JP6306571B2 - 尿素製造プラント - Google Patents

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Description

本発明は、尿素の製造の分野におけるものであり、特に固体尿素粒子の製造(尿素の仕上げ)に関する。本発明は特に、このような方法におけるエネルギー消費の低減に関する。本発明はまた、尿素製造プラント、及び既存の尿素製造プラントの改修にも関する。
尿素は、一般的に、アンモニアと二酸化炭素から製造される。それは、過剰のアンモニアを二酸化炭素と一緒に、12から40MPaの間の圧力及び150℃から250℃の間の温度で尿素合成ゾーンに導入することによって製造することができる。得られる尿素の形成は、2つの連続した反応工程の形で最もよく表すことができ、第1工程において、カルバミン酸アンモニウムが、発熱反応:
2NH+CO→HN−CO−ONH
に従って生成され、その後、形成したカルバミン酸アンモニウムは第2工程で脱水されて、吸熱平衡反応:
N−CO−ONH⇔HN−CO−NH+H
に従って尿素を生じる。
これらの反応が起きる程度は、中でも、温度及び使用する過剰のアンモニアに依存する。尿素合成溶液中で得られる反応生成物は、実質的に、尿素、水、未結合アンモニア及びカルバミン酸アンモニウムからなる。カルバミン酸アンモニウム及びアンモニアは溶液から除去され、一般的に、尿素合成ゾーンに戻される。
尿素合成ゾーン中の上記溶液に加えて、不活性ガスと一緒に未転化アンモニア及び二酸化炭素からなるガス混合物、いわゆる反応オフガスを形成する。尿素合成セクションは、カルバミン酸アンモニウム及び尿素を形成する別々のゾーンを含んでもよい。これらのゾーンはまた、単一の装置内で組み合わされてもよい。
本発明の背景は、以下のセクション:
(A)合成及び再循環(回収)セクション;前記セクションは蒸発セクション(B)と流体連結されており、前記蒸発セクションは、仕上げセクション(C)と流体連結されており;前記仕上げセクション(C)は、ダスト除去セクション(D)へのガスフローラインを有し;蒸発セクション(B)は、凝縮セクション(E)へのガスフローラインをさらに含む
を含む尿素製造プラントである。前記凝縮セクション(E)は、加工凝縮処理セクション(F)と流体連結されている。従来の設備を図1に示す。
合成及び回収セクション(A)から、主に尿素と水からなるが、少量の残留したカルバミン酸アンモニウム及び少量の残留した過剰のアンモニアで汚染された溶液(3)が得られる。この溶液(3)の典型的な組成は、60〜85質量%の尿素、0.1〜2.5質量%のカルバミン酸アンモニウム、0.1〜2.5質量%のアンモニアである。
蒸発セクション(B)において、前記溶液(3)は、(液状)濃縮尿素溶融物(4)及びガス状流れ(11)に分離される。典型的には、このセクションの尿素溶融物は、0.2〜5.0質量%の最終水分量に濃縮される。蒸発セクションは、真空条件下で操作される。それは、一連の1つ以上の蒸発器を含んでもよい。蒸発供給流れ(3)中に存在する少量の残留したカルバミン酸アンモニウムは、これらの蒸発器においてNH及びCOに分解される。これらの真空条件下において、このNH及びCOは、続けて主にガス状流れ(11)に移動する。また、蒸発供給流れ(3)中に存在する少量の過剰のアンモニアは、この真空条件下で蒸発し、ガス流れ(11)に移動する。
仕上げセクション(C)は、プリル化塔、又は造粒セクションであってもよい。造粒セクションは、流動層造粒、またはドラム造粒、またはパン造粒、あるいは任意の他の同様の知られている造粒装置であってもよい。この仕上げセクションの主な機能は、尿素溶融物(4)を固体化粒子(5)の流れに移動することである。「プリル」又は「顆粒」と通常呼ばれるこれらの固体化粒子は、尿素プラントからの主生成物の流れである。いずれにせよ、尿素を液相から固相に移動するために、結晶化熱を除去する必要がある。さらに、通常ある程度の追加の熱を固体化尿素粒子から除去して、この最終生成物の安全で穏やかな保存及び輸送に好適な温度まで冷却する。仕上げセクションにおいて、得られる全体の熱の除去は、通常2つの方法で行われ:(i)水の蒸発による。この水は、尿素溶融物の一部としてか、又は仕上げプロセスの適切な位置において液体の水として噴霧されるかのどちらかとして仕上げセクションに入り;(ii)空気による冷却による。通常、結晶化/冷却熱のほとんどは空気による冷却によって除去される。冷却する空気は(6)を介して仕上げセクションに供給され、冷却する空気の性質によって、加熱され、(7)を介して仕上げセクションから出ていく。通常、最終固体化生成物1kgあたり3〜30kgの量の空気が適用される。
仕上げセクション(C)において、空気は、尿素溶融物及び固体化尿素粒子と直接接触する。これは、故意ではなくある程度の尿素ダストによる空気の汚染を引き起こす。仕上げセクションの性質(プリル化/造粒、造粒の種類、造粒において選択された条件)によって空気中に存在するダストの量は大きく変化し、0.05%から10%の範囲の値(最終生成物の流れに対して)が観察される。この空気流れ(7)中のダストの存在により、環境的または経済的な配慮から、空気が大気中に排気され得る前に、ダスト除去システム(D)が通常必要とされる。
ダスト除去セクション(D)において、ダストの除去は、洗浄剤として循環尿素溶液を使用して通常行われる。また、この上部で新鮮な水による除去が通常用いられる。(7)を介して入る空気は、仕上げセクション(C)において冷却する空気の性質により、熱い。したがって、多量の水がダスト除去セクションDにおいて蒸発する。この水の減少は、(10)を介した新鮮な水の供給により、埋め合わされる。ダスト除去セクションD中のあらゆる揮発性成分が空気中に移動し、これにより大気に戻る空気流れ(8)の汚染をもたらすため、この目的に使用される水(10)は、あらゆる揮発性成分(例えばNH及びCOなど)を含まないべきである。このような汚染は、環境的な観点からも望ましくない。
ダスト除去セクションDにおいて、尿素溶液のパージ流れ(9)が得られる。このパージ流れ(9)は、10〜60質量%の濃度の尿素を通常有する。このパージ流れ中に存在する尿素を再処理するため、パージ流れ(9)は、蒸発セクション(B)に戻され、さらに濃縮され、その後仕上げセクション(C)にリサイクルされる。浄化された空気は、(8)を介してダスト除去から大気中に排出される。
通常少量のNH及びCOで汚染されている、蒸発セクション(B)から由来する蒸気流れ(11)は、凝縮セクション(E)に送られる。蒸発セクションの設備に応じて、これは単独のガス流れの形態であっても、複数のガス流れとしてであってもよい。いずれの場合においても、ガス流れ(11)は、通常冷却水シェル及び筒型熱交換器及び蒸気駆動真空排出の組合せである、公知の真空凝縮技術を使用して、セクションEで凝縮される。これらの真空排出のために、蒸気が必要とされる(流れS1)。凝縮されたガス流れは、凝縮セクションから水溶液(12)として除去される。
水溶液(12)は、加工凝縮処理セクション(F)につながっている。凝縮セクションからの水溶液(12)は主に水を含有するが、この水はガス流れ(11)から由来するNH及びCOで汚染されている。また、実際には、水溶液(12)は、蒸発セクション(B)中の気相への尿素との同伴の結果として、ある程度の尿素を含有する。これらの汚染物質の存在により、水は、プロセスからパージされる前に、環境的及び/又は経済的理由のために処理される必要がある。通常、このような加工凝縮処理セクションFは、存在するあらゆる尿素がNH及びCOに転換される深い加水分解セクション並びに水からNH及びCOを除去するための蒸気ストリッピングセクションを含有する。深い加水分解及び蒸気ストリッピング操作の両方は、高価な蒸気を必要とする。この蒸気は、図1において(S2)で示される。
当分野において、この目的のために必要とされる蒸気の量を最小化することが継続的に求められている。また、より少ない量の処理される水がこのセクションにおいて必要とされる設備機器の寸法を最小化し、これによりこの加工凝縮処理セクションのために必要とされる投資コストを最小化するため、このセクション(F)において処理される水の量を最小化することが継続的に求められている。
排水から除去されるNH及びCOは、ライン(13)を介してセクションAにリサイクルされる。このリサイクル流れ(13)は、液体又は気体のどちらかであり得るが、あらゆる場合において通常ある程度の水を含有している。浄化された水は、(14)を介して加工処理セクションを出る。この浄化された水は、ダスト除去セクション(D)において用いられる水の非常に優れた供給源となり得る。この場合において、セクション(F)において生成される水の量は、通常セクション(D)で必要とされる水の量よりも多く、精製された水のある程度のパージ流れ(15)が残る。
上述の要求の1つ以上により良好に対処するために、本発明は、一態様において、合成及び回収セクション(A)を含み;前記セクションは蒸発セクション(B)と流体連結されており、前記蒸発セクションは、仕上げセクション(C)と流体連結されており、凝縮セクション(E)へのガスフローラインを有し;前記仕上げセクション(C)は、ダスト除去セクション(D)へのガスフローラインを有する尿素製造プラントであって、
ダスト除去セクション(D)の下流に位置するさらなる蒸発セクション(G)を含み、前記さらなる蒸発セクション(G)は、仕上げセクション(C)と流体連結されており;
さらなる蒸発セクション(G)は、さらなる凝縮セクション(H)へのガスフローラインを有し、さらなる凝縮セクション(H)は、ダスト除去セクション(D)と流体連結されている、尿素製造プラントを提供する。
本発明は、別の態様において、プラントに、ダスト除去セクション(D)の下流に位置するさらなる蒸発セクション(G)を加えることによって、前述の種類の既存の尿素プラントを改修する方法を提供し、前記さらなる蒸発セクション(G)は、仕上げセクションと流体連結されるように位置し;
さらなる蒸発セクション(G)は、さらなる凝縮セクション(H)へのガスフローラインを有し、さらなる凝縮セクション(H)は、ダスト除去セクション(D)と流体連結されている。
さらに別の態様において、本発明は、以下の工程:
(a)アンモニアと二酸化炭素を反応させて尿素を形成し、尿素を含む水溶液が形成する、1つ以上の合成及び回収工程;
(b)(a)において形成した水溶液から水を蒸発させて、濃縮された尿素含有液体及び水蒸気相を得る、蒸発工程;
(c)濃縮された尿素含有液体を仕上げ処理に供して固体の尿素を得る工程であって、熱を空気などの冷却ガスによって除去する工程;
(d)冷却ガスをダスト除去に供し、尿素を水性流れ中に回収する工程;
(e)前記水性流れを蒸発させて、さらなる濃縮された尿素含有液体及び蒸気流れを得る工程であって、蒸発が、蒸発工程(b)とは別の蒸発工程において行われ、さらなる濃縮縮された尿素含有液体が、仕上げ工程(c)にさらに供され、別の蒸発工程から由来する蒸気が、別の凝縮工程(f)に供され、前記別の凝縮工程(f)からの凝縮物が、ダスト除去工程(d)において使用される工程
を含む、尿素を製造するための方法を提供する。
従来の尿素製造プラントの略図である。 本発明の実施形態による尿素製造プラントの略図である。
一般的な意味において、本発明は、プロセス中におけるさらなる蒸発のループを含む、賢明な洞察に基づく。規定されるさらなる蒸発のループは、驚くべきことに、凝縮セクション(E)の下流のエネルギー消費を低減する。典型的には、凝縮セクション(E)の下流に、加工凝縮処理セクション(F)を見出す。
さらなる蒸発のループは、第2蒸発セクション(G)及び第2凝縮セクション(H)をプラントに加えることによって提供される。特に、第2凝縮セクションで得られる液体は、ダスト除去セクション(D)で使用される。
ここで、本明細書において、「流体連結」という場合、これはプラントの第1の部分又はセクションとプラントの第2の部分又はセクションとの間のあらゆる連結を表し、これは流体、特に液体がプラントの第1の部分からプラントの第2の部分に流れることによって介される。このような流体連結は、典型的には、パイプシステム、ホース、又はその他の当業者に公知の流体の輸送のための装置によって提供される。
本明細書において、「ガスフローライン」という場合、これはプラントの第1の部分又はセクションとプラントの第2の部分又はセクションとの間のあらゆる連結を表し、これは気体又は蒸気、特に水蒸気がプラントの第1の部分からプラントの第2の部分に流れることによって介される。このようなガスフローラインは、典型的には、パイプシステム、又はその他の当業者に公知の、必要であれば大気圧より高い又は低い(真空)圧力下での、気体の輸送のための装置を含む。
本発明は、新規な尿素プラント(「草の根(grass−root)」プラント)の建設並びに既存の尿素プラントの改修の両方に適用可能である。
新規に製造される尿素プラントの場合、加工凝縮処理セクション(F)のために必要な投資は、本発明の方法により大きく低減され、すなわち、さらなる蒸発セクション(G)及びさらなる蒸発セクション(H)を内蔵して、ダスト除去セクションから及びダスト除去セクションへの蒸発及び凝縮ループを作り出す。
第2蒸発セクション(G)は、ダスト除去セクション(D)からパージされた尿素溶液が供給される。この第2蒸発セクションは、主たる蒸発セクションBと同様に、1つ以上の蒸発器を含んでもよい。その中で尿素溶液(9)は、一般的に真空下で、仕上げセクションCに共に供給される濃縮された溶液(16)を供給することができる濃縮物に濃縮される。第2蒸発セクションからのオフガス(17)は、第2凝縮セクション(H)で凝縮される。第1凝縮セクション(E)と同様に、この第2凝縮セクション(H)は、1つ以上のシェル及び筒型熱交換器を通常含み、ここで冷却は、所望の真空を維持するための蒸気駆動排出装置とともに、冷却液体、最も一般的には水によって提供される。これらの真空排出装置のために必要な蒸気は、図2において流れ(S3)として示される。しかしながら、オフガス(17)を凝縮するための任意の他の公知の技術を適用してもよい。得られる凝縮物(18)は実質的にアンモニアを含まず、この水の流れは、除去ユニット(D)に供給される水として使用するための水の優れた供給源である。水(18)の量がこのダストスクラバーで必要とされる水の量に不十分な場合は、さらなる水(10)が加えられ得る。このさらなる水(10)は、加工凝縮処理セクション(F)から由来してもよいが、環境に悪いあらゆる揮発性成分を含まない限り、任意の他の水性流れを使用することができる。
この方法において得られる水性流れ(18)は、アンモニア、及び任意の他の環境に悪い揮発性成分を全く含有しないか、ダスト除去セクションのための水の供給源としての水性流れの使用を制限しない非常に低い濃度でしか含有しないことを見出した。結果として、この流れは、加工凝縮処理セクション(F)を通過することによるこの方法により、ダスト除去セクションに直接移動され得る。ある程度同伴される尿素が水性流れ(18)中に存在してもよいが、これはダスト除去プロセス(D)を害しないか、この尿素(液体中に存在)はオフガス(8)のあらゆる汚染をもたらさない。結果として、加工凝縮処理セクションに供給される流れ(12)が減少する。結果として、この加工凝縮処理セクションで必要とされる蒸気の量も同様に減少する。「草の根」尿素プラントにとって、加工凝縮処理セクションで必要とされる設備の寸法も実質的に縮小することができる。
本発明はまた、既存のプラントの「改修」又は「ボトルネック解消(debottlenecking)」策にも良好に適用することができる。尿素プラントを改修又はボトルネック解消するための方法は、当分野において一般的である。既存のプラントのこのような「改修」又は「ボトルネック解消」の主な目的は、通常、このような既存プラントの生産能力の増強である。既存のプラントの加工凝縮処理セクションが最大生産の制限因子である場合において、本発明の適用によりこの加工凝縮処理セクションで利用可能な空間を大きくすることができ、これにより加工凝縮処理セクション中の設備に費用のかかる改善をしなくても、尿素生産能力を増強することができる。最大達成生産能力が他の制約によって制限されているプラントにおいても、前記制約を取り除くことによってプラント能力を増強する他のあらゆる方法に加えて、本発明を適用してプラントの生産能力をさらに増強することができる。
したがって、本発明はまた、既存の尿素プラントを改修する方法も提供し、前記プラントは、蒸発セクション(B)と流体連結された合成及び回収セクション(A)を含み、前記蒸発セクションは、仕上げセクション(C)と流体連結されており、凝縮セクション(E)へのガスフローラインを有し;前記仕上げセクション(C)は、ダスト除去セクション(D)へのガスフローラインを有し;
該方法は、ダスト除去セクション(D)の下流に位置するさらなる蒸発セクション(G)をプラントに加える工程を含み、前記さらなる蒸発セクション(G)は、仕上げセクション(C)と流体連結されるように位置しており;
さらなる蒸発セクション(G)は、さらなる凝縮セクション(H)へのガスフローラインを有し、
さらなる凝縮セクション(H)は、ダスト除去セクション(D)と流体連結されている。
別の関心のある実施形態において、本発明は、既存の尿素プラントの能力を増強するために使用することができる。この使用は、上記のとおり、ダスト除去セクション(D)から及びダスト除去セクション(D)へのさらなる蒸発及び凝縮ループの導入を含む。
本発明によって考え出された又は改修されたプラントは、尿素を製造することに役立つ。一般的な尿素合成プロセスを代替する必要なしに、本発明は、尿素を製造するための新規な方法に関連し、本発明のプラントを使用することに伴い、エネルギーの利益を享受する。
したがって、本発明はまた、以下の工程:
(a)アンモニアと二酸化炭素を反応させて尿素を形成し、尿素を含む水溶液が形成する、1つ以上の合成及び回収工程;
(b)(a)において形成した水溶液から水を蒸発させて、濃縮された尿素含有液体及び水蒸気相を得る、蒸発工程;
(c)濃縮された尿素含有液体を仕上げ処理に供して固体の尿素を得る工程であって、熱を空気などの冷却ガスによって除去する工程;
(d)冷却ガスをダスト除去に供し、尿素を水性流れ中に回収する工程;
(e)前記水性流れを蒸発させて、さらなる濃縮された尿素含有液体及び蒸気流れを得る工程であって、蒸発が、蒸発工程(b)とは別の蒸発工程において行われ、さらなる濃縮された尿素含有液体が、仕上げ工程(c)にさらに供され、別の蒸発工程から由来する蒸気が、別の凝縮工程(f)に供され、前記別の凝縮工程(f)からの凝縮物が、ダスト除去工程(d)において使用される工程
を含む尿素を調製するための方法にも関する。
本発明は、あらゆる特定の尿素製造方法に限定されない。
ストリッピング法によって尿素を調製するためによく使用される方法は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A27, 1996, pp 333〜350に記載されている二酸化炭素ストリッピング法である。この方法において、合成セクションの後に1つ以上の回収セクションがある。合成セクションは、反応器、ストリッパー、凝縮器及びスクラバーを含み、その操作圧力は12から18MPaの間、好ましくは13から16MPaの間である。合成セクションにおいて、尿素反応器を出ていく尿素溶液はストリッパーに供給され、大量の未転化アンモニア及び二酸化炭素が、尿素水溶液から分離される。このようなストリッパーはシェル及び筒型熱交換器であり得、尿素溶液が筒側の頂部に供給され、合成に供給される二酸化炭素がストリッパーの底部に加えられる。シェル側において、蒸気が加えられて溶液を加熱する。尿素溶液は底部において熱交換器を出ていき、一方蒸気相は頂部においてストリッパーを出ていく。前記ストリッパーを出ていく蒸気は、アンモニア、二酸化炭素及び少量の水を含有する。前記蒸気は、水平型又は垂直型であってもよい、流下膜式熱交換器又は浸水式凝縮器で凝縮される。水平型浸水熱交換器は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A27, 1996, pp 333〜350に記載されている。前記凝縮器中のカルバメート凝縮発熱反応により放出された熱は、通常、尿素溶液を加熱し濃縮するための下流の尿素加工セクションで使用される蒸気を製造するために使用される。ある液体の滞留時間が浸水式凝縮器で発生するため、尿素反応の一部は前記凝縮器中においてすでに生じている。凝縮されていないアンモニア、二酸化炭素及び不活性な蒸気と一緒に凝縮されたアンモニア、二酸化炭素、水及び尿素を含有する、形成した溶液は、反応器に送られる。反応器中において、上記のカルバメートから尿素への反応が平衡に近づく。反応器を出ていく尿素溶液中の二酸化炭素に対するアンモニアのモル比は、一般的に2.5から4mol/molの間である。凝縮器及び反応器を1つの設備として組み合わせることも可能である。この1つの設備の例は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A27, 1996, pp 333〜350に記載されている。尿素反応器を出ていく形成した尿素溶液はストリッパーに供給され、凝縮されていないアンモニア及び二酸化炭素を含有する不活性な蒸気は、反応器と同様の圧力で操作される除去セクションに送られる。この除去セクションにおいて、アンモニアと二酸化炭素は、不活性な蒸気から除去される。下流の回収システムからの形成したカルバメート溶液は、この除去セクションにおいて吸収剤として使用される。この合成セクションにおいてストリッパーを出ていく尿素溶液は、ストリッパーの下流の1つの回収システムで処理される、少なくとも45質量%、好ましくは少なくとも50質量%の尿素濃度を必要とする。回収セクションは、ヒーター、液体/気体分離器及び凝縮器を含む。この回収セクションの圧力は、200から600kPaの間である。回収セクションのヒーターにおいて、バルクのアンモニア及び二酸化炭素が、尿素溶液を加熱することによって、尿素と水相から分離される。通常、蒸気を加熱剤として使用する。尿素及び水相は、少量の未溶解のアンモニア及び二酸化炭素を含有し、これは回収セクションを出ていき、尿素溶液から水を蒸発することによって溶液が濃縮される、下流の尿素加工セクションに送られる。
その他の方法及びプラントには、Urea Casaleによって開発されたHEC法、Toyo Engineering Corporationによって開発されたACES法及びSnamprogettiによって開発された方法などの技術に基づくものが含まれる。これらの方法の全て及びその他を、本発明の尿素仕上げ方法の前に使用してもよい。
プリル化及び造粒などの尿素の仕上げ技術は、当業者に公知である。例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 2010, chapter 4.5 on ureaを参照されたい。
以下の非限定的な実施例及び図面を参照して、本発明を以下でさらに例示する。図面は、方法のセクション(A〜Gの文字)及び流れ(数字)を示す略図である。流れの組成は以下の表で分類される。方法のセクションの凡例は以下のとおりである:
A.尿素の合成及び再循環セクション;
B.主たる蒸発セクション;
C.仕上げセクション;
D.ダスト除去;
E.凝縮セクション;
F.加工凝縮処理セクション;
G.第2蒸発セクション;
H.第2凝縮セクション。
(実施例1)
100トン/時の固体尿素を製造するための草の根尿素プラントを、図1の方策によって建設した。このプラントの流れは、表1に示したとおりである。加工凝縮処理セクションへの供給(12)は、43130kg/時である。加工凝縮処理セクションFにおいてこの加工凝縮物を処理するために、合計で11708kg/時の流れ(S2)が必要である。
Figure 0006306571
100トン/時の同じ生成物を製造するための草の根尿素プラントを、本発明による方策(図2)を使用して建設した。この方法の流れは、表2に示したとおりである。この表から見ることができるとおり、9153kg/時のみの流れ(S2)が加工凝縮処理セクション(F)において必要である。
Figure 0006306571
(実施例2)
図1の方策によって建設された既存の尿素プラントは、100トン/時の固体尿素を製造する。このプラントの流れは、表1に示すとおりである。このプラントにおいて、加工凝縮処理セクションFが、最大許容生産能力の達成における制限因子であり、生産能力が100トン/時を超える場合、流れ12が43130kg/時を超えてしまい、このプラントにおいては加工凝縮処理セクションのカラムのうちの1つのフラッディングをもたらす。
このプラントにおいて、(小さい)第2蒸発セクション(G)及び(小さい)凝縮セクション(F)を、本発明の方策(図2)によって加える。この改修後の方法における流れは、表3に示すとおりである。表から見ることができるとおり、プラント能力(5)を、以前と同量(43130kg/時)の加工凝縮流れ(12)で、122トン/時に増強することができ、プラントの生産能力の増強においても加工凝縮処理においてカラムのフラッディングが発生しない。したがって、プラントのボトルネックが解消し、生産能力が元の最大能力の122%となった。
Figure 0006306571
表1、2及び3の注意:
尿素技術における通例のとおり、これらの表においてカルバミン酸アンモニウムは、その構成成分(NH及びCO)の形態で列挙されている。液体の流れにおいて、表中に列挙されたほとんどのCOは、実際にはカルバミン酸アンモニウムとして存在することに注意されたい。

Claims (1)

  1. (a)アンモニアと二酸化炭素を反応させて尿素を形成し、尿素を含む水溶液を形成する、1つ以上の合成及び回収工程;
    (b)
    (i)(a)において形成した前記水溶液から水を蒸発させて、濃縮された尿素含有液体及び水蒸気相を得る、蒸発工程
    (ii)前記水蒸気相を凝縮して、凝縮物を形成する工程、及び
    (iii)前記凝縮物を加工凝縮処理する工程
    (c)前記濃縮された尿素含有液体を仕上げ処理に供して固体の尿素を得る工程であって、熱を空気などの冷却ガスによって除去する工程;
    (d)前記冷却ガスをダスト除去に供する工程であって前記ダスト除去において尿素を水性流れ中に回収して尿素溶液を得て、前記尿素溶液を前記ダスト除去における洗浄液体として循環し、前記尿素溶液からパージ流れが得られ、前記パージ流れが10〜60質量%の濃度の尿素を含有する工程;
    (e)前記パージ流れを分離蒸発させて、さらなる濃縮された尿素含有液体及び蒸気流れを得る工程であって、分離蒸発が、前記蒸発工程(b)とは別の蒸発工程において行われ、前記さらなる濃縮された尿素含有液体が、前記仕上げ工程(c)にさらに供され、
    (f)前記別の蒸発工程から由来する蒸気が、別の凝縮工程に供され、前記凝縮工程(f)は工程(b)(ii)の凝縮とは別であり、前記別の凝縮工程(f)からの第2の凝縮物が、アンモニアを含まず、前記ダスト除去工程(d)において使用される工程
    を含む、尿素を調製するための方法。
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