しかしながら、前述した車両用シート構造において、車体側部に入力された側突荷重を、車両用シートを介して荷重受け部へより効率的に伝達するためには、改善の余地がある。
本発明は、上記の事実を考慮し、車体側部に入力された側突荷重を、車両用シートを介して荷重受け部により効率的に伝達することができる車両用シート構造を得ることを目的とする。
請求項1に記載の車両用シート構造は、車両フロア上に設置されるシートクッションと、車両幅方向に延びるリクライニングロッドを中心として前記シートクッションに傾倒可能に支持されるシートバックと、を有し、車両側部の車両幅方向内側に配置される車両用シートと、前記車両フロアに設けられ、前記リクライニングロッドの車両幅方向内側に配置される荷重受け部と、前記リクライニングロッドに沿って車両幅方向に延びると共に断面形状が開断面または閉断面を成し、内部に前記リクライニングロッドが配置されるロッド補強部材と、を備える。
請求項1に係る車両用シート構造によれば、車両側部の車両幅方向内側には、車両用シートが配置される。車両用シートは、車両フロア上に設置されるシートクッションと、車両幅方向に延びるリクライニングロッドを中心としてシートクッションに傾倒可能に支持されるシートバックとを有する。このリクライニングロッドの車両幅方向内側には、荷重受け部が配置される。
これにより、側突に伴って車両側部に側突荷重が入力されると、側突荷重がリクライニングロッドを介して荷重受け部に伝達される。したがって、側突に伴う車両側部の変形量が低減される。
また、リクライニングロッドを荷重伝達部材として使用することにより、部品点数の増加を抑制しつつ、側突に伴う車両側部の変形量を低減することができる。
ここで、側突時には、車両用シートの車両幅方向外側が車両幅方向内側に対して沈み込む場合がある。この場合、リクライニングロッドが回転し、車両幅方向に対して傾斜する。この状態で、リクライニングロッドに車両幅方向内側へ向かう側突荷重が入力されると、リクライニングロッドが変形し易くなる。そのため、リクライニングロッドを介して荷重受け部に伝達される側突荷重が減少する可能性がある。
これに対して本発明では、リクライニングロッドがロッド補強部材の内部に配置される。ロッド補強部材は、リクライニングロッドに沿って車両幅方向に延びると共に断面形状が閉断面または開断面とされる。このロッド補強部材及びリクライニングロッドによって側突荷重を受けることにより、リクライニングロッドの変形が抑制される。
したがって、側突に伴って車体側部に入力された側突荷重を、リクライニングロッドを介して荷重受け部により効率的に伝達することができる。
請求項2に記載の車両用シート構造は、請求項1に記載の車両用シート構造において、前記ロッド補強部材の内部には、前記リクライニングロッドに沿って車両幅方向に延びると共に、車両幅方向外側へ向かうに従って車両上下方向上側に傾斜する荷重伝達部材が設けられる。
請求項2に係る車両用シート構造によれば、ロッド補強部材の内部には、リクライニングロッドに沿って車両幅方向に延びる荷重伝達部材が設けられる。これにより、側突に伴って車両側部に側突荷重が入力されると、側突荷重がロッド補強部材を介して荷重受け部に伝達される。
また、荷重伝達部材は、車両幅方向外側へ向かうに従って車両上下方向上側に傾斜される。これにより、側突に伴って車両用シートの車両幅方向外側が車両幅方向内側に対して沈み込み、荷重伝達部材が回転すると、車両幅方向に対する荷重伝達部材の傾斜角度が小さくなる。この状態で、荷重伝達部材が車両幅方向内側へ向かう側突荷重を受けることにより、荷重伝達部材の変形が抑制される。
したがって、側突に伴って車体側部に入力された側突荷重を、荷重伝達部材を介して荷重受け部により効率的に伝達することができる。
請求項3に記載の車両用シート構造は、請求項2に記載の車両用シート構造において、前記荷重伝達部材は、前記リクライニングロッドの車両上下方向上側に設けられる。
請求項3に係る車両用シート構造によれば、荷重伝達部材は、前述したように車両幅方向外側へ向かうに従って車両上下方向上側に傾斜される。この荷重伝達部材は、リクライニングロッドの車両上下方向上側に設けられる。これにより、荷重伝達部材とリクライニングロッドとの間隔が、車両幅方向外側から車両幅方向内側へ向かうに従って狭くなる。
したがって、荷重伝達部材とリクライニングロッドとの間隔が車両幅方向内側から車両幅方向外側へ向かうに従って広くなる場合と比較して、側突荷重が荷重伝達部材及びリクライニングロッドを介して荷重受け部の所定部に集中して伝達される。よって、荷重受け部に対する補強範囲等が狭くなるため、コストを削減することができる。
請求項4に記載の車両用シート構造は、請求項2に記載の車両用シート構造において、前記荷重伝達部材は、前記リクライニングロッドの車両上下方向下側に設けられる。
請求項4に係る車両用シート構造によれば、荷重伝達部材は、前述したように車両幅方向外側へ向かうに従って車両上下方向上側に傾斜される。この荷重伝達部材は、リクライニングロッドの車両上下方向下側に設けられる。これにより、荷重伝達部材とリクライニングロッドとの間隔が、車両幅方向外側から車両幅方向内側へ向かうに従って広くなる。
したがって、荷重伝達部材とリクライニングロッドとの間隔が車両幅方向外側から車両幅方向内側へ向かうに従って狭くなる場合と比較して、側突荷重が荷重伝達部材及びリクライニングロッドを介して荷重受け部に分散して伝達される。よって、荷重受け部の変形等が抑制される。
請求項5に記載の車両用シート構造は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用シート構造において、前記シートバックは、前記車両用シートの車両幅方向両側に配置され、車両上下方向に延びる一対のサイドフレーム部と、前記リクライニングロッドの車両前後方向後側で前記一対のサイドフレーム部に掛け渡されるロアフレーム部と、を有し、前記ロッド補強部材は、断面形状が車両前後方向後側が開口したハット状を成し、前記ロアフレーム部の車両前後方向前側に結合されて該ロアフレーム部とで前記リクライニングロッドを囲む閉断面を形成する。
請求項5に係る車両用シート構造によれば、ロッド補強部材は、断面形状が車両前後方向後側が開口したハット状を成しており、シートバックのロアフレーム部に車両前後方向前側から結合されて当該ロアフレーム部と共に閉断面を形成する。この閉断面内にリクライニングロッドが配置される。これにより、側突に伴って車両側部に入力された側突荷重が、ロッド補強部材、ロアフレーム部、及びリクライニングロッドを介して荷重受け部に伝達される。
このようにロッド補強部材及びシートバックのロアフレーム部によって閉断面を形成することにより、側突に伴って車体側部に入力された側突荷重を荷重受け部により効率的に伝達することができる。
請求項6に記載の車両用シート構造は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車両用シート構造において、前記車両側部は、車両上下方向に延びるセンタピラーを有し、前記車両用シートは、車両幅方向に間隔を空けて配置され、前記車両フロアに前記シートクッションを取り付ける一対のシートブラケットを有し、前記シートバックは、前記センタピラーの車両幅方向内側に配置される。
請求項6に係る車両用シート構造によれば、センタピラーの車両幅方向内側にシートバックが配置される。したがって、側突に伴ってセンタピラーが車両幅方向内側へ変形すると、センタピラーによってシートバックが車両幅方向内側へ押圧される。この際、車両幅方向に間隔を空けて配置された一対のシートブラケットのうち、車両幅方向外側のシートブラケットが変形すると、車両用シートの車両幅方向外側が車両幅方向内側に対して沈み込む。この結果、リクライニングロッドが回転し、車両幅方向に対して傾斜される。
この状態で、リクライニングロッドに車両幅方向内側へ向かう側突荷重が入力されると、リクライニングロッドが変形し易くなり、リクライニングロッドを介して荷重受け部に伝達される側突荷重が減少する可能性がある。
これに対して本発明では、前述したようにリクライニングロッドがロッド補強部材の内部に配置される。このロッド補強部材及びリクライニングロッドによって側突荷重を受けることにより、リクライニングロッドの変形が抑制される。
したがって、側突に伴って車体側部に入力された側突荷重を、リクライニングロッドを介して荷重受け部により効率的に伝達することができる。
以上説明したように、本発明に係る車両用シート構造によれば、車体側部に入力された側突荷重を、車両用シートを介して荷重受け部により効率的に伝達することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る車両用シート構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印FRは、車両前後方向前側を示している。また、矢印UPは、車両上下方向上側を示している。さらに、矢印OUTは、車両幅方向外側(車体左側)を示している。
図1には、本実施形態に係る車両用シート構造10が適用された車両12が示されている。車両12の車両側部12Sには、乗員が乗り降りするための図示しない乗降口を開閉するフロントサイドドア14と、乗降口の車両前後方向後側の後縁部を形成するセンタピラー16とが設けられている。なお、図1には、フロントサイドドア14の外形が二点鎖線で示されている。
フロントサイドドア14は、乗降口の車両前後方向前側の前縁部を形成する図示しないフロントピラーに回動可能に支持されている。センタピラー16は、柱状に形成されると共に、車両上下方向から見た断面形状が閉断面を成している。このセンタピラー16は、乗降口の車両上下方向下側の下縁部を形成するロッカ18から立ち上げられており、乗降口の車両上下方向上側の上縁部を形成するルーフサイドレール20に接続されている。
ロッカ18及びルーフサイドレール20は、車両前後方向から見た断面形状が閉断面を成している。ロッカ18は、車両フロアを形成するフロアパネル22の車両幅方向の端部に沿って車両前後方向に延びている。ルーフサイドレール20は、ルーフパネル24の車両幅方向の端部に沿って車両前後方向に延びている。
車両用シート構造10は、車両用シート30と、荷重受け部としてのセンタコンソールボックス64と、ロッド補強部材70とを備えている。車両用シート30は、助手席とされており、車両12の車両側部12Sの車両幅方向内側に配置されている。この車両用シート30は、乗員が着座するシートクッション32と、シートクッション32に着座した乗員の背部を支持するシートバック40と、シートクッション32に着座した乗員の頭部を支持するヘッドレスト50とを備えている。
シートクッション32は、フロアパネル22上に設置されている。このシートクッション32は、シートクッションフレーム34と、シートクッションフレーム34に支持される図示しないクッション材と、クッション材を被覆する図示しないシート表皮とを有している。
シートクッションフレーム34は、車両上下方向から見て矩形枠状に形成されている。このシートクッションフレーム34は、一対のサイドフレーム部34Sと、リアフレーム部34Rと、図示しないフロントフレーム部とを有している。
一対のサイドフレーム部34Sは、シートクッション32の車両幅方向両側に、車両前後方向に沿って配置されている。この一対のサイドフレーム部34Sの車両前後方向の後部同士は、筒状に形成されたリアフレーム部34Rによって車両幅方向に接続されている。また、一対のサイドフレーム部34Sの車両前後方向の前部同士は、筒状に形成された図示しないフロントフレーム部によって車両幅方向に接続されている。
また、シートクッションフレーム34は、車両幅方向に間隔を空けて配置された一対のシートブラケット36を介してフロアパネル22に取り付けられている。一対のシートブラケット36は、一対のサイドフレーム部34Sから車両上下方向下側へそれぞれ延出している。一方、フロアパネル22の上面には、一対のスライドレール38が車両前後方向に沿って敷設されている。この一対のスライドレール38に、一対のシートブラケット36がそれぞれスライド可能に支持されている。
シートバック40は、シートバックフレーム42と、シートバックフレーム42に支持される図示しないクッション材と、クッション材を被覆する図示しないシート表皮とを有している。
シートバックフレーム42は、車両前後方向から見て、車両上下方向を長手方向とした矩形枠状に形成されている。このシートバックフレーム42は、一対のサイドフレーム部42Sと、アッパフレーム部42Uと、ロアフレーム部42Lとを有している。
一対のサイドフレーム部42Sは、シートバック40の車両幅方向両側に配置され、車両上下方向に延びている。この一対のサイドフレーム部42Sの車両上下方向の上部同士は、アッパフレーム部42Uによって車両幅方向に接続されている。また、一対のサイドフレーム部42Sの車両上下方向の下部同士は、ロアフレーム部42Lによって車両幅方向に接続されている。
シートバックフレーム42の枠内には、乗員の背部を支持するサポートパネル44が配置されている。サポートパネル44は、複数のバネ部材46を介してシートバックフレーム42に取り付けられている。
ヘッドレスト50は、ヘッドレストフレーム52と、ヘッドレストフレームに支持された図示しないクッション材と、クッション材を被覆する図示しないシート表皮とを有している。
ヘッドレストフレーム52は、車両前後方向から見て下方が開口したU字形状に形成されている。このヘッドレストフレーム52は、アッパフレーム部42Uに設けられた一対のヘッドレストブラケット54に車両上下方向にスライド可能に支持されている。
ここで、シートバックフレーム42は、シートクッションフレーム34の車両前後方向の後部にリクライニング機構60を介して傾倒可能に支持されている。リクライニング機構60は、車両幅方向に延びるリクライニングロッド62を有している。
リクライニングロッド62は、筒状に形成されている。また、リクライニングロッド62は、シートクッション32のリアフレーム部34Rの車両上下方向上側に配置されている。
さらに、リクライニングロッド62は、シートバック40のロアフレーム部42Lの車両前後方向前側において、一対のサイドフレーム部42Sに掛け渡されている。換言すると、ロアフレーム部42Lは、リクライニングロッド62の車両前後方向後側において、一対のサイドフレーム部42Sに掛け渡されている。このリクライニングロッド62を中心として、シートバックフレーム42がシートクッションフレーム34の後部に車両前後方向に傾倒(回動)可能に支持されている。
リクライニングロッド62の車両幅方向内側には、荷重受け部の一例としてのセンタコンソールボックス64が設けられている。センタコンソールボックス64は、フロアパネル22の車両幅方向の中央部に車両前後方向に沿って形成されたフロアトンネル部22T上に設けられている。フロアトンネル部22Tは、フロアパネル22の車両幅方向の中央部を車両上下方向上側へ凸状に隆起させることにより形成されている。
図2に示されるように、リクライニングロッド62は、ロッド補強部材70によって補強されている。ロッド補強部材70は、リクライニングロッド62に沿って車両幅方向に延びると共に、シートバック40の一対のサイドフレーム部42S間に亘って配置されている。
図3に示されるように、ロッド補強部材70は、シートバックフレーム42のロアフレーム部42Lの車両前後方向前側に配置されている。ロッド補強部材70は、車両幅方向から見た断面形状が開断面を成している。より具体的には、ロッド補強部材70は、車両幅方向から見た断面形状が、車両前後方向後側が開口したハット状を成している。このロッド補強部材70は、前壁部70A、上壁部70B、下壁部70C、上側フランジ部70D、及び下側フランジ部70Eを有している。
前壁部70Aは、ロアフレーム部42Lと車両前後方向に対向している。上壁部70Bは、前壁部70Aの上端部から車両前後方向後側へ延出している。一方、下壁部70Cは、前壁部70Aの下端部から車両前後方向後側へ延出している。この上壁部70Bと下壁部70Cとは、車両上下方向に互いに対向している。
上側フランジ部70Dは、上壁部70Bの後端部から車両上下方向上側へ延出しており、ロアフレーム部42Lの車両前後方向の前面42L1に重ねられている。また、下側フランジ部70Eは、下壁部70Cの後端部から車両上下方向下側へ延出しており、ロアフレーム部42Lの前面42L1に重ねられている。
上側フランジ部70D及び下側フランジ部70Eは、ボルト72及びナット74によってロアフレーム部42Lに結合されている。これにより、ロッド補強部材70及びロアフレーム部42Lによって、リクライニングロッド62を囲む閉断面が形成されている。
また、ロッド補強部材70の内部には、ロッド補強部材70に沿って車両幅方向に延びる荷重伝達部材の一例としての上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82が設けられている。上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82は、シートバック40の一対のサイドフレーム部42S間に亘って配置されている。
上側荷重伝達部材80は、リクライニングロッド62の車両上下方向上側に配置されている。一方、下側荷重伝達部材82は、リクライニングロッド62の車両上下方向下側に配置されている。この上側荷重伝達部材80と下側荷重伝達部材82とは、リクライニングロッド62を間に置いて車両上下方向に互いに対向している。
上側荷重伝達部材80は、車両幅方向から見た断面形状が、車両上下方向下側が開口したC字状(U字状)を成している。この上側荷重伝達部材80は、傾斜壁部80A、前側フランジ部80B、及び後側フランジ部80Cを有している。
傾斜壁部80Aは、リクライニングロッド62の車両上下方向上側に配置されている。前側フランジ部80Bは、傾斜壁部80Aの前端部から車両上下方向下側へ延出しており、ロッド補強部材70の前壁部70Aに重ねられた状態で溶接等により結合されている。一方、後側フランジ部80Cは、傾斜壁部80Aの後端部から車両上下方向下側へ延出しており、ロアフレーム部42Lに重ねられた状態で溶接等により結合されている。
下側荷重伝達部材82は、車両幅方向から見た断面形状が、車両上下方向上側が開口したC字状(U字状)を成している。この下側荷重伝達部材82は、傾斜壁部82A、前側フランジ部82B、及び後側フランジ部82Cを有している。
傾斜壁部82Aは、リクライニングロッド62の車両上下方向下側に配置されている。前側フランジ部82Bは、傾斜壁部82Aの前端部から車両上下方向上側へ延出しており、ロッド補強部材70の前壁部70Aに重ねられた状態で溶接等により結合されている。一方、後側フランジ部82Cは、傾斜壁部82Aの後端部から車両上下方向上側へ延出しており、ロアフレーム部42Lに重ねられた状態で溶接等により結合されている。そして、上側荷重伝達部材80、下側荷重伝達部材82、ロッド補強部材70、及びロアフレーム部42Lによって閉断面が形成されている。
なお、図3中の×印は、溶接部を示している。また、上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82は、溶接に限らず、ボルト及びナット等によってロッド補強部材70及びロアフレーム部42Lに結合されても良い。
ここで、図2に示されるように、上側荷重伝達部材80は、車両幅方向外側へ向かうに従って車両上下方向上側に位置するように傾斜されている。これにより、傾斜壁部80Aとリクライニングロッド62との間隔G1が、車両幅方向外側から車両幅方向内側へ向かうに従って狭くなっている。また、傾斜壁部80Aにおける車両幅方向内側の端部80A1は、車両幅方向内側のサイドフレーム部42Sとリクライニングロッド62との交差部K1に接している。
これと同様に、下側荷重伝達部材82は、車両幅方向外側へ向かうに従って車両上下方向上側に位置するように傾斜されている。これにより、傾斜壁部82Aとリクライニングロッド62との間隔G2が、車両幅方向外側から車両幅方向内側へ向かうに従って広くなっている。また、傾斜壁部82Aにおける車両幅方向外側の端部82A1は、車両幅方向外側のサイドフレーム部42Sとリクライニングロッド62との交差部K2に接している。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る車両用シート構造10によれば、車両側部12Sの車両幅方向内側には、車両用シート30が配置されている。車両用シート30は、フロアパネル22上に設置されたシートクッション32と、車両幅方向に延びるリクライニングロッド62を中心としてシートクッション32に傾倒可能に支持されるシートバック40とを有している。また、リクライニングロッド62の車両幅方向内側には、センタコンソールボックス64が配置されている。
これにより、図4に示されるように、側突時に、衝突体Wが車両側部12Sに対して車両幅方向内側へ向けて衝突すると、車両側部12Sに入力された側突荷重Fがリクライニングロッド62を介してセンタコンソールボックス64に伝達される。なお、衝突体Wの衝突面における下部には、フロントバンパーを模擬した突出部W1が設けられている。
センタコンソールボックス64に伝達された側突荷重Fは、フロアトンネル部22T及びフロアパネル22を介して衝突体Wと反対側の車体に分散して伝達される。したがって、側突に伴う車両側部12Sの変形量が低減される。
また、リクライニング機構60のリクライニングロッド62を荷重伝達部材として使用することにより、部品点数の増加を抑制しつつ、側突に伴う車両側部12Sの変形量を低減することができる。
ここで、側突時には、車両用シート30の車両幅方向外側が車両幅方向内側に対して沈む場合がある。その一例として、例えば、側突に伴ってセンタピラー16の車両上下方向の中間部が車両幅方向内側へ変形すると、センタピラー16の変形部によってシートバックフレーム42における車両幅方向外側のサイドフレーム部42Sが車両幅方向内側へ押圧される。
これにより、シートクッションフレーム34を支持する一対のシートブラケット36のうち、車両幅方向外側のシートブラケット36が変形し易くなる。そして、車両幅方向外側のシートブラケット36が変形すると、矢印Yで示されるように、車両用シート30の車両幅方向外側が車両幅方向内側に対して沈み込む。
特に、セダンのような一般的な車高の車両12に対し、SUV(Sport Utility Vehicle)やミニバン、ワンボックスのように車両12よりもフロントバンパー(突出部W1)の位置が高い衝突体Wが衝突すると、車両用シート30の車両幅方向外側が車両幅方向内側に対して沈み込み易くなる。
この結果、リクライニングロッド62が回転し、車両幅方向に対して傾斜する。より詳細には、リクライニングロッド62は、車両幅方向内側に対して車両幅方向外側が車両上下方向下側に傾斜する。
この状態で、リクライニングロッド62に車両幅方向内側へ向かう側突荷重Fが入力されると、リクライニングロッド62が変形(曲げ変形等)し易くなる。そのため、リクライニングロッド62を介してセンタコンソールボックス64に伝達される側突荷重Fが減少する可能性がある。
これに対して本実施形態では、リクライニングロッド62がロッド補強部材70によって補強されている。具体的には、ロッド補強部材70は、リクライニングロッド62に沿って車両幅方向に延びると共に、シートバック40の一対のサイドフレーム部42S間に亘って配置されている。
また、図3に示されるように、リクライニングロッド62は、シートバックフレーム42のロアフレーム部42Lの前面42L1に結合されて当該ロアフレーム部42Lとで閉断面を形成している。この閉断面内にリクライニングロッド62が配置されている。これらのロッド補強部材70及びリクライニングロッド62によって側突荷重Fを受けることにより、リクライニングロッド62の曲げ変形等が抑制される。
したがって、側突に伴って車体側部に入力された側突荷重Fを、リクライニングロッド62を介してセンタコンソールボックス64により効率的に伝達することができる。
また、図5に示されるように、ロッド補強部材70の内部には、リクライニングロッド62に沿って車両幅方向に延びる上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82が設けられている。これにより、側突荷重Fが上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82を介してセンタコンソールボックス64に伝達される。しかも、上側荷重伝達部材80、下側荷重伝達部材82、ロッド補強部材70、及びロアフレーム部42Lによって閉断面が形成されている。したがって、側突荷重Fをセンタコンソールボックス64により効率的に伝達することができる。
さらに、上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82は、車両幅方向外側へ向かうに従って車両上下方向上側に傾斜される。これにより、側突に伴って車両用シート30の車両幅方向外側が車両幅方向内側に対して沈み込んだ場合に、上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82が回転し、車両幅方向に対する上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82の傾斜角度θ1,θ2(図2参照)が小さくなる。なお、図5には、一例として、上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82が略水平になった状態が示されている。
この状態で、上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82が側突荷重Fを受けることにより、上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82の曲げ変形等が抑制される。したがって、側突荷重Fをセンタコンソールボックス64により効率的に伝達することができる。
特に、車両用シート30の車両幅方向外側が沈み込んだ場合に、上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82が略水平になるように、上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82の傾斜角度θ1,θ2をそれぞれ設定することにより、側突荷重Fをセンタコンソールボックス64により効率的に伝達することができる。
また、上側荷重伝達部材80は、リクライニングロッド62の車両上下方向上側に設けられている。これにより、上側荷重伝達部材80とリクライニングロッド62との間隔G1が、車両幅方向外側から車両幅方向内側へ向かうに従って狭くなる。
したがって、上側荷重伝達部材80とリクライニングロッド62との間隔G1が車両幅方向外側から車両幅方向内側へ向かうに従って広くなる場合と比較して、側突荷重Fが上側荷重伝達部材80及びリクライニングロッド62を介してセンタコンソールボックス64の所定部に集中して伝達される。よって、センタコンソールボックス64に対する補強範囲等が狭くなるため、コストを削減することができる。
一方、下側荷重伝達部材82は、リクライニングロッド62の車両上下方向下側に設けられている。これにより、下側荷重伝達部材82とリクライニングロッド62との間隔G2が、車両幅方向外側から車両幅方向内側へ向かうに従って広くなる。
したがって、下側荷重伝達部材82とリクライニングロッド62との間隔G2が車両幅方向外側から車両幅方向内側へ向かうに従って狭くなる場合と比較して、側突荷重Fが下側荷重伝達部材82及びリクライニングロッド62を介してセンタコンソールボックス64に分散して伝達される。よって、センタコンソールボックス64の変形等が抑制される。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82の傾斜角度θ1,θ2(図2参照)が同じに設定されるが、上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82の傾斜角度θ1,θ2は異なっていても良い。
また、上記実施形態では、ロッド補強部材70の内部に上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82が設けられるが、上側荷重伝達部材80及び下側荷重伝達部材82の少なくとも一方が省略されても良い。
また、上記実施形態では、ロッド補強部材70とロアフレーム部42Lとによって形成された閉断面内にリクライニングロッド62が配置されるが、例えば、車両幅方向から見た断面形状が閉断面とされた筒状のロッド補強部材の内部にリクライニングロッド62が配置されても良い。また、車両幅方向から見た断面形状が開断面とされたロッド補強部材の内部にリクライニングロッド62が配置されても良い。
また、上記実施形態では、荷重受け部がセンタコンソールボックス64とされているが、荷重受け部は、センタコンソールボックス64以外の部材とされても良い。
また、上記実施形態に係る車両用シート構造10は、側突時に車両幅方向外側が車両幅方向内側に対して沈み込む可能性がある車両用シートに適宜適用可能であり、例えば、運転席や後部座席にも適宜適用可能である。
さらに、上記実施形態に係る車両用シート構造10は、セダンのような一般的な車高の車両だけでなく、例えば、SUVやミニバン、ワンボックスのように車高が高い車両にも適宜適用可能である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。