(実施形態)
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、実施形態に係る錠開閉装置(電子錠)の使用状態を示す斜視図である。図2は、実施形態に係る錠開閉装置(電子錠)の使用状態を示す側面図である。図1及び図2に示すように、錠開閉装置1は、扉DのサムターンSを覆うようにして、扉Dに粘着テープDSTやマグネット(磁石)等により取り付けられる。錠開閉装置1は、サムターンSのつまみを挟持する挟持部材16と、挟持部材16を回転動作させるモータ等の駆動機構(不図示)を備えている。錠開閉装置1は、挟持部材16を回転動作させることにより、扉DのサムターンSを回転させて扉DのデッドボルトDBを動かして扉を施錠および開錠する。
ここで、錠開閉装置1は、Blue Tooth(登録商標)やWi-Fi等の無線通信機能を備えており、遠隔操作により扉Dを施錠および開錠することができる。また、図1及び図2では、ドアノブDNの上部にサムターンSが設けられているが、ドアノブDNの下部にサムターンSが設けられる場合もある。なお、ドアノブDNを回転させると、ラッチノブLBが扉D側に収納されて扉Dを開くことができる。
図3は、実施形態に係る錠開閉装置1内部の概略構成を示す側面図である。図3に示すように、錠開閉装置1の筐体11内部には、電池BOX12、モータ13、配線基板14、相対位置保持部材17、窪み17a、下部支持部材18(一対の支持部材)、上部支持部材19(一対の支持部材)、動力伝達ギアG1a(第1回転部材)、動力伝達ギアG1b(第2回転部材)、動力伝達ギアG1c(第3回転部材)、動力伝達ギアG2(第4回転部材)、動力伝達ギアG3(第5回転部材)、回転軸C1a〜C1c(第1〜第3回転軸)、回転軸C2(第4回転軸)、回転軸C3(第5回転軸)、リブG3a、突起部G3b、センサS1,S2等が収容されている。錠開閉装置1の筐体11の背面側(扉Dと反対側)には、突出するようにしてつまみ15が設けられている。また、錠開閉装置1の筐体11の腹側(扉D側)には、サムターンの挟持部材16が設けられている。
電池BOX12は、動力源であるモータ13へ電力を供するための電池Bを収容するための筐体であり、その内部に4本の電池Bが収容される。本実施形態では、電池BOX12内に単3形電池が4本収容される設計となっているが、4本に限られず1本以上であればよい。また、収容される電池の形式も単3形に限られず、錠開閉装置1へ必要な電力を供給できれば単1形〜単5形のいずれを収容できる設計でもよく、角形、平形、ボタン型の電池を収容できる設計としてもよい。また、充電のできない一次電池であってもよく、充電可能な二次電池であってもよい。
ここで、電池BOX12は、電池Bの長手方向の軸心が錠開閉装置1の扉Dとの対向面(取付面)と略平行となるように、電池Bが錠開閉装置1の筐体11内に収容されるように構成されている。また、電池B自体が錠開閉装置1の筐体11内において、対向面側となるように配置されている。これにより、電池Bの重心が対向面近くとなり、錠開閉装置1を扉Dに取り付けた際の安定性が向上する。
モータ13は、扉Dのサムターンを回転させる動力源となるものであり、錠開閉装置1内に収容されることから小型、軽量であるものが好ましい。モータ13は、モータ13内の回転を取り出すための動力伝達軸C1a(以下、回転軸C1aともいう)を備えている。本実施形態では、モータ13の動力伝達軸C1aを動力伝達ギアG1aの回転軸とし、さらに動力伝達軸C1aを延長してモータ13が錠開閉装置1の取付面である対向面に近くなるようにモータ13を筐体11内に配置している。このため、モータ13の重心が対向面に近くなり、錠開閉装置1を扉Dに取り付けた際の安定性が向上する。なお、モータ13は、減速ギアを備えるDC(直流)ギアモータであり、その減速比は1/120となっている。つまり、モータ13が120回転するごとに動力伝達軸C1aが1回転する。これにより、モータ13を小型化しつつ十分な回転トルクを得ることができる。
配線基板14には、Blue Tooth(登録商標)やWi-Fi等の無線通信機能を実現するためのアンテナを含む通信回路、遠隔操作により扉Dを施錠および開錠するための制御回路、電池Bから供給される電力の電圧、電流を調整するための回路等が実装されている。本実施形態では、モータ13は、この配線基板14に実装された制御回路からの信号により動作を制御される。また、本実施形態では、扉DのサムターンSの回転角度を約5度ごとに設定可能に構成されているが、この設定確度は任意であり5度以外の確度であってもよい。
つまみ15は、錠開閉装置1の背面側に筐体11から突出した状態で回転自在に設けられている。つまみ15は、後述するサムターンの挟持部材16と間接的もしくは直接的に連結されており、つまみ15を回転させることでサムターンの挟持部材16が回転し、サムターンSを回転させることができる構造となっている。ここで間接的に連結とは、(回転軸C3を含む)複数の部材を介してつまみ15とサムターンの挟持部材16とが連結されているとの意であり、つまみ15とサムターンの挟持部材16とが同期して回転することをいう。また、直接的に連結とは、単一の部材(回転軸C3)を介してつまみ15とサムターンの挟持部材16とが連結されているとの意であり、つまみ15とサムターンの挟持部材16とが同期して回転することをいう。
本実施形態では、サムターンは、錠開閉装置1により覆い隠されてしまう構造であるが、ユーザは、このつまみ15によりサムターンを手動で施錠および開錠を行うことができる。このため、電池がなくなった場合、緊急時(例えば、火事や地震)に手動で扉Dの施錠および開錠を行うことができる。
サムターンの挟持部材16は、扉DのサムターンSのつまみTを挟持した状態で扉Dに設置される。サムターンの挟持部材16が回転することで、扉DのサムターンSも回転し、扉Dが施錠および解錠される。サムターンの挟持部材16は、サムターンSのつまみTを挟持するための一対の挟持部を備えている。また、この一対の挟持部は、その間隔Dを調整することができ、種々の厚みのサムターンのつまみTに対応することが可能となっている。また、挟持部の先端に、挟持部を延長するための延長爪を取り付けることができる。
相対位置保持部材17は、後述する動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)の相対位置を保ったまま動力伝達ギアG1aの回転軸C1aを中心として動力伝達ギアG1a〜G1cを回転動作させる部材である。詳細については、後に図4および図5を参照して説明する。
下部支持部材18は、金属製(例えば、SUSやアルミニウム)の薄板であり、動力伝達ギアG1〜G3の下側に設けられている。下部支持部材18には、回転軸C1aを挿通するための貫通孔(不図示)が形成されている。また、回転軸C2、回転軸C3は、下側の一端を下部支持部材18に支持される。
上部支持部材19は、金属製(例えば、SUSやアルミニウム)の薄板であり、動力伝達ギアG1〜G3の上側に設けられている。上部支持部材19には、回転軸C1aを挿通するための貫通孔(不図示)が形成されている。回転軸C2、回転軸C3は、上側の一端を上部支持部材19に支持される。
動力伝達ギアG1aは、中心部にモータ13の動力伝達軸である回転軸C1aを挿通するための貫通孔(不図示)を有し、該貫通孔に回転軸C1aが挿通・係止されている。このため、動力伝達ギアG1aは、回転軸C1aの回転にともない回転動作する。
動力伝達ギアG1bは、中心部に相対位置保持部材17に設けられた回転軸C1bを挿通するための貫通孔(不図示)を有する。動力伝達ギアG1bは、前述した貫通孔に回転軸C1bが挿通され、回転軸C1bを中心軸として回転自在に構成されている。
動力伝達ギアG1cは、中心部に相対位置保持部材17に設けられた回転軸C1cを挿通するための貫通孔(不図示)を有する。動力伝達ギアG1cは、前述した貫通孔に回転軸C1cが挿通され、回転軸C1cを中心軸として回転自在に構成されている。
動力伝達ギアG2は、一対の支持部材18,19に設けられた(支持された)回転軸C2を挿通するための貫通孔(不図示)を有する。動力伝達ギアG2は、前述した貫通孔に回転軸C2が挿通され、回転軸C2を中心軸として回転自在に構成されている。
動力伝達ギアG3は、一対の支持部材18,19に設けられた(支持された)回転軸C3を挿通するための貫通孔(不図示)を有する。動力伝達ギアG2は、前述した貫通孔に回転軸C3が挿通され、回転軸C3を中心軸として回転自在に構成されている。
ピンP1は、下部支持部材18に立設され、動力伝達ギアG1bが、動力伝達ギアG2と噛合う(接触する)位置で相対位置保持部材17の当接部17bと当接して、相対位置保持部材17の回転動作を停止させるストッパである。このピンP1により、動力伝達ギアG1bと動力伝達ギアG2とが強くかみ合うことを防止して、動力伝達ギアG1bと動力伝達ギアG2とがスムーズに回転することが可能となる。このため、動力伝達ギアG1bと動力伝達ギアG2との動力伝達の損失が抑制される。また、動力伝達ギアG1bと動力伝達ギアG2とが強くかみ合うことによる騒音の発生を抑制することができる。
ピンP2は、下部支持部材18に立設され、動力伝達ギアG1cが、動力伝達ギアG2と噛合う(接触する)位置で相対位置保持部材17の当接部17cと当接して、相対位置保持部材17の回転動作を停止させるストッパである。このピンP2により、動力伝達ギアG1cと動力伝達ギアG2とが強くかみ合うことを防止して、動力伝達ギアG1cと動力伝達ギアG2とがスムーズに回転することが可能となる。このため、動力伝達ギアG1cと動力伝達ギアG2との動力伝達の損失が抑制される。また、動力伝達ギアG1cと動力伝達ギアG2とが強くかみ合うことによる騒音の発生を抑制することができる。
センサS1は、上支持部材19に設けられ、動力伝達ギアG3の回転量及び回転方向を検知する。センサS2は、上支持部材19に設けられ、相対位置保持部材17の位置および回転方向を検知する。
図4は、実施形態に係る錠開閉装置1の動力伝達機構の概略構成を示す平面図である。以下、図4を参照して錠開閉装置1が備える動力伝達機構(クラッチ機構)について詳細に説明する。
動力伝達ギアG1aは、動力伝達軸である回転軸C1aを中心として、回転軸C1aとともに回転可能に構成されている。動力伝達ギアG1b,G1cは、動力伝達ギアG1aと互いに噛合った状態で、相対位置保持部材17に設けられた回転軸C1b,C1cを中心として各々回転自在に設けられている。また、動力伝達ギアG1b,G1cは、動力伝達ギアG1aの周囲の異なる位置に各々配置されている。
このため、動力伝達ギアG1b,G1cは、動力伝達ギアG1aの回転にともない回転動作する。このとき、動力伝達ギアG1b,G1cの回転方向と動力伝達ギアG1aの回転方向とは互いに逆向きとなる。具体的には、動力伝達ギアG1aが時計回り(CW: clockwise)の場合、動力伝達ギアG1b,G1cが反時計周り(CCW:counterclockwise)となり、動力伝達ギアG1aが反時計回り(CCW: counterclockwise)の場合、動力伝達ギアG1b,G1cが時計周り(CW:clockwise)となる。
相対位置保持部材17は、貫通孔(不図示)が形成されており、この貫通孔に動力伝達軸である回転軸C1aが挿通されている。相対位置保持部材17は、貫通孔の内周面と回転軸C1aの外周面との摩擦により回転軸C1aの回転動作にともない回転するが、相対位置保持部材17の当接部17bまたは当接部17cが、ピンP1またはピンP2と当接すると、相対位置保持部材17の貫通孔の内周面と回転軸C1aの外周面との摩擦力よりも、相対位置保持部材17の当接部17bまたは当接部17cがピンP1またはピンP2から受ける反力のほうが大きいため相対位置保持部材17の回転動作が停止する。
相対位置保持部材17には、窪み17aが形成されており、この窪み17aによりセンサS2が相対位置保持部材17の状態、具体的には、相対位置保持部材17の位置および回転方向を検知する。センサS2は、機械式のセンサであり、その先端に平面視において左右に倒れる突起部S2aを備えている。この突起部S2aは、センサS2本体とは別部材となっており、図4に示す平面図において左右方向に倒れることで、相対位置保持部材17の位置および回転方向を検知する。
より具体的には、センサS2は、スイッチSW1,SW2を備え、突起部S2aが左右のどちら側にも倒れていないときは、スイッチSW1,SW2はどちらもOFFであり、突起部S2aが左側に倒れているときは、スイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなり、突起部S2aが右側に倒れているときは、スイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなることで相対位置保持部材17の位置および回転方向を検知する。
ここで、相対位置保持部材17が図4に示す中心位置(Center)にある場合、センサS2の突起部S2aは、相対位置保持部材17の窪み17a内に収容されるため、突起部S2aは左右のどちら側にも倒れていない状態となり、スイッチSW1,SW2はどちらもOFFとなる。また、相対位置保持部材17が時計回り(CW)に回転すると、突起部S2aが左側に倒れてスイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなる。また、相対位置保持部材17が反時計回り(CCW)に回転すると、突起部S2aが右側に倒れてスイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなる。そして、配線基板14に実装された制御回路(不図示)でこのセンサS2のスイッチSW1,スイッチSW2のON,OFFの状態を読み取ることで相対位置保持部材17の位置および回転方向を検知することができる。
動力伝達ギアG2は、動力伝達ギアG1a〜G1cから離間して配置されており、図4に示す通常位置(以下、センター位置ともいう)では、動力伝達ギアG2は、動力伝達ギアG1a〜G1cのいずれとも噛合わない。動力伝達ギアG2は、中心に一対の支持部材18,19により支持された回転軸C2を挿通するための貫通孔(不図示)が形成されており、この貫通孔に挿通された回転軸C2を中心として回転自在に構成されている。
動力伝達ギアG3は、中心に一対の支持部材18,19により支持された回転軸C3を挿通するための貫通孔(不図示)が形成されており、この貫通孔に挿通された回転軸C2を中心として動力伝達ギアG2と噛合った状態で回転自在に構成されている。
また、動力伝達ギアG3は、円形状のリブG3aを有している。リブG3aは、外周方向に向かって突出するようにして設けられた複数の突起部G3bを有してなり、この突起部G3bは、平面視において約45度毎に設けられている。
この突起部G3bによりセンサS1が動力伝達ギアG3の状態、具体的には、動力伝達ギアG3の回転方向および回転量を検知する。センサS1は、機械式のセンサであり、その先端に平面視において左右に倒れる突起部S1aを備えている。この突起部S1aは、センサS1本体とは別部材となっており、図4に示す平面図において左右方向に倒れることで動力伝達ギアG3の回転方向および回転量を検知する。
より具体的には、センサS1は、スイッチSW1,SW2を備え、突起部S1aが左右のどちら側にも倒れていないときは、スイッチSW1,SW2はどちらもOFFであり、突起部S1aが左側に倒れたときは、スイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなり、突起部S1aが右側に倒れたときは、スイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなることで動力伝達ギアG3の回転方向および回転量を検知する。
ここで、動力伝達ギアG3が時計回り(CW)に回転し、突起部G3bと当接(衝突)すると突起部S1aが左側に倒れてスイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなる。また、動力伝達ギアG3が反時計回り(CCW)に回転し、突起部G3bと当接(衝突)すると突起部S1aが右側に倒れてスイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなる。つまり、スイッチSW1,SW2のON,OFFを読み取ることで、動力伝達ギアG3の回転方向を検知することができ、スイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなった回数もしくはスイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなった回数を読み取ることで動力伝達ギアG3の回転量を検知することができる。また、一定時間(例えば、1〜5秒間程度)、スイッチSW1,S2のON,OFFが切り替わらない場合、動力伝達ギアG3が回転していないことが検知できる。
図5は実施形態に係る錠開閉装置1の動力伝達ギアG1、回転軸C1a、相対位置保持部材17およびモータ13の概略構成を示す正面図である。図5に示すように、動力伝達ギアG1aは、モータ13の動力を伝達する動力伝達軸である回転軸C1aにはめ込まれており、回転軸C1aとともに回転する。また、動力伝達ギアG1b,G1cは、相対位置保持部材17に設けられた回転軸C1b,C1cに回転自在にはめ込まれている。また、動力伝達ギアG1b,G1cは、回転軸C1b,C1cに設けられた各々バネB1,B2により相対位置保持部材17方向に付勢されている。
そして、この図5に示す構成により、回転軸C1aの回転にともない相対位置保持部材17が回転軸C1aの回転方向へと回転動作する。また、この相対位置保持部材17に設けられた回転軸C1b,C1cに各々回転自在にはめ込まれた動力伝達ギアG1b,G1cが回転軸C1aの回転方向とは反対方向へと回転動作する。
図6はセンサS1,S2の動作を示す概略図である。図6に示すように、センサS1,S2には、各々端子E1〜E3を有し、これら端子E1〜E3は、配線基板14に実装された制御回路(不図示)と導線L1〜L3により接続されている。そして、図6(a)に示すように、センサS1,S2の突起部S1a,S1bが左側に倒れているときは端子E1と端子E2は導通(短絡)し、端子E2と端子E3は導通(短絡)していない状態となるため、端子E1,E2で構成されるスイッチSW1がONとなり、端子E2,E3で構成されるスイッチSW2がOFFとなる。
また、図6(b)に示すように、センサS1,S2の突起部S1a,S1bが中央部にあるとき、すなわちセンサS1,S2の突起部S1a,S1bが左右のどちら側にも倒れていないときは、端子E1と端子E2は導通(短絡)しておらず、端子E2と端子E3も導通(短絡)していない状態となるため、端子E1,E2で構成されるスイッチSW1がOFFとなり、端子E2,E3で構成されるスイッチSW2もOFFとなる。
また、図6(c)に示すように、センサS1,S2の突起部S1a,S1bが右側に倒れているときは端子E1と端子E2は導通(短絡)せず、端子E2と端子E3は導通(短絡)している状態となるため、端子E1,E2で構成されるスイッチSW1がOFFとなり、端子E2,E3で構成されるスイッチSW2がONとなる。
なお、センサS1,S2は、上記のように突起部S1a,S1bが左右に倒れることで、端子E1〜E3で構成されるスイッチSW1、2のON,OFFを検知する構成となっているが相対位置保持部材17の位置および回転方向、動力伝達ギアG3の回転方向および回転量を検知することができれば、他の方式(例えば、光学式、電磁式等)によるセンサを利用してもよい。
(動作の説明)
図7は、実施形態に係る錠開閉装置1の動力伝達機構の動作の説明図である。以下、図7を参照して、動力伝達機構の動作について説明する。なお、図1〜図6を参照して説明した構成と同一の構成には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
(センター位置)
錠開閉装置1は、図7(b)に示すように、サムターンの施解錠を行わない場合、動力伝達ギアG1bおよび動力伝達ギアG1cは、動力伝達ギアG2とは離間した位置(以下、センター位置ともいう)にあり、動力伝達ギアG2とは噛合っていない(接触していない)ため、動力伝達ギアG2および動力伝達ギアG3は、回転自在な状態となっている。このため、ユーザは、動力伝達ギアG3の回転軸C3に間接的もしくは直接的に連結されているつまみ15を回転させることでサムターンの挟持部材16が回転し、サムターンSを回転させて扉Dを施錠および解錠することができる。
錠開閉装置1の動力伝達機構が図7(b)に示すセンター位置にある場合、センサS2の突起部S2aは、相対位置保持部材17の窪み17a内に収容されており、突起部S2aは左右のどちら側にも倒れていない状態となる。このため、センサS2のスイッチSW1,SW2はどちらもOFFとなることで、配線基板14に実装された制御回路(不図示)は、相対位置保持部材17がセンター位置にあることを検知する。
また、配線基板14に実装された制御回路(不図示)は、一定時間(例えば、1〜5秒間程度)、センサ1SのスイッチSW1,S2のON,OFFが切り替わらないことから、動力伝達ギアG3が回転していないことを検知する。
(CCW方向への回転動作)
また、錠開閉装置1は、図7(a)に示すように、サムターンをCCW方向(反時計回り方向)へと回転させて扉Dの施解錠を行う場合、配線基板14に実装された制御回路(不図示)によりモータ13を制御して、動力伝達軸である回転軸C1aをCW方向(時計回り方向)へと回転させる。これにより、動力伝達ギアG1aがCW方向に回転するとともに、動力伝達ギアG1aに噛合っている動力伝達ギアG1bおよび動力伝達ギアG1cが、各々回転軸C1bおよび回転軸C1cを中心軸としてCCW方向に回転動作する。
また、相対位置保持部材17は、貫通孔(不図示)が形成されており、この貫通孔に動力伝達軸である回転軸C1aが挿通されている。このため、相対位置保持部材17は、貫通孔の内周面と回転軸C1aの外周面との摩擦により回転軸C1aのCW方向への回転動作にともないCW方向へと回転する。そして、相対位置保持部材17の当接部17bがピンP1と当接すると、相対位置保持部材17の貫通孔の内周面と回転軸C1aの外周面との摩擦力よりも相対位置保持部材17の当接部17bがピンP1から受ける反力のほうが大きいため相対位置保持部材17の回転動作が停止する。また、動力伝達ギアG1bが動力伝達ギアG2と噛合う。
そして、動力伝達ギアG1bの回転動作が、動力伝達ギアG2および動力伝達ギアG3を介して回転軸C3に伝達されてサムターンの挟持部材16がCCW方向に回転し、サムターンSを回転させて扉Dが施錠または解錠される。
また、図7(a)に示すように、モータ13の動力を伝達する動力伝達軸である回転軸C1aが時計回り(CW)に回転する場合、すなわち相対位置保持部材17が時計回り(CW)に回転する場合、センサS2の突起部S2aが左側に倒れてスイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなる。そして、配線基板14に実装された制御回路(不図示)は、このセンサS2のスイッチSW1がON,スイッチSW2がOFFの状態を読み取ることで相対位置保持部材17がCW回転方向へ回転したことを検知する。
また、動力伝達ギアG3が反時計回り(CCW)に回転し、突起部G3bと当接(衝突)するとセンサS1の突起部S1aが右側に倒れてスイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなる。配線基板14に実装された制御回路(不図示)は、スイッチSW1,SW2のON,OFFの変化を読み取ることで、動力伝達ギアG3の回転方向がCCW方向であることを検知し、また、スイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなった回数を読み取ることで動力伝達ギアG3の回転量を検知する。
(CW方向への回転動作)
また、錠開閉装置1は、図7(c)に示すように、サムターンをCW方向(時計回り方向)へと回転させて扉Dの施解錠を行う場合、配線基板14に実装された制御回路(不図示)によりモータ13を制御して、動力伝達軸である回転軸C1aをCCW方向(反時計回り方向)へと回転させる。これにより、動力伝達ギアG1aがCCW方向に回転するとともに、動力伝達ギアG1aに噛合っている動力伝達ギアG1bおよび動力伝達ギアG1cが、各々回転軸C1bおよび回転軸C1cを中心軸としてCW方向に回転動作する。
また、相対位置保持部材17は、貫通孔(不図示)が形成されており、この貫通孔に動力伝達軸である回転軸C1aが挿通されている。このため、相対位置保持部材17は、貫通孔の内周面と回転軸C1aの外周面との摩擦により回転軸C1aのCCW方向への回転動作にともないCCW方向へと回転する。そして、相対位置保持部材17の当接部17cがピンP2と当接すると、相対位置保持部材17の貫通孔の内周面と回転軸C1aの外周面との摩擦力よりも相対位置保持部材17の当接部17cがピンP2から受ける反力のほうが大きいため相対位置保持部材17の回転動作が停止する。また、動力伝達ギアG1cが動力伝達ギアG2と噛合う。
そして、動力伝達ギアG1cの回転動作が、動力伝達ギアG2および動力伝達ギアG3を介して回転軸C3に伝達されてサムターンの挟持部材16がCW方向に回転し、サムターンSを回転させて扉Dが施錠または解錠される。
また、図7(c)に示すように、モータ13の動力を伝達する動力伝達軸である回転軸C1aが反時計回り(CCW)に回転する場合、すなわち相対位置保持部材17が反時計回り(CCW)に回転する場合、センサS2の突起部S2aが右側に倒れてスイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなる。そして、配線基板14に実装された制御回路(不図示)は、このセンサS2のスイッチSW1がOFF,スイッチSW2がONの状態を読み取ることで相対位置保持部材17がCCW回転方向へ回転したことを検知する。
また、動力伝達ギアG3が時計回り(CW)に回転し、突起部G3bと当接(衝突)するとセンサS1の突起部S1aが左側に倒れてスイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなる。配線基板14に実装された制御回路(不図示)は、スイッチSW1,SW2のON,OFFの変化を読み取ることで、動力伝達ギアG3の回転方向がCW方向であることを検知し、また、スイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなった回数を読み取ることで動力伝達ギアG3の回転量を検知する。
図8は、実施形態に係る錠開閉装置の動作を説明するフローチャートである。以下、図8を参照して錠開閉装置1の動作について説明する。なお、図1〜図7を参照して説明した構成と同一の構成には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図8に示す錠開閉装置1の動作は、本実施形態に係る錠開閉装置1の動作の一例である。
初めに、錠開閉装置1の制御回路は、扉Dの施錠または解錠の指示信号(施解錠信号)を受信すると(S101)、モータ13を制御して、回転軸C1aをCW方向もしくはCCW方向に回転動作させる(S102)。次いで、制御回路は、センサS2から入力されるスイッチSW1,SW2のON,OFFが正しいかどうかを判定する(S103)。具体的には、図7(a)に示すように、回転軸C1aをCW方向に回転制御している場合、相対位置保持部材17がCW方向に回転しているか、すなわちセンサS2の突起部S2aが左側に倒れ、スイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなっているかどうかを判定する。また、図7(c)に示すように、回転軸C1aをCCW方向に回転制御している場合、相対位置保持部材17がCCW方向に回転しているか、すなわちセンサS2の突起部S2aが右側に倒れ、スイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなっているかどうかを判定する。
ステップS103で、センサS2から入力されるスイッチSW1,SW2のON,OFFが正しい場合(YES)、制御回路は、センサS1から入力されるスイッチSW1,SW2のON,OFFが正しいかどうかを判定する(S104)。具体的には、図7(a)に示すように、回転軸C1aをCW方向に回転制御している場合、動力伝達ギアG3がCCW方向に回転しているか、すなわちセンサS1の突起部S1aが右側に倒れ、スイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなるかどうかを判定する。また、図7(c)に示すように、回転軸C1aをCCW方向に回転制御している場合、動力伝達ギアG3がCW方向に回転しているか、すなわちセンサS1の突起部S1aが左側に倒れ、スイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなるかどうかを判定する。
ステップS104で、センサS1から入力されるスイッチSW1,SW2のON,OFFが正しい場合(YES)、制御回路は、センサS1から入力されるスイッチSW1,SW2のON,OFFの変化の回数に基づいて、動力伝達ギアG3が予め設定された所定の回転量(所定角度)まで回転したかどうかを判定する(S105)。例えば、サムターンSを90度回転させる場合、制御回路は、センサS1から入力されるスイッチSW1,SW2のON,OFFの変化の回数が2回(45度×2=90度)となるまで、モータ13の回転軸C1aを回転動作させる。
ステップS105で、所定の回転量まで回転した場合(YES)、制御回路は、モータ13の回転軸C1aの逆回転を開始する(S106)。制御回路は、センサS2から入力されるスイッチSW1,SW2が両方ともOFF、すなわち相対位置保持部材17が図7(b)に示すセンター位置となったかどうかを判定する(S107)。
ステップS107で、センサS2から入力されるスイッチSW1,SW2が両方ともOFF、すなわち相対位置保持部材17が図7(b)に示すセンター位置となった場合(YES)、錠開閉装置1は動作を終了する。また、ステップS103〜S105またはS107でNOの場合、制御回路は、配線基板14に実装された無線回路を介して図示しないホスト装置へとエラーを送信し(S108)、錠開閉装置1は動作を終了する。なお、ステップS103〜S105またはS107でNOの場合、数回(例えば、3回)、リトライ動作を繰り返したのち、復帰できなければS108においてエラーを送信するようにしてもよい。なお、ホストへ送信されたエラーは、ホストからユーザおよび管理者の端末へと送信され、これによりユーザおよび管理者はエラーが発生したことを認識する。
図9は、実施形態の変形例に係る錠開閉装置の動力伝達機構の動作を説明する平面図である。上記実施形態では、モータ13の回転軸C1aからサムターンを回転させるための回転軸C3までの距離の関係から動力伝達ギアG2を介して、動力伝達ギアG3を回転させている。
しかしながら、図9(a)に示すように、モータ13の回転軸C1aからサムターンを回転させるための回転軸C3までの距離が短い場合には、動力伝達ギアG2を省略してもよい。また逆に、図9(b)に示すように、モータ13の回転軸C1aからサムターンを回転させるための回転軸C3までの距離が長い場合には、動力伝達ギアG2を複数の動力伝達ギアG2a,G2bで構成するようにしてもよい。なお、図9(b)では、動力伝達ギアG2を2枚の動力伝達ギアG2a,G2bで構成する例を示しているが、動力伝達ギアG2を何枚のギアで構成するかは任意であり、3枚以上であってもよい。また、図9(b)に示すように、モータ13の回転軸C1aからサムターンを回転させるための回転軸C3までの距離が長い場合には、動力伝達ギアG2bを省略し、動力伝達ギアG2aおよび動力伝達ギアG3間をVベルト等のベルト型の動力伝達手段で接続し、動力を伝達するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、回転軸C1aの動力の伝達にギア(歯車)を利用しているが、必ずしもギアを用いる必要はない。回転軸C1aの動力を伝達することができれば、歯を有しない回転体を利用してもよい。この場合、回転体の側面同士の摩擦力により回転軸C1aの動力を伝達することになるため、回転体の側面同士の摩擦力を高めるため側面を粗化したり、ローレット加工を施すなどの加工を行ってもよい。
以上のように、本実施形態に係る動力伝達機構は、動力の伝達および遮断が可能な動力伝達機構であって、動力を伝達する回転軸C1a(動力伝達軸)の回転とともに回転動作する動力伝達ギアG1a(第1回転部材)と、平面視において、動力伝達ギアG1a(第1回転部材)の周囲の異なる位置に各々配置され、動力伝達ギアG1a(第1回転部材)の回転とともに回転動作する動力伝達ギアG1b,G1c(第2,第3回転部材)と、動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)から離間して配置され、動力伝達ギアG1b(第2回転部材)または動力伝達ギアG1c(第3回転部材)の少なくとも一方と接触し、動力伝達ギアG1b(第2回転部材)または動力伝達ギアG1c(第3回転部材)の回転にともない回転動作する動力伝達ギアG2(第4回転部材)とを備える。
動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)は、回転軸C1a(動力伝達軸)が回転すると、回転軸C1a(動力伝達軸)の回転にともない互いの相対位置を保ったまま動力伝達ギアG1a(第1回転部材)の回転軸C1aを中心として回転動作して動力伝達ギアG1b(第2回転部材)または動力伝達ギアG1c(第3回転部材)が動力伝達ギアG2(第4回転部材)と接触し、回転軸C1a(動力伝達軸)の動力が動力伝達ギアG1a,G1b(第1,第2回転部材)または動力伝達ギアG1a,G1c(第1,第3回転部材)を介して動力伝達ギアG2(第4回転部材)に伝達される。
上記構成によれば、回転軸C1a(動力伝達軸)の回転により、動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)は、回転軸C1a(動力伝達軸)の回転にともない互いの相対位置を保ったまま動力伝達ギアG1a(第1回転部材)の回転軸C1aを中心として回転動作し、動力伝達ギアG1b(第2回転部材)または動力伝達ギアG1c(第3回転部材)が動力伝達ギアG2(第4回転部材)と接触して、回転軸C1a(動力伝達軸)の動力が動力伝達ギアG1a,G1b(第1,第2回転部材)または動力伝達ギアG1a,G1c(第1,第3回転部材)を介して動力伝達ギアG2(第4回転部材)に伝達される。また、回転軸C1a(動力伝達軸)を反対方向へ回転させることで動力伝達ギアG1b(第2回転部材)または動力伝達ギアG1c(第3回転部材)が動力伝達ギアG2(第4回転部材)と離れるため動力の伝達が遮断される。このため、簡易な構成で動力の伝達および遮断が可能となる。また、簡易な構成であるため非常にコンパクトとなり、狭い空間にも収容することができる。さらに、簡易な構成であるため故障しにくい。
また、本実施形態に係る動力伝達機構は、動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)の相対位置を保ったまま動力伝達ギアG1a(第1回転部材)の回転軸C1aを中心として動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)を回転動作させる相対位置保持部材17を備えている。
上記構成によれば、相対位置保持部材17が、動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)の相対位置を保ったまま動力伝達ギアG1a(第1回転部材)の回転軸を中心として動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)を回転動作させるので、動力伝達ギアG1b(第2回転部材)および動力伝達ギアG1c(第3回転部材)の少なくとも一方を確実に動力伝達ギアG2(第4回転部材)に接触させて、回転軸C1a(動力伝達軸)の動力を動力伝達ギアG2(第4回転部材)に伝達することができる。また、相対位置保持部材17により動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)の相対位置が保持されるため、動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)間に隙間が生じて動力伝達ギアG1a(第1回転部材)の回転動作が動力伝達ギアG1b(第2回転部材)および動力伝達ギアG1c(第3回転部材)の少なくとも一方に伝達されない虞を低減することができる。
また、本実施形態に係る動力伝達機構は、動力伝達ギアG1b(第2回転部材)および動力伝達ギアG1c(第3回転部材)の少なくとも一方が、動力伝達ギアG2(第4回転部材)と接触する位置で相対位置保持部材17と当接して、相対位置保持部材17の回転動作を停止させるストッパ(ピンP1,P2)を備えている。
上記構成によれば、ストッパ(ピンP1,P2)により動力伝達ギアG1b(第2回転部材)および動力伝達ギアG1c(第3回転部材)の少なくとも一方が、動力伝達ギアG2(第4回転部材)と接触する位置で停止するため、必要以上に相対位置保持部材17が動力伝達ギアG1a(第1回転部材)の回転軸を中心として回転動作することを防止することができる。これにより、必要以上に動力伝達ギアG1b(第2回転部材)および動力伝達ギアG1c(第3回転部材)の少なくとも一方が動力伝達ギアG2(第4回転部材)と接触することを抑制でき、故障等が生じるのを抑制することができる。また、ピンP1,P2により、動力伝達ギアG1b,G1cと動力伝達ギアG2とが強くかみ合うことを防止して、動力伝達ギアG1b,G1cと動力伝達ギアG2とがスムーズに回転することが可能となる。このため、動力伝達ギアG1b,G1cと動力伝達ギアG2との動力伝達の損失が抑制される。また、動力伝達ギアG1b,G1cと動力伝達ギアG2とが強くかみ合うことによる騒音の発生を抑制することができる。
また、本実施形態に係る動力伝達機構は、平面視において、動力伝達ギアG2(第4回転部材)の周囲に配置され、動力伝達ギアG2(第4回転部材)の回転とともに回転動作する動力伝達ギアG3(第5回転部材)を備えている。
上記構成によれば、動力伝達ギアG2(第4回転部材)の周囲に配置され、動力伝達ギアG2(第4回転部材)の回転とともに回転動作する動力伝達ギアG3(第5回転部材)を備えることで、動力伝達軸の動力を伝達できる距離や位置を任意に変更することができ、利便性に優れる。
また、本実施形態に係る錠開閉装置1は、遠隔操作によりサムターンSを回転動作させて扉Dを施錠および開錠する錠開閉装置である。錠開閉装置1は、サムターンSを回転動作させるためのモータ13(動力源)からの動力を伝達する回転軸C1a(動力伝達軸)と、扉DのサムターンSを回転させるためのサムターンの挟持部材16(サムターン回転部)と、回転軸C1a(動力伝達軸)と、サムターンの挟持部材16(サムターン回転部)との間に介在し、回転軸C1a(動力伝達軸)からの動力の伝達および遮断が可能な動力伝達機構とを有している。
動力伝達機構は、モータ13(動力源)の回転軸C1a(動力伝達軸)に間接的もしくは直接的に連結され、回転軸C1a(動力伝達軸)の回転とともに回転動作する動力伝達ギアG1a(第1回転部材)と、平面視において、動力伝達ギアG1a(第1回転部材)の周囲の異なる位置に各々配置され、動力伝達ギアG1a(第1回転部材)の回転とともに回転動作する動力伝達ギアG1b,G1c(第2,第3回転部材)と、動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)から離間して配置され、動力伝達ギアG1b(第2回転部材)または動力伝達ギアG1c(第3回転部材)の少なくとも一方と接触して動力伝達ギアG1b(第2回転部材)または動力伝達ギアG1c(第3回転部材)の回転にともない回転動作し、該回転動作をサムターンSの挟持部材16(サムターン回転部)へ伝達することでサムターンSを回転させる動力伝達ギア(第4回転部材)とを備え、動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)は、回転軸C1a(動力伝達軸)が回転すると、回転軸C1a(動力伝達軸)の回転にともない互いの相対位置を保ったまま動力伝達ギアG1a(第1回転部材)の回転軸C1aを中心として回転動作して動力伝達ギアG1b(第2回転部材)または動力伝達ギアG1b(第3回転部材)が動力伝達ギア(第4回転部材)と接触し、回転軸C1a(動力伝達軸)の動力が動力伝達ギアG1a,G1b(第1,第2回転部材)または動力伝達ギアG1a,G1c(第1,第3回転部材)を介して動力伝達ギア(第4回転部材)に伝達される。
上記構成によれば、回転軸C1a(動力伝達軸)の回転により、動力伝達ギアG1a〜G1c(第1〜第3回転部材)は、動力伝達軸の回転にともない互いの相対位置を保ったまま動力伝達ギアG1a(第1回転部材)の回転軸C1aを中心として回転動作し、動力伝達ギアG1b(第2回転部材)または動力伝達ギアG1c(第3回転部材)が動力伝達ギア(第4回転部材)と接触して、回転軸C1a(動力伝達軸)の動力が動力伝達ギアG1a,G1b(第1,第2回転部材)または動力伝達ギアG1a,G1c(第1,第3回転部材)を介して動力伝達ギアG2(第4回転部材)に伝達される。また、回転軸C1a(動力伝達軸)を反対方向へ回転させることで動力伝達ギアG1b(第2回転部材)または動力伝達ギアG1c(第3回転部材)が動力伝達ギアG2(4回転部材)と離れるため動力の伝達が遮断される。このため、モータ等の駆動部に負荷をかけることなく、手動でサムターンSを回転させて扉Dを施錠または開錠することができ、電池がなくなった場合や緊急時(例えば、火事や地震)に手動で解錠または施錠を行うことができる。
また、本実施形態に係る錠開閉装置1は、動力伝達ギアG1a(第1回転部材)および動力伝達ギアG2(第4回転部材)の回転軸C1a,C2を支持する一対の支持部材18,19を備えている。
上記構成によれば、動力伝達ギアG1a(第1回転部材)と動力伝達ギアG2(第4回転部材)の回転軸C1a,C2の上端側および下端側の両端部側が支持されるので、回転軸C1a,C2がぶれずにスムーズに回転することができる。このため、回転軸C1a(動力伝達軸)からの動力が損なわれず、エネルギー効率のよいものとなる。
また、本実施形態に係る錠開閉装置1によれば、サムターンSを回転させる動力伝達ギアG3(もしくは動力伝達ギアG2)の回転角度に制限がないため、扉Dの施錠時と解錠時とのサムターンSの回転量(角度差)異なる扉D、例えば、施錠時と解錠時とのサムターンSの回転量(角度差)が90度の扉、180度の扉、270度の扉、360度の扉等、種々の仕様の扉に適用することができる。