JP6303628B2 - 板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板 - Google Patents

板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板 Download PDF

Info

Publication number
JP6303628B2
JP6303628B2 JP2014045611A JP2014045611A JP6303628B2 JP 6303628 B2 JP6303628 B2 JP 6303628B2 JP 2014045611 A JP2014045611 A JP 2014045611A JP 2014045611 A JP2014045611 A JP 2014045611A JP 6303628 B2 JP6303628 B2 JP 6303628B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
steel pipe
hot
steel sheet
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014045611A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015168864A (ja
Inventor
石塚 哲夫
哲夫 石塚
緒方 敏幸
敏幸 緒方
修治 岩本
修治 岩本
俊一 小林
俊一 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2014045611A priority Critical patent/JP6303628B2/ja
Publication of JP2015168864A publication Critical patent/JP2015168864A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6303628B2 publication Critical patent/JP6303628B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、高強度の電縫油井管の製造に用いる板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板及びこれを素材とする電縫鋼管に関する。
近年、油井やガス井(以下、総称して油井と呼ぶ。)の掘削深度はますます深くなる傾向にあり、ケーシングなどの圧潰強度を高めるため、油井管の高強度化が求められている。最近では、掘削コストの削減を狙いとして、高強度であり、造管後の熱処理を実施しない造管成形したままの電縫鋼管に対する要求が強くなっている。
鋼材の強度を高めるには、C(炭素)の含有量の増加が有効であり、0.25質量%以上のCを含有し、造管ままで800MPa以上の引張強度を有する電縫鋼管が提案されている(例えば、特許文献1、参照)。しかし、多量のCを添加して強度を高めた場合、靱性が低下することがある。
また、鋼材の強度の上昇には、マルテンサイトやベイナイトなどの硬質の金属組織、いわゆる、低温変態組織の利用も有効である。更に、電縫鋼管の製造工程では、造管やサイジングなどが施されるため、冷間加工による加工硬化も強度の上昇に利用することができる。このような組織強化と加工硬化とを組み合わせることにより、造管ままで引張強度を862MPa以上に高めた電縫鋼管が提案されている(例えば、特許文献2、参照)。
特開平07−102321号公報 国際公開第2012−144248号
特許文献2の方法では、電縫鋼管の素材となる熱延鋼板を製造する際に、巻取温度を低下させて、金属組織をベイナイトとし、強度を確保しているが、特に板厚が厚い鋼板を製造する場合は、製造性の観点から、巻取温度を高めることが望ましい。しかし、本発明者らの検討の結果、巻取温度を高めると、強度と靱性の確保が難しくなることが解った。
靱性を向上させるためにC量を低減した場合、強度の確保には、Ti及びBを添加した成分系(低C−Ti−B系)が有利である。しかし、油井管の圧潰強度を高めるために、高強度化だけでなく、厚肉化も求められており、熱間圧延後の冷却速度が低下することなどの理由で、熱延鋼板の強度及び靱性の劣化が懸念された。
本発明者らが検討した結果、厚肉の油井管を製造するため、鋼板の板厚を厚くすると、低C−Ti−B系の成分であっても、強度と靱性が低下する傾向にあることが解った。特に、この傾向は、板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板において顕著であることが判明した。
そこで、本発明は、板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板において、油井管として必要な強度と靭性、更に、低温靭性を確保することを課題とし、該課題を解決する板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。その結果、本発明者らは、(i)C量の低減と、所要量の(Ti+B)の添加で、強度と靱性を確保するには、巻取温度の制御が重要であること、及び、(ii)金属組織を、旧オーステナイト粒(以下、旧γ粒と呼ぶことがある。)が短径を25μm以下とする楕円状である上部ベイナイトにすれば、0℃における靱性を確保できることを見いだした。
旧γ粒は、圧延直後の、即ち、冷却によって上部ベイナイトに変態する前のオーステナイトの結晶粒であり、本発明では熱間圧延によって偏平化している。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)成分組成が、質量%で、
C :0.06〜0.10%、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:1.70〜1.90%、
Al:0.05%以下、
Ti:0.010〜0.025%、
B :0.0010〜0.0025%、
Mo:0.04〜0.25%、
V :0.040〜0.060%、
Nb:0.040〜0.060%
を含有し、更に、
P :0.030%以下、
S :0.004%以下、
O :0.004%以下、
残部:Fe及び不可避的不純物からなり、
金属組織が焼戻し上部ベイナイトであり、楕円状の旧γ粒の短径が25μm以下である
ことを特徴とする板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板。
(2)前記成分組成が、更に、
Ca:0.0030%以下、Cr、0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cu:0.5%以下、及び、REM:0.005%以下の1種又は2種を含む
ことを特徴とする前記(1)に記載の板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板。
(3)前記(1)又は(2)に記載の板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板を製造する方法において、
(i)前記(1)又は(2)に記載の成分組成を有する鋳片を所要の温度に加熱し、950℃以下の累積圧下率が50%以上の熱間圧延を施し、次いで、
(ii)直ちに、巻取り温度まで平均冷却速度8〜15℃/秒で冷却し、450〜550℃で巻き取る
ことを特徴とする板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板の製造方法。
(4)前記(1)又は(2)に記載の板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板を母材として製造したことを特徴とする肉厚15mm以上の電縫鋼管。
(5)前記(4)に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管において、電縫溶接部に熱処理が施されていることを特徴とする前記(4)に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管。
(6)前記母材の金属組織の機械特性が、
引張強度725MPa超、L方向の降伏強度655〜758MPa、及び、0℃でC方向のシャルピー値22J以上である
ことを特徴とする前記(4)又は(5)に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管。
(7)前記母材の成分組成が、質量%で、
C :0.06〜0.10%、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:1.70〜1.90%、
Al:0.05%以下、
Ti:0.010〜0.025%、
B :0.0010〜0.0025%、
Mo:0.04〜0.25%、
V :0.040〜0.060%、Nb:0.040〜0.060%
を含有し、更に、
P :0.030%以下、
S :0.004%以下、
O :0.0040%以下、
残部:Fe及び不可避的不純物からなり、
前記母材の金属組織が、焼戻し上部ベイナイトであり、楕円状の旧γ粒の短径が25μm以下である
ことを特徴とする前記(4)又は(5)に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管。
(8)前記母材の金属組織の機械特性が、
引張強度725MPa超、L方向の降伏強度655〜758MPa、及び、0℃でC方向のシャルピー値22J以上である
ことを特徴とする前記(7)に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管。
(9)前記母材の成分組成が、更に、
Ca:0.0030%以下、Cr、0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cu:0.5%以下、及び、REM:0.005%以下の1種又は2種を含むことを特徴とする前記(7)又は(8)に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管。
(10)前記電縫鋼管の電縫溶接部の金属組織が焼戻しマルテンサイトであることを特徴とする前記()〜(9)のいずれかに記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管。
本発明によれば、油井管として必要な強度と靭性、更に、低温靭性を備える板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板とその製造方法を提供することができ、更に、外径300mm以上の油井管を製造することができる。
鋼管のL方向における引張強度TSと降伏強度YSを示す図である。
以下、本発明について説明する。
本発明の板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板(以下「本発明熱延鋼板」ということがある。)は、
成分組成が、質量%で、
C :0.06〜0.10%、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:1.70〜1.90%、
Al:0.05%以下、
Ti:0.010〜0.025%、
B :0.0010〜0.0025%、
Mo:0.04〜0.25%、
V :0.040〜0.060%、
Nb:0.040〜0.060%
を含有し、更に、
P :0.030%以下、
S :0.004%以下、
O :0.004%以下、
残部:Fe及び不可避的不純物からなり、
金属組織が焼戻し上部ベイナイトであり、楕円状の旧γ粒の短径が25μm以下である
ことを特徴とする。
本発明の板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板の製造方法(以下「本発明製造方法」ということがある。)は、
本発明熱延鋼板を製造する方法において、
(i)本発明熱延鋼板の成分組成を有する鋳片を所要の温度に加熱し、950℃以下の累積圧下率が50%以上の熱間圧延を施し、次いで、
(ii)直ちに、巻取り温度まで平均冷却速度8〜15℃/秒で冷却し、450〜550℃で巻き取る
ことを特徴とする。
また、本発明の電縫鋼管(以下「本発明電縫鋼管」ということがある。)は、本発明熱延鋼板を母材として製造したことを特徴とする。
まず、本発明熱延鋼板(本発明電縫鋼管の母材)の成分組成の限定理由を説明する。なお、以下%は質量%を意味する。
C:0.06〜0.10%
Cは、鋼の焼入れ性を高めて、鋼板の強度を高める元素である。所要の機械特性を得るため0.06%以上とする。好ましくは0.07%以上である。一方、0.10%を超えると、母材鋼板の靭性及び溶接熱影響部の靭性が低下するので0.10%以下とする。好ましくは0.09%以下である。
Si:0.10〜0.50%
Siは、脱酸や、強度の向上を目的として添加する元素である。添加効果を得るため0.10%以上とする。好ましくは0.20%以上である。一方、0.50%を超えると、電縫溶接時にSiを含有する酸化物が生成し、溶接部の品質が低下すとともに、溶接熱影響部の靭性が低下するので、0.50%以下とする。好ましくは0.40%以下である。
Mn:1.70〜1.90%
Mnは、鋼の焼入れ性を高めて、鋼板の強度を高め、また、MnSを形成してSを固定し、鋳片割れを抑制する元素である。添加効果を得るため、1.70%以上とする。好ましくは1.75%以上である。一方、1.90%を超えると、耐硫化物応力割れ性が低下するので、1.90%以下とする。好ましくは1.85%以下である。
Ti:0.010〜0.025%
Tiは、窒化物を形成し、Nを固定して鋳片割れを防止するとともに、BNの析出を防止し、焼入れ性を確保するのに必要な元素である。添加効果を得るため0.010%以上とする。好ましくは0.013%以上である。一方、0.025%を超えると、鋼板の靱性及び溶接熱影響部の靭性が低下するので、0.025%以下とする。好ましくは0.022%以下である。
B:0.0010〜0.0025%
Bは、鋼の焼入れ性を高めて、鋼板の強度を高める元素である。添加効果を得るため、0.0010%以上とする。好ましくは0.0013%以上である。一方、0.0025%を超えると靱性が低下するので、0.0025%以下とする。好ましくは0.0018%以下である。
Mo:0.04〜0.25%
Moは、鋼の焼入れ性を高めるとともに、炭窒化物(析出物)を形成して、強度の向上に寄与する元素である。添加効果を得るため0.04%以上とする。好ましくは0.05%以上である。一方、0.25%を超えると、溶接性が低下するので、0.25%以下とする。好ましくは0.20%以下である。
V:0.040〜0.060%
Vは、炭窒化物として微細に析出し、溶接性を損なうことなく、鋼板強度の向上に寄与する元素である。添加効果を得るため0.040%以上とする。好ましくは0.045%以上である。一方、0.060%を超えると、溶接性が低下するので0.060%以下とする。好ましくは0.055%以下である。
Nb:0.040〜0.060%
Nbは、炭窒化物として微細に析出してオーステナイトの粒界移動を抑制し、オーステナイト粒の粗大化、再結晶を抑制し、熱間仕上げ圧延におけるオーステナイト未再結晶温度域圧延を可能にするとともに、オーステナイト未再結晶温度域直上での粗大粒の発生を防止する作用をなす元素である。
また、Nbは、炭窒化物として微細に析出して、溶接性を損なうことなく、熱延鋼板の強度を高める作用をなす元素である。添加効果を得るため0.040%以上とする。好ましくは0.045%以上である。一方、0.060%を超えると、熱間仕上げ圧延中の圧延荷重の増大をもたらし、熱間圧延が困難となる場合があるので0.060%以下とする。好ましくは0.055%以下である。
P:0.030%以下
Pは、不純物であり、粒界に偏析して耐硫化物応力割れ性を低下させる元素であるので、0.030%以下とする。好ましくは0.020%以下である。
S:0.004%以下
Sは、不純物であり、靱性を損なうとともに、MnSを形成して耐硫化物応力割れ性を阻害する元素であるので、0.004%以下とする。好ましくは0.002%以下である。
O:0.004%以下
Oは、電縫溶接部で溶接欠陥の原因となる酸化物を形成し、耐硫化物応力割れ性を阻害する元素であるので、0.004%以下とする。好ましくは0.002%以下である。
本発明熱延鋼板は、上記元素の他、Al:0.05%以下を含有する
Al:0.05%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素であるが、0.05%を超えると、鋼に固溶してフェライト相の形成を促進し、また、電縫溶接部の清浄性を損なうので0.05%以下とする。好ましくは0.03%以下である。下限は特に限定しないが、脱酸効果を充分に得るためには0.01%以上が好ましい。
本発明熱延鋼板は、上記元素の他、Ca:0.0030%以下を含有してもよい。
Ca:0.0030%以下
Caは、展伸した粗大な硫化物を球状化し、靱性の向上に寄与する元素であるが、0.0030%を超えると、鋼板の清浄度が低下するので、0.0030%以下とする。下限は特に限定しないが、添加効果を充分に得るためには0.0005%以上が好ましい。
本発明熱延鋼板は、上記元素、上記選択元素の他、本発明鋼板の金属組織及び機械特性を損なわない範囲で、Cr、Ni、Cu、及び、REMの1種又は2種以上を含有してもよい。
Cr:0.5%以下
Crは、焼入れ性を高め、鋼板強度の向上に寄与する元素であるが、0.5%を超えると、電縫溶接時に溶接欠陥を誘発することがあるので0.5%以下が好ましい。下限は特に限定しないが、添加効果を充分に得るためには0.05%以上が好ましい。
Ni:0.5%以下
Niは、鋼板の靭性向上に寄与する元素であるが、0.5%を超えると、溶接性が低下するとともに、材料コストが高騰するので、0.5%以下が好ましい。下限は特に限定しないが、添加効果を充分に得るためには0.05%以上が好ましい。
Cu:0.5%以下
Cuは、固溶強化又は析出強化で鋼板強度の向上に寄与する元素であるが、0.5%を超えると、熱間加工性が低下することがあるので、0.5%以下が好ましい。下限は特に限定しないが、添加効果を充分に得るためには、0.05%以上が好ましい。
REM:0.005%以下
REMは、展伸した粗大な硫化物を球状化して靱性の向上に寄与する元素であるが、0.005%を超えると、鋼板の清浄度が低下することがあるので、0.005%以下が好ましい。下限は特に限定しないが、添加効果を充分に得るためには、0.0005%以上が好ましい。
以上、本発明熱延鋼板(本発明電縫鋼管の母材)の成分組成について説明したが、成分組成の残部は、Fe及び不可避的不純物である。なお、不可避的不純物として、Nを、0.006%以下の範囲で許容できる。好ましくは、0.004%以下、より好ましくは0.003%以下とする。
本発明熱延鋼板(本発明電縫鋼管の母材)は、成分組成の他、金属組織が、焼戻し上部ベイナイトであり、楕円状の旧γ粒の短径が25μm以下であることを特徴とする。
一般に、上部ベイナイトは靱性が劣るので、鋳片に、未再結晶領域で、累積圧下率50%以上の熱間圧延を施すことによって、熱延鋼板の旧γ粒の短径を25μm以下に偏平化し、靱性及び低温靱性を確保する。好ましくは20μm以下である。
本発明製造方法では、製造性の観点から、熱延鋼板の巻取温度を450〜550℃としている。高温で巻き取るので、熱延鋼板の金属組織は、焼戻された上部ベイナイトとなる。金属組織を焼戻し上部ベイナイトとし、楕円状の旧γ粒の短径を25μm以下とすることにより、本発明熱延鋼板を母材として製造した電縫鋼管は、L方向の降伏強度655〜758MPaを確保することができる。
ここで、本発明熱延鋼板を母材として製造した電縫鋼管の機械特性について説明する。
機械特性は、引張強度が725MPa超、L方向の降伏強度が655〜758MPa、(c3)0℃、C方向のシャルピー値が22J以上である。
本発明熱延鋼板においては、Cの低減分を、Nを固定するTiと焼入れ性向上元素のBの添加で補い、本発明熱延鋼板を母材として製造した電縫鋼管の引張強度725MPa超を確保する。
本発明熱延鋼板を母材として製造した電縫鋼管のL方向の降伏強度655〜758MPaと、0℃、C方向のシャルピー値22J以上は、熱延鋼板の金属組織を、旧γ粒の短径が25μm以下の焼戻し上部ベイナイトとすることによって確保する。
次に、本発明熱延鋼板を製造する本発明製造方法について説明する。
本発明熱延鋼板の成分組成の溶鋼を通常の方法で鋳造し鋳片とする。この鋳片を、所要の温度に加熱し、950℃以下の累積圧下率が50%以上の熱間圧延を施す。鋳片の加熱温度は1150〜1300℃が好ましい。
所要温度の鋳片に、950℃以下の累積圧下率が50%以上の熱間圧延を施す。950℃を超える温度の熱間圧延では、オーステナイトが再結晶し、旧γ粒が偏平にならない。
また、本発明製造方法では、950℃以下の累積圧下率が重要である。950℃以下の累積圧下率が50%未満であると、楕円状の旧γ粒の短径を25μm以下にすることが困難であるので、950℃以下の累積圧下率は50%以上とする。好ましくは65%以上である。
熱延終了後は、直ちに、巻取温度まで、平均冷却速度8〜15℃/秒で冷却し、450〜550℃で巻き取る。
巻取温度まので平均冷却速度が8℃/秒未満であると、フェライトが生成して強度が低下するので、巻取温度までの平均冷却速度は8℃/秒以上とする。好ましくは10℃/秒以上である。一方、巻取温度までの平均冷却速度が15℃/秒を超えると、強度が上昇しすぎて靱性が低下することがあるので、巻取温度までの平均冷却速度は15℃/秒以下とする。好ましくは13℃/秒以下である。
巻取温度は450〜550℃とする。巻取温度の下限は、製造性の観点から450℃以上とする。好ましくは470℃以上である。一方、巻取温度が550℃を超えると、強度及び靱性を確保できない場合があるので、巻取温度は550℃以下とする。好ましくは530℃以下である。
本発明電縫鋼管は、本発明熱延鋼板を母材として用い、冷間加工によって管状に成形し、鋼板端部を突き合わせて電縫溶接し、製造したことを特徴とするものである。管全体には熱処理を施さないが、電縫溶接部に熱処理を施してもよい。
電縫溶接部には、加熱温度900〜1000℃、冷却速度15℃秒以上、冷却停止温度500℃以下、再加熱温度500〜550℃の熱処理を施すことが好ましい。この熱処理で、電縫溶接部においても、L方向の降伏強度655〜758MPaと、0℃、C方向のシャルピー値22J以上を確保することができる。
本発明熱延鋼板を母材として製造した電縫鋼管は、電縫溶接部が低温靱性に優れているので、油井管として使用することができる。また、本発明熱延鋼板を母材として用いれば、電縫溶接部の機械特性に優れる、外径300mm以上の油井管を製造することができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
表1に示す成分組成の鋼を溶製し、連続鋳造で得た鋼片を、表2に示す加熱温度、950℃以下の累積圧下率、圧延終了速度、冷却速度、巻取温度で熱間圧延し、板厚15〜17mmの熱延鋼板を製造した。得られた熱延鋼板を冷間で管状に成形し、電縫溶接して、外径473mmの鋼管(肉厚15〜17mm)を製造した。
Figure 0006303628
Figure 0006303628
鋼管から試験片を採取し、鋼管の長手方向(L方向)の引張強度TS、鋼管の長手方向の0.5%耐力YS、0℃のシャルピー吸収エネルギーvEoを測定した。また、長手方向の断面を観察面として光学顕微鏡で金属組織を観察し、旧γ粒の短径を測定した。結果を表2に併せて示す。
管No.a〜dは、鋼管の長手方向(L方向)の引張強度TS及び0.5%YSがAPI R95グレードを満足し、0℃の吸収エネルギーvEoが22J以上で靱性が良好な発明例である。
一方、管No.eは、950℃以下の累積圧下率が低かったために、旧γ粒の短径が大きく、0℃の吸収エネルギーvEoが22J以下で、靱性に乏しい比較例である。管No.fは、熱延終了後から巻取りまでの冷却速度が遅かったために、金属組織の一部がフェライトとなり、十分な強度が得られなかった比較例である。
管No.gは、熱延終了後から巻取りまでの冷却速度が速すぎたために、長手方向(L方向)の0.5%YSが高すぎた比較例である。管No.hは、巻取温度が高かったために、金属組織の一部がフェライトとなり、十分な強度が得られなかった比較例である。
(実施例2)
表3に示す成分組成の鋼を溶製し、連続鋳造で得た鋼片を、加熱温度:1200〜1250℃、950℃以下の累積圧下率:65〜70%、圧延終了温度:780〜840℃、冷却速度8〜15℃/s、巻取温度:500〜550℃で熱間圧延し、板厚15〜17mmの熱延鋼板を製造した。
Figure 0006303628
得られた熱延鋼板を冷間で管状に成形し、電縫溶接して、外径473mmの鋼管(肉厚15〜17mm)を製造した。鋼管から試験片を採取し、鋼管の長手方向(L方向)の引張強度TS、長手方向の0.5%耐力YS、0℃のシャルピー吸収エネルギーvEoを測定した。また、長手方向の断面を観察面として光学顕微鏡で金属組織を観察し、旧γ粒の短径を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0006303628
管No.A〜Hは、鋼管の長手方向(L方向)の引張強度TS及び0.5%YSがAPI R95グレードを満足し、0℃の吸収エネルギーvEoが22J以上で靱性が良好な発明例である。
方、管No.Jは、Mn量が少なすぎたため、十分な強度が得られなかった比較例である。管No.Kは、NbとVの量が少なすぎたため、十分な強度が得られなかった例である。
管No.Lは、TiとBの量が少なすぎたため、金属組織の一部がフェライトとなり、十分な強度が得られなかった比較例である。管No.MはCとMnの量多すぎたために下部ベイナイト組織となり、強度が高すぎた比較例である。管No.Nは、S、Nb、V、Tiの量が多すぎたため、靱性が低下した比較例である。
ここで、図1に、実施例で測定した、鋼管のL方向における引張強度TSと降伏強度YSを示す。図1に示すように、本発明熱延鋼板を母材として製造した電縫鋼管においては、引張強度725MPa超、及び、降伏強度655〜758MPaが得られている。
前述したように、本発明によれば、電縫油井管として必要な強度と靭性、更に、低温靭性を備える板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板とその製造方法を提供することができ、更に、外径300mm以上の電縫油井管を製造することができる。よって、本発明は、油井管製造及び施工産業において利用可能性が高いものである。

Claims (10)

  1. 成分組成が、質量%で、
    C :0.06〜0.10%、
    Si:0.10〜0.50%、
    Mn:1.70〜1.90%、
    Al:0.05%以下、
    Ti:0.010〜0.025%、
    B :0.0010〜0.0025%、
    Mo:0.04〜0.25%、
    V :0.040〜0.060%、
    Nb:0.040〜0.060%
    を含有し、更に、
    P :0.030%以下、
    S :0.004%以下、
    O :0.004%以下、
    残部:Fe及び不可避的不純物からなり、
    金属組織が焼戻し上部ベイナイトであり、楕円状の旧γ粒の短径が25μm以下である
    ことを特徴とする板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板。
  2. 前記成分組成が、更に、
    Ca:0.0030%以下、Cr、0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cu:0.5%以下、及び、REM:0.005%以下の1種又は2種を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板。
  3. 請求項1又は2に記載の板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板を製造する方法において、
    (i)請求項1又は2に記載の成分組成を有する鋳片を所要の温度に加熱し、950℃以下の累積圧下率が50%以上の熱間圧延を施し、次いで、
    (ii)直ちに、巻取り温度まで平均冷却速度8〜15℃/秒で冷却し、450〜550℃で巻き取る
    ことを特徴とする板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板を母材として製造したことを特徴とする肉厚15mm以上の電縫鋼管。
  5. 請求項4に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管において、電縫溶接部に熱処理が施されていることを特徴とする請求項4に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管。
  6. 前記母材の金属組織の機械特性が、
    引張強度725MPa超、L方向の降伏強度655〜758MPa、及び、0℃でC方向のシャルピー値22J以上である
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管。
  7. 前記母材の成分組成が、質量%で、
    C :0.06〜0.10%、
    Si:0.10〜0.50%、
    Mn:1.70〜1.90%、
    Al:0.05%以下、
    Ti:0.010〜0.025%、
    B :0.0010〜0.0025%、
    Mo:0.04〜0.25%、
    V :0.040〜0.060%、Nb:0.040〜0.060%
    を含有し、更に、
    P :0.030%以下、
    S :0.004%以下、
    O :0.0040%以下、
    残部:Fe及び不可避的不純物からなり、
    前記母材の金属組織が、焼戻し上部ベイナイトであり、楕円状の旧γ粒の短径が25μm以下である
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管。
  8. 前記母材の金属組織の機械特性が、
    引張強度725MPa超、L方向の降伏強度655〜758MPa、及び、0℃でC方向のシャルピー値22J以上である
    ことを特徴とする請求項7に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管。
  9. 前記母材の成分組成が、更に、
    Ca:0.0030%以下、Cr、0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cu:0.5%以下、及び、REM:0.005%以下の1種又は2種を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管。
  10. 前記電縫鋼管の電縫溶接部の金属組織が焼戻しマルテンサイトであることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の肉厚15mm以上の電縫鋼管。
JP2014045611A 2014-03-07 2014-03-07 板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板 Active JP6303628B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014045611A JP6303628B2 (ja) 2014-03-07 2014-03-07 板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014045611A JP6303628B2 (ja) 2014-03-07 2014-03-07 板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015168864A JP2015168864A (ja) 2015-09-28
JP6303628B2 true JP6303628B2 (ja) 2018-04-04

Family

ID=54201881

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014045611A Active JP6303628B2 (ja) 2014-03-07 2014-03-07 板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6303628B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107964626A (zh) * 2017-11-10 2018-04-27 山东钢铁股份有限公司 一种屈服强度500MPa级低温高韧性热轧H型钢及其制备方法

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6773021B2 (ja) * 2017-12-27 2020-10-21 Jfeスチール株式会社 疲労強度に優れた厚肉大径電縫鋼管およびその製造方法
WO2019234851A1 (ja) * 2018-06-06 2019-12-12 日本製鉄株式会社 油井用電縫鋼管
JP7216902B2 (ja) * 2018-10-10 2023-02-02 日本製鉄株式会社 油井用電縫鋼管およびその製造方法
JP7099654B1 (ja) * 2020-08-31 2022-07-12 日本製鉄株式会社 鋼板およびその製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01172520A (ja) * 1987-12-28 1989-07-07 Kawasaki Steel Corp 低温靱性にすぐれた80Kgf/mm↑2級低降伏比電縫鋼管の製造方法
JP5321493B2 (ja) * 2010-02-12 2013-10-23 新日鐵住金株式会社 スパイラル鋼管の製造方法およびスパイラル鋼管
JP5573265B2 (ja) * 2010-03-19 2014-08-20 Jfeスチール株式会社 引張強度590MPa以上の延靭性に優れた高強度厚鋼板およびその製造方法
KR101368604B1 (ko) * 2011-04-19 2014-02-27 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 유정용 전봉 강관 및 유정용 전봉 강관의 제조 방법
CN104220622B (zh) * 2012-04-13 2016-11-02 杰富意钢铁株式会社 具有优良的低温韧性的高强度厚壁电阻焊钢管及其制造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107964626A (zh) * 2017-11-10 2018-04-27 山东钢铁股份有限公司 一种屈服强度500MPa级低温高韧性热轧H型钢及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015168864A (ja) 2015-09-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4969915B2 (ja) 耐歪時効性に優れた高強度ラインパイプ用鋼管及び高強度ラインパイプ用鋼板並びにそれらの製造方法
JP5131411B2 (ja) 油井用電縫鋼管及び油井用電縫鋼管の製造方法
JP5679114B2 (ja) 低温靭性に優れた低降伏比高強度熱延鋼板およびその製造方法
JP5590253B2 (ja) 変形性能と低温靭性に優れた高強度鋼管、高強度鋼板、および前記鋼板の製造方法
JP5644982B1 (ja) 電縫溶接鋼管
JP5217773B2 (ja) 溶接熱影響部靭性に優れた引張強度が570MPa以上760MPa以下の低温用高強度溶接鋼管およびその製造方法
CA2980424C (en) Thick steel plate for structural pipes or tubes, method of producing thick steel plate for structural pipes or tubes, and structural pipes and tubes
JP5481976B2 (ja) 高強度溶接鋼管用高張力熱延鋼板およびその製造方法
JP6048621B1 (ja) 高強度電縫鋼管、高強度電縫鋼管用の鋼板の製造方法、及び高強度電縫鋼管の製造方法
JP2013204103A (ja) 耐座屈性能に優れた低温用高強度溶接鋼管とその製造方法および耐座屈性能に優れた低温用高強度溶接鋼管用鋼板の製造方法
JP2007138290A (ja) 厚手高強度熱延鋼板およびその製造方法
KR20170128570A (ko) 구조관용 후육 강판, 구조관용 후육 강판의 제조 방법 및, 구조관
JP6303628B2 (ja) 板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板
JP6241570B2 (ja) 高強度鋼及びその製造方法、並びに鋼管及びその鋼管の製造方法
JP6288288B2 (ja) ラインパイプ用鋼板及びその製造方法とラインパイプ用鋼管
JP6086090B2 (ja) 溶接熱影響部靭性に優れた非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法
JP6128276B2 (ja) 溶接用鋼材
JPWO2010119989A1 (ja) 低温靭性の優れた高生産型780MPa級高張力鋼板の製造方法
JP7082669B2 (ja) 高強度高靭性熱延鋼板及びその製造方法
JP2009084598A (ja) 変形能ならびに低温靱性に優れた超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法および超高強度ラインパイプ用鋼管の製造方法
JP6299676B2 (ja) 高張力鋼板およびその製造方法
JP6226163B2 (ja) 溶接熱影響部の低温靭性に優れる高張力鋼板とその製造方法
JP6237681B2 (ja) 溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板
JP5020691B2 (ja) 低温靱性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板および高強度ラインパイプならびにこれらの製造方法
KR101443446B1 (ko) 비열처리형 열연강판 및 그 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171010

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171212

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180123

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180219

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6303628

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350