JP6304923B2 - 金属−セラミックス接合基板およびその製造方法 - Google Patents

金属−セラミックス接合基板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属−セラミックス接合基板およびその製造方法に関し、特に、窒化アルミニウムからなるセラミックス基板に金属板が接合された金属−セラミックス接合基板およびその製造方法に関する。
従来、電気自動車、電車、工作機械などの大電力を制御するためにパワーモジュールが使用されており、このパワーモジュール用の絶縁基板として、セラミックス基板の表面に金属回路板が接合された金属−セラミックス接合回路基板が使用されている。
近年のパワーモジュール用の絶縁基板では、基板上に搭載する半導体チップなどの電子部品の高出力化や高密度実装化により発熱量が増大しており、高熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体からなるセラミックス基板を使用した金属−セラミックス接合回路基板の使用が増大している。
このような金属−セラミックス接合回路基板に使用するセラミックス基板は、通常、窒化アルミニウム粉末の複数枚の成形体を積み重ねて焼成することによって作製されているので、セラミックス基板同士の接着を防止するために、成形体間にBN粉などの離型材が配置されており、この離型材が焼成後にセラミックス基板の表面に残留している。このような離型材が表面に残留したセラミックス基板を使用すると、金属−セラミックス接合回路基板のセラミックス基板と金属回路板の接合強度が低下するという問題がある。
このような問題を解消するため、セラミックス基板の表面に砥粒を吹き付けるホーニング処理を行った後にセラミックス基板に金属板を接合する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2002−171037号公報(段落番号0014−0020) 特開2005−89265号公報(段落番号0008−0010)
しかし、特許文献1および2の方法では、金属−セラミックス接合回路基板に搭載された半導体チップなどの電子部品からの繰り返しの発熱によって、金属−セラミックス接合回路基板のセラミックス基板の強度が低下したり、セラミック基板にクラックが生じ易くなって、耐ヒートサイクル特性が低下するという問題がある。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、セラミックス基板と金属板の接合強度に優れるとともに、耐ヒートサイクル特性に優れた金属−セラミックス接合基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、残留応力が−50MPa以下であり且つ金属板との接合面の算術平均粗さRaが0.15〜0.30μmである窒化アルミニウムからなるセラミックス基板に金属板を接合することにより、セラミックス基板と金属板の接合強度に優れるとともに、耐ヒートサイクル特性に優れた金属−セラミックス接合基板を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による金属−セラミックス接合基板は、セラミックス基板に金属板が接合された金属−セラミックス接合基板において、セラミックス基板が窒化アルミニウム基板であり、セラミックス基板の残留応力が−50MPa以下であり且つセラミックス基板の金属板との接合面の算術平均粗さRaが0.15〜0.30μmであることを特徴とする。
この金属−セラミックス接合基板において、セラミックス基板の金属板との接合面の十点平均粗さRzが0.7〜1.1μmであるのが好ましく、セラミックス基板の金属板との接合面の最大高さRyが0.9〜1.7μmであるのが好ましい。また、セラミックス基板の抗折強度が500MPa以下であるのが好ましく、セラミックス基板の表面に沿って形成された残留応力層の厚さが25μm以下であるのが好ましい。さらに、セラミックス基板にろう材を介して金属板が接合されているのが好ましく、金属板が銅または銅合金からなる金属板であるのが好ましい。
また、本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法は、セラミックス基板に金属板が接合された金属−セラミックス接合基板の製造方法において、セラミックス基板として窒化アルミニウム基板を使用し、セラミックス基板の残留応力が−50MPa以下になり且つセラミックス基板の金属板との接合面の算術平均粗さRaが0.15〜0.30μmになるように、液体中に砥粒を含むスラリーをセラミックス基板の表面に噴射する処理を行い、この処理により得られたセラミックス基板に金属板を接合することを特徴とする。
この金属−セラミックス接合基板の製造方法において、スラリーを噴射する処理が、セラミックス基板の金属板との接合面の十点平均粗さRzが0.7〜1.1μmになるように行われるのが好ましく、セラミックス基板の金属板との接合面の最大高さRyが0.9〜1.7μmになるように行われるのが好ましい。また、スラリーを噴射する処理が、セラミックス基板の抗折強度が低下するように行われるのが好ましく、セラミックス基板の抗折強度が500MPa以下になるように行われるのが好ましい。さらに、スラリーを噴射する処理が、セラミックス基板の表面に沿って形成される残留応力層の厚さが25μm以下になるように行われるのが好ましい。また、セラミックス基板にろう材を介して金属板を接合するのが好ましく、金属板が銅または銅合金からなる金属板であるのが好ましい。さらに、砥粒が球状アルミナからなるのが好ましい。
なお、本明細書中において、「残留応力」とは、X線回折角からsinψ法により算出した残留応力をいい、残留応力が「−」(マイナス)の数値で表される場合は圧縮残留応力、残留応力が「+」(プラス)の数値で表される場合は引張残留応力を意味する。
また、本明細書中において、「残留応力層」とは、セラミックス基板の表面に沿って形成される層であり、セラミックス基板の表面と(通常の窒化アルミニウム基板とほぼ同じ破壊靭性値である)2.1MPa・m1/2の破壊靭性値になる部分(セラミックス基板の表面から所定の深さの部分)との間に形成される圧縮残留応力層を意味する。
本発明によれば、このような従来の問題点に鑑み、セラミックス基板と金属板の接合強度に優れるとともに、耐ヒートサイクル特性に優れた金属−セラミックス接合基板を製造することができる。
本発明による金属−セラミックス接合基板の実施の形態を示す断面図である。 図1の金属−セラミックス接合基板のセラミックス基板を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明による金属−セラミックス接合基板およびその製造方法の実施の形態について詳細に説明する。
本発明による金属−セラミックス接合基板の実施の形態は、図1に示すように、セラミックス基板10と、このセラミックス基板10に(直接またはろう材12を介して)接合された金属板14とを備えている。
セラミックス基板10の残留応力は、−50MPa以下(50MPaより高い圧縮残留応力)であり、−60MPa以下であるのが好ましい。なお、圧縮残留応力が大き過ぎると、セラミックス基板10が割れる可能性があるので、セラミックス基板10の残留応力は、−200MPa以上(200MPaより低い圧縮残留応力)であるのが好ましく、−150MPa以上であるのがさらに好ましい。
このセラミックス基板10の残留応力は、残留応力の非破壊測定法として一般的なX線応力測定法により求めることができる。このようなX線応力測定法では、固体が応力を受けたときに変化する結晶格子面間隔をX線回折角の変化として測定することによって、その固体に付与された残留応力を非破壊的に求めることができる。例えば、X線回折装置を使用して、窒化アルミニウム焼結体からなるセラミックス基板10に特性X線をいくつかの入射角ψで照射し、それぞれの入射角ψにおけるAlNの所定の結晶格子面の回折ピークの回折角2θを測定し、sinψ法(2θとsinψの関係を示す2θ−sinψ線図上にプロットして得られる直線の傾きに所定の圧力定数を乗じて残留応力を算出する方法)によって、セラミックス基板10の残留応力を算出することができる。なお、固体内に内部応力(固有ひずみ)が発生していると、回折ピークは所定の2θの位置には発生せず、角度ずれΔ2θが生じるため、X線源を固定状態にしてX線検出器をX線照射点を中心として揺動させて、回折条件を満たす確率を増やし、回折X線の回折角度のずれ量Δ2θを検出すればよい(このようにX線源を固定してX線検出器のみを揺動させる測定方法を「ψ一定法」という)。
このようなセラミックス基板10の残留応力の算出は、市販のX線応力測定装置(例えば、株式会社リガク製の微小部X線応力測定装置AutoMATEII)を使用すれば、回折ピークの測定結果からsinψ法により自動的に行うことができる。
なお、セラミックス基板10の残留応力が「−」(マイナス)の数値で表される場合は、内部応力(固有ひずみ)の一種である圧縮残留応力がセラミックス基板10中に付与されている場合であり、圧縮残留応力が高くなるほど、この数値の絶対値が大きくなる。一方、セラミックス基板10の残留応力が「+」(プラス)の数値で表される場合は、引張残留応力がセラミックス基板10中に付与されている場合である。
セラミックス基板10の金属板14との接合面の算術平均粗さRaは、0.15〜0.30μmであり、0.15〜0.25μmであるのが好ましい。セラミックス基板10の金属板14との接合面の十点平均粗さRzは、0.7〜1.1μmであるのが好ましい。セラミックス基板10の金属板14との接合面の最大高さRyは、0.9〜1.7μmであるのが好ましく、0.9〜1.6μmであるのがさらに好ましい。セラミックス基板10の金属板14との接合面の算術平均粗さRaが0.30μmを超えると、窒化アルミニウム焼結体からなるセラミックス基板10の被処理面のAlN結晶粒子の脱粒が顕著になり、セラミックス基板10の被処理面の表面粗さが大きくなり過ぎて、金属−セラミックス接合基板の耐ヒートサイクル特性を向上させる効果が不十分になる。
セラミックス基板10の抗折強度は、500MPa以下であるのが好ましく、450MPa以下であるのがさらに好ましく、420MPa以下であるのが最も好ましい。セラミックス基板10の抗折強度が500MPaを超えると、金属−セラミックス接合基板の耐ヒートサイクル特性が低下する場合がある。なお、セラミックス基板10の抗折強度が250MPaより低くなると、金属−セラミックス接合基板の耐ヒートサイクル特性が低下するため、セラミックス基板10の抗折強度は、250MPa以上であるのが好ましく、300MPa以上であるのがさらに好ましい。
また、図2に示すように、セラミックス基板10の表面に沿って残留応力層10aが形成され、この残留応力層10aの厚さが25μm以下であるのが好ましい。
本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法の実施の形態では、セラミックス基板10に(直接またはろう材12を介して)金属板14が接合された金属−セラミックス接合基板の製造方法において、セラミックス基板10として窒化アルミニウム基板を使用し、セラミックス基板10の残留応力が−50MPa以下(50MPaより高い圧縮残留応力)、好ましくは−60MPa以下になり且つセラミックス基板10の金属板14との接合面の算術平均粗さRaが0.15〜0.30μm、好ましくは0.15〜0.25μmになるように、液体中に砥粒を含むスラリーをセラミックス基板10の表面に噴射するウエットブラスト処理(湿式噴射処理または液体ホーニング処理)を行い、この処理により得られたセラミックス基板10に金属板14を接合する。このウエットブラスト処理は、セラミックス基板10の金属板14との接合面の十点平均粗さRzが好ましくは0.7〜1.1μmになるように行い、セラミックス基板10の金属板14との接合面の最大高さRyが好ましくは0.9〜1.7μm、さらに好ましくは0.9〜1.6μmになるように行う。また、このウエットブラスト処理は、セラミックス基板10の抗折強度が低下するように行うのが好ましく、セラミックス基板10の抗折強度が好ましくは500MPa以下、さらに好ましくは450MPa以下、最も好ましくは420MPa以下になるとともに、好ましくは250MPa以上、さらに好ましくは300MPa以上になるように行う。さらに、ウエットブラスト処理は、セラミックス基板10の表面に沿って形成される残留応力層10aの厚さが25μm以下になるように行うのが好ましい。
本実施の形態の金属−セラミックス接合基板の製造方法では、セラミックス基板10として窒化アルミニウム焼結体からなる窒化アルミニウム基板を使用する。この窒化アルミニウム焼結体として、平均結晶粒径が好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは2〜7μmの窒化アルミニウム焼結体を使用することができる。このような窒化アルミニウム焼結体は、平均粒子径が0.1〜15μm、好ましくは0.5〜5μmの窒化アルミニウム粉末の成形体を焼成することによって得ることができる。
この窒化アルミニウム粉末の成形体は、必要に応じて、焼結助剤や有機バインダなどを含んでもよい。焼結助剤としては、例えば、酸化イットリウム(Y)、酸化エルビウム(Er)、酸化イッテルビウム(Yb)などの希土類金属酸化物や、Ca、Ba、Srなどのアルカリ土類金属元素の酸化物などを使用することができ、特に酸化イットリウムを使用するのが好ましい。窒化アルミニウム粉末の成形体に加える焼結助剤の量は、窒化アルミニウム粉末に対して1〜10質量%であるのが好ましい。焼結助剤の量が10質量%を超えると、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率の低下などを招くおそれがある。一方、焼結助剤の量が1質量%未満であると、窒化アルミニウム焼結体の焼結性が低下してポアの増大などを招くおそれがある。また、有機バインダとしては、例えば、ポリビニルブチラール、エチルセルロース類、アクリル樹脂類などを使用することができ、窒化アルミニウム粉末を良好に成形するために、アクリル樹脂類やポリビニルブチラールを使用するのが好ましい。
窒化アルミニウム焼結体の厚さは、0.3〜1.5mmであるのが好ましい。窒化アルミニウム焼結体の厚さが1.5mmを超えると、セラミックス基板10の熱抵抗が増大して放熱性が低下する場合がある。一方、窒化アルミニウム焼結体の厚さが0.3mm未満であると、セラミックス基板10の強度が大きく劣化するとともに絶縁耐圧が低下して、金属−セラミックス接合基板の信頼性が低下する場合がある。
本実施の形態の金属−セラミックス接合基板の製造方法では、液体中に砥粒を含むスラリーをセラミックス基板10の表面に噴射するウエットブラスト処理を行う。このウエットブラスト処理で使用するスラリー中の砥粒として、窒化アルミニウム焼結体より高い硬度の砥粒を使用するのが好ましく、特に窒化アルミニウム焼結体よりビッカース硬度Hvが50以上高い砥粒を使用するのが好ましく、100以上高い砥粒(特にビッカース硬度Hvが1060〜2500の砥粒)を使用するのがさらに好ましい。このような砥粒として、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素などの砥粒を使用することができ、特に入手の容易さからアルミナの砥粒を使用するのが工業的に好ましい。砥粒の平均粒径は、10〜60μmであるのが好ましく、15〜30μmであるのがさらに好ましい。また、砥粒の形状は、球状であるのが好ましい。
このスラリーの液体は、砥粒を分散することができる液体であればよく、例えば、水や、アルコールなどの有機溶媒を使用することができる。このスラリーは、10〜30体積%の砥粒を含有するのが好ましい。砥粒の含有量が10体積%未満では、金属−セラミックス接合基板の耐ヒートサイクル特性を向上させる効果が不十分になり、一方、30体積%を超えると、スラリーを噴射するノズルの孔が詰まり易くなり、また、砥粒の循環不良が起こり易くなる。
このスラリーは、圧縮空気とともに、セラミックス基板10の被処理面に加わる圧力が0.10〜0.25MPaになるように、セラミックス基板10の被処理面に噴射するのが好ましい。被処理面に加わる圧力が0.25MPaを超えると、粒径の小さい砥粒を使用しても、窒化アルミニウム焼結体からなるセラミックス基板10の被処理面のAlN結晶粒子の脱粒が顕著になり、セラミックス基板10の被処理面の表面粗さが大きくなり過ぎて、金属−セラミックス接合基板の耐ヒートサイクル特性を向上させる効果が不十分になる。
このスラリーをセラミックス基板10の被処理面に噴射する時間(処理時間)は、0.02〜1.0秒であるのが好ましく、0.05秒〜0.2秒であるのがさらに好ましい。処理時間が0.02秒よりも短いと、セラミックス基板10から離型材を除去するのが不十分になり、金属−セラミックス接合基板の強度や耐ヒートサイクル特性を向上させる効果が不十分になる。一方、処理時間が1.0秒を超えると、窒化アルミニウム焼結体からなるセラミックス基板10の被処理面のAlN結晶粒子の脱粒が顕著になり、セラミックス基板10の被処理面の表面粗さが大きくなり過ぎて、金属−セラミックス接合基板の耐ヒートサイクル特性を向上させる効果が不十分になり、生産性も低下する。
本実施の形態の金属−セラミックス接合基板の製造方法では、セラミックス基板10の残留応力が−50MPa以下(50MPaより高い圧縮残留応力)、好ましくは−60MPa以下になり且つセラミックス基板10の金属板14との接合面の算術平均粗さRaが0.15〜0.30μm(さらに好ましくは、十点平均粗さRzが0.7〜1.1μm、最大高さRyが0.9〜1.7μm、セラミックス基板10の抗折強度が500MPa以下、セラミックス基板10の表面に沿って形成される残留応力層10aの厚さが25μm以下)になるようにウエットブラスト処理の条件を予め決定しておけばよい。
このようにウエットブラスト処理を行ったセラミックス基板10の少なくとも一方の面に直接またはろう材12を介して金属板14を接合する。金属板14としては、銅または銅合金からなる金属板の他、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属板などを使用することができる。セラミックス基板10にろう材12を介して金属板14を接合する場合には、Ag−Cu系ろう材にTi 、Zr、Hf、Nbなどから選ばれる少なくとも1種の活性金属を0.5〜10重量%含む活性金属ろう材を使用するのが好ましい。このようなろう材12を厚さ5〜30μm程度、好ましくは10〜20μm程度にセラミックス基板10に塗布し、その上に金属板14を積層した後、不活性ガス雰囲気中または真空中において、700〜900℃程度の温度で熱処理することによって、金属−セラミックス接合基板を作製することができる。
なお、この金属−セラミックス接合基板のそれぞれの金属板14上に所定の回路パターン形状および放熱板形状のエッチングレジストを形成し、薬液でエッチングして不要な金属板14およびろう材12を除去し、その後、回路パターン形状および放熱板形状の金属板上にめっきを施して、金属−セラミックス回路基板を作製することができる。
以下、本発明による金属−セラミックス接合基板およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
まず、縦51.5mm×横46.5mm×厚さ0.6mmの窒化アルミニウムの焼結体からなるセラミックス基板を用意した。
このセラミックス基板について、負荷速度0.5mm/分、スパン間距離30mmの測定条件で、セラミックス基板の長手方向に垂直に上部の支点が当るように負荷することにより、(JIS R1601「ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法」に準じた)3点曲げ試験を行って抗折強度を測定したところ、セラミックス基板の(初期の)抗折強度は、450MPaであった。
また、このセラミックス基板について、X線応力測定装置(株式会社リガク製の微小部X線応力測定装置AutoMATEII)を用いて回折ピークの回折角を測定し、残留応力を算出したところ、セラミックス基板の被処理面の任意の4点(n=4)においてセラミックス基板に付与された残留応力の平均値は−26MPaの圧縮残留応力であった。なお、回折ピークの回折角の測定では、X線入射法としてψ一定法(X線源を固定してX線検出器のみを揺動させる測定方法)を使用し、検出器走査法として並傾法(格子面角度ψの設定面と回折角2θの走査面が同一面内にある光学系を用いた方法)を使用した。また、特性X線としてCr−Kα線を使用し、X線管電圧を40kV、X線管電流を40mA、X線ビーム径をφ2mm、X線照射時間を60秒とした。また、AlNの所定の結晶格子面として、無ひずみ状態で2θ=120.4°を中心とするAlNの(112)面を使用し、ψ角の揺動角を±1°、ψ測定点数を10点、解析角度を117.9°〜122.5°とした。
さらに、このセラミックス基板の表面粗さについて、接触式表面粗さ計(株式会社ミツトヨ製のSJ201P)による測定結果から、JIS B0601(1994年)に基づいて表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRa、十点平均粗さRzを算出したところ、算術平均粗さRaは0.207μm、十点平均粗さRzは2.105μmであった。
次に、このセラミックス基板の各々の表面をウエットブラスト装置(マコー株式会社製のPFE−300)により処理した。このウエットブラスト処理は、水中に平均粒径(D50)20〜24μmの球状アルミナ砥粒を20体積%含むスラリーを(開口面積46.5mmのノズルから)エアー圧(吐出圧力)0.125MPaでセラミックス基板の表面に(スラリーが噴射される被処理面の面積が48.8mmになるように)0.05秒間噴射することによって行った。なお、吐出圧力をP1(MPa)、スラリーによりセラミックス基板の被処理面に加わる圧力をP2(MPa)、ノズルの開口面積をS1(mm)、スラリーが噴射される被処理面の面積をS2(mm)として、P2=P1×S1/S2からセラミックス基板の被処理面に加わる圧力P2を求めたところ、0.119MPaであった。
このウエットブラスト処理後のセラミックス基板について、上記と同様の方法により抗折強度を測定したところ、408MPaであった。
また、ウエットブラスト処理後のセラミックス基板について、上記と同様の方法により残留応力を求めたところ、セラミックス基板に付与された残留応力の平均値は−78MPaの圧縮残留応力であった。
さらに、ウエットブラスト処理後のセラミックス基板の表面粗さについて、上記と同様の方法により算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、最大高さRyを算出したところ、算術平均粗さRaは0.180μm、十点平均粗さRzは0.860μm、最大高さRyは1.080μmであった。
次に、このウエットブラスト処理後のセラミックス基板の両面に、30質量%のCuと1.5質量%のTiを含み、残部がAgからなるAg−Cu−Ti系ろう材ペーストを塗布した後、このろう材ペーストを介して、セラミックス基板の各々の面に、縦51.5mm×横46.5mm×厚さ0.25mmの無酸素銅からなる(回路パターン用)金属板と、縦51.5mm×横46.5mm×厚さ0.25mmの無酸素銅からなる(放熱用)金属板を重ねて接合炉に入れ、真空中で850℃に加熱して金属板をセラミックス基板に接合した。この接合体を炉から取り出した後、それぞれの金属板上に所定の回路パターン形状および放熱板形状のエッチングレジストを形成し、薬液でエッチングして不要な金属板およびろう材を除去し、その後、回路パターン形状および放熱板形状の金属板上にNi−P無電解めっきにより厚さ2μmのめっき皮膜を形成して、金属−セラミックス回路基板を作製した。
このようにして作製した金属−セラミックス回路基板について、通炉処理(380℃で10分間加熱した後に室温に戻すヒートサイクル)前の(初期の)抗折強度を測定したところ、10枚の同じ金属−セラミックス回路基板の平均値で600MPaであり、通炉処理3回後の抗折強度は、10枚の同じ金属−セラミックス回路基板の平均値で545MPa、10枚の同じ金属−セラミックス回路基板の最小値で419MPaであった。なお、金属−セラミックス回路基板の抗折強度は、セラミックス基板の抗折強度と同様の方法により測定した。また、通炉処理50回後に、金属−セラミックス回路基板から金属板を剥離して40倍の拡大鏡で目視観察したところ、通炉処理50回後でもセラミックス基板の厚さ方向に貫通するクラック(貫通クラック)がないことが確認された。
なお、金属−セラミックス回路基板から金属板を剥離して、セラミックス基板の残留応力を、ウエットブラスト処理後のセラミックス基板の残留応力と同様の方法により求めたところ、(金属−セラミックス回路基板の作製前の)ウエットブラスト処理後のセラミックス基板の残留応力とほとんど変わらなかった。
[実施例2]
吐出圧力を0.150MPaとし、被処理面の圧力を0.143MPaとした以外は、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板のウエットブラスト処理を行った。
このウエットブラスト処理後のセラミックス基板について、実施例1と同様の方法により、抗折強度、残留応力および表面粗さを求めたところ、抗折強度は416MPa、残留応力は−90MPa、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaは0.182μm、十点平均粗さRzは0.980μm、最大高さRyは1.340μmであった。
また、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製し、抗折強度を測定するとともに、通炉処理後の貫通クラックの有無を観察したところ、通炉処理前の(初期の)抗折強度の平均値は650MPaであり、通炉処理3回後の抗折強度の平均値は500MPa、通炉処理3回後の抗折強度の最小値は427MPaであり、通炉処理50回後でもセラミックス基板の厚さ方向に貫通クラックがないことが確認された。
[実施例3]
吐出圧力を0.175MPaとし、被処理面の圧力を0.167MPaとした以外は、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板のウエットブラスト処理を行った。
このウエットブラスト処理後のセラミックス基板について、実施例1と同様の方法により、抗折強度、残留応力および表面粗さを求めたところ、抗折強度は336MPa、残留応力は−80MPa、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaは0.176μm、十点平均粗さRzは0.780μm、最大高さRyは1.000μmであった。
また、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製し、抗折強度を測定するとともに、通炉処理後の貫通クラックの有無を観察したところ、通炉処理前の(初期の)抗折強度の平均値は615MPaであり、通炉処理3回後の抗折強度の平均値は505MPa、通炉処理3回後の抗折強度の最小値は377MPaであり、通炉処理50回後でもセラミックス基板の厚さ方向に貫通クラックがないことが確認された。
[実施例4]
吐出圧力を0.200MPaとし、被処理面の圧力を0.191MPaとした以外は、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板のウエットブラスト処理を行った。
このウエットブラスト処理後のセラミックス基板について、実施例1と同様の方法により、抗折強度、残留応力および表面粗さを求めたところ、抗折強度は329MPa、残留応力は−95MPa、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaは0.180μm、十点平均粗さRzは0.820μm、最大高さRyは1.640μmであった。
また、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製し、抗折強度を測定するとともに、通炉処理後の貫通クラックの有無を観察したところ、通炉処理前の(初期の)抗折強度の平均値は600MPaであり、通炉処理3回後の抗折強度の平均値は550MPa、通炉処理3回後の抗折強度の最小値は475MPaであり、通炉処理50回後でもセラミックス基板の厚さ方向に貫通クラックがないことが確認された。
[実施例5]
吐出圧力を0.225MPaとし、被処理面の圧力を0.214MPaとした以外は、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板のウエットブラスト処理を行った。
このウエットブラスト処理後のセラミックス基板について、実施例1と同様の方法により、抗折強度、残留応力および表面粗さを求めたところ、抗折強度は373MPa、残留応力は−75MPa、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaは0.207μm、十点平均粗さRzは0.967μm、最大高さRyは1.267μmであった。
また、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製し、抗折強度を測定するとともに、通炉処理後の貫通クラックの有無を観察したところ、通炉処理前の(初期の)抗折強度の平均値は597MPaであり、通炉処理3回後の抗折強度の平均値は550MPa、通炉処理3回後の抗折強度の最小値は394MPaであり、通炉処理50回後でもセラミックス基板の厚さ方向に貫通クラックがないことが確認された。
[実施例6]
球状アルミナ砥粒の平均粒径(D50)を49〜53μmとした以外は、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板のウエットブラスト処理を行った。
このウエットブラスト処理後のセラミックス基板について、実施例1と同様の方法により、抗折強度、残留応力および表面粗さを求めたところ、抗折強度は339MPa、残留応力は−80MPa、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaは0.158μm、十点平均粗さRzは0.940μm、最大高さRyは1.260μmであった。
また、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製し、抗折強度を測定するとともに、通炉処理後の貫通クラックの有無を観察したところ、通炉処理前の(初期の)抗折強度の平均値は585MPaであり、通炉処理3回後の抗折強度の平均値は495MPa、通炉処理3回後の抗折強度の最小値は395MPaであり、通炉処理50回後でもセラミックス基板の厚さ方向に貫通クラックがないことが確認された。
[実施例7]
球状アルミナ砥粒の平均粒径(D50)を49〜53μmとした以外は、実施例5と同様の方法により、セラミックス基板のウエットブラスト処理を行った。
このウエットブラスト処理後のセラミックス基板について、実施例1と同様の方法により、抗折強度、残留応力および表面粗さを求めたところ、抗折強度は283MPa、残留応力は−100MPa、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaは0.160μm、十点平均粗さRzは1.001μm、最大高さRyは1.489μmであった。
また、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製し、抗折強度を測定するとともに、通炉処理後の貫通クラックの有無を観察したところ、通炉処理前の(初期の)抗折強度の平均値は534MPaであり、通炉処理3回後の抗折強度の平均値は464MPa、通炉処理3回後の抗折強度の最小値は393MPaであり、通炉処理25回後でもセラミックス基板の厚さ方向に貫通クラックがないことが確認されたが、通炉処理30回後でセラミックス基板の厚さ方向に貫通クラックが生じたことが確認された。
[比較例1]
実施例1と同様のセラミックス基板の各々の表面をホーニング装置(株式会社石井表記製のジェットスクラブ研磨紙)により処理した。このホーニング処理は、平均粒径50μmのアルミナ(粒度#280)からなる砥粒を(開口面積3mmのノズルから)エアー圧(吐出圧力)0.300MPaでセラミックス基板の表面に、(砥粒が噴射される被処理面の面積が159mmになるように)15秒間噴射することによって行った。なお、吐出圧力をP1(MPa)、スラリーによりセラミックス基板の被処理面に加わる圧力をP2(MPa)、ノズルの開口面積をS1(mm)、スラリーが噴射される被処理面の面積をS2(mm)として、P2=P1×S1/S2からセラミックス基板の被処理面に加わる圧力P2を求めたところ、0.006MPaであった。
このホーニング処理後のセラミックス基板について、実施例1と同様の方法により、抗折強度、残留応力および表面粗さを求めたところ、抗折強度は549MPa、残留応力は−40MPa、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaは0.135μm、十点平均粗さRzは0.702μm、最大高さRyは0.980μmであった。
また、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製し、抗折強度を測定するとともに、通炉処理後の貫通クラックの有無を観察したところ、通炉処理前の(初期の)抗折強度の平均値は545MPaであり、通炉処理3回後の抗折強度の平均値は282MPa、通炉処理3回後の抗折強度の最小値は229MPaであり、通炉処理20回後でセラミックス基板の厚さ方向に貫通クラックが生じたことが確認された。
[比較例2]
比較例1のホーニング処理を2回行った以外は、比較例1と同様の方法により、セラミックス基板のホーニング処理を行った。
このホーニング処理後のセラミックス基板について、実施例1と同様の方法により、抗折強度、残留応力および表面粗さを求めたところ、抗折強度は568MPa、残留応力は−43MPa、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaは0.153μm、十点平均粗さRzは0.794μm、最大高さRyは0.950μmであった。
また、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製し、抗折強度を測定するとともに、通炉処理後の貫通クラックの有無を観察したところ、通炉処理前の(初期の)抗折強度の平均値は555MPaであり、通炉処理3回後の抗折強度の平均値は330MPa、通炉処理3回後の抗折強度の最小値は275MPaであり、通炉処理20回後でセラミックス基板の厚さ方向に貫通クラックが生じたことが確認された。
[比較例3]
水中に平均粒径57μmのアルミナ(粒度#320)からなる砥粒を20体積%含むスラリーを使用し、吐出圧力を0.150MPaとし、被処理面の圧力を0.143MPaとした以外は、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板のウエットブラスト処理を行った。
このウエットブラスト処理後のセラミックス基板について、実施例1と同様の方法により、抗折強度、残留応力および表面粗さを求めたところ、抗折強度は434MPa、残留応力は−37MPa、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaは0.134μm、十点平均粗さRzは0.774μm、最大高さRyは0.922μmであった。
また、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製し、抗折強度を測定するとともに、通炉処理後の貫通クラックの有無を観察したところ、通炉処理前の(初期の)抗折強度の平均値は542MPaであり、通炉処理3回後の抗折強度の平均値は252MPa、通炉処理3回後の抗折強度の最小値は182MPaであり、通炉処理25回後でセラミックス基板にクラックが生じたことが確認された。
[比較例4]
水中に平均粒径28μmのアルミナ(粒度#600)からなる砥粒を20体積%含むスラリーを使用し、吐出圧力を0.250MPaとし、被処理面の圧力を0.238MPaとした以外は、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板のウエットブラスト処理を行った。
このウエットブラスト処理後のセラミックス基板について、実施例1と同様の方法により、抗折強度、残留応力および表面粗さを求めたところ、抗折強度は392MPa、残留応力は−38MPa、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaは0.186μm、十点平均粗さRzは1.294μm、最大高さRyは1.758μmであった。
また、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製し、抗折強度を測定するとともに、通炉処理後の貫通クラックの有無を観察したところ、通炉処理前の(初期の)抗折強度の平均値は547MPaであり、通炉処理3回後の抗折強度の平均値は248MPa、通炉処理3回後の抗折強度の最小値は210MPaであり、通炉処理20回後でセラミックス基板にクラックが生じたことが確認された。
[比較例5]
吐出圧力を0.250MPaとし、被処理面の圧力を0.238MPaとした以外は、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板のウエットブラスト処理を行った。
このウエットブラスト処理後のセラミックス基板について、実施例1と同様の方法により、抗折強度、残留応力および表面粗さを求めたところ、抗折強度は375MPa、残留応力は−80MPa、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaは0.578μm、十点平均粗さRzは2.988μm、最大高さRyは3.966μmであった。
また、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製し、抗折強度を測定するとともに、通炉処理後の貫通クラックの有無を観察したところ、通炉処理前の(初期の)抗折強度の平均値は509MPaであり、通炉処理3回後の抗折強度の平均値は212MPa、通炉処理3回後の抗折強度の最小値は173MPaであり、通炉処理20回後でセラミックス基板にクラックが生じたことが確認された。
また、実施例1〜7および比較例1〜5で得られたウエットブラスト処理後のセラミックス基板の残留応力層の厚さを求めるために、それぞれのセラミックス基板の表面を厚さ25μmだけ研磨加工により除去した後に、ビッカース圧子を研磨加工面に打ち込んで、圧痕から伸展したクラックの長さを測定することによって、破壊靭性値を算出したところ、いずれも2.1MPa・m1/2以下あった。この結果から、これらのセラミックス基板の残留応力層の厚さは、いずれも25μm以下であることがわかった。
なお、セラミックス基板の研磨加工は、研磨機として横型平面研削盤(ヨコハマセラミックス株式会社製のYCC−H1)を使用し、砥石(株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)を使用して行った。また、破壊靭性値は、JIS R1617(2002年)のIF(Indentation Fracture)法に準じて、ビッカース硬さ試験機(株式会社ミツトヨ製のAVK−CO)により、押込荷重49N、保持時間15秒として、圧痕から伸展したクラックの長さを測定し、Kc=0.026(E1/21/2a)/C3/2(式中、Kcは破壊靭性値(MPa・m1/2)、Eはヤング率(Pa)=280MPa、Pは押込荷重(N)、Cはクラックの長さの平均の半分(m)、aは圧痕の対角線の長さの平均の半分(m))から算出した。
また、実施例5および7と比較例1および5で得られた金属−セラミックス回路基板を厚さ方向に切断し、その断面の接合界面近傍を電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)(JEOL社製JSM−6700F)により1万倍に拡大して70視野について観察したところ、実施例5では15本、実施例7では16本、比較例1では2本、比較例5では20本の幅0.1μm以下の(金属−セラミックス回路基板の厚さ方向に5μm程度延びる)超微細クラックが存在し、これらの超微細クラック内にろう材が侵入していることがわかった。実施例5および7では、このようにろう材が侵入した超微細クラックの数が多いことから、通炉処理50回後でもセラミックス基板の厚さ方向に貫通クラックが生じるのを防止することができると考えられる。
これらの実施例および比較例のセラミックス基板のウエットブラスト処理またはホーニング処理の条件を表1に示し、これらの処理後のセラミックス基板の抗折強度、残留応力、残留応力層の厚さ、表面粗さ、超微細クラック数を表2に示し、これらのセラミックス基板を使用して作製した金属−セラミックス回路基板の通炉処理前後の抗折強度および貫通クラックが生じる通炉処理回数を表3に示す。
Figure 0006304923
Figure 0006304923
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表1〜表3からわかるように、金属−セラミックス回路基板の通炉処理3回後の抗折強度は、比較例1〜5では平均値で330MPa以下(最小値で275MPa以下)と低いのに対して、実施例1〜7では平均値で464MPa以上(最小値で377MPa以上)と高く、また、セラミックス基板に貫通クラックが生じる通炉処理回数は、比較例1〜5では25回以下と低いのに対して、実施例7では25〜30回であるものの、実施例1〜6では50回以上と高くなっている。これらの結果から、実施例1〜7の金属−セラミックス回路基板は、比較例1〜5の金属−セラミックス回路基板と比べて、耐ヒートサイクル特性に優れていることがわかる。
10 セラミックス基板
12 ろう材
14 金属板
10a 残留応力層

Claims (16)

  1. セラミックス基板に金属板が接合された金属−セラミックス接合基板において、セラミックス基板が窒化アルミニウム基板であり、セラミックス基板の表面に沿って形成された残留応力層の厚さが25μm以下であり、セラミックス基板の残留応力が−50MPa以下であり且つセラミックス基板の金属板との接合面の算術平均粗さRaが0.15〜0.30μmであることを特徴とする、金属−セラミックス接合基板。
  2. 前記セラミックス基板の金属板との接合面の十点平均粗さRzが0.7〜1.1μmであることを特徴とする、請求項1に記載の金属−セラミックス接合基板。
  3. 前記セラミックス基板の金属板との接合面の最大高さRyが0.9〜1.7μmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の金属−セラミックス接合基板。
  4. 前記セラミックス基板の抗折強度が500MPa以下であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板。
  5. 前記セラミックス基板の抗折強度が450MPa以下であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板。
  6. 前記セラミックス基板にろう材を介して前記金属板が接合されていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板。
  7. 前記金属板が銅または銅合金からなる金属板であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板。
  8. セラミックス基板に金属板が接合された金属−セラミックス接合基板の製造方法において、セラミックス基板として窒化アルミニウム基板を使用し、セラミックス基板の表面に沿って形成される残留応力層の厚さが25μm以下になるとともにセラミックス基板の残留応力が−50MPa以下になり且つセラミックス基板の金属板との接合面の算術平均粗さRaが0.15〜0.30μmになるように、液体中に砥粒を含むスラリーをセラミックス基板の表面に噴射する処理を行い、この処理により得られたセラミックス基板に金属板を接合することを特徴とする、金属−セラミックス接合基板の製造方法。
  9. 前記スラリーを噴射する処理が、前記セラミックス基板の金属板との接合面の十点平均粗さRzが0.7〜1.1μmになるように行われることを特徴とする、請求項に記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
  10. 前記スラリーを噴射する処理が、前記セラミックス基板の金属板との接合面の最大高さRyが0.9〜1.7μmになるように行われることを特徴とする、請求項またはに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
  11. 前記スラリーを噴射する処理が、前記セラミックス基板の抗折強度が低下するように行われることを特徴とする、請求項乃至10のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
  12. 前記スラリーを噴射する処理が、前記セラミックス基板の抗折強度が500MPa以下になるように行われることを特徴とする、請求項乃至10のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
  13. 前記スラリーを噴射する処理が、前記セラミックス基板の抗折強度が450MPa以下になるように行われることを特徴とする、請求項乃至10のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
  14. 前記セラミックス基板にろう材を介して前記金属板を接合することを特徴とする、請求項乃至13のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
  15. 前記金属板が銅または銅合金からなる金属板であることを特徴とする、請求項乃至14のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
  16. 前記砥粒が球状アルミナからなることを特徴とする、請求項乃至15のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
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