JP2017156263A - 残留応力算出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】最適な固有歪を求めることで、比較的正確に残留応力の分布を算出する残留応力算出方法を提供する。
【解決手段】本発明による残留応力算出方法は、鋼材の残留応力算出方法であって、上記鋼材の対象領域の残留応力又は弾性解放歪を測定する工程と、上記残留応力又は弾性解放歪から固有歪及びこの固有歪に基づく相当固有歪を算出する工程と、上記対象領域のX線回析線を取得する工程と、上記相当固有歪とX線回析線との比較により上記固有歪の値を調整する工程とを備えることを特徴とする。上記固有歪調整工程で、相当固有歪の分布と、X線回析線半価幅の分布又はX線回析線を近似した関数の定数の分布とを比較するとよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、残留応力算出方法に関する。
残留応力は、構造物の強度や寿命に影響を及ぼすため、構造物の内部の残留応力を正確に測定することが望まれる。残留応力の発生源となっている熱歪、塑性歪等の歪は、固有歪と呼ばれ、この固有歪から残留応力を算出する固有歪法が提唱されている。固有歪法では、一部の残留応力又は残留応力が解放されることにより生じる解放歪(弾性歪)を測定し、有限要素法を用いた逆解析により、計測した残留応力又は解放歪から固有歪の分布を導出し、さらには有限要素法を用いた順解析により残留応力の分布を算出する。
このような残留応力の算出の方法として、構造物を軸方向に切断した測定片(T片)と、このT片の切断方向と直交する方向に切断した測定片(L片)とを用いたT−L法が知られている。T片とL片について解放歪を測定し、円筒座標上のモデルにおいて有限要素法を用いて固有歪を導出し、さらに残留応力を算出する方法が提唱されている(特許第4533621号参照)。
さらに、円柱状の軸部とこの軸部から径方向に突出する板状部(フランジ)とを備え、軸部と板状部との接続部分に応力集中を緩和するためのフィレット面を設けた構造物に対する残留応力算出方法も提案されている(特開2015−094758号公報参照)。
上述の固有歪法では、使用する実測データの測定条件及び固有歪の計算領域の設定によって、求められる固有歪の結果に差異が生じる。特に、固有歪分布を関数表示する手法を採用する場合、近似関数の次数(関数の形状係数)により、異なる複数の固有歪の結果が算出される。しかしながら、従来技術では、複数の結果のうちどれが最も適切なものか判断することが困難である。
特許第4533621号 特開2015−094758号公報
上記不都合に鑑みて、本発明は、最適な固有歪を求めることで、比較的正確に残留応力を算出することができる残留応力算出方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、鋼材の残留応力算出方法であって、上記鋼材の対象領域の残留応力又は弾性解放歪を測定する工程と、上記残留応力又は弾性解放歪から固有歪及びこの固有歪に基づく相当固有歪を算出する工程と、上記対象領域のX線回析線を取得する工程と、上記相当固有歪とX線回析線との比較により上記固有歪の値を調整する工程とを備えることを特徴とする。
当該残留応力算出方法は、対象領域のX線回析線を取得し、これを残留応力又は弾性解放歪の解析から得られた固有歪に基づく相当固有歪(1軸に換算した固有歪)と比較することで、最適な固有歪の値を得ることができる。従って、当該残留応力算出方法は、この固有歪の値に基づき、比較的正確に対象領域の残留応力の分布を算出することができる。
上記固有歪調整工程で、相当固有歪の分布と、X線回析線半価幅の分布又はX線回析線を近似した関数の定数の分布とを比較するとよい。X線回析線の評価値としてこのような値を用いることで、比較的容易に固有歪を調整することができる。なお、「X線回析線半価幅」とは、X線回折線(プロファイル)において、最大強度の半分の強度における回折プロファイルの幅を意味する。
また、上記課題を解決するためになされた別の発明は、鋼材の残留応力算出方法であって、上記鋼材の対象領域の相当固有歪とX線回析線との関係を取得する工程と、上記対象領域のX線回析線を取得する工程と、上記関係を用いて上記X線回析線から相当固有歪を推定する工程と、上記対象領域の残留応力又は弾性解放歪を測定する工程と、上記残留応力又は弾性解放歪から固有歪及びこの固有歪に基づく相当固有歪を算出する工程と、上記関係を用いて推定した相当固有歪と上記残留応力又は弾性解放歪から算出した相当固有歪とが近づくように上記固有歪の値を調整する工程とを備えることを特徴とする。
当該残留応力算出方法は、対象領域の相当固有歪とX線回析線との関係を予め取得しておき、X線回析線の実測値から相当固有歪を推定する。さらに当該残留応力算出方法では、この相当固有歪を残留応力又は弾性解放歪の解析から得られた固有歪に基づく相当固有歪と比較することで、最適な固有歪の値を得ることができる。従って、当該残留応力算出方法は、この固有歪の値に基づいて、比較的正確に対象領域の残留応力の分布を算出することができる。
上記関係取得工程で、相当固有歪と、X線回析線半価幅又はX線回析線を近似した関数の定数との関係を取得し、上記相当固有歪推定工程で、X線回析線半価幅又はX線回析線を近似した関数の定数から相当固有歪を推定するとよい。X線回析線の評価値としてこのような値を用いることで、残留応力又は弾性解放歪から求めた固有歪と比較する相当固有歪を比較的容易に推定することができる。
当該残留応力算出方法によれば、最適な固有歪を求めることで、比較的正確に残留応力の分布を算出することができる。
本発明の一実施形態の残留応力算出方法の流れを示す流れ図である。 図1の残留応力算出方法により残留応力を算出する計測対象の一例である軸状部材を示す模式的断面図である。 図2の軸状部材の残留応力測定工程で切削面の残留応力を測定する試験片の模式的断面図である。 図2の軸状部材の残留応力算出方法の残留応力測定工程での残留応力測定のために切り出した測定片の模式的平面図である。 固有歪計算領域を説明する模式図である。 本発明の図1とは異なる実施形態の残留応力算出方法の流れを示す流れ図である。 計算例1及び計算例2による固有歪から求めた相当固有歪の分布を表すグラフである。 計算例1及び計算例2の固有歪から算出した残留応力の値と、実測した残留応力の値とを比較するグラフである。 計算例1及び計算例2の相当固有歪と半価幅比とを比較するグラフである。 X線回析線半価幅比と、解析により算出した相当固有歪との関係を二次の多項式で近似した結果を表すグラフである。 X線回析線半価幅から変換した相当固有歪と、残留応力の逆解析から求めた相当固有歪との関係を表すグラフである。 X線回折線を近似関数で近似した結果を表すグラフである。 近似関数の二次の定数とX線回析線半価幅との関係を表すグラフである。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
[第一実施形態]
図1に示す残留応力算出方法は、鋼材の残留応力の分布を算出する方法である。当該残留応力算出方法は、上記鋼材の対象領域の残留応力を測定する工程(残留応力測定工程S1)と、上記残留応力から固有歪及びこの固有歪に基づく相当固有歪を算出する工程(固有歪算出工程S2)と、上記対象領域のX線回析線を取得する工程(X線回析線取得工程S3)と、上記相当固有歪とX線回析との比較により上記固有歪の値を調整する工程(固有歪調整工程S4)と、調整した固有歪の分布から残留応力の分布を算出する工程(残留応力算出工程S5)とを主に備える。
以下、当該残留応力算出方法について、鋼材として図2の軸状部材1の残留応力を算出する場合について説明する。
図2の軸状部材1は、円柱状の軸2とこの軸2から全周かつ径方向に突出する複数の板状部3とを備え、上記軸2と上記板状部3との接続部分に軸方向視で曲線状かつ中心軸側に凹となるフィレット面5を有する。この軸状部材1は、軸2に4つの円盤型の板状部3が等間隔に設けられている。
<残留応力測定工程>
残留応力測定工程S1では、軸状部材1の残留応力の分布を算出する対象領域であるフィレット面5の残留応力を何点か測定する。具体的には、まず、軸状部材1から測定に使用する複数の対象体(試験片)を採取し、一部の対象体を用いて切削面の残留応力の測定を行い、残る対象体を用い測定片の切り出し面の残留応力の測定を行う。このとき、フィレット面5に対し、半径方向(第1方向D1)及び周方向(第2方向D2)、並びに軸状部材1の周方向(第1方向と第2方向とに垂直な第3方向D3)の3方向を軸とする座標系を設定し、この3軸における残留応力(境界値)を測定する。
上記試験片は、軸状部材1を図2の二点鎖線で示す位置で切断することにより、同一の形状を有し、残留応力について均等とみなせる3つの対象体4を採取したものである。対象体4は、軸2を分割した円柱状の軸部2aと、この軸部2aから全周かつ径方向に突出する板状部3とを備え、軸部2aと板状部3との接続部分にフィレット面5を有する。
次に、図3に示すように、対象体4を繰り返し切削して軸部2aの中心軸Cと同心で、かつ中心軸Cに対する傾斜角が一定の角度ずつ異なる円錐面又は円筒面である切削面6を順次形成し、各切削面6から小片を切り出してこの切削面6の残留応力をX線残留応力測定により求める。なお、複数の切削面6は、フィレット面5の近傍の基準位置Psを通るように形成される。
さらに、対象体4を切断して図4に示す内部測定片7を切り出す。そして、この内部測定片7の中央縦断面の基準位置Psから第1方向D1及び第2方向D2に沿って残留応力をX線残留応力測定により求める。
X線残留応力測定は、例えば市販のsinψ法又は2D法(cosα法)によるX線応力測定器を用いて行うことができる。
<固有歪算出工程>
固有歪算出工程S2では、まず、測定した残留応力データを用い、一般的な固有歪を媒介とする残留応力算出法に則り、測定した残留応力と解析結果との誤差が最小となる条件で、有限要素法の逆解析にて固有歪を計算する。
このときの固有歪の分布は例えば下記式(1)の関数にて近似できる。
Figure 2017156263
上記式(1)中、Rは第1方向D1の位置、αは第2方向D2の位置を示し、R及びαはそれぞれ第1方向D1及び第2方向D2の固有歪計算の開始位置を表し、ΔR及びΔαは、R及びαの増分値である(図5参照)。また、m及びnは、第1方向D1及び第2方向D2の次数を表し、Aijは近似関数の係数を表す。R、α、ΔR及びΔαは、固有歪計算領域を決定するパラメータであり、これらの設定値が異なれば、同じ残留応力データを用いても、逆解析にて得られる固有歪分布に差異が生じる。同様に、固有歪分布関数の次数m及びnの値によっても、得られる固有歪分布が異なる。
次に、逆解析で得られた固有歪に基づく相当固有歪を算出する。この相当固有歪は、定法で算出することができ、例えば式(2)の相当塑性歪の式から求めることができる。
Figure 2017156263
上記式(2)中、ε及びγは、直交座標系における垂直歪及びせん断歪の各成分を表す。
<X線回析線取得工程>
X線回析線取得工程S3では、上記残留応力測定工程S1で残留応力を測定した箇所におけるX線回析線を取得する。X線回析線(X線回析強度分布)は、上記残留応力測定工程S1で用いたX線応力測定器で測定することができる。また、X線応力測定器により、X線回析線取得工程S3を残留応力測定工程S1と同時に行うことができる。このようにX線回析線取得と残留応力測定とを同時に行うことで、従来の算出方法に対し実測の手間を増加させることなく、残留応力算出精度を高めることができる。
<固有歪調整工程>
固有歪調整工程S4では、固有歪算出工程S2で得た相当固有歪と、X線回析線取得工程S3で得たX線回析線とを比較し、固有歪算出工程S2で算出される固有歪の値を調整する。
具体的な固有歪の値の調整手順としては、以下のような方法が挙げられる。一つの方法としては、固有歪算出工程S2でパラメータを変えながら逆解析により算出した複数の固有歪分布を求めておき、これらの固有歪に基づく相当固有歪の分布の中でX線回析線半価幅の分布と最も近いものを最適な解として選択する方法が挙げられる。また、別の方法としては、X線回析線半価幅の分布に近い相当固有歪の分布が得られるまで、固有歪算出工程S2を繰り返し行う方法が挙げられる。ここで、X線回析線半価幅はX線回折線において、最大強度の半分の強度における回折プロファイルの幅であり、市販のX線応力測定器では、自動で算出されるものがある。
また、この固有歪調整工程S4では、X線回析線半価幅の分布に変えて、X線回析線を近似した関数の定数の分布を用い、この分布と相当固有歪の分布とを比較してもよい。この近似関数としては、例えば下記式(3)に示すような関数を用いることができる。
Figure 2017156263
<残留応力算出工程>
残留応力算出工程S5では、固有歪調整工程S4で調整した固有歪の分布から定法の有限要素法順解析により残留応力の分布を算出する。
<利点>
当該残留応力算出方法は、対象領域のX線回析線を取得し、これを残留応力から得られた固有歪と比較することで、最適な固有歪の値を得ることができる。従って、当該残留応力算出方法は、この固有歪の値に基づいて、比較的正確に対象領域の残留応力の分布を算出することができる。
[第2実施形態]
図6に示す残留応力算出方法は、鋼材の残留応力の分布を算出する方法である。当該残留応力算出方法は、上記鋼材の対象領域の相当固有歪とX線回析線との関係を取得する工程(関係取得工程S11)と、上記対象領域のX線回析線を取得する工程(X線回析線取得工程S12)と、上記関係を用いて上記X線回析線から相当固有歪を推定する工程(相当固有歪推定工程S13)と、上記対象領域の残留応力を測定する工程(残留応力測定工程S14)と、上記残留応力から固有歪及びこの固有歪に基づく相当固有歪を算出する工程(固有歪算出工程S15)と、上記関係を用いて推定した相当固有歪と上記残留応力から算出した相当固有歪とが近づくように上記固有歪の値を調整する工程(固有歪調整工程S16)と、調整した固有歪の分布から残留応力の分布を算出する工程(残留応力算出工程S17)とを主に備える。
<関係取得工程>
関係取得工程S11では、対象領域の相当固有歪とX線回析線との関係を取得する。この関係は、例えば上記第1実施形態の残留応力算出方法で最終的に得られた残留応力に対応する相当固有歪と、残留応力算出時に計測したX線回析線との関係を使用することができる。ただし、上記関係の取得方法はこれに限定されず、他の解析や実測等を用いて取得してもよい。
具体的には、相当固有歪と、X線回析線半価幅又はX線回析線を近似した関数の定数との関係を取得するとよい。これにより、容易かつ確実に残留応力の算出精度を向上することができる。また、上記関係としては、例えば直線近似(一次関数近似)した関係が好適に使用できる。
<X線回析線取得工程>
X線回析線取得工程S12は、第1実施形態の残留応力算出方法のX線回析線取得工程S3と同様の工程であるため、説明を省略する。
<相当固有歪推定工程>
相当固有歪推定工程S13では、関係取得工程S11で得た対象領域の相当固有歪とX線回析線との関係を用い、X線回析線取得工程S12で得たX線回析線に対応する値として相当固有歪を推定する。なお、以下ではこの推定で得られた相当固有歪を「第一相当固有歪」と呼称する。
ここで、上記関係取得工程S11でX線回析線半価幅を用いた場合は、この相当固有歪推定工程S13でもX線回析線半価幅を用い、上記関係取得工程S11でX線回析線を近似した関数の定数を用いた場合は、この相当固有歪推定工程S13でもX線回析線を近似した関数の定数を用いる。
<残留応力測定工程>
残留応力測定工程S14は、第1実施形態の残留応力算出方法の残留応力測定工程S1と同様の工程であるため、説明を省略する。
<固有歪算出工程>
固有歪算出工程S15は、第1実施形態の残留応力算出方法の固有歪算出工程S2と同様の工程であるため、説明を省略する。なお、以下ではこの算出工程で得られた相当固有歪を「第二相当固有歪」と呼称する。
<固有歪調整工程>
固有歪調整工程S16では、相当固有歪推定工程S13で得た第一相当固有歪と、固有歪算出工程S15で得た第二相当固有歪とを比較し、両者の差異が小さくなるよう固有歪算出工程S15で算出される固有歪の値を調整する。
<残留応力算出工程>
残留応力算出工程S17では、固有歪調整工程S16で調整した固有歪の分布から定法の有限要素法順解析により残留応力の分布を算出する。
<利点>
当該残留応力算出方法は、対象領域の相当固有歪とX線回析線との関係を予め取得しておき、X線回析線の実測値から相当固有歪を推定する。さらに当該残留応力算出方法では、この相当固有歪を残留応力から得られた固有歪に基づく相当固有歪と比較することで、最適な固有歪の値を得ることができる。従って、当該残留応力算出方法は、この固有歪の値に基づいて、比較的正確に対象領域の残留応力の分布を算出することができる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
上記実施形態では、残留応力を測定し、この残留応力に基づいて固有歪を算出したが、残留応力に変えて弾性解放歪を測定し、この弾性解放歪に基づいて定法により固有歪を算出してもよい。
また、当該残留応力算出方法で残留応力を算出する鋼材は軸状部材に限定されず、種々の形状の鋼材に適用可能である。さらに、図2の軸状部材を対象とする場合において、必ずしも上述の3方向の残留応力又は弾性解放歪を測定する必要はなく、測定箇所や方向は任意である。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(相当固有歪とX線回析線との比較による固有歪の値の調整)
上述の第一実施形態に基づいて、図2に示す軸状部材のフィレット部(ひずみ発生領域)の残留応力の分布を算出した。
まず、X線応力測定器(株式会社リガクの「MSF−3M」)を用い、上記実施形態で説明した対象体を用いて切削面及び切り出し面のsinψ法で残留応力とX線回析線半価幅とを測定した。ψ角として0°,10°,18°,24°,30°,35°,40°の7点を用い、X線回析線半価幅としてこれら7種類のψ角の結果の平均値を用いた。また、同一材料の残留応力及び歪が生じていない条件で測定したX線回析線半価幅をB0とし、測定したX線回析線半価幅をBとし、半価幅比B/B0を評価に用いた。
次に、測定した残留応力から、上記式(1)でm=3及びn=6とした計算例1と、m=2及びn=9とした計算例2との2ケースで固有歪を求めた。どちらのケースも式(1)の関数の係数の数は18個である。この計算例1及び計算例2による固有歪から式(2)を用いて相当固有歪を求めた結果を図7に示す。また、これらの固有歪から算出した上記対象体の形状における残留応力の分布と、実測した残留応力の値との比較を図8に示す。この比較は、従来技術における固有歪の調整の方法であり、算出した対象体の形状における残留応力の分布が実測値に近づくように調整される。図7に示されるように、相当固有歪は計算条件によって大きな差異が生じるが、図8に示されるように従来の手法では計算例1と計算例2とで結果にあまり差異がないため、どちらが精度がよいか判断することが困難である。なお、図7〜9における「周方向」とは、フレット面の周方向(第2方向D2)を意味する。
さらに、図9に計算例1及び計算例2の相当固有歪と上記半価幅比B/B0との関係を図9に示す。図9から、計算例2の方が半価幅比B/B0との関係が近いため、計算例2の固有歪を用いるように調整することで、より正確な残留応力を算出することができる。
(X線回析線との関係から推定した相当固有歪と、残留応力から算出した相当固有歪とを近づける固有歪の値の調整)
まず、2D法(cosα法)によるX線応力測定器で測定したX線回析線の上記半価幅比と解析により算出した相当固有歪との関係を二次の多項式で近似して求めた。その結果を図10に示す。このような近似式を用いることで、X線回析線半価幅から相当固有歪を推定(変換)することができる。
次に、図10の関係を用いてX線回析線半価幅から推定(変換)した第一相当固有歪と、残留応力の逆解析から求めた第二相当固有歪との関係を求めた。その結果を図11に示す。この図11を用いて、これらの相当固有歪の差が最小となるように固有歪を決定することができる。また、相当固有歪にヤング率を掛けること等で応力の次元に変換すれば、相当固有歪の差を残留応力の差に含めて評価することも可能である。さらに、応力ではなく、歪の次元にあわせて評価することも可能である。また、X線回析線半価幅データが残留応力よりも測定誤差が大きいと考えられる場合、残留応力の差と相当固有歪の差とに重み付けをすることも有効である。
対象領域の複数の評価点に対し、上記図11の関係を用いて調整した固有歪の値から残留応力の分布を逆解析により算出した。また、同じ評価点に対し、固有歪から逆解析で求めた残留応力と実測した残留応力とを比較して固有歪を調整する従来方法により残留応力を算出した。さらに、同じ評価点に対し、ドリル法を用いて残留応力を測定し、結果を比較した。なお、ドリル法とは、内部残留応力を測定したい位置にドリルで孔を空け、ドリル底に歪ゲージを貼り、最小片まで切断して解放歪を測ることで残留応力を測定する手法である。これらの結果を表1に示す。
Figure 2017156263
表1に示すように、図11の関係を用いて固有歪を調整することで、全体的により実測値に近い残留応力が得られることがわかる。
(X線回析線の近似関数の例)
X線回折線(プロファイル)を上記式(3)の近似関数で近似した例を図12に示す。図12に示すように、X線強度の対数をとった値を二次関数で近似すると、その二次の定数を用いて回折線の広がりを評価することができる。
X線回折プロファイルを上記式(3)の近似関数で近似した際の二次の定数とX線回析線半価幅とを比較したものを図13に示す。図13から、近似関数の定数とX線回析線半価幅とには相関があることがわかる。従って、マルテンサイト組織を持つ焼入れ鋼のように、回折線の広がりが大きく半価幅測定が難しい材料を対象とする場合、X線回折プロファイルを関数近似する手法が有効である。
当該残留応力算出方法は、クランクシャフト等の種々の鋼材の残留応力の分布の算出に好適に利用できる。
1 軸状部材
2 軸
2a 軸部
3 板状部
4 対象体
5 フィレット面
6 切削面
7 内部測定片
C 中心軸
Ps 基準位置

Claims (4)

  1. 鋼材の残留応力算出方法であって、
    上記鋼材の対象領域の残留応力又は弾性解放歪を測定する工程と、
    上記残留応力又は弾性解放歪から固有歪及びこの固有歪に基づく相当固有歪を算出する工程と、
    上記対象領域のX線回析線を取得する工程と、
    上記相当固有歪とX線回析線との比較により上記固有歪の値を調整する工程と
    を備えることを特徴とする残留応力算出方法。
  2. 上記固有歪調整工程で、相当固有歪の分布と、X線回析線半価幅の分布又はX線回析線を近似した関数の定数の分布とを比較する請求項1に記載の残留応力算出方法。
  3. 鋼材の残留応力算出方法であって、
    上記鋼材の対象領域の相当固有歪とX線回析線との関係を取得する工程と、
    上記対象領域のX線回析線を取得する工程と、
    上記関係を用いて上記X線回析線から相当固有歪を推定する工程と、
    上記対象領域の残留応力又は弾性解放歪を測定する工程と、
    上記残留応力又は弾性解放歪から固有歪及びこの固有歪に基づく相当固有歪を算出する工程と、
    上記関係を用いて推定した相当固有歪と上記残留応力又は弾性解放歪から算出した相当固有歪とが近づくように上記固有歪の値を調整する工程と
    を備えることを特徴とする残留応力算出方法。
  4. 上記関係取得工程で、相当固有歪と、X線回析線半価幅又はX線回析線を近似した関数の定数との関係を取得し、
    上記相当固有歪推定工程で、X線回析線半価幅又はX線回析線を近似した関数の定数から相当固有歪を推定する請求項3に記載の残留応力算出方法。
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