JP6306311B2 - 積層型電子部品 - Google Patents

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本発明は、積層型電子部品に関する。
従来より、複数のセラミック層と複数の内部電極層とを交互に積み重ねた後、一体的に焼成して作製された積層型の電子部品が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような積層型電子部品において、セラミック層および内部電極層の積層数が例えば数百層にも及ぶものにおいては、セラミック層および内部電極層の双方が薄層化されているために、セラミック層の厚みに対する内部電極層の厚みの比率が大きくなっていることから、内部電極層の厚みに起因する段差が大きくなり、このような内部電極層の段差によりセラミック層と内部電極層との界面にデラミネーションが発生しやすいという問題がある。その原因は、内部電極層とセラミック層とが例えば金属とセラミックスというように材質が全く異なるため接着し難いことや、内部電極層とセラミック層との熱膨張係数が大きく異なるため、温度変化において内部電極層とセラミック層との収縮量の差により歪みが大きくなるからである。
特開2011−129841号公報
従って、本発明の目的は、セラミック層および内部電極層を多層化してもデラミネーションが発生する可能性を低減することのできる積層型電子部品を提供することにある。
本発明の積層型電子部品は、セラミック粒子、および該セラミック粒子を取り巻くガラス相を有するセラミック層と、内部電極層とが交互に積層されて構成され、静電容量を発現する機能部を備える積層型電子部品であって、前記機能部を積層方向に平面視したときに、前記機能部における前記セラミック層の周縁部に含まれる前記ガラス相の割合が、前記機能部における前記セラミック層の中央部に含まれる前記ガラス相の割合よりも多いことを特徴とする。
本発明によれば、セラミック層および内部電極層を多数積層しても、デラミネーションが発生する可能性を低減することのできる積層型電子部品を得ることができる。
(a)は、本発明の積層型電子部品の一実施形態を示す外観斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線断面図、(c)は、(a)のB−B線断面図である。
図1は、本発明の積層型電子部品の一実施形態を示す外観斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線断面図、(c)は、(a)のB−B線断面図である。ここで、図1(b)において、機能部9内のセラミック層5における間隔の異なる斜線はセラミック層5に含まれるガラス相の割合がセラミック層5の周縁部と中央部とで異なることを模式的に示したものである。この場合、斜線の間隔が狭い部位は間隔の広い部位よりもガラス相の割合が多いことを表している。また、図1(c)は、積層型電子部品を積層方向に透視してセ
ラミック層5に含まれるガラス相の割合の違いを模式的に示したものであるが、この場合、色の濃い領域は色の薄い領域に比べてセラミック層5に含まれるガラス相の割合が多いことを表している。
本発明の積層型電子部品の一例として、図1(a)(b)(c)に示すような積層型のコンデンサの構造を例にして説明する。なお、本発明はコンデンサに限らず、アクチュエータ、フィルタ、インダクタなど、セラミック層と内部電極層とが多層に積層された積層型電子部品に幅広く適用できることは言うまでもない。
本実施形態として示す積層型電子部品は、図1(a)に示すように、電子部品本体1の対向する両端部に外部電極3を有している。電子部品本体1は、図1(b)(c)に示すように、セラミック層5と内部電極層7とが交互に多層に積層され、静電容量を発現する機能部9を有している。また、この機能部9は、セラミック層5とほぼ同じ主成分を含むセラミック製のカバー層11によって覆われている。なお、内部電極層7は外部電極3と接続する側で機能部9の外側のカバー層11内に延出された状態となっている。
本実施形態の積層型電子部品では、図1(c)に示すように、機能部9を積層方向から平面視したときに、セラミック層5の周縁部5aに含まれるガラス相の割合がセラミック層5の中央部5cに含まれる前記ガラス相の割合よりも多くなっている。
ここで、機能部9は、図1(a)に破線で囲った部分のことであり、セラミック層5の周縁部5aおよび中央部5cは、図1(b)において5aおよび5cとして示した範囲である。
ここで、周縁部5aの幅は、図1(b)に描いているように、機能部9におけるセラミック層5の幅を全幅としたときに、その全幅の約1/4の幅とし、中央部5cの幅は、機能部9におけるセラミック層5の全幅の約1/3の幅とする。
また、セラミック層5の周縁部5aに含まれるガラス相の割合がセラミック層5の中央部5c側よりも多いとは、好ましくは、中央部5cに含まれるガラス相の割合を1としたときに、周縁部5aに含まれるガラス相の割合が1.2倍以上である場合をいう。
この場合、セラミック層5の周縁部5aおよび中央部5cに含まれるガラス相の割合は、コンデンサの断面を露出させた後、セラミック層5に含まれるガラス相を化学エッチングによりエッチング処理を行い、分析する領域を単位面積として、エッチングされたガラス相が占めていた面積の割合から求める。この評価には走査型電子顕微鏡を用いるのが良い。
通常、セラミック層5と内部電極層7とが多層に積層された機能部9を有するような積層型電子部品においては、セラミック層5と内部電極層7との材質が大きく異なることから元々接着し難いものとなっている。また、セラミック層5と内部電極層7とは異なる材質であることから熱膨張係数も大きく異なっている。
このような構成の積層型電子部品が、例えば、ハンダのリフロー工程など、温度変化の大きい環境に置かれると、電子部品本体1を構成するセラミック層5と内部電極層7との界面にデラミネーションが発生する場合がある。このデラミネーションは、セラミック層5および内部電極層7がともに薄層化されて、セラミック層5の厚みに対する内部電極層7の厚みの比率が大きくなり、内部電極層7の厚みに起因する段差が大きい場合に顕著となる。
本実施形態の積層型電子部品によれば、電子部品本体1を構成している機能部9において、セラミック層5の周縁部5aに含まれるガラス相の割合をセラミック層5の中央部5cに含まれるガラス相の割合よりも多くしたことにより、セラミック層5の周縁部5aと、この周縁部5aに面している内部電極層7との間の接着性を高めることができるために、電子部品本体1を構成する機能部9のカバー相11に近い側であるセラミック層5の周縁部5aにおける内部電極層7との間でデラミネーションが発生する可能性を低減することができる。
この場合、デラミネーションの抑制という点においては、セラミック層5の周縁部5aに含まれるガラス相の割合がセラミック層5の中央部5cに含まれるガラス相の割合よりも多いという構成のセラミック層5は、機能部9の積層方向の中層部に配置されていれば良い。
なお、図1(b)に示しているように、セラミック層5の周縁部5aに含まれるガラス相の割合がセラミック層5の中央部5cに含まれるガラス相の割合よりも多いという構成のセラミック層5を機能部9の全層に配置すると、セラミック層5の周縁部5aが積層方向に重なることによって、機能部9における周縁部5aの全体が緻密化し、これによって欠陥が発生する可能性をさらに低減することができる。これにより温度や湿度などの環境の変化に対しても耐久性が増し、温度サイクル試験や湿中負荷試験などの信頼性試験での寿命をさらに向上させることが可能となる。
この場合、セラミック層5に含まれるガラス相の割合が周縁部5aから中央部5cにかけて次第に少なくなっているような状態であると、セラミック層5の周縁部5から中央部5cにかけて、両層の接着性が次第に変化する状態となっているため、セラミック層5の周縁部5a辺りでデラミネーションが発生したときにも、デラミネーションによる口開きの程度を小さくすることができる。
ここで、ガラス相の割合が周縁部5aから中央部5cにかけて次第に少なくなっている状態というのは、セラミック層5に含まれるガラス相の割合を周縁部5aから中央部5cにかけて求め、ガラス相の割合をグラフ上にプロットしたときに、グラフが周縁部5aに相当するポイントから中央部5cに相当するポイントにかけて、屈曲などが無く、次第に変化(減少)するような状態をいう。
本実施形態の積層型電子部品は、上述したように、機能部9を積層方向に平面視したときに、セラミック層5の周縁部5aに含まれるガラス相の割合が、セラミック層5の中央部5cに含まれるガラス相の割合よりも多くなっているという構成を有するものであるが、この場合、セラミック層5の中央部5cにおけるセラミック層5と内部電極層7との間の隙間は、セラミック層5の周縁部5aにおけるセラミック層5と内部電極層7との間の隙間よりも広くなっていることが望ましい。ここで、セラミック層5の周縁部5aおよび中央部5cを機能部9に対応させる場合には、以下、機能部9の周縁領域9aおよび中央領域9cという場合がある。
例えば、セラミック層5と内部電極層7とが多層化されたコンデンサにおいては、電圧の印加による電歪現象により、誘電性を示すセラミック層5が厚み方向に膨らむため、図1(b)に、互いに反対の方向に向かう矢印で示すように、機能部9は中央領域9cが全体的に膨張することになる。このとき、機能部9の中央領域9cは機能部9の周縁領域9aに比較して、全層に亘って、セラミック層5と内部電極層7との間が厚み方向に広がってしまう。
このような場合に、本実施形態の積層型電子部品では、元々、セラミック層5の中央部
5c付近のセラミック層5と内部電極層7との間の隙間が、周縁部5aにおけるセラミック層5と内部電極層7との間の隙間よりも広くなっていることから、機能部9に大きな電歪現象が発生したとしても、機能部9の中央領域9cにおけるセラミック層5と内部電極層7との間の剥離による破壊を抑制することができる。
一方、機能部9の周縁領域9aにおいては、セラミック層5と内部電極層7との間が多くのガラス相によって強固に接着された状態であるため、セラミック層5と内部電極層7との間の剥離を抑制することができる。なお、セラミック層5と内部電極層7との間に隙間を有するとは、電子部品本体1の研磨した断面の写真において、セラミック層5と内部電極層7との間に0.02μm以上の隙間が見られるものをいい、一方、隙間が0.02μm未満である場合、セラミック層5と内部電極層7との間に隙間が無いものとする。
本実施形態の積層型電子部品を構成する内部電極層7の主成分金属の熱膨張係数は12×10−6〜20×10−6/℃であることが望ましく、このような熱膨張係数を有する金属材料としては、ニッケル(12.8×10−6/℃)、銅(16.8×10−6/℃)、パラジウム(11.8×10−6/℃)および銀(18.9×10−6/℃)から選ばれる1種もしくはこれらの合金を適用することが好ましい。
セラミック層5およびカバー層11の材料としては、コンデンサ、アクチュエータ、インダクタ、フィルタなどに適用されるセラミック材料が好ましく、例えば、チタン酸バリウム、チタンジルコン酸鉛、フェライト、マグネシア,カルシア,五酸化ニオブおよび二酸化チタン等から選ばれる少なくとも2種の金属酸化物により構成される複合酸化物などが好ましい。これらの材料の熱膨張係数としては9×10−6〜11×10−6/℃であるのが良い。
上述した積層型電子部品としては、セラミック層5の平均厚みが0.6〜30μm、内部電極層7の平均厚みが0.5〜20μm、機能部9における内部電極層7の積層数が100層以上、カバー層11の厚みが機能部9の積層方向の厚みを1としたときに0.1以下であるような薄層、高積層の積層型電子部品に好適なものとなる。
次に、本実施形態の積層型電子部品を製造する方法についてコンデンサを例にして説明する。まず、セラミック層5の材料として、誘電体粉末を準備し、これに有機ビヒクルを加えてセラミックスラリを調製し、次いで、ドクターブレード法またはダイコータ法などのシート成形法を用いてセラミックグリーンシートを作製する。
次に、ニッケル粉末を主成分とする電極ペーストを調製する。この場合、ニッケル粉末としては、ニッケル粉末中に平均粒径が0.2μm以下の微粒のニッケル粉末を含んでいるものを用いることが望ましい。
次に、電極ペーストを用いてセラミックグリーンシートの主面上に矩形状の内部電極パターンの形成されたパターンシートを形成する。
次に、セラミックグリーンシートの主面上の内部電極パターンの周囲に内部電極パターンの段差を埋めるようにセラミックペーストを印刷して埋め込み用の印刷パターン(以下、段差解消パターンという。)を形成する。このとき用いるセラミックペーストとしては、セラミックグリーンシートと同じ主成分粉末を含むものを用いるが、セラミックグリーンシートよりもガラス成分を多く含むようにしたものを用いる。この場合、ガラス成分の拡散性を高めるという理由から、ガラス粉末としては、平均粒径が0.3μm以下であるものを用いるのが良い。
次に、パターンシートを複数層重ねてコア積層体を形成する。次に、このコア積層体の上下面に電極パターンを形成していないセラミックグリーンシートを所定の枚数だけ重ね、加圧加熱処理を行って電子部品本体1となる積層体を複数個有する母体積層体を形成する。
次に、この母体積層体を切断することにより積層体にする。次に、作製した積層体を所定の条件にて焼成することにより電子部品本体1を作製する。
次に焼成により得られた電子部品本体1の内部電極層7が露出した端面を含む端部に外部電極3を形成して積層型電子部品を完成させる。
こうして得られた積層型電子部品では、内部電極層7の段差を解消するために用いたセラミックペーストがセラミック層5となるセラミックグリーンシートよりもガラス成分を多く含んでいるために、焼成時に、セラミックペーストに含まれるガラス成分が内部電極層7に重なっているセラミック層5側に拡散していく。こうして機能部9を積層方向に平面視したときに、セラミック層5の周縁部5aに含まれるガラス相の割合が、セラミック層5の中央部5c側よりも多い状態を有する積層型電子部品を得ることができる。
なお、ガラス相の割合が周縁部5aから中央部5cにかけて次第に少なくなっている構成の積層型電子部品を作製する場合には、焼成速度を遅くした条件で焼成すると良い。この場合、焼成速度を遅くして焼成した場合には、セラミック層5の周縁部5aにおいては、多く含まれるガラス成分の影響によりセラミック粒子の粒成長を促すことができることから、ガラス相とともにセラミック層5の緻密化も可能となる。その結果、積層型電子部品は、静電容量の向上とともに、温度サイクル試験などの信頼性をも向上させることも可能となる。
以上はコンデンサを例に説明したが、アクチュエータ、インダクタおよびフィルタの場合もそれぞれに適用されるセラミック相5用の材料、セラミックペーストの材料および内部電極層7用の材料に応じて本発明の積層型電子部品を作製することができる。
以下、具体的に積層型のコンデンサを作製して本発明の効果を確認した。まず、セラミック層用の材料として以下の誘電体粉末を調製した。誘電体粉末の原料粉末として、チタン酸バリウム粉末、MgO粉末、Y粉末およびMnCO粉末を準備した。これらの各種粉末を、チタン酸バリウム粉末量を100モルとしたときに、MgO粉末を0.5モル、Y粉末を1モル、MnCO粉末を0.5モル添加し、さらに、チタン酸バリウム粉末100質量部に対して、ガラス粉末(SiO=55,BaO=20,CaO=15,LiO=10(モル%))を1質量部添加して誘電体粉末を調製した。次いで、この誘電体粉末を直径5mmのジルコニアボールを用いて、溶媒としてトルエンとアルコールとからなる混合溶媒を添加し湿式混合した。
次に、湿式混合した粉末を、ポリビニルブチラール樹脂を溶解させたトルエンおよびアルコールの混合溶媒中に投入し、直径5mmのジルコニアボールを用いて湿式混合してセラミックスラリを調製し、ドクターブレード法により厚みが約1.6μmのセラミックグリーンシートを作製した。
次に、このセラミックグリーンシートの上面に矩形状の電極パターンを形成してパターンシートを形成した。電極パターンを形成するための電極ペーストは、Ni粉末45質量%に対して、共材としてチタン酸バリウム粉末を20重量%と、エチルセルロース5質量%およびオクチルアルコール95質量%からなる有機ビヒクル30質量%を3本ロールで
混練したものを用いた。Ni粉末は粒度分布において累積%表示したときに10〜90%の範囲にある粒径が0.05〜0.2μmであるものを用いた。
次に、パターンシートの主面上の内部電極パターンの周囲に内部電極パターンの段差を埋めるようにセラミックペーストを印刷して段差解消パターンを形成した。セラミックペーストとしては、セラミックグリーンシートと同じ主成分粉末に、SiO−CaO−BaO−LiO系の金属酸化物を含み、平均粒径が0.1μmのガラス粉末を用いた。
次に、電極パターンおよび段差解消パターンを有するパターンシートを複数層重ね、次いで、この積層体の上下面にそれぞれ電極パターンを形成していないセラミックグリーンシートを重ね、加圧加熱処理を行って電子部品本体となる積層体を複数個有する母体積層体を形成した。この後、この母体積層体を、所定の寸法に切断して積層体を形成した。積層体における内部電極層の積層数は147層とした。
次に、作製した積層体を大気中にて脱脂した後、水素−窒素の混合ガス雰囲気にて酸素分圧が10−8Paの条件にて、最高温度を1150℃として焼成を行い、電子部品本体を作製した。このとき焼成速度は300℃/hと1600℃/hの2つの条件とした。作製した電子部品本体のサイズは1005型に相当するものであり、そのサイズはおおよそ、0.95mm×0.48mm×0.48mmであった。また、セラミック層の平均厚みは1.1μm、積層部の中央に位置する内部電極層の1層の平均厚みは1μmであった。
なお、作製した電子部品本体から得られる静電容量の設計値(セラミック絶縁体層を挟んで内部電極層が上下で重なっている有効面積の領域に空隙が無い状態で発現する静電容量)は2.25μFと見積もった。
次に、作製した電子部品本体に窒素雰囲気中(酸素分圧:10−6Pa)、900〜1000℃で5時間の熱処理を行った。
次に、作製した電子部品本体にバレル研磨処理を行い、電子部品本体の端面に内部電極層を十分に露出させた。
次に、バレル研磨した電子部品本体の端部に銅ペーストを塗布し、約800℃、酸素分圧を1Pa、最高温度の保持時間を0.2時間とする条件で加熱して外部電極を形成した。
次に、この外部電極の表面に、順に、電解めっき法によりNiメッキ膜およびSnメッキ膜を形成して積層型のコンデンサを作製した。
次に、作製した積層型のコンデンサについて以下の評価を行った。
機能部のセラミック層の周縁部から中央部にかけてのガラス相の割合はコンデンサを研磨し、化学エッチングした後、走査型電子顕微鏡観察によって得られた画像からガラス相の面積を求め、これを観察した面積に対する割合として求めた。
セラミック層を構成するセラミック粒子の平均粒径は撮影した走査型電子顕微鏡の写真から求めた。このとき写真にセラミック粒子が20個ほど入る円を描き、セラミック粒子の輪郭から円の面積を求め、これから直径を求め、平均粒径を導いた。
静電容量は温度25℃、周波数1.0kHz、測定電圧を1Vrmsとして測定し、その平均値を求めた。試料数は30個とした。
デラミネーションは、焼成後、耐熱衝撃試験後の2つの条件にて行った。耐熱衝撃試験はハンダ槽を350℃に加熱したハンダ槽にコンデンサを約1秒間沈める方法を用いた。デラミネーション発生率は試料数100個から求めた。
また、セラミックペーストとして、平均粒径が0.5μmのガラス粉末を含むセラミックペーストを用いた以外は同じ方法にて積層型電子部品を作製し、同様に評価した。これを比較例の試料(試料No.1)とした。
表1の結果から明らかなように、機能部を積層方向に平面視したときに、セラミック層の周縁部に含まれるガラス相の割合をセラミック層の中央部に含まれるガラス相の割合よりも多くなるようにした試料No.2〜4では、焼成後において、いずれもデラミネーションの発生割合が2個/100個以下であり、耐熱衝撃試験後においても3個/100個以下であった。これらの試料は、セラミック層の周縁部におけるセラミック粒子の平均粒径が中央部のセラミック粒子の平均粒径と変わらず(周縁部と中央部における平均粒径の差が0.05μm以内)、静電容量も設計値の98%以上であった。
このうち焼成速度を300℃/hとした試料は、焼成速度を速くした(1600℃/h)で焼成した試料に比較して、ガラス相の割合が周縁部から中央部にかけて次第に減少している状態となっていた。
また、試料No.2〜4のコンデンサは、機能部の周縁領域におけるセラミック層と内部電極層の隙間の間隔が中央領域におけるセラミック層と内部電極層の隙間の間隔よりも狭くなっており、湿中負荷試験および電歪試験においても、デラミネーションの拡大は見られなかった。
これに対し、セラミックペーストに平均粒径が0.、5μmのガラス粉末を用いた試料(試料No.1)では、焼成後に、5個/100個のデラミネーションの発生が見られた。また、この試料No.1のコンデンサでは、試料No.2〜4のコンデンサに比較して、静電容量が低かった。また、湿中負荷試験および電歪試験においてデラミネーションが拡大した試料が50%の個数割合で見られた。
1・・・電子部品本体
3・・・外部電極
5・・・セラミック層
5a・・周縁部
5c・・中央部
7・・・内部電極層
9・・・機能部
9a・・周縁領域
9c・・中央領域
11・・カバー層

Claims (3)

  1. セラミック粒子、および該セラミック粒子を取り巻くガラス相を有するセラミック層と、内部電極層とが交互に積層されて構成され、静電容量を発現する機能部を備える積層型電子部品であって、
    前記機能部を積層方向に平面視したときに、前記機能部における前記セラミック層の周縁部に含まれる前記ガラス相の割合が、前記機能部における前記セラミック層の中央部に含まれる前記ガラス相の割合よりも多いことを特徴とする積層型電子部品。
  2. 前記ガラス相の割合は、前記周縁部から前記中央部にかけて次第に少なくなっていることを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品。
  3. 前記中央部における前記セラミック層と前記内部電極層との間の隙間が前記周縁部における前記セラミック層と前記内部電極層との間の隙間よりも広くなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の積層型電子部品。
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