS)100質量部に対して、上記のシリル化ポリオレフィン(A−1)3質量部をドライブレンドし、神戸製鋼社製KTX−46 2軸押出機で溶融混練し、樹脂組成物(P−1)を得た。
ここで、上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(三井化学社製ミラストマー(登録商標)は、結晶性ポリプロピレン樹脂と、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPT)ゴムとを動的架橋して得られるものである。このエラストマーは結晶性ポリプロピレン樹脂が海相に存在し、架橋されたEPTゴムが島相に存在している海島構造になっている。
[実施例2]
シリル化ポリオレフィン(A−1)の添加量を3質量部から5質量部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
[比較例1]
シリル化ポリオレフィン(A−1)を添加しない以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
[比較例2]
シリル化ポリオレフィン(A−1)の代わりにシリコーンMB(東レ・ダウコーニング社製、BY27−001、超高分子量シリコーンとポリプロピレンのブレンド品(シリコーン含有量:50質量%))を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
[比較例3]
シリル化ポリオレフィン(A−1)の代わりにシリコーンMB(東レ・ダウコーニング社製、BY27−001、超高分子量シリコーンとポリプロピレンのブレンド品(シリコーン含有量:50質量%))を用いた以外は実施例2と同様にして樹脂組成物を得た。
[評価]
以上の実施例1〜2および比較例1〜3で得られた樹脂組成物について、以下の評価をおこなった。
(動摩擦係数の測定)
得られた樹脂組成物を用いて以下の条件でシート成形し、プレスシートを作製した。
シートサイズ:縦:50mm、横:50mm、厚さ:2mm
プレス機:100t電気自動プレス、ショージ社製
プレス条件:ホットプレスを190℃、10分間おこない、その後、コールドプレスを10℃、5分間おこなう
得られたプレスシートについて、JIS K7125 プラスチック-フィルムおよびシート摩擦係数試験方法に準じ、以下の条件で動摩擦係数の測定をおこなった。
相手材:ガラス
荷重:500g(50mm×50mm当たり)
引張速度:100mm/分
測定装置:万能材料試験機2001型(インテスコ社製)
以上の結果を表1に示す。
Figure 0006310297
[実施例3]
オレフィン系熱可塑性エラストマー(三井化学社製ミラストマー(登録商標)、C700BS)100質量部に対して、上記のシリル化ポリオレフィン(A−1)3.0質量部をドライブレンドし、神戸製鋼社製KTX−46 2軸押出機で溶融混練し、樹脂組成物(P−2)を得た。
[実施例4]
シリル化ポリオレフィン(A−1)の添加量を3質量部から5質量部に変更した以外は実施例3と同様にして樹脂組成物を得た。
[比較例4]
シリル化ポリオレフィン(A−1)を添加しない以外は実施例3と同様にして樹脂組成物を得た。
[比較例5]
シリル化ポリオレフィン(A−1)の代わりにシリコーンMB(東レ・ダウコーニング社製、BY27−001、超高分子量シリコーンとポリプロピレンのブレンド品(シリコーン含有量:50質量%))を用いた以外は実施例3と同様にして樹脂組成物を得た。
[比較例6]
シリル化ポリオレフィン(A−1)の代わりにシリコーンMB(東レ・ダウコーニング社製、BY27−001、超高分子量シリコーンとポリプロピレンのブレンド品(シリコーン含有量:50質量%))を用いた以外は実施例4と同様にして樹脂組成物を得た。
[評価]
以上の実施例3〜4および比較例4〜6で得られた樹脂組成物について、以下の評価をおこなった。
(破断強度および破断伸びの測定)
射出成型装置(NEX140、日精樹脂工業社製)により、得られた樹脂組成物を射出温度220℃、金型温度30℃の条件で射出成形し厚さ2mmのシートを作製した。得られたシートから厚さ2mmのダンベル(JIS3号)型試験片を作製した。次いで、この試験片のくびれ部の中央で2つに切断した。
切断したダンベル型試験片の半分を、同形ダンベル片の射出金型に入れた。上記金型に溶融したオレフィン系熱可塑性エラストマー(三井化学社製、ミラストマー(登録商標)、G800BS)を、射出成型装置(NEX140、日精樹脂工業社製)により射出温度220℃、金型温度30℃の条件で注入し、金型中のダンベル片と溶融接着させ、試験片を得た。
得られた試験片について、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じ、以下の条件で破断強度および破断伸びの測定をおこなった。
測定装置:東洋精機製作所製、ストログラフAE(全自動引張試験機)
測定条件:測定温度23℃、引張速度200mm/分
以上の結果を表2に示す。
Figure 0006310297
実施例から明らかなように、本発明の接着体は破断強度および破断伸びが高く、接着性に優れていた。また、本発明の接着体は動摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れていた。よって、本発明の接着体は接着性および耐摩耗性のバランスに優れていた。
1 ガラスランチャンネル
2 本体
2A 側壁頂部
3 水切り部
4 接触部
4A 成形体(A)からなる層
4B 成形体(B)からなる層
5 先端
6 フック
11 ドア
12 窓ガラス
13 窓枠
14 凹部
15 突起部

Claims (8)

  1. 成形体(A)と、前記成形体(A)と同一または異なる種類の成形体(B)とを備え、
    前記成形体(A)の少なくとも一部と、前記成形体(B)の少なくとも一部とが接着された接着体であって、
    少なくとも前記成形体(A)が、
    熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂から選択される一種または二種以上の樹脂(R)と、
    下記式(1)で表される構造単位を含有するケイ素含有化合物と、GPC法で求めた数平均分子量が100以上500,000以下であるビニル基含有化合物との反応(ただし、前記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ前記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は除く)によって得られる、シリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体、またはこれらの混合物と、
    を含む樹脂組成物(P)からなり、
    前記樹脂(R)が、結晶性ポリオレフィン樹脂とエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体とを動的架橋して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーを含む、接着体。
    −Si(R)H−Y− (1)
    (式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
    はO、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)である。)
  2. 請求項1に記載の接着体において、
    前記成形体(B)がエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む樹脂組成物からなる接着体。
  3. 請求項1または2に記載の接着体において、
    前記成形体(A)は、前記樹脂組成物(P)を溶融成形してなるものである接着体。
  4. 請求項1乃至いずれか一項に記載の接着体において、
    前記樹脂組成物(P)は、前記樹脂(R)100質量部に対して、
    前記シリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体、またはこれらの混合物を0.01質量部以上100質量部以下含有する接着体。
  5. 請求項1乃至いずれか一項に記載の接着体において、
    前記ケイ素含有化合物が、下記式(2)の構造式で表される接着体。
    22−(Si(R21)H−Y21−Z−(Y22−Si(R23)H)−R24 (2)
    (式(2)中、R21およびR23はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
    22およびR24はそれぞれ独立して、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
    21およびY22はそれぞれ独立して、O、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)であり、
    mは0または1であり、
    nは0または1であり、
    21、R23、Y21およびY22が複数存在する場合、各基は同一であっても異なっていてもよく、
    Zは、下記式(3)で表される2価の基であり、
    −Si(R41)(R41)−(Y23−Si(R41)(R41))− (3)
    (式(3)中、R41は水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、各R41はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、Y23はそれぞれ独立して、O、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)であり、
    lは0〜10000の整数である。
    ただし、前記式(2)において、m=n=0の場合、前記式(3)において、少なくとも1つのR41は水素原子である。)
  6. 請求項1乃至いずれか一項に記載の接着体において、
    前記ビニル基含有化合物が、下記式(4)で表される構造を有する接着体。
    A−CH=CH (4)
    (式(4)中、Aは炭素数2〜50のα−オレフィン由来の構造を含む重合鎖である。)
  7. 請求項1乃至いずれか一項に記載の接着体において、
    前記接着体が、自動車内装部品、ガラスランチャンネル、自動車用ウェザーストリップ、窓枠材、シーリング材、プラスチックシリンジ、包装材、プラスチック容器およびスポーツ用品からなる群から選ばれる接着体。
  8. 横断面において溝状の本体と、
    前記本体の側壁頂部付近から中心側に向かって張出した舌片状の水切り部と、
    を備えるガラスランチャンネルであって、
    当該ガラスランチャンネルのガラスとの接触部に請求項1乃至いずれか一項に記載の接着体が設けられており、
    前記成形体(A)からなる層が前記ガラスと接触しているガラスランチャンネル
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