JP5321493B2 - スパイラル鋼管の製造方法およびスパイラル鋼管 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、鋼帯の両端部のミルスケールを除去した後、高速で溶接するスパイラル溶接鋼管の製造方法が開示されている。
また、特許文献3には、製管速度の大幅増大を可能とするスパイラル鋼管の製造方法として、管内面側および管外面側の2方向から同時にレーザビームを照射して接合点を溶接するとともに、溶接部に引き続きアーク溶接を行うスパイラル鋼管の製造方法が開示されている。
さらに、最近、スパイラル鋼管のスパイラル鋼管母材だけでなく、溶接金属部においても良好な靭性を有することが要求されるようになってきている。特に、建築分野に用いられるスパイラル鋼管では、溶接金属部においても高い靭性を確保することが重要とされている。また、最近、土木分野で用いられるスパイラル鋼管においても、溶接金属部の靭性が良好であることが要求されるようになってきている。
すなわち、鋼帯をスパイラル状に巻きながら鋼帯の幅方向端面同士を、内外面からそれぞれ溶接することにより溶接金属部を形成してスパイラル鋼管とする方法において、一方の面に対する溶接を行った後、連続して他方の面に対する溶接を行う上述した内外面連続溶接を行った場合、他方の面に対する溶接により形成された後続溶接金属部の靭性が不十分となり、十分な靭性を有する溶接金属部を備えたスパイラル鋼管が得られないという問題があった。
したがって、従来の技術では、十分な靭性を有する溶接金属部を備えたスパイラル鋼管を、内外面連続溶接を用いて効率よく製造することは困難であった。
本発明を実現するため、溶接金属部は、充分な焼き入れ性を有するものである必要がある。本発明者は、加熱前の管状体の溶接金属部が充分な焼き入れ性を有するものとなるように、溶接金属部の化学組成について鋭意検討し、溶接金属部を所定の化学組成を有するものとした。
(1) 鋼帯をスパイラル状に巻きながら前記鋼帯の幅方向端面同士を、内外面からそれぞれサブマージアーク溶接法を用いて溶接することにより溶接金属部を有する管状体を形成する造管工程であって、前記内外面のうち一方の面に対する溶接により先行溶接金属部を形成した後、連続して他方の面に対する溶接により後続溶接金属部を形成し、化学組成が質量%でC:0.04%以上、0.15%以下、Si:0.02%以上、0.50%以下、Mn:0.8%以上、2.2%以下、P:0.02%以下、S:0.005%以下、Nb:0.07%以下、V:0.1%以下、Ti:0.002%以上、0.050%以下、Al:0.05%以下、N:0.010%以下、O:0.025%以上、0.06%以下、B:0.0005%以上、0.0050%以下を含有し、さらにNi:0.05%以上、1.5%以下、Cr:0.05%以上、1.0%以下、Mo:0.05%以上、1.0%以下のうち1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、且つ下記(式1)で定義されるCEが0.43以上、0.58以下である前記溶接金属部を有する管状体を形成する造管工程と、前記溶接金属部を1000℃以上、1150℃以下に、5秒以上、20分以下の間加熱する加熱工程と、前記加熱工程の後、900℃から500℃の間の前記溶接金属部を平均冷却速度10℃/秒以上で冷却する冷却工程と、前記溶接金属部を、300℃以上、600℃以下の温度で、板厚25.4mm当たり5分以上、90分以下の時間加熱保持して焼き戻し処理する焼き戻し工程とを備えることを特徴とするスパイラル鋼管の製造方法。
(3) 前記管状体の内面側になる鋼帯表面に突起があり、前記冷却工程において、前記管状体の外面側から水冷することを特徴とする、(1)に記載のスパイラル鋼管の製造方法。
(4) 前記管状体の内面側になる鋼帯表面に突起があり、前記冷却工程において、前記管状体の長手方向を垂直にして前記管状体の内面側および外面側から水冷することを特徴とする、(1)に記載のスパイラル鋼管の製造方法。
(6) 前記先行溶接金属部を形成した後、前記先行溶接金属部が150℃以下に冷却される前に前記後続溶接金属部を形成することを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のスパイラル鋼管の製造方法。
本発明のスパイラル鋼管は、スパイラル状(螺旋状)に巻かれた鋼帯の幅方向端面同士が、内外面からそれぞれ溶接されてなる溶接金属部を有するスパイラル鋼管である。本発明のスパイラル鋼管は、造管工程と加熱工程と冷却工程と焼き戻し工程とを備える本発明の製造方法により製造できる。
先行溶接金属部を形成した後、連続して後続溶接金属部を形成するまでの間の時間は、特に限定されないが、先行溶接金属部を形成した後、先行溶接金属部が150℃以下に冷却される前に後続溶接金属部を形成することが好ましい。この場合、先行溶接金属部を形成した後、後続溶接金属部を容易に連続して形成することができるとともに、先行溶接金属部と後続溶接金属部とを連続して形成することによる生産性向上効果が十分に得られる。
溶接金属部4は、化学組成が質量%でC:0.04%以上、0.15%以下、Si:0.02%以上、0.50%以下、Mn:0.8%以上、2.2%以下、P:0.02%以下、S:0.005%以下、Nb:0.07%以下、V:0.1%以下、Ti:0.002%以上、0.050%以下、Al:0.05%以下、N:0.010%以下、O:0.025%以上、0.06%以下、B:0.0005%以上、0.0050%以下を含有し、さらにNi:0.05%以上、1.5%以下、Cr:0.05%以上、1.0%以下、Mo:0.05%以上、1.0%以下のうち1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、且つ下記(式1)で定義されるCEが0.43以上、0.58以下であるものである。
Sの含有量は0.005%以下であり、0.004%以下が望ましい。SはPとともに凝固割れを助長する元素である。Sの含有量が0.005%を超えると、凝固割れの危険性が高くなる。
Vの含有量は0.1%以下であり、0.08%以下が望ましい。VもNbと共に炭化物を形成する元素である。Vの含有量が0.1%を超えると、焼き戻し工程において炭化物を形成して、溶接金属部4の靭性が低下する。
Nの含有量は0.010%以下であり、0.008%以下が望ましい。Nの含有量が0.010%を超えると、溶接金属部4に固溶して溶接金属部4の靭性が低下する。
(式2)において、N[k]は成分kのモル分率を表す。
図2は、スパイラル鋼管の内面のビード形状の断面形状の一例を説明するための模式図である。通常、スパイラル鋼管の内面2の溶接は、図1に示すように、スパイラル鋼管の周方向に溶接するため、内部溶接装置8が斜め方向に配置される傾斜溶接となる。このため、図2に示すように、ビード41は、中央部が凹となった断面形状になりやすく、ビード41表面の最も低い部分の管状体5の表面からの高さDが管状体5の表面の高さを下回る、いわゆるアンダービードになりやすい。これを防ぐためには、フラックスの粘性を高くする必要がある。
鋼帯1の溶接に用いるサブマージアーク溶接法において、塩基度(B)が−1.0以上、1.5以下のフラックスを用いることで、溶接金属部4のOの含有量を容易に0.025%以上、0.06%以下とすることができる。
また、Niの含有量が1.5%を超える場合、凝固割れの発生する可能性が高くなる。また、Moおよび/またはCrの含有量が1.0%を超えると、加熱工程と冷却工程と焼き戻し工程を行っても溶接金属部4の靭性が十分に得られない。
このような組成を有する鋼帯1(スパイラル鋼管の母材)を使用することにより、上記化学組成の靭性に優れた溶接金属部4を備えた本発明のスパイラル鋼管を容易に製造できる。
このような組成を有する溶接ワイヤを用いることにより、上記化学組成の靭性に優れた溶接金属部4を備えた本発明のスパイラル鋼管を容易に製造できる。
加熱工程において、1000℃以上、1150℃以下で、5秒以上、20分以下の間加熱された溶接金属部4は、オーステナイト域で再結晶される。このことにより、内面2に対する溶接を行う際の予熱効果に起因する、外面3に対する溶接により形成された後続溶接金属部内の粗大化された組織が消去されるとともに、後続溶接金属部内に生成された析出物が再度固溶される。
冷却工程における冷却方法は、必要な冷却速度が得られればよく、特に限定されない。例えば、冷却方法に使用する冷媒として、水、油、ガス等を用いることができる。しかし、環境への影響や後処理の簡便さから、冷媒として、水を用いることが望ましい。
また、冷却工程後、焼き戻し処理を開始する温度は、400℃以下とすることが好ましい。400℃以上の温度から焼き戻し処理を開始すると、溶接金属部4の組織が粗大化するとともに溶接金属部内に炭化物が析出して、靭性が低下する可能性が高くなる。
また、焼き戻し工程における加熱保持の時間が25.4mm当たり5分未満である場合は、マルテンサイト組織を焼き戻しマルテンサイトにする効果が不十分となり、溶接金属部4の溶接金属部の靭性が十分に回復せず、溶接金属部4の靭性が不十分となる。しかし、焼き戻し工程における加熱保持の時間が25.4mm当たり90分以上であると、焼き戻し工程において溶接金属部4の溶接金属部の組織が粗大化するとともに、後続溶接金属部内に炭化物等の析出物が析出し、溶接金属部4の靭性が低下する。
具体的には、例えば、スパイラル鋼管が内面側の表面に突起があるもので、内部にコンクリートが充填されるものである場合、内部にコンクリートを充填することで、コンクリート等との密着性に優れ、高い強度を有する柱状体が得られる。この柱状体は、建築や土木などの分野における基礎構造物などに好適に用いることができる。
このため、管状体の内面側になる鋼帯表面に突起があるものを用いる場合、冷却工程において、管状体の外面側のみから水冷することが好ましい。この場合、管状体の内面に供給された冷却水が突起に邪魔されることなく、溶接金属部4を水冷することができるので、冷却速度が不均一になりにくく、焼き戻し工程前の溶接金属部4の組織を容易に制御できる。
特に、スパイラル鋼管の突起が、例えば、図4に示す例のように、スパイラル鋼管50の延在方向および外周方向と交差する方向に延びる複数の帯状の突起である場合、冷却水が重力によって突起に沿って容易に排水されるため、効果的に冷却速度が不均一を防止でき、好ましい。
「実験1」
以下に示す方法により、一方の面に対する溶接により先行溶接金属部を形成した後、連続して他方の面に対する溶接により後続溶接金属部を形成することにより得られたスパイラル鋼管の溶接金属部を模擬した溶接金属部を形成し、以下に示すように、後続溶接金属部の靭性と、溶接金属部の形成条件との関係を調べた。
次いで、各鋼板11のV字形の開先15に対し、先行溶接金属部および後続溶接金属部を形成する溶接を模擬する溶接を行い、先行溶接金属部と後続溶接金属部とからなる溶接金属部を形成した。
溶接に際しては、実際のスパイラル鋼管の溶接を模擬して、鋼板を水平に対して5度の傾きを持って設置し、先行溶接は溶接方向が傾斜した鋼板の上から下への進行する下り坂溶接、後続溶接は溶接方向が傾斜した鋼板の下から上へ進行する登り坂溶接となる様にした。
また、上記の標準条件に対して一部の条件のみを変化させた熱処理を行った場合の後続溶接金属部の靭性を調べた。
図5(b)は、後続溶接金属部の靭性の測定に用いる衝撃試験片を説明するための断面模式図である。図5(b)において、符号Sは上記熱処理後の先行溶接金属部を示し、符号Kは上記熱処理後の後続溶接金属部を示している。衝撃試験片12は、後続溶接金属部Kの中央部に鋼板11の表面から深さ2mmのV字溝(Vノッチ)が設けられているものである。なお、後続溶接金属部の靭性の測定は、一つの後続溶接金属部について3回繰り返し行った。その結果を、図6〜図8に示す。
図6(a)に示すように、加熱工程における加熱温度が1000℃以上、1150℃以下である場合、後続溶接金属部の靭性が良好となっていた。
また、図6(b)に示すように、加熱工程における加熱時間が5秒以上、20分以下である場合、後続溶接金属部の靭性が良好となっていた。
図8(a)に示すように、焼き戻し工程における焼き戻し温度が300℃以上、600℃以下である場合、後続溶接金属部の靭性が良好となっていた。
また、図8(b)に示すように、焼き戻し工程における加熱保持時間が5分以上、90分以下である場合、後続溶接金属部の靭性が良好となっていた。
図9に示すように、溶接金属部の組織が、面積比で焼き戻しマルテンサイトとベイナイト組織とを合わせた分率が80%以上である場合、後続溶接金属部の靭性が良好となっていた。
鋼帯(母材)をスパイラル状に巻きながら鋼帯の幅方向端面同士を、内外面からそれぞれサブマージアーク溶接法を用いて溶接することにより溶接金属部を有する管状体を形成(造管工程)し、溶接金属部を加熱(加熱工程)した後、加熱された溶接金属部を冷却(冷却工程)し、溶接金属部を焼き戻し処理する(焼き戻し工程)することにより、実施例1〜実施例160、比較例1〜比較例49の内面に突起のあるまたは突起のないスパイラル鋼管を製造した。
また、実験2における造管工程では、鋼帯として、幅方向端面同士を付き合わせてなる形状が、図5(a)に示す寸法のV字形の開先15と同じ形状となるものを用いた。
また、得られた実施例1〜実施例160、比較例1〜比較例49のスパイラル鋼管について、実験1と同様にして後続溶接金属部の靭性(後続溶接金属部0℃吸収エネルギー(J))を調べた。その結果を表26、表28、表30、表32、表34、表36、表38、表40に示す。
また、実施例1〜実施例160、比較例1〜比較例49のスパイラル鋼管について、実験1と同様にして、溶接金属部の組織を調べた。その結果をそれぞれ表26、表28、表30、表32、表34、表36、表38、表40に示す。
また、実施例1〜実施例160の結果より、冷却工程において用いる冷媒として水およびガスを用いることができることが確認できた。
また、実施例131〜実施例150の結果から、管状体の内面側になる鋼帯表面に突起がある場合、冷却工程において、管状体の長手方向を略垂直(縦向き)にして水冷することで、管状体の内面側および外面側から水冷しても、溶接金属部の靭性のバラツキを抑制できることが確認できた。
比較例2では、Ni、CrおよびMoの何れも含有しておらず、CEが低く、焼き入れ性が不足しているため、靭性が低くなっている。さらに、比較例2では、溶接金属部のAlの含有量が多いため、溶接金属部の靭性が低くなっている。
比較例3では、溶接金属部のP、Sの含有量が多く、凝固割れが発生している。また、比較例3では、Ni、CrおよびMoの何れも含有しておらず、CEが低く、焼き入れ性が不足しているため、靭性が低くなっている。
比較例5では、溶接金属部のSiの含有量が多いため、靭性が低くなっている。さらに、比較例5は、Ni、CrおよびMoの何れも含有しておらず、その結果、焼き入れ性が不足し、靭性が低くなっている。
比較例6では、溶接金属部のMnの含有量が多いため、冷却工程における冷却時に割れが発生している。また、比較例6では、溶接金属部のMnの含有量が多いため、靭性が低くなっている。さらに、比較例6は、Ni、CrおよびMoの何れも含有しておらず、その結果、焼き入れ性が不足し、靭性が低くなっている。
比較例8では、溶接金属部のCの含有量が少なく、さらにNi、CrおよびMoの何れも含まれていないためCEが低く、焼き入れ性が不足しているため、靭性が低くなっている。
比較例9では、溶接金属部のCの含有量が少ないため、焼き入れ性が不足しているため、靭性が低くなっている。また、比較例9では、溶接金属部のNiの含有量が多いため、凝固割れが発生している。
比較例11では、溶接金属部のB含有量が多いため、焼き入れ性が過剰となり、冷却工程における冷却時に割れが発生しており、靭性も低くなっている。また、比較例11では、溶接金属部のB含有量が多いため、凝固割れが発生している。さらに、比較例11では、フラックスの塩基度(B)が低く、溶接金属部のO含有量が多いため、靭性が低くなっている。
比較例13では、フラックスの塩基度(B)が高く、溶接金属部のO含有量が少ないため、ビード形状が不良となっている。
比較例14では、フラックスの塩基度(B)が高く、溶接金属部のO含有量が少ないため、ビード形状が不良となっている。また、比較例14では、溶接金属部のNの含有量が多いため、靭性が低くなっている。
比較例16では、溶接金属部のNiの含有量が多く、Cの含有量が少ないため、凝固割れが発生している。また、比較例16では、溶接金属部のNi、Moの含有量が多く、溶接金属部のCEが高いため、焼き入れ性が高すぎて、冷却工程における冷却時に割れが発生している。
比較例17では、溶接金属部のMoの含有量が多く、溶接金属部のCEが高いため、焼き入れ性が高すぎて、冷却工程における冷却時に割れが発生している。また、比較例17では、溶接金属部のMoの含有量が多く、Cの含有量が少ないため、靭性が低くなっている。
比較例19では、溶接金属部のVの含有量が多く、Mnの含有量が少ないため、靭性が低くなっている。
比較例20では、溶接金属部のSiの含有量が多く、靭性が低くなっている。また、比較例20では、溶接金属部のCEが低く、焼き入れ性が不足しているため、靭性が低くなっている。
比較例22では、溶接金属部のCr、Nb、Tiの含有量が多いため、靭性が低くなっている。
比較例23では、溶接金属部のAlの含有量が多いため、靭性が低くなっている。
比較例25では、フラックスの塩基度(B)が高く、溶接金属部のO含有量が少ないため、ビード形状が不良となっている。
比較例27では、加熱工程における加熱温度が高いため、溶接金属部の組織が粗大化し、靭性が低くなっている。
比較例28では、加熱工程における加熱時間(最高加熱時間)が短いため、靭性が低くなっている。
比較例29では、加熱工程における加熱時間が長いため、溶接金属部の組織が粗大化し、靭性が低くなっている。
比較例32、比較例33では、焼き戻し工程の加熱保持温度(焼き戻し温度)が低いため、溶接金属部の組織の焼き戻しが充分行われず、靭性が低くなっている。
比較例34、比較例35では、焼き戻し工程の加熱保持温度(焼き戻し温度)が高いため、溶接金属部の組織が粗大化、さらに炭化物が生成して、靭性が低くなっている。
比較例37では、焼き戻し工程の加熱保持の時間(板厚25.4mm当たりの焼き戻し時間)が長いため、溶接金属部の組織が粗大化、さらに炭化物が生成して、靭性が低くなっている。
比較例40、比較例41では、焼き戻し工程の加熱保持温度(焼き戻し温度)が低いため、靭性が低くなっている。
比較例42、比較例43では、焼き戻し工程の加熱保持温度(焼き戻し温度)が高いため、靭性が低くなっている。
比較例45では、焼き戻し工程の加熱保持の時間(板厚25.4mm当たりの焼き戻し時間)が長いため、靭性が低くなっている。
比較例47では、加熱工程における加熱温度が高いため、靭性が低くなっている。
比較例48では、加熱工程における加熱時間(最高加熱時間)が短いため、靭性が低くなっている。
比較例49では、加熱工程における加熱時間が長いため、靭性が低くなっている。
Claims (8)
- 鋼帯をスパイラル状に巻きながら前記鋼帯の幅方向端面同士を、内外面からそれぞれサブマージアーク溶接法を用いて溶接することにより溶接金属部を有する管状体を形成する造管工程であって、前記内外面のうち一方の面に対する溶接により先行溶接金属部を形成した後、連続して他方の面に対する溶接により後続溶接金属部を形成し、化学組成が質量%で
C:0.04%以上、0.15%以下、
Si:0.02%以上、0.50%以下、
Mn:0.8%以上、2.2%以下、
P:0.02%以下、
S:0.005%以下、
Nb:0.07%以下、
V:0.1%以下、
Ti:0.002%以上、0.050%以下、
Al:0.05%以下、
N:0.010%以下、
O:0.025%以上、0.06%以下、
B:0.0005%以上、0.0050%以下
を含有し、さらに
Ni:0.05%以上、1.5%以下、
Cr:0.05%以上、1.0%以下、
Mo:0.05%以上、1.0%以下のうち1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、
且つ下記(式1)で定義されるCEが0.43以上、0.58以下である前記溶接金属部を有する管状体を形成する造管工程と、
前記溶接金属部を1000℃以上、1150℃以下に、5秒以上、20分以下の間加熱する加熱工程と、
前記加熱工程の後、900℃から500℃の間の前記溶接金属部を平均冷却速度10℃/秒以上で冷却する冷却工程と、
前記溶接金属部を、300℃以上、600℃以下の温度で、板厚25.4mm当たり5分以上、90分以下の時間加熱保持して焼き戻し処理する焼き戻し工程とを備えることを特徴とするスパイラル鋼管の製造方法。
CE=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14・・・(式1)(式1)において、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Vは各元素の含有量[質量%]である。 - 前記鋼帯の表裏両面が平坦であり、
前記冷却工程において、前記管状体の内面側および外面側から水冷することを特徴とする、請求項1に記載のスパイラル鋼管の製造方法。 - 前記管状体の内面側になる鋼帯表面に突起があり、
前記冷却工程において、前記管状体の外面側から水冷することを特徴とする、請求項1に記載のスパイラル鋼管の製造方法。 - 前記管状体の内面側になる鋼帯表面に突起があり、
前記冷却工程において、前記管状体の長手方向を垂直にして前記管状体の内面側および外面側から水冷することを特徴とする、請求項1に記載のスパイラル鋼管の製造方法。 - 前記焼き戻し工程後の前記溶接金属部の組織が、面積比で焼き戻しマルテンサイトとベイナイト組織とを合わせた分率が80%以上であるものとすることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のスパイラル鋼管の製造方法。
- 前記先行溶接金属部を形成した後、前記先行溶接金属部が150℃以下に冷却される前に前記後続溶接金属部を形成することを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のスパイラル鋼管の製造方法。
- スパイラル状に巻かれた鋼帯の幅方向端面同士が、内外面からそれぞれ溶接されてなる溶接金属部を有するスパイラル鋼管であって、
前記溶接金属部は、化学組成が質量%で
C:0.04%以上、0.15%以下、
Si:0.02%以上、0.50%以下、
Mn:0.8%以上、2.2%以下、
P:0.02%以下、
S:0.005%以下、
Nb:0.07%以下、
V:0.1%以下、
Ti:0.002%以上、0.050%以下、
Al:0.05%以下、
N:0.010%以下、
O:0.025%以上、0.06%以下、
B:0.0005%以上、0.0050%以下
を含有し、さらに
Ni:0.05%以上、1.5%以下、
Cr:0.05%以上、1.0%以下、
Mo:0.05%以上、1.0%以下のうち1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、
且つ下記(式1)で定義されるCEが0.43以上、0.58以下であり、
組織が、面積比で焼き戻しマルテンサイトとベイナイト組織とを合わせた分率が80%以上であることを特徴とする、スパイラル鋼管。
CE=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14・・・(式1)(式1)において、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Vは各元素の含有量[質量%]である。 - 内面側の表面に突起があることを特徴とする、請求項7に記載のスパイラル鋼管。
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