JP6308665B2 - 車両用シートのシートベルト装置 - Google Patents
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Description
三点保持式のシートベルト(三点式シートベルト)においては、牽引付勢力のもとでウェビングを巻き取って収納したリトラクタが、たとえば車体のピラーに内蔵され、リトラクタから延びたウェビングの先端が、車両用シートの上端よりも上方でピラー(壁面)に設けられたウェビング取り出し口から延出している。そして、ウェビングに取り付けられたタングを手で掴んでウェビングをリトラクタから引き出してシートクッション側部のバックルに差し込むことによって、上半部のウェビング(ショルダウェビング)が着座者の肩口から斜めに着座者に掛け渡されるとともに、下半部のウェビング(ラップウェビング)が着座者の腰部に掛け渡されて着座者を車両用シート上に拘束している。
最近では、フロントシートだけでなく、リアシートにおいてもシートベルトの装着が義務付けられている。
特開2010−173358号公報では、ピラーに第一の高さ調整機構、ピラー側のシートバック側面上部に第二の高さ調整機構が取り付けられ、第一、第二の高さ調整機構により着座者の肩口から延びるショルダウェビングの上端の高さ(位置)を調整して隙間を小さくしている。
第一、第二の調整機構は、ベース部材、スライド部材の組み合わせからそれぞれ構成されている。ベース部材は、上下に延びる略平板状に形成され、第一、第二の調整機構のベース部材は、ピラー壁面、ピラー側のシートバック側面にそれぞれ取り付けられている。スライド部材は、各ベース部材上を上下にスライドし、ベース部材上の任意の位置(高さ)にロック可能に取り付けられている。第一の調整機構のスライド部材にはウェビングの挿通する挿通孔、第二の調整機構のスライド部材にはウェビングを係止するフックがそれぞれ設けられている。
ピラーのウェビング取り出し口から延出されたショルダウェビングは、ガイドアンカーの挿通孔に挿通されて着座者の肩口から腰部へ掛け渡される。
通常時、ガイドアンカーの本体はピラー側のシートバック上端に位置し、ピラーのウェビング取り出し口から延出されたショルダウェビングは、本体の挿通孔に挿通され、着座者の肩口へと掛け渡される。側面衝突等の緊急時には、たとえばインフレーターからなる駆動機構が作動し、ガイドアンカーをピラー側のシートバック上端からシートバック側面に揺動させる。
しかし、第二の高さ調整機構はピラー側のシートバック側面上部に取り付けられている。そのため、第二の高さ調整機構のベース部材に対するスライド部材の上下位置を調整してショルダウェビングを延ばしたとしても、ショルダウェビング、体格の小さな着座者の肩口の間には車両用シート幅方向の隙間(距離)が生じる。この隙間は、一般的な体格の着座者が着座した場合の隙間よりも大きいため、緊急時においてショルダウェビングを引き締めて着座者を拘束することができず、サブマリン現象を抑制することが難しい。
しかし、ガイドアンカーの位置を変更するための電動駆動機構が必要とされ、構成が複雑になる。
しかし、ガイドアンカーの揺動範囲を着座者の体格に合わせて設定することができないため、緊急時に体格の小さな着座者を十分に保持することができないおそれがある。また、緊急時に作動するインフレーター等が駆動機構として必要とされ、構成が複雑になる。そして、緊急時に駆動機構が作動しない場合は着座者を拘束してサブマリン現象を抑制することができなくなるおそれが否定できない。
すなわち、ピラーのウェビング取り出し口から延出するウェビングのタングをシートクッション側部のバックルに差し込むことによって、上半部のウェビングがショルダウェビングとして着座者の肩口から斜めに着座者に掛け渡されるとともに、下半部のウェビングがラップウェビングとして着座者の腰部に掛け渡されて着座者を車両用シート上に拘束する車両用シートのシートベルト装置であって、シートバックの前面上部を切り欠いて着座者の肩口の脇部に凹部が形成され、ストライカの自由端は押力により押し込み可能とされるとともに、押力を除くとストライカの弾性力で押し込み前の位置に戻され、ウェビングの一部が略U形状に折り返され、その折り返し部が、押し込んだストライカの自由端からストライカに挿通、係止され、押力を除くとストライカが押し込み前の位置に戻されて、ショルダウェビングが着座者の肩口から斜めに着座者に掛け渡されている。
また、シートバックの前面上部に凹部を形成して凹部内に係止手段を設けるだけで足り、電動やインフレーターによる駆動機構は必要ないため、構成が簡単になる。さらに、係止手段はシートバックの前面上部の凹部内に設けられているため、着座者の背中に係止手段が当接することはなく、着座の妨げにならない。
シートベルトの装着された車両用シート10においては、図1に示すように、たとえば、2つのシート12(12L、12R)がリアシートとして並置されている。左右のシート(リアシート)12L、12Rはシートクッション14と、シートクッションに対して前倒し可能に連結されたシートバック16とを備え、シートベルト18がシートに装着されている。また、ヘッドレスト17がシートバック16の上面に設けられている。
なお、矢印のように、車両用シート10の前後方向をFr、Rr、左右方向をL、Rでそれぞれ示す。
以下、特に断りが無ければ、符号18cはショルダウェビング18c1を示す。
図1(A)(B)に示すように、係止手段30は、凹部20内に配置された別のバックル(第2のバックル)18e2とされ、ショルダウェビング18cに取り付けられた第2のタング(中間タング)18d2は第2のバックルに差し込まれて係止される。
なお、第2のバックル18e2の形状、構成等はこれに限定されず、第2のタング(中間タング)18d2が係止しやすいように、第2のバックルの係合口18e2’が斜め上方を向くように凹部20内に埋設してもよい。また、第2のバックル18e2は、図1(B)(C)では凹部20内にほぼ隙間なく埋設、固定されているが、凹部内に設けられた揺動軸(図示しない)を中心に凹部内をバックルが揺動可能とされる構成であってもよい。第2のバックル18e2が凹部20内に揺動可能に取り付けられれば、第2のバックルの方向を自在に調整して係合口18e2’に第2のタング18d2を差し込みやすくすることができる。
なお、図1(B)(C)に示すように、ショルダウェビング18cはその幅が左右に延びるように掛け渡されるのに対し、第2のバックル18e2はその係合口18e2’が上下に延びるように凹部20内に埋設されている。そのため、ショルダウェビング18cを図1(C)に示すように捩じってショルダウェビングの幅方向を左右から上下に変更し、第2のタング18d2を係合口18e2’に差し込んでいる。しかし、バックルの係合口18e2’が左右に延びるようにバックル18e2を凹部20内に埋設すれば、ショルダウェビング18cを捩じることなく第2のタング18d2を係合口に差し入れることができる。
また、一般的な体格の着座者の場合は、凹部内の係止手段30を用いることなく、周知のシートベルト装置と同様にタング18d1、18d2のいずれかをバックル18e1に係止して使用する。つまり、一般的な体格の着座者の場合は係止手段30の係止をせずにショルダウェビング18cを掛け渡せばよく、この場合においても緊急時においては通常どおり、リトラクタ18aがショルダウェビング18cを引き締めれば着座者を車両用シート上に拘束することができる。一般的な体格の着座者であっても、その背中等に凹部内の係止手段が当接することはなく、着座の妨げにならないことはいうまでもない。
この実施例2において、上記実施例(実施例1)と共通する構成部材については同じ参照符号を付してその説明を省略し、実施例1と異なる構成を主として説明する。
係止手段30が、実施例1では凹部20に埋設されたバックル18e2であるのに対して、実施例2では凹部内に設けられたストライカである点が相違している。
図3(A−1)に示すストライカ32にショルダウェビング18cを係止するには、たとえば、凹部20内でストライカの自由端32aを後方へ押し込む(図3(A−2))。そして、自由端32a、凹部のシート内方側の側面20S’間からショルダウェビング18cの折り返し部を差し入れ(図3(A−3))、ストライカ32に挿通させる。
また、凹部20内にストライカ32を設け、ショルダウェビング18cの折り返し部を挿通させるだけで足り、構成が簡単になる。さらに、ストライカ32は凹部内に収納されており、着座者の着座の妨げにならないことはいうまでもない。そして、一般的な体格の着座者の場合は係止手段(ストライカ32)の係止をせずにショルダウェビングを掛け渡せば、緊急時にショルダウェビングを引き締めて着座者を車両用シートに拘束することができ、サブマリン現象が抑制される。そして、一般的な体格の着座者であっても、体格の小さな着座者の場合と同様に、ストライカ32が着座の妨げになることはない。
また、図3(B−1)のようにストライカの自由端32aを折曲すれば、ショルダウェビング18cの横滑りや自由端からのショルダウェビングの脱落を確実に防止できる。
さらに、図3(A−1)ではストライカの自由端32aを後方に折曲させているが、前方に折曲してショルダウェビング18cを挿通させてもよい。また、ストライカの自由端32aを前後に折曲せず、自由端、凹部のシート内方側の側面20S’間からショルダウェビング18cの折り返し部を差し入れて、ショルダウェビングをストライカに挿通させてもよい。
図4(A)(B)は他の変形例における車両用シートの一部破断の後方斜視図、概略平面図、(C)は門型のストライカの斜視図、図5(A)はロック手段の概略正面図、(B−1)〜(B−3)はロック手段のラッチの動作図をそれぞれ示す。
そして、このブラケット49にストライカの固定端32cが接続、固定される。
緊急時において、ストライカ32(係止手段30)を介してショルダウェビング18cを掛け渡した着座者に前方への慣性力が作用すると、その慣性力はショルダウェビングを経由してストライカに伝達される。ストライカの固定端32cがブラケット49に接続、固定されていれば、緊急時の慣性力がブラケットを介してロック手段40のユニットへ逃げる。
また、所定の位置に固定されて左右方向に延びた軸、たとえば、ラッチの軸44Sをストライカとしてそのまま利用してもよいし、ストライカの固定端32cがシートバックフレームのサイドフレームに固定されていてもよい。
この実施例3において、上記実施例(実施例1、2)と共通する構成部材については同じ参照符号を付してその説明を省略し、実施例1、2と異なる構成を主として説明する。
実施例1、2の凹部はシートバックの前面上部を切り欠いて形成されていたのに対して、実施例3の凹部はシートバックの前面上部を貫通して形成されている点が相違している。さらに、係止手段が、実施例1では凹部内の第2のバックル、実施例2では凹部内のストライカであるのに対して、実施例3では凹部(貫通凹部)の背後に設けられたストライカである点が相違している。
図6(A)に示すようにストライカの自由端132aはたとえば上方に折曲されているが、この形状に限定されない。しかし、ストライカの自由端132aを折曲すれば、ショルダウェビング18cの横滑りや、自由端からの脱落を防止することができる。また、たとえば、図3(A−1)に示すように、ストライカ132の中央部を折曲させて段付き形状とすれば、同様にショルダウェビング18cの横滑り、脱落を防止することができる。また、図3(B−1)に示すように、ストライカの自由端132aを折り返した形状にしてもよい。
シートバックの前面上部16Fを貫通して貫通凹部120を形成し、貫通凹部の背後にストライカ132を設けるだけで足り、構成が簡単になる。ストライカ132は貫通凹部120の背後に配置されているため、着座者の着座の妨げにならないことはいうまでもない。
そして、一般的な体格の着座者の場合は係止手段(ストライカ132)の係止をせずにショルダウェビングを掛け渡せば、緊急時にショルダウェビングを引き締めて着座者を車両用シートに拘束することができ、サブマリン現象が抑制される。そして、体格の小さな着座者の場合と同様に、一般的な体格の着座者であっても、ストライカ132が着座の妨げになることはない。
14 シートクッション
16 シートバック
18 シートベルト
18b ピラー
18c1(18c)、18c2 ショルダウェビング、ラップウェビング
18d1、18d2 第1、第2のタング(中間タング)
18e1、18e2 第1、第2のバックル
20、120 凹部、貫通凹部
30、130 係止手段
32、132 ストライカ
40 ロック手段
42 門型のストライカ
44 ラッチ
46 ベースプレート
48 カバープレート
49 ブラケット
Claims (8)
- ピラーのウェビング取り出し口から延出するウェビングのタングをシートクッション側部のバックルに差し込むことによって、上半部のウェビングがショルダウェビングとして着座者の肩口から斜めに着座者に掛け渡されるとともに、下半部のウェビングがラップウェビングとして着座者の腰部に掛け渡されて着座者を車両用シート上に拘束する車両用シートのシートベルト装置であって、
シートバックの前面上部を切り欠いて着座者の肩口の脇部に凹部が形成され、
内端を自由端とした片持ち形状のストライカが凹部に設けられ、
ストライカの自由端は押力により押し込み可能とされるとともに、押力を除くとストライカの弾性力で押し込み前の位置に戻され、
ウェビングの一部が略U形状に折り返され、その折り返し部が、押し込んだストライカの自由端からストライカに挿通、係止され、
押力を除くとストライカが押し込み前の位置に戻されて、ショルダウェビングが着座者の肩口から斜めに着座者に掛け渡される車両用シートのシートベルト装置。 - ストライカが、シートバックフレームのサイドフレームに固定されている請求項1記載の車両用シートのシートベルト装置。
- ピラーのウェビング取り出し口から延出するウェビングのタングをシートクッション側部のバックルに差し込むことによって、上半部のウェビングがショルダウェビングとして着座者の肩口から斜めに着座者に掛け渡されるとともに、下半部のウェビングがラップウェビングとして着座者の腰部に掛け渡されて着座者を車両用シート上に拘束する車両用シートのシートベルト装置であって、
シートバックの前面上部を切り欠いて着座者の肩口の脇部に凹部が形成され、
内端を自由端とした片持ち形状のストライカが凹部に設けられ、
ウェビングの一部を略U形状に折り返して、その折り返し部をストライカに係止させて、ショルダウェビングが着座者の肩口から斜めに着座者に掛け渡され、
門型のストライカとストライカに係合されるラッチとを持ち、ストライカへのラッチの係合によってシートバックを起立位置に固定するロック手段がシートバック、ピラー間に設けられ、
シートバックに設けられた門型のストライカ、ラッチのいずれかに、前記片持ち形状のストライカが接続されて、その自由端がシートの中央方向に延出している車両用シートのシートベルト装置。 - シートバックに設けられた門型のストライカまたはラッチが、シートバックフレームのサイドフレームに接続されている請求項3記載の車両用シートのシートベルト装置。
- ピラーのウェビング取り出し口から延出するウェビングのタングをシートクッション側部のバックルに差し込むことによって、上半部のウェビングがショルダウェビングとして着座者の肩口から斜めに着座者に掛け渡されるとともに、下半部のウェビングがラップウェビングとして着座者の腰部に掛け渡されて着座者を車両用シート上に拘束する車両用シートのシートベルト装置であり、
シートバックの前面上部から貫通して着座者の肩口の脇部に貫通凹部が形成され、
内端を自由端とした片持ち形状のストライカが、シートバックの貫通凹部の背後でピラーから突出して設けられ、
ウェビングの一部を略U形状に折り返して、その折り返し部を貫通凹部に挿通しピラーのストライカに係止させて、ショルダウェビングが着座者の肩口から斜めに着座者に掛け渡される車両用シートのシートベルト装置。 - 前記片持ち形状のストライカを段付き形状に成形してウェビングの横滑りを妨げる段部を設けた請求項1〜5のいずれか記載の車両用シートのシートベルト装置。
- 前記片持ち形状のストライカの自由端を折曲してウェビングの横滑りを妨げた請求項1〜5のいずれか記載の車両用シートのシートベルト装置。
- 前記ピラーのストライカがシートバック背面方向に変形したとき、ストライカを支える支えをシートバック背面に設けた請求項5記載の車両用シートのシートベルト装置。
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