JP6304042B2 - 涙道チューブ - Google Patents

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Description

本発明は、涙道閉塞治療に用いる涙道チューブに関する。
流涙症をもたらす涙道閉塞の治療には、(i)涙道ブジーによるプロービング、(ii)涙道チューブの留置、(iii)涙嚢鼻腔吻合術(DCR)、(iv)涙小管形成術、(v)鼻涙管形成術、(vi)涙丘移動術などがある。
前記(i)の涙道ブジーによるプロービングは、ブジーと呼ばれる細管を涙道内に挿入することで閉塞部位を開通させ、涙液の流路を再建するものである。容易で低侵襲であることから第一治療として行われる場合が多い。(iii)涙嚢鼻腔吻合術(DCR)、(iv)涙小管形成術、(v)鼻涙管形成術、(vi)涙丘移動術は、効果は高いが、顔に切開を入れたり骨に穴をあけたりするので相対的に侵襲度が高く、最終手段として行われる。
前記(ii)において使用する涙道チューブは、前記(i)の涙道ブジーによるプロービングのあと、流路の維持と組織の再建を図るために留置するものである。前記(ii)の涙道チューブの留置は前述の(iii)〜(vi)の各治療方法と比して容易で低侵襲、かつ効果が高いので、世界中で広く実施されている。その中でも特許文献1に示されるような、チューブの中央部分が細く柔らかいチューブやロッドで形成され、その両側が硬く太いチューブでできている涙道チューブ(例えば、特許文献1の図1参照)が広く普及している。
当該涙道チューブは、チューブと、該チューブの両側の切れ目から挿入された一対のブジーからなり、ブジーを操作してチューブを涙道内へと誘導し留置する。尚、特許文献1の図2に示すように、涙道は涙点(21、22)、涙小管(23、24)、涙嚢(26)、鼻涙管(27)などからなっている。この涙道内に涙道チューブが挿入される。
しかし、前記涙道チューブを挿入するためには、涙道内操作を手探り状態で行わなければならず、ブジーは盲目的に操作される。そのため、ブジーがチューブを突き破ってしまったり、また正常な涙道以外に穴を開ける(仮道)こともあり、治療成績は不良であった。そこで、前記の問題を解決すべく、本件出願人は、以前に涙道チューブ末端に開口部が形成され、その開口部近辺に補強体が配置保持されて、前記補強体の配置位置が前記開口部から所定距離となるように調整された涙道内挿管器具を提案している(特許文献1)。
ところで、近年の涙道閉塞治療の分野では、シース誘導内視鏡下穿破法に基づく手術が新たに行われるようになってきている。この手術では、涙道内視鏡に被せたテフロン(登録商標)製またはポリウレタン製の外筒部分のシースを涙道内で涙道内視鏡よりも先行させることで、涙道内の閉塞部をシース先端が開放する様子を後方から観察することが可能である。また、前記シースをチューブ挿入のためのガイドとすることで、正確なチューブ挿入を行うことができる。この手技を具体的に説明すると次の通りである。先ず、涙道内視鏡に装着したシースを、涙道の閉塞部位を貫通するまで挿入した後、涙道内視鏡を取り外す。次に、前記シースに涙道チューブを接続し、前記涙道チューブを接続した側と反対側から前記シースを引っ張って涙道内に前記涙道チューブを貫通させた後、前記シースを取り外して前記涙道チューブを留置する。
しかし、この手術では、患者の涙道に挿入されたシースと前記涙道チューブを接続する工程が必要であり、また、接続が外れる場合は失敗に結びつくことから、手技の確実性、煩雑さの低減を考慮すると改善の余地がある。
一方、シースのかわりに涙道チューブに涙道内視鏡を挿入して用いる手技が考えられる。このような、涙道内視鏡を内部に配置して使用可能な涙道チューブとしては、例えば、1)前記特許文献1に記載のような、涙道チューブ末端に開口部が形成され、その開口部近辺に補強体が配置保持されて、前記補強体の配置位置が前記開口部から所定距離となるように調整された涙道内挿管器具、2)涙道に挿入できる外径を持ち、柔軟性を有する材料で構成された涙道留置用本体と、この涙道留置用本体の下端部に設けられ、涙道留置用本体よりも硬い材料で構成された柔軟性を有する筒体よりなるシース部とを備えたことを特徴とする涙道治療用具(特許文献2)が知られている。
しかし、特許文献1に記載の涙道内挿管器具では、涙道チューブの構造が複雑で補強体部分の径をあまり細くできず、また最末端部を硬くし難いことから、末端を押す力(Pushability)が若干弱くなる傾向がある。また、涙道チューブの構成材質によっては内視鏡との摩擦が大きくなり、チューブ内に挿入した内視鏡の操作に注意を要する場合がある。更に、特許文献1(特に図1、図3(a)参照)の涙道内挿管器具では、その筒状部にブジーや涙道内視鏡を挿入するための挿入部が設けられている。この挿入部は切れ目や小孔で、ブジーや涙道内視鏡が挿入できる程度に小さい構造を有している。挿入部がこのような構造の場合、一方の筒状部を一方の涙点から涙道内の所定の位置に挿入した後にその位置を保持したまま、もう一方の筒状部をもう一方の涙点から涙道内に挿入しようとすると、もう一方の筒状部をもう一方の涙点に挿入することが困難になる場合がある。これは、小さい挿入部が一体のチューブの中央部分に近い箇所に設けられていること、ブジーや涙道内視鏡の可撓性が低いこと等によるものである。
特許文献2に記載の涙道治療用具でも、シース部の涙道留置用本体よりの部分に内視鏡カメラ挿入用の小さな透孔が設けられている。しかし、全長が長くなるため、一方のシース部を一方の涙点から涙道内に挿入した後にその位置を保持したままでも、もう一方のシース部をもう一方の涙点から涙道内に挿入することは可能である。ところが、この涙道用治療用具を用いた場合、涙道内に配置後に涙道治療用具本体とシース部を分離する必要があるため、手技が煩雑になる。
また、特許文献1や2のような従来の涙道チューブでは、筒状部やシース部の側壁部分に内視鏡等の棒状操作具を挿入するための小さな開口部(特許文献1の挿入部、特許文献2の透孔に対応する)が設けられ、中央部材(特許文献1の中央部、特許文献2の図1の符号3に対応する)側では、棒状操作具が涙道チューブの外側に配置される。この場合、例えば図11(a)に示すように、従来の涙道チューブ101を上涙点1から上涙小管3等の涙道内に挿入させる時に、棒状操作具9bが挿入されている側の涙道チューブ101と棒状操作具9bを合わせた幅は、涙道チューブ101のチューブの幅H1と同じになるが(図11(b)参照)、涙道チューブ101の開口部102より中央部材103側では、棒状操作具9bと若干変形した涙道チューブ101とを重ね合わせた幅H2となり(図11(c)参照)、幅H2は幅H1より大きくなる。そのため、開口部102を超えて涙道チューブ101を涙道内に挿入することが困難となり、患者の負担が大きくなる。また、涙道チューブ101の開口部102より中央部材103側では、棒状操作具9bと涙道チューブ101の開口部102の中央部材103側の縁104とが接して棒状操作具9bの長軸方向の移動が妨げられ、操作が難しくなる。
国際公開第2011/049198号 特開2010−213957号公報
上記のような事情に鑑み、本発明の目的は、涙道内視鏡を用いた涙道閉塞治療にも好適に使用できる涙道チューブ、具体的には、涙道内に挿入後にチューブを切断する必要がなくそのまま留置できるとともに、一方の涙点から涙道内に一方のチューブ部材を挿入した後に、その挿入位置を保持したまま、ブジーや涙道内視鏡等の棒状操作具を用いてもう一方の涙点からも涙道内にもう一方のチューブ部材を容易に挿入可能な涙道チューブを提供することにある。
発明者らは、かかる課題を解決すべく、鋭意検討を進めた。その結果、涙道チューブを構成するチューブ状部材の少なくとも一方が、筒状部分と、チューブ状部材の長軸方向に対する直交方向の断面において略弧状の壁部を有する弧状部分とを備え、かつ、この略弧状の壁部を所定長さに亘り連続して形成することで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕棒状操作具に沿って摺動可能で、一方端に末端開口部を有する一対のチューブ状部材と、該チューブ状部材の他方端同士を連結する中央部材とを備える涙道チューブであって、
前記チューブ状部材の少なくとも一方は、前記末端開口部から中央部材側に延び、中央部材側の端部に棒状操作具用開口部を有する筒状部分と、該筒状部分の中央部材側の端部から更に中央部材側に延び、チューブ状部材の長軸方向に対する直交方向の断面において略弧状の壁部を有する弧状部分とを備え、
前記の略弧状の壁部が、前記チューブ状部材の全長の1/3以上9/10以下の長さに亘り連続して前記弧状部分に形成されている涙道チューブ。
〔2〕前記の略弧状の壁部が、弧状部分の長軸方向全長に亘り形成されている上記〔1〕記載の涙道チューブ。
〔3〕前記筒状部分の長軸方向の中心軸と前記弧状部分の長軸方向の中心軸が同軸上に存在し、各中心軸と筒状部分及び弧状部分との最短距離が同一である上記〔1〕又は〔2〕記載の涙道チューブ。
〔4〕前記の略弧状の壁部が、弧状部分の長軸方向に対する直交方向の断面における中心点を基準とする中心角度が180度以上になるように連続している上記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の涙道チューブ。
〔5〕前記の略弧状の壁部は、弧状部分の長軸方向に対する直交方向の断面における中心点を基準とする中心角度が、弧状部分の長軸方向において前記棒状操作具用開口部側で小さい部分を有する上記〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の涙道チューブ。
〔6〕前記筒状部分が円筒であり、前記略弧状の壁部が円弧の壁部である上記〔1〕〜〔5〕の何れかに記載の涙道チューブ。
〔7〕前記棒状操作具用開口部が、前記末端開口部からチューブ状部材の全長に対して2/3以下となる位置に形成された上記〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の涙道チューブ。
〔8〕前記の略弧状の壁部は、チューブ状部材の長軸方向に対する直交方向の断面における両端部において、丸め処理が施されている上記〔1〕〜〔7〕の何れかに記載の涙道チューブ。
〔9〕前記弧状部分の中央部材側の末端が、弧状部分の長軸方向に対して直交する端部を有する上記〔1〕〜〔8〕の何れかに記載の涙道チューブ。
〔10〕前記チューブ状部材が、ショア硬度が異なる複数の材料から構成され、棒状操作具と摺動する部分を構成する材料のショア硬度が最も高い上記〔1〕〜〔9〕の何れかに記載の涙道チューブ。
〔11〕棒状操作具と摺動する部分を構成する材料が、オレフィン系樹脂である上記〔10〕記載の涙道チューブ。
〔12〕前記チューブ状部材が多層構造を有し、該多層構造のうち棒状操作具と摺動する部分を構成する層の厚さが最も大きい上記〔10〕又は〔11〕記載の涙道チューブ。
〔13〕前記弧状部分の中央部材近傍部から前記状部分と前記筒状部分との連続部分に亘り補強部材が配置された上記〔1〕〜〔12〕の何れかに記載の涙道チューブ。
〔14〕前記補強部材が、ステンレス鋼又は形状記憶合金である上記〔13〕記載の涙道チューブ。
本発明の涙道チューブによれば、チューブ状部材の少なくとも一方が、筒状部分を備えることで、ブジーや涙道内視鏡等の棒状操作具を涙道チューブに確実に保持することができる。また、弧状部分を備えることで、筒状部分に棒状操作具を挿入させた状態で、弧状部分を曲げることができる。そのため、筒状部分の端部から特定構造の弧状部分が伸びる構造を有し、留置後にチューブ状部材を切断する必要のない程度の長さであっても、一方の涙点から涙道内に一方のチューブ部材を挿入した後に、その挿入位置を保持したまま、ブジーや涙道内視鏡等の棒状操作具を用いてもう一方の涙点からも涙道内にもう一方のチューブ状部材を容易に挿入することができる。
また、略弧状の壁部が、弧状部分の長軸方向全長に亘り形成されている場合は、弧状部分の中央部材側の端部を術者が把持して、棒状操作具に沿ってチューブ状部材を摺動させることができる。そのため、棒状操作具として涙道内視鏡を用いる場合に、チューブ状部材が短くても、その筒状部分を涙道内視鏡に先行させ、涙道内視鏡に沿ってチューブ状部材を摺動させることで、閉塞部位を開通する操作を患者の負担を抑制しつつ容易に行うことができる。
涙道の解剖学的な構造を示す説明図である。 本発明に係る涙道チューブの一実施形態の概略を示す斜視図である。 図2の涙道チューブの概略を示す平面図である。 図2の涙道チューブに棒状操作具が装着された状態の概略を示す平面図である。 (a)図3のI−I方向の断面図である。(b)図3のII−II方向の断面図である。 (a)本発明に係る涙道チューブの他の実施形態の概略を示す平面図である。(b)図6(a)のIII−III方向の断面図である。(c)図6(a)のIV−IV方向の断面図である。 (a)本発明に係る涙道チューブの他の実施形態の概略を示す平面図である。(b)図7(a)のV−V方向の断面図である。 (a)本発明に係る涙道チューブの他の実施形態の概略を示す平面図である。(b)図8(a)のVI−VI方向の断面図である。 本発明に係る涙道チューブの使用方法を示した説明図である。 (a)本発明に係る涙道チューブを涙道内に挿入する時の状態を模式的に示した斜視図である。(b)図10(a)のVII−VII方向の涙道チューブの断面を模式的に示した断面図である。(c)図10(a)のVIII−VIII方向の涙道チューブの断面を模式的に示した断面図である。 (a)従来の涙道チューブを涙道内に挿入する時の状態を模式的に示した斜視図である。(b)図11(a)のIX−IX方向の涙道チューブの断面を模式的に示した断面図である。(c)図11(a)のX−X方向の涙道チューブの断面を模式的に示した断面図である。
以下に本発明に係る涙道チューブを図面に示した複数の実施形態に基づき説明するが、本発明はこれらの実施態様により何ら制限されるものではない。
図1は、涙道の解剖学的な構造を模式的に示したものである。
本発明でいう涙道とは、図1に示すように、上/下涙点(1/2)、上/下涙小管(3/4)、総涙小管(5)、涙嚢(6)、鼻涙管(7)、鼻腔管(図示せず)、Hasner’s valve(図示せず)から構成され、涙腺(図示せず)から産出された涙液を眼表面から下鼻道(8)へと導く管(眼球付属器)である。尚、上涙点(1)から、上涙小管(3)、総涙小管(5)を経て下鼻道(8)へと導く管を上涙道といい、下涙点(2)から下涙小管(4)、総涙小管(5)、を経て下鼻道(8)へと導く管を下涙道という。
そして、本発明に係る涙道チューブは、上記涙道に挿入、留置し、閉塞部位を開通する際に使用される。
図2は、本発明に係る涙道チューブの一実施形態の概略を示す斜視図であり、図3は、図2に示す実施形態の平面図であり、図5(a)は、図3のI−I方向の断面を模式的に示した断面図であり、図5(b)は、図3のII−II方向の断面を模式的に示した断面図である。また、図4は、図2に示す実施形態に棒状操作具9a、9bが装着された状態を示す平面図である。本実施形態に示す涙道チューブ10は、一対のチューブ状部材11a、11bと、チューブ状部材11aとチューブ状部材11bとを連結する中央部材12とを備える。尚、本実施形態では、一対のチューブ状部材11a、11bは同じ構造を有するが、異なる構造を有していても良い。異なる構造を有する場合、少なくとも一方は、上記所定の筒状部分と弧状部分を備え必要があるが、もう一方は、涙道内に挿入後に切断する必要がない構造を有するものであれば、従来公知の構造のものを採用してもよいし、チューブ状部材の両末端で開口する筒状構造を有するものを用いても良い。
一対のチューブ状部材11a、11bの一方端には、それぞれ末端開口部13a、13bが設けられている。このように末端開口部を有することで、棒状操作具として涙道内視鏡を用いる場合は、末端開口部を介して、涙道内視鏡により涙道内を確認しながら、涙道チューブを涙道内の所望の部位に誘導することができる。
本実施形態では、一対のチューブ状部材11a、11bは、筒状部分14a、14bと弧状部分15a、15bとを備える。
筒状部分14a、14bは、円筒状の形状を有し、その一方の端部に設けられた末端開口部13a、13bから中央部材12側の端部に設けられた棒状操作具用開口部16a、16bに亘り連通し、棒状操作具を挿通するための内腔部17a、17bを備える。本実施形態では、筒状部分14a、14bの形状は円筒状であるが、他の構造を採用しても良い。例えば、筒状部分の内側(棒状操作具が挿通する側)を円筒状の内壁面とし、筒状部分の外側(涙道と接する側)を楕円状の外壁面とする等各種の変形が可能である。尚、筒状部分の形状が円筒であることにより、筒状部分の壁部の厚みを抑制しつつ、所望の強度と柔軟性をより容易に実現することができる。
本発明では、筒状部分の末端開口部付近の内壁面に棒状操作具の先端に係り合う係合部が形成されていてもよい。係合部は、具体的には、棒状操作具の先端の最大幅よりも小さくなるように筒状部分の内腔部の最小幅を形成する部分をいう。係合部を形成することで、係合部が筒状部分に挿入された棒状操作具のストッパーとなり、涙道内に涙道チューブを挿入した場合や、閉塞部を貫通する場合にも、棒状操作具がチューブ状部材の末端開口部から突き出ることを抑制することができる。また、チューブ状部材の末端開口部付近まで涙道内視鏡を配置できることから、末端開口部からの内視鏡の視野を十分に確保することが容易になる。さらに、涙道チューブに棒状操作具を挿入することで、涙道チューブの病変部通過性(突破性)を向上させることもできる。さらに涙道内視鏡を用いている間は、涙道チューブが通されている経路を確実に知ることができ、仮道を作ったりして、涙道の粘膜等を傷付け出血を引き起こす等の問題を避けることができる。
係合部は、筒状部分の末端開口部付近を、所定の外径の芯材に対し熱加工を用いて縮小することで形成することができる。また、筒状部分の末端開口部側の先端の内側に、別のチューブ状部材を接続して減径してもよい。
また、係合部の形状としては、棒状操作具を係止できればよく特に限定はない。例えば、チューブ状部材の肉厚方向の断面形状が円形であってもよいし、円形のうちの一部が欠けた形状でもよいし、内側に突き出た部分が少なくとも1つ以上有する形状でもよい。
係合部における筒状部分の幅については、棒状操作具の最大幅よりも小さければよいが、涙道内視鏡の視野を十分に確保する観点から、0.5〜0.90mmであるのが好ましく、0.65〜0.86mmがより好ましい。
係合部の位置としては、末端開口部の近傍で、当該末端開口部から所定距離となるように構成されている。該所定距離としては、涙道内視鏡に対するストッパーとしての役目と、涙道内視鏡の視野確保の観点から決定される。例えば、涙道内視鏡の視野確保の観点からは、涙道内視鏡先端部のレンズ位置がチューブ開口部の最末端部から2mm以内であるのが好ましい。また、涙道内視鏡の視野範囲を70%以上確保する観点からは、涙道内視鏡先端部のレンズ位置は、より好ましくは1.5mm以内、さらに好ましくは1mm以内である。したがって、涙道内視鏡の視野確保の観点からは、前記所定距離は、前記末端開口部(開口部の最末端部)から好ましくは2mm以内、より好ましくは1.5mm以内、さらに好ましくは1mm以内である。
また、係合部の筒状部分の長軸方向の長さは、上記のように涙道内視鏡などの棒状操作具を係止でき、かつ涙道内視鏡の視野が確保できる長さであればよく、例えば、0.3〜2mmの範囲であればよい。
図2〜5に示す実施形態では、筒状部分14a、14bの末端開口部13a、13bには、筒状部分の内側に向かう係合部18a、18bが設けられ、内腔部17a、17bの幅が小さくされている。これにより、棒状操作具の先端が、係合部18a、18bに当接し、末端開口部13a、13bから外側に突出することを防止することができる。係合部18a、18bの構造は特に限定は無く、上記のように、筒状部分の内周面に沿って連続して設けても良いし、所定の間隔をおいて設けても良い。また、係合部18a、18bのチューブ状部材の長軸方向の位置は、特に限定は無いが、涙道内視鏡の視野を妨げないようにすることが好ましく、図5(a)に示す実施形態のように筒状部分14aの末端に設けるのが好ましい。また、係合部18a、18bの長軸方向の幅も涙道内視鏡の視野を考慮して適宜設定することができる。尚、本実施形態では、係合部は内側に突出した構造であるが、内腔部の幅を小さくして棒状操作具の外側への突出が防止できればその他の構造を採用することも可能である。例えば、筒状部分の末端開口部付近において末端部分に向かうに従い内腔部の幅を漸次縮小するテーパ構造等が挙げられる。
棒状操作具用開口部16a、16bの位置は特に限定はないが、末端開口部13a、1
3bからチューブ状部材11a、11bの全長に対して2/3以下となる位置に形成されるのが好ましい。また、末端開口部13a、13bからチューブ状部材11a、11bの全長に対して1/9以上となる位置に形成されるのが好ましい。
弧状部分15a、15bは、筒状部分14a、14bの中央部材12側の端部から更に中央部材12側に延びるように設けられる。本実施形態では、弧状部分15a、15bは、チューブ状部材11a、11bの長軸方向に対する直交方向の断面において円弧の壁部19a、19bを有する(例えば、図5(b)参照。)。また、円弧の壁部19a、19bは、チューブ状部材11a、11bの全長La、Lbの1/3以上9/10以下の長さ(la、lb)に亘り連続して弧状部分15a、15bに形成されている(本実施形態ではla/La(及びlb/Lb)が3/4である。)。このように円弧の壁部19a、19bが長軸方向に連続して形成されることで、図2、3、5に示すように、チューブ状部材11a、11b(弧状部分15a、15b)の長軸方向に沿って長く連続した切り欠き部分を有する壁部が形成される。本実施形態では、長軸方向に平行する直線状に連続した切り欠き部分が形成されているが、これに限定されず、後述する中心角度を長軸方向に沿って連続して変化させたり、円弧の周方向の位置を長軸方向に沿って連続して変化させたりすることで、切り欠き部分の形状を適宜変更することができる。また、本実施形態では、切り欠き部分が形成されているが、切り込み部分が形成されるように円弧の壁部を形成しても良い。尚、切り込み部分が形成される場合は、後述するように、長軸方向に対する直交方向の断面における円弧の壁部の両端部が分離可能に接している状態にある。
また、本実施形態では、円弧の壁部19a、19bは、弧状部分11a、11b(チューブ状部材11a、11b)の長軸方向全長に亘り形成されているが、本発明ではこれに限定されず、弧状部分の任意の位置に略弧状の壁部を形成することができる。但し、涙道チューブのチューブ状部材を棒状操作具に先行させて涙道内に挿入し、閉塞部位を開通させるためにチューブ状部材を棒状操作具に沿って摺動させる場合は、摺動部分の全長に亘り略弧状の壁部を形成するのが好ましい。これにより、チューブ状部材全体を棒状操作具に沿って相対移動させること及びチューブ状部材の中央部材側の端部を把持することがより容易になり、弧状部分での押込み力を筒状部分の末端にまでより効率よく伝えること及び術者の操作性をより向上させることが可能になる。
また、本実施形態では、筒状部分14aの長軸方向の中心軸21aが、弧状部分15aの長軸方向の中心軸22aと同軸上に存在し、中心軸21aと筒状部分14aとの最短距離が、中心軸22aと弧状部分15aとの最短距離と同一である(図5(a))が、本発明では、これに限定されず、中心軸は同軸上に存在しなくてもよいし、最短距離も同一でなくてもよい。但し、チューブ状部材全体を棒状操作具に沿ってより容易に相対移動させ、弧状部分での押込み力を筒状部分の末端にまでより効率よく伝える観点から、筒状部分の長軸方向の中心軸と弧状部分の長軸方向の中心軸が同軸上に存在し、各中心軸と筒状部分及び弧状部分との最短距離が同一であるのが好ましい。尚、図示しないが、本実施形態では、筒状部分14bの中心軸と弧状部分15bの中心軸についても筒状部分14a及び弧状部分15aと同様である。
尚、本発明において、筒状部分及び弧状部分の長軸方向の中心軸は、チューブ状部材に棒状操作具を装着した時の棒状操作具の長軸方向の中心軸に対応する軸と概ね一致する。
本実施形態では、略弧状の壁部として、円弧の壁部19a、19bを採用しているが、本発明では、これに限られず、略弧状の壁部であればよい。
本発明で用いるチューブ状部材の弧状部分が有する「略弧状の壁部」において、「略弧状」とは、曲線、直線又は折れ線若しくはそれらの組合せが、全体として概ね弓なりに曲がっている状態を意味する。「弓なりに曲がっている状態」の曲がりの程度としては、直線状に近いものから両末端が分離可能に接するまで曲がっているものまで含むものとする。「概ね弓なりに曲がっている状態」の具体例としては、例えば、全体として、円弧状、馬蹄形状、U字状、コの字形状、V字状、多角形状に折れ曲がっている状態等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。「壁部」とは、チューブ状部材を構成する部材の断面において、筒状部分に挿通させた棒状操作具と接する部分と接しない部分とで囲まれた閉じた部分全体を意味する。壁部のうち、棒状操作具に近い壁面側と、遠い壁面側とは、壁部全体として略弧状となるかぎり、異なる形状をしていても良い。
本実施形態では、円弧状の壁部19a、19bは、チューブ状部材11a、11bの長軸方向に対する直交方向の断面における中心点20aを基準とする中心角度αaが270度の場合を示しているが、本発明ではこれに限られず、略弧状の壁部を形成可能な長さを確保可能であれば、適宜設定することができる。但し、棒状操作具に沿って涙道内へチューブ状部材を挿入する際に弧状部分での押込み力を筒状部分の末端にまでより効率よく伝えること及び術者の操作性をより向上させる観点からは、中心角度は180度以上が好ましい。
尚、本発明の略弧状の壁部において、弧状部分の長軸方向に対する直交方向の断面における中心点は、先述した弧状部分の長軸方向中心軸上に存在する。また、この中心点を基準とする中心角度は、中心点と略弧状の壁部の2つの端部とをそれぞれ結ぶ2つの直線により挟まれる角度である(例えば、図5(b)の符号αa参照。)。
中心角度は、弧状部分の長軸方向に対する直交方向の断面が円弧である場合は、円弧の両端部間の距離(弦の長さ)と内外径から算出することが可能である。また、円弧でない場合は、筒状部分に挿入可能な最大幅を有する棒状操作具の中心軸上の中心点の位置と略弧状の壁部の両端部の位置を、弧状部分の長軸方向に対する直交方向の断面で特定することで測定することが可能である。
また、本発明では、略弧状の壁部は、チューブ状部材の長軸方向に対する直交方向の断面における中心点を基準とする中心角度は、チューブ状部材の長軸方向において任意に設定することができる。図2〜5に示す実施形態では、長軸方向において同一の中心角度に設定されているが、チューブ状部材の長軸方向において棒状操作具用開口部側で中心角度が小さい部分を有するように略弧状の壁部を構成してもよい。例えば、(ア)弧状部分の中央部材側から棒状操作具用開口部側に向かうに従い漸次中心角度が小さくなる(切り欠き部分の幅が漸次大きくなる)ようにしたもの、(イ)弧状部分の中央部材側から棒状操作具用開口部側に向かうに従い漸次中心角度が小さくなる(切り欠き部分の幅が漸次大きくなる)ようにし、さらに棒状操作具用開口部側に向かうに従い漸次中心角度が大きくなる(切り欠き部分の幅が漸次小さくなる)ようにしたもの、(ウ)弧状部分の中央部材側から棒状操作具用開口部側に向かって中心角度が同一である部分と上記(ア)と(イ)の構成を適宜組み合わせたものなどが挙げられるがこれらに限定されない。
また、弧状部分の中央部材側の中心角度としては、特に限定はないが、270度以上が好ましく、300度以上がより好ましく、350度以上が更に好ましい。これにより、筒状部分の棒状操作具用開口部付近では、切り欠きが大きく、棒状操作具の挿入性が向上するとともに、中央部材側では棒状操作具を覆う部分が大きくなり術者が把持し易く操作性が向上する。
本発明では、弧状部分の中央部材側の端部の形状は特に限定はないが、図2〜5の実施形態に示すように、端部の末端23a、23bが弧状部分15a、15b(チューブ状部材11a、11b)の長軸方向に対して直交する構造を有するのが好ましく、例えば、図5(a)に示すように、弧状部分15aの中心軸22aと端部23aを含む平面とのなす角度βaが直角であるのが好ましい。これにより、棒状操作具をクランプ等で挟み、チューブ状部材に対して所望の位置に棒状操作具を配置する際に、クランプの端面と弧状部分15a、15bの端部23a、23bとが当接して、位置決めを確実に行うことができる。
本発明では、略弧状の壁部の両端部(例えば図2の符号24a、24b、図5(b)の符号24aで示される部分)の形状は特に限定はないが、丸め処理が施されているのが好ましい(例えば、後述する図6(b)、(c)参照)。これにより、涙道内に挿入する際に、両端部が接して涙道内壁を損傷することを防止することが容易になる。
本発明では、チューブ状部材を構成する材料は特に限定はなく、単一の材料を用いても良いし、異なる2種以上の複数の材料を用いても良い。また、異なる2種以上の複数の材料を用いる場合は、ショア硬度が異なる複数の材料から構成されるのが好ましい。また、ショア硬度が異なる複数の材料は、チューブ状部材の長軸方向、長軸方向に直交する断面方向(肉厚方向)、周方向のうち少なくとも1つの方向にショア硬度を変化させるようにして配置ことができる。また、ショア硬度の異なる材料としては、単一の材料又は複数の材料の混合物を用いることができる。
本発明でいうショア硬度とは、ASTM2240による方法で測定される硬度をいう。同様に、本発明の涙道チューブにおける硬さは、ショア硬度で高低を判別している。
チューブ状部材が肉厚方向にショア硬度が異なる材料を積層させた構造を有する場合は、棒状操作具を装着した場合に、棒状操作具と摺動する部分(即ち、棒状操作具に最も近い部分)を構成する材料のショア硬度を最も高くすることが好ましい。これにより、棒状操作具とチューブ状部材との摺動性が向上する。このようなショア硬度としては、57D以上が好ましい。また、病変部通過性、涙道内操作性、内視鏡操作性をいずれも良好にできる観点から、70D以上であることが好ましい。
チューブ状部材を構成する材料としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等のポリウレタン系樹脂、イソブチレン系共重合体、およびこれらのアロイなどを含む樹脂組成物が挙げられるが、これらに限定されない。
このうち、チューブ状部材が肉厚方向にショア硬度が異なる材料を積層させた積層構造を有する場合、棒状操作具と摺動する部分を構成する材料として、オレフィン系樹脂を用いるのが好ましく、ポリエチレンが更に好ましく、高密度ポリエチレンが特に好ましい。これにより、棒状操作具とチューブ状部材との摺動性や、可撓性と剛性のバランスや、他の材料との積層加工の容易性の点で有利である。
本発明では、積層構造において、内側の層を構成する材料が外側の層を構成する材料よりも高硬度(例えば、材料のショア硬度57D以上)となる層の組が、少なくとも1つ存在することが好ましい。これにより、涙道内視鏡等の棒状操作具を筒状部分に装着して使用する場合に、チューブ状部材の末端部分を細径化、高硬度化可能として病変部通過性を高めることができ、Pushabilityを向上させ、棒状操作具との摩擦も低減させた操作性のより良好な涙道チューブとすることができる。
特に、上記の積層構造において、棒状操作具と摺動する部分(最も内側の層を構成する部分)の構成材料が、他の層の構成材料よりも高硬度であることで、病変部通過性をより高めながら、棒状操作具との摩擦も低減することができる。
また、本発明では、積層構造において、チューブ状部材の最も外側を構成する樹脂部分がポリアミドエラストマー、または、ポリウレタンとスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)との混合材料で構成されることで、柔軟性、加工性、生体適合性に優れた材料でチューブ状部材の外層を構成することができるという利点がある。
前記ポリウレタンとSIBSからなる樹脂の場合、前記ポリウレタンとSIBSとの割合を調整することで、樹脂部分の硬さを調整でき、例えば、ポリウレタンの割合を大きく設定するほど、樹脂部分の硬度を大きくすることができる。なお、柔軟性などの観点から考えると、ポリウレタンとSIBSとの割合は、重量比率で1/99〜99/1であることが好ましい。また、前記ポリウレタン及びSIBSのみからなるものでもよいが、他の樹脂成分を混合してもよい。
前記ポリウレタンとしては、熱可塑性ポリウレタン系樹脂として、エーテル系芳香環式ポリウレタンである日本ミラクトラン社製の「ミラクトランE385PNAT」、ノヴェオン社製「テコタンTT1074A」または、エーテル系脂環式ポリウレタンであるノヴェオン社製の「テコフレックスEG100A」、「テコフレックスEG85A」、または、ポリカーボネート系ポリウレタンであるノヴェオン社製「カルボタンPC3575A」などが好ましい。
また、前記SIBSとしては、カネカ社製の「SIBSTAR102T」がより好ましい。
また、チューブ状部材が積層構造を有する場合、棒状操作具と摺動する部分を構成する層の厚さが最も大きくすることができる。これにより、チューブ状部材の剛性が必要な場合に有利である。この場合、当該層の厚さは、層の数にもよるが、層全体の厚さの40〜80%が好ましく、65〜75%がより好ましい。
また、上記のように、チューブ状部材を構成する材料として2種以上の材料を用いる場合は、複数の材料は、チューブ状部材の長軸方向、肉厚方向、周方向のうち少なくとも1つの方向にショア硬度を変化させるようにして配置することができる。
また、チューブ状部材が層構造を有する場合、筒状部分の棒状操作具と摺動する部分を構成する層には、チューブ状部材を曲げ易くするために切り込みが設けられていてもよく、特に螺旋状の切り込みを設けることで、筒状部分の棒状操作具と摺動する部分を構成する層の硬度を高くして涙道内視鏡の操作性と、チューブ状部材自体の柔軟性とをバランスよく向上させることができる。
さらにチューブ状部材の剛性が必要な場合は、弧状部分の中央部材近傍部から前記状部分と前記筒状部分との連続部分に亘り補強部材を配置してもよい。補強部材の構造は特に限定はなく、例えば、長軸方向に延びる単数又は複数の線状体等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない(一例として、後述する図8参照。)。
補強部材を構成する材料としては、補強可能な材料であれば特に限定はなく、例えば、チタン−ニッケル合金等の形状記憶合金、ステンレス鋼等の金属材料が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、涙道チューブの涙道への挿入性を高めるために、チューブ状部材の外側に親水性のコーティングを設けてもよい。当該コーティングにより、血液と接触した際に潤滑性が発現し、挿入時の抵抗が低減される。親水性のコーティングの種類は特に限定されず、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の親水性ポリマー、またはこれらのブレンド等が好適に使用される。
本発明のチューブ状部材は、その構造、使用材料に応じて、各種の方法で作製することが可能である。例えば、筒状部分と弧状部分とをそれぞれ別々に作製した後、両者を溶着や接着等の従来公知の方法で接合しても良いし、筒状の部材を押出成形により成形した後、略弧状の壁部を形成するように、筒状の部材の一部の壁部に切り欠きや切り込みを形成して、筒状部分と弧状部分を形成しても良いし、所望の筒状部分と弧状部分を形成可能な金型を用いて射出成形や圧縮成形等により成形しても良いし、その他の方法で作製してもよい。
中央部材12は、一対のチューブ状部材の一方の端同士を連結する部材である。中央部材の構造は特に限定は無く、例えば、筒状体、中実のロッド(柱状体)等が挙げられる。また、中央部材の太さは、チューブ状部材の太さ(長軸方向に対する直交方向の断面における最大幅)より細い方が好ましい。これにより、留置後の涙道チューブの留置安定性が増し、患者の違和感を軽減することができる。また、中央部材を構成する材料は、チューブ状部材を構成する材料と同様の材料を用いることができる。
中央部材12と一対のチューブ状部材は、それぞれ別途作製して溶着や接着等の方法で接合することができる。また、筒状の部材の中央部を加熱延伸などにより縮径させることで、一対のチューブ状部材とその端同士を連結する中央部材とを備える涙道チューブが得られる。
以下では、図面をもとに他の実施形態について説明する。
図6は、本発明に係る涙道チューブの他の実施形態を模式的に示したものであり、弧状部分の略弧状の壁部が上記(イ)の構成を有し、略弧状の壁部の両端部に丸め処理が施されたものの例である。図2〜5に示す実施形態とは、チューブ状部材の層構造、略弧状の壁部の構成が異なる以外はほぼ同じ構造を有する。本実施形態では、チューブ状部材31a、31bは、筒状部分34a、34bと弧状部分35a、35bとを備え、一対のチューブ状部材31a、31bは中央部材12により連結されており、筒状部分34a、34bは末端開口部33a、33b、係合部38a、38bを有する。また、筒状部分の中心軸と弧状部分の中心軸(41b)は同一軸上に存在し、中心軸上に弧状の壁部の中心点(40b)が存在する。
図6(a)に示す実施形態に係る涙道チューブ30では、チューブ状部材31a、31bの略弧状の壁部は、円弧の壁部39a、39bであり、弧状部分35a、35bの中央部材12側の端部から棒状操作具用開口部(36a、36b)側に向かうに従い漸次緩やかに中心角度が小さくなる(切り欠き部分の幅が漸次緩やかに大きくなる)ようにし(概ね全長の8/10の長さの位置まで中心角度αbを355度から350度にした)、更に棒状操作具用開口部(33a、33b)側に向かうに従い中心角度の減少率をより大きくし(概ね全長の8/10の長さの位置から8.5/10の長さの位置まで中心角度αbを350度から180度にした)、そして更に棒状操作具用開口部(33a、33b)側に向かうに従い中心角度が漸次大きくなる(切り欠き部分の幅が漸次小さくなる)ようにした(概ね全長の8.5/10の長さの位置から9/10の長さの位置まで中心角度αbを180度から360度にした)。即ち、図6に示す実施形態では、弧状部分35a、35bには、円弧の壁部19a、19bにより、細長い直線状の切り欠き部と略円状又は略楕円状の切り欠き部が形成されている。
また、図6(b)、(c)に示すように円弧の壁部39bの両方の端部44bには丸め処理が施され、R形状になっている。図示しないが、チューブ状部材31aの円弧の壁部39aも同様の構造を有している。また、本実施形態では、チューブ状部材31bは3層の多層構造を有する。上記のように、棒状操作具と摺動する部分(棒状操作具に近接する部分。内層45bとする。)に、3層のうちで最もショア硬度が高い材料が用いられた層が形成される。内層45bの外側には中間層46bが設けられ、その外側に外層47bが設けられており、内層45bの厚さが最大になっている。図示しないが、チューブ状部材31aも同様の多層構造を有する。
図7は、本発明に係る涙道チューブの他の実施形態を模式的に示したものであり、チューブ状部材が多層構造を有し、弧状部分の略弧状の壁部が上記(ウ)の構成を有し、略弧状の壁部の両端部に丸め処理が施されたものの例である。図2〜5に示す実施形態とは、チューブ状部材の層構造、略弧状の壁部の構成が異なる以外はほぼ同じ構造を有する。本実施形態では、チューブ状部材51a、51bは、筒状部分54a、54bと弧状部分55a、55bとを備え、一対のチューブ状部材51a、51bは中央部材12により連結されており、筒状部分54a、54bは末端開口部53a、53b、係合部58a、58bを有する。また、筒状部分の中心軸と弧状部分の中心軸(61b)は同一軸上に存在し、中心軸上に弧状の壁部の中心点(60b)が存在する。
図7(a)に示す実施形態に係る涙道チューブ50では、チューブ状部材51a、51bの略弧状の壁部は、円弧の壁部59a、59bであり、弧状部分55a、55bの中央部材12側の端部から棒状操作具用開口部(56a、56b)側に向かって同一の中心角度(切り欠き部分の幅が同一)になるようにし(概ね全長の2/3の長さの位置まで中心角度αbを180度にした)、更に棒状操作具用開口部(56a、56b)側に向かうに従い中心角度が漸次大きくなる(切り欠き部分の幅が漸次小さくなる)ようにした(中心角度αbを180度から360度にした)。即ち、図7に示す実施形態では、弧状部分55a、55bには、円弧の壁部59a、59bにより、同一幅の細長い直線状の切り欠き部と略半円弧又は略半楕円状の切り欠き部が形成されている。
また、図7(b)に示すように円弧の壁部59bの両方の端部64bには丸め処理が施され、R形状になっている。図示しないが、チューブ状部材51aの円弧の壁部59aも同様の構造を有している。また、本実施形態では、チューブ状部材51bは3層の多層構造を有する。上記のように、棒状操作具と摺動する部分(棒状操作具に近接する部分。内層65bとする。)に、3層のうちで最もショア硬度が高い材料が用いられた層が形成される。内層65bの外側には中間層66bが設けられ、その外側に外層67bが設けられており、内層65bの厚さが最大になっている。図示しないが、チューブ状部材51aも同様の多層構造を有する。
図8は、本発明に係る涙道チューブの他の実施形態を模式的に示したものであり、チューブ状部材が多層構造を有し、弧状部分の略弧状の壁部が上記(ウ)の構成を有し、略弧状の壁部の両端部に丸め処理が施されたものの例である。図2〜5に示す実施形態とは、チューブ状部材の層構造、略弧状の壁部の構成が異なる以外はほぼ同じ構造を有する。本実施形態では、チューブ状部材71a、71bは、筒状部分74a、74bと弧状部分75a、75bとを備え、一対のチューブ状部材71a、71bは中央部材12により連結されており、筒状部分74a、74bは末端開口部73a、73b、係合部78a、78bを有する。また、筒状部分の中心軸と弧状部分の中心軸(81b)は同一軸上に存在し、中心軸上に弧状の壁部の中心点(80b)が存在する。
図8(a)に示す実施形態に係る涙道チューブ70では、チューブ状部材71a、71bの略弧状の壁部は、円弧の壁部79a、79bであり、弧状部分75a、75bの中央部材12側の端部から棒状操作具用開口部(76a、76b)側に向かって同一の中心角度(切り欠き部分の幅が同一)になるようにし(概ね全長の5/9の長さの位置まで中心角度αbを270度にした)、更に棒状操作具用開口部(76a、76b)側に向かうに従い中心角度が漸次大きくなる(切り欠き部分の幅が漸次小さくなる)ようにした(中心角度αbを270度から360度にした)。即ち、図8に示す実施形態では、弧状部分75a、75bには、円弧の壁部79a、79bにより、同一幅の細長い直線状の切り欠き部と略半円弧又は略半楕円状の切り欠き部が形成されている。
また、図8(b)に示すように円弧の壁部79bの両方の端部84bには丸め処理が施され、R形状になっている。図示しないが、チューブ状部材71aの円弧の壁部79aも同様の構造を有している。また、本実施形態では、チューブ状部材71bは3層の多層構造を有するとともに、補強部材89a、89bが棒状操作具と摺動する部分(棒状操作具に近接する部分。内層90bとする。)の内部に設けられている。上記のように、内層90bに、3層のうちで最もショア硬度が高い材料が用いられた層が形成される。内層90bの外側には中間層87bが設けられ、その外側に外層88bが設けられており、内層90bの厚さが最大になっている。内層90bは、棒状操作具に近接する側の部分85bと中間層に近接する側の部分86bとが一体化され一つの層を形成している。また、補強部材89bは符号85bで示される部分と符号86bで示される部分との間に配置される。
このような内層90bの構成は、符号85bと86bで示される部分を同一の材質として補強部材89bを内層90bの内部に設ける場合に好適である。もっとも、符号85bと86bで示される部分に異なる材質を用いて符号85bで示す部分と符号86bで示す部分を二つの層とし、4層構造としてもよい。この場合、符号85bで示す部分のショア硬度は4層のうちで最も高く、厚みも最も大きくするのが好ましい。尚、図示しないが、チューブ状部材71aも同様の多層構造を有する。
本発明で用いる棒状操作具としては特に限定はなく、例えば、操作棒(ブジー)、涙道内視鏡等が挙げられる。
以下に、本発明に係る涙道チューブの使用方法を簡単に説明する。
図4に示すように、図2、3に示す涙道チューブ10に棒状操作具9a、9bを装着する。次に、例えば、チューブ状部材11aを棒状操作具9aとともに、下涙点2から下涙小管4、総涙小管5、涙嚢6、鼻涙管7に挿入し、鼻涙管7内の閉塞部位100を開通する(図1、9参照)。この時、必要に応じて、棒状操作具9aに対してチューブ状部材11aを摺動させて、チューブ状部材11a(筒状部分14a)の先端で閉塞部位100を穿通させることができる。棒状操作具9aはブジーでも涙道内視鏡でもよい。
次に図9に示すように、一方のチューブ状部材11aを涙道内に挿入した状態で、もう一方のチューブ状部材11bを棒状操作具9bとともに、上涙点1から下涙小管3に挿入する。この時、チューブ状部材11bの弧状部分15bは、円弧の壁部15bを有するため、当該部分は棒状操作具9bに追随することなく自由に曲げることが可能なため(図9参照)、留置後涙道チューブの切断が不要な程度に涙道チューブの全長が短くても、チューブ状部材11bの末端を上涙点1に配置することができる。そして、上涙点1から下涙小管3にチューブ状部材11bを挿入した後は、円弧の壁部15bを棒状操作具9bに添わせて、棒状操作具9bとともに閉塞部位100まで挿入することができる。また、もう一方のチューブ状部材11aの場合と同様に、必要に応じて棒状操作具9bに対してチューブ状部材11bを摺動させて、チューブ状部材11b(筒状部分14b)の先端で閉塞部位100を穿通させることができる。
また、図10に示すように、棒状操作具9bが挿入されている筒状部分14bと棒状操作具9bを合わせた幅は、涙道チューブ10の筒状部分14bの幅h1と同じになる(図10(b))。一方、筒状部分14bの棒状操作具用開口部16bより中央部材12側では、従来の涙道チューブと異なり(図11参照)、棒状操作具9bと涙道チューブ10の弧状部分15bとを重ねた時に、弧状部分15bの円弧の壁部19bが棒状操作具9bの側壁に沿うように配置される(弧状部分15bの内側に棒状操作具9bが挿入される)ため、棒状操作具9bと弧状部分15bとを重ねた幅は、図10に示す例では、棒状操作具9bと円弧の壁部の厚みの和h2となり(図10(c)参照)、幅h2は幅h1より小さくなる。そのため、従来の涙道チューブと異なり、棒状操作具用開口部16bを超えて涙道チューブ10を涙道内に挿入することが容易であり、患者の負担が軽減される。また、棒状操作具用開口部16bの中央部材12側には、従来のような開口部の中央部材側の縁(図11の符号104参照)が存在しないため、棒状操作具9bの長軸方向の移動が妨げられることがなく、棒状操作具9bの操作が容易である。
(実施例1)
内層を断面肉厚0.150mm、ショア硬度72Dの高密度ポリエチレン(HB530、日本ポリエチレン社)、中間層を断面肉厚0.010mm、ショア硬度50Dの低密度ポリエチレン(PX3080、EQUISTAR社)、外層を断面肉厚0.070mm、ショア硬度30Dのポリウレタン(テコフレックスEG85A、ノベオン社)とSIBS(SIBSTAR102T、カネカ社)との混合物(ショア硬度30D)として、外径1.42mm、内径0.96mmの3層チューブを押出成形機を用いて多層押出法により成型した。
ショア硬度30Dのポリウレタン(テコフレックスEG85A、ノベオン社)とSIBS(SIBSTAR102T、カネカ社)との混合物を押出成型機を用いて、外径0.70mmの円柱状部材を成型し、全長25mmの中央部材を作製した。
全長44mmの3層チューブの先端から11mmの箇所からチューブ側面をチューブの長軸方向に対する直交方向の断面の中心角度が270度になるように切除して切り欠き部を設け、筒状部分と弧状部分を形成した。この切り欠き部分が円弧の壁部を有する弧状部分である。円弧の壁部の両端部に形成された角を、長軸方向全体に亘り、金ゴテを用いて丸め処理を行ってチューブ状部材とした。
このように作製した一対のチューブ状部材の切り欠き部分側の端部の間に中央部材を配置し、チューブ状部材の外層部分と中央部材の端部を溶着した。その後、チューブ状部材の末端側の内径を0.86mmに減径して係止部を形成し、概ね図3に示すような涙道チューブを製造した。
(実施例2)
実施例1と同様にして、3層チューブを押出成形機を用いて多層押出法により成型した。
実施例1と同様にして、全長25mmの中央部材を作製した。
全長45mmの3層チューブの先端から30mmの箇所からチューブ側面をチューブの長軸方向に対する直交方向の断面の中心角度が180度になるように切除し、切り欠き部を設け、実施例1と同様にして円弧の壁部の両端部に形成された角の丸め処理を行って、チューブ状部材とした。
このように作製した一対のチューブ状部材の切り欠き部分側の端部の間に中央部材を配置し、チューブ状部材の外層部分と中央部材の端部を溶着した。その後、チューブ状部材の末端側の内径を0.86mmに減径して係止部を形成し、概ね図7に示すような涙道チューブを製造した。
(実施例3)
実施例1と同様にして、3層チューブを押出成形機を用いて多層押出法により成型した。
実施例1と同様にして、全長25mmの中央部材を作製した。
全長45mmの3層チューブの先端から4.5mmの箇所からチューブ側面を直径約0.8mmの円状に、続いてチューブの長軸方向に対する直交方向の断面の中心角度が350度になるように切除し切り欠き部を設け、実施例1と同様にして円弧の壁部の両端部に形成された角の丸め処理を行ってチューブ状部材とした。
このように作製した一対のチューブ状部材の切り欠き部分側の端部の間に中央部材を配置し、チューブ状部材の外層部分と中央部材の端部を溶着した。その後、チューブ状部材の末端側の内径を0.86mmに減径して係止部を形成し、概ね図6(但し切り欠き部分の形状を除く)に示すような涙道チューブを製造した。
(実施例4)
実施例1と同様にして、3層チューブを押出成形機を用いて多層押出法により成型した。
外径1.05mm、内径0.95mmのショア硬度72Dの高密度ポリエチレン(HB530、日本ポリエチレン社)製チューブを押出成形機を用いて成型した。
実施例1と同様にして、全長25mmの中央部材を作製した。
全長約60mmの上記高密度ポリエチレン製チューブの内部に、テフロンコーティングされたステンレス製のマンドレル(外径0.94mm)を通す。その後、このマンドレルを通した状態の高密度ポリエチレン製チューブの中央付近の外壁に、断面高さ0.10mm、幅0.35mm、長さ35mmのステンレス製補強部材を沿わせ(なお、全長60mm高密度ポリエチレン製チューブの中心付近と、全長35mmステンレス製補強部材の中心付近とを、例えば一致させるようにして、高密度ポリエチレン製チューブの両端からステンレス製補強部材がはみ出ないようにする)、その上から上記3層チューブを拡張しながら被せた後、外側をシュリンクチューブで押さえながら熱溶着する。そして、マンドレルを抜去すると、高密度ポリエチレン製チューブと3層チューブの内層の高密度ポリエチレンとが一体化された高密度ポリエチレンの内層と、低密度ポリエチレンの中間層と、ポリウレタンとSIBSの混合物の外層との3層で構成され、内層の厚みが最大で内層の内部にステンレス製の補強部材が配置されたチューブを作製した。
このチューブの片端を、ステンレス製補強材から先の片端に向かって5mmの位置で切断し、その切断端を先端とし、さらに、この先端から45mmの位置で他端を切断した。
そして、先端20mmの箇所からチューブ側面をチューブの長軸方向に対する直交方向の断面の中心角度が270度になるように切除し切り欠き部を設け、実施例1と同様にして円弧の壁部の両端部に形成された角の丸め処理を行ってチューブ状部材とした。
このように作製した一対のチューブ状部材の切り欠き部分側の端部の間に中央部材を配置し、チューブ状部材の外層部分と中央部材の端部を溶着した。その後、チューブ状部材の末端側の内径を0.86mmに減径して係止部を形成し、概ね図8に示すような涙道チューブを製造した。
(実施例5)
実施例1と同様にして、3層チューブを押出成形機を用いて多層押出法により成型した。
実施例4と同様にして高密度ポリエチレン(HB530、日本ポリエチレン社)製チューブを押出成形機を用いて成型した。
実施例1と同様にして、全長25mmの中央部材を作製した。
断面高さ0.10mm、幅0.35mm、長さ35mmのチタン−ニッケル合金である形状記憶合金製補強部材を用いた以外は実施例4と同様にして、内部に形状記憶合金製の補強部材を配置されたチューブを作製した。
このチューブを用いた以外は、実施例4と同様にして、概ね図8に示すような涙道チューブを製造した。
1 上涙点
2 下涙点
3 上涙小管
4 下涙小管
5 総涙小管
6 涙嚢
7 鼻涙管
8 下鼻道
9a、9b 棒状操作具
10 涙道チューブ
11a、11b チューブ状部材
12 中央部材
13a、13b 末端開口部
14a、14b 筒状部分
15a、15b 弧状部分
16a、16b 棒状操作具用開口部
17a、17b 内腔部
18a、18b 係合部
19a、19b 円弧の壁部
20a 中心点
21a 筒状部分の長軸方向の中心軸
22a 弧状部分の長軸方向の中心軸
23a、23b 末端
24a、24b 略弧状の壁部の端部

Claims (14)

  1. 棒状操作具に沿って摺動可能で、一方端に末端開口部を有する一対のチューブ状部材と、該チューブ状部材の他方端同士を連結する中央部材とを備える涙道チューブであって、
    前記チューブ状部材の少なくとも一方は、前記末端開口部から中央部材側に延び、中央部材側の端部に棒状操作具用開口部を有する筒状部分と、該筒状部分の中央部材側の端部
    から更に中央部材側に延び、チューブ状部材の長軸方向に対する直交方向の断面において略弧状の壁部を有する弧状部分とを備え、
    前記の略弧状の壁部が、前記チューブ状部材の全長の1/3以上9/10以下の長さに亘り連続して前記弧状部分に形成されている涙道チューブ。
  2. 前記の略弧状の壁部が、弧状部分の長軸方向全長に亘り形成されている請求項1記載の涙道チューブ。
  3. 前記筒状部分の長軸方向の中心軸と前記弧状部分の長軸方向の中心軸が同軸上に存在し、各中心軸と筒状部分及び弧状部分との最短距離が同一である請求項1又は2記載の涙道チューブ。
  4. 前記の略弧状の壁部が、弧状部分の長軸方向に対する直交方向の断面における中心点を基準とする中心角度が180度以上になるように連続している請求項1〜3の何れかに記載の涙道チューブ。
  5. 前記の略弧状の壁部は、弧状部分の長軸方向に対する直交方向の断面における中心点を基準とする中心角度が、弧状部分の長軸方向において前記棒状操作具用開口部側で小さい部分を有する請求項1〜4の何れかに記載の涙道チューブ。
  6. 前記筒状部分が円筒であり、前記略弧状の壁部が円弧の壁部である請求項1〜5の何れかに記載の涙道チューブ。
  7. 前記棒状操作具用開口部が、前記末端開口部からチューブ状部材の全長に対して2/3以下となる位置に形成された請求項1〜6の何れかに記載の涙道チューブ。
  8. 前記の略弧状の壁部は、チューブ状部材の長軸方向に対する直交方向の断面における両端部において、丸め処理が施されている請求項1〜7の何れかに記載の涙道チューブ。
  9. 前記弧状部分の中央部材側の末端が、弧状部分の長軸方向に対して直交する端部を有する請求項1〜8の何れかに記載の涙道チューブ。
  10. 前記チューブ状部材が、ショア硬度が異なる複数の材料から構成され、棒状操作具と摺動する部分を構成する材料のショア硬度が最も高い請求項1〜9の何れかに記載の涙道チューブ。
  11. 棒状操作具と摺動する部分を構成する材料が、オレフィン系樹脂である請求項10記載の涙道チューブ。
  12. 前記チューブ状部材が多層構造を有し、該多層構造のうち棒状操作具と摺動する部分を構成する層の厚さが最も大きい請求項10又は11記載の涙道チューブ。
  13. 前記弧状部分の中央部材近傍部から前記状部分と前記筒状部分との連続部分に亘り補強部材が配置された請求項1〜12の何れかに記載の涙道チューブ。
  14. 前記補強部材が、ステンレス鋼又は形状記憶合金である請求項13記載の涙道チューブ。
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