JP6307542B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する発電セルを有し、複数の前記発電セルが積層された燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックが収容されるスタックケースとを備える燃料電池システムに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の一方の面にアノード電極が、他方の面にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・電極構造体(MEA)を備えている。電解質膜・電極構造体は、セパレータによって挟持されることにより、発電セルを構成している。燃料電池は、通常、所定の数の発電セルが積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして燃料電池車両(燃料電池電気自動車等)に組み込まれている。
車載用燃料電池スタックでは、揺れや振動の他、外部荷重が付与され易い。従って、燃料電池スタック全体の剛性を確保するため、前記燃料電池スタックをボックス内に収容する構成が採用されている。そして、容易に軽量化を図るとともに、外部荷重を確実に受けることができ、燃料電池スタックを良好に保護することを可能にするために、車載用燃料電池システムが提供されている(特許文献1)。
この車載用燃料電池システムは、燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックを収容するボックスとを備えている。ボックスは、2枚のサイドプレート、アッパープレート、ダウンプレート及び一対のエンドプレートを有している。少なくともアッパープレート又はダウンプレートは、矩形状を有し、一方の対角を構成する一対の角部が、一対のエンドプレートに結合されるとともに、他方の対角を構成する一対の角部が、一対のサイドプレートに結合されている。
特開2014−096285号公報
本発明は、この種の技術に関連してなされたものであり、簡単な構成で、所望のシール性を確実に得ることが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池システムは、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する発電セルを有し、複数の前記発電セルが積層された燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックが収容されるスタックケースとを備えている。
スタックケースは、発電セルの積層方向両端に配置される一対のエンドプレートを備えている。スタックケースは、さらに発電セルの側面に沿って配置される一対のサイドプレート、前記発電セルの上方に配置される上プレート及び前記発電セルの下方に配置される下プレートを備えている。
この燃料電池システムでは、エンドプレート及びサイドプレートと上プレート及び下プレートとには、互い接合される第1接合面と第2接合面とが設けられている。第1接合面と第2接合面とは、互いに重なり合った状態で、締結部材により一体に接合されている。そして、第1接合面には、第2接合面から離間する方向に切り欠いてシール部材が配設される段差部が設けられ、且つ、前記締結部材は、前記第1接合面において前記シール部材の外側に配置されている。
また、この燃料電池システムでは、段差部は、エンドプレート及びサイドプレートの燃料電池スタック側の内面まで延在していることが好ましい。
さらに、この燃料電池システムでは、締結部材の座面は、シール部材の外側に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、エンドプレート及びサイドプレートの第1接合面に設けられた段差部にシール部材が配設されるとともに、前記シール部材の外側に締結部材が配置されている。このため、シール部材の内側にガスを気密に保持することができ、前記ガスが締結部材から外方に漏れることを可及的に抑制することが可能になる。従って、簡単な構成で、所望のシール性を確実に得ることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムを搭載する燃料電池電気自動車の概略平面説明図である。 前記燃料電池システムを構成するスタックケースの一部分解斜視説明図である。 前記燃料電池システムの前記スタックケースの一部を省略した要部分解斜視説明図である。 燃料電池スタックを構成する発電セルの要部分解斜視説明図である。 前記スタックケースの、図2中、V−V線断面図である。 前記スタックケースの一部を省略した前記燃料電池スタックの平面説明図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池システム10は、燃料電池電気自動車(燃料電池車両)12のフロントボックス(所謂、モータルーム)12fに搭載される。なお、燃料電池システム10の収容場所は、フロントボックス12fに限定されるものではなく、例えば、車両中央部床下や後部トランク近傍であってもよい。
燃料電池システム10は、図2及び図3に示すように、複数の発電セル14が積層された燃料電池スタック16と、前記燃料電池スタック16が収容されるスタックケース18とを備える。発電セル14は、電極面を立位姿勢にして燃料電池電気自動車12の車長方向(車両前後方向)(矢印A方向)に交差する車幅方向(矢印B方向)に積層される。なお、発電セル14は、鉛直方向(車高方向)(矢印C方向)に積層されてもよい。
複数の発電セル14が矢印B方向に積層されて積層体14asが構成される。積層体14asの積層方向一端には、第1ターミナルプレート20a、第1絶縁プレート22a及び第1エンドプレート24aが、外方に向かって、順次、配設される。積層体14asの積層方向他端には、第2ターミナルプレート20b、第2絶縁プレート22b及び第2エンドプレート24bが、外方に向かって、順次、配設される。
横長形状(長方形状)の第1エンドプレート24aの略中央部(中央部から偏心してもよい)からは、第1ターミナルプレート20aに接続された第1電力出力端子26aが外方に向かって延在する。横長形状(長方形状)の第2エンドプレート24bの略中央部からは、第2ターミナルプレート20bに接続された第2電力出力端子26bが外方に向かって延在する(図2参照)。
第1エンドプレート24aと第2エンドプレート24bとの各辺間には、それぞれ各辺の中央位置に一定の長さを有する連結バー28が配置される。連結バー28の両端は、ねじ30により第1エンドプレート24aと第2エンドプレート24bとに固定され、複数の積層された発電セル14(積層体14as)に積層方向(矢印B方向)の締め付け荷重を付与する。
図4に示すように、発電セル14は、電解質膜・電極構造体(MEA)32と、前記電解質膜・電極構造体32を挟持するカソードセパレータ34及びアノードセパレータ36とを備える。発電セル14の4つの角部は、それぞれ湾曲形状を有する。
カソードセパレータ34及びアノードセパレータ36は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、チタン板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属製薄板により構成される。カソードセパレータ34及びアノードセパレータ36は、平面が矩形状を有するとともに、金属製薄板を波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状に成形される。なお、カソードセパレータ34及びアノードセパレータ36は、金属セパレータに代えて、例えば、カーボンセパレータを使用してもよい。
カソードセパレータ34及びアノードセパレータ36は、横長形状を有するとともに、長辺が水平方向(矢印A方向)に延在し且つ短辺が重力方向(矢印C方向)に延在する。
発電セル14の長辺方向(矢印A方向)の一端縁部には、それぞれ矢印B方向に個別に連通して、酸化剤ガス供給連通孔38a及び燃料ガス供給連通孔40aが設けられる。酸化剤ガス供給連通孔38aは、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する一方、燃料ガス供給連通孔40aは、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給する。
発電セル14の長辺方向の他端縁部には、それぞれ矢印B方向に個別に連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔40bと、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔38bとが設けられる。
発電セル14の短辺方向(矢印C方向)の両端縁部には、水平方向一端側に、すなわち、酸化剤ガス供給連通孔38a及び燃料ガス供給連通孔40a側に、2つの冷却媒体供給連通孔42aが設けられる。2つの冷却媒体供給連通孔42aは、冷却媒体を供給するために、それぞれ矢印B方向に個別に連通しており、対向する辺に上下に設けられる。
発電セル14の短辺方向の両端縁部には、水平方向他端側に、すなわち、燃料ガス排出連通孔40b及び酸化剤ガス排出連通孔38b側に、2つの冷却媒体排出連通孔42bが設けられる。2つの冷却媒体排出連通孔42bは、冷却媒体を排出するために、それぞれ矢印B方向に個別に連通しており、対向する辺に上下に設けられる。
電解質膜・電極構造体32は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である固体高分子電解質膜44と、前記固体高分子電解質膜44を挟持するカソード電極46及びアノード電極48とを備える。
カソード電極46及びアノード電極48は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜44の両面に形成される。
カソードセパレータ34の電解質膜・電極構造体32に向かう面34aには、酸化剤ガス供給連通孔38aと酸化剤ガス排出連通孔38bとを連通する酸化剤ガス流路50が形成される。酸化剤ガス流路50は、矢印A方向に延在する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)により形成される。
アノードセパレータ36の電解質膜・電極構造体32に向かう面36aには、燃料ガス供給連通孔40aと燃料ガス排出連通孔40bとを連通する燃料ガス流路52が形成される。燃料ガス流路52は、矢印A方向に延在する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)により形成される。なお、酸化剤ガス流路50と燃料ガス流路52とは、互いに同一の流れ方向を有する並行流を構成しているが、これに限定されるものではなく、互いに異なる流れ方向を有する対向流を構成してもよい。
互いに隣接するアノードセパレータ36の面36bとカソードセパレータ34の面34bとの間には、一対の冷却媒体供給連通孔42aと一対の冷却媒体排出連通孔42bとに連通する冷却媒体流路54が形成される。冷却媒体流路54は、水平方向に延在しており、電解質膜・電極構造体32の電極範囲に亘って冷却媒体を流通させる。
カソードセパレータ34の面34a、34bには、このカソードセパレータ34の外周端縁部を周回して第1シール部材56が一体成形される。アノードセパレータ36の面36a、36bには、このアノードセパレータ36の外周端縁部を周回して第2シール部材58が一体成形される。
第1シール部材56及び第2シール部材58としては、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
図2及び図3に示すように、第1エンドプレート24aには、酸化剤ガス供給マニホールド部材60a、酸化剤ガス排出マニホールド部材60b、燃料ガス供給マニホールド部材62a及び燃料ガス排出マニホールド部材62bが取り付けられる。
酸化剤ガス供給マニホールド部材60aと酸化剤ガス排出マニホールド部材60bとは、酸化剤ガス供給連通孔38aと酸化剤ガス排出連通孔38bとに連通する。燃料ガス供給マニホールド部材62a及び燃料ガス排出マニホールド部材62bは、燃料ガス供給連通孔40a及び燃料ガス排出連通孔40bに連通する。
図1に示すように、第2エンドプレート24bには、一対の冷却媒体供給連通孔42aに連通する冷却媒体供給マニホールド部材63aが取り付けられる。第2エンドプレート24bには、一対の冷却媒体排出連通孔42bに連通する冷却媒体排出マニホールド部材63bが取り付けられる。
図2及び図3に示すように、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの上部には、後述する上プレート76に接合される第1上接合面64uが設けられる。第1上接合面64uの車長方向両端部には、各角部にそれぞれ内側に湾曲する湾曲面64uf、64ubが形成される。
第1上接合面64uには、積層体14as側の上面を上プレート76から離間する方向(下方向)に所定の深さだけ切り欠いて、上段差部66uが矢印A方向全面に亘って設けられる。上段差部66uは、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの燃料電池スタック16側の内面まで延在して、すなわち、片側溝形状を有して形成される。図2、図3及び図5に示すように、第1上接合面64uには、上段差部66uの外方に位置して所定数の座面68が形成され、各座面68には、ねじ穴68aが設けられる。
第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの下部には、後述する下プレート78に接合される第1下接合面64dが設けられる。第1下接合面64dの車長方向両端部には、各角部にそれぞれ内側に湾曲する湾曲面64df、64dbが形成される。
第1下接合面64dには、積層体14as側の下面を下プレート78から離間する方向(上方向)に所定の深さだけ切り欠いて、下段差部66dが矢印A方向全面に亘って設けられる。図5に示すように、下段差部66dは、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの燃料電池スタック16側の内面まで延在して、すなわち、片側溝形状を有して形成される。
第1下接合面64dには、上段差部66uと同様に、下段差部66dの外方に位置して所定数の座面68が形成され、各座面68には、ねじ穴68aが設けられる。なお、湾曲面64uf、64dfと湾曲面64ub、64dbとは、それぞれ異なる曲率半径に設定されるが、同一の曲率半径を有してもよい。
図2及び図3に示すように、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの矢印A方向両端(両短辺)には、それぞれ外方に突出する肉薄の突起部67が形成される。突起部67の内側(積層体14as側)には、シール面70aが形成される。シール面70aは、後述する前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74に対向し且つ上下方向に平坦状に延在する。第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの外周面には、複数の座面68が形成され、各座面68には、ねじ穴68aが形成される。
スタックケース18は、車幅方向(矢印B方向)両端の2面が第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bにより構成される。スタックケース18の車長方向(矢印A方向)両端の2面は、横長プレート形状の前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74により構成される。スタックケース18の車高方向(矢印C方向)両端の2面は、上プレート76及び下プレート78により構成される。上プレート76及び下プレート78は、横長プレート形状を有する。
なお、スタックケース18は、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bとは別部材で構成される一対のエンドプレートを用いてもよい。その際、最外位置に配置される一対のエンドプレートの外周部は、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの外周部と同様に構成される。
前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74は、例えば、押し出し成形や鋳造、又は機械加工等により形成される。前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74は、鉛直方向に配置される横長プレート形状を有し、スタックケース18の内方に膨出する上膨出部79u及び下膨出部79dが上下に互いに平行に形成される。
上膨出部79uには、上プレート76に接合される第1上接合面80uが設けられる。第1上接合面80uには、積層体14as側の上面を上プレート76から離間する方向(下方向)に所定の深さだけ切り欠いて、上段差部82uが矢印B方向全面に亘って設けられる。
上段差部82uは、前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の燃料電池スタック16側の内面まで延在して、すなわち、片側溝形状を有して形成される。第1上接合面80uには、上段差部82uの外方に位置して所定数の座面68が形成され、各座面68には、ねじ穴68aが設けられる。
下膨出部79dには、下プレート78に接合される第1下接合面80dが設けられる。第1下接合面80dには、積層体14as側の下面を下プレート78から離間する方向(上方向)に所定の深さだけ切り欠いて、下段差部82dが矢印B方向全面に亘って設けられる。下段差部82dは、前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の燃料電池スタック16側の内面まで延在して、すなわち、片側溝形状を有して形成される。
第1下接合面80dには、図示しないが、上段差部82uと同様に、下段差部82dの外方に位置して所定数の座面が形成され、各座面には、ねじ穴が設けられる。
前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の矢印B方向両端(両短辺)には、それぞれ薄肉部84が形成されるとともに、前記薄肉部84は、積層体14asに対向するシール面を構成する。薄肉部84には、ボス部86が設けられるとともに、前記ボス部86は、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの短辺に形成された座面68に当接する。ボス部86に設けられる孔部86aは、座面68のねじ穴68aと同軸上に配置される。
第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bのシール面70aと前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の薄肉部84とは、互いに対向して合わせ面を構成する。各合わせ面には、上下方向に延在するシール部材88が配設される。シール部材88は、断面長方形状(又は正方形状)を有するとともに、上部にT形端部88tが一体に設けられる。
前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の薄肉部84に形成された孔部86aにボルト90が挿入される。ボルト90は、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの側面に設けられたねじ穴68aに螺合される。
図2に示すように、上プレート76は、互いに接合される一対のプレス板(プレス成形板)である外側プレート92と内側プレート94とを備える。外側プレート92及び内側プレート94間には、積層方向(矢印B方向)に沿って延在するプレート両端部(矢印A方向の両端部)に対応して角柱部材95a、95bが介装される。角柱部材95aは、角柱部材95bよりも矢印A方向に幅広に構成されるが、同一の幅寸法を有してもよい。
内側プレート94は、スタックケース18の内周面を構成し、薄板状を有するとともに、発電セル14の外周形状に沿って湾曲形状又は屈曲形状あるいは両方の形状を有する。外側プレート92と内側プレート94とは、MIG溶接やTIG溶接等により固定される。
内側プレート94の発電セル14に対向する面には、矢印B方向両端に第2上接合面96uが設けられるとともに、矢印A方向両端に第2上接合面98uが設けられる。第2上接合面96uは、図2及び図5に示すように、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの第1上接合面64uに接合される。第2上接合面98uは、図2に示すように、前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の第1上接合面80uに接合される。
下プレート78は、互いに接合される一対のプレス板(プレス成形板)である外側プレート100と内側プレート102とを備える。外側プレート100及び内側プレート102間には、積層方向(矢印B方向)に沿って延在するプレート両端部(矢印A方向の両端部)に対応して角柱部材104a、104bが介装される。角柱部材104aは、角柱部材104bよりも矢印A方向に幅広に構成されるが、同一の幅寸法を有してもよい。
内側プレート102は、スタックケース18の内周面を構成し、薄板状を有するとともに、発電セル14の外周形状に沿って湾曲形状又は屈曲形状あるいは両方の形状を有する。外側プレート100と内側プレート102とは、MIG溶接やTIG溶接等により固定される。
内側プレート102の発電セル14に対向する面には、矢印B方向両端に第2下接合面96dが設けられるとともに、矢印A方向両端に第2下接合面98dが設けられる。第2下接合面96dは、図2及び図5に示すように、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの第1下接合面64dに接合される。第2下接合面98dは、図2に示すように、前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の第1下接合面80dに接合される。なお、上プレート76及び下プレート78は、3枚の部材を重ねて構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、2枚合わせや一体構成でもよい。
上プレート76と、第1エンドプレート24a、第2エンドプレート24b、前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74との間には、矩形のループ形状を有する上シール部材(矩形シール部材)106uが介装される。
上シール部材106uは、図2及び図6に示すように、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの各上段差部66u、及び前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の各上段差部82uに配置される。上シール部材106uは、断面四角形状(又は断面円形状)を有し、4つの各角部には、それぞれ長さ調整用の延長部108fR、108fL、108bR及び108bLが設けられる。上シール部材106uは、第1エンドプレート24a、第2エンドプレート24b、前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の各座面68の内側に配置される。図5に示すように、上シール部材106uの外側端部は、ボルト90の内側端部から距離Sだけ内方に配置される。
延長部108fR、108fL、108bR及び108bLは、各角部において外周側に突出するループ形状に形成される。延長部108fR、108fL、108bR及び108bLは、それぞれ異なる形状を有するが、同一形状を有してもよい。
なお、シール部位の形状に応じて、延長部108fR、108fL、108bR及び108bLの中、少なくとも1つのみを設けることもできる。また、一方の対角位置、例えば、延長部108fR及び108bLのみを設けることも可能である。後述する下シール部材106dでも、延長部の設置位置や設置個数は、適宜選択することができる。さらに、上シール部材106u又は下シール部材106dの一方にのみ延長部を設けてもよい。
図2に示すように、下プレート78と、第1エンドプレート24a、第2エンドプレート24b、前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74との間には、矩形のループ形状を有する下シール部材(矩形シール部材)106dが介装される。
図6に示すように、下シール部材106dは、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの各下段差部66d、及び前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の各下段差部82dに配置される。下シール部材106dは、断面四角形状(又は断面円形状)を有し、4つの各角部には、それぞれ長さ調整用の延長部110fR、110fL、110bR及び110bLが設けられる。下シール部材106dは、第1エンドプレート24a、第2エンドプレート24b、前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の各座面68の内側に配置される。図5に示すように、下シール部材106dの外側端部は、ボルト90の内側端部から距離Sだけ内方に配置される。
延長部110fR、110fL、110bR及び110bLは、各角部において外周側に突出するループ形状に形成される。延長部110fR、110fL、110bR及び110bLは、それぞれ異なる形状を有するが、同一形状を有してもよい。
図2に示すように、上プレート76及び下プレート78には、それぞれ複数のボルト挿入用の孔部86aが形成される。各孔部86aに挿入されるボルト(締結部材)90が、ねじ穴68aに螺合することにより、スタックケース18の各構成部品は、互いに固定されるとともに、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bに固定される。
このように構成される燃料電池システム10の動作について、以下に説明する。
まず、図2及び図3に示すように、第1エンドプレート24aの酸化剤ガス供給マニホールド部材60aから酸化剤ガス供給連通孔38aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給される。第1エンドプレート24aの燃料ガス供給マニホールド部材62aから燃料ガス供給連通孔40aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。
さらに、第2エンドプレート24bでは、図1に示すように、冷却媒体供給マニホールド部材63aから一対の冷却媒体供給連通孔42aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、図4に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔38aからカソードセパレータ34の酸化剤ガス流路50に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路50に沿って矢印A方向に移動し、電解質膜・電極構造体32のカソード電極46に供給される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔40aからアノードセパレータ36の燃料ガス流路52に供給される。燃料ガスは、燃料ガス流路52に沿って矢印A方向に移動し、電解質膜・電極構造体32のアノード電極48に供給される。
従って、電解質膜・電極構造体32では、カソード電極46に供給される酸化剤ガスと、アノード電極48に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。これにより、燃料電池電気自動車12は、燃料電池システム10からの電力により走行する。
次いで、電解質膜・電極構造体32のカソード電極46に供給されて一部が消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔38bに沿って矢印B方向に排出される。一方、電解質膜・電極構造体32のアノード電極48に供給されて一部が消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔40bに沿って矢印B方向に排出される。
また、一対の冷却媒体供給連通孔42aに供給された冷却媒体は、カソードセパレータ34及びアノードセパレータ36間の冷却媒体流路54に導入される。冷却媒体は、一旦矢印C方向内方に沿って流動した後、矢印A方向に移動して電解質膜・電極構造体32を冷却する。この冷却媒体は、矢印C方向外方に移動した後、一対の冷却媒体排出連通孔42bに沿って矢印B方向に排出される。
この場合、本実施形態では、図2及び図5に示すように、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの上部には、第1上接合面64uが設けられている。一方、上プレート76には、第2上接合面96uが設けられている。そして、第1上接合面64uと第2上接合面96uとは、互いに重なり合った状態で、締結部材であるボルト90により一体に接合されている。
その際、第1上接合面64uには、上段差部66uが形成され、前記上段差部66uに上シール部材106uが配設されるとともに、前記上シール部材106uの外側に、ボルト90が配置されている。
さらに、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの下部には、第1下接合面64dが設けられている。一方、下プレート78には、第2下接合面96dが設けられている。そして、第1下接合面64dと第2下接合面96dとは、互いに重なり合った状態で、締結部材であるボルト90により一体に接合されている。
その際、第1下接合面64dには、下段差部66dが形成され、前記下段差部66dに下シール部材106dが配設されるとともに、前記下シール部材106dの外側に、ボルト90が配置されている。
また、図2及び図3に示すように、前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の上部には、第1上接合面80uが設けられている。一方、上プレート76には、第2上接合面98uが設けられている。そして、第1上接合面80uと第2上接合面98uとは、互いに重なり合った状態で、締結部材であるボルト90により一体に接合されている。
その際、第1上接合面80uには、上段差部82uが形成され、前記上段差部82uに上シール部材106uが配設されるとともに、前記上シール部材106uの外側に、ボルト90が配置されている。
さらに、前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の下部には、第1下接合面80dが設けられている。一方、下プレート78には、第2下接合面98dが設けられている。そして、第1下接合面80dと第2下接合面98dとは、互いに重なり合った状態で、締結部材であるボルト90により一体に接合されている。
その際、第1下接合面80dには、下段差部82dが形成され、前記下段差部82dに下シール部材106dが配設されるとともに、前記下シール部材106dの外側に、ボルト90が配置されている。
このため、上シール部材106u及び下シール部材106dの内側にガス、特に燃料ガスを気密に保持することができ、前記燃料ガスがボルト締結部(ねじ穴68a等)から外方に漏れることを可及的に抑制することが可能になる。従って、簡単な構成で、所望のシール性を確実に得ることができるという効果が得られる。
また、図2、図3及び図5に示すように、上段差部66u及び下段差部66dは、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの燃料電池スタック16側の内面まで延在して、すなわち、片側溝形状を有して形成されている。同様に、上段差部82u及び下段差部82dは、前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の燃料電池スタック16側の内面まで延在して、すなわち、片側溝形状を有して形成されている。
これにより、上段差部66u、下段差部66d、上段差部82u及び下段差部82dを加工する際、比較的大径な工具を用いることができ、生産性が有効に向上するという利点がある。
さらにまた、上シール部材106u及び下シール部材106dは、第1エンドプレート24a、第2エンドプレート24b、前方サイドプレート72及び後方サイドプレート74の各座面68の内側に配置されている。このため、第1上接合面64u、80uと第2上接合面96u、98uとに、及び第1下接合面64d、80dと第2下接合面96d、98dとに、それぞれ所望の結合力を確実に付与することが可能になる。
10…燃料電池システム 12…燃料電池電気自動車
12f…フロントボックス 14…発電セル
14as…積層体 16…燃料電池スタック
18…スタックケース 24a、24b…エンドプレート
32…電解質膜・電極構造体 34…カソードセパレータ
36…アノードセパレータ 38a…酸化剤ガス供給連通孔
38b…酸化剤ガス排出連通孔 40a…燃料ガス供給連通孔
40b…燃料ガス排出連通孔 42a…冷却媒体供給連通孔
42b…冷却媒体排出連通孔 44…固体高分子電解質膜
46…カソード電極 48…アノード電極
50…酸化剤ガス流路 52…燃料ガス流路
54…冷却媒体流路
60a…酸化剤ガス供給マニホールド部材
60b…酸化剤ガス排出マニホールド部材
62a…燃料ガス供給マニホールド部材
62b…燃料ガス排出マニホールド部材
63a…冷却媒体供給マニホールド部材
63b…冷却媒体排出マニホールド部材
64d、80d、96d、98d…下接合面
64u、80u、96u、98u…上接合面
66d、82d…下段差部 66u、82u…上段差部
68…座面 68a…ねじ穴
72…前方サイドプレート 74…後方サイドプレート
76…上プレート 78…下プレート
79d…下膨出部 79u…上膨出部
92、100…外側プレート 94、102…内側プレート
95a、95b、104a、104b…角柱部材
106d…下シール部材 106u…上シール部材

Claims (3)

  1. 燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する発電セルを有し、複数の前記発電セルが積層された燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックが収容されるスタックケースとを備える燃料電池システムであって、
    前記スタックケースは、前記発電セルの積層方向両端に配置される一対のエンドプレート、前記発電セルの側面に沿って配置される一対のサイドプレート、前記発電セルの上方に配置される上プレート及び前記発電セルの下方に配置される下プレートにより構成され、
    前記エンドプレート及び前記サイドプレートと前記上プレート及び前記下プレートとには、互い接合される第1接合面と第2接合面とが設けられ、
    前記第1接合面と前記第2接合面とは、互いに重なり合った状態で、締結部材により一体に接合されるとともに、
    前記第1接合面には、前記第2接合面から離間する方向に切り欠いてシール部材が配設される段差部が設けられ、且つ、前記締結部材は、前記第1接合面において前記シール部材の外側に配置されていることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 請求項1記載の燃料電池システムであって、前記段差部は、前記エンドプレート及び前記サイドプレートの前記燃料電池スタック側の内面まで延在していることを特徴とする燃料電池システム。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池システムであって、前記締結部材の座面は、前記シール部材の外側に配置されていることを特徴とする燃料電池システム。
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