a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。図1は第1実施形態に係る鍵盤装置を右から見た概略側面図であり、図2は前記鍵盤装置の概略平面図である。なお、図1においては、鍵盤装置の前後方向を左右方向とし、鍵盤装置の上下方向を上下方向とする。そして、本明細書では、図1及び図2の左側を前側とし、かつ右側を後側として説明するとともに、図2の上下方向を横方向(左右方向)として説明する。
この鍵盤装置は、演奏者によって押離鍵操作される複数の白鍵11w及び複数の黒鍵11bを備えている。白鍵11wは、前後方向に長尺状に形成されるとともに下方を開放させた断面コ字状に形成されて、鍵フレーム31の平板状の上板部31a上に配置されている。鍵フレーム31は、合成樹脂により金型を用いて成形される。ただし、鍵フレーム31は、全体を一体成形することもあるし、複数の成形部品を組み合わせることもある。鍵フレーム31は、上板部31aの前端及び後端から下方に延設された平板状の脚部31b,31cを有し、脚部31b,31cの下端部分にて楽器内に設けたフレームFR上に固定されている。鍵フレーム31の上板部31aの後端から少し前の後部の上面上には、白鍵11wの内側にて対向する一対の板状の白鍵11w用の鍵支持部32wが立設固定されている。鍵支持部32wの上部には、互いに対向する位置にてそれぞれ外側に突出した突出部が設けられ、突出部を白鍵11wの両側面後端部に設けた貫通孔に内側から回転可能に侵入させている。これにより、白鍵11wは、鍵支持部32wにより揺動可能に支持され、前端部を上下方向に変位させる。以下の説明では、この白鍵11wの揺動中心を揺動軸Cwとする。
黒鍵11bは、前部上面が高くなっている形状こそ異なるが、他の構成は白鍵11wと同様であり、鍵フレーム31の平板状の上板部31a上に配置されている。鍵フレーム31の上板部31aの後端部の上面上には、黒鍵11bの内側にて対向する一対の板状の黒鍵11b用の鍵支持部32bが立設固定されている。鍵支持部32bの上部にも、互いに対向する位置にてそれぞれ外側に突出した突出部が設けられ、突出部を黒鍵11bの両側面後端部に設けた貫通孔に内側から回転可能に侵入させている。これにより、黒鍵11bは、鍵支持部32bにより揺動可能に支持され、前端部を上下方向に変位させる。以下の説明では、この黒鍵11bの揺動中心を揺動軸Cbとする。そして、詳しくは後述するが、反力発生部材21のドーム部21w1,21b1が白鍵11w及び黒鍵11bの押鍵時に同様な動作をするように、鍵支持部32bを鍵支持部32wよりも後方に位置させて、揺動軸Cbを揺動軸Cwよりも後方に位置させている。
鍵フレーム31の上板部31aの上面には、白鍵11wの前端部の下方位置にて鍵ガイド33wが立設しており、黒鍵11bの前端部の下方位置にて鍵ガイド33bが立設している。鍵ガイド33w,33bは白鍵11w及び黒鍵11b内にそれぞれ摺動可能に侵入しており、白鍵11w及び黒鍵11bは、それらの上下方向の揺動時に左右方向に変位しないようになっている。
白鍵11w及び黒鍵11bの前後方向の中央部の下方には、白鍵11w及び黒鍵11bの押鍵操作に対して反力を付与する反力発生部材21が設けられている。反力発生部材21は、複数のドーム部21w1,21b1、複数のトップ部21w2,21b2及びベース部21dからなり、弾性を有するゴムにより一体成形されている。反力発生部材21は、べース部21dに設けた貫通孔21d1に、支持部31dに設けたピン31eを貫通させて、支持部31dの上面にベース部21dの下面を密着させて固定されている。支持部31dは、鍵フレーム31の上板部31aに傾斜して設けられている。白鍵11w及び黒鍵11bの下面には、反力発生部材21の複数のトップ部21w2,21b2の上面に対向する位置にて、押鍵時にトップ部21w2,21b2を上方から押圧する平板状の押圧部11w1,11b1が設けられている。なお、押圧部11w1,11b1の下面は平面でなくても、球面などであってもよい。また、押圧部11w1,11b1を、白鍵11w及び黒鍵11bの内部上面から下方に突出させた十字型、H字型等のリブなどで構成してもよい。
また、この鍵盤装置は、押圧部11w1,11b1と鍵支持部32w,32bのそれぞれ中間位置にて、白鍵11w及び黒鍵11bと、鍵フレーム31の上板部31aとの間にそれぞれ組み込まれた白鍵11w用のスプリング34w及び黒鍵11b用のスプリング34bを備えている。スプリング34w,34bは、白鍵11w及び黒鍵11bを上板部31aに対して上方に付勢している。なお、これらのスプリング34w、34bは、コイル状でなくても、白鍵11w及び黒鍵11bを上方に付勢することができれば、板ばねのようなスプリングでもよい。
白鍵11wは、その前端部から下方に延設させた延設部11w2を備え、延設部11w2の下端には前方に突出させた係合部11w3が設けられ、係合部11w3は鍵フレーム31の上板部31aに設けた貫通孔を介して、上板部31aの下方に上方から侵入している。また、鍵フレーム31の上板部31aの前端部下面には上限ストッパ部材35wが設けられている。上限ストッパ部材35wは、フェルトのような緩衝部材により構成されており、白鍵11wの係合部11w3との当接により、白鍵11wの前端部の上方への変位を規制する。また、鍵フレーム31の上板部31aの前端部上面には下限ストッパ部材36wが設けられている。下限ストッパ部材36wも、フェルトのような緩衝部材により構成されており、白鍵11wの前端部下面との当接により、白鍵11wの前端部の下方への変位を規制する。
黒鍵11bは、その前端部から下方に延設させた延設部11b2を備え、延設部11b2の下端には後方に突出させた係合部11b3が設けられ、係合部11b3は鍵フレーム31の上板部31aに設けた貫通孔を介して、上板部31aの下方に上方から侵入している。また、鍵フレーム31の上板部31aの中間部下面には上限ストッパ部材35bが設けられている。上限ストッパ部材35bも、フェルトのような緩衝部材により構成されており、黒鍵11bの係合部11b3との当接により、黒鍵11bの前端部の上方への変位を規制する。また、鍵フレーム31の上板部31aの中間部上面には下限ストッパ部材36bが設けられている。下限ストッパ部材36bも、フェルトのような緩衝部材により構成されており、黒鍵11bの前端部下面との当接により、黒鍵11bの前端部の下方への変位を規制する。
また、鍵フレーム31の上板部31aの下面であって反力発生部材21の若干後方位置には、電気回路基板37が上板部31aと平行になるように固定されている。電気回路基板37の上面には、白鍵11w及び黒鍵11bのためのドーム状の鍵スイッチ38w,38bがそれぞれ固定されている。鍵スイッチ38w,38bは、白鍵11w及び黒鍵11bの押鍵時に、白鍵11w及び黒鍵11bの下面から突出させた突出部で押圧されてオフ状態からオン状態に変化して、白鍵11w及び黒鍵11bの押離鍵操作を検出する。なお、この鍵スイッチ38w,38bによる押離鍵操作の検出は、楽音信号の発生制御に利用される。
次に、支持部31d、ピン31e及び反力発生部材21について、図3の縦断面図を用いて詳しく説明する。支持部31dは厚さを均一にした平板であって、その上面と下面は平行であり、板厚方向Dpは支持部31dの上面及び下面と直交する方向である。支持部31dには、その上面の適宜箇所にて、先端部分のみを半球状に形成した円柱状のピン31eが設けられている。すわなち、ピン31eの軸心Yp回りの直径は、先端部分(べース部21dから突出した部分)を除いて全て同じである。また、このピン31eは支持部31dの上面に垂直に立設されており、軸心Ypは板厚方向Dpと平行である。このピン31eは支持部31dと一体的に樹脂を用いて型成形されるもので、型抜き方向は、板厚方向Dp及び軸心Ypの方向である。
反力発生部材21は、前述のように、複数のドーム部21w1,21b1、複数のトップ部21w2,21b2及びベース部21dからなり、弾性を有するゴムにより一体成形されている。そして、べース部21dに設けた貫通孔21d1内にピン31eを圧入することにより、反力発生部材21は支持部31d上に固定されている。
複数のドーム部21w1及びトップ部21w2は、白鍵11wの押鍵時に押圧部11w1によりそれぞれ押圧されて、複数の白鍵11wの押鍵操作に対して反力をそれぞれ付与するものである。複数のドーム部21b1及びトップ部21b2は、黒鍵11bの押鍵時に押圧部11b1によりそれぞれ押圧されて、複数の黒鍵11bの押鍵操作に対して反力をそれぞれ付与するものである。複数のドーム部21w1及びトップ部21w2と、複数のドーム部21b1及びトップ部21b2は、それぞれ同一の形状及び大きさを有し、前後方向の同じ位置にて横方向に一列にベース部21d上に配置されている(図2参照)。
ドーム部21w1,21b1は、上部から下方に向かって軸心Yw,Yb回りの径(径方向長さ)を全周に渡ってそれぞれ徐々に増加させて、上方からの押圧により変形し易い薄肉のドーム状にそれぞれ形成されており、下端部を円形にそれぞれ開口させている。ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する断面形状はそれぞれ円形である。そして、ドーム部21w1,21b1は、上方からの押圧力の増加により弾性変形して反力をそれぞれ徐々に増加させるとともに、反力がピークに達した後に座屈変形によって反力をそれぞれ急激に減少させる。トップ部21w2,21b2は、上面が開放された円筒状にそれぞれ形成されていて、下面にてドーム部21w1,21b1の上面にそれぞれ接続されている。トップ部21w2,21b2は全周にわたってそれぞれ均一の高さに設定され、その上面は平面である。トップ部21w2,21b2の軸心はドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybとそれぞれ同じであり、トップ部21w2,21b2の上面の法線は軸心Yw,Ybの方向とそれぞれ平行である。なお、トップ部21w2,21b2は、上方から押圧されてもほとんど変形しない。
ドーム部21w1及びトップ部21w2の軸心Ywと、ドーム部21b1及びトップ部21b2の軸心Ybは平行であり、それらの上部は前方に位置するように若干傾いている。これらの軸心Yw,Ybの方向は、ドーム部21w1,21b1による反力がピークに達したとき、白鍵11w及び黒鍵11bの押圧部11w1,11b1による押圧方向と一致するようになっている。そして、押圧部11w1,11b1の下面(押圧面)の法線が反力ピーク時において軸心Yw,Ybと平行になるように、押圧部11w1,11b1は形成されている。これらの押圧方向は、白鍵11wの押圧部11w1の揺動軸Cw回りの回転方向、及び黒鍵11bの押圧部11b1の揺動軸Cb回りの回転方向とそれぞれ同じである。一方、演奏において、白鍵11wの押鍵時における白鍵11wの前端の下方への変位量と、黒鍵11bの押鍵時における黒鍵11bの前端の下方への変位量とをほぼ等しくする必要がある。そして、黒鍵11bの前端は白鍵11wの前端よりも後方に位置するので、前述のように、黒鍵11bの揺動軸Cbを白鍵11wの揺動軸Cwに比べて後方に位置させている。
言い換えれば、押鍵時における白鍵11w及び黒鍵11bの前端の下方への変位量をほぼ等しくするという条件下で、ドーム部21w1,21b1を前後方向の同一位置にて横方向に一列に配置するとともに軸心Yw,Ybをそれぞれ同一方向とし、かつドーム部21w1,21b1の反力ピーク時における押圧部11w1,11b1による押圧方向(すなわち、押圧部11w1,11b1の揺動軸Cw,Cb回りの回転方向)と一致させるために、白鍵11w及び黒鍵11bの揺動軸Cw,Cbの前後位置が設定される。ただし、白鍵11wの押圧部11w1の下面位置は、黒鍵11bの押圧部11b1の下面位置よりも若干高い。なお、押圧部11w1,11b1の下面位置を異ならせるのに代えて、白鍵11w用のトップ部21w2の軸心Ywの方向の長さを、黒鍵11b用のトップ部21b2の軸心Ybの方向の長さよりも若干長くするようにしてもよい。
ベース部21dは、ドーム部21w1,21b1の下面に連続して接続されて、ドーム部21w1,21b1の下端から外側に板状に延設されている。ベース部21dは、平面視で横方向に長尺の長方形状であり(図2参照)、かつ上下方向に厚肉に形成されて、その横方向に直交する縦断面形状は前端を後端よりも厚く構成した台形である。ベース部21dの上面及び下面も平面であり、その上面は、ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交していて、ドーム部21w1,21b1の上部内面及びトップ部21w2,21b2の上面と平行である。ベース部21dの下面は、反力発生部材21の支持部31dへの組み付け固定時において、支持部31dの上面に密着する。この場合、ベース部21dの下面の上面に対する角度θp1、すなわちべース部21dの下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1は、軸心Yw,Ybと支持部31dの板厚方向Dpとが成す角度θp2に等しい。なお、図3のP1はベース部21dの上面に平行な平面、すなわち軸心Yw,Ybに直交する平面を示している。
ベース部21dには、上部を下部よりも小径にした円錐台状の貫通孔21d1が形成されている。べース部21dの上面位置における貫通孔21d1の形状は円形であり、その内径は先端部以外のピン31eの外径よりも若干小さく、その中心はピン31eの軸心Yp上に位置する。べース部21dの下面位置における貫通孔21d1の形状も円形であるが、その内径は前記上面位置における内径よりも大きく、その中心はピン31eの軸心Yp上に位置しない。そして、この貫通孔21d1内にピン31eを下方から侵入させて圧入することにより、反力発生部材21は支持部31d上に固定されている。この場合、べース部21dの上面における貫通孔21d1回りの部分が圧縮され、その弾性力及び摩擦力により、反力発生部材21は支持部31d上に固定される。
さらに、この貫通孔21d1の形状について詳しく説明すると、その内側面の傾斜角度は、次のように設定されている。この場合、べース部21dの上面位置における平面において、ピン31eの軸心Ypと交差し、かつドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybと平行な直線をLdとする。また、ピン31eの軸心Ypと直線Ldとが成す角度θp3とする。この場合、ピン31eの軸心Ypは板厚方向Dpと平行であり、直線Ldはドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybとそれぞれ平行であるので、角度θp3は前述した角度θp1,θp2にそれぞれ等しい。
ここで、軸心Ypと直線Ldを含む平面を想定する。そして、想定した平面と、貫通孔21d1の内側面とが交差する一対の内側面(すなわち一対の直線)のうちで、軸心Ypがべース部21dの上面よりも下方にて直線Ldに対して傾いている側にある内側面(図示右側の内側面)をIn1とする。また、前記一対の内側面のうちの他方の内側面、すなわち直線Ldがべース部21dの上面よりも下方にて軸心Ypに対して傾いている側にある内側面(図示左側の内側面)をIn2とする。内側面In1の延設方向は、軸心Ypと平行であり、上方から下方に向かって直線Ld(ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向)に対して外側に広がっている。一方、内側面In2の延設方向は、直線Ldすなわちドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行である。なお、貫通孔21d1は、反力発生部材21を弾性体で型成形した際に形成されるものであり、この第1実施形態では、貫通孔21d1はべース部21dの上面を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。したがって、貫通孔21d1を含み、ドーム21w1,21b1、トップ部21w2,21b2及びべース部21dからなる反力発生部材21は、薄肉のドーム部21w1,21b1を無理抜きすることなく、型成形により容易に製造される。
また、反力発生部材21の支持部31dへの組み付けにおいては、前述のように、複数の貫通孔21d1内に複数のピン31eをそれぞれ侵入させて圧入することにより、反力発生部材21が支持部31d上に固定される。この組み付けにおいては、貫通孔21d1の内側面In1をピン31eの図3の右側面に当接させながら、反力発生部材21をピン31eの軸心Ypの方向(すなわち支持部31dの板厚方向Dp)に押して、貫通孔21d1内にピン31eを押し込ませる。この場合、貫通孔21d1の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eは貫通孔21d1内に内側面In1に沿って軸心Ypの方向にスムーズに侵入する。
そして、貫通孔21d1内にピン31eをさらに押し込めば、べース部21dの上面位置における貫通孔21d1の内径はピン31eの外径よりも若干小さいので、貫通孔21d1の内側面上端部がピン31eの軸心Ypの方向の一部にてピン31eの外周面に全周に渡って接触して、ピン31eの外周面に接触する貫通孔21d1内の内側面上端部が変形するので、反力発生部材21は支持部31dに固定される。この場合、貫通孔21d1の内側面に接触するピン31eの外周面部分は、軸心Ypの方向に短くても、べース部21dの内側面上端部が軸心Ypの方向にほぼ直交する方向に大きく変形して、べース部21dは大きな力でピン31eに安定して保持される。
また、この場合、ベース部21dの下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1(すなわち、ベース部21dの下面の上面に対する角度θp1)は、軸心Yw,Ybと支持部31dの板厚方向Dpとが成す角度θp2(及びピン31eの軸心Ypと直線Ldとがなす角度θp3)に等しいので、ベース部21dの下面は板厚方向Dpと直交して支持部31dの上面と平行になる。したがって、ベース部21dの下面全体が支持部31dの上面に当接して、反力発生部材21は支持部31dの上面に密着して固定される。その結果、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
次に、前記のように構成した第1実施形態に係る鍵盤装置の動作について説明する。演奏者が白鍵11w及び黒鍵11bを押し始めると、白鍵11w及び黒鍵11bは、スプリング34w,34bの反力に抗して、揺動軸Cw,Cb回りにそれぞれ揺動を開始し、白鍵11w及び黒鍵11bの前端部が下方に変位して係合部11w3,11b3が上限ストッパ部材35w,35bから離れ、その後、押圧部11w1,11b1が反力発生部材21のトップ部21w2,21b2の上面の後側端部に当接する。そして、白鍵11w及び黒鍵11bがさらに押されると、白鍵11w及び黒鍵11bの前端部がさらに下方に変位して、押圧部11w1,11b1の押圧により反力発生部材21のドーム部21w1,21b1が全周に渡ってほぼ均等に変形し始める。これにより、演奏者は、スプリング34w,34bによる反力に加えて、ドーム部21w1,21b1の徐々に増加する反力を感じ始める。この場合のドーム部21w1,21b1の変形は軸心Yw,Ybに対してほぼ対称である。
ただし、実際には、反力発生部材21w,21bは揺動軸Cw,Cb回りに回動動作する白鍵11w及び黒鍵11bによってそれぞれ押圧され、ドーム部21w1,21b1及びトップ部21w2,21b2に対する白鍵11w及び黒鍵11bの押圧方向は白鍵11w及び黒鍵11bの回動動作に応じて多少変化するので、前記ドーム部21w1,21b1の変形は厳密には軸心Yw,Ybに対して対称ではない。しかし、前記押圧方向の変化は僅かであり、かつ反力のピーク時には、押圧部11w1,11b1の下面の法線が軸心Yw,Ybに対して平行である状態で、ドーム部21w1,21b1及びトップ部21w2,21b2が白鍵11w及び黒鍵11bによってそれぞれ押圧されるので、前記ドーム部21w1,21b1の変形は実質的に軸心Yw,Ybに対して対称であるとみなしてよい。
白鍵11w及び黒鍵11bがさらに押されると、反力発生部材21w,21bの反力がピークに達して、その後に、ドーム部21w1,21b1が座屈変形し始める。この場合のドーム部21w1,21b1の座屈は、全周にわたってほぼ同時に起こる。これにより、演奏者の押鍵に対する反力発生部材21w,21bの反力は急激に減少し、演奏者は明確なクリック感を感じる。なお、鍵スイッチ38w,38bは、この座屈よりも若干遅れて、白鍵11w及び黒鍵11bの下面から突出させた突出部の押圧によりオフ状態からオン状態に変化する。この鍵スイッチ38w,38bのオン状態への変化に応答して、図示しない楽音信号発生回路は楽音信号を発生し始める。
さらに、白鍵11w及び黒鍵11bが押されると、前記反力の急激な減少後、ドーム部21w1,21b1はさらに変形して反力を増加させる。その後、白鍵11w及び黒鍵11bの前端下面が下限ストッパ部材36w,36bに当接して、白鍵11w及び黒鍵11bの揺動は終了する。この状態では、反力発生部材21w,21bの弾性変形も終了する。
そして、白鍵11w及び黒鍵11bが離鍵されると、反力発生部材21のドーム部21w1,21b1及びスプリング34w,34bの反力により、白鍵11w及び黒鍵11bの前端部は上方に変位する。この白鍵11w及び黒鍵11bの前端部が上方へ変位して戻る過程においては、鍵スイッチ38w,38bはオン状態からオフ状態に変化して、図示しない楽音信号発生回路は楽音信号の発生停止を制御する。また、この白鍵11w及び黒鍵11bの前端部が上方へ戻る過程においては、反力発生部材21w,21bは原形に復帰し始める。さらに、白鍵11w及び黒鍵11bの前端部が上方へ変位すると、係合部11w3,11b3は上限ストッパ部材35w,35bに当接して、白鍵11w及び黒鍵11bは離鍵状態に戻る。そして、白鍵11w及び黒鍵11bの押離鍵動作が終了する。
このように構成された鍵盤装置においては、前述のように、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。そして、鍵盤装置の動作においては、前記のように支持部31dに組み付けられた反力発生部材21のドーム部21w1,21b1は、反力ピーク時に、白鍵11w及び黒鍵11bの押圧部11w1,11b1によってドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に押圧されるので、演奏者は良好な押鍵操作感覚を得ることができる。
なお、前記第1実施形態においては、反力発生部材21のべース部21d上に5つのドーム部21w1,21b1を配置した例について説明した。しかし、このドーム部21w1,21b1の数は、「5」より大きくても小さくてもよい。特に、本発明においては、べース部21d上に配置されるドーム部21w1,21b1の数を1つ、すなわち1つの白鍵11w及び黒鍵11bに対して1つのドーム部21w1,21b1を有する多数の反力発生部材21を配置するようにしてもよい。また、上記第1実施形態では、反力発生部材21に10個の貫通孔21d1を設けたが、この貫通孔21d1の数も10個以外の適当な数にしてもよい。なお、これらの第1実施形態の変形例は、後述する他の実施形態及び他の変形例にも適用される。
なお、前記第1実施形態においては、内側面In1の延設方向をピン31eの軸心Ypの方向(支持部31dの板厚方向Dp)と平行にし、かつ内側面In2の延設方向を直線Ld(すなわちドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Yb)と平行にした。しかし、下記変形例1〜3のように、内側面In1,In2の延設方向は変更可能である。なお、下記変形例1〜3においては、下記変更箇所以外は、前記第1実施形態の場合と同じである。
a1.変形例1
まず、前記第1実施形態の変形例1について説明する。変形例1においては、図4(A)に示すように、貫通孔21d1の内側面In1を前記第1実施形態の場合に比べて、下方に向かって外側に広がるようにした。すなわち、内側面In1が、ピン31eの外周面に接触するべース部21dの上面位置から、軸心Ypの方向よりも径方向外側に傾斜して下方に延設されるようにした。この変形例1においても、貫通孔21d1はべース部21dの上面から下面に向かって広がるように円錐台状に形成されているので、反力発生部材21は、べース部21dの上面を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより容易に製造される。
また、この変形例1では、貫通孔21d1の内側面In1はピン31eの軸心と平行でないので、貫通孔21d1内にピン31eを侵入させる際には、反力発生部材21を、貫通孔21d1の内周面の一部をピン31eの外周面に当接させながら、ピン31eに差し込むことができない。しかし、貫通孔21d1内にピン31eを侵入させる際には、貫通孔21d1の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eを貫通孔21d1内に軸心Ypの方向にスムーズに侵入させることができる。そして、この変形例1においても、前記第1実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
a2.変形例2
次に、前記第1実施形態の変形例2について説明する。変形例2においては、図4(B)に示すように、貫通孔21d1の内側面In2を前記第1実施形態の場合に比べて、下方に向かって外側に広がるようにした。すなわち、内側面In2が、ピン31eの外周面に接触するべース部21dの上面位置から、直線Ldの方向よりも径方向外側に傾斜して下方に延設されるようにした。この変形例2においても、貫通孔21d1はべース部21dの上面から下面に向かって広がるように円錐台状に形成されているので、反力発生部材21は、べース部21dの上面を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより容易に製造される。
また、この変形例2では、前記第1実施形態の場合と同様に、貫通孔21d1の内側面In1はピン31eの軸心と平行であるので、貫通孔21d1内にピン31eを侵入させる際には、反力発生部材21を、貫通孔21d1の内周面の一部をピン31eの外周面に当接させながら、ピン31eに差し込むことができる。また、貫通孔21d1内にピン31eを侵入させる際には、貫通孔21d1の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eを貫通孔21d1内に軸心Ypの方向にスムーズに侵入させることができる。そして、この変形例2においても、前記第1実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
a3.変形例3
次に、前記第1実施形態の変形例3について説明する。変形例3においては、図4(C)に示すように、前記変形例1と同様に、内側面In1が、ピン31eの外周面に接触するべース部21dの上面位置から、軸心Ypの方向よりも径方向外側に傾斜して下方に延設されるようにし、かつ前記変形例2と同様に、内側面In2が、ピン31eの外周面に接触するべース部21dの上面位置から、直線Ldの方向よりも径方向外側に傾斜して下方に延設されるようにした。この変形例3においても、貫通孔21d1はべース部21dの上面から下面に向かって広がるように円錐台状に形成されているので、反力発生部材21は、べース部21dの上面を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより容易に製造される。
また、この変形例3では、貫通孔21d1の内側面In1はピン31eの軸心と平行でないので、貫通孔21d1内にピン31eを侵入させる際には、反力発生部材21を、貫通孔21d1の内周面の一部をピン31eの外周面に当接させながら、ピン31eに差し込むことができない。しかし、貫通孔21d1内にピン31eを侵入させる際には、貫通孔21d1の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eを貫通孔21d1内に軸心Ypの方向にスムーズに侵入させることができる。そして、この変形例3においても、前記第1実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
a4.変形例4
次に、前記第1実施形態の変形例4について説明する。変形例4においては、図4(D)に示すように、ピン31eを先端に向かうに従って徐々に細くしている。すなわち、支持部31dの上面位置におけるピン31eの軸心Ypに直交する直径を、ピン31eの先端部の軸心Ypに直交する直径よりも僅かに大きくしている。この場合、内側面In1を、上記第1実施形態の場合に比べて、べース部21dの上面位置から僅かに径方向外側に傾斜せいて下方に延設させて、内側面In1がピン31eの図示右側側面に当接するようにしている。他の構成は、上記第1実施形態の場合と同じである。
この変形例4においても、反力発生部材21を、貫通孔21d1の内周面の一部をピン31eの外周面に当接させながら、ピン31eに差し込むことができる。また、貫通孔21d1内にピン31eを侵入させる際には、貫通孔21d1の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eを貫通孔21d1内に軸心Ypの方向にスムーズに侵入させることができる。したがって、この変形例4においても、前記第1実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
また、この変形例4のように、ピン31eを先端に向かうに従って徐々に細くした場合にも、前記変形例1乃至3のように、内側面In1,In2を変形例4の場合よりも径方向外側に傾斜して下方に延設されるようにしてもよい。このような変形例4をさらに変形した変形例においても、前記変形例1乃至3と同様な効果が期待できる。
a5.他の変形例
前記第1実施形態、及びその変形例1乃至4においては、貫通孔21d1の形状を円錐台に形成した。したがって、前記第1実施形態及びその変形例2,4では、貫通孔21d1の内側面In1は、ピン31eの外周面に直線で接する。しかし、これに代えて、前記第1実施形態及びその変形例2,4における貫通孔21d1において、内側面(直線)In1の周方向近傍位置の内側面の軸心Ypに直交する断面形状を円形にして、内側面(直線)In1の周方向近傍位置の内側面がピン31eの外周面に軸心Ypに沿って面接触するようにしてもよい。また、前記第1実施形態の変形例1,3では、貫通孔21d1の内側面がピン31eの外周面に軸心Ypの方向に沿って接しないようにした。しかし、これに代えて、前記第1実施形態の変形例1,3における貫通孔21d1において、紙面垂直方向における貫通孔21d1の幅をピン31eの直径と同じになるように、貫通孔21d1の軸心Ypに直交する断面を長円形状にして、貫通孔21d1の内側面が紙面垂直方向においてピン31eの外周面に軸心Ypに沿って接触するようにしてもよい。なお、これらの変形に関しては、後述する第2乃至第16実施形態においても適用される。ただし、貫通孔21d1及び内側面In1に関しては、各実施形態及びその変形例における、貫通孔21d2,21d3,21d1’〜21d3’,21d1”〜21d3”,21d1”’〜21d3”’,21d1””〜21d3””及び内側面In1,In11,In12にそれぞれ適宜読み換えるものとする。
b.第2実施形態
次に、上記第1実施形態の貫通孔21d1とは異なる貫通孔21d2をべース部21dに設けた第2実施形態について、図5を用いて説明する。この第2実施形態における貫通孔21d2は次のように構成されている。べース部21dの下面位置(すなわちピン31eの侵入側位置)における貫通孔21d2の形状はピン31eの軸心Ypを中心とする円形であり、その内径はピン31eの円柱状部分の外径よりも若干小さい。また、べース部21dの上面位置(すなわちピン31eの突出側位置)における貫通孔21d2の形状も円形であるが、その内径は前記下面位置の内径よりも大きく、その中心はピン31eの軸心Ypとは異なる。そして、貫通孔21d2の内側面は、下方から上方に向かうに従って内径が大きくなる円錐台状に形成されている。
そして、この貫通孔21d2の内側面の傾斜角度は、次のように設定されている。この場合、べース部21dの下面(すなわち、ピン31eが全周に渡って貫通孔21d2の内周面と接触する平面位置)における貫通孔21d2の中心位置を通るドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybと平行な直線をLdとする。また、ピン31eの軸心Ypと直線Ldとが成す角度をθp3とする。この場合も、ピン31eの軸心Ypは板厚方向Dpと同じであり、直線Ldはドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybとそれぞれ平行であるので、角度θp3は、上記第1実施形態で説明したように、ベース部21dの下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1、及び軸心Yw,Ybと支持部31dの板厚方向Dpとが成す角度θp2にそれぞれ等しい。なお、図5においても、P1は、べース部21dの上面に平行な平面、すなわち軸心Yw,Ybに直交する平面を示している。
この場合も、軸心Ypと直線Ldを含む平面を想定する。そして、想定した平面と、貫通孔21d1の内側面とが交差する一対の内側面(すなわち一対の直線)のうちで、軸心Ypがべース部21dの下面よりも上方にて直線Ldに対して傾いている側にある内側面(図示左側の内側面)をIn1とする。また、前記一対の内側面のうちの他方の内側面、すなわち直線Ldがべース部21dの下面よりも上方にて軸心Ypに対して傾いている側にある内側面(図示右側の内側面)をIn2とする。内側面In1の延設方向は、軸心Ypと平行であり、下方から上方に向かって直線Ld(ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向)に対して外側に広がっている。一方、内側面In2の延設方向は、直線Ldすなわちドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行である。なお、貫通孔21d1は、前述のように、反力発生部材21を弾性体で型成形した際に形成されるものであり、この第2実施形態では、貫通孔21d1はべース部21dの下面を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。したがって、貫通孔21d1を含み、ドーム21w1,21b1、トップ部21w2,21b2及びべース部21dからなる反力発生部材21は、薄肉のドーム部21w1,21b1を無理抜きすることなく、型成形により容易に製造される。他の構成は、上記第1実施形態と同じであるので、上記第1実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
また、反力発生部材21の支持部31dへの組み付けにおいては、前述のように、複数の貫通孔21d2内に複数のピン31eをそれぞれ侵入させて圧入することにより、反力発生部材21が支持部31d上に固定される。この組み付けにおいては、貫通孔21d2の内側面In1をピン31eの図5の左側面に当接させながら、反力発生部材21をピン31eの軸心Ypの方向(すなわち支持部31dの板厚方向Dp)に押して、貫通孔21d2内にピン31eを押し込ませる。この場合、貫通孔21d1の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eは貫通孔21d2内に内側面In1に沿って軸心Ypの方向にスムーズに侵入する。
そして、貫通孔21d2内にピン31eをさらに押し込めば、べース部21dの下面位置における貫通孔21d1の内径はピン31eの外径よりも若干小さいので、貫通孔21d2の内側面下端部がピン31eの軸心Ypの方向の一部にてピン31eの外周面に全周に渡って接触して、ピン31eの外周面に接触する貫通孔21d2内の内側面下端部が変形するので、反力発生部材21は支持部31dに固定される。この場合、貫通孔21d2の内側面に接触するピン31eの外周面部分は、軸心Ypの方向に短くても、べース部21dの内側面下端部が軸心Ypの方向にほぼ直交する方向に大きく変形して、べース部21dは大きな力でピン31eに安定して保持される。
また、この場合、ベース部21dの下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1(すなわち、ベース部21dの下面の上面に対する角度θp1)は、軸心Yw,Ybと支持部31dの板厚方向Dpとが成す角度θp2(及びピン31eの軸心Ypと直線Ldとがなす角度θp3)に等しいので、ベース部21dの下面は板厚方向Dpと直交して支持部31dの上面と平行になる。したがって、ベース部21dの下面全体が支持部31dの上面に当接して、反力発生部材21は支持部31dの上面に密着して固定される。その結果、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
なお、前記第2実施形態においては、内側面In1の延設方向をピン31eの軸心Ypの方向(支持部31dの板厚方向Dp)と平行にし、かつ内側面In2の延設方向を直線Ld(すなわちドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Yb)と平行にした。しかし、下記変形例1〜3のように、内側面In1,In2の延設方向は変更可能である。なお、下記変形例1〜3においては、下記変更箇所以外は、前記第2実施形態の場合と同じである。
b1.変形例1
まず、前記第2実施形態の変形例1について説明する。変形例1においては、図6(A)に示すように、貫通孔21d2の内側面In1を前記第2実施形態の場合に比べて上方に向かって外側に広がるようにした。すなわち、内側面In1が、ピン31eの外周面に接触するべース部21dの下面位置から、軸心Ypの方向よりも径方向外側に傾斜して上方に延設されるようにした。この変形例1においても、貫通孔21d2はべース部21dの下面から上面に向かって広がるように円錐台状に形成されているので、反力発生部材21は、べース部21dの下面を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより容易に製造される。
また、この変形例1では、貫通孔21d2の内側面In1はピン31eの軸心Ypと平行でないので、貫通孔21d2内にピン31eを侵入させる際には、反力発生部材21を、貫通孔21d2の内周面の一部をピン31eの外周面に当接させながら、ピン31eに差し込むことができない。しかし、貫通孔21d2内にピン31eを侵入させる際には、貫通孔21d2の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eを貫通孔21d2内に軸心Ypの方向にスムーズに侵入させることができる。そして、この変形例1においても、前記第2実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
b2.変形例2
次に、前記第2実施形態の変形例2について説明する。変形例2においては、図6(B)に示すように、貫通孔21d2の内側面In2を前記第2実施形態の場合に比べて、上方に向かって外側に広がるようにした。すなわち、内側面In2が、ピン31eの外周面に接触するべース部21dの下面位置から、直線Ldの方向よりも径方向外側に傾斜して上方に延設されるようにした。この変形例2においても、貫通孔21d2はべース部21dの上面から下面に向かって広がるように円錐台状に形成されているので、反力発生部材21は、べース部21dの下面を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより容易に製造される。
また、この変形例2では、前記第2実施形態の場合と同様に、貫通孔21d2の内側面In1はピン31eの軸心と平行であるので、貫通孔21d2内にピン31eを侵入させる際には、反力発生部材21を、貫通孔21d2の内周面の一部をピン31eの外周面に当接させながら、ピン31eに差し込むことができる。また、貫通孔21d2内にピン31eを侵入させる際には、貫通孔21d2の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eを貫通孔21d2内に軸心Ypの方向にスムーズに侵入させることができる。そして、この変形例2においても、前記第2実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
b3.変形例3
次に、前記第2実施形態の変形例3について説明する。変形例3においては、図6(C)に示すように、前記変形例1と同様に、内側面In1が、ピン31eの外周面に接触するべース部21dの下面位置から、軸心Ypの方向よりも径方向外側に傾斜して上方に延設されるようにし、かつ前記変形例2と同様に、内側面In2が、ピン31eの外周面に接触するべース部21dの下面位置から、直線Ldの方向よりも径方向外側に傾斜して上方に延設されるようにした。この変形例3においても、貫通孔21d2はべース部21dの下面から上面に向かって広がるように円錐台状に形成されているので、反力発生部材21は、べース部21dの下面を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより容易に製造される。
また、この変形例3では、貫通孔21d2の内側面In1はピン31eの軸心と平行でないので、貫通孔21d2内にピン31eを侵入させる際には、反力発生部材21を、貫通孔21d2の内周面の一部をピン31eの外周面に当接させながら、ピン31eに差し込むことができない。しかし、貫通孔21d2内にピン31eを侵入させる際には、貫通孔21d2の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eを貫通孔21d2内に軸心Ypの方向にスムーズに侵入させることができる。そして、この変形例3においても、前記第2実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
b4.変形例4
次に、前記第2実施形態の変形例4について説明する。変形例4においては、図6(D)に示すように、ピン31eを先端に向かうに従って徐々に細くしている。すなわち、支持部31dの上面位置におけるピン31eの軸心Ypに直交する直径を、ピン31eの先端部の軸心Ypに直交する直径よりも僅かに大きくしている。この場合、内側面In1を、上記第2実施形態の場合に比べて、べース部21dの下面位置から僅かに径方向内側に傾斜して上方に延設させて、内側面In1がピン31eの図示左側側面に当接するようにしている。他の構成は、上記第2実施形態の場合と同じである。
この変形例4においても、反力発生部材21を、貫通孔21d2の内周面の一部をピン31eの外周面に当接させながら、ピン31eに差し込むことができる。また、貫通孔21d2内にピン31eを侵入させる際には、貫通孔21d2の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eは貫通孔21d2内に軸心Ypの方向にスムーズに侵入させることができる。したがって、この変形例4においても、前記第2実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
また、この変形例4のように、ピン31eを先端に向かうに従って徐々に細くした場合にも、前記変形例1乃至3のように、内側面In1,In2を変形例4の場合よりも径方向外側に傾斜して上方に延設されるようにしてもよい。このような変形例4をさらに変形した変形例においても、前記変形例1乃至3と同様な効果が期待できる。
c.第3実施形態
次に、上記第1及び第2実施形態の貫通孔21d1,31d2とは異なる貫通孔21d3をべース部21dに設けた第3実施形態について、図7を用いて説明する。この第3実施形態における貫通孔21d3は次のように構成されている。べース21dの上面位置(すなわちピン31eの突出側位置)と下面位置(すなわちピン31eの侵入側位置)との中間位置における貫通孔21d3の形状はピン31eの軸心Ypを中心とする円形であり、その内径はピン31eの円柱状部分の外径よりも若干小さい。また、べース21dの上面位置及び下面位置における貫通孔21d3の形状もそれぞれ円形であるが、それらの内径は前記中間位置の内径よりも大きく、その中心はピン31eの軸心Ypとは異なる。そして、貫通孔21d3の内側面の上部は中間位置から上方に向かうに従って内径が大きくなる円錐台状に形成されているとともに、貫通孔21d3の内側面の下部は中間位置から下方に向かうに従って内径が大きくなる円錐台状に形成されている。
そして、この貫通孔21d3の内側面の傾斜角度は、次のように設定されている。この場合、べース部21dの前記中間位置における貫通孔21d3の中心位置を通るドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybと平行な直線をLdとする。また、ピン31eの軸心Ypと直線Ldとが成す角度をθp3とする。この場合も、ピン31eの軸心Ypは板厚方向Dpと同じであり、直線Ldはドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybとそれぞれ平行であるので、角度θp3は、上記第1及び第2実施形態で説明したように、ベース部21dの下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1、及び軸心Yw,Ybと支持部31dの板厚方向Dpとが成す角度θp2にそれぞれ等しい。なお、図7においても、P1は、べース部21dの上面に平行な平面、すなわち軸心Yw,Ybに直交する平面を示している。
この場合も、軸心Ypと直線Ldを含む平面を想定する。そして、貫通孔21d3の前記中間位置よりも上部において、想定した平面と、貫通孔21d3の内側面とが交差する一対の内側面(すなわち一対の直線)のうちで、軸心Ypがべース部21dの前記中間位置よりも上方にて直線Ldに対して傾いている側にある内側面(図示左上側の内側面)をIn11とする。また、前記一対の内側面のうちの他方の内側面、すなわち直線Ldがべース部21dの前記中間位置よりも上方にて軸心Ypに対して傾いている側にある内側面(図示右上側の内側面)をIn21とする。内側面In11の延設方向は、軸心Ypと平行であり、前記中間位置から上方に向かって直線Ld(ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向)に対して外側に広がっている。一方、内側面In21の延設方向は、直線Ldすなわちドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行である。
また、貫通孔21d3の前記中間位置よりも下部において、想定した平面と、貫通孔21d3の内側面とが交差する一対の内側面(すなわち一対の直線)のうちで、軸心Ypが支持部31dの前記中間位置よりも下方にて直線Ldに対して傾いている側にある内側面(図示右下側の内側面)をIn12とする。また、前記一対の内側面のうちの他方の内側面、すなわち直線Ldがべース部21dの前記中間位置よりも下方にて軸心Ypに対して傾いている側にある内側面(図示左下側の内側面)をIn22とする。内側面In12の延設方向は、軸心Ypと平行であり、前記中間位置から下方に向かって直線Ld(ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向)に対して外側に広がっている。一方、内側面In22の延設方向は、直線Ldすなわちドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行である。なお、貫通孔21d3は、前述のように、反力発生部材21を弾性体で型成形した際に形成されるものであり、この第3実施形態では、貫通孔21d3は前記中間位置を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。したがって、貫通孔21d1を含み、ドーム21w1,21b1、トップ部21w2,21b2及びべース部21dからなる反力発生部材21は、薄肉のドーム部21w1,21b1を無理抜きすることなく、型成形により容易に製造される。他の構成は、上記第1及び第2実施形態と同じであるので、上記第1及び第2実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
そして、反力発生部材21の支持部31dへの組み付けにおいては、上記第1及び第2実施形態の場合と同様に、複数の貫通孔21d3内に複数のピン31eをそれぞれ侵入させて圧入することにより、反力発生部材21が支持部31d上に固定される。この組み付けにおいては、貫通孔21d3の内側面In11をピン31eの図7の左側面に当接させるとともに、貫通孔21d3の内側面In12をピン31eの図7の右側面に当接させながら、反力発生部材21をピン31eの軸心Ypの方向(すなわち支持部31dの板厚方向Dp)に押して、貫通孔21d2内にピン31eを押し込ませる。この場合、貫通孔21d1の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eは貫通孔21d2内に内側面In1に沿って軸心Ypの方向にスムーズに侵入する。
そして、ベース部21dの下面全体が支持部31dの上面に当接するまで、貫通孔21d3内にピン31eを押し込む。この状態では、上記第1及び第2実施形態の場合と同様に、べース部21dの下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1は、軸心Yw,Ybと支持部31dの板厚方向Dpとが成す角度θp2(及びピン31eの軸心Ypと直線Ldとがなす角度θp3)に等しい。したがって、ベース部21dの下面は板厚方向Dpと直交して支持部31dの上面と平行になり、ベース部21dの下面全体が支持部31dの上面に当接する。また、この状態では、べース21dの前記中間位置における貫通孔21d3の内径はピン31eの円柱状部分の外径よりも若干小さいので、反力発生部材21を支持部31dに固定することができる。その結果、この第3実施形態においても、上記第1及び第2実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
なお、前記第3実施形態においては、内側面In11,In12の延設方向をピン31eの軸心Yp(支持部31dの板厚方向Dp)の方向と平行にし、かつ内側面In21,In22の延設方向を直線Ld(すなわちドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Yb)と平行にした。しかし、下記変形例1〜3のように、内側面In11,In12,In21,In22の延設方向は変更可能である。なお、下記変形例1〜3においては、下記変更箇所以外は、前記第3実施形態の場合と同じである。
c1.変形例1
まず、前記第3実施形態の変形例1について説明する。変形例1においては、図8(A)に示すように、貫通孔21d3の内側面In11を前記第3実施形態の場合に比べて上方に向かって外側に広がるようにするとともに、貫通孔21d3の内側面In12を前記第3実施形態の場合に比べて下方に向かって外側に広がるようにした。すなわち、内側面In11が、貫通孔21d3の内周面に接触するべース部21dの中間位置から、軸心Ypの方向よりも径方向外側に傾斜して上方に延設されるとともに、内側面In12が、貫通孔21d3の内周面に接触する支持部31dの中間位置から、軸心Ypの方向よりも径方向外側に傾斜して下方に延設されるようにした。この変形例1においても、貫通孔21d3はべース21dの前記中間位置から上面及び下面に向かってそれぞれ広がるように円錐台状に形成されているので、反力発生部材21は、べース部21dの前記中間位置を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより容易に製造される。
また、この変形例1では、貫通孔21d3の内側面In11,In12は共にピン31eの軸心Ypと平行でないので、貫通孔21d3内にピン31eを侵入させる際には、反力発生部材21を、貫通孔21d2の内周面の一部をピン31eの外周面に当接させながら、ピン31eに差し込むことができない。しかし、貫通孔21d3内にピン31eを侵入させる際には、貫通孔21d3の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eを貫通孔21d3内に軸心Ypの方向にスムーズに侵入させることができる。そして、この変形例1においても、前記第3実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
c2.変形例2
次に、前記第3実施形態の変形例2について説明する。変形例2においては、図8(B)に示すように、貫通孔21d3の内側面In21を前記第3実施形態の場合に比べて上方に向かって外側に広がるようにするとともに、貫通孔21d3の内側面In22を前記第3実施形態の場合に比べて下方に向かって外側に広がるようにした。すなわち、内側面In21が、貫通孔21d3の内周面に接触するべース部31dの中間位置から、直線Ldの方向よりも径方向外側に傾斜して上方に延設されるとともに、内側面In22が、貫通孔21d3の内周面に接触するべース部21dの中間位置から、直線Ldの方向よりも径方向外側に傾斜して下方に延設されるようにした。この変形例2においても、貫通孔21d3はべース部21dの前記中間位置から上面及び下面に向かってそれぞれ広がるように円錐台状に形成されているので、反力発生部材21は、べース部21dの前記中間位置を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより容易に製造される。
また、この変形例2では、前記第3実施形態の場合と同様に、貫通孔21d3の内側面In11,In12はピン31eの軸心と平行であるので、貫通孔21d3内にピン31eを侵入させる際には、反力発生部材21を、貫通孔21d3の内周面の一部をピン31eの外周面に当接させながら、ピン31eに差し込むことができる。また、貫通孔21d3内にピン31eを侵入させる際には、貫通孔21d3の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eを貫通孔21d3内に軸心Ypの方向にスムーズに侵入させることができる。そして、この変形例2においても、前記第3実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
c3.変形例3
次に、前記第3実施形態の変形例3について説明する。変形例3においては、図8(C)に示すように、前記変形例1と同様に、内側面In11,In12が、ピン31eの外周面に接触するべース部21dの中間位置から、軸心Ypの方向よりも径方向外側に傾斜して上方及び下方にそれぞれ延設されるようにし、かつ前記変形例2と同様に、内側面In21,In22が、ピン31eの外周面に接触するべース部21dの中間位置から、直線Ldの方向よりも径方向外側に傾斜して上方及び下方にそれぞれ延設されるようにした。この変形例3においても、貫通孔21d3はべース部21dの前記中間位置から上面及び下面に向かって広がるように円錐台状に形成されているので、反力発生部材21は、べース部21dの前記中間位置を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより容易に製造される。
また、この変形例3では、貫通孔21d3の内側面In11,In12はピン31eの軸心と平行でないので、貫通孔21d3内にピン31eを侵入させる際には、反力発生部材21を、貫通孔21d3の内周面の一部をピン31eの外周面に当接させながら、ピン31eに差し込むことができない。しかし、貫通孔21d3内にピン31eを侵入させる際には、貫通孔21d3の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eを貫通孔21d3内に軸心Ypの方向にスムーズに侵入させることができる。そして、この変形例3においても、前記第2実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
c4.変形例4
次に、前記第3実施形態の変形例4について説明する。変形例4においては、図8(D)に示すように、ピン31eを先端に向かうに従って徐々に細くしている。すなわち、支持部31dの上面位置におけるピン31eの軸心Ypに直交する直径を、ピン31eの先端部の軸心Ypに直交する直径よりも僅かに大きくしている。この場合、内側面In11を、上記第3実施形態の場合に比べて、べース部21dの中間位置から僅かに径方向内側に傾斜して上方に延設させて、内側面In11がピン31eの図示左上側側面に当接するようにしている。また、内側面In12を、上記第3実施形態の場合に比べて、べース部21dの中間位置から僅かに径方向外側に傾斜して下方に延設させて、内側面In12がピン31eの図示右下側側面に当接するようにしている。他の構成は、上記第3実施形態の場合と同じである。
この変形例4においても、反力発生部材21を、貫通孔21d3の内周面の一部をピン31eの外周面に当接させながら、ピン31eに差し込むことができる。また、貫通孔21d3内にピン31eを侵入させる際には、貫通孔21d3の内側面はピン31eの外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31eは貫通孔21d3内に軸心Ypの方向にスムーズに侵入させることができる。したがって、この変形例4においても、前記第3実施形態の場合と同様に、ベース部21dの下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31dの設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31dに簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
また、この変形例4のように、ピン31eを先端に向かうに従って徐々に細くした場合にも、上記変形例1乃至3のように、内側面In11,In12,In21,In22を変形例4の場合よりも径方向外側に傾斜して上方及び下方にそれぞれ延設されるようにしてもよい。このような変形例4をさらに変形した変形例においても、前記変形例1乃至3と同様な効果が期待できる。
d.第4実施形態
次に、水平に対して傾斜させた上記第1実施形態の支持部31dに代えて、支持部31d’を水平に配置するようにした第4実施形態について、図9を用いて説明する。この第4実施形態においても、ドーム部21w1,21b1及びトップ部21w2,21b2の軸心Yw,Ybは、上記第1実施形態と同様に、上方向にて図示左側に傾斜している。そのために、ベース部21d’は、上記第1実施形態の場合とは逆に、図示右側部分が図示左側部分よりも厚肉に形成されている。ただし、ドーム部21w1,21b1及びトップ部21w2,21b2は上記第1実施形態の場合と同じである。また、ベース部21d’の上面及び下面が平面である点、軸心Yw,Ybがベース部21dの上面に直交している点も上記第1実施形態の場合と同じである。さらに、支持部31d’は水平であるが、支持部31d’の上面及び下面も平面である点、及び支持部31d’の板厚が均一である点も上記第1実施形態の場合と同じである。そして、この場合も、ピン31e’は、上記第1実施形態の場合と同様に、先端部分を除いて円柱状であり、支持部31d’の上面から垂直に上方に延設されている。したがって、ピン31eの軸心Ypは、支持部31dの板厚方向Dpと平行である。
そして、図9においても、ベース部21d’の上面に平行であり(すなわち、軸心Yw,Ybに直交し)、かつ軸心Yw,Ybと支持部31d’の上面にて交差する平面をP1で表す。したがって、べース部21dの下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面P1とが成す角度θp1は、軸心Yw,Ybと支持部31d’の板厚方向Dpとが成す角度θp2に等しい。
この第4実施形態においても、べース部21d’には貫通孔21d1’が形成されており、貫通孔21d1’は次のように構成されている。べース21d’の上面位置(すなわちピン31eの突出側位置)における貫通孔21d1’の形状はピンの軸心Ypを中心とする円形であり、その内径はピン31e’の円柱状部分の外径よりも若干小さい。また、べース部21d’の下面位置(すなわちピン31e’の侵入側位置)における貫通孔21d1’の形状も円形であるが、その内径は前記上面位置の内径よりも大きく、その中心はピン31e’の軸心Ypとは異なる。そして、貫通孔21d1’の内側面は、上方から下方に向かうに従って内径が大きくなる円錐台状に形成されている。
この貫通孔21d1’の内側面の傾斜角度は、次のように設定されている。この場合も、べース部21d’の上面(すなわち、ピン31e’が全周に渡って貫通孔21d1’の内周面と接触する平面位置)における貫通孔21d1’の中心位置を通るドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybと平行な直線をLdとする。また、ピン31e’の軸心Ypと直線Ldとが成す角度をθp3とする。そして、この場合も、ピン31e’の軸心Ypは板厚方向Dpと平行であり、直線Ldはドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybとそれぞれ平行であるので、角度θp3は、ベース部21dの下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1、及び軸心Yw,Ybと支持部31d’の板厚方向Dpとが成す角度θp2にそれぞれ等しい。
この場合も、軸心Ypと直線Ldを含む平面を想定する。そして、想定した平面と、貫通孔21d1’の内側面とが交差する一対の内側面(すなわち一対の直線)のうちで、軸心Ypがべース部21d’の上面よりも下方にて直線Ldに対して傾いている側にある内側面(図示左側の内側面)をIn1とする。また、前記一対の内側面のうちの他方の内側面、すなわち直線Ldがべース部21d’の上面よりも下方にて軸心Ypに対して傾いている側にある内側面(図示右側の内側面)をIn2とする。内側面In1の延設方向は、軸心Ypと平行であり、上方から下方に向かって直線Ld(ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向)に対して外側に広がっている。一方、内側面In2の延設方向は、直線Ldと平行である。なお、貫通孔21d1’は、前述のように、反力発生部材21を弾性体で型成形した際に形成されるものであり、この第4実施形態では、貫通孔21d1’はべース部21d’の上面位置を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。したがって、貫通孔21d1’を含み、ドーム21w1,21b1、トップ部21w2,21b2及びべース部21d’からなる反力発生部材21は、薄肉のドーム部21w1,21b1を無理抜きすることなく、型成形により容易に製造される。他の構成は、上記第1実施形態と同じであるので、上記第1実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
そして、反力発生部材21の支持部31d’への組み付けにおいては、前述のように、複数の貫通孔21d1’内に複数のピン31e’をそれぞれ侵入させて圧入することにより、反力発生部材21が支持部31d’上に固定される。この組み付けにおいては、貫通孔21d1’の内側面In1をピン31eの図9の左側面に当接させながら、反力発生部材21をピン31e’の軸心Ypの方向(すなわち支持部31d’の板厚方向Dp)に押して、貫通孔21d1’内にピン31e’を押し込ませる。この場合、貫通孔21d1’の内側面はピン31e’の外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31e’は貫通孔21d1’内に内側面In1に沿って軸心Ypの方向にスムーズに侵入する。
そして、ベース部21d’の下面全体が支持部31d’の上面に当接するまで、貫通孔21d1’内にピン31e’を押し込む。この状態では、上記第1実施形態の場合と同様に、ベース部21d’の下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1は、軸心Yw,Ybと支持部31d’の板厚方向Dpとが成す角度θp2(及びピン31e’の軸心Ypと直線Ldとがなす角度θp3)に等しい。したがって、ベース部21d’の下面は板厚方向Dpと直交して支持部31d’の上面と平行になり、ベース部21d’の下面全体が支持部31d’の上面に当接する。また、この状態では、べース部21d’の上面位置における貫通孔21d1’の内径はピン31e’の円柱状部分の外径よりも若干小さいので、反力発生部材21を支持部31d’に固定することができる。その結果、この第4実施形態においても、上記第1実施形態の場合と同様に、ベース部21d’の下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31d’の設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31d’に簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
前記第4実施形態においては、内側面In1の延設方向をピン31e’の軸心Ypの方向と平行にし、かつ内側面In2の延設方向をドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行にした。しかし、この第4実施形態においても、上記第1実施形態の変形例1〜3(図4(A)〜(C)参照)のように、内側面In1,In2の延設方向は変更可能である。また、上記第1実施形態の変形例4(図4(D)参照)のように、ピン31e’を先端に向かうに従って細くするようにしてもよい。
また、前記第4実施形態では、支持部31d’を水平に配置したが、支持部31d’を水平に配置しなくてもよい。この第4実施形態における上記第1実施形態との大きな相違点は、ドーム部21w1,21b1及びトップ部21w2,21b2の軸心Yw,Ybが、支持部31d’の板厚方向Dpに対して上記第1実施形態の場合とは反対側、すなわち図9の上方にて左側に傾いていることにある。したがって、支持部31d’が水平でなくても、軸心Yw,Ybの方向が板厚方向Dpに対して前述のような関係にあれば、前記第4実施形態で説明した反力発生部材21及び支持部31d’の構造は適用される。なお、この点に関しては、後述する第5及び第6実施形態においても適用されることである。
e.第5実施形態
次に、上記第4実施形態の貫通孔21d1’とは異なる貫通孔21d2’をべース部21d’に設けた第5実施形態について、図10を用いて説明する。この第5実施形態における貫通孔21d2’は次のように構成されている。べース部21d’の下面位置(すなわちピン31e’の侵入側位置)における貫通孔21d2’の形状はピン31e’の軸心Ypを中心とする円形であり、その内径はピン31e’の円柱状部分の外径よりも若干小さい。また、べース部21d’の上面位置(すなわちピン31e’の突出側位置)における貫通孔21d2’の形状も円形であるが、その内径は前記下面位置の内径よりも大きく、その中心はピン31e’の軸心Ypとは異なる。そして、貫通孔21d2’の内側面は、下方から上方に向かうに従って内径が大きくなる円錐台状に形成されている。
そして、この貫通孔21d2’の内側面の傾斜角度は、次のように設定されている。この場合、べース部21d’の下面(すなわち、ピン31e’が全周に渡って貫通孔21d2’の内周面と接触する平面位置)における貫通孔21d2’の中心位置を通るドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybと平行な直線をLdとする。また、ピン31e’の軸心Ypと直線Ldとが成す角度をθp3とする。この場合も、ピン31e’の軸心Ypは板厚方向Dpと同じであり、直線Ldはドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybとそれぞれ平行であるので、角度θp3は、上記第4実施形態で説明したように、ベース部21dの下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1、及び軸心Yw,Ybと支持部31d’の板厚方向Dpとが成す角度θp2にそれぞれ等しい。なお、図10においても、P1は、ベース部21dの上面に平行な平面、すなわち軸心Yw,Ybに直交する平面を示している。
この場合も、軸心Ypと直線Ldを含む平面を想定する。そして、想定した平面と、貫通孔21d2’の内側面とが交差する一対の内側面(すなわち一対の直線)のうちで、軸心Ypがべース部21d’の下面よりも上方にて直線Ldに対して傾いている側にある内側面(図示右側の内側面)をIn1とする。また、前記一対の内側面のうちの他方の内側面、すなわち直線Ldがべース部21d’の下面よりも上方にて軸心Ypに対して傾いている側にある内側面(図示左側の内側面)をIn2とする。内側面In1の延設方向は、軸心Ypと平行であり、下方から上方に向かって直線Ld(ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向)に対して外側に広がっている。一方、内側面In2の延設方向は、直線Ldすなわちドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行である。なお、貫通孔21d2’は、前述のように、反力発生部材21を弾性体で型成形した際に形成されるものであり、この第5実施形態では、貫通孔21d2’はべース部21d’の下面位置を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。したがって、貫通孔21d2’を含み、ドーム21w1,21b1、トップ部21w2,21b2及びべース部21d’からなる反力発生部材21は、薄肉のドーム部21w1,21b1を無理抜きすることなく、型成形により容易に製造される。他の構成は、上記第4実施形態と同じであるので、上記第4実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
そして、反力発生部材21の支持部31d’への組み付けにおいては、上記第4実施形態の場合と同様に、複数の貫通孔21d2’内に複数のピン31e’をそれぞれ侵入させて圧入することにより、反力発生部材21が支持部31d’上に固定される。この組み付けにおいては、貫通孔21d2’の内側面In1をピン31e’の図10の右側面に当接させながら、反力発生部材21をピン31e’の軸心Ypの方向(すなわち支持部31d’の板厚方向Dp)に押して、貫通孔21d2’内にピン31e’を押し込ませる。この場合、貫通孔21d2’の内側面はピン31e’の外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31e’は貫通孔21d2’内に内側面In1に沿って軸心Ypの方向にスムーズに侵入する。
そして、ベース部21d’の下面全体が支持部31d’の上面に当接するまで、貫通孔21d2’内にピン31e’を押し込む。この状態では、上記第4実施形態の場合と同様に、べース部21d’の下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1は、軸心Yw,Ybと支持部31d’の板厚方向Dpとが成す角度θp2(及びピン31e’の軸心Ypと直線Ldとがなす角度θp3)に等しい。したがって、ベース部21d’の下面は板厚方向Dpと直交して支持部31d’の上面と平行になり、ベース部21d’の下面全体が支持部31d’の上面に当接する。また、この状態では、べース部21d’の下面位置における貫通孔21d2’の内径はピン31e’の円柱状部分の外径よりも若干小さいので、反力発生部材21を支持部31d’に固定することができる。その結果、この第5実施形態においても、上記第4実施形態の場合と同様に、ベース部21d’の下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31d’の設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31d’に簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
前記第5実施形態においては、内側面In1の延設方向をピン31e’の軸心Ypの方向と平行にし、かつ内側面In2の延設方向をドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行にした。しかし、この第5実施形態においても、上記第2実施形態の変形例1〜3(図6(A)〜(C)参照)のように、内側面In1,In2の延設方向は変更可能である。また、上記第2実施形態の変形例4(図6(D)参照)のように、ピン31e’を先端に向かうに従って細くするようにしてもよい。
f.第6実施形態
次に、上記第4及び第5実施形態の貫通孔21d1’,31d2’とは異なる貫通孔21d3’をべース部21d’に設けた第6実施形態について、図11を用いて説明する。この第6実施形態における貫通孔21d3’は次のように構成されている。べース部21d’の上面位置(すなわちピン31e’の突出側位置)と下面位置(すなわちピン31e’の侵入側位置)との中間位置における貫通孔21d3’の形状はピン31e’の軸心Ypを中心とする円形であり、その内径はピン31e’の円柱状部分の外径よりも若干小さい。また、べース部21d’の上面位置及び下面位置における貫通孔21d3’の形状もそれぞれ円形であるが、それらの内径は前記中間位置の内径よりも大きく、その中心はピン31e’の軸心Ypとは異なる。そして、貫通孔21d3’の内側面の上部は中間位置から上方に向かうに従って内径が大きくなる円錐台状に形成されているとともに、貫通孔21d3’の内側面の下部は中間位置から下方に向かうに従って内径が大きくなる円錐台状に形成されている。
そして、この貫通孔21d3’の内側面の傾斜角度は、次のように設定されている。この場合、べース部21d’の前記中間位置(すなわち、ピン31e’が全周に渡って貫通孔21d3’の内周面と接触する平面位置)における貫通孔21d3’の中心位置を通るドーム部21w1,21b1と平行な直線をLdとする。また、ピン31e’の軸心Ypと直線Ldとが成す角度をθp3とする。この場合も、ピン31e’の軸心Ypは板厚方向Dpと同じであり、直線Ldはドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybとそれぞれ平行であるので、角度θp3は、上記第4及び第5実施形態で説明したように、ベース部21dの下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1、及び軸心Yw,Ybと支持部31d’の板厚方向Dpとが成す角度θp2にそれぞれ等しい。なお、図11においても、P1は、ベース部21dの上面に平行な平面、すなわち軸心Yw,Ybに直交する平面を示している。
この場合も、軸心Ypと直線Ldを含む平面を想定する。そして、貫通孔21d3’の前記中間位置よりも上部において、想定した平面と、貫通孔21d3’の内側面とが交差する一対の内側面(すなわち一対の直線)のうちで、軸心Ypがべース部21d’の前記中間位置よりも上方にて直線Ldに対して傾いている側にある内側面(図示右上側の内側面)をIn11とする。また、前記一対の内側面のうちの他方の内側面、すなわち直線Ldがべース部21d’の前記中間位置よりも上方にて軸心Ypに対して傾いている側にある内側面(図示左上側の内側面)をIn21とする。内側面In11の延設方向は、軸心Ypと平行であり、前記中間位置から上方に向かって直線Ld(ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向)に対して外側に広がっている。一方、内側面In21の延設方向は、直線Ldすなわちドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行である。
また、貫通孔21d3’の前記中間位置よりも下部において、想定した平面と、貫通孔21d3’の内側面とが交差する一対の内側面(すなわち一対の直線)のうちで、軸心Ypがべース部21d’の前記中間位置よりも下方にて直線Ldに対して傾いている側にある内側面(図示左下側の内側面)をIn12とする。また、前記一対の内側面のうちの他方の内側面、すなわち直線Ldがべース部21d’の前記中間位置よりも下方にて軸心Ypに対して傾いている側にある内側面(図示右下側の内側面)をIn22とする。内側面In12の延設方向は、軸心Ypと平行であり、前記中間位置から下方に向かって直線Ld(ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向)に対して外側に広がっている。一方、内側面In22の延設方向は、直線Ldすなわちドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行である。なお、貫通孔21d3’は、前述のように、反力発生部材21を弾性体で型成形した際に形成されるものであり、この第6実施形態では、貫通孔21d3’はべース部21d’の中間位置を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。したがって、貫通孔21d3’を含み、ドーム21w1,21b1、トップ部21w2,21b2及びべース部21d’からなる反力発生部材21は、薄肉のドーム部21w1,21b1を無理抜きすることなく、型成形により容易に製造される。他の構成は、上記第4及び第5実施形態と同じであるので、上記第4及び第5実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
そして、反力発生部材21の支持部31d’への組み付けにおいては、上記第4及び第5実施形態の場合と同様に、複数の貫通孔21d3’内に複数のピン31e’をそれぞれ侵入させて圧入することにより、反力発生部材21が支持部31d’上に固定される。この組み付けにおいては、貫通孔21d3’の内側面In11をピン31e’の図11の右側面に当接させるとともに、貫通孔21d3’の内側面In12をピン31e’の図11の左側面に当接させながら、反力発生部材21をピン31e’の軸心Ypの方向(すなわち支持部31d’の板厚方向Dp)に押して、貫通孔21d3’内にピン31e’を押し込ませる。この場合、貫通孔21d3’の内側面はピン31e’の外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31e’は貫通孔21d3’内に内側面In1に沿って軸心Ypの方向にスムーズに侵入する。
そして、ベース部21dの下面全体が支持部31d’の上面に当接するまで、貫通孔21d3’内にピン31e’を押し込む。この状態では、上記第4及び第5実施形態の場合と同様に、べース部21d’の下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1は、軸心Yw,Ybと支持部31d’の板厚方向Dpとが成す角度θp2(及びピン31e’の軸心Ypと直線Ldとがなす角度θp3)に等しい。したがって、ベース部21d’の下面は板厚方向Dpと直交して支持部31d’の上面と平行になり、ベース部21d’の下面全体が支持部31d’の上面に当接する。また、この状態では、べース部21d’の中間位置における貫通孔21d3’の内径はピン31e’の円柱状部分の外径よりも若干小さいので、反力発生部材21を支持部31d’に固定することができる。その結果、この第6実施形態においても、上記第4及び第5実施形態の場合と同様に、ベース部21d’の下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31d’の設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31d’に簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
前記第6実施形態においては、内側面In11,In12の延設方向をピン31e’の軸心Ypの方向と平行にし、かつ内側面In21,In22の延設方向をドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行にした。しかし、この第6実施形態においても、上記第3実施形態の変形例1〜3(図8(A)〜(C)参照)のように、内側面In11,In12,In21,In22の延設方向は変更可能である。また、上記第3実施形態の変形例4(図8(D)参照)のように、ピン31e’を先端に向かうに従って細くするようにしてもよい。
g.第7実施形態
次に、上記第1乃至第3実施形態の場合と同様に、支持部31d”を水平に対して傾斜させるが、支持部31d”のピン31e”を形成する際に、型抜き方向を支持部31d”の板厚方向Dpとは異なる方向、例えば図12の上下方向にするようにした第7実施形態について、図12を用いて説明する。この第7実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、ドーム部21w1,21b1及びトップ部21w2,21b2の軸心Yw,Ybは上方向にて図示左側に傾斜しており、ベース部21d”は図示左側部分が図示右側部分よりも厚肉に形成されている。ドーム部21w1,21b1及びトップ部21w2,21b2の形状も上記第1実施形態の場合と同じである。また、ベース部21dの上面及び下面が平面である点、軸心Yw,Ybがベース部21dの上面に直交している点も上記第1実施形態の場合と同じである。さらに、支持部31d”の上面及び下面も平面である点、及び支持部31d”の板厚が均一である点も上記第1実施形態の場合と同じである。この場合、ピン31e”は、上記第1実施形態の場合と同様に、先端部分を除いて円柱状であるが、支持部31d”の上面に対して傾斜させて、上方に延設されている。したがって、ピン31e”の軸心Ypは、支持部31d”の板厚方向Dpとは異なる。前述した支持部31d”のピン31e”を形成する際の型抜き方向は、ピン31e”の軸心Ypの方向である。
そして、図12においても、ベース部21d”の上面に平行であり(すなわち、軸心Yw,Ybに直交し)、かつ軸心Yw,Ybと支持部31d”の上面にて交差する平面をP1で表す。また、この場合も、支持部31d”の板厚方向をDpとすると、べース部21d”の下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面P1とが成す角度θp1は、軸心Yw,Ybと支持部31d”の板厚方向Dpとが成す角度θp2に等しい。
この第7実施形態においても、べース部21d”には貫通孔21d1”が形成されており、貫通孔21d1”は次のように構成されている。べース部21d”の上面位置(すなわちピン31e”の突出側位置)における貫通孔21d1”の形状はピン31e”の軸心Ypを中心とする円形であり、その内径はピン31e”の円柱状部分の外径よりも若干小さい。また、べース部21d”の下面位置(すなわちピン31e”の侵入側位置)における貫通孔21d1”の形状も円形であるが、その内径は前記上面位置の内径よりも大きく、その中心はピン31e”の軸心Ypとは異なる。そして、貫通孔21d1”の内側面は、上方から下方に向かうに従って内径が大きくなる円錐台状に形成されている。
この貫通孔21d1”の内側面の傾斜角度は、次のように設定されている。この場合も、べース部21d”の上面(すなわち、ピン31e”が全周に渡って貫通孔21d1”の内周面と接触する平面位置)における貫通孔21d1”の中心位置を通るドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybと平行な直線をLdとする。この場合も、軸心Ypと直線Ldを含む平面を想定する。そして、想定した平面と、貫通孔21d1”の内側面とが交差する一対の内側面(すなわち一対の直線)のうちで、軸心Ypがべース部21d”の上面よりも下方にて直線Ldに対して傾いている側にある内側面(図示左側の内側面)をIn1とする。また、前記一対の内側面のうちの他方の内側面、すなわち直線Ldがべース部21d”の上面よりも下方にて軸心Ypに対して傾いている側にある内側面(図示右側の内側面)をIn2とする。内側面In1の延設方向は、軸心Ypと平行であり、上方から下方に向かって直線Ld(ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向)に対して外側に広がっている。一方、内側面In2の延設方向は、直線Ldと平行である。なお、貫通孔21d1”は、反力発生部材21を弾性体で型成形した際に形成されるものであり、この第7実施形態では、貫通孔21d1”はべース部21d”の上面位置を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。したがって、貫通孔21d1”を含み、ドーム21w1,21b1、トップ部21w2,21b2及びべース部21d”からなる反力発生部材21は、薄肉のドーム部21w1,21b1を無理抜きすることなく、型成形により容易に製造される。他の構成は、上記第1実施形態と同じであるので、上記第1実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
そして、反力発生部材21の支持部31d”への組み付けにおいては、前述のように、複数の貫通孔21d1”内に複数のピン31e”をそれぞれ侵入させて圧入することにより、反力発生部材21が支持部31d”上に固定される。この組み付けにおいては、貫通孔21d1”の内側面In1をピン31e”の図12の左側面に当接させながら、反力発生部材21をピン31e”の軸心Ypの方向に押して、貫通孔21d1”内にピン31e”を押し込ませる。この場合、貫通孔21d1”の内側面はピン31e”の外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31e”は貫通孔21d1”内に内側面In1に沿って軸心Ypの方向にスムーズに侵入する。
そして、ベース部21d”の下面全体が支持部31d”の上面に当接するまで、貫通孔21d1”内にピン31e”を押し込む。この状態では、上記第1実施形態の場合と同様に、ベース部21d”の下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1は、軸心Yw,Ybと支持部31d”の板厚方向Dpとが成す角度θp2に等しい。したがって、ベース部21d”の下面は板厚方向Dpと直交して支持部31d”の上面と平行になり、ベース部21d”の下面全体が支持部31d”の上面に当接する。また、この状態では、べース部21d”の上面位置における貫通孔21d1”の内径はピン31e”の円柱状部分の外径よりも若干小さいので、反力発生部材21を支持部31d”に固定することができる。その結果、この第7実施形態においても、上記第1実施形態の場合と同様に、ベース部21d”の下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31d”の設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31d”に簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
前記第7実施形態においては、内側面In1の延設方向をピン31e”の軸心Ypの方向と平行にし、かつ内側面In2の延設方向をドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行にした。しかし、この第7実施形態においても、上記第1実施形態の変形例1〜3(図4(A)〜(C)参照)のように、内側面In1,In2の延設方向は変更可能である。また、上記第1実施形態の変形例4(図4(D)参照)のように、ピン31e’を先端に向かうに従って細くするようにしてもよい。
h.第8実施形態
次に、上記第7実施形態の貫通孔21d1”とは異なる貫通孔21d2”を支持部31d”に設けた第8実施形態について、図13を用いて説明する。この第8実施形態における貫通孔21d2”は次のように構成されている。べース部21d”の下面位置(すなわちピン31e”の侵入側位置)における貫通孔21d2”の形状はピン31e”の軸心Ypを中心とする円形であり、その内径はピン31e”の円柱状部分の外径よりも若干小さい。また、べース部21d”の上面位置(すなわちピン31e”の突出側位置)における貫通孔21d2”の形状も円形であるが、その内径は前記下面位置の内径よりも大きく、その中心はピン31e”の軸心Ypとは異なる。そして、貫通孔21d2”の内側面は、下方から上方に向かうに従って内径が大きくなる円錐台状に形成されている。
そして、この貫通孔21d2”の内側面の傾斜角度は、次のように設定されている。この場合、べース部21d”の下面(すなわち、ピン31e”が全周に渡って貫通孔21d2”の内周面と接触する平面位置)における貫通孔21d2”の中心位置を通るドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybと平行な直線をLdとする。この場合も、軸心Ypと直線Ldを含む平面を想定する。そして、想定した平面と、貫通孔21d2”の内側面とが交差する一対の内側面(すなわち一対の直線)のうちで、軸心Ypがべース部21d”の下面よりも上方にて直線Ldに対して傾いている側にある内側面(図示右側の内側面)をIn1とする。また、前記一対の内側面のうちの他方の内側面、すなわち直線Ldがべース部21d”の下面よりも上方にて軸心Ypに対して傾いている側にある内側面(図示左側の内側面)をIn2とする。内側面In1の延設方向は、軸心Ypと平行であり、下方から上方に向かって直線Ld(ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向)に対して外側に広がっている。一方、内側面In2の延設方向は、直線Ldと平行である。なお、貫通孔21d2”は、反力発生部材21を弾性体で型成形した際に形成されるものであり、この第8実施形態では、貫通孔21d2”はべース部21d”の下面位置を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。したがって、貫通孔21d2”を含み、ドーム21w1,21b1、トップ部21w2,21b2及びべース部21d”からなる反力発生部材21は、薄肉のドーム部21w1,21b1を無理抜きすることなく、型成形により容易に製造される。他の構成は、上記第7実施形態と同じであるので、上記第7実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
そして、反力発生部材21の支持部31d”への組み付けにおいては、複数の貫通孔21d2”内に複数のピン31e”をそれぞれ侵入させて圧入することにより、反力発生部材21が支持部31d”上に固定される。この組み付けにおいては、貫通孔21d2”の内側面In1をピン31e”の図13の右側面に当接させながら、反力発生部材21をピン31e”の軸心Ypの方向に押して、貫通孔21d2”内にピン31e”を押し込ませる。この場合、貫通孔21d2”の内側面はピン31e”の外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31e”は貫通孔21d2”内に内側面In1に沿って軸心Ypの方向にスムーズに侵入する。
そして、ベース部21d”の下面全体が支持部31d”の上面に当接するまで、貫通孔21d2”内にピン31e”を押し込む。この状態では、上記第7実施形態の場合と同様に、ベース部21d”の下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1は、軸心Yw,Ybと支持部31d”の板厚方向Dpとが成す角度θp2に等しい。したがって、ベース部21d”の下面は板厚方向Dpと直交して支持部31d”の上面と平行になり、ベース部21d”の下面全体が支持部31d”の上面に当接する。また、この状態では、べース部21d”の下面位置における貫通孔21d2”の内径はピン31e”の円柱状部分の外径よりも若干小さいので、反力発生部材21を支持部31d”に固定することができる。その結果、この第8実施形態においても、上記第7実施形態の場合と同様に、ベース部21d”の下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31d”の設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31d”に簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
前記第8実施形態においては、内側面In1の延設方向をピン31e”の軸心Ypの方向と平行にし、かつ内側面In2の延設方向をドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行にした。しかし、この第8実施形態においても、上記第2実施形態の変形例1〜3(図6(A)〜(C)参照)のように、内側面In1,In2の延設方向は変更可能である。また、上記第2実施形態の変形例4(図6(D)参照)のように、ピン31e”を先端に向かうに従って細くするようにしてもよい。
i.第9実施形態
次に、上記第7及び第8実施形態の貫通孔21d1”,21d2”とは異なる貫通孔21d3”を支持部31d”に設けた第9実施形態について、図14を用いて説明する。この第9実施形態における貫通孔21d3”は次のように構成されている。べース部21d”の上面位置と下面位置の中間位置における貫通孔21d3”の形状はピン31e”の軸心Ypを中心とする円形であり、その内径はピン31e”の円柱状部分の外径よりも若干小さい。また、べース部21d”の上面位置及び下面における貫通孔21d3”の形状も円形であるが、その内径は前記中間位置の内径よりも大きく、その中心はピン31e”の軸心Ypとは異なる。そして、貫通孔21d3”の内側面の上部は中間位置から上方に向かうに従って内径が大きくなる円錐台状に形成されているとともに、貫通孔21d3”の内側面の下部は中間位置から下方に向かうに従って内径が大きくなる円錐台状に形成されている。
そして、この貫通孔21d3”の内側面の傾斜角度は、次のように設定されている。この場合、べース部21d”の中間位置(すなわち、ピン31e”が全周に渡って貫通孔21d3”の内周面と接触する平面位置)における貫通孔21d3”の中心位置を通るドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybと平行な直線をLdとする。この場合も、軸心Ypと直線Ldを含む平面を想定する。そして、貫通孔21d3”の前記中間位置よりも上部において、想定した平面と、貫通孔21d3”の内側面とが交差する一対の内側面(すなわち一対の直線)のうちで、軸心Ypがべース部21d”の前記中間位置よりも上方にて直線Ldに対して傾いている側にある内側面(図示右上側の内側面)をIn11とする。また、前記一対の内側面のうちの他方の内側面、すなわち直線Ldがべース部21d”の前記中間位置よりも上方にて軸心Ypに対して傾いている側にある内側面(図示左上側の内側面)をIn21とする。内側面In11の延設方向は、軸心Ypと平行であり、下方から上方に向かって直線Ld(ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向)に対して外側に広がっている。一方、内側面In21の延設方向は、直線Ldと平行である。
また、貫通孔21d3”の前記中間位置よりも下部において、想定した平面と、貫通孔21d3”の内側面とが交差する一対の内側面(すなわち一対の直線)のうちで、軸心Ypがべース部21d”の前記中間位置よりも下方にて直線Ldに対して傾いている側にある内側面(図示左下側の内側面)をIn12とする。また、前記一対の内側面のうちの他方の内側面、すなわち直線Ldがべース部21d”の前記中間位置よりも下方にて軸心Ypに対して傾いている側にある内側面(図示右下上側の内側面)をIn22とする。内側面In12の延設方向は、軸心Ypと平行であり、前記中間位置から上方及び下方に向かって直線Ld(ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向)に対して外側に広がっている。一方、内側面In22の延設方向は、直線Ldと平行である。なお、貫通孔21d2”は、反力発生部材21を弾性体で型成形した際に形成されるものであり、この第9実施形態では、貫通孔21d3”はべース部21d”の中間位置を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。したがって、貫通孔21d3”を含み、ドーム21w1,21b1、トップ部21w2,21b2及びべース部21d”からなる反力発生部材21は、薄肉のドーム部21w1,21b1を無理抜きすることなく、型成形により容易に製造される。他の構成は、上記第7及び第8実施形態と同じであるので、上記第7実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
そして、反力発生部材21の支持部31d”への組み付けにおいては、複数の貫通孔21d3”内に複数のピン31e”をそれぞれ侵入させて圧入することにより、反力発生部材21が支持部31d”上に固定される。この組み付けにおいては、貫通孔21d3”の内側面In11をピン31e”の図14の右側面に当接させるとともに、貫通孔21d3”の内側面In12をピン31e”の図14の左側面に当接させながら、反力発生部材21をピン31e”の軸心Ypの方向に押して、貫通孔21d3”内にピン31e”を押し込ませる。この場合、貫通孔21d3”の内側面はピン31e”の外周面と大きな面積に渡って接触(干渉)することなく、ピン31e”は貫通孔21d3”内に内側面In1に沿って軸心Ypの方向にスムーズに侵入する。
そして、ベース部21d”の下面全体が支持部31d”の上面に当接するまで、貫通孔21d3”内にピン31e”を押し込む。この状態では、上記第7及び第8実施形態の場合と同様に、ベース部21d”の下面とドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する平面とが成す角度θp1は、軸心Yw,Ybと支持部31d”の板厚方向Dpとが成す角度θp2に等しい。したがって、ベース部21d”の下面は板厚方向Dpと直交して支持部31d”の上面と平行になり、ベース部21d”の下面全体が支持部31d”の上面に当接する。また、この状態では、べース部21d”の中間位置における貫通孔21d3”の内径はピン31e”の円柱状部分の外径よりも若干小さいので、反力発生部材21を支持部31d”に固定することができる。その結果、この第9実施形態においても、上記第7及び第8実施形態の場合と同様に、ベース部21d”の下面すなわちドーム部21w1,21b1の反対側の平面を支持部31d”の設置面(上面)に密着させて、反力発生部材21を支持部31d”に簡単かつ安定して組み付け及び固定することができる。
前記第9実施形態においては、内側面In11,In12の延設方向をピン31e”の軸心Ypの方向と平行にし、かつ内側面In21,In22の延設方向をドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と平行にした。しかし、この第9実施形態においても、上記第3実施形態の変形例1〜3(図8(A)〜(C)参照)のように、内側面In11,In12,In21,In22の延設方向は変更可能である。また、上記第3実施形態の変形例4(図8(D)参照)のように、ピン31e”を先端に向かうに従って細くするようにしてもよい。
j.第10実施形態
次に、上記第1実施形態(図3)の一部を変形した第10実施形態について、図15を用いて説明する。この第10実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、ドーム部21w1,21b1及びトップ部21w2,21b2の軸心Yw,Ybは上方向にて図示左側に傾斜しているが、ベース部21d”’の厚さは全体に渡って均一である。そして、ベース部21d”’以外の反力発生部材21のドーム部21w1,21b1及びトップ部21w2,21b2の形状、並び支持部31dに垂直に立設させたピン31eの形状も上記第1実施形態の場合と同じである。また、支持部31dの上面及び下面が平面である点、及び支持部31dの板厚が均一である点も上記第1実施形態の場合と同じである。したがって、べース部21d”’の上面及び下面は支持部31dの上面及び下面に平行であり、支持部31dの板厚方向Dp、ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向、及びピン31eの軸心Ypは、それぞれ互いに平行である。
ただし、この場合も、白鍵11w,11bによる反力発生部材21の押圧方向は、上記第1実施形態と同様に、軸心Yw,Ybの方向である。したがって、支持部31dの上面及び下面が、白鍵11w及び黒鍵11bによる反力発生部材21の押圧方向に直交するように、支持部31dが設けられていることになる。
べース部21”’には、上記第1実施形態と同様に、上面位置にてピン31eの円柱状部分に全周に渡って接触し、ピン31eの外周面に接する図示右側の内側面In1がピン31eの軸心Ypと平行に上方から下方に延設され、図示左側の内側面In2がピン31eの軸心Ypに対して上方から下方に向かって径方向外側に傾くようにした貫通孔21d1”’が形成されている。ただし、この第10実施形態においては、ピン31eの軸心Ykとドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybは平行であるので、図15のように、ピン31eの外周面に接する内側面In1を図示右側の内側面としてもよいが、図15の内側面In1,In2を左右逆にして、内側面In1を図示左側の内側面としてもよい。さらに、他の構成に関しても、上記第1実施形態と同じであるので、上記第1実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
この第10実施形態においても、貫通孔21d1”’の内側面は、上記第1実施形態と同様に、上方から下方に向かって径方向外側に広がっている。したがって、この場合も、貫通孔21d1”’は、べース部21d”’の上面を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。また、反力発生部材21の支持部31dへの組み付けも、上記第1実施形態の場合と同様である。したがって、この第10実施形態においても、上述した第1実施形態と全く同じ効果が得られる。
なお、この第10実施形態においても、上記第1実施形態の変形例1〜3(図4(A)〜(C)参照)のように、内側面In1,In2の延設方向は変更可能である。また、上記第1実施形態の変形例4(図4(D)参照)のように、ピン31eを先端に向かうに従って細くするようにしてもよい。
k.第11実施形態
次に、上記第2実施形態(図5)の一部を変形した第11実施形態について、図16を用いて説明する。この第11実施形態においては、ベース部21d”’の厚さを上記第10実施形態のように全体に渡って均一にしている。そして、貫通孔21d2”’以外の反力発生部材21の構成及びピン31eを含む支持部31dの構成は、上記第10実施形態と同じである。したがって、この場合も、支持部31dが、その上面及び下面を白鍵11w及び黒鍵11bによる反力発生部材21の押圧方向に直交させるように設けられている。
べース部21”’には、上記第2実施形態と同様に、下面位置にてピン31eの円柱状部分に全周に渡って接触し、ピン31eの外周面に接する図示左側の内側面In1がピン31eの軸心Ypと平行に下方から上方に延設され、図示右側の内側面In2がピン31eの軸心Ypに対して下方から上方に向かって径方向外側に傾くようにした貫通孔21d2”’が形成されている。ただし、この第11実施形態においても、ピン31eの軸心Ypとドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybは平行であるので、図16のように、ピン31eの外周面に接する内側面In1を図示左側の内側面としてもよいが、図16の内側面In1,In2を左右逆にして、内側面In1を図示右側の内側面としてもよい。他の構成に関しても、上記第2実施形態と同じであるので、上記第2実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
この第11実施形態においても、貫通孔21d2”’の内側面は、上記第2実施形態と同様に、下方から上方に向かって径方向外側に広がっている。したがって、この場合も、貫通孔21d2”’は、べース部21d”’の下面を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。また、反力発生部材21の支持部31dへの組み付けも、上記第2実施形態の場合と同様である。したがって、この第11実施形態においても、上述した第2実施形態と全く同じ効果が得られる。
なお、この第11実施形態においても、上記第2実施形態の変形例1〜3(図6(A)〜(C)参照)のように、内側面In1,In2の延設方向は変更可能である。また、上記第2実施形態の変形例4(図6(D)参照)のように、ピン31eを先端に向かうに従って細くするようにしてもよい。
l.第12実施形態
次に、上記第3実施形態(図7)の一部を変形した第12実施形態について、図17を用いて説明する。この第12実施形態においては、ベース部21d”’の厚さを上記第10及び第11実施形態のように全体に渡って均一にしている。そして、貫通孔21d3”’以外の反力発生部材21の構成及びピン31eを含む支持部31dの構成は、上記第10及び第11実施形態と同じである。したがって、この場合も、支持部31dが、その上面及び下面を白鍵11w及び黒鍵11bによる反力発生部材21の押圧方向に直交させように設けられている。
べース部21”’には、上記第3実施形態と同様に、中間位置にてピン31eの円柱状部分に全周に渡って接触し、ピン31eの外周面に接する図示左上側の内側面In11及び図示右下側In12がピン31eの軸心Ypと平行に中間位置から上方及び下方にそれぞれ延設され、図示右上側の内側面In21及び図示左下側の内側面In22がピン31eの軸心Ypに対して中間位置から上方及び下方に向かってそれぞれ径方向外側に傾くようにした貫通孔21d3”’が形成されている。ただし、この第12実施形態においては、ピン31eの軸心Ykとドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybは平行であるので、図17のように、ピン31eの外周面に接する内側面In11を図示左上側の内側面にするとともに、内側面In12を図示右下側の内側面にしてもよいが、図17の内側面In11,In12,In21,In22を左右逆にして、内側面In11を図示右上側の内側面にするとともに、内側面In12を図示左下側の内側面にしてもよい。他の構成に関しても、上記第2実施形態と同じであるので、上記第2実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
この第12実施形態においても、貫通孔21d3”’の内側面は、上記第3実施形態と同様に、中間位置から上方及び下方に向かってそれぞれ径方向外側に広がっている。したがって、この場合も、貫通孔21d3”’は、べース部21d”’の中間位置を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。また、反力発生部材21の支持部31dへの組み付けも、上記第3実施形態の場合と同様である。したがって、この第12実施形態においても、上述した第3実施形態と全く同じ効果が得られる。
なお、この第12実施形態においても、上記第3実施形態の変形例1〜3(図8(A)〜(C)参照)のように、内側面In11,In12,In21,In22の延設方向は変更可能である。また、上記第2実施形態の変形例4(図8(D)参照)のように、ピン31eを先端に向かうに従って細くするようにしてもよい。
m.第13実施形態
次に、上記第7実施形態(図12)の一部を変形した第13実施形態について、図18を用いて説明する。この第13実施形態においても、上記第7実施形態と同様に、ドーム部21w1,21b1及びトップ部21w2,21b2の軸心Yw,Ybは上方向にて図示左側に傾斜しているが、ベース部21d””の厚さは全体に渡って均一である。そして、ベース部21d””以外の反力発生部材21のドーム部21w1,21b1及びトップ部21w2,21b2の形状も、上記第7実施形態の場合と同じである。また、支持部31dの上面及び下面が平面である点、支持部31dの板厚が均一である点、及びピン31e”が支持部31d”の上面に対して傾斜して設けられている点も上記第7実施形態の場合と同じであるが、支持部31d”の傾斜が上記第7実施形態の場合に比べて緩やかである。そして、ピン31e”を含む支持部31d”の成形においては、型抜き方向がピン31e”の軸心Ypの方向(図示上下方向)である。このような第13実施形態においては、べース部21d””の上面及び下面は支持部31d”の上面及び下面に平行であり、かつ支持部31dの板厚方向Dpはドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向と同じであるが、ピン31e”の軸心Ypは板厚方向Dp及び軸心Yw,Ybの方向とは異なる。
ただし、この場合も、白鍵11w,11bによる反力発生部材21の押圧方向は、上記第7実施形態と同様に、軸心Yw,Ybの方向である。したがって、支持部31d”の上面及び下面が、白鍵11w及び黒鍵11bによる反力発生部材21の押圧方向に直交するように、支持部31d”が設けられていることになる。
べース部21””には、上記第7実施形態と同様に、上面位置にてピン31e”の円柱状部分に全周に渡って接触し、ピン31eの外周面に接する図示左側の内側面In1がピン31e”の軸心Ypと平行に上方から下方に延設され、図示右側の内側面In2がピン31eの軸心Ypに対して上方から下方に向かって径方向外側に傾くようにした貫通孔21d1””が形成されている。さらに、他の構成に関しても、上記第7実施形態と同じであるので、上記第7実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
この第13実施形態においても、貫通孔21d1””の内側面は、上記第7実施形態(すなわち第1実施形態)と同様に、上方から下方に向かって径方向外側に広がっている。したがって、この場合も、貫通孔21d1””は、べース部21d””の上面を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。また、反力発生部材21の支持部31dへの組み付けも、上記第7実施形態(すなわち第1実施形態)の場合と同様である。したがって、この第13実施形態においても、上述した第1及び第7実施形態と全く同じ効果が得られる。
なお、この第13実施形態においても、上記第1実施形態の変形例1〜3(図4(A)〜(C)参照)のように、内側面In1,In2の延設方向は変更可能である。また、上記第1実施形態の変形例4(図4(D)参照)のように、ピン31e”を先端に向かうに従って細くするようにしてもよい。
n.第14実施形態
次に、上記第8実施形態(図13)の一部を変形した第14実施形態について、図19を用いて説明する。この第14実施形態においては、上記第13実施形態(図18)のように、ベース部21d”’の厚さを全体に渡って均一にしているとともに、支持部31e”の傾斜が上記第8実施形態の場合に比べて緩やかである。そして、貫通孔21d2””以外の反力発生部材21の構成及びピン31e”を含む支持部31d”の構成は、上記第13実施形態と同じである。したがって、この場合も、支持部31d”が、その上面及び下面を白鍵11w及び黒鍵11bによる反力発生部材21の押圧方向に直交させるように設けられている。
べース部21””には、上記第8実施形態と同様に、下面位置にてピン31e”の円柱状部分に全周に渡って接触し、ピン31eの外周面に接する図示右側の内側面In1がピン31e”の軸心Ypと平行に下方から上方に延設され、図示左側の内側面In2がピン31e”の軸心Ypに対して下方から上方に向かって径方向外側に傾くようにした貫通孔21d2””が形成されている。さらに、他の構成に関しても、上記第8実施形態と同じであるので、上記第8実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
この第14実施形態においても、貫通孔21d2””の内側面は、上記第8実施形態(すなわち第2実施形態)と同様に、下方から上方に向かって径方向外側に広がっている。したがって、この場合も、貫通孔21d2””は、べース部21d””の下面を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。また、反力発生部材21の支持部31d”への組み付けも、上記第8実施形態(すなわち第2実施形態)の場合と同様である。したがって、この第14実施形態においても、上述した第2及び第8実施形態と全く同じ効果が得られる。
なお、この第14実施形態においても、上記第2実施形態の変形例1〜3(図6(A)〜(C)参照)のように、内側面In1,In2の延設方向は変更可能である。また、上記第2実施形態の変形例4(図6(D)参照)のように、ピン31e”を先端に向かうに従って細くするようにしてもよい。
o.第15実施形態
次に、上記第9実施形態(図14)の一部を変形した第15実施形態について、図20を用いて説明する。この第15実施形態においては、上記第13及び第14実施形態(図18,19)のように、ベース部21d””の厚さを全体に渡って均一にしているとともに、支持部31e”の傾斜が上記第9実施形態の場合に比べて緩やかである。そして、貫通孔21d3””以外の反力発生部材21の構成及びピン31e”を含む支持部31d”の構成は、上記第13及び第14実施形態と同じである。したがって、この場合も、支持部31d”が、その上面及び下面を白鍵11w及び黒鍵11bによる反力発生部材21の押圧方向に直交させるように設けられている。
べース部21””には、上記第9実施形態と同様に、中間位置にてピン31e”の円柱状部分に全周に渡って接触し、ピン31eの外周面に接する図示右上側の内側面In11及び図示左下側の内側面In12がピン31e”の軸心Ypと平行に中間位置から上方及び下方にそれぞれ延設され、図示左上側の内側面In21及び図示右下側の内側面In22がピン31e”の軸心Ypに対して中間位置から上方及び下方に向かってそれぞれ径方向外側に傾くようにした貫通孔21d3””が形成されている。さらに、他の構成に関しても、上記第9実施形態と同じであるので、上記第9実施形態の場合と同一符号を付して、その説明を省略する。
この第15実施形態においても、貫通孔21d3””の内側面は、上記第9実施形態(すなわち第3実施形態)と同様に、中間位置から上方及び下方に向かってそれぞれ径方向外側に広がっている。したがって、この場合も、貫通孔21d3””は、べース部21d””の中間位置を境にドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybの方向に成形型を抜き取ることにより形成される。また、反力発生部材21の支持部31d”への組み付けも、上記第9実施形態(すなわち第3実施形態)の場合と同様である。したがって、この第15実施形態においても、上述した第3及び第9実施形態と全く同じ効果が得られる。
なお、この第15実施形態においても、上記第3実施形態の変形例1〜3(図8(A)〜(C)参照)のように、内側面In11,In12,In21,In22の延設方向は変更可能である。また、上記第3実施形態の変形例4(図8(D)参照)のように、ピン31e”を先端に向かうに従って細くするようにしてもよい。
p.第16実施形態
上記第1乃至第15実施形態においては、白鍵11wの鍵支持部32wを黒鍵11bの鍵支持部32bよりも前方に配置するようにした。しかし、白鍵11wの鍵支持部32wと黒鍵11bの鍵支持部32bを前後方向にて同一位置に配置するようにしてもよい。次に、前記のように鍵支持部32w,32bを配置した第16実施形態について、図面を用いて説明する。図21は第16実施形態に係る鍵盤装置を右から見た概略側面図であり、図22は前記鍵盤装置の概略平面図である。
この第16実施形態においては、上記第1実施形態と同様に構成した鍵支持部32w,32bは、鍵フレーム31の上板部31aの後部の上面であって、前後方向の位置を一致させて配置されている。また、スプリング34w,34bは、鍵フレーム31の上板部31aの中間部の上面であって、前後方向の位置を一致させて配置されている。そして、鍵スイッチ38w,38bと延設部11b2との前後方向における中間位置には、白鍵11w用の反力発生部材21w及び黒鍵11b用の反力発生部材21bが配置されている。反力発生部材21wは、反力発生部材21bよりも若干前方に位置する。そして、白鍵11wの反力発生部材21wに対向する下面には押圧部11w1が設けられているとともに、黒鍵11bの反力発生部材21bに対向する下面には押圧部11b1が設けられている。
反力発生部材21wは、複数のドーム部21w1、複数のトップ部21w2及びベース部21dwからなり、弾性を有するゴムにより一体成形されている。べース部21dwには、上述した貫通孔21d1と同様な複数の貫通孔21d1wが設けられている。また、べース部21dw上には、白鍵11w用の複数のドーム部21w1及び複数のトップ部21w2のみが設けられている。また、複数の貫通孔21d1wは適宜箇所に設けられているが、それらの位置に関しては、上記第1実施形態の貫通孔21d1とは異なっていてもよい。反力発生部材21bは、複数のドーム部21b1、複数のトップ部21b2及びベース部21dbからなり、弾性を有するゴムにより一体成形されている。べース部21dbには、上述した貫通孔21d1と同様な複数の貫通孔21d1bが設けられている。べース部21db上には、黒鍵11b用の複数のドーム部21b1及び複数のトップ部21b2のみが設けられている。また、複数の貫通孔21d1bは適宜箇所に設けられているが、それらの位置に関しては、上記第1実施形態の貫通孔21d1とは異なっていてもよい。
このように構成された反力発生部材21w,21bは、貫通孔21d1w,21d1b内に、鍵フレーム31の上板部31aの支持部31dw,31dbに設けたピン31ew,31ebに圧入することにより、支持部31dw,31dbにそれぞれ固定されている。支持部31dw,31db及びピン31ew,31ebも、上記第1実施形態の支持部31d及びピン31eと同様に構成されている。ただし、支持部31dw,31dbは、それらの前端を後端よりも下方に位置させるように傾斜させているが、支持部31dbの傾斜は支持部31dwの傾斜に比べて大きい。これにより、ドーム部21b1及びトップ部21b2の軸心は、ドーム部21w1及びトップ部21b2の軸心よりも上方にて大きく前側に傾斜している。
これは、次の理由による。上述したように、演奏においては、白鍵11wの押鍵時における白鍵11wの前端の下方への変位量と、黒鍵11bの押鍵時における黒鍵11bの前端の下方への変位量とをほぼ等しくする必要がある。一方、この第16実施形態の場合、白鍵11wの揺動軸Cwと黒鍵11bの揺動軸Cbは前後方向において同じ位置にあり、白鍵11w用の反力発生部材21wと黒鍵11b用の反力発生部材21bは近接している。したがって、黒鍵11bの押圧部11b1の回転方向は白鍵11wの押圧部11w1の回転方向よりも下方にて大きく後側に傾斜することになる。そして、ドーム部21w1,21b1の反力ピーク時における押圧部11w1,11b1による押圧方向が、ドーム部21w1,21b1の両軸心方向とそれぞれ一致させるためには、ドーム部21b1及びトップ部21b2の軸心を、ドーム部21w1及びトップ部21b2の軸心よりも上方にて大きく前側に傾斜させる必要があるからである。また、押圧部11w1,11b1の下面の法線方向を、ドーム部21w1,21b1の反力ピーク時にドーム部21w1,21b1の両軸心方向と一致させるために、押圧部11b1の下面は、押圧部11w1の下面よりも前方にて大きく上側に傾斜している。他の構成は上記第1実施形態と同じであるので、同一符号を付して、その説明を省略する。
このように構成した第16実施形態においても、反力発生部材21w,21bは上記第1実施形態の反力発生部材21と同様に構成され、べース部21dw,21dbに設けた貫通孔21d1w,21d1bと支持部31dw,31dbに設けたピン31ew,31ebとの関係も、上記第1実施形態の貫通孔21d1とピン31eとの関係と同じである。したがって、この第16実施形態によっても、上記第1実施形態と同様な効果が期待される。
なお、この第16実施形態に係る鍵盤装置を、上記第1実施形態の変形例1〜4、第2乃至第15実施形態及びそれらの各種変形例のように変形することも可能である。
o.他の変形例及び他の適用例
次に、他の変形例及び本発明の他の適用例について説明する。上記各種実施形態及びそれらの変形例においては、軸心Ypに直交するピン31e,31e’,31e”,31ew,31ebの横断面形状を円形とした。しかし、これらの横断面形状は、円形でなくても、楕円、長楕円形などでもよい。この場合、貫通孔21d1〜21d3,21d1’〜21d3’,21d1”〜21d3”,21d1”’〜21d3 ”’,21d1””〜21d3””の横断面形状を、ピン31e,31e’,31e”,31ew,31ebの横断面形状に対応させるとよい。
また、ピン31e,31e’,31e”,31ew,31ebに、外周面上から軸心Ypに向かって切欠いて軸心Ypに沿って延設した溝を設けるようにしてもよい。具体的には、ピン31e,31e’,31e”,31ew,31ebの外周面上から軸心Ypに向かって三角形状に切欠いて軸心Ypに沿って延設させた1つ又は複数の溝をピン31e,31e’,31e”,31ew,31ebに設けてもよい。このように構成した変形例においては、ピン31e,31e’,31e”,31ew,31ebの軸心Ypの方向の一部(例えば、べース部21d,21d’,21d”,21d”’,21d””,21dw,21dbと当接する位置)の外周面が全周に渡って連続的に貫通孔21d1〜21d3,21d1’〜21d3’,21d1”〜21d3”,21d1”’〜21d3 ”’,21d1””〜21d3””,21d1w,21d1bの内側面に接触するわけではなく、溝を除いた部分のピン31e,31e’,31e”,31ew,31ebの外周面の全てが貫通孔21d1〜21d3,21d1’〜21d3’,21d1”〜21d3”,21d1”’〜21d3 ”’,21d1””〜21d3””,21d1w,21d1bの内側面に接触する。つまり、切欠き部を除いた部分が外周面となる。しかし、これによっても、上述の実施形態と同様に、反力発生部材21,21w,21bはピン31e,31e’,31e”,31ew,31ebと貫通孔21d1〜21d3,21d1’〜21d3’,21d1”〜21d3”,21d1”’〜21d3 ”’,21d1””〜21d3””,21d1w,21d1bの内側面との係合により、支持部31d,31d’,31d”,31dw,31dbに固定される。その結果、この変形例においても、上記第1実施形態と同様な効果が期待される。また、前記変形例の溝に代えて、1対の内側面が互いに平行に外周面からほぼ軸心Ypに向かうとともに、先端を半円状に切欠いて軸心Ypに沿って延設させた溝をピン31e,31e’,31e”,31ew,31ebに設けてもよい。このような溝の数及び切欠き形状は、種々に変更可能である。さらに、前記溝は、第1実施形態の変形例、上記第2乃至第16実施形態及びそれらの各種変形例にも適用される。
また、上記各種実施形態及びそれらの変形例においては、ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybに直交する断面形状を円形にしたが、この断面形状は円形に限らず、楕円形、長楕円形などでもよい。なお、この場合も、ドーム部21w1,21b1は、周方向の全体に渡り、下方に向かって径方向長さを徐々に増加させた形状である。
また、上記各種実施形態及びそれらの変形例においては、白鍵11w及び黒鍵11bを回転軸を中心に揺動させるようにした例について説明した。しかし、これに限らず、白鍵11w及び黒鍵11bの後端に板状の薄肉部を設け、薄肉部の後端を支持部材に支持させることにより、薄肉部の弾性変形により白鍵11w及び黒鍵11bを揺動させるようにしたヒンジ型の揺動支点を利用するものでもよい。
また、上記各種実施形態及びそれらの変形例においては、鍵スイッチ38w,38bとは独立して反力発生部材21,21w,21bを設けるようにした。しかし、これに代えて、鍵スイッチ38w,38bを反力発生部材21,21w,21bと同様に構成して、鍵スイッチ38w,38bを反力発生部材として利用するようにしてもよい。この場合、ドーム部21w1,21b1を内側部分と外側部分との2段構成とし、内側部分と外側部分との間に円筒状の変形量の少ないスイッチ部分を設ける。そして、外側部分の変形により押鍵に対して増加する反力を発生するとともにスイッチ部分で基板に設けた接点を開閉するようにし、かつ内側部分の変形により座屈変形を伴う押鍵に対する反力を発生するようにするとよい。
また、上記各種実施形態及びそれらの変形例においては、反力発生部材21,21w,21bを支持部31d,31d’,31d”,31dw,31dbに固定して、白鍵11w及び黒鍵11bの押圧部11w1,11b1により反力発生部材21,21w,21bを押圧するようにした。しかし、これに代えて、反力発生部材21,21w,21bを白鍵11w及び黒鍵11bに固定して、鍵フレーム31の上板部31aにおける反力発生部材21,21w,21bに対向する位置に押圧部を設け、白鍵11w及び黒鍵11bの揺動により、前記押圧部により反力発生部材21,21w,21bが押圧されるようにしてもよい。ただし、この場合には、反力発生部材21,21w,21bのドーム部21w1,21b1、トップ部21w2,21b2及びベース部21d,21dw,21dbは、上記実施形態の場合とは上下が逆になる。なお、この場合には、反力発生部材21,21w,21bを別々に成形して、反力発生部材21,21w,21bを白鍵11w及び黒鍵11bに個別に固定する必要がある。
また、上記各種実施形態及びそれらの変形例においては、白鍵11w及び黒鍵11bにより反力発生部材21,21w,21bを直接押圧するようにした。しかし、白鍵11w及び黒鍵11bの揺動により連動して揺動する揺動体が間接的に反力発生部材21,21w,21bを押圧するようにした鍵盤装置にも、本発明に係る反力発生装置は適用され得る。すなわち、白鍵11w及び黒鍵11bの揺動により連動して揺動する揺動体(例えば、ハンマー)を設け、揺動体に押圧部を設けるとともに、支持部材の押圧部に対向する位置に反力発生部材21,21w,21bを設ける。これによっても、白鍵11w及び黒鍵11bの押離鍵操作に対して、上記各種実施形態及びそれらの変形例と同様な効果を期待できる。また、反力発生部材21,21w,21bを揺動体側に設けて、反力発生部材21,21w,21bに対向する位置に押圧部を設けるようにしてもよい。
また、上記各種実施形態及びそれらの変形例においては、ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybがほぼ上下方向に延設されるように、反力発生部材21,21w,21bを固定する例について説明した。しかし、ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybが上下方向でない方向に延設されるように、反力発生部材21,21w,21bが固定される場合もある。例えば、白鍵11w及び黒鍵11bの揺動軸Cw,Cbの近傍から白鍵11w及び黒鍵11bの延設方向(すなわち水平方向)と異なる方向(例えば、直角方向)に一体的に延設する延設部材を白鍵11w及び黒鍵11bに設けて、延設部材が白鍵11w及び黒鍵11bの押鍵により延設方向とほぼ直角方向(例えば、略水平方向)に揺動するようにする。この場合、反力発生部材21,21w,21bを前記延設部材に固定し、又は前記延設部材に対向する位置に固定すると、ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybが上下方向以外の方向(例えば、水平方向)となるように、反力発生部材21,21w,21bは固定されることになる。また、ハンマーなどの揺動体を用いる場合にも、揺動体の揺動方向によっては、ドーム部21w1,21b1の軸心Yw,Ybは上下方向以外の方向になるように、反力発生部材21,21w,21bは固定されることになる。要するに、本発明においては、ドーム部21w1,21b1の開口側にて反力発生部材21,21w,21bを支持部材に固定すればよく、軸心Yw,Ybの方向に関しては、上下方向以外の種々の方向が考えられる。
さらに、本発明に係る反力発生装置は、鍵盤装置の白鍵11w及び黒鍵11b以外の操作子にも適用され得る。すなわち、手、足などにより操作される操作子に対しても、上記実施形態及び変形例のような反力発生部材21,21w,21bを用いて、操作子の操作に対して反力を与えるようにしてもよい。なお、この場合の操作子は、揺動中心を中心にして揺動するものに限らず、ドーム部の軸心方向に沿って平行移動するような操作子であってもよい。