以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
図3(a)及び図3(b)には、本発明の第一実施形態の蓋機構を備えた便器100が示されている。本実施形態の蓋機構は、ベース部材2である機器収納ケース200と、ベース部材2に装着される蓋4と、ベース部材2と蓋4に設けられるラッチ機構5と、を備える。便器100は、蓋機構の各構成200,4,5に加えて、ボウル10を有する便器本体1、支持フレーム11、機器3、フレームカバー12、便座13、及び便蓋14を備える。
以下では、図3(a)に示す状態を基準として、機器3に対してボウル10が位置する側を前方とし、その逆方向を後方とし、この前後方向に直交する水平方向を左右方向とし、この前後方向に対して直交する鉛直方向を上下方向として、各構成について説明する。つまり、図3(a)における矢印X1で示す方向が前方であり、矢印Y1で示す方向が右方向であり、矢印Z1で示す方向が上方である。蓋4については、図3(a)に示す状態である倒伏姿勢を基準として説明する。
図3(a)及び図3(b)に示すように、便器本体1は、ボウル10とリム(図示せず)とスカート15とを一体に有し、樹脂製である。支持フレーム11は、金属製であり、床に載置されて、便器本体1を前部に支持する。フレームカバー12は、支持フレーム11の後部の左右の側部に取り付けられる一対の側カバー120と、支持フレーム11の後端部に取り付けられる後カバー121とを有する。
機器収納ケース200は、便器本体1の後上部に装着され、且つ支持フレーム11の後上部に装着される。本実施形態では、機器収納ケース200に、便座13及び便蓋14が起倒自在に取り付けられている。便座13は、便器本体1のリム上に載置される。
機器収納ケース200の下方には、所謂ターントラップを有するトラップ装置16が設けられる。前記ターントラップは、上流端部がボウル10内と連通しており、モータ等の駆動手段によって、前記ターントラップの先端(下流端部)の開口部が下方に移動されることで、ボウル10内の溜め水および汚物を排出する。また、前記ターントラップは、前記駆動手段によって、前記ターントラップの先端の開口部が上方に移動されることで、ボウル10内に溜め水を形成する。このようなトラップ装置16は、様々な既存の技術が適宜利用可能であり、詳細な説明は省略する。
機器収納ケース200は、箱状であり、内部に便器100の各種の機器3を収納する。本実施形態では、機器3は、停電時用の補助電池30、洗剤タンク31、脱臭装置、局部洗浄装置、制御部、操作スイッチ32、リモコン受信器33等である。洗剤タンク31は、ボウル10に供給する洗浄水に洗剤を混入させるためのものである。脱臭装置は、ボウル10内の空気をファンにより吸引し、脱臭フィルタにより脱臭するものであり、帯電微粒子水を発生させる静電霧化装置34をさらに備えている。局部洗浄装置は、ボウル10の後端部に設けられボウル10内に突出する洗浄ノズルを有し、洗浄ノズルより湯水を局部に向けて噴出する。制御部は、上述した各装置の動作を制御するもので、操作スイッチ32は、各装置を動作させるために使用者が操作するものである。リモコン受信器33は、便器100の外殻外に設けられるリモコンからの信号を受信するもので、受信した信号は制御部に送信される。
なお、機器3は、洗剤タンク31、脱臭装置、局部洗浄装置を含まなくてもよい。また、機器3の一部は、機器収納ケース200内ではなく機器収納ケース200の下方に設けられてもよい。また、上述していない他の機器が機器収納ケース200内または機器収納ケース200の下方に設けられてもよい。
機器収納ケース200の上面部20には、操作スイッチ32と補助電池30と洗剤タンク31が露出させて設けられている。そして、機器収納ケース200には、上面部20を覆う蓋4が装着されている。本実施形態では、図2(a)に示すように、上面部20のうち左右の端部201,202を除いた部分が蓋4によって覆われる。
図3(a)及び図3(b)に示すように、蓋4は、その後端部が機器収納ケース200の上面部20の後端部にヒンジを介して回動自在に取り付けられている。そのため、蓋4は、前端部が上下に移動自在であり、これにより、機器収納ケース200の上面部20を開閉する。
本実施形態では、蓋4と機器収納ケース200には、ラッチ機構5が設けられている。ラッチ機構5は、機器収納ケース200に蓋4を固定し、且つ固定状態にある蓋4が機器収納ケース200側(下側)に押し込まれることで、蓋4の固定を解除するものである。本実施形態では、ラッチ機構5は、蓋4の裏面の一部と機器収納ケース200のうち、一方に設けられるストライカー50と、他方に設けられるラッチ装置51とを含む。
本実施形態では、蓋4の裏面の一部にストライカー50が設けられ、機器収納ケース200の上面部20にラッチ装置51が設けられている。なお、蓋4の裏面の一部にラッチ装置51が設けられ、機器収納ケース200の上面部20にストライカー50が設けられてもよい。
ラッチ装置51は、ストライカー50に係合することで蓋4をロックし、且つ係合状態にあるストライカー50が押し込まれることで、蓋4のロック状態を解除するものである。本実施形態のラッチ機構5は、所謂プッシュ式のラッチ機構である。
図4(a),図4(b),及び図4(c)には、本実施形態のラッチ機構5の一例を示している。
ラッチ装置51にストライカー50が係合されていない状態では、図4(a)に示すようにばねの付勢によりボディ52がハウジング53の開口53aから突出し、一対のアーム57がハウジング53の開口53aからハウジング53外に向けて突出する。この時、一対のアーム57はその先端部同士が離間して開いている。
ラッチ装置51にストライカー50を係合するには、ストライカー50を一対のアーム57間に挿入して、ここからストライカー50をハウジング53の奥側に移動させる。
このとき、ボディ52はストライカー50に押圧されてばねに抗してハウジング53の奥側に移動し、開口53aの内面54によって一対のアーム57は先端部が近づくように弾性変形されて、図4(b)に示すように閉じた状態となる。そしてこの一対のアーム57の係止部59によってストライカー50の基部500が挟持され、且つ、膨大部501の基部500側の面に各アーム57の係止部59が係止される。このとき、ボディ52は、ハウジング53の内部の機構によって固定されてハウジング53の開口53a側に移動できない状態となる。
ラッチ装置51に係合したストライカー50の係合を解除するには、ストライカー50をハウジング53の奥側に押圧し、該ストライカー50により図4(c)に示すようにばねに抗してボディ52をさらにハウジング53の奥側に移動させる。これにより、ボディ52の固定が解除されてばねの付勢によりボディ52が図4(a)に示す状態まで移動する。
このとき、ボディ52に押圧されて、一対のアーム57はハウジング53の開口53aからハウジング53の外側に突出し、一対のアーム57は図4(a)に示すように先端部同士が離間した状態に弾性復帰する。これにより、上記一対のアーム57とストライカー50の係合が解除される。
なお、ラッチ装置51は、ストライカー50に係合することで蓋4をロックし、且つ係合状態にあるストライカー50が押し込まれることで、蓋4のロック状態を解除するものであればよく、上述した図4(a)〜図4(c)に示す構成のものに限定されない。
蓋4は、ラッチ機構5によって機器収納ケース200に固定されることで、機器収納ケース200の上面部20を覆う位置(以下「閉位置」という)に位置する。また、蓋4は、ラッチ機構5による固定が解除されると、上面部20に対して略垂直の起立姿勢となる開位置へと移動させることができる。
本実施形態では、蓋4は、図1(b)に示すように、その一部に、周囲にある他部よりも薄く形成した薄肉部40と、薄肉部40の弾性変形によって蓋4の厚み方向に移動する移動部41とを有する。ラッチ機構5の一方(ストライカー50)は、移動部41の裏面に設けられる。本実施形態では、薄肉部40は、蓋4の一部の裏面が凹んだ形状である。以下では、蓋4のうち、薄肉部40よりも外側の部位(薄肉部40の周囲の他部)を、厚肉部44と記載する。薄肉部40は、厚肉部44よりも厚みが薄いため、厚肉部44に比べて弾性変形しやすい。
本実施形態では、薄肉部40は、平面視円環状であり、蓋4のうち薄肉部40で囲まれる平面視円形状の部位が移動部41である。薄肉部40は、その厚みが内側ほど小さくなるように設けられる。そして、移動部41は、一定の厚みとなるように設けられる。本実施形態では、移動部41の厚みは、薄肉部40の内周縁の厚みと略同じである。なお、移動部41は、必ずしも一定の厚みである必要はなく、その厚みは適宜設定可能である。
また、移動部41は、その厚みが、図5(a)及び図5(b)に示すように、厚肉部44の厚みと略同じであってもよい。この場合、薄肉部40は、その厚みが、例えば、外周縁から径方向の中央部に近づくにつれて小さくなり、且つ径方向の中央部から内周縁に近づくにつれて大きくなるように設けられる。このとき、薄肉部40の内周縁の厚みは、移動部41の厚みと略同じであり、薄肉部40の外周縁の厚みは、厚肉部44の厚みと略同じである。なお、薄肉部40は、移動部41及び厚肉部44よりも厚みが小さくて、移動部41及び厚肉部44よりも弾性変形しやすい形状であればよく、上述した形状に限定されない。
蓋4は、樹脂製であり、本実施形態では、略矩形板状である。蓋4は、その外周縁に下方に向けて突出する垂下片42を有している。詳しくは、垂下片42は、蓋4の左右の端部にそれぞれ前後方向に亘って設けられ、且つ前側の端部に左右方向に亘って設けられている。蓋4は、後端部の下面に、上面部20に回動自在に連結される連結部43が設けられている。
移動部41は、図2(a)に示すように蓋4が閉位置にある状態で、使用者の手によって上方から押圧されることで、薄肉部40が弾性変形して、下方へ移動することができる。そして、移動部41は、使用者の手が離れ、ラッチ機構5による固定が解除された状態で、薄肉部40が弾性復帰して、元の位置へと戻ることができる。押圧前の状態及び復帰後の状態では、薄肉部40の上面及び移動部41の上面は、厚肉部44の上面と面一となり、蓋4の上面は、全体に亘って面一となる。
蓋4は、移動部41の上面(表面)に目印6を更に備える。目印6は、蓋4のうち下面(裏面)にラッチ機構5のある部分を使用者の知らせるためのものである。目印6は、例えば、複数の樹脂製の小突起である。なお、目印6は、使用者が視認可能なものであればよく、例えば、移動部41の上面に印刷を施したものであってもよいし、シール等を貼ったものであってもよい。
本実施形態では、移動部41の裏面のうち、ストライカー50の周囲には、平断面U字状のガイド45が設けられている。ガイド45は、図4(b)及び図4(c)に示すように、ストライカー50をラッチ装置51に向けて押し込む際に、ストライカー50をラッチ装置51の定位置へとガイドするためのものである。なお、ガイド45は、ストライカー50の破損を防止するための保護カバーの機能だけを有し、ガイドの機能を有さないものであってもよい。
蓋4は、例えば、射出成形によって成形することができる。このとき、蓋4の各構成(薄肉部40、移動部41、厚肉部44、垂下片42、連結部43、及びガイド45)は、一体に形成可能である。またこのとき、ストライカー50と目印6も、蓋4の各構成と一体に形成可能である。なお、上記の各構成40,41,42,43,44,45,50,6をそれぞれ別部材で形成し、溶着等によって一体化させてもよい。
機器収納ケース200は、その上面部20のうち、閉位置にある蓋4の薄肉部40及び移動部41に平面視にて重なる位置に、上方に向けて開口する凹部21が形成されている。上面部20では、凹部21の底面にラッチ装置51が取り付けられている。本実施形態では、凹部21は、平面視略矩形状である。本実施形態では、凹部21の内側の側面は、周方向に亘って、凹部21の底面に近い側ほど下方に位置するように傾斜している。凹部21のサイズは、薄肉部40及び移動部41のサイズに対応している。つまり、凹部21は、薄肉部40及び移動部41の下方への移動を妨げないようなサイズ及び形状となっている。
また、上面部20には、閉位置にある蓋4の垂下片42に平面視にて重なる位置に、上方に向けて開口する溝部22が形成されている。溝部22の深さは、垂下片42の突出長さ(上下長さ)と同じか、それよりも若干短い。そのため、閉位置にある蓋4の垂下片42は、図2(b)に示すように、周方向に亘って溝部22の底面に接触する。以下では、上面部20のうち、操作スイッチ32、補助電池30、洗剤タンク31、凹部21、及び溝部22が配されていない平坦な部位を、平坦部23と記載する。操作スイッチ32、補助電池30、及び洗剤タンク31は、図1(a)に示すように、平坦部23の上面よりも上方に突出しないように、上面部20に露出させている。
なお、本実施形態では、上面部20の前端部の溝部22は、上方に限らず前方に向けても開口している。そして、上面部20の前部の左右端部の溝部22は、上方に限らず側方(右方または左方)に向けても開口している。上面部20の後部の左右端部の溝部22は、上方にのみ開口している。各溝部22は、その底面が前側ほど下方に位置するようにわずかに傾斜しており、水が浸入した場合にボウル10側へ排水できるようになっている。
なお、本実施形態では、蓋4は、図2(a)に示すように、閉位置において、その上面が、便蓋14の後端部の上面や機器収納ケース200の上面部20の左右の端部201,202の上面と面一となるように設けられている。そして、本実施形態では、蓋4の上面は、図1(b)に示すように、便蓋14の後端部の上面や端部201,202の上面に対応して、若干湾曲している。そして、蓋4は、ラッチ機構5による固定が解除された状態では、閉位置から若干浮き上がって、便蓋14の後端部の上面や機器収納ケース200の上面部20の左右の端部201,202の上面よりも、上方に位置する。
以上説明した本実施形態の便器では、以下のようにして、蓋4の開閉が行われる。
蓋4を閉じる際には、蓋4を起立姿勢から倒伏姿勢へと移動させ、蓋4のストライカー50がラッチ装置51のボディ52に接触した状態で、蓋4を下方へ押圧する。これにより、ストライカー50がラッチ装置51に係合して、蓋4が機器収納ケース200に固定される。なお、蓋4を起立姿勢から倒伏姿勢へと勢いよく移動させることによって、蓋4のストライカー50を機器収納ケース200のラッチ装置51に係合させて、蓋4を機器収納ケース200に固定することも可能である。
蓋4は、機器収納ケース200に固定された状態で、目印6(つまり薄肉部40)が機器収納ケース200の上面部20の凹部21のラッチ装置51上に位置する。またこのとき、蓋4は、少なくとも垂下片42が周方向に亘って、機器収納ケース200の溝部22に底面に当たる。またこのとき、蓋4は、その上面が、便蓋14の後端部の上面や機器収納ケース200の上面部20の左右の端部201,202の上面と面一となる。
蓋4を開く際には、目印6を下方に押圧して、蓋4のうちの一部の薄肉部40を弾性変形させて移動部41を下方へ移動させる。このとき、蓋4のストライカー50によってラッチ装置51のボディ52が押圧されて、ストライカー50とラッチ装置51との係合状態が解除される。
蓋4は、ラッチ機構5による固定が解除された状態では、閉位置から若干浮き上がって、便蓋14の後端部の上面や機器収納ケース200の上面部20の左右の端部201,202の上面よりも、上方に位置する。これにより、蓋4は開きやすい状態となる。
以上説明した本実施形態の便器100では、蓋4の一部の移動部41の移動でラッチ機構5による係合を解除できるようにしたことで、蓋4の垂下片42を機器収納ケース200の溝部22の底面に当てた状態で、蓋4を機器収納ケース200に固定することができる。これにより、本実施形態の便器100では、機械プッシュ式のラッチ機構5によって蓋4を機器収納ケース200に固定する便器100であるにもかかわらず、垂下片42と溝部22の底面との間には隙間が必要とならない。したがって、本実施形態の便器100では、前記隙間を原因とする蓋4のがたつきを抑制することができる。
また、本実施形態の便器100では、機器収納ケース200の上面部20のうち薄肉部40及び移動部41に対応する部位に凹部21を設けて、この凹部21内で薄肉部40及び移動部41を移動可能としている。これにより、本実施形態の便器100では、蓋4の厚肉部44を機器収納ケース200の平坦部23に当てた状態で、蓋4を機器収納ケース200に固定することも可能であり、蓋4のがたつきを更に抑制することができる。また、このように蓋4の厚肉部44を機器収納ケース200の平坦部23に当てた状態で蓋4を機器収納ケース200に固定することで、閉じた状態の蓋4に不意に大きな力が加わった場合に、垂下片42が破損したり、蓋4が割れたりすることを抑制できる。また、閉じた状態の蓋4と機器収納ケース200との間に隙間ができないようにすることで、蓋4及び機器収納ケース200を上下方向にコンパクトに設けることができる。
続いて、図6(a),図6(b)及び図6(c)に示す本発明の第二実施形態の蓋機構を備えた便器100について説明する。本実施形態の便器100は、第一実施形態の便器100とは蓋機構の構成が異なる。第一実施形態の蓋機構と同じ構成については図中に同じ符号を付けて詳しい説明を省略する。
本実施形態の蓋機構は、マグネットを用いたプッシュ式のラッチ機構5を備える。図6(a),図6(b)及び図6(c)には、本実施形態のラッチ機構5の一例を示している。
本実施形態のラッチ機構5は、磁性体からなるラッチ受け70と、磁力によってラッチ受け70を吸着するラッチ装置71とを有する。ラッチ受け70は、板状の部材であり、例えば金属板である。ラッチ受け70は、移動部41の裏面に接着剤や溶着によって固定される。
ラッチ装置71は、マグネットのラッチ72と、ラッチ72を突没自在に収納するハウジング73と、ラッチ72の突没動作を制限する内部機構(ばね,ローター等)とを有する。ラッチ装置71は、凹部21の底面に、ラッチ受け70に対応するように取り付けられる。
ラッチ72にラッチ受け70を吸着させて蓋4を閉位置に固定するには、ラッチ受け70をラッチ72に当てて吸着させ、図6(b)に示すように、ラッチ72をハウジング73の奥側に移動させる。このとき、ラッチ72は、ラッチ受け70に押圧されてばねに抗してハウジング73の奥側に移動し、ハウジング73から一部突出した状態で、内部機構によってハウジング73の外側(奥側の反対側)への移動が規制される。このようにラッチ受け70がラッチ72に吸着し、且つ内部機構によってラッチ72のハウジング73の外側への移動が規制されることで、蓋4は閉位置に固定される。
蓋4の閉位置への固定を解除するためには、図6(c)に示すように、ラッチ受け70をハウジング73の奥側に押圧し、ばねに抗してラッチ72をさらにハウジング73の奥側に移動させる。すると、内部機構によるラッチ72の移動規制が解除され、ばねの付勢によりラッチ72が、図6(a)に示すように、ハウジング73外に大きく突出する。これにより、蓋4の閉位置への固定が解除され、蓋4は閉位置よりも上方の位置へと移動される。なお、このとき、ラッチ受け70はラッチ72に吸着したままであるので、蓋4を更に開くためには、蓋4を持ち上げて、ラッチ受け70をラッチ72から取り外す。
なお、ラッチ装置71は、ラッチ受け70に吸着してラッチ受け70を所定の位置にロックし、且つロック状態にあるラッチ受け70が押し込まれることで、ラッチ受け70の所定の位置へのロック状態を解除するものであればよく、上述した構成のものに限定されない。
以上説明した本実施形態の便器100においても、蓋4の一部の移動部41の移動でラッチ機構5による固定を解除でき、蓋4の垂下片42を機器収納ケース200の溝部22の底面に当てた状態で、蓋4を機器収納ケース200に固定できる。これにより、本実施形態の便器100においても、機器収納ケース200に固定した状態の蓋4のがたつきを抑制することができる。
また、本実施形態の便器100においても、蓋4の厚肉部44を機器収納ケース200の平坦部23に当てた状態で、蓋4を機器収納ケース200に固定することも可能であり、蓋4のがたつきを更に抑制することができる。
以上まとめると、本発明の実施形態の蓋機構は、上述した第一及び第二実施形態のように、ベース部材2と、ベース部材2に装着される蓋4と、ベース部材2と蓋4に設けられるラッチ機構5と、を備える。ラッチ機構5は、ベース部材2に蓋4を固定し、且つ固定状態にある蓋4がベース部材2側に押し込まれることで、蓋4の固定を解除するものである。蓋4は、その一部に、周囲にある他部よりも薄く形成した薄肉部40と、薄肉部40の弾性変形によって蓋4の厚み方向に移動する移動部41とを有する。ラッチ機構5は、移動部41の裏面と、ベース部材2とに設けられる。
このような構成とすることで、本発明の実施形態の蓋機構では、蓋4のうち一部の移動部41を押し込み操作することで、ラッチ機構5による固定を解除して、蓋4をベース部材2から取り外すことができる。そのため、本発明の実施形態の蓋機構では、蓋4とベース部材2との間に、蓋4全体を押し込むための隙間を設ける必要がなく、蓋4をベース部材2に当てた状態で固定することができ、前記隙間を原因とした蓋4のがたつきを抑制することができる。
また、本発明の実施形態の蓋機構は、上述した第一及び第二実施形態のように、薄肉部40が、蓋4の前記一部の裏面が凹んだ形状であることが好ましい。
このような構成とすることで、本発明の実施形態の蓋機構では、薄肉部40が蓋4の表側から目立たず、蓋4が意匠性の高いものとなっている。
また、本発明の実施形態の蓋機構は、上述した第一及び第二実施形態のように、蓋4のうち薄肉部40の表面と、蓋4のうち移動部41の表面と、蓋4のうち薄肉部40の周囲にある前記他部の表面とが、面一であることが好ましい。
このように蓋4の表面を全体的に面一とすることによって、本発明の実施形態の蓋機構は、蓋4に統一感があり、意匠性の高いものとなっている。
また、本発明の実施形態の蓋機構は、上述した第一及び第二実施形態のように、移動部41の表面に設けられる目印6を更に備えることが好ましい。
このような構成とすることで、本発明の実施形態の蓋機構では、蓋4のうちラッチ機構5が裏面に設けられた移動部41の位置が蓋4の表側から把握しやすく、移動部41の押し込み操作がしやすい。
また、本発明の実施形態の便器は、第一及び第二実施形態のように、上記の蓋機構を備える便器であって、ボウル10を有する便器本体1と、便器本体1の上部に装着される機器収納ケース200と、機器収納ケース200に収納される機器3とを備える。本発明の実施形態の便器では、機器収納ケース200がベース部材2であり、蓋4がラッチ機構5によって機器収納ケース200に固定される。
本発明の実施形態の便器では、上記の蓋機構を備えることで、ベース部材2である機器収納ケース200と蓋4との間に、蓋4全体を押し込むための隙間を設ける必要がなく、蓋4を機器収納ケース200に当てた状態で固定することができる。これにより、本発明の実施形態の便器では、前記隙間を原因とする蓋4のがたつきを抑制でき、且つボウル10等から飛散した水が、機器3を収納する機器収納ケース200と蓋4との間から、機器収納ケース200の内部へと浸入することを抑制できる。
なお、上記の説明では、第一及び第二実施形態の薄肉部40として、蓋4の一部の裏面が凹んだ形状であるものを例として説明したが、薄肉部40は、蓋4の一部の裏面が凹んだ形状ではなく蓋4の一部の表面のみが凹んだ形状であってもよい。また、蓋4は、蓋4の一部の表面と裏面の両方が凹んだ形状であってもよい。
また、上記の説明では、第一及び第二実施形態の蓋機構を便器100に用いた例について説明したが、第一及び第二実施形態の蓋機構は、洗面化粧台やキッチン棚や食器棚やテレビ棚等の各種のキャビネットに用いてもよい。このようにキャビネットの蓋機構として第一及び第二実施形態の蓋機構を用いることで、蓋4とベース部材2(蓋4で開閉されるキャビネットの箱体)との間から、キャビネットの内部に水や埃等が入り込むことを抑制することができる。
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。