JP4723289B2 - SiH基含有化合物、その製造方法、並びに、SiH基含有化合物を用いた硬化性組成物、その硬化物 - Google Patents
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Description
また、上記硬化物の耐熱クラック性を改善する目的で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物として、炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物と1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンをヒドロシリル化反応させることによって得られる化合物を用いる硬化性組成物が提案されている(例えば特許文献2)。
また、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物として、炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物と1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンをヒドロシリル化反応させることによって得られる化合物を、部分的に用いた硬化性組成物においても、得られた成形物を耐熱試験した場合に、成形物にヒビが生じたり、着色が見られることがあった。
本発明の目的は、そのようなSiH基含有化合物を含まないSiH基含有化合物の製造方法、並びに、耐熱クラック性及び耐熱耐光性が改善された硬化物を提供することである。
(α1)成分が、1分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を2〜3個含有しており、かつ、分子量が900未満であることを特徴とする上記製造方法;
(α1)成分が、下記一般式(III)
(α1)成分が、トリアリルイソシアヌレートであることを特徴とする上記製造方法;
(α1)成分が、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートであることを特徴とする上記製造方法;
(β1)成分が、下記一般式(VI)
(α2)成分が、分子量500以下であることを特徴とする上記製造方法;
(α2)成分が、アリルグリシジルエーテルであることを特徴とする上記製造方法;
(α1)成分、(α2)成分及び(β1)成分からなる反応物中の、分子量600以下の反応物成分が、GPC測定における面積比で10%以下であることを特徴とする上記製造方法;
未反応の(β1)を脱揮により除去することを特徴とする上記製造方法;
に関する。
上記製造方法によって得られる、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物(B);
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物(A)、上記1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物(B)、ヒドロシリル化触媒(C)を必須成分として含有してなる硬化性組成物;
上記硬化性組成物を硬化してなる硬化物;
に関する。
まず、本発明の(A)成分について説明する。
(A)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されない。
有機化合物としては、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものであることが好ましい。シロキサン単位を含むものの場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
有機重合体系化合物としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物等を用いることができる。
有機単量体系化合物としては、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系;直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系;複素環系の化合物;これらの混合物等が挙げられる。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(II)
2価以上の置換基としては、炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、及びハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
(A)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、及びそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1,2比率10〜100%のもの、好ましくは1,2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
当該低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系;ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
本発明におけるフェノール性水酸基とは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは、上述のフェノール性水酸基の水素原子を、メチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換した基を示す。
当該反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には、得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
また、(A)成分としては、耐熱性・耐光性が高いという観点から、下記一般式(III)
上記一般式(III)のR3としては、得られる硬化物の各種材料との接着性が良好になりうるという観点からは、3つのR3のうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
上記一般式(III)のR3としては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいR3の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
上記一般式(III)のR3としては、反応性が良好になるという観点からは、3つのR3のうち少なくとも1つが、
3つのR3のうち少なくとも2つが、下記一般式(V)
上記一般式(V)のR5としては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、直接結合あるいは2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいR5の例としては、
上記一般式(V)のR6は、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
以上のような一般式(III)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
硬化物の接着性向上のためには、(A)成分としてはジアリルモノグリシジルイソシアヌレートが好ましい。
硬化物の接着性向上と耐光性を両立させるためには、トリアリルイソシアヌレートとジアリルモノグリシジルイソシアヌレートの混合物であることが好ましい。該混合物はイソシアヌル環骨格を有するため耐熱性の点からも有効である。混合比は任意に設定出来るが、上記目的達成のためには、トリアリルイソシアヌレート/ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(モル比)=9/1〜1/9が好ましく、8/2〜2/8がさらに好ましく、7/3〜3/7が特に好ましい。
(A)成分は、単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
次に、(B)成分について説明する。
本発明の(B)成分は、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン(β1)と、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物(α1)を、ヒドロシリル化触媒(C)の存在下で反応させた後に、未反応の(β1)を除去し、さらに得られた反応物と、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物(α2)を、ヒドロシリル化触媒(C)の存在下で反応させることにより得られる、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物である。
(β1)成分としては、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサン化合物であれば特に限定されず、例えば国際公開第WO96/15194号パンフレットに記載される化合物で、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有するもの等が使用できる。
これらのうち、入手性及び(A)成分との相溶性が良いという観点からは、下記一般式(VI)
一般式(VI)で表される化合物中の置換基R7は、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
一般式(VI)で表される化合物としては、入手容易性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
当該(β1)成分は、単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(α1)成分としては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されず、上記した(A)成分と同じものを使用できる。
当該(α1)成分は、1分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を2〜3個含有しており、かつ、分子量が900未満であることが好ましい。また、(α1)成分は、上記一般式(III)で表される有機化合物であることが好ましい。さらに、(α1)成分は、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートであることが好ましい。
(α1)成分を用いると、得られる硬化物の架橋密度が高くなり、力学強度が高い硬化物となりやすい。
(α2)成分としては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と相溶性がよくなるという点においては、化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、及びハロゲンのみを含むものであることが好ましい。
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(α2)成分を用いると、得られる硬化物が低弾性となりやすい。
重合体系化合物としては、例えば、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物等を用いることができる。
単量体系化合物としては、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系化合物;直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系化合物;複素環系化合物、シリコン系化合物;これらの混合物等が挙げられる。
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(II)
2価以上の置換基としては、炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と相溶性がよくなりやすいという点においては、構成元素としてC、H、N、O、S、及びハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
(α2)成分の具体的な例としては、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等の鎖状脂肪族炭化水素系化合物類;シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等の環状脂肪族炭化水素系化合物類;スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等の芳香族炭化水素系化合物;アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類;グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類;1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、o−アリルフェノール等の芳香族系化合物類;モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類;ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコン化合物等が挙げられる。
さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂;片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリゴマー類等も挙げることができる。
また、(α2)成分の分子量は、特に制限はなく種々のものを用いることができるが、取扱い性が良好であるという点からは、500以下が好ましく、300以下がより好ましい。
(α2)成分の分子量分布も特に制限はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
得られる硬化物が強靭となりやすいという点からは、ガラス転移温度は100℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましい。好ましい樹脂の例としてはポリブチルアクリレート樹脂等が挙げられる。
逆に、得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、ガラス転移温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、170℃以上であることが最も好ましい。
当該ガラス転移温度は、動的粘弾性測定においてtanδが極大を示す温度として求めることができる。
(α2)成分としては、得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、芳香族炭化水素化合物であることが好ましい。この場合、好ましい炭素数の下限は7であり、好ましい炭素数の上限は10である。
当該反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には、得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点からは、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
(α2)成分としては、具体的には、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、アリロキシエチルメタクリレート、アリロキシエチルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、アリルグリシジルエーテルが特に好ましい。
上記(α2)成分としては、単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
本発明の(B)成分は、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン(β1)と、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物(α1)を、ヒドロシリル化触媒(C)の存在下で反応させた後に、未反応の(β1)を除去し、さらに得られた反応物と、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物(α2)を、ヒドロシリル化触媒(C)の存在下で反応させることにより、製造することができる。
減圧脱揮する場合には、低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは80℃である。100℃より高温で処理すると、増粘等の変質を伴いやすい傾向がある。
つまり、ヒドロシリル化触媒としては、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH2)2(PPh3)2、Pt(CH2=CH2)2Cl2)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4]m)、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh3)4、Pt(PBu3)4)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)3]4、Pt[P(OBu)3]4)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。
また、これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
助触媒としては、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物;ジメチルマレエート等の1,2−ジエステル系化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール系化合物;単体の硫黄等の硫黄系化合物等が挙げられる。
助触媒の添加量は特に限定されないが、上記ヒドロシリル化触媒1モルに対して、好ましい添加量の下限は10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は102モル、より好ましくは10モルである。
一方、(α1)成分と(β1)成分の混合物や、(α1)成分と(β1)成分の反応物と(α2)成分の混合物に、触媒を混合する方法であると、反応の制御が困難になり易い傾向がある。また、(β1)成分と触媒を混合したものに、(α1)成分を混合する方法の場合は、触媒の存在下、(β1)成分が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
また、反応時間、反応時の圧力も必要に応じて種々設定できる。
当該溶媒としては、ヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的には、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒等を好適に用いることができる。
当該溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
上記溶媒のうち、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
その他、反応性を制御する目的等のために、種々の添加剤を用いてもよい。
除去する方法としては、例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。
減圧脱揮する場合には、低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは80℃である。100℃より高温で処理すると、増粘等の変質を伴いやすい傾向がある。
当該低分子量成分の含有率は、実施例記載のGPC測定において、ポリスチレン換算で、RI検出された(B)成分の検出面積中の、分子量600以下の反応物成分の検出面積の比(%)として求めることができる。
(B)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(A)成分と(B)成分の混合比率は、硬化物に必要な強度が失われない限り特に限定されないが、(B)成分中のSiH基の数(Y”)の(A)成分中の炭素−炭素二重結合の数(X”)に対する比(Y”/X”)において、好ましい範囲の下限は0.3、より好ましくは0.5、さらに好ましくは0.7であり、好ましい範囲の上限は3、より好ましくは2、さらに好ましくは1.5である。上記好ましい範囲からはずれた場合には、十分な強度が得られなかったり、熱劣化しやすくなる傾向がある。
次に、(C)成分であるヒドロシリル化触媒について説明する。
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH2)2(PPh3)2、Pt(CH2=CH2)2Cl2)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4]m)、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh3)4、Pt(PBu3)4)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)3]4、Pt[P(OBu)3]4)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。
また、これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
助触媒としては、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物;ジメチルマレエート等の1,2−ジエステル系化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール系化合物;単体の硫黄等の硫黄系化合物等が挙げられる。
助触媒の添加量は特に限定されないが、上記ヒドロシリル化触媒1モルに対して、好ましい添加量の下限は10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は102モル、より好ましくは10モルである。
本発明の硬化性組成物は、上記製造方法により得られた(B)成分と、上記(A)成分及び(C)成分を含有してなるものである。
また、本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、以下のような各種添加剤を含有させることができる。
本発明の硬化性組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。
硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。
有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。
窒素含有化合物としては、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。
スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。
有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の硬化性組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。
接着性改良剤としては、一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と、加水分解性のケイ素基を、各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。
有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。
加水分解性のケイ素基としては、取扱い性の点から、アルコキシシリル基が好ましく、反応性の点から、メトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
このようなシラノール縮合触媒としては、特に限定されないが、ほう素系化合物、アルミニウム系化合物、チタン系化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
これらほう酸エステル類は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。混合は事前に行なっても良く、また硬化物作成時に混合しても良い。
硬化時の揮発性を抑制できるという点からは、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが好ましく、なかでもほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリフェニル、ほう酸トリノルマルブチルがより好ましい。
揮発性の抑制、及び作業性がよいという点からは、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピルが好ましく、なかでもほう酸トリノルマルブチルがより好ましい。
高温下での着色性が低いという点からは、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチルが好ましく、なかでもほう酸トリメチルがより好ましい。
また、これらのシラノール縮合触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
このようなシラノール源化合物としては、例えばトリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
また、これらのシラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、
これらのカルボン酸類及び/又は酸無水物類のうち、ヒドロシリル化反応性を有し、硬化物からの染み出しの可能性が少なく、得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有するものが好ましい。
好ましいカルボン酸類及び/又は酸無水物類としては、例えば、
また、これらのカルボン酸類及び/又は酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の硬化性組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。
熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)、エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS等)、ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が例示されるが、これらに限定されるものではない。
当該架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは、粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物には必要に応じて充填材を添加してもよい。
充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系充填材、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、無機バルーン等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用及び/又は提案されている充填材等を挙げることができる。
また、これらの充填材は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
充填材の配合量としては特に限定はないが、線膨張係数の低減の観点からは、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、好ましくは10重量部以上、より好ましくは30重量部以上である。
本発明の硬化性組成物には老化防止剤を添加してもよい。
老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等、一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、イルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ社製)をはじめとして、各種のものが用いられる。
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
老化防止剤の配合量としては特に限定はないが、耐熱性の観点からは、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部である。好ましい上限は10重量部、より好ましくは5重量部である。
本発明の硬化性組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。
ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
ラジカル禁止剤の配合量としては特に限定はないが、貯蔵安定性の観点からは、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部である。好ましい上限は10重量部、より好ましくは5重量部である。
本発明の硬化性組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
紫外線吸収剤の配合量としては特に限定はないが、耐光性の観点からは、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部である。好ましい上限は10重量部、より好ましくは5重量部である。
本発明の硬化性組成物には、その他、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を、本発明の目的及び効果を損なわない範囲において添加することができる。
本発明の硬化性組成物は、溶媒に溶解して用いることも可能である。
使用できる溶媒は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒等を好適に用いることができる。
なかでも、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。
溶媒の使用量は適宜設定できるが、硬化性組成物1gに対して、好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が0.1mLより少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくい傾向があり、また、使用量が10mLより多いと、材料に溶媒が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する傾向がある。
本発明の硬化性組成物の調製方法は、特に限定されず、種々の方法で調製可能である。各種成分を硬化直前に混合調製しても良く、全成分を予め混合調製した一液状態で低温で貯蔵しておいても良い。また2〜3種類になるように一部成分を予め混合して貯蔵しておき、硬化直前にそれぞれの所定量を混合して調製しても良い。(A)成分であるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と、(B)成分である1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物を、別々に貯蔵しておく方法が貯蔵中の品質低下が少なく好ましい。
また、反応条件の制御や置換基の反応性の差の利用により、組成物中の官能基の一部のみを反応(Bステージ化)させてから成形等の処理を行い、さらに硬化させる方法をとることもできる。これらの方法によれば成形時の粘度調整が容易となる。
次に、本発明の硬化物は、上記硬化性組成物を硬化して得られるものである。
硬化させる方法としては、単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られやすいという観点から、加熱して反応させる方法が好ましい。
硬化は、一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより、多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が、歪の少ない硬化物が得られやすいという点において好ましい。
本発明の硬化性組成物及びその硬化物は、種々の用途に用いることができる。
用途としては、例えば、光学材料、電子材料の他、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途等が挙げられる。具体的には、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
下記実施例及び比較例において、各物性は以下のようにして測定した。
バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製、300MHz NMR装置を用いた。アリル基の反応率は、反応液を重クロロホルムで1%程度まで希釈したものをNMR用チューブに加えて測定し、未反応アリル基由来のメチレン基のピークと、反応アリル基由来のメチレン基のピークから求めた。本製造方法により得られるSiH基含有化合物の官能基価については、適当なサンプル管にSiH基含有化合物0.02±0.005g、ジブロモエタン0.02±0.005g、重クロロホルム約1.5gを秤量し、均一にした後、NMR用チューブに加えて調製し、ジブロモエタン換算でのSiH基価(mmol/g)とアリル基価(mmol/g)を求めた。
約1重量%のトルエン溶液を調製し、WATERS社製LC MODULE1をGPCシステム、WATERS社製WATERS 410をRI検出器として使用、トルエン溶媒で流量1ml/min、カラム温度40℃、ポリスチレン換算、昭和電工社製カラム4本(KF806L/KF804L/KF8025/KF802)を用いて測定した。
115±2℃に設定した熱板上に、硬化性組成物を1滴(0.015±0.005g)落し、爪楊枝で一定速度でかき混ぜた。熱板に硬化性組成物を落した時から硬化するまでの時間をゲル化時間とした。
硬化物より3mm×5mm×30mmの試験片を切り出し、アイティー計測制御社製DVA−200を用いて、引張りモード、測定周波数10Hz、歪0.1%、静/動力比1.5、昇温速度5℃/分の条件にて、動的粘弾性測定を行なった。tanδのピーク温度を硬化物のガラス転移温度とした。
硬化物より3mm×10mm×30mmの試験片を切り出し、(株)日立製作所製U−3300を用いて、スキャンスピード300nm/minの条件で、470nmの光線透過率を測定した。
2Lオートクレーブにトルエン800g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン200gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温50℃で加熱、攪拌した。アリルグリシジルエーテル142g、トルエン142g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.049gの混合液を90分かけて滴下した。滴下終了後にジャケット温を60℃に上げた。滴下終了から1時間後、1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。この反応液を脱揮することにより、無色透明の液体(比較例1の合成物)を得た。
2Lオートクレーブにトルエン720g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン240gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温50℃で加熱、攪拌した。アリルグリシジルエーテル171g、トルエン171g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.049gの混合液を90分かけて滴下した。滴下終了後にジャケット温を60℃に上げて40分反応させ、1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認した。トリアリルイソシアヌレート17g、トルエン17gの混合液を滴下した後、ジャケット温を105℃に上げて、トリアリルイソシアヌレート66g、トルエン66g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.033gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から4時間後、1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。この反応液を脱揮することにより、無色透明の液体(比較例2の合成物)を得た。
2Lオートクレーブにトルエン602g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン626gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温105℃で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート90g、トルエン90g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.057gの混合液を40分かけて滴下した。滴下終了から4時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物1」を得た。
2Lオートクレーブにトルエン500g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン200gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温50℃で加熱、攪拌した。アリルグリシジルエーテル95g、トルエン95g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.027gの混合液を90分かけて滴下した。滴下終了後にジャケット温を60℃に上げて60分反応させ、1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認した。ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート110g、トルエン110g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.243gの混合液の5分の1量を滴下した後、ジャケット温を105℃に上げて、残りの5分の4量を30分かけて滴下した。滴下終了から2時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。この反応液を脱揮することにより、無色透明の液体(比較例3の合成物)を得た。
2Lオートクレーブにトルエン453g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン680gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温105℃で加熱、攪拌した。ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート150g、トルエン150g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.221gの混合液を40分かけて滴下した。滴下終了から6時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物2」を得た。
なお、分子量600以下の化合物は、本明細書でいう(α2)と(β1)の反応物に相当するものである。また、本発明の(α1)、(α2)及び(β1)の反応物は、分子量600を超えるものとなる。
(A)成分としてトリアリルイソシアヌレートあるいはジアリルモノグリシジルイソシアヌレートを用い、(B)成分として実施例1〜2、比較例1〜3の合成物を用い、(C)成分として白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)を用いて、表2に示した配合で硬化性組成物を作成した。配合方法について、(A)成分と(C)成分とホウ酸トリメチルを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。(B)成分と1−エチニルシクロヘキサノールとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを混合し、攪拌、脱泡したものをB液とした。これらA液とB液を混合し、攪拌、脱泡することにより硬化性組成物を作成した。この硬化性組成物を、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作製したセルに流し込み、60℃で6時間、70℃で1時間、80℃で1時間、120℃で1時間、150℃で1時間、180℃で30分加熱を行い、硬化物(成形物)を得た。硬化性組成物及び硬化物の評価結果を表2に示す。
Claims (9)
- 1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン(β1)と、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物(α1)を、ヒドロシリル化触媒(C)の存在下で反応させた後に、未反応の(β1)を除去し、さらに得られた反応物と、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物(α2)を、ヒドロシリル化触媒(C)の存在下で反応させることを特徴とする、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物(B)の製造方法であって、
(α1)成分が、下記一般式(III)
(α2)成分が、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、アリロキシエチルメタクリレート、アリロキシエチルアクリレート、またはビニルトリメトキシシランであり、
全反応において反応温度は30〜200℃であり、
(α1)成分、(α2)成分及び(β1)成分からなる反応物中の、分子量600以下の反応物成分が、GPC測定における面積比で10%以下であることを特徴とする製造方法。 - (α1)成分が、1分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を2〜3個含有しており、かつ、分子量が900未満であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- (α1)成分が、トリアリルイソシアヌレートであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の製造方法。
- (α1)成分が、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の製造方法。
- (α2)成分が、分子量500以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
- (α2)成分が、アリルグリシジルエーテルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 未反応の(β1)を脱揮により除去することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する硬化剤。
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