JP2007138098A - 形状保持性硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、流動性および形状保持性に優れた高耐熱性を有する硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】 成分として、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)分子中に下記一般式(I)
【化49】
Figure 2007138098

(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機基、および、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する、23℃における粘度が8Pa・s以上の化合物、及び、C)ヒドロシリル化触媒を含有し、23℃における粘度が10Pa・s以下である、形状保持性硬化性組成物。
【選択図】 なし

Description

優れた高耐熱性を有するコーティング性に優れた硬化性組成物に関する技術である。
ヒドロシリル化反応を硬化反応として利用する硬化性組成物は種々提案されているが(例えば特許文献1)、この中でイソシアヌル環骨格を有する有機化合物とSiH基含有シロキサンとの反応物(有機変性シロキサン)を用いた硬化性組成物は高耐熱・耐光性を有する硬化物が得られるとして既に知られている(例えば特許文献2)。
ただしコーティング、接着剤、プレス、キャスト成形に用いる場合、粘度が低すぎるため形状保持が困難であり、はじき、表面ムラ、金型からの樹脂もれ、周辺汚染等の問題がある。この問題を解決する手段としてフィラー、チクソ性付与剤添加による形状保持性の改善や、SiH基含有成分と炭素−炭素二重結合含有成分とを一部反応させて成形性向上を図る手段も提案されているが(例えば特許文献3、特許文献4)、前者は硬度・弾性率の上昇や完全な形状保持性の改善には至らず、後者は反応制御が難しく品質安定性に欠け、ポッティング、少量ディスペンスなどの流動性がある程度必要である場合には作業性が確保できないという問題を有する。
特開昭55−778055号公報 特開2004−131518号公報 特開2002−212449号公報 特開2003−73552号公報
このように、これまで流動性と形状保持性を両立した硬化性組成物が提案されていない。そこで本発明は高耐熱性を有する硬化物を提供でき、流動性と形状保持性を併せ持つ硬化性組成物を提供することを目的とする。
このような課題を解決するために本発明者らが鋭意研究した結果、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と、分子中に特定の有機基および1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する、粘度が8Pa・s以上の化合物と、ヒドロシリル化触媒とを含有させて形状保持性を改善させた硬化性組成物を調製することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、成分として、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、
(B)分子中に下記一般式(I)
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機基、および、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する、23℃における粘度が8Pa・s以上の化合物、および、
(C)ヒドロシリル化触媒、を含有し、23℃における粘度が10Pa・s以下である形状保持性硬化性組成物(請求項1)であり、
硬化性組成物0.2mgをセラミックス製基材へ滴下した時に形成される液滴の直径に対する、前記液滴を滴下後室温で4時間放置した時における液滴の直径の倍率(室温4時間放置後の液滴直径)/(滴下直後の液滴直径)が0.5倍以上1.5倍以下である、請求項1に記載の硬化性組成物(請求項2)であり、
(B)成分が
(α1)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と、
(β1)分子中に下記一般式(I)
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機基、および、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物との部分的なヒドロシリル化反応物(B1)を含む、請求項1または2に記載の硬化性組成物(請求項3)であり、
(α1)が、下記一般式(I)
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物である、請求項3に記載の硬化性組成物(請求項4)である。
上記(B)成分が、
(α2)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物と、
(β1)分子中に下記一般式(I)
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機基、および、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物との部分的なヒドロシリル化反応物(B2)を含む、請求項1または2に記載の硬化性組成物(請求項5)であり、
(α2)が、下記一般式(I)
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物である、請求項5に記載の硬化性組成物(請求項6)である。
本発明で得られる高耐熱性を有する硬化性組成物はコーティング、ボンディング剤として適用する際、形状保持性に優れるものであり工業的に有用である。すなわち、本発明の硬化性組成物は形状保持性と流動性とに併せ持つことができるため、コーティング、接着剤、プレス、キャスト成形に用いる場合、作業性にも優れ、はじき、表面ムラ、金型からの樹脂もれ、周辺汚染等の問題がないため、工業的に有用である。
(形状保持性硬化性組成物について)
本発明でいう形状保持性とは、液状の硬化性組成物をコーティング、ポッティングなどに適用する際、室温放置後、もしくは加熱硬化後にもはじき、樹脂成分のブリード、周辺への広がり、汚染なく初期形状を保持したまま成型できる性質を示す。対象基材は特に限定されるものではなく、温度、湿度についても特に限定する条件はない。改善された硬化性組成物は、各種基材・フィルム表面コーティング剤、レジストやチップ、各種半導体素子のボンディング剤、ポッティングによる半導体・センサー封止剤、レンズ材料などに適用可能である。具体的には、セラミックス製基材へ硬化性組成物0.2mg滴下後室温で4時間放置した時の液滴直径が、滴下直後の液滴直径に対して((室温4時間放置後の液滴直径)/(滴下直後の液滴直径))0.5倍以上1.5倍以下であることが好ましく、更に好ましくは0.8倍以上1.3倍以下であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、23℃における粘度が10Pa・s以下であり、作業時の糸引き性、均一性などの観点から、好ましくは5Pa・s以下、より好ましくは3Pa・sである。ここでいう粘度は、E型粘度計により測定温度23.0℃で測定される値をいう。
次に本発明の効果を発現するための各成分詳細について説明する。
((A)成分)
(A)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されない。有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものであることが好ましい。シロキサン単位を含むものの場合は、ガス透過性やはじきの問題を生じる傾向がある。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(A)成分の有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
有機重合体系化合物としては例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
また有機単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(II)
Figure 2007138098
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 2007138098
示される基が特に好ましい。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(III)で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。
Figure 2007138098
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。各Rは同一であってもよく異なっていてもよい。)また、原料の入手の容易さからは、下記式で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が好適である。
Figure 2007138098
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(A)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
Figure 2007138098
Figure 2007138098
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
Figure 2007138098
が挙げられる。
(A)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
Figure 2007138098
Figure 2007138098
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
(A)成分としては、上記のように骨格部分とSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
(A)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(A)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、1gあたり0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり少なくとも2個あればよいが、力学強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(B)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
(A)成分としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中にビニル基を1個以上含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を2個以上含有していることがより好ましい。また貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にビニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
(A)成分としては、力学的耐熱性が高いという観点および原料液の糸引き性が少なく成形性、取扱い性、塗布性が良好であるという観点からは、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
(A)成分としては、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、粘度としては23℃において1000ポイズ未満のものが好ましく、300ポイズ未満のものがより好ましく、30ポイズ未満のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
(A)成分としては、着色特に黄変の抑制の観点からはフェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものがより好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換された基を示す。
得られる硬化物の着色が少なく、耐光性が高いという観点からは、(A)成分としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
(A)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
特に(A)成分としては耐熱性・耐光性が高いという観点から下記一般式(I)で表されるトリアリルイソシアヌレート及びその誘導体が特に好ましい。
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 2007138098
等が挙げられる。
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の各種材料との接着性が良好になりうるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
Figure 2007138098
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、グリシジル基、
Figure 2007138098
等が挙げられる。
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 2007138098
等が挙げられる。
上記一般式(I)のRとしては、反応性が良好になるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つが
Figure 2007138098
で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、下記一般式(IV)
Figure 2007138098
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましく、
3つのRのうち少なくとも2つが下記一般式(V)
Figure 2007138098
(式中Rは直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表し、Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される有機化合物(複数のRおよびRはそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)であることがさらに好ましい。
上記一般式(V)のRは、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基であるが、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜20の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基であることがより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、
Figure 2007138098
等が挙げられる。
上記一般式(V)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、直接結合あるいは2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、
Figure 2007138098
が挙げられる。
上記一般式(V)のRは、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
ただし、上記のような一般式(I)で表される有機化合物の好ましい例においても、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に3個以上含有する有機化合物であることがより好ましい。
以上のような一般式(I)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
Figure 2007138098
等が挙げられる。
硬化物の接着性向上のためには、(A)成分としてはジアリルモノグリシジルイソシアヌレートが好ましい。
硬化物の接着性向上と耐光性を両立させるためにはトリアリルイソシアヌレートとジアリルモノグリシジルイソシアヌレートの混合物であることが好ましい。該混合物はイソシアヌル環骨格を有するため耐熱性の点からも有効である。混合比は任意に設定出来るが、上記目的達成のためにはトリアリルイソシアヌレート/ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(モル比)=9/1〜1/9が好ましく、8/2〜2/8がさらに好ましく、7/3〜3/7が特に好ましい。
(A)成分は、単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((B)成分)
次に、(B)成分について説明する。
本発明の(B)成分は、分子中に下記一般式(I)
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機基、および1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有し、23℃における粘度が8Pa・s以上の化合物であれば特に制限がなく、単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 2007138098
等が挙げられる。
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の各種材料との接着性が良好になりうるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
Figure 2007138098
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、グリシジル基、
Figure 2007138098
等が挙げられる。
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 2007138098
等が挙げられる。
本発明の成分(B)は、さらに、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、1分子中にSiH基を3個以上含有することが好ましい。
(B)成分は、さらに、23℃における粘度が8Pa・s以上である。液状態の硬化性組成物においては、特に(B)成分のぬれ性・広がり性が大きく硬化性組成物の形状保持性に影響を与えるため、(B)成分の粘度が23℃における8Pa・s未満であると液状態での形状が保持されずコーティング時のはじき・ムラや逆に周辺への広がりなどの問題が発生する。
明確な形状保持性の改善効果を得るためには(B)成分の23℃における粘度は好ましくは20Pa・s以上であり、より好ましくは100Pa・s以上である。ここでいう粘度は、後述にある測定方法で測定される値を示す。
(B)成分の好ましい具体例としては、分子中に下記一般式(I)
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表され、かつSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する有機化合物と1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化によって得られる化合物等が挙げられ、さらに(A)成分との相溶性が良いという観点からは、下記一般式(VI)
Figure 2007138098
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化によって得られる化合物等が好ましい。
一般式(VI)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。一般式(VI)で表される化合物としては、入手容易性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
(B)成分には、下記2つの部分的なヒドロシリル化反応物を好ましく使用できる。第1の部分的なヒドロシリル化反応物としては、
(α1)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と、
(β1)分子中に下記一般式(I)
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機基、および、分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物とを、
部分的にヒドロシリル化反応させることにより得られる反応物(B1)が挙げられる。(α1)化合物を用いると、得られる硬化物の架橋密度が高くなり力学強度が高い硬化物となりやすい利点がある。
第2の部分的なヒドロシリル化反応物としては、
(α2)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物、
(β1)分子中に下記一般式(I)
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機基、および、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物とを、部分的にヒドロシリル化反応させることにより得られる反応物(B2)である。(α2)化合物を用いると、得られる硬化物が低弾性となりやすい利点がある。
上記反応物(B1)及び(B2)は、(α1)化合物または(α2)化合物と(β1)化合物とを部分的にヒドロシリル化反応させた後に、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有することが好ましい。
ここでいう、「部分的に」とは、必ずしも完全に炭素−炭素二重結合とSiH基とをヒドロシリル化させるわけではなく、さらにヒドロシリル化反応が可能であるように、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合とSiH基が残っている状態を意味する。残存低分子化合物の揮発性、化合物の物性安定性の観点から、(α1)及び/又は(α2)の炭素−炭素二重結合のヒドロシリル化反応率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%であることが好ましく、更に好ましくは95%以上であることが好ましい。
先ず、(α1)化合物と(α2)化合物について説明する。
(α1)化合物は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定はされないが、(B)成分が(A)成分と相溶性がよくなるという点においては、化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものであることが好ましく、上述の(A)成分と同一の有機化合物が好適である。
さらに(α1)化合物としては、耐熱性・耐光性が高いという点から下記一般式(I)
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物が好ましい。
上記一般式(I)のRとしては、上述の(B)成分の一般式(I)のRと同一のものが好ましく適用できる。
(α1)化合物は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に3個以上含有する有機化合物であることがより好ましい。
(α1)化合物として、上記のような一般式(I)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
Figure 2007138098
等が挙げられる。
硬化物の接着性向上のためには、(α1)化合物としてはジアリルモノグリシジルイソシアヌレートが好ましい。
(α1)化合物は、単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。硬化物の接着性向上と耐光性を両立させるためには、トリアリルイソシアヌレートとジアリルモノグリシジルイソシアヌレートの混合物であることが好ましい。該混合物はイソシアヌル環骨格を有するため耐熱性の点からも有効である。混合比は任意に設定出来るが、上記目的達成のためにはトリアリルイソシアヌレート/ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(モル比)=9/1〜1/9が好ましく、8/2〜2/8がさらに好ましく、7/3〜3/7が特に好ましい。
(α2)化合物としては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と相溶性がよくなるという点においては、化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものであることが好ましい。
(α2)化合物のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(α2)化合物の化合物は、重合体系化合物と単量体系化合物に分類できる。
重合体系化合物および単量体系化合物としては、前述の(A)成分と同一の重合体系化合物および単量体系化合物が好適なものとして挙げられる。
(α2)化合物のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、特に限定されないが、前述の(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と同様のものが好適である。
(α2)化合物の具体的な例としては、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系化合物類、スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合物、アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類、1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、o−アリルフェノール等の芳香族系化合物類、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコン化合物等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリゴマー類等も挙げることができる。
構造は線状でも枝分かれ状でもよく、分子量は特に制約はなく種々のものを用いることができる。分子量分布も特に制限ないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
(α2)化合物のガラス転移温度が存在する場合はこれについても特に限定はなく種々のものが用いられるが、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においてはガラス転移温度は100℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましい。好ましい樹脂の例としてはポリブチルアクリレート樹脂等が挙げられる。逆に得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、ガラス転移温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、170℃以上であることが最も好ましい。ガラス転移温度は動的粘弾性測定においてtanδが極大を示す温度として求めることができる。
(α2)化合物としては、得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、炭化水素化合物であることが好ましい。この場合好ましい炭素数の下限は7であり、好ましい炭素数の上限は10である。
(α2)化合物としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。具体的にはモノアリルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、アリロキシエチルメタクリレート、アリロキシエチルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(α2)化合物としては、上記のものの他、前記(A)成分として記載された有機化合物の内、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を一分子中に1個含有するものを好ましく使用することができる。
(α2)化合物は、取扱い性が良好であるという点から、分子量が500以下のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物が好ましく、分子量が300以下のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物が更に好ましい。
(α2)化合物は、単独又は2種以上のものを混合して用いてもよい。
次に、(β1)成分について説明する。
(β1)化合物は、分子中に下記一般式(I)
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機基、および、少なくとも1分子中に2個のSiH基を含有する化合物であり、ここでいう有機基としては、上述の(B)成分の有機基と同一のものが好ましく挙げられる。
好ましい具体例としては、分子中に下記一般式(I)
Figure 2007138098
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表され、かつSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する有機化合物と1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化によって得られる化合物等が挙げられ、さらに(α1)または(α2)化合物との相溶性が良いという観点からは、下記一般式(VI)
Figure 2007138098
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化によって得られる化合物等が好ましい。
一般式(VI)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。一般式(VI)で表される化合物としては、入手容易性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
なお、ここで、分子中に上記一般式(I)で表され、かつSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する有機化合物には、前述の(A)成分において例示したもののうち該当するものを使用することができる。
以下に、(α1)化合物または(α2)化合物と、(β1)化合物との部分的なヒドロシリル化反応について説明する。(α1)化合物または(α2)化合物と、(β1)化合物とをヒドロシリル化反応させる場合の(α1)化合物または(α2)化合物と、(β1)化合物との混合比率は、特に限定されないが、得られる反応物(B1)および(B2)が1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するように設定することが必要である。
得られる(B1)成分または(B2)成分と(A)成分とのヒドロシリル化による硬化物の強度を考えた場合、(B1)成分または(B2)成分のSiH基が多い方が好ましいため、一般に混合する(α1)化合物または(α2)化合物中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混合する(β1)化合物中のSiH基の総数(Y)との比が、Y/X≧2であることが好ましく、Y/X≧3であることがより好ましい。また(B)成分の(A)成分との相溶性がよくなりやすいという点からは、10≧Y/Xであることが好ましく、5≧Y/Xであることがより好ましい。
(β1)化合物とのヒドロシリル化反応においては、(α1)化合物と(α2)化合物との併用も可能である。必ずしも完全に炭素−炭素二重結合とSiH基とをヒドロシリル化させる必要もない。ただし残存低分子化合物の揮発性、化合物の物性安定性の観点から、(α1)及び/又は(α2)の炭素−炭素二重結合のヒドロシリル化反応率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上であることが好ましく、更に好ましくは95%以上であることが好ましい。
(α1)化合物または(α2)化合物と、(β1)化合物とをヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(β1)化合物のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(β1)化合物のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
反応させる場合の(α1)化合物または(α2)化合物と、(β1)化合物と触媒との混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(α1)化合物または(α2)化合物に触媒を混合したものを、(β1)化合物と混合する方法が好ましい。(α1)化合物または(α2)化合物、(β1)化合物の混合物に触媒を混合する方法だと反応の制御が困難となる傾向がある。(β1)化合物と触媒を混合したものに(α1)化合物または(α2)化合物を混合する方法をとる場合は、触媒の存在下(β1)化合物が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
(α1)化合物または(α2)化合物と(β1)化合物とを反応させた後に、溶媒、並びに/或いは、未反応の(α1)化合物または(α2)化合物および/または(β1)化合物を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる(B)成分が揮発分を有さないため(A)成分との硬化の場合に揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは60℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
(B)成分として、上記(α1)化合物および/または(α2)化合物と(β1)化合物とのヒドロシリル化反応物を使用する場合、上記のように、(α1)化合物または(α2)化合物と(β1)化合物との反応液から溶媒、並びに/或いは、未反応の(α1)化合物または(α2)化合物および/または(β1)化合物を除去したものを使用することもでき、また、(α1)化合物または(α2)化合物と(β1)化合物とのヒドロシリル化の反応液をそのまま使用することもできる。
(B)成分には、このような上記記載の化合物を単独もしくは2種以上を混合して用いることが可能である。
((A)成分と(B)成分の混合比)
(A)成分と(B)成分の混合比率は、硬化物に必要な強度が失わない限り特に限定されないが、(B)成分中のSiH基の数(Y)の(A)成分中の炭素−炭素二重結合の数(X)に対する比(Y/X)において、好ましい範囲の下限は0.3、より好ましくは0.5、さらに好ましくは0.7であり、好ましい範囲の上限は3、より好ましくは2、さらに好ましくは1.5である。好ましい範囲からはずれた場合には十分な強度が得られない場合や、熱劣化しやすくなる場合がある。(B)成分として、上記(B1)成分と(B2)成分とを併用することも可能である。(B1)成分と(B2)成分とを併用する場合、(A)成分と(B)成分との混合比率は、(B1)成分と(B2)成分との合計したSiH基の数を上記(B)成分のSiH基の数(Y)とすると、上記と同一の比率を適用できる。
((C)成分)
次に(C)成分であるヒドロシリル化触媒について説明する。
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh4、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(B)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(B)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
本発明の硬化性組成物は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の他に、下記のような添加剤などを含有することができる。
(フィラー)
本発明の組成物には無機フィラーを添加することもでき、流動性制御、強度向上、線膨張係数低減、導電性付与等の目的で添加するものであり、付与させる性能に対応し各種のものが用いられる。
例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等の無機フィラーをはじめとしてエポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用あるいは/および提案されている無機フィラー等を挙げることができる。無機フィラーとしては、半導体素子へダメージを与え難いという観点からは、低放射線性であることが好ましい。
また表面処理の施されたフィラーを添加することができ、処理法としてはアルキルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理、有機物処理、金属酸化物処理等が挙げられる。
アルキルシリル化手法は、一般的に使用されるシリル化剤であれば特に限定されるものではない。アルキルクロロシラン処理、アルキルシリルアセトアミド処理、アルキルジシラザン処理等が挙げられ、溶液での処理中に処理加速効果を得るために触媒などを添加しても良い。シリル化剤は入手性などの点から、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチルーN−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、N−メチルーN−トリメチルシリルアセトアミド、ヘキサメチルジシラザン、N−トリメチルシリルイミダゾールが好ましい。更に好ましくは処理後の残存物の樹脂への影響が少ないという観点から、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチルーN−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、N−メチルーN−トリメチルシリルアセトアミド、ヘキサメチルジシラザンがより好ましい。
シリコーン処理とは、フィラー表面にシリコーンをコーティングさせる処理を示し、使用するシリコーンはジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の一般に知られているものであれば特に限定されるものではない。フィラー表面との親和性向上のため、水酸基、アルコキシシリル基、グリシジル基、ヒドロシリル基、カルボキシル基などの反応性官能基を有するものであってもよい。また環状シロキサンをフィラー表面で重合させポリシロキサンとしたものについても適用可能である。
カップリング剤処理は、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤が挙げられる。特にカップリング剤としては、分子中に有機基と親和性のある官能基と加水分解性基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と親和性のある基としては、アルキル基、フェニル基、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、樹脂組成物の貯蔵安定性の点から、アルキル基、フェニル基、樹脂組成物との接着性の点から、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基が特に好ましい。加水分解性基としてはアセトキシ基、アルコキシ基が好ましく、取扱い性の点からメトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。またカップリング剤処理手法としては特に限定するものではなく、湿式加熱法、湿式濾過法、乾式攪拌法、インテグラルブレンド法、造粒法等が挙げられ、処理効率向上のためpH調整剤、触媒などの添加してもよい。
金属酸化物処理とはフィラー表面の水酸基を焼成により酸化物にする処理であり、フィラー表面に焼成後脱水反応して金属酸化物となる水酸化物、金属アルコキサイド、金属ハロゲン化物、これらのオリゴマーなどに含浸、表面分散させてから焼成処理を行うことも可能である。使用される金属種については特に限定されるものではないが、入手性の点からSi、Al、Ti、Zn、Mg、Zr等が好ましい。
有機物処理もシリコーン処理同様フィラー表面を有機物で被覆する処理を示し、一般に行われる処理であれば特に限定されるものではない。ポリマー溶液にフィラーを含浸させ溶剤を揮発させポリマーコーティングしたもの、フィラー表面の活性基と親和性のある化合物を表面に分散させたもの、重合性を有するメタクリル、アクリル、ビニルモノマーをフィラー表面でグラフト化させたもの、エポキシ化合物、ジカルボン酸、酸無水物、ジイソシアネート、グリコールモノマーなどを表面で反応させたものについても適用できる。
無機フィラーの平均粒径や粒径分布としては、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用あるいは/および提案されているものをはじめ、特に限定なく各種のものが用いられる。フィラーの比表面積についても、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用あるいは/および提案されているものをはじめ、各種設定できる。
使用するフィラーの平均粒径については特に限定されるものではなく使用できるが、少ない添加部数でチクソ性を付与するという観点から1μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。またここで言う平均粒径とは、遠心沈降光透過法やレーザー回折法測定法等の一般的な方法で測定・算出した体積平均粒径を意味する。
無機フィラーの形状としては、破砕状、片状、球状、棒状等、各種のものが用いられる。アスペクト比も種々のものが用いられる。得られる硬化物の強度が高くなりやすいという点においてはアスペクト比が10以上のものが好ましい。また、樹脂の等方性収縮の点からは繊維状よりは粉末状が好ましい。あるいは、高充填時にも成形時の流れ性がよくなり易いという点においては球状のものが好ましい。
(硬化遅延剤)
本発明の組成物には保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレート等のマレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
硬化遅延剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは50モルである。
また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(接着性改良剤)
本発明の組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基あるいは/および加水分解性のケイ素基を少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基、ウレイド基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するシラン類、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するシラン類、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル基を有するシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン類、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のシラン類等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
カップリング剤の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
エポキシ化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
エポキシ化合物の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は1重量部、より好ましくは3重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、さらにシラノール縮合触媒を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなシラノール縮合触媒としては特に限定されないが、ほう素系化合物あるいは/およびアルミニウム系化合物あるいは/およびチタン系化合物が好ましい。シラノール縮合触媒となるアルミニウム系化合物としては、アルミニウムトリイソプロポキシド、sec−ブトキシアルミニウムジイソフロポキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド類:、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミキレートM(川研ファインケミカル製、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート類等が例示でき、取扱い性の点からアルミニウムキレート類がより好ましい。シラノール縮合触媒となるチタン系化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類:チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類:オキシ酢酸やエチレングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤が例示できる。
シラノール縮合触媒となるほう素系化合物としては、ほう酸エステルが挙げられる。ほう酸エステルとしては下記一般式(VII)、(VIII)で示されるものを好適に用いることが出来る。
Figure 2007138098
Figure 2007138098
(式中R、R9は炭素数1〜48の有機基を表す。)
ほう酸エステルの具体例として、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリメチル、ほう素メトキシエトキサイドを好適に用いることができる。
これらほう酸エステルは1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。混合は事前に行なっても良く、また硬化物作成時に混合しても良い。
これらほう酸エステルのうち、容易に入手でき工業的実用性が高いという点からは、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリノルマルブチルが好ましく、なかでもほう酸トリメチルがより好ましい。
硬化時の揮発性を抑制できるという点からは、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが好ましく、なかでもほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリフェニル、ほう酸トリノルマルブチルがより好ましい。
揮発性の抑制、および作業性がよいという点からは、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピルが好ましく、なかでもほう酸トリノルマルブチルがより好ましい。
高温下での着色性が低いという点からは、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチルが好ましく、なかでもほう酸トリメチルがより好ましい。
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのシラノール縮合触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明においては接着性改良効果をさらに高めるために、さらにシラノール源化合物を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなシラノール源としては、例えばトリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
シラノール源化合物を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのシラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、
Figure 2007138098
2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類のうち、ヒドロシリル化反応性を有し硬化物からの染み出しの可能性が少なく得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有するものが好ましい。好ましいカルボン酸類あるいは/および酸無水物類としては、例えば、
Figure 2007138098
テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(熱硬化性樹脂)
本発明の組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱硬化性樹脂を添加することも可能である。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂等が例示されるがこれに限定されるものではない。これらのうち、接着性等の実用特性に優れるという観点から、エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂を、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させるものが挙げられる。これらのエポキシ樹脂あるいは硬化剤はそれぞれ単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
熱硬化性樹脂の添加量としては特に限定はないが、好ましい使用量の下限は硬化性組成物全体の5重量%、より好ましくは10重量%であり、好ましい使用量の上限は硬化性組成物中の50重量%、より好ましくは30重量%である。添加量が少ないと、接着性等目的とする効果が得られにくいし、添加量が多いと脆くなりやすい。
これらの熱硬化性樹脂は単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
熱硬化性樹脂は樹脂原料あるいは/および硬化させたものを、(A)成分あるいは/および(B)成分に溶かして均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、(A)成分あるいは/および(B)成分に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱硬化性樹脂を(A)成分あるいは/および(B)成分に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態あるいは/および混合状態としてもよい。
熱硬化性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
(熱可塑性樹脂)
本発明の組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)、エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS等)、ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸、等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂としては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合あるいは/およびSiH基を有していてもよい。得られる硬化物がより強靭となりやすいという点においては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合あるいは/およびSiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂としてはその他の架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂の分子量としては、特に限定はないが、(A)成分や(B)成分との相溶性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量の下限は硬化性組成物全体の5重量%、より好ましくは10重量%であり、好ましい使用量の上限は硬化性組成物全体の50重量%、より好ましくは30重量%である。添加量が少ないと得られる硬化物が脆くなりやすいし、多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなりやすい。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂は(A)成分あるいは/および(B)成分に溶かして均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、(A)成分あるいは/および(B)成分に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂を(A)成分あるいは/および(B)成分に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態あるいは/および混合状態としてもよい。
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
(老化防止剤)
本発明の組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(ラジカル禁止剤)
本発明の組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(紫外線吸収剤)
本発明の組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(その他添加剤)
本発明の組成物にはその他蛍光体、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
(溶剤)
本発明の組成物は溶剤に溶解して用いることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート、エチレングリコール-1-モノエチルエーテル-2-アセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。
溶媒としては、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート、エチレングリコール-1-モノエチルエーテル-2-アセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルム、シクロヘキサノンが好ましく、揮発性等の観点から、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート、エチレングリコール-1-モノエチルエーテル-2-アセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましい。
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる硬化性組成物1gに対しての好ましい使用量の下限は0.001gであり、好ましい使用量の上限は1gである。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。これらの、溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。
(Bステージ化)
本発明の組成物は、各成分および添加剤等の配合物をそのまま用いてもよいし、加熱等により部分的に反応(Bステージ化)させてから使用してもよい。Bステージ化することにより粘度調整が可能であり、トランスファー成形性を調整することもできる。
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
実施例および比較例で作製した硬化性組成物を次のようにして分析、評価した。
<形状保持性の評価>
各実施例及び比較例で得られた硬化性組成物0.2mgを、アセトンで脱脂したセラミックス製基材に高さ5cmから滴下して、前記セラミック製基材に形成された液滴の直径(滴下直後の液滴直径)、及び、前記液滴を滴下後室温で4時間放置した時における液滴の直径(室温4時間放置後の液滴直径)を測定し、(室温4時間放置後の液滴の直径)/(滴下直後の液滴の直径)を形状保持性として求めた。ここで、倍率が1.5以下のものを○、1.5以上の状態を×とした。
<粘度の評価方法>
合成例で得られた生成物、実施例及び比較例で得られた硬化性組成物の粘度をE型粘度計(東京計器(株)社製)で測定温度23.0℃、EHD型48φ1倍コーンで測定した。
<ディスペンス性の評価>
サンエイテック製ディスペンスシリンジ3cmφに得られた硬化性組成物1g入れ、ニードル径25G(φ0.25mm)、圧力0.5atmでSUS容器(5mmφ、高さ4.5mm)に充填した。ここで、ディスペンス時に硬化性組成物が糸を引いたり、一定量の滴下ができなかった場合を「不良」とし、一方、液切れもよく一定量のディスペンスができた場合を「良好」とした。
(比較合成例1)
2Lオートクレーブにトルエン419g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン714gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温105℃で加熱、攪拌した。ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート150g、トルエン128g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.22gの混合液を滴下した。滴下終了から4時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体(生成物)を得た。
本生成物の粘度は4.0Pa・sであった。本生成物は、H−NMR(バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製、300MHzNMR装置)の測定より、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がジアリルモノグリシジルイソシアヌレートのアリル基と反応したもの(部分反応物A)であり、7.2mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。
(比較合成例2)
2Lオートクレーブにトルエン602g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン626gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温105℃で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート90g、トルエン90g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.057gの混合液を40分かけて滴下した。滴下終了から4時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体(生成物)を得た。
本生成物の粘度は1.9Pa・sであった。本生成物は、H−NMRの測定より、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートのアリル基と反応したもの(部分反応物B)であり、8.6mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。
(合成例1)
2Lオートクレーブにトルエン300g、比較合成例2で得られた部分反応物B100gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温105℃で加熱、攪拌した。カンフェン63g、トルエン64g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.07gを滴下した。滴下終了から10分後にH−NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。トルエンを減圧留去し、無色透明の液体(生成物)を得た。
本生成物の粘度は100Pa・s以上であった。本生成物は、H−NMRの測定より、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートのアリル基およびカンフェンのアルケニル基と反応したもの(部分反応物C)であり、3.0mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。
(合成例2)
2Lオートクレーブにトルエン300g、比較合成例2で得られた部分反応物Bを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温105℃で加熱、攪拌した。アリルグリシジルエーテル50g、トルエン50gを滴下した。滴下終了から10分後にH−NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。トルエンを減圧留去し、無色透明の液体(生成物)を得た。
本生成物の粘度は9.1Pa・sであった。本生成物は、H−NMRの測定より、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートのアリル基およびアリルグリシジルエーテルのアリル基と反応したもの(部分反応物D)であり、3.8mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。
(合成例3)
300mlフラスコに比較合成例1で得られた部分反応物Aを150g、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート12gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ロータリーエバポレーターにて内液温105℃で加熱攪拌した。5h加熱攪拌後冷却により反応を終了し、無色透明の液体(生成物)を得た。
本生成物の粘度は42.8Pa・sであった。本生成物は、H−NMRの測定より、部分反応物AのSiH基の一部がジアリルモノグリシジルイソシアヌレートのアリル基と反応したもの(部分反応物E)であることがわかった。
(実施例1)
ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート8.58g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)25mg、及びほう酸トリメチル0.15gを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、合成例2で調製した部分反応物D22.00g、1−エチニルシクロヘキサノール31mg、(γ―グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(日本ユニカー社製、商品名:A−187)0.76gを攪拌、脱泡したものをB液とした。その後A液とB液を混合させたものを遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物の粘度、形状保持性及びディスペンス性を上記方法にて測定、評価した。その結果を表1に示す。
(実施例2)
トリアリルイソシアヌレート1.29g、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート11.08g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)90mg、及びほう酸トリメチル0.15gを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、合成例3で調製した部分反応物E17.58g、1−エチニルシクロヘキサノール90mg、(γ―グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(日本ユニカー社製、商品名:A−187)0.75gをB液とした。その後A液とB液を混合させたものを遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物の粘度、形状保持性及びディスペンス性を上記方法にて測定、評価した。その結果を表1に示す。
(実施例3)
トリアリルイソシアヌレート9.16g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)61mg、及びほう酸トリメチル0.27gを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、合成例1で調製した部分反応物C45.00g、1−エチニルシクロヘキサノール61mg、(γ―グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(日本ユニカー社製、商品名:A−187)1.35g、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート3.79gを混合し、攪拌、脱泡したものをB液とした。その後A液とB液を混合させたものを遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物の粘度、形状保持性及びディスペンス性を上記方法にて測定、評価した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
トリアリルイソシアヌレート9.16g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)61mg、及びほう酸トリメチル0.27gを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、合成例1で調製した部分反応物C45.00g、1−エチニルシクロヘキサノール61mg、(γ―グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(日本ユニカー社製、商品名:A−187)1.35gを混合し、攪拌、脱泡したものをB液とした。その後A液とB液を混合させたものを遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物の粘度、形状保持性及びディスペンス性を上記方法にて測定、評価した。その結果を表1に示す。
(比較例2)
トリアリルイソシアヌレート1.29g、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート12.38g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)90mg、及びほう酸トリメチル0.15gを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、比較合成例1で調製した部分反応物A16.28g、1−エチニルシクロヘキサノール90mg、(γ―グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(日本ユニカー社製、商品名:A−187)0.75gをB液とした。その後A液とB液を混合させたものを遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物の粘度、形状保持性及びディスペンス性を上記方法にて測定、評価した。その結果を表1に示す。
(比較例3)
トリアリルイソシアヌレート1.29g、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート12.38g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)90mg、及びほう酸トリメチル0.15gを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、比較合成例1で調製した部分反応物A16.28g、1−エチニルシクロヘキサノール90mg、(γ―グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(日本ユニカー社製、商品名:A−187)0.75gをB液とした。その後A液とB液を混合させたものを遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行ったものに、アエロジルRX300(日本アエロジル製、微粒子シリカ、粒径:0.007μm)4.5g、を添加しスパチュラで混合後、再び遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物の粘度、形状保持性及びディスペンス性を上記方法にて測定、評価した。その結果を表1に示す。
(比較例4)
トリアリルイソシアヌレート1.29g、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート12.38g、末端アルケニルポリエステル(PU−4000、豊国製油製)31.03g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)90mg、及びほう酸トリメチル0.15gを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、比較合成例1で調製した部分反応物A16.28g、1−エチニルシクロヘキサノール90mg、(γ―グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(日本ユニカー社製、商品名:A−187)0.75gをB液とした。その後A液とB液を混合させたものを遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物の粘度、形状保持性及びディスペンス性を上記方法にて測定、評価した。その結果を表1に示す。
(比較例5)
トリアリルイソシアヌレート20g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.15g、及びほう酸トリメチル0.25gを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、比較合成例2で調製した部分反応物B29.82g、1−エチニルシクロヘキサノール0.15g、(γ―グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(日本ユニカー社製、商品名:A−187)1.25gをB液とした。その後A液とB液を混合させたものを遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物の粘度、形状保持性及びディスペンス性を上記方法にて測定、評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2007138098
表1から明らかなとおり、(B)成分の粘度が8Pa・s以上とすることで硬化性組成物の形状保持性が改善され、さらに硬化性組成物の粘度が10Pa・s以下とすることでディスペンス性との両立が図れることがわかる。
本発明の形状保持性硬化性組成物は、各種基材・フィルム表面コーティング剤、レジストやチップ、各種半導体素子のボンディング剤、ポッティングによる半導体・センサー封止剤、レンズ材料などに適用可能である。

Claims (6)

  1. 成分として、
    (A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、
    (B)分子中に下記一般式(I)
    Figure 2007138098
    (式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機基、および、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する、23℃における粘度が8Pa・s以上の化合物、および、
    (C)ヒドロシリル化触媒、を含有し、23℃における粘度が10Pa・s以下である、形状保持性硬化性組成物。
  2. 硬化性組成物0.2mgをセラミックス製基材へ滴下した時に形成される液滴の直径に対する、前記液滴を滴下後室温で4時間放置した時における液滴の直径の倍率(室温4時間放置後の液滴直径)/(滴下直後の液滴直径)が0.5倍以上1.5倍以下である、請求項1記載の硬化性組成物。
  3. (B)成分が下記化合物の部分的なヒドロシリル化反応物(B1)を含む、請求項1または2に記載の硬化性組成物:
    (α1)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、
    (β1)分子中に下記一般式(I)
    Figure 2007138098
    (式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機基、および、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物。
  4. (α1)が、下記一般式(I)
    Figure 2007138098
    (式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物である、請求項3に記載の硬化性組成物。
  5. (B)成分が下記化合物の部分的なヒドロシリル化反応物(B2)を含む、請求項1または2に記載の硬化性組成物:
    (α2)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物、
    (β1)分子中に下記一般式(I)
    Figure 2007138098
    (式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機基、および、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物。
  6. (α2)が、下記一般式(I)
    Figure 2007138098
    (式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物である、請求項5に記載の硬化性組成物。
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